説明

接着性樹脂組成物および接着方法

【課題】接着性が不十分な基材に対しても適用し得る安価な接着性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ラジカル重合性の二重結合を有さない重合体(A)とラジカル発生剤とを含有し、重合体(A)100重量部に対するラジカル発生剤の割合が0.1〜10重量部である接着性樹脂組成物。本発明の好ましい態様においては、更に、ラジカル重合性を有する単量体(C)を含有し、重合体(A)100重量部に対する単量体(C)の割合が0.1〜10重量部であり、ラジカル重合性を有する単量体(C)がグリシジル基を有する単量体であり、グリシジル基を有する単量体が4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着性樹脂組成物および接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属、ガラス、木材、プラスチック等の様々な資材が産業用などの基材として使用され、それらの基材に対する他の基材の接着のために各種の接着剤が供されている。また、それらの基材に対し、防錆、対衝撃性、耐水性、耐候性などの性能を付与するために、各種の塗料、樹脂膜、コーティング剤などが供されている。
【0003】
しかしながら、例えばポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系のプラスチック類は、非極性かつ結晶性であるために、基材としての性能が優れるにも拘わらず、接着や塗装そのものが困難であるという欠点を有する。従って、このような基材に対しては、薬剤処理、コロナ放電処理、火炎処理などの表面処理を実施した上で接着や塗装を行うのが一般的であるが、表面処理の効果は、基材の形状によって影響を受け、安定しない場合がある。また、このような表面処理には特殊な設備が必要となり、工程自体も複雑となる。
【0004】
上記の他には、予め、塩素化、グラフト化などにより基材自体を直接的に改質して接着性や塗装性を改善する等の方法もあるが、この場合には、既にある基材に対する接着性や塗装性などを改善することは出来ないという欠点があり、事前処理を必要とせず、かつ効果的な接着性や塗装性の改善方法は未だ確立していないのが現状である。
【0005】
一方、特殊な接着性材料として、特定の酸化減成ポリオレフィンを含む樹脂組成物が提案され(特許文献1)や全ペンタッドに対してmmmmペンタッドの比率が10〜60%のアイソタクチックポリプロピレンと極性基含有ポリオレフィンとが結合したブロック共重合体が提案されている(特許文献2)。しかしながら、これらの接着性材料は高価であるという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−192617号公報
【特許文献2】特開2005−48172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、接着性が不十分な基材に対しても適用し得る安価な接着性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、次の様な知見を得た。すなわち、例えば汎用樹脂であるウレタン樹脂のように重付加によって得られてラジカル重合性二重結合を有さない重合体であってもラジカル発生剤を配合するならば、意外にも、基材に対する有効な接着性が認められる。
【0009】
本発明は、上記の知見に基づき更に検討を重ねて完成されたものであり、その第1の要旨は、ラジカル重合性二重結合を有さない重合体(A)とラジカル発生剤(B)とを含有し、重合体(A)100重量部に対するラジカル発生剤(B)の割合が0.1〜10重量部であることを特徴とする接着性樹脂組成物に存し、その第2の要旨は、上記の接着性樹脂組成物を基材に塗布し、ラジカル発生剤(B)に起因するラジカルを発生させることを特徴とする接着方法に存する。そして、本発明の好ましい態様の接着性樹脂組成物は、更に、少量のラジカル重合性を有する単量体(C)を含有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の接着性樹脂組成物によれば、例えばポリプロピレンのように極性が低く難接着性の基材を接着対象として使用した場合でも、その接着すべき部位に対し、コロナ放電処理などの表面処理、塩素化やグラフト化などの基材自体の改質などの事前処理を予め行うことなく良好に接着することが出来る。従って、本発明の接着性樹脂組成物は、各種の基材同士の接着、基材の塗装やコーティング等に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
【0012】
本発明の接着性樹脂組成物は、ラジカル重合性の二重結合を有さない重合体(A)とラジカル発生剤(B)とを含有し、好ましい態様においては、更に、ラジカル重合性を有する単量体(C)を含有する。そして、本発明の接着性樹脂組成物は、用途や目的に応じ、水や溶剤で希釈されていてもよい。
【0013】
ラジカル重合性の二重結合を有さない重合体(A)としては、例えば、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。これらは、重付加、付加縮合、重縮合、開環重合、イオン重合(付加重合)により得られる、また、ラジカル重合で得られるアクリル酸エステル樹脂などのアクリル樹脂や低密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂も使用し得る。ラジカル重合により得られる重合体の場合、連鎖反応に寄与したラジカル重合性の二重結合は、停止反応により消滅して残存していない。重合体(A)の分子量は、特に制限されず、樹脂として汎用されているものを使用することが出来る。
【0014】
ラジカル発生剤(B)としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤、光増感剤などが挙げられ、付与するエネルギーの種類に応じて任意に選択できる。
【0015】
上記の熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤、ケトンパーオキサイド系開始剤、パーオキシケタール系開始剤、ヒドロパーオキサイド系開始剤、ジアルキルパーオキサイド系開始剤、ジアシルパーオキサイド系開始剤、パーオキシエステル系開始剤、パーオキシジカーボネート系開始剤などが挙げられ、使用する基材や重合体(A)の耐熱性や硬化条件などと熱重合開始剤の半減期温度との関係、重合体(A)との混合性などに応じて任意に選択できる。加熱温度は一般的には40〜200℃が適当である。
【0016】
上記の光重合開始剤および光増感剤としては、ベンゾフェノン系開始剤、ジケトン系開始剤、アセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、チオキサントン系開始剤、キノン系開始剤などが挙げられ、照射する光の波長や重合体(A)との混合性などに応じて任意に選択できる。紫外線照射量は、一般的には80Wメタルハライドランプを使用する場合は、100〜2000mJ/cmの積算光量が適当である。
【0017】
ラジカル発生剤(B)の使用割合は、重合体(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜3重量部である。ラジカル発生剤(B)の割合が上記範囲より少ない場合は、ラジカルの発生が不十分となり、望ましい接着性が得られず、また、上記の範囲より多い場合は、使用量に見合った接着性が得られない。なお、ラジカル発生剤(B)は二種類以上を組み合わせて使用することが出来る。
【0018】
ラジカル重合性を有する単量体(C)としては、通常、分子内に少なくとも一箇所のラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和結合を持つ単量体が使用される。ラジカル重合性を有する単量体(C)は本発明の効果をより高める目的で使用される。ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和結合としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明においては、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和結合とは異なる位置に更に一個以上の反応性置換基、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボニル基、シアノ基など併せ持つ単量体が好ましい。反応性置換基としては、エポキシ基の一種であるグリシジル基が好ましい。また、同一分子内における反応性置換基の結合位置の距離が離れている単量体が更に好ましい。
【0019】
ラジカル重合性を有する単量体(C)の例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(以下「4HBAGE」と略称する)等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の(N−置換)(メタ)アクリルアミド類、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,3,5−トリアリルイソシアヌレート等の複数のラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和結合を同一分子内に有する化合物類、その他、酢酸ビニル、酸化メシチル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の汎用的な単量体類が挙げられる。本発明においては、4HBAGEを使用することが特に好ましい。
【0020】
ラジカル重合性を有する単量体(C)の使用割合は、重合体(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。ラジカル重合性を有する単量体(C)の使用割合が上記の範囲より多い場合は、使用割合に見合った接着性が得られない。また、ラジカル重合性を有する単量体(C)の一部が未反応で残存し、臭気や樹脂のべたつき等の問題が発生する恐れがある。なお、ラジカル重合性を有する単量体(C)は二種類以上を組み合わせて使用することが出来る。
【0021】
本発明の接着性樹脂組成物が適用される基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等が挙げられる。また、難接着性の基材に対して一般に実施される事前の表面処理(例えばコロナ放電処理など)は任意であるが、表面処理を実施した場合には一層高い効果が得られる。
【0022】
本発明の接着方法においては、本発明の接着性樹脂組成物を基材に塗布し、ラジカル発生剤に起因するラジカルを発生させる。一般に、接着性樹脂組成物は、水や溶剤により希釈して適当濃度に調節して使用される。本発明においては、ラジカルを発生させる前に塗膜を硬化することも出来る。すなわち、基材に希釈した接着性樹脂組成物を均一に塗布して塗膜を形成した後、加熱や乾燥などにより強固な樹脂層を形成することも出来る。ラジカルの発生は、熱や光(例えば紫外線)等のエネルギーを付与することにより行う。ラジカルの発生は接着性樹脂組成物を基材に塗布して塗膜を形成した後の任意の段階において行うことが出来る。通常、加熱により塗膜を硬化した場合は、熱重合開始剤に起因するラジカルの発生が同時に行われる。
【0023】
ラジカル発生剤(B)の作用によりラジカル重合性二重結合を有さない重合体(A)の基材に対する接着性が高められる理由は、明らかではないが、ラジカル発生剤の作用により重合体(A)及び/又は基材表面に何らかの化学的変化が起こっていることによるものと推定される。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
<各種試験片の作成>
以下の諸例においては、以下の要領で各種試験片を作成し、剥離試験に供した。
【0026】
<基材の選定および加工>
日本テストパネル(株)社製の以下の種類のテストピース(全て1mm厚)を使用して、原則としてコロナ放電処理などの表面処理を行うことなく、全て、長辺=70mm、短辺=25mmの短冊形に整形して各試験片作成に供した。なお、別途に表面処理などを実施した場合に関しては、各諸例において個別に記載した。テストピースには、ポリカーボネート(以下「PC」と略称する)、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称する)、ナイロン6、ポリプロピレン(以下「PP」と略称する)を使用した。
【0027】
<不織布の選定および加工>
ユニチカ(株)社製ナイロンスパンボンド「ウィウィ」(=商品名;品番「R1005WTO」)を不織布として使用し、長辺=150mm、短辺=25mmの短冊形に整形して各試験片作成に供した。
【0028】
<接着性樹脂組成物の配合>
各諸例に示す各種の樹脂を使用し、次の重量比で各成分を配合して接着性樹脂組成物と成した。配合の固形分比は、樹脂/ラジカル重合性を有する単量体/ラジカル発生剤=100/3/1とした。なお、ラジカル重合性を有する単量体を使用する場合には、4HBAGE、グリシジルメタクリレート(以下「GMA」と略称する)、アクリル酸、メタクリル酸の群から選ばれる何れか一種類の単量体を配合し、各諸例に記載した。また、ラジカル発生剤を使用する場合には、化薬アクゾ(株)社製「カヤエステルO−50」(=商品名;化学物質名=t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)又は日本油脂(株)社製「パークミルH」(=商品名;化学物質名=クメンヒドロパーオキサイド)を配合し、各諸例に記載した。
【0029】
<エポキシ樹脂>
ジャパンエポキシレジン(株)社製「エピコート828」(=商品名;エポキシ樹脂)/「エピキュア3080」(=商品名;硬化剤)を10/3の重量比で配合したエポキシ樹脂を使用した。
【0030】
<アクリル樹脂>
中央理化工業(株)社製「リカボンドES−620」(=商品名;アクリル樹脂)/「リカボンドES−800」(=商品名;アクリル樹脂)を1/1の重量比で配合したアクリル樹脂を使用した。
【0031】
<ウレタン樹脂>
三洋化成(株)社製「ユーコートUWS−145」(=商品名;ポリエステル系ウレタン樹脂)もしくは「ユーコートUWS−2505」(=商品名;ポリエーテル系ウレタン樹脂)を使用した。更に、以下の方法で製造したポリウレタンディスパージョン「PUD101」(=日本化成(株)開発品名;ポリエーテル系ウレタン樹脂)を使用した。
【0032】
<PUD101の製造方法>
反応器内に分子量1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学(株)社製「PTMG1000」)を196.3g、イソホロンジイソシアネートを129.1g、ジメチロールブタン酸を17.2g仕込み、窒素気流下で70℃で7時間反応してポリウレタン樹脂を得た。得られたポリウレタン樹脂に、トリエチルアミンを11.7g加えて中和し、続いてホモミキサーにて攪拌しながら脱塩水571.5gを加えた。得られたポリウレタン樹脂分散体に、予め水59.7gにヒドラジン水和物80%水溶液14.5gを混合した水溶液をホモミキサーにて攪拌しながら添加して鎖延長を行い、最終的に、試験片作成に供する水性ポリウレタン樹脂分散体「PUD101」を得た。
【0033】
<接着性樹脂組成物の基材への塗布>
乾燥時の樹脂層の厚みが0.07mmとなるように、バーコーターを使用して、接着性樹脂組成物を基材に均一に塗布した。なお、接着性樹脂組成物の塗布範囲は、基材の一方の短辺から発し、辺端部から50mmまでの範囲とした。
【0034】
<不織布の基材および樹脂層への圧着>
基材の接着性樹脂組成物を塗布した側の短辺と不織布の一方の短辺を揃え、さらに基材と不織布の各長編を揃えるようにして基材の樹脂層の上に不織布を載せ、ローラーで軽く圧着させた。その後、予備乾燥として室温で30分間静置した。
【0035】
<樹脂層の硬化>
予備乾燥が済んだ各試験片を80℃に予熱したオーブンに入れ、80℃で5時間、樹脂層を加熱硬化させた。その後、オーブンから取り出して室温まで冷却し、試験片として剥離試験に供した。
【0036】
<ラジカルの発生方法>
樹脂層の加熱硬化の際に、併せてその熱によりラジカル発生剤の熱分解を行いラジカルを発生させた。
【0037】
<剥離試験方法>
オリエンテック(株)社製の定速伸長形引張試験機「テンシロンRTM−500」を使用し、90°剥離強度試験(引張速度=50mm/分)により、各試験片の基材と不織布を牽引し、基材と樹脂層の接着面が剥離する強度を測定し、比較例試験片(ラジカル重合性を有さない樹脂のみを接着性樹脂組成物として使用して作成した試験片)の強度と比較し、その接着性向上効果を確認した。なお、剥離強度の測定値に付与される単位は、全ての試験片の接着幅を25mmに統一したため、「kg/25mm」である。
【0038】
実施例1及び比較例1(エポキシ樹脂):
樹脂には「エピコート828」/「エピキュア3080」=10/3のエポキシ樹脂を使用し、ナイロン6に対する接着性を評価した。また、ラジカルを発生させるため、各実施例にはラジカル発生剤として「カヤエステルO−50」を配合した。結果を以下の表1に示す。なお、使用したラジカル重合性を有する単量体の種類は次の括弧内に記載した通りである。比較例1(なし)、実施例1−1(なし)、実施例1−2(GMA)、実施例1−3(4HBAGE)。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例2及び比較例2(アクリル樹脂):
樹脂には「リカボンドES−620」/「リカボンドES−800」=1/1のアクリル樹脂を使用し、PCおよびナイロン6に対する接着性を評価した。またラジカルを発生させるため、各実施例にはラジカル発生剤として「パークミルH」を配合した。結果を以下の表2に示す。なお、使用したラジカル重合性を有する単量体の種類は次の括弧内に記載した通りである。比較例2(なし)、実施例2−1(なし)、実施例2−2(GMA)、実施例2−3(4HBAGE)。
【0041】
【表2】

【0042】
実施例3及び比較例3(ポリエーテル系ウレタン樹脂):
樹脂にはポリエーテル系ウレタン樹脂である「PUD101」を使用し、PET、ナイロン6、PPおよびコロナ放電処理PPに対する接着性を評価した。また、ラジカルを発生させるため、各実施例にはラジカル発生剤として「パークミルH」を配合した。結果を以下の表3に示す。なお、使用したラジカル重合性を有する単量体の種類は次の括弧内に記載した通りである。比較例3(なし)、実施例3−1(なし)、実施例3−2(GMA)、実施例3−3(4HBAGE)。また、コロナ放電処理PPとは、予め、基材であるPPの表面に、信光電気計装(株)社製機材「PS−1」を使用したコロナ放電処理を15,000Vで20回実施たPPである。
【0043】
【表3】

(*)コロナ放電処理PPに対する実施例3−2及び実施例3−3においては、接着性が向上したことにより、接着面が剥離するより早く不織布が破壊断裂したため、その破壊時の強度を表記した。
【0044】
実施例4及び比較例4(ポリエステル系ウレタン樹脂):
樹脂にはポリエステル系ウレタン樹脂である「ユーコートUWS−145」を使用し、ナイロン6およびPETに対する接着性を評価した。また、ラジカルを発生させるため、各実施例にはラジカル発生剤として「パークミルH」を配合した。結果を以下の表4に示す。なお、使用したラジカル重合性を有する単量体の種類は次の括弧内に記載した通りである。比較例4(なし)、実施例4−1(なし)、実施例4−2(GMA)、実施例4−3(4HBAGE)。
【0045】
【表4】

(*)PETに対する実施例4−2及び実施例4−3においては、接着性が向上したことにより、接着面が剥離するより早く不織布が破壊断裂したため、その破壊時の強度を表記した。
【0046】
実施例5及び比較例5(ポリエーテル系ウレタン樹脂):
樹脂にはポリエーテル系ウレタン樹脂である「ユーコートUWS−2505」を使用し、PETに対する接着性を評価した。また、ラジカルを発生させるため、各実施例にはラジカル発生剤として「パークミルH」を配合した。結果を以下の表5に示す。なお、使用したラジカル重合性を有する単量体の種類は次の括弧内に記載した通りである。比較例5(なし)、実施例5−1(なし)、実施例5−2(アクリル酸)、実施例5−3(メタクリル酸)、実施例5−4(GMA)、実施例5−5(4HBAGE)。
【0047】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性二重結合を有さない重合体(A)とラジカル発生剤(B)とを含有し、重合体(A)100重量部に対するラジカル発生剤(B)の割合が0.1〜10重量部であることを特徴とする接着性樹脂組成物。
【請求項2】
ラジカル重合性二重結合を有さない重合体(A)が、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂の群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項3】
更に、ラジカル重合性を有する単量体(C)を含有し、重合体(A)100重量部に対する単量体(C)の割合が0.1〜10重量部である請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項4】
ラジカル重合性を有する単量体(C)がグリシジル基を有する単量体である請求項3に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項5】
グリシジル基を有する単量体が4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルである請求項4に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の接着性樹脂組成物を基材に塗布し、ラジカル発生剤(B)に起因するラジカルを発生させることを特徴とする接着方法。

【公開番号】特開2008−214620(P2008−214620A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24744(P2008−24744)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000230652)日本化成株式会社 (85)
【Fターム(参考)】