説明

接着剤分注器

積層物体造型システムが記載される。一の実施形態におけるシステムは、水ベースの接着剤を使用し、3次元モデルの作成における連続的な紙の層を結合する。紙は、従来の紙寸法で準備されることができ、一度に個々のページを、保管スタックからビルドオブジェクト位置までシステムの中を移動可能である。システムは、典型的に、円周上に間隔を空けて配置された、接着剤を収容するための複数の凹部を有する接着剤塗布輪を用いて、紙上への接着剤の塗布を生じさせる。塗布輪は、目標基材に1以上の凹部に充填された接着剤を運ぶよう回転可能であり、基材上の離れた位置に制御された量の接着剤を付着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラピッドプロトタイピング能力を備える積層物体造型(layered object manufacture:LOM)システムに関する。好適な実施形態において、本発明は、接着剤分注器、特にラピッドプロトライピング(RP)用のLOMシステムにおいて接着剤を塗布するのに用いられる接着剤分注器に関する。
【背景技術】
【0002】
ラピッドプロトタイピングは、材料の除去または差引に頼る従来の機械加工法よりはむしろ、材料の追加によってオブジェクトを製造することができるという点において、コンピュータ制御の追加式の製作と定義される。“ラピッド(急速な)”という用語は相対的な用語だが、3次元の完成品の創出が、用いる方法およびモデルの寸法ならびに複雑度に従って、数時間から数日を要し得る従来技術において、特別な意味を有するものであることは認められるであろう。RPの一般的な分野で使用される方法論は多く知られ、LOMは、RPの一手段である。LOMは、その後、連続的に相互に接着され、ナイフまたはレーザーカッターを用いて成形するよう切断される、接着剤コートの紙、プラスチックまたは金属薄板の連続的な積層化に関するものである。
【0003】
他のRP技術と同様に、LOMは、作成されるべきオブジェクト/パーツの3次元(3D)のコンピュータを使った設計(CAD)の使用を含み、ここからステレオリソグラフィ(STL)または他の適切な形式ファイルがCADパッケージ内で作り出される。STLファイルは処理され、用いられる基材材料の厚さに適合する厚さで、Z軸方向に実質的に薄切りにされる。これは、パーツの一連の横断面を作り出し、任意の特定の高さで、各々は単純な2次元(2D)プロファイルを有する。その後、2Dプロファイルを描き、ひいては原材料の薄いシート上に型を切断するため、切断装置が用いられる。LOMにおいて、個々の薄いシートは、その後、完成した3Dオブジェクトを製造するために積み重ねられ、接着される。
【0004】
紙ベースの原材料を使用する既存のLOMシステムにおいて、紙は、ロールの形状で供給される。紙のロールは、内面上に既に存在する接着剤が設けられることができる。この場合、接着剤は、熱および/または圧力によって、前の層上への接着状態を形成するよう活性化されることができる。代案の手法において、接着剤は、材料がロールから引き出されるときに、材料の内面に塗布されることができる。しかしながら、ロール材料の使用に関連しては、多くの不利な点がある。例えば、機械は、多くの場合、特別に製造された材料のロールを用いてのみ動作可能であり、このロールは入手するのに高い費用がかかり、および/または、交換が難しいおそれがある。また、原材料のロールの日常的な使用に関しても、不利な点がある。例えば、ロールは、供給機構において、予めその上に塗布された接着剤が原因で動きが取れないか、または紙詰まりになるおそれがある。上記に関し、不要な材料は、形成されるべき部分と同じ接着力で互いに接着されているので、不要な材料の除去は、非常に難しくなるおそれがある。これは、のみおよび他の道具が、多くの場合、オブジェクトを自由に得る必要があるため、不要な材料の除去“ウィーディング(weeding)”の間中、パーツが損傷を受ける原因となる。
【0005】
従来のLOMシステムで用いられるのに適した紙の種類には、更なる限定がある。紙は不規則にフェルト状にされた繊維の層からなるので、構造が様々な気孔率を有することができることになる。紙は高多孔質材料であり、かつ70%程度の空気を含む。シートの気孔率は、紙の吸湿の指標、すなわち特定の紙のシートの、インク、水またはこの場合は接着剤を受け入れる能力の指標である。LOM用の特定の種類の紙を選択する場合、紙の気孔率を考慮することは重要である。
【0006】
紙の特性は、用いられることができる接着剤の種類に明らかに密接に関連し、これらを制限する。紙へ接着剤を塗布することに関連し、更なる問題および懸案がある。圧電型分注ヘッドのような、コンピュータ制御電気機械デバイスに依存する分注システムのような知られているプリンタにおいて、ヘッドは、多くの場合、繊細な性質を有し、かつ、頻繁に、デバイスが詰まった状態になり、修理され、メンテナンスされ、そして交換されるといった、長い不応期間を有する。それ故に、そのような配置は、メンテナンスおよび修理のための高い費用を有するおそれがある。
【0007】
紙の層間に接着剤を塗布する他の方法は、
1.上述したように、完成したパーツの後処理の間、不要な材料の除去に著しい困難性を生み出す、シートのワーキングエリア全体のコーティングと、2.シート上のある位置に配置されたときにこれら位置で接着を防止する物質の使用とを含む。この技術は、シート全体を初めにコーティングしたことによる接着剤、ひいては、“非接着”物質の使用による接着剤“ノンスティッキー”の下塗り部分の事実上の浪費の不利益を有する。または、上記他の方法は、静電気システムの使用を含み、従来の2Dプリンタがインクをプリントするように、接着剤トナーをシート表面上に乾式電子写真方式で付着させる。この方法は、技術的に複雑で、特に製造された接着剤トナーを要求することの不利益を有するおそれがある。
【0008】
さらに、現在のLOMシステムが、溶剤ベースの水溶性でない接着剤を使用し、それ故に、例えば、廃棄のために環境上の問題を提起するということに留意すべきである。しかしながら、高い水分含有量を有する水ベースの接着剤の使用が、LOMシステムにおけるそれらの適用に損害をもたらす、紙の撓み(warping)および歪み(distortion)のようなさらなる問題を提起するので、そのような溶剤ベースの接着剤はLOMにおいて用いられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、接着剤分注器には多くの問題があり、RP用のLOMシステムで用いられる接着剤分注器は、対処される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これら要求および他の要求は、第1の配置において、積層化プロセス用の接着手段としての、水ベースの接着剤の使用を提供するLOMシステムによって解決される。分注された接着剤の量および/または位置を制御することによって、そのようなLOMシステムは、積層化で用いられるセルロースベースの紙材料の撓みまたは歪みを最小化しながら、水ベースの接着剤の使用を許す。
【0011】
別の配置において、本発明の教示は、標準の寸法の紙のシートを用いるLOMシステムを提供する。このシートは、保管場所からワークプレイスに一枚だけ運ばれ、紙のシートを接着するよう接着剤が連続的に塗布されることができ、積層化された最終構造を作り出す。
【0012】
別の配置において、基材上の特定の位置に特定量の接着剤の差別的な塗布を可能にする制御手段を具えるLOMシステムが提供される。これは、特定の位置への接着剤の制御された分注を可能にし、用いられるべき接着剤量を有利に減少させる。また、これは、接着剤が確実に、接着剤が要求される位置に特に塗布されることを確実にする。
【0013】
そのようなシステムは、円周上に間隔を置いて配置された、接着剤を収容するための複数の凹部を有する接着剤塗布輪を使用するかまたは具えることができ、塗布輪は、1以上の凹部の中に充填された接着剤を対象基材に運ぶよう回転可能であり、基材上の離れた位置に制御された量の接着剤を付着させる。
【0014】
一の実施形態において、塗布輪は、対象基材に接触するよう構成された接触表面を有し、複数の凹部は、接触表面に形成される。
【0015】
別の実施形態において、接着剤分注器は、接着剤を1以上の凹部に充填するための密封接着剤充填チャンバを接着剤塗布輪と共に画定する接着ワイプを具える。
【0016】
さらなる実施形態において、ワイプは、接着剤の加圧型供給器に連結される。
【0017】
一の実施形態において、ワイプは、チャンバの側壁部および開口部を画定する。
【0018】
別の実施形態において、ワイプは、塗布輪に適合するよう形成される。
【0019】
さらなる実施形態において、チャンバは排出手段を有し、凹部からの空気の置換およびチャンバからの空気の排出による凹部の充填を可能にする。
【0020】
一の実施形態において、排出手段は、凹部と相互作用するよう構成されたワイプの中に構成を具える。
【0021】
別の実施形態において、塗布輪の凹部は、凹部が前記チャンバを通って回転するにつれて充填される。
【0022】
さらなる実施形態において、接触表面は、ワイプと密閉接触するよう構成される。
【0023】
一の実施形態において、接着剤分注器は、ワイプを塗布輪と密封接触した状態に維持するための、バイアス手段を具える。
【0024】
別の実施形態において、接触表面は、塗布輪と一体である。
【0025】
さらなる実施形態において、接触表面は、塗布輪に取り付け可能なリングを具える。
【0026】
一の実施形態において、凹部の寸法および間隔は、付着されるべき接着剤の量に従って変えられることができる。
【0027】
別の実施形態において、凹部は、ほぼ10〜50ナノリットル程度の容積を有する
【0028】
さらなる実施形態において、凹部は、実質的に半球形状を有する。
【0029】
一の実施形態において、接触表面は、低摩擦材料から成るかおよび/または低摩擦皮膜を具える。
【0030】
別の実施形態において、対象基材は、紙基材を含む。
【0031】
さらなる実施形態において、紙は、シート形状で供給される。
【0032】
一の実施形態において、接着剤は、PVA接着剤等の水ベースの接着剤を含む。
【0033】
別の実施形態において、接着剤は、毛管作用によって、充填された凹部から対象基材に付着される。
【0034】
さらなる実施形態において、塗布輪は、塗布輪の回転の方向および角速度を制御するための塗布輪駆動手段に連結される。
【0035】
一の実施形態において、接着剤分注器は、対象基材に対して移動するよう取り付けられる。
【0036】
別の実施形態において、接着剤分注器は、対象基材に対する接着剤分注器の直線速度を制御するための駆動手段に連結される。
【0037】
さらなる実施形態において、角速度および直線速度は、必要に応じて、対象基材上に不定量の接着剤の載置をもたらすよう制御可能である。
【0038】
本発明は、さらに、本発明に従う接着剤分注器を組み込むラピッドプロトタイピング用の積層物体造型(LOM)システムを提供する。
【0039】
これらおよび他の特徴は、添付図面を参照して理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に従う接着剤分注器の全体図である。
【図2】図1の接着剤分注器の断面図である。
【図3】図1の接着剤分注器の正面図であり、ワイプおよびディンプルのある接着剤塗布輪を示す。
【図4】毛管作用堆積法により基材に接着剤を塗布するよう用いられている、図1の接着剤分注器の側面からの部分的な断面図である。
【図5】図1の接着剤分注器の側面からの断面図であり、接着剤塗布輪の下塗りを示す。
【図6】本発明の実施形態に従う接着剤分注器を組み込む積層物体造型システムの構成部品の部分的な等角図を示す。
【図7】図6のシステムの正面からの部分的な切断図を示す。
【図8】接着剤分注装置を組み込む図6および図7のシステムの多機能性ヘッドの拡大等角図を示す。
【図9】図9.1は、図8の多機能性ヘッドの背面からの拡大等角図であり、切断部および掴み部の詳細を示し、図9.2および図9.3は、側面からの平面図であり、非作動状態にある掴み部および作動状態にある掴み部をそれぞれ示す。
【図10】図10.1〜10.4は、多機能性ヘッドの掴み部の動作のステップ、および、供給機構から基材材料のシートを掴みビルドオブジェクト上の位置に載置する供給機構の側面からの平面図を示す。
【図11】本発明に従うLOMラピッドプロトタイピングの方法のステップに関する説明であり、パーツのCADモデルを示す。
【図12】本発明に従うLOMラピッドプロトタイピングの方法のステップに関する説明であり、取り除かれていないダイスブロックを示す。
【図13】本発明に従うLOMラピッドプロトタイピングの方法のステップに関する説明であり、部分的に露出されたパーツを示す。
【図14】本発明に従うLOMラピッドプロトタイピングの方法のステップに関する説明であり、完成した3Dパーツを示す。
【図15】図6のシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ここで、本発明は添付の図面を参照して説明されるであろう。
【0042】
図面、特に最初は図1〜5に関し、積層物体造型システムの詳細な部品が記載される。そのような部品の一つは、接着剤塗布輪3に連結された接着剤フィラー2を具える接着剤分注器1である。接着剤フィラー2は、圧力をかけて接着剤入口部4で接着剤供給口に接続され、接着剤20を、入口部4から接着剤出口部5に運ぶ1以上の軸方向チャネル6を具える。出口部5は、この場合、塗布輪3と一緒にワイプ7によって画定されるチャンバ8を具える。
【0043】
ワイプ7は、フィラー2から下方に垂下または延在し、開口を画定し、塗布輪3に結合および接触するよう構成された、前縦側壁部11および後縦側壁部12によって接続される横側壁部9,10を有する。ワイプ7および塗布輪3は、チャンバ8を画定するように対応し、かつ協働するよう設計される。ワイプ7はチャンバ8の側壁部を形成し、塗布輪3はチャンバ8の底部を形成する。ワイプ7の寸法および形状は、ワイプ7が塗布輪3に結合されたときに、これらが画定するチャンバ8が効果的に密封されたチャンバとなるよう、塗布輪3に対応する。ワイプ7の接触側すなわち開口端は、塗布輪3の形状に実質的に対応する弧形を具えるか、または、弧形に設けられる。フィラー2は、塗布輪3が回転する間の密封状態を維持するよう、ワイプ7が塗布輪3に接触している状態を維持するために、例えばスプリング手段等のバイアス手段を具えるか、または、バイアス手段と接触するものとすることができる。
【0044】
塗布輪3は、接着剤を入れるための複数の凹部14を有する接触表面13を有する。接着剤は、塗布輪3が回転するとき、ワイプ7で凹部14内に充填され、ワイプ7から対象の基材21に運ばれる。塗布輪3上の凹部14の形状およびそれらの間隔は、置かれるべき接着剤の量に依存して必要に応じて変えることができる。接着剤の早過ぎる硬化のような問題を最小限にするため、空気にさらされる接着剤の量および接着剤が空気にさらされる期間は、最小限に抑えられることは理解されるであろう。
【0045】
塗布輪3の接触表面13は、フィラー2のワイプ7と、例えば紙21のシート等のターゲット基材との両方に接触するよう構成された塗布輪3の一部分である。塗布輪3の接触表面13は、塗布輪3の外周上または外周に形成されることができるか、または、実施形態に示されるように、塗布輪3と一体に形成されることができる。塗布輪3は交換式とすることができる。例えば、異なる寸法、異なる間隔または異なる直径の凹部を有する多くの異なる塗布輪は、使用のために設けられることができる。特殊利用に応じて、適切な塗布輪は、その後、他のタイプの塗布輪と置き換えることができる。
【0046】
接触表面13および/または凹部14は、例えばデルリン等の低摩擦材料で構成され、もしくは、低摩擦材料から形成されることができるか、および/または、例えばテフロン(登録商標)等の低摩擦コーティング材料を具えることができる。
【0047】
塗布輪3は、コントローラを用いて操作可能なドライブ機構(図示せず)に連結され、塗布輪3は、要求により反時計回りまたは時計回り方向に駆動されることができる。塗布輪3の角速度は必要に応じて変化することができる。
【0048】
ワイプ7は、凹部14を通過することにより、凹部14を接着剤20で充填することが可能なように構成される。充填を目的として、ワイプ7または密封されたチャンバ8は、排出手段および供給手段を包含する。この排出手段は、接着剤によって空気を凹部から移動させることによって、凹部からの空気を接着剤で置換することを容易にし、供給手段は、ワイプ/密封チャンバからの空気を除去または移動する。
【0049】
この場合、排出手段は、ワイプ7の横側壁部9,10ならびに凹部14の相対寸法およびこれら構成部品の駆動された相互作用の様式によって配置される。より詳細には、実施形態において、塗布輪3の接触表面13に接触する横側壁部9,10のこれら部分の厚み(d1,d2)は、凹部14の寸法(d3)よりも小さい。実質的に、接着剤での充填および空気の排出は、チャンバの設計によって達成される。塗布輪3の回転の方向に依って、横側壁部9,10の一方は、充填するチャンバの前端を示すであろう。横側壁部9,10は、塗布輪3に接触する端部が、凹部14の領域よりも小さい領域を有するように形成される。それ故に、空の(空気充填)凹部14はワイプ7に接近して、先の側壁部9,10の下を通過するので、接着剤は、ワイプ7に入れられた凹部の部分に入り、大気にさらされた凹部の部分を介してそこから空気を置換する。それ故に、塗布輪3が回転するにつれ接着剤20がワイプ7に入るので、塗布輪3の複数の凹部14は、接着20で充填される。充填は、塗布輪3がワイプ7に対して移動するときに、ガス、すなわちこの場合は空気を接着剤に交換することである。凹部の排出は、空気の接着剤への交換を容易にする塗布輪3の運動によって行われる。排出は、凹部がワイプの前端または後端と接触する場所で発生する。塗布輪3の回転において、ワイプの前端または後端の下に部分的にまたは全体に凹部がない場合、塗布輪3とワイプ7とで画定される接着剤充填チャンバは、効果的に密閉される。
【0050】
より詳細には、ワイプ7に対する塗布輪3上の凹部14の配置は、接着剤が漏れることなく、塗布輪3の停止および再開の能力を提供する。塗布輪3を、接着剤を漏らすことなく回転を停止させることを可能にするには、塗布輪3とワイプ7との間に気密密閉状態が維持されることが必要である。気密密閉は、ワイプ7の前端/後端の下に部分的にまたは全体的に凹部14が存在しない場合にのみ可能である。言い換えれば、気密密閉は、各凹部14とチャンバ8との間の正確な角度関係が分かっていて、チャンバ8によって凹部14が完全に囲われる場合のみに存在することができる。この正確な角度位置において塗布輪3を停止することは、追加のバルブなしで接着剤の流れを直ちに断ち切る。不可欠の密閉手段として働くこの特徴は、従来技術の設計において存在する接着剤の流れを制御するためのドクターナイフの必要性を取り除く。この配置のさらなる利点は、システムが密閉され、かつ空気が存在しないので、システムが、長期間この密閉された位置に残されることができ、その後接着剤が硬くなるといった問題なく、すぐに再開することができるということである。配置は、さらに、塗布輪3が、接着剤の余分な増加なしで要望どおり停止されかつ開始されるのを可能にする。これは、接着剤容器が追加の接着剤で充填される必要があり、プロセスがしばらくの間停止される必要がある中間プロセスのような状況において特に利点である。空気にさらされる接着剤の量の最小化により、そのようなプロセスの一時的中断は、最終製品の構造を著しく弱めることはない。
【0051】
この密閉機構を容易にするため、チャンバ8およびワイプ7に対する塗布輪3上の各凹部14の正確な角度位置は、分かっている必要がある。輪角度位置測定器は、この正確な角度関係を検出および測定するのに用いられる。例えば、輪角度位置測定器は、例えば近接センサおよび金属フラグで構成されることができる。金属フラグは、1回転当たり1回近接センサの下を通る。塗布輪の穴に対する金属フラグの角度位置が分かる。それ故に、近接センサの下を金属フラグが通った時、機械は、システムを密閉するのに必要な角度回転を計算する。
【0052】
特に図4において、接着剤分注器1を用いて接着剤を配置する方法が示される。この場合、塗布輪3は、対象基材21、ここでは紙のシートに接触して位置付けられる。塗布輪3は、基材21に対して平行移動し、また、輪駆動手段により回転される。並進運動および回転の運動は、独立して起こることができる。
【0053】
接着剤が充填された凹部14が、基材21に接触する場合、多孔質の紙基材の場合、接着剤は、基材が備える孔または水吸収による毛管現象によって基材上に配置される。塗布輪3は、一連の指標線において紙基材21にわたり並進運動するので、接着剤ドット22のマトリクスが堆積される。接着剤が凹部14から置かれる場合、空の凹部14は回転してワイプ7/チャンバ8に戻り、プロセスは繰り返される。
【0054】
図面、例えば図4および5から、塗布輪上の凹部の配置が、一度に1つの凹部のみが基材に接触するようになっていることが分かる。表面に直接接する個々の凹部の配置は、接着剤の分離したドットの付着を可能にする。
【0055】
この場合、ワイプ7の接触位置の横側壁部9、10の幅(図3のd4参照)は、塗布輪3の接触表面13の幅(d5)よりも小さい。設計が、余分な接着剤が接触表面13に付着し、それ故に基材上に堆積されるようなものなので、この配置は、接触表面の自動クリーニングを容易にする。
【0056】
接着剤分注器1は、さらに塗布輪のためのクリーニング機構を具えることができる。必要な場合に、塗布輪は、クリーニング領域の一面に位置付けられ、例えば、スポンジ、ゴム、シリコーンベース材料からなり、塗布輪上に残る余った接着剤を取り除くクリーニング基材に、塗布輪を複数回回転させることによって、接触することができる。少量の洗浄液は、クリーニングプロセスを補助するために、基材クリーニングに加えられることができる。
【0057】
上述したとおり、塗布輪3は、要求に応じ時計回りまたは時計回り方向の、所望の角速度で、回転を生じさせる、輪駆動手段(図示せず)に接続されることができる。
【0058】
使用中、接着剤分注器1は、基材21に対する並進運動のために、例えば基材に対するヘッドの移動を可能にするX−Yフレームに取付けられ、または、代替的に、基材は、ヘッドに対する運動のためのX−Yステージ上に取付けられることができる。例は、図6〜8を参照して以下に記載される。
【0059】
発明の教示にしたがって提供されるような塗布輪の回転のための独立した駆動手段に組み込まれる輪駆動配置には、多くの利点がある。
【0060】
角度および直線の速度を適合することによって、駆動輪3と紙基材21との間の相対速度を、0で維持することができる。
塗布輪3と紙基材21との間のゼロ以外の相対速度に、スピンまたはスリップを生み出させることができる。スピンは、接着剤のより多い量の適用に影響を与え、一方、スリップは、より少ない量の適用に影響を与える。
塗布輪3を、追加の手段によってクリーニングされるようにすることができ、必要であれば、塗布輪の低い部分を湿らせたスポンジ/ゴム材料に位置付け(図示せず)、余分な接着剤が除去されるまで任意回数回転させることによって、クリーニングされるようにすることができる。
塗布輪3は、空の凹部14が接着剤のラインの堆積を開始する前に存在しないように下塗りされるようにすることができる。
【0061】
輪駆動手段は、塗布輪を駆動するまたはしないようにし、塗布輪をフリーホイールとするクラッチを介して回転可能な塗布輪3に接続されることができる。
【0062】
使用中、塗布輪は、接着剤分注器の塗布輪の角速度と基材に対する直線速度との間の際がゼロとなるよう、塗布輪駆動手段によって制御されることができ、これは、塗布輪のスリップまたはスピンを防止する。塗布輪駆動手段は、必要に応じて基材21上の特定のポイントに堆積される接着剤の量の制御を可能とするよう、塗布輪のスリップまたはスキンに影響を与えるための、角速度と線速度における相対的差異を提供するよう調整可能とすることができる。接着剤の堆積の高レベル制御は、利点である。
【0063】
分注システムが最初に特定の指標線、たとえばX軸の終端に届いた場合、分注システムは、次の指標線上の反対方向(−X)に操作される。
【0064】
しかしながら、指標線の端部において、塗布輪の凹部14の半分は空になるであろう。この問題を解決するために、本発明は、塗布輪を下塗りするための方法を提供する。
【0065】
この塗布輪に下塗りをする典型的な方法は、図5を参照して説明される。図5は、接着剤のラインの端部での塗布輪を示し、接着剤は、右に動いている間、時計回り方向の塗布輪の回転により配置された。
【0066】
接着剤分注器1は、基材から持ち上げられ、そしてY方向に、次の隣接するラインの開始位置にインデックスされ、左(−X方向)への移動を開始し、反時計回りの方向に回転する。しかしながら、反時計回りの回転は、基材に接触するよう回転する凹部14が充填されていないため、接着剤の堆積を生じない。接着剤分注器1は、それ故に、塗布輪3が回転しそして全ての凹部14が各接着ラインの開始位置で充填されるよう構成される。
【0067】
上述したように、置く接着剤の量を調整するために、システムは、塗布輪の角速度を制御することを可能とする。同様に、角速度の制御は、ワイプ7における凹部の充填のための制御をも可能とする。接着圧力一定の条件下で、塗布輪3の角速度は、接着剤とガスの交換が起こり凹部14が充填されるワイプ7の前端または後端の下方位置における時間の長さに影響する。それ故に、塗布輪3を低速度で回転させることは、各凹部内への大量の充填を容易にし、塗布輪3を高速度で回転させることは、結果的に各凹部内へ充填量を少なくする。
【0068】
同じ塗り厚の範囲内で、異なる充填量が望まれるであろう。例えば、形成されるべき部分上の多量の接着剤および前記部分のまわりの不要な構造上の少量の接着剤を有することが望まれる。したがって、接着輪3の不要な構造上に少量の接着剤を置くことは、分注機構の直線速度と同期していない角速度での回転を生み出し、それ故にスリップを引き起こす。したがって、より少なく充填された凹部が、特定の長さにわたり基材と接することを可能にする。例えばその前記部分で接着剤の高いレベルが要求されるような場合、塗布輪3の角速度は、分注器の直線速度よりも高くなるよう増加し、したがってスピンを引き起こす。塗布輪3のスピンは、より充填された凹部が所定の長さで基材と接触するようにする。
【0069】
本発明の接着剤分注器1は、水ベースPVA接着剤とともに使用するのに適している。そのような接着剤の特性のため、接着剤の配置と接着剤の乾燥/設定との間のオープン時間は長く、それ故に、その後の基材層またはシートを位置付けるための時間が十分にある。本発明の接着剤分注器1は、基材に適用される接着剤の量の非常に正確な制御を提供する。これは、塗布輪の凹部の形状および寸法の効果によって、および、塗布輪上の凹部の間隔によって、部分的に得られる。特に、接着剤分注器1は、接着剤ナノドット、すなわち、10〜50ナノリットル、好ましくは20〜30ナノリットルのオーダーの量を有する接着剤のドットを分注するよう構成されそして用いられることができる。このように、接着剤分注器は、制御された量の水ベース接着剤を置くのに用いられることができ、そのような制御は、基材の浸潤の問題を取り除く。
【0070】
図面および特に図6〜8を参照すると、接着剤分注器1を組み込むラピッドプロトタイピング用の積層物体造型(LOM)システム50が記載されている。図面とくに図9および10を参照すると、システムの基材供給機構が記載されている。積層物体造型の典型的な方法は、図11〜15を参照して説明される。
【0071】
図11に示されるように、本教示に従う方法は、所望の最終モデルのコンピュータ処理の画像ファイルを用いて開始する。プロセスを通して連続して紙のシートを積層し、これらを要望どおりにカットすることによって、図12に示す最終的な取り除かれていない(unweeded)ダイスブロックが生じる。図12のダイスブロックの中にモデルが包まれているので、図13に示すように、ダイスブロックの外側の部分を壊して取り除いて製造されたモデルを露出する必要がある。これは、図14に示すように、モデルが完全に露出するまで続けられることができる。
【0072】
そのようなモデルの製造は、多くのステップを必要とする。これらが以下の頁でより詳細に説明されると同時に、図15を参照して典型的なステップが以下で説明される。ステップの特定の順番は、必ずしも従わなければならないものではなく、中間のステップのいくつかは、製造されるべき最終モデルの詳細に従って、繰り返されることができる。
【0073】
図15に示すように、第1のシートはワーク表面またはブロックに移動される(ステップ1500)。接着剤分注器を用いて、接着剤がシート上に位置付けられる(ステップ1501)。その後、追加のシートは、2枚のシートを互いに留めるまたは接着する働きをする接着剤の上に位置付けられる(ステップ1502)。2枚のシートの上に例えばシングルパスでローラを適用することによって、隣接するシート間の接触は改善されることができる(ステップ1503)。これが得られた時点で、切断手段は、シート上の所望の最終モデルに従ってテンプレートをカットするのに用いられることができる。切断手段は、1以上のシートを同時にカットするのに効果的である(ステップ1504)。その後、硬化を提供するために熱が加えられる(ステップ1505)。その後、プロセスは、先立つステップが繰り返される必要があるかどうかを決定するために判定される(ステップ1506)。繰り返される必要がある場合には、接着剤が一番上のシート上に適用される(ステップ1501)。繰り返される必要がない場合には、(図12で示されたものに似た形状を有する)完成部品が取り除かれる(ステップ1507)。
【0074】
LOMシステム50は、接着剤分注器1および切断/掴みヘッド52を有する多機能性ヘッド51を具える。多機能性ヘッド51は、異なるモデルにおける異なる操作を行うよう操作可能である。まず第一に、切断/掴み部52の掴み機は、作動されると、紙供給機から紙のシートを移動させ、その紙をビルドプレート上の位置、すなわち、最終構造が製造される位置に運ぶよう動作する。この動作の実行において、切断/掴み部52は、紙供給機に対向するビルドプレートとビルドプレートの裏との間の経路を描く。第2に、切断/掴み部52の切断機は、作動されると、ビルドプレート上の紙のシートの一番上を要求された形状に切断するよう動作する。第3に、多機能性ヘッド51の接着剤分注器1は、作動されると、要求に応じ、ビルドプレート上の紙のシートの一番上に接着剤を塗布するよう動作する。
【0075】
多機能性ヘッド51は、X−Yフレーム56,55上に取り付けられ、ヘッドは、必要に応じてビルドオブジェクト54上の基材21の上に位置付けられそして移動されることができる。接着剤分注器1および切断/掴みヘッド52の垂直(Z軸)方向の動きは、この場合、接続されたソレノイド57および60によってそれぞれ制御される。紙は、紙供給機構59を介してシート供給機58からシートの形式でシステムに供給される。システム50は、ビルドオブジェクト54上を通り、後の層の確かな接着、および、切断動作から発生するまくれの最小化を確かなものとするシングルパスローラ61をさらに具える。システム50は、圧力を加え、接着剤を硬化するためのホットプレート62をさらに具える。XYフレームおよび紙供給および位置の多くの態様は、従来型であり、本技術分野における通常の知識を有するものであれば、ここで詳細に説明されなくとも理解するであろう。
【0076】
また、ラピッドプロトタイピング用のLOMシステム50の使用方法も提供され、そして以下の通り考慮されることができる。
【0077】
我々が作りたい(図9に示す)オブジェクト/パーツの三次元(3D)コンピュータを使った設計(CAD)を使用し、ステレオリソグラフィ(STL)ファイルが、CADパッケージの中で作成され、保存される。このSTLファイルは、本発明にしたがってシステム50の動作を制御するソフトウェアパッケージに提供される。
【0078】
ソフトウェアは、LOMシステム50にしたがって動作し、部分および単純な2次元(2D)プロファイルの特定の高さでの一連の断面を生じさせる。
【0079】
紙、この例においてA4サイズのシートは、システム50の入力トレイ58に装着される。紙の単一シート21は、除去可能なビルドプレート53の表面に取り付けられ、ビルドオブジェクト54の第1の未切断層となる。第1のシートは、手動で取り付けられることができる。
【0080】
使用者は、3Dでビルドオブジェクト54の構築を開始するための制御信号をシステム50に出力するようシステム/コントローラを操作する。
【0081】
この場合、第1のステップは、ビルドオブジェクト、すなわち、多くの紙の層であって、切断されないビルドオブジェクト用のベースを載置する。システム50は、紙供給機構からの紙の第2のシートの載置に備えて接着剤の層を配置するよう動作可能である。紙供給機構59は、連(ream)のトップから一枚の頁を分離し、それをウェイティング領域へ送る。多機能性ヘッド51の切断/掴みヘッド52は、シートを掴みそれをビルド領域53,54に移動し、直近に適用された接着層の上に載置するよう動作する。ローラ61は、シートの上を通過し、層間の確かな結合を確実にする。これらステップは、所望の厚さを有するベースが用意されるまで繰り返される。
【0082】
システム50は、その後、ビルドオブジェクトの紙のシート(基材層)を載置し、各層を所望のプロファイルに切断するよう動作する。この方法において、個々の紙のシート、典型的にはA4寸法のシートは、保管場所から、シートが、最終構造の製造をもたらすために他の層の上に積層される、ワークエリアへ搬送されることがわかる。標準規格の紙のシートを使用することによって、本発明の教示にしたがって提供されるLOMシステムは、従来の固定された大量の紙を用いることができ、最終の3次元構造の製造をもたらすためにリサイクル材料を使用することさえできる。
【0083】
多機能性ヘッド51は、ビルドオブジェクト54のベースの一番上のシートの表面の上で接着剤分注器1を動かし、切断プロファイルが提供される第1の紙のシートを載置する前に、接着層を塗布する。接着剤分注器1は、ソレノイド57の制御下で操作され、塗布輪3を移動させてビルドオブジェクト54上の一番上の紙の層と接触させる。
る。
【0084】
接着剤分注システム1は、選択的に、基材のビルドオブジェクトのパーツである基材のパーツにおいて高濃度で接着剤を塗布し、切断されるべき基材のパーツ、すなわち、無駄な材料部分において低濃度で接着剤を塗布する。この接着剤の差別的な塗布は、接着剤分注器を特定の対象領域へ移動させるよう正確に指示することができる制御システムの使用を介して、また、所望の分注位置間における接着剤の滴下または他の不用意な分注を生じさせない接着剤分注システムの使用によって、容易にされる。
【0085】
多機能性ヘッド51は、その後、紙供給機構58,59から次のシートを持ち上げ、ビルドオブジェクト54の一番上の接着層上に配置する。ローラ61は、層を互いに押圧しながらビルドオブジェクト上を通過する。切断/掴みヘッド52は、ソレノイド60の制御下で操作され、カッターをビルドオブジェクト54の一番上の紙層と接触させる。
【0086】
X−Y位置決め手段55,56は、その後、カッターを層の2Dプロファイルの経路を描くよう移動し、そうすることで、ビルドオブジェクトの特定の層の形状を切り抜く。
【0087】
所要の2Dプロファイルが切断された後で、カッターは、層の切断プロファイルの内側および外側の一連のダイシングカットを作成するよう操作され、層の無駄な部分をダイスカットして小さなスクエアにすることによる無駄な材料の除去を補助する。層の切断が完了すると、ビルドプレート53は、ホットプレート62と接触するよう持ち上げられる。このプロセスは、完全な3Dモデルが層ごとに構築されるまで続く。
【0088】
システム50がビルドオブジェクト54の構築を完了した時、除去可能なビルドプレート53は機械から除去されて、3Dパーツを内部に含む紙の未除去ダイスブロックを露出させる(図12参照)。ここで、無駄な材料のダイスカットのキューブは、のみのような尖った器具なしで手動で取り除かれることができる。これは、無駄な材料が、接着剤分注器から最少量の接着剤だけを受けたためである。無駄な材料が3Dパーツから除去されるので、内部は、部分的に目に見えるようになる(図13参照)。最終的に、全ての無駄な材料が取り除かれたとき、3Dパーツは完全に露出される(図14参照)。
【0089】
図9.1および9.2を参照すると、多機能性ヘッドの基材掴み部70がより詳細に記述される。掴み部70は、支持表面71と対応する可動グリップ部分72とを具える。グリップ72は、支持表面から分離して位置付けられる第1の非作動または休止状態(図9.2)と、支持表面71と接触する第2の作動された位置との間で移動可能である。実際は、掴み部は、グリップ部分およびウェッジ部分との間に保持される基材材料のシート、ここでは紙のシート21を掴むよう作動される。シート21は、前端22と後端23とを有する。シートは、前端22の近くを掴まれる。ウェッジ71は、供給機からビルドオブジェクトへ引かれるシートが、曲げの第1モードとなることを確実にするよう曲げられ、それ故にコーナーで落ちたり垂れたりしない。この曲げの第1モードは、図10.2で見ることができる。ここでは、シート21は、掴みデバイス70と紙供給機構59との間で下方にたわむのが見られる。
【0090】
図10.1〜10.4は、典型的な一連の頁の紙供給機構からの分離およびビルドオブジェクト54上への位置付けのステップを示す。
【0091】
図10.1によれば、多機能性ヘッド51は、新しいシート21の前端22を供給する紙供給機構59へ(ここでは-Y方向へ)移動する。
【0092】
多機能性ヘッド51は、反対方向(ここでは+Y方向)に戻り、同時に紙供給機構59はシート21を供給する。紙供給機構59の速度は、掴みヘッド70の直線速度よりもわずかに速く設定される。これは、ウェッジ71とともに、シート21が、紙供給機構59から引かれるため、新しいシート21を曲げの第1モードにさせる。
【0093】
図10.2によれば、新しい頁21が、紙供給機構59および掴み部70に第1曲げモード配置で接続されているのが示される。この場合、支持表面71は、約10〜20°の角度で示される。これは、シート21が中央部で下方にたわむ第1の曲げモードの頁を示す。頁をこの第1曲げモードにセットすることは、シートの前短のコーナーが垂れ、シート21が位置付けられるビルド54にぶつかることを出来る限り防ぐ。このウェッジ支持基材表面71を有することは、前端22の全長を掴む頁掴み機を有することの必要を防ぐ。
【0094】
図10.3によれば、(今はつかみ部70によって保持されている)シート21の前端22がビルドオブジェクト54のフロント端の上方を通過し、紙供給機構59からシートが完全に引き出され、ビルドオブジェクト54の全ての端にかけられる。
【0095】
図10.4によれば、多機能ヘッド50は、新しいシート21の後端23がビルドオブジェクト54の後端に揃うまで+Y方向に動き続ける。この時点で、システムは、ビルドオブジェクト54のレベルをZ方向に上げるよう動作し、つかみ部70が新しいシート21を開放するとき、シート21が落ちる距離が小さくなるようにする。この新しいシートに対するビルドオブジェクトのレベルの調整は、シートの不整合を防止する。
【0096】
紙供給機構59およびつかみ部70の調整動作を用いるシート21の配置方法の利点は、シートが移動されるだけの方法と比べると動作のスピードを含み、その上、従来公知のシートを所望の位置に供給するための複雑なローラのセットを必要としない。
【0097】
システムは、基材シートおよび接着剤が分離して載置されるので、不整合に対する耐性をもって有利に動作する。したがって、いくらかの不整合が生じたとしても、新しいプロファイルはまだ表面上で切断されないため、何の問題もない。
【0098】
(実施例1)
実施例1において、本発明のシステムは、基材上の接着剤のナノドットを置くのに用いられ、以下のように構成される。
接着剤塗布輪の寸法:15mm(直径)
凹部の数:36
凹部から預けられる接着剤のドットの量:10〜50nl、好ましくは20〜25nlのオーダー
基材の寸法:A4
【0099】
したがって、実施例1の接着剤分注器は、一実施形態において、1ページ当たり最大47,647個のナノドットを載置する能力があり、各ナノドットの最大量は22.9nl(ナノリットル)である。したがって、載置されるナノドットの総数は、完全な構築量のため、66ミリオンのオーダーとなるであろう。
【0100】
これは、現在のRPにおいて用いられる量とは大きく異なる。例えば、電気機械ドット分注システムは、100,000個〜1ミリオン個のオーダーの寿命を有することができる。
【0101】
したがって、本発明の接着剤分注器1を組み込むシステム50は、それ故に、例えばラピッドプロトタイピング用のLOMシステムにおいて接着剤のナノドットの塗布に用いるのに適しているということは理解されるであろう。
【0102】
上述した凹部14は、実質的に半球形状を有し、これは、どんな所定の表面領域に対しても実質的に最高の量を提供することの利点を有する。凹部の壁部が塗布輪の接触面と垂直でなく、それ故に、凹部が真っ直ぐな側壁を有する場合に起こり得る、空気が接着剤の下方で逃げ場を失う可能性を減少するため、凹部がチャンバ8の下方を通過するとき、この形状は、空気と接着剤との交換を容易にすることの利点もさらに有する。
【0103】
上述した実施例1において、直径が15mmである塗布輪を用いられたことに留意すべきである。塗布輪の直径は、要求に応じて変化することができることは理解される。しかしながら、塗布輪の直径は、20mmよりも小さいのが好ましく、15〜20mmの範囲であるのが最も好ましい。
【0104】
塗布輪の直径が増加するにつれ、シート基材と次の接着剤充填キャビティ14との間の垂直距離は小さくなる。したがって、それらは反比例関係にあり、オーバーラン状態を招く。この“オーバーラン”を補償するための一つの方法は、キャビティ間のピッチを増加させることである。これにより、垂直方向距離が増加する。代案として、塗布輪の直径は、実施例1の直径が15mmの塗布輪の場合のように、ナノドットの間の一定のピッチを維持するよう減少されることができる。
【0105】
記載された実施形態において、接着剤分注器の塗布輪は、塗布輪上に単列の凹部を有する一方で、塗布輪が1以上の列の凹部を具えることも理解されるべきである。同様に、記載された実施形態において、接着剤分注器が1つの塗布輪を含む一方で、代案の配置において、多くの塗布輪が設けられることができ、1以上の塗布輪は、互いに独立して動くことができる。そのような配置は、接着剤塗布プロセスの速度の増加を目的としている。また、記載された実施形態において、凹部が等しい間隔で離れている一方で、代案の配置において、凹部の間隔が変化し実質的に等しくないものとすることができるということも理解されるべきである。そのような配置は、塗布輪の一部が接触する場所によって異なるドットパターンの載置を可能にするであろう。
【0106】
A4シートを用いるLOMの例示の方法に関する実施例1は、本発明の接着剤分注器の適用の範囲および能力の一例として単に提供されたものである。この実施例は、A4紙基材の使用に関するが、しかしながら、当業者であれば、A3サイズの基材、手紙、または他の適切なサイズの基材も用いられることができることは明らかである。
【0107】
当然のことながら、本発明の教示にしたがって提供されたシステムが、個々の紙―のシートの連続的な積層に基づく3次元モデルを提供するように、所定の順番で異なる色のシートを提供することによって最終モデルの最終的な色のトポグラフィを変化させることは可能である。実際、発生したモデルのZ軸を通るそのような色の変化が、例えば異なる色における異なる特徴の表現のような有利な効果のために用いられることが出来るということは理解されるべきである。例えば、色紙を紙供給機構に分けて入れておくことによって、異なる色で異なる高さを示すトポロジカルマップを作ることが可能である。また、そのようなシステムが、モデルの製造のために標準の紙規格を用いるので、用いられるベース紙の色を変化させることによって、最終的なモデルの色をシンプルに変えることは、使用者にとって非常に単純な運動であるということも理解されるべきである。また、色のついた紙は、多くの異なる色で自由に入手できるので、使用者に入手可能な選択の仕上がりは、RP機械で入手可能な従来のカラーリングよりもずっと多いということも認められるべきである。
【0108】
本教示にしたがって用いられることができる紙の種類によって提供される柔軟性は、使用者に異なる厚さの紙の選択的な使用を可能にする。紙が、異なる厚さで設けられることができるということは理解されるべきである。本教示のLOM配置において用いられる紙のシートが個々に選択可能であるので、ユーザーが、取り組みたい各仕事のために変化される紙の厚さを変化することが可能である。
【0109】
そのような柔軟性または最終モデルのヒンジングは、モデルの積層の間中、同じ厚さの紙を用い、異なる厚さの領域を有するよう所定の領域におけるモデルの成分を選択的に切り取ることによって提供されることもできる。隣の領域よりも薄い厚さを有する領域は、隣よりもよりフレキシブルとなり、そのような複雑な部分が製造されることができる。この複雑な部分は、一体的に形成されるが、互いに関して移動可能な要素を有する。そのような別の部分に対する最終製品の位置の部分の屈曲は、ジオメトリの制御から与えられので、より少ない層(できるだけ少ない)が柔軟性が要求される領域で存在する。
【0110】
異なる厚さの紙の使用は、より細部が要求される領域およびそのような細部が要求されない領域が存在する3次元モデルの製造において用いられることもでる。例えば、垂直な壁を製造する場合、必要な最終の垂直形状を提供するようカットされることができる厚い紙の多層を用いることは十分である。曲線状の表面が要求される場合、これは、より連続的な滑らかな角度で完成された表面を提供するよう個々にカットされることが可能な多数の薄いシートを用いることでより簡単に製造することができる。より速い構築が要求される場合には、厚いシートの正気相は、薄いシートの積層よりも必要な高さにより速く発展するため、厚い紙の使用もまた、考慮されることができる。これは、設計が初期にテストされる場合に融液であるが、完成品は、より良い全体の完成与えるために薄いシートを用いて構成されるであろう。
【0111】
記載された実施形態において、接着剤分注器の接着剤塗布輪は直線上で移動し、直線上で接着剤を塗布するよう取り付けられる一方で、別の実施形態において、完全な接着剤分注システムは、それ自体の垂直軸の周りに回転可能に取り付けられることができるということは認められるべきである。これは、塗布輪を、形成される形状の輪郭に従わせることができる。この配置は、いつも同じ方向に回転するので塗布輪を準備する必要性を取り除くとともに、接着剤分注プロセスの増加された速度を提供する。
【0112】
記載された実施形態において、接触表面14が塗布輪の円周上に形成される一方で、代案の実施形態において、接触表面14が、リング形状を有し、このリングが除去および取替え可能であるものとすることは認められるべきである。例えば、異なる寸法および異なる間隔の凹部を具える多くの異なるリングが、塗布輪にフィットするよう設けられることができる。
【0113】
ここで記載されてきたものは、積層物体造型システムの典型的な配置であるということは認められかつ理解されるであろう。そのようなシステムの使用は、水ベースの接着剤の使用を具え、3次元モデルの作成における連続的な紙の層を結合する。紙は、従来の紙寸法で準備されることができ、一度に個々のページを、保管スタックからビルドオブジェクト位置までシステムの中を移動可能である。システムは、典型的に、円周上に間隔を空けて配置された、接着剤を収容するための複数の凹部を有する接着剤塗布輪を用いて、紙上への接着剤の塗布を生じさせる。塗布輪は、目標基材に1以上の凹部に充填された接着剤を運ぶよう回転可能であり、基材上の離れた位置に制御された量の接着剤を付着させる。
【0114】
本発明は、紙が接着剤で飽和しないことを確実にし、それ故にシートの撓みを最小化する、紙へ接着剤を塗布するシステムおよび方法を提供する。ページの撓みは、基材上に付着された接着剤の量が必要に応じて制御されることができるという事実によって最小化される。基材上に付着された接着剤の量の正確な制御を提供することによって、水ベース接着剤、例えばポリ酢酸ビニル(PVA)を使用することが可能である。システムナ、同様に、異なるそして標準のタイプの紙の仕様を容易にする。システムは、それ故に、従来のそして直ちに入手可能な原材料、例えば標準化されたオフィス紙を使用し、ユーザーフレンドリーの利点を有し、操作および供給が容易である。水ベース接着剤を用い、従来の紙で用いられることができるLOMプロセスを提供することによって、リサイクルおよび廃棄の問題が既存のRP液剤よりも少ないということは理解されるであろう。LOMプロセスで用いられる紙供給は、紙を無駄にまたは処理し、LOMプロセスからの不用な紙は、従来のリサイクルと同じように容易にリサイクルされることができる。水ベースの接着剤の廃棄は、既存のRPプロセスで用いられるような溶剤またはプラスチックの廃棄よりも容易である。
【0115】
接着剤分注部分を支持する多機能ヘッドの提供および同じヘッド上の切断/掴み部は、これら構成部品の各々の運動に対する個別の取り付けおよび移動手段の提供の必要性を排除する。本発明のシステムの多機能性ヘッド上の掴み部の提供は、髪供給システムの必要性を効果的になくす。掴み部が接着層を有する紙のシート上にシートを位置決めするLOMの状況において、ヘッド取り付け掴み部の使用は、ビルドプレート上の紙のシートの位置決めを容易にする。
【0116】
システムは、さらに、紙のシートを用いて用いられることができ、これは、操作およびメンテナンスの観点から有利であり、ロールの取り扱いに関連する問題を除去する。
【0117】
水ベース接着剤の使用の可能性は、溶剤ベース接着剤の使用および取り扱いに関する、さらなる環境上の問題および懸案事項を解決する。
【0118】
本発明のシステムは、基材上への接着剤の位置決めの優れた制御をさらに提供する。また、載置される接着剤の密度も制御されることができる。これら特徴は、接着剤の無駄を無くすのに役立つ。
【0119】
本発明のデバイスおよびシステムは、さらに、接着剤の集中および結果として起こる目詰まりを防止するための設計特性を含む。また、自動クリーニング特性も、デバイスおよびシステムのメンテナンスの観点から有利に設けられることができる。
【0120】
本教示にしたがって提供されるシステムは、例えばA4の標準の紙のシートを使用することができ、これらシートは、予め下部が感圧接着剤でコートされたり、例えば“スティッキー”インクバインダを用いる乾式電子写真方式の技術を用いて互いに接着されたりはしない。このような方法で、そのようなシステムは、標準紙および水ベースPVA接着剤を用いるので、非常に環境に優しい。システムは、標準紙および水ベース接着剤のいずれもが容易に主流の供給源から供給される従来のシステムと比較して動作が経済的である。さらにまた、そのようなシステムは、例えば通常の2Dプリンタ/オフィスプリンタを既に通った再生紙を用いることができる。
【0121】
好適な実施形態が、図面を参照して説明されてきた一方で、本発明の範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるべき修正例も作成することができる。1つの図面に関して説明された参照符号および構成要素は、他の図面においても本発明の内容を逸脱することなく交換されることができるということは理解されるべきである。
【0122】
明細書において用いられる「具える」という用語は、言及した特徴、参照符号、ステップまたは構成要素の存在を特定するためのものであり、1以上の他の特徴、参照符号、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラピッドプロトタイピング用の積層物体造型(LOM)システムで用いられる、対象基材に接着剤を塗布するための接着剤分注器であって、
該接着剤分注器は、円周方向に間隔を空けて配置された、接着剤を収容するための複数の凹部を有する接着剤塗布輪を具え、
該塗布輪は回転可能であり、1以上の凹部に充填された接着剤を対象基材に運び、該対象基材上の離れた位置に、制御された量の接着剤を付着させることを特徴とする接着剤分注器。
【請求項2】
前記塗布輪は、前記対象基材に接触するよう構成された接触表面を有し、前記複数の凹部は、前記接触表面に形成される請求項1に記載の接着剤分注器。
【請求項3】
前記接着剤分注器は、接着剤を1以上の凹部に充填するための密封接着剤充填チャンバを前記接着剤塗布輪と共に画定する接着ワイプを具える請求項1または2に記載の接着剤分注器。
【請求項4】
前記ワイプは、接着剤の加圧型供給器に連結される請求項3に記載の接着剤分注器。
【請求項5】
前記ワイプは、前記チャンバの側壁部および開口部を画定する請求項3または4に記載の接着剤分注器。
【請求項6】
前記ワイプは、前記塗布輪に整合するよう形成される請求項3、4または5に記載の接着剤分注器。
【請求項7】
前記チャンバは排出手段を有し、前記凹部からの空気の置換および前記チャンバからの前記空気の排出による前記凹部の充填を可能にする請求項3〜6のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項8】
前記排出手段は、凹部と相互作用するよう構成されたワイプの中に構成を具える請求項7に記載の接着剤分注器。
【請求項9】
前記塗布輪の凹部は、該凹部が前記チャンバを通って回転するにつれて充填される請求項3〜8のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項10】
前記接触表面は、前記ワイプと密閉接触するよう構成される請求項2〜9のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項11】
前記ワイプを前記塗布輪と密封接触した状態に維持するための、バイアス手段を具える請求項3〜10のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項12】
前記接触表面は、前記塗布輪と一体である請求項2〜11にいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項13】
前記接触表面は、前記塗布輪に取り付け可能なリングを具える請求項2〜11にいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項14】
前記凹部の寸法および間隔は、付着されるべき接着剤の量に従って変えられることができる請求項1〜13のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項15】
前記凹部は、ほぼ10〜50ナノリットル程度の容積を有する請求項1〜14のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項16】
前記凹部は、実質的に半球形状を有する請求項1〜15のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項17】
前記接触表面は、低摩擦材料から成るかおよび/または低摩擦皮膜を具える請求項1〜16のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項18】
前記対象基材は、紙基材を含む請求項1〜17のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項19】
前記紙は、シート形状で供給される請求項18に記載の接着剤分注器。
【請求項20】
前記接着剤は、PVA接着剤等の水ベースの接着剤を含む請求項1〜19のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項21】
前記接着剤は、毛管作用によって、充填された凹部から対象基材に付着される請求項1〜20のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項22】
前記塗布輪は、該塗布輪の回転の方向および角速度を制御するための塗布輪駆動手段に連結される請求項1〜21のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項23】
対象基材に対して移動するよう取り付けられる請求項1〜22のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項24】
前記対象基材に対する前記接着剤分注器の直線速度を制御するための駆動手段に連結される請求項23に記載の接着剤分注器。
【請求項25】
前記角速度および直線速度は、必要に応じて、前記対象基材上に不定量の接着剤の載置をもたらすよう制御可能である請求項22、23または24に記載の接着剤分注器。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の接着剤分注器を組み込むラピッドプロトタイピング用の積層物体造型(LOM)システム。
【請求項27】
3次元オブジェクトの発生をもたらすために、紙基材の複数の層上へ水ベースの接着剤の塗布を提供する、ラピッドプロトタイピング用の積層物体造型(LOM)システムであって、該システムは、
a)前記水ベースの接着剤のための容器と、
b)該容器から前記紙基材上へ、前記水ベースの接着剤を分注するための、前記容器と流体連結している分注器と、
c)後に続く前記紙基材への接着剤の分注のため、前記分注器を前記紙基材の特定の位置に移動させるよう前記分注器に作用する制御手段と
を具えることを特徴とする積層物体造型システム。
【請求項28】
前記分注器は、前記紙基材上の特定の位置への、所定量の接着剤の選択的な分注を、動作可能に提供する請求項27に記載の積層物体造型システム。
【請求項29】
複数枚の紙のシートを収容し、かつ必要に応じて、複数枚のシートの個々のシートを供給するための、紙供給機構を具える請求項27または28に記載の積層物体造型システム。
【請求項30】
後に続く接着剤の塗布のため、前記個々のシートを、前記紙供給機構からビルドオブジェクト位置へ運ぶための手段を具える請求項29に記載の積層物体造型システム。
【請求項31】
前記紙供給機構は、前記複数枚の紙を第1の速度で分配するよう構成され、前記個々のシートを運ぶための手段は、第2の速度で動作可能なように構成され、前記第1の速度が、前記第2の速度よりも大きい請求項30に記載の積層物体造型システム。
【請求項32】
前記分注器は、請求項1〜26のいずれか一項に記載の分注システムを具える請求項27〜31のいずれか一項に記載の積層物体造型システム。
【請求項33】
3次元オブジェクトの発生をもたらすために、紙基材の複数の層上へ接着剤の制御された塗布を提供する、ラピッドプロトタイピング用の積層物体造型(LOM)システムであって、該システムは、
a)前記接着剤のための容器と、
b)該容器から前記紙基材上へ、ビルド位置に前記接着剤を分注するための、前記容器と流体連結している分注器と、
c)複数枚の紙のシートを収容し、かつ必要に応じて、複数枚のシートの個々のシートを供給するための紙供給機構と、
d)後に続く接着剤の塗布のため、前記個々のシートを、前記紙供給機構からビルドオブジェクト位置へ運ぶための手段と
を具えることを特徴とする積層物体造型システム。
【請求項34】
後に続く前記紙基材への接着剤の分注のため、前記分注器を前記紙基材の特定の位置に移動させるよう前記分注器に作用する制御手段を具える請求項33に記載の積層物体造型システム。
【請求項35】
前記紙供給機構は、異なる厚さの紙のシートを収容するよう構成される請求項33または34に記載の積層物体造型システム。
【請求項36】
3次元有色オブジェクトの製造を可能にするために、異なる色のシートで動作可能である請求項33、34または35に記載の積層物体造型システム。
【請求項37】
前記紙供給機構は、異なる色の複数のシートを収容し、かつ必要に応じて、該複数のシートの個々の一枚を選択的に供給するよう構成される請求項36に記載の積層物体造型システム。
【請求項38】
前記分注器は、請求項1〜26のいずれか一項に記載の分注システムを具える請求項33〜37のいずれか一項に記載の積層物体造型システム。
【請求項39】
円周方向に間隔を空けて配置された、ワイプで接着剤を収容するための複数の凹部をもつ接触表面を有する接着剤塗布輪を具え、該塗布輪の回転により接着剤を対象基材に運び、該対象基材上の離れた位置に、制御された量の接着剤を付着させる接着剤分注器であって、
前記塗布輪および前記ワイプはともに、密封接着剤充填チャンバを画定することを特徴とする接着剤分注器。
【請求項40】
前記接触表面は、前記ワイプと密封接触するよう構成される請求項39に記載の接着剤分注器。
【請求項41】
前記ワイプを前記塗布輪と密封接触した状態に維持するための、バイアス手段を具える請求項39または40に記載の接着剤分注器。
【請求項42】
前記基材に対する前記塗布輪上の凹部の間隔は、どの時点においても1個の凹部だけが前記対象基材に接触するよう配置された間隔である請求項39、40または41に記載の接着剤分注器。
【請求項43】
前記ワイプの形状に対する前記塗布輪上の凹部の間隔は、前記塗布輪と前記ワイプとの間の密封を生じさせるために、整数個の凹部が前記ワイプの中に収容されることができる間隔である請求項39〜42のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項44】
前記ワイプおよび前記凹部は、前記凹部への接着剤の充填が、前記ワイプにおいて前記凹部からのガスと前記凹部内への接着剤との交換により達成されるように形成される請求項39〜43のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項45】
前記ガスと前記接着剤との交換は、前記ワイプに対する前記凹部の移動によって前記凹部からガスが排気されることによるものである請求項44に記載の接着剤分注器。
【請求項46】
前記ワイプは、凹部の直径よりも薄い厚さの前端および/または後端を有し、前記ワイプに対して前記塗布輪が回転するとき、前記前端および/または後端でのガスの排気および接着剤の充填を可能にする請求項39〜45のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項47】
前記塗布輪の回転の方向および角速度を制御するよう作動する塗布輪駆動手段および塗布輪駆動制御手段を具える請求項39〜46のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項48】
前記ワイプに対する前記塗布輪の角運動は、凹部に充填されるべき接着剤の量を制御するよう制御可能である請求項47に記載の接着剤分注器。
【請求項49】
前記基材に対する前記塗布輪の角運動は、前記基材に塗布されるべき接着剤の量を制御するよう制御可能である請求項47または48に記載の接着剤分注器。
【請求項50】
前記塗布輪の角度位置をリアルタイムで検出し、該角度位置データを前記塗布輪駆動制御手段に出力するよう構成された角度位置検出手段を具える請求項39〜49のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項51】
前記塗布輪駆動制御手段は前記ワイプに対する前記塗布輪の動きを同期することができ、前記塗布輪は、接着剤の流れを停止するため、凹部を前記ワイプの中に完全に調整した状態に密封モードで停止されることができる請求項50に記載の接着剤分注器。
【請求項52】
前記接触表面は、前記塗布輪と一体である請求項39〜51のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項53】
前記接触表面は、前記塗布輪に取り付け可能なリングを具える請求項39〜52のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項54】
前記凹部の寸法および間隔は、付着されるべき接着剤の量に従って変えられることができる請求項39〜53のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項55】
前記凹部は、ほぼ10〜50ナノリットル程度の容積を有する請求項39〜54のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項56】
前記凹部は、実質的に半球形状を有する請求項39〜55のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項57】
前記接触表面は、低摩擦材料から成るかおよび/または低摩擦皮膜を具える請求項39〜56のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項58】
前記対象基材は、紙基材を含む請求項39〜57のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項59】
前記紙は、シート形状で供給される請求項58に記載の接着剤分注器。
【請求項60】
前記シートの色は、使用者によって選択可能である請求項59に記載の接着剤分注器。
【請求項61】
前記接着剤は、PVA接着剤等の水ベースの接着剤を含む請求項39〜60のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項62】
前記接着剤は、毛管作用によって、充填された凹部から対象基材に付着される請求項39〜61のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項63】
対象基材に対して移動するよう取り付けられる請求項39〜62のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項64】
x−yフレーム上の多機能性ヘッドに動作可能に取り付けられるよう構成され、かつ前記対象基材に対してx−yフレーム上を移動するよう構成される請求項39〜63のいずれか一項に記載の接着剤分注器。
【請求項65】
前記対象基材に対する前記接着剤分注器の直線速度を制御するための駆動手段に連結される請求項63または64に記載の接着剤分注器。
【請求項66】
前記角速度および直線速度は、必要に応じて、前記対象基材上に不定量の接着剤の載置をもたらすよう制御可能である請求項63、64または65に記載の接着剤分注器。
【請求項67】
請求項39〜65のいずれか一項に記載の接着剤分注器を組み込むラピッドプロトタイピング用の積層物体造型(LOM)システム。
【請求項68】
対象基材材料の複数の個々のシートとともに用いられる請求項67に記載の積層物体造型(LOM)システムであって、該システムは、
複数のシートのためのレシーバを含み、
該レシーバに隣接して設けられたシート供給機構を具え、
供給ローラおよび掴みヘッドであって、ビルドオブジェクトを形成するため、前記供給ローラからシートを引き出し、必要に応じて、該シートを前記対象基材上に位置付けるよう構成された供給ローラおよび掴みヘッドを具える積層物体造型システム。
【請求項69】
前記掴みヘッドは、前記ローラからシートを掴むよう構成される請求項68に記載の積層物体造型システム。
【請求項70】
前記掴みヘッドは、支持表面および掴み部を有し、該掴み部は、前記支持表面から分離した休み位置、および、前記支持表面と接触する掴み位置から動くよう作動する請求項67または68に記載の積層物体造型システム。
【請求項71】
前記掴みヘッドは、前記シート材料の前端を掴むよう構成される請求項70に記載の積層物体造型システム。
【請求項72】
前記シートが前記対象基材上の位置まで引き出されるとき、前記支持表面は、前記シートの制御された曲げを提供するよう構成されたくさび形状を有する請求項70または71に記載の積層物体造型(LOM)システム。
【請求項73】
前記レシーバは、前記複数のシートをスタック配置で収容するよう構成され、前記スタックの個々のシートは、少なくとも色において、スタックの他のシートとは異なる請求項68〜72のいずれか一項に記載の積層物体造型システム。
【請求項74】
前記レシーバは、異なる厚さまたは寸法のシートを収容するよう構成される請求項68〜72のいずれか一項に記載の積層物体造型システム。
【請求項75】
請求項67〜74のいずれか一項に記載のシステムを用意し、
引き続いて水ベースの接着剤を用いて相互に接着される紙の個々のシートのスタックを用いて3次元モデルを作り出し、前記接着剤分注器は前記紙の特定の位置に前記接着剤の制御された塗布を提供し、
スクラップ材料から前記3次元モデルを分離し、
前記スクラップ材料を廃棄する
ことを具えるラピッドプロトタイピング方法。
【請求項76】
大きな3次元モデルを作り出すため、水ベースの接着剤を用いて、2以上の3次元モデルを相互に接着する後続ステップを含む請求項75に記載のラピッドプロトタイピング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10.1−10.4】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−504804(P2011−504804A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535400(P2010−535400)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066473
【国際公開番号】WO2009/068672
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510148245)エムコア テクノロジーズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】