説明

接着性縫合構造体およびこれを用いる方法

【課題】患者が被る外傷性症状を減じ、液漏れのケースを減じ、出血のケースを減じ、隣接の生体組織間に比較的強力な結合を創出する外科手術的縫合を提供すること。
【解決手段】一実施形態において、縫合構造体102、および、縫合構造体の中および上の少なくともいずれかに組み入れられた創傷処置材料を含む、外科手術用縫合針アセンブリ100を提供する。上記縫合構造体は、生体吸収性材料および非吸収性材料のうちの一つから作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国仮出願60/620,141号(2004年10月18日出願)に対する優先権の利益および優先権を主張する。この出願の開示全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は概して、縫合構造体及びその使用方法に関し、特に、創傷処置材料及びそれと同類のものを含む縫合構造体、及び、吻合処置及び同類の処置におけるそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の考察)
ここ数年の間、医療分野では、生体組織を接合、あるいは結合する試みにおいて様々な技術が利用されてきた。歴史的には、縫合が、切断された組織を再結合したり、外傷を閉鎖したりするための一般に認められた技術であった。縫合は、歴史的には外科手術用針及び縫合糸によって、より最近ではポリマー製または金属製の様々なステープルによってなされたことは、後に記載するとおりである。縫合糸が目的とする機能は、治癒過程の間、外傷や組織の端同士を結合させて、不快感、痛み、瘢痕化、および治癒に必要な時間を低減することである。
【0004】
最近では、以前であれば従来どおりの縫合を要した多くの処置が、外科手術用ステープラを用いて外傷または組織の端にステープルを適用するステープル縫合によっておきかえられてきた。外科手術用ステープラは、隣接組織を接合するため、隣接組織の止血を提供するため、および隣接組織の切断と同時に止血を提供するために開発された。かかる外科手術用ステープラは、リニア型及び環状型の形状の両方を含む。典型的なリニア型のステープラ及びカッターは、切断手段のためのスロットのついた平行なステープルの列を含み、切断手段がそのステープルの列の間を移動するようになっている。
【0005】
典型的なリニア型ステープラは、同一人出願による、McKeanらに対する特許文献1、Mastriらに対する特許文献2、及び、Robertsonに対する特許文献3に開示されており、参照によってその各々の全内容がここに組み込まれたものとする。典型的な環状型ステープラ及びカッターは、複数の環状のステープルの列を典型的には二列と、ステープルの列の内部に配置された環状のブレードを含み、同一人出願によるRobertsonらに対する特許文献4及びViolaらに対する特許文献5に開示されており、参照によってその各々の全内容がここに組み込まれたものとする。
【0006】
これらのタイプの外科手術用ステープラは、切断手段が平行または環状のステープル列の間を切断する際に、平行あるいは環状のステープル列を周囲の組織に当てがうことにより、隣接の生体組織を固定して切断の改善を図り、組織の層同士を接合し、止血を提供する。その結果、外科手術用ステープラは、執刀医がこれら全ての作業を同時に行なうことを可能にしたため、組織をつなぎ合わせるのにかかる時間を短縮するのに有効だった。血管の多い組織にステープラを使用する場合の接合及び止血をより改善するために、ステープル列が複数ある外科手術用ステープラが使用され、成功率が高かった。
【0007】
他の外科手術処置では、綿撒糸、バットレスまたは他のタイプの補強材および繊維が利用される。これらのバットレスは、典型的にはアンビルの組織接触面および/または外科手術用ステープル器具の組織接触面のまわりに配置され、外科手術用ステープル器具の発射の間、対象組織に固定される。外科手術用ステープル器具と相まったバットレスの使用についてのより詳細な論議には、特許文献6を参照し得る。特許文献6は、参照によってその全内容がここに組み込まれたものとする。
【0008】
さらに他の外科手術処置には、外科手術的ステープリング処置につづいて、接着剤材料および/またはシーラント材料を対象外科手術部位の外部表面へ塗布(例えば、スプレー、ブラッシングなどによって)する工程を含む。
【0009】
過去に開発されたもう一つの処置は、組織修復および吻合の創出のために近年開発された生体組織接着剤の使用を含む。概して、生体接着剤は、切り離された組織同士を接合させて治癒過程を助け、組織の強度を高める。かかる接着剤は、例えば組織修復または吻合創出のための外科手術的処置において、縫合およびステープリングの代わりに使用できる。
【0010】
適切な生体適合性の接着剤の使用には、たとえば被治療組織の即時閉鎖だけでなく、針および/またはステープルによる組織貫通の回避等、患者にも執刀医にも同様に多くの利点がある。さらに、生体適合性の接着剤を使用すると、異物反応および瘢痕化が最小限になる傾向がある。しかしこれらの利点にかかわらず、組織の継ぎ目沿いが弱く、生体適合性の接着剤の使用における主要な欠点として残る。
【特許文献1】米国特許第6,045,560号明細書
【特許文献2】米国特許第6,032,849号明細書
【特許文献3】米国特許第5,964,394号明細書
【特許文献4】米国特許第5,799,857号明細書
【特許文献5】米国特許第5,915,616号明細書
【特許文献6】米国特許第5,542,594号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、患者が被る外傷性症状を減じ、液漏れのケースを減じ、出血のケースを減じ、隣接の生体組織間に比較的強力な結合を創出する外科手術的縫合が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1)
長さの少なくとも一部を通る内腔を画定する細長い管、及び
該縫合構造体の該内腔内に含まれる創傷処置材料
を含む、外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目2)
前記創傷処置材料が、接着剤、止血剤およびシーラントからなる群から選択される、項目1に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目3)
前記接着剤が、タンパク質由来、アルデヒドベースの接着剤材料、およびシアノアクリレートベースの材料からなる群から選択された材料を含む、項目2に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目4)
前記シーラントが、フィブリンシーラント、コラーゲンベース組織シーラント、合成ポリマーベース組織シーラント、および合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル材料からなる群から選択された材料を含む、項目2に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目5)
前記止血剤が、フィブリンベースの材料、コラーゲンベースの材料、酸化再生セルロースベースの材料、ゼラチンベースの局所用材料、およびフィブリノゲン−トロンビン混合材料からなる群から選択された材料を含む、項目2に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目6)
前記創傷処置材料が治療剤を含む、項目2に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目7)
前記治療剤が、硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシン、および誘導化されたグリコペプチドからなる群から選択された材料を含む抗生物質を含む、項目6に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目8)
前記創傷処置材料が少なくとも一つの増殖促進因子を含む、項目2に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目9)
前記増殖促進因子が、線維芽細胞増殖因子、骨増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、マクロファージ由来増殖因子、肺胞由来増殖因子、単球由来増殖因子およびマガイニンからなる群から選択された材料を含む、項目8に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目10)
前記縫合構造体の一端に動作可能に接続された縫合針をさらに含む、項目2に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目11)
前記縫合構造体が、内部に形成される脆弱要素を少なくとも一つ含む、項目10に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目12)
圧縮力が加えられると前記縫合構造体が裂け、それによって前記創傷処置材料がそこから放出される、項目11に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目13)
前記縫合構造体が、生体吸収性材料および非吸収性材料のうちの一つから作られる、項目1に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目14)
前記縫合構造体の前記非吸収性材料が、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹綿およびリネンからなる群から選択される、項目13に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目15)
前記縫合構造体の前記生体吸収性材料が、天然コラーゲン材料、ならびにグリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートから誘導される合成樹脂を含めた合成樹脂からなる群から選択される、項目13に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目16)
前記縫合構造体は組み紐であり、前記創傷処置材料は該組み紐中に埋め込まれている、項目13に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目17)
縫合構造体、および、
該縫合構造体の中および上の少なくともいずれかに組み入れられた創傷処置材料
を含む、外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目18)
前記縫合構造体が、生体吸収性材料および非吸収性材料のうちの一つから作られる、項目17に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目19)
前記縫合構造体の前記非吸収性材料が、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹綿およびリネンからなる群から選択される、項目18に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目20)
前記縫合構造体の前記生体吸収性材料が、天然コラーゲン材料、ならびにグリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートから誘導される合成樹脂を含めた合成樹脂からなる群から選択される、項目18に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目21)
前記縫合構造体は組み紐であり、前記創傷処置材料は該組み紐中に埋め込まれている、項目18に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目22)
前記創傷処置材料が、接着剤、止血剤およびシーラントからなる群から選択される、項目17に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目23)
前記縫合構造体の一端に動作可能に接続された縫合針をさらに含む、項目17に記載の外科手術用縫合針アセンブリ。
(項目24)
外科手術的吻合手順を実施する方法であって、該方法は、以下の工程:
外科手術用ステープリング装置を提供する工程であって、該外科手術用ステープリング装置が、本体部、前記本体部の遠位端の上に担持されたステープルカートリッジアセンブリ、および該ステープルカートリッジアセンブリと並置関係で、前記本体部の遠位端に選択的に接続可能なアンビルアセンブリを有する、工程と、
縫合構造体に付随した創傷処置材料を有する前記縫合構造体を含む縫合針アセンブリを少なくとも一つ提供する工程と、
該アンビルアセンブリを第一腸管部分に挿入する工程と、
該アンビルアセンブリのシャフト周囲の前記第一腸管部分を縫合針アセンブリで縫合することにより、該縫合構造体の少なくとも一部を該アンビルアセンブリの組織接触面を横切って延在させる工程と、
該ステープル装置の該遠位端を第二腸管部分に挿入する工程と、
別の縫合針アセンブリによって、該第二腸管部分を該ステープル装置の該本体部の該遠位端に配置された該ステープルカートリッジアセンブリに縫合することにより、該縫合構造体の少なくとも一部を該ステープルカートリッジアセンブリの組織接触面に達するようにする工程と、
該アンビルアセンブリの該シャフトを該本体部の該遠位端に結合する工程と、
該アンビルアセンブリを該本体部の該遠位端に向かって接近させて、その間にある該第一腸管部分および該第二腸管部分を捉え、そして該創傷処置材料を該縫合構造体から放出させる工程と
を包含する、方法。
(項目25)
前記創傷処置材料が、接着剤、止血剤およびシーラントからなる群から選択される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記縫合構造体が、少なくともその一部を通って延在する内腔を含み、前記創傷処置材料が該縫合構造体の該内腔内に含まれている、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記創傷処置材料が、前記縫合構造体の中および上の少なくともいずれかに組み入れられている、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記接着剤が、タンパク質由来、アルデヒドベースの接着剤材料、およびシアノアクリレートベースの材料からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記シーラントが、フィブリンシーラント、コラーゲンベース組織シーラント、合成ポリマーベース組織シーラント、および合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル材料からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目30)
前記止血剤が、フィブリンベース、コラーゲンベース、酸化再生セルロースベース、およびゼラチンベースの局所止血剤、およびフィブリノゲン−トロンビンの混合材料からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目31)
前記創傷処置材料が治療剤を含む、項目25に記載の方法。
(項目32)
前記治療剤が、硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシン、および誘導化されたグリコペプチドからなる群から選択された抗生物質を含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記創傷処置材料が、少なくとも一つの増殖促進因子を含む、項目25に記載の方法。
(項目34)
前記増殖促進因子が、線維芽細胞増殖因子、骨増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、マクロファージ由来増殖因子、肺胞由来増殖因子、単球由来増殖因子、およびマガイニンからなる群から選択される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記縫合構造体が、生体吸収性材料および非吸収性材料のうちの一つから作られる、項目24に記載の方法。
(項目36)
前記縫合構造体の前記非吸収性材料が、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹綿、およびリネンからなる群から選択される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記縫合構造体の前記生体吸収性材料が、天然コラーゲン材料、ならびにグリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートから誘導される合成樹脂を含めた合成樹脂からなる群から選択される、項目35に記載の方法。
【0013】
(要旨)
本開示は、創傷処置材料およびそれと同類のものを含む縫合構造体、および、それらを吻合処置およびそれと同類の処置で使用する方法に関する。
【0014】
本開示の一態様によれば、長さの少なくとも一部を通る内腔を画定する細長い管と、縫合構造体の内腔内に含まれる創傷処置材料を含む、外科手術用縫合針アセンブリが提供される。
【0015】
創傷治療剤は、接着剤、止血剤、およびシーラントの少なくとも一つを含むことが望ましい。接着剤は、タンパク質由来、アルデヒドベースの接着剤材料、およびシアノアクリレートベースの材料のうち、少なくとも一つを含み得る。シーラントは、フィブリンシーラント、コラーゲンベース組織シーラント、合成ポリマーベース組織シーラント、および合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル材料のうち、少なくとも一つを含み得る。止血剤は、フィブリンベース、コラーゲンベース、酸化再生セルロースベースおよびゼラチンベースの局所止血剤、およびフィブリノゲン−トロンビン混合材料のうち、少なくとも一つを含み得る。創傷処置材料は、硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシン、および誘導化されたグリコペプチドの少なくとも一つを含む抗生物質を含む治療剤を含み得る。
【0016】
創傷処置材料は、増殖促進因子を少なくとも一つ含み得る。増殖促進因子は、線維芽細胞増殖因子、骨増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、マクロファージ由来増殖因子、肺胞由来増殖因子、単球由来増殖因子、およびマガイニンのうち少なくとも一つを含み得る。
【0017】
外科手術用縫合針アセンブリは、さらに、縫合構造体の一端に動作可能に接続された縫合針を含み得る。
【0018】
縫合構造体は、内部に形成される脆弱要素を少なくとも一つ含み得る。そのため、使用時には、圧縮力が加えられると縫合構造体が裂け、それによって創傷処置材料がそこから放出される。
【0019】
縫合構造体は、生体吸収性材料および非吸収性材料の一つから製造され得る。縫合構造体の非吸収性材料は、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹綿、およびリネンのうち、少なくとも一つを含み得る。縫合システムの生体吸収性材料は、天然コラーゲン材料、ならびにグリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε−カプロラクトン、およびトリメチレンカーボネート由来のものを含む合成樹脂類のうち、少なくとも一つを含み得る。
【0020】
縫合構造体は組み紐であり得、創傷処置材料は組み紐の中に埋め込まれる。
【0021】
本開示の別の態様によると、縫合構造体と、縫合構造体の中および上の少なくともいずれかに組み入れられた創傷処置材料を含む、外科手術用縫合針アセンブリが提供される。
【0022】
本実施形態による縫合構造体は、生体吸収性材料および非吸収性材料の一つから製造され得る。縫合構造体の非吸収性材料は、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹綿、およびリネンのうち少なくとも一つを含み得る。縫合構造体の生体吸収性材料は、天然コラーゲン材料、ならびにグリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε−カプロラクトン、およびトリメチレンカーボネート由来のものを含む合成樹脂類のうち、少なくとも一つを含み得る。
【0023】
本実施形態において、縫合構造体は組み紐であり、創傷処置材料は組み紐の中に埋め込まれる。
【0024】
創傷処置材料は、接着剤、止血剤、およびシーラントの少なくとも一つを含み得る。外科手術用縫合針アセンブリはさらに、縫合構造体の一端に動作可能に接続された縫合針を含み得る。
【0025】
本開示のさらに別の実施形態では、外科手術的吻合処置を行なう方法が提供される。その方法は、本体部、本体部の遠位端の上に担持されたステープルカートリッジアセンブリ、およびステープルカートリッジアセンブリと並置関係で、本体部の遠位端に選択的に接続可能なアンビルアセンブリを有する外科手術用ステープリング装置の提供を含み、さらに、縫合構造体に付随した創傷処置材料を有する縫合構造体を含む縫合針アセンブリの少なくとも一つの提供を含む。
【0026】
本方法はさらに、アンビルアセンブリを第一腸管部分に挿入する工程と、縫合構造体の少なくとも一部がアンビルアセンブリの組織接触面を横切って延在するように、アンビルアセンブリのシャフト周囲の第一腸管部分を縫合針アセンブリで縫合する工程と、ステープル装置の遠位端を第二腸管部分に挿入する工程と、別の縫合針アセンブリにより、縫合構造体の少なくとも一部がステープルカートリッジアセンブリの組織接触面に達するように、第二腸管部分をステープル装置の本体部の遠位端に配置されたステープルカートリッジアセンブリに縫合する工程と、アンビルアセンブリのシャフトを本体部の遠位端に結合する工程を含む。
【0027】
本方法は、アンビルアセンブリを本体部の遠位端に向かって接近させて、その間にある第一および第二腸管部分を捉え、創傷処置材料を縫合構造体から放出する工程をさらに含む。
【0028】
創傷処置材料は、接着剤、止血剤、およびシーラントの少なくとも一つを含み得る。
【0029】
ある実施形態によれば、縫合構造体は、少なくともその一部を通る内腔を含み、創傷処置材料が縫合構造体の内腔内に含まれ得る。創傷処置材料は、縫合構造体の中および/または上に組み入れられ得る。
【0030】
接着剤は、タンパク質由来、アルデヒドベースの接着剤材料、およびシアノアクリレートベースの材料のうち、少なくとも一つを含み得る。シーラントは、フィブリンシーラント、コラーゲンベース組織シーラント、合成ポリマーベース組織シーラント、および合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル材料のうち、少なくとも一つを含み得る。止血剤は、フィブリンベース、コラーゲンベース、酸化再生セルロースベースおよびゼラチンベースの局所止血剤、およびフィブリノゲン−トロンビン混合材料のうち、少なくとも一つを含み得る。
【0031】
創傷処置材料はさらに、治療剤を含み得る。治療剤は、硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシン、および誘導化されたグリコペプチドの少なくとも一つを含む抗生物質を含み得る。創傷処置材料はさらに、増殖促進因子を少なくとも一つ含み得る。増殖促進因子は、線維芽細胞増殖因子、骨増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、マクロファージ由来増殖因子、肺胞由来増殖因子、単球由来増殖因子、およびマガイニンのうち少なくとも一つを含み得る。
【0032】
縫合構造体は、生体吸収性材料および非吸収性材料の一つから製造され得ることが想定される。縫合構造体の非吸収性材料は、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹綿、およびリネンのうち少なくとも一つを含み得る。縫合構造体の生体吸収性材料は、天然コラーゲン材料、ならびにグリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε−カプロラクトン、およびトリメチレンカーボネート由来のものを含む合成樹脂類のうち、少なくとも一つを含み得る。
【0033】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、開示の実施形態を図示し、上に示した開示の概要および以下に示す実施形態の詳細な説明とともに、開示の原理を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(実施形態の詳細な説明)
以下、本開示の縫合構造体および環状吻合を行なう際のその使用方法の実施形態を、図面を参照しながら詳細に記載するが、図面において、同じ参照番号は類似または同一の要素を示している。従来どおり、本明細書で使用されるところの、「遠位」という用語は、使用者から最も遠い部分を指し、他方「近位」という用語は、使用者に最も近い部分を指す。
【0035】
まず図1を参照すると、本開示の縫合構造体とともに使用する外科手術用環状ステープルデバイスの全体が10で表されている。外科手術用ステープルデバイス10は、枢動可能な作動ハンドル部材14を少なくとも一つ有するハンドルアセンブリ12、および前進部材16を含む。ハンドル部材12から伸びて、管状の本体部20が提供され、それは、その長さにそって湾曲した形状を有するように構成され得る。本体部20は、ステープルカートリッジアセンブリ22で終端するが、ステープルカートリッジアセンブリ22は、その組織接触面24内に形成されるステープル受入溝の環状列36の対を含む。各ステープル受入溝36はその中に配置されたステープル38(図8および9を参照)を有する。ステープルカートリッジアセンブリ22の遠位側には、組織接触面29を画定するアンビル部材26を含むアンビルアセンブリ30、およびアンビルアセンブリ30をステープルデバイス10の遠位端部に提供された結合部材40に着脱可能に結合するために、それに動作可能に連結されたシャフト28が提供されている。
【0036】
ステープルカートリッジアセンブリ22は、管状の本体部20の遠位端に固定して結合されるか、あるいは、管状の本体部20の遠位端の内側に同心円状に嵌合するように構成され得る。典型的には、ステープルカートリッジアセンブリ22は、ほぼ円錐台の形状を有する近位部と、各自のステープル受入溝36内にそれぞれ受け入れられる二列の同心円状になって周囲に離間されたフィンガー52a、52b(図8及び9を参照)を定める遠位部を含むステープルプッシャ52(図8及び9を参照)を含む。
【0037】
典型的には、ナイフ50(図8及び9を参照)は、大体において、縁がナイフのエッジを画定しているオープンカップの形状で、ステープルカートリッジアセンブリ22内に配置され、ステープルプッシャ52の遠位面に搭載される。ナイフのエッジは、ステープルプッシャ52のフィンガー52a、52bの半径方向内側に配置される。よって、使用時には、ステープルプッシャ52を前進させると、ナイフ50もまた軸方向外向きに前進する。
【0038】
環状ステープルデバイス10の構造及び使用についてのより詳細な論議には、Violaらに対する米国特許第5,915,616号明細書を参照し得る。上記特許明細書の全内容については、参照によって本明細書に組み込まれたものとする。
【0039】
次に図2および3を参照すると、本開示による縫合構造体を含む縫合針アセンブリの全体が100で表されている。図2および3からわかるように、縫合針アセンブリ100は、中を通る内腔102aを画定する細長い管の形状の縫合構造体102、およびその内腔102a内に配置および/または保持されている創傷処置材料「W」を含む。
【0040】
図3からわかるように、縫合構造体102は内部に形成される脆弱要素104を備え得ることが意図されている。たとえば、脆弱要素104は、縫合構造体102の全長の少なくとも一部にわたる厚みが薄い線、厚みが薄い一連のセグメント、離散した一連のピン状の脆弱要素、およびそれらと同類のものを含み得るが、これに限定されるものではない。よって、使用時には、たとえばアンビルアセンブリ30のステープルカートリッジアセンブリ22への接近で生じた圧縮力が原因となって、縫合構造体102の外部への圧力が上昇すると、縫合構造体102は、脆弱要素104を有しない細長い管の場合より少ない圧縮力であっても、脆弱要素104に沿って裂ける。さらに、たとえば縫合システム102の内腔102a内に創傷処置材料「W」をさらに注入することが原因となって、縫合構造体102の内腔102a内部の圧力が上昇するときも、縫合構造体102は、脆弱要素104を備えない場合より少ない力であっても脆弱要素104に沿って裂ける。
【0041】
次に図4を参照すると、本開示の別の実施形態にしたがって、少なくとも部分的に創傷処置材料「W」で覆われている細長いコア112aを含む縫合構造体112が提供されている。創傷処置材料「W」は、コア112aの周囲の少なくとも一部のまわり、およびコア112aの全長の少なくとも一部に沿って配置または堆積されることが望ましい。
【0042】
次に図5を参照すると、本開示のさらに別の実施形態にしたがって、細長いコア122aおよびコア122aの至るところに分散した創傷処置材料「W」を含む、縫合構造体122が提供されている。
【0043】
再び図2を参照すると、縫合針アセンブリは、本開示の縫合構造体102、112、または122のいずれかの一端に、当技術分野で周知の方法のいずれかにより動作可能に結合または固定された外科手術用針110を含む。
【0044】
縫合構造体102、112および122は、部分的に生体吸収性および生体完全吸収性(すなわち再吸収性)のみならず非吸収性の天然および合成繊維性ポリマーのような、幅広い種類の天然および合成繊維材料から製造され得る。編んだ縫合糸の製造に適した非吸収性外科用材料には、絹、ポリアミドや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹綿、リネンなどが含まれる。炭素繊維、スチールファイバー、および他の生物学的に適合する無機繊維性物質もまた、使用できる。
【0045】
縫合構造体102、112および122は吸収性の外科用材料から形成されることが望ましい。たとえば、縫合構造体102、112および122のいずれも、天然コラーゲン材料、またはグリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート等から誘導される合成樹脂を含めた合成樹脂、ならびにこれらおよび関連モノマーの様々な組み合わせから製造され得る。
【0046】
加えて、縫合構造体102、112および122は、硬相を形成するモノマー類からブロックの一つが作られ、軟相を形成するモノマー類のランダム共重合体類からブロックの別の一つが作られるブロック共重合体から製造され得る。硬相を形成するモノマー類としては、グリコリドおよびラクチドが挙げられ、他方、軟相を形成するモノマー類としては1,4ジオキサノン−2−オンおよび1,3ジオキサノン−2−オンおよびカプロラクトンが挙げられる。外科手術用物品の形成において使用されるブロック共重合体は、グリコール酸エステル単位をその主成分として有するブロックを含むことが望ましい。「主成分」とは、50モルパーセントを上回る量で存在する成分である。外科手術用要素、特に、縫合構造体102、112および122の形成において有用な典型的なブロック共重合体は、米国特許第6,191,236号明細書に記載されており、参照によってその全内容が本明細書に組み込まれたものとする。
【0047】
ブロック共重合体から任意の既知の技術、たとえば、押し出し、成形および/または注型成形などを用いて外科手術用物品(例えば、縫合構造体102、112および122)を形成し得る。共重合体は単独でも、他の吸収性材料と混合しても、または非吸収性成分と組み合わせて用いてもよい。ここに記載される共重合体から、幅広い種類の外科手術用物品を製造しうる。これらには、クリップおよび他のファスナー、ステープル、縫合糸、ピン、スクリュー、人工器官、創傷包帯、薬物送達デバイス、吻合リング、および他の埋め込み型デバイスが含まれるがそれに限定されるものではない。これらの共重合体から作られた繊維は、吸収性または非吸収性の他の繊維と編み合わせ、または織って、縫合糸、メッシュまたは布を形成しうる。加えて、これらのブロック共重合体を含む合成物は、外科手術デバイス用の吸収性コーティング剤として使用することもできる。しかし、共重合体は繊維に紡がれ、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの縫合糸として使用されることが望ましい。
【0048】
ここに記載の共重合体から作られるマルチフィラメント縫合糸は、当技術分野で周知の方法で作ることができる。加えて、米国特許第5,059,213号明細書および第5,019,093号明細書に記載されているもののような組み紐の構造は、ここに開示されるマルチフィラメント縫合糸に適している。上記特許明細書については、参照によってその各全内容が本明細書に組み込まれたものとする。
【0049】
ここに記載のブロック共重合体からモノフィラメント縫合糸を製造するための適切な装置は、米国特許第5,403,347号明細書に記載されており、参照によってその開示の全内容が本明細書に組み込まれたものとする。
【0050】
創傷処置材料「W」は、接着剤、止血剤、およびシーラントの一つまたは組み合わせを含み得るがそれに限定されるものではないことが想定されている。支持構造体102内に配置、または縫合構造体112または122上/内に堆積されうる外科用生体適合性創傷処置材料としては、臓器、組織または構造体を接着または固定することを機能とする接着剤、液漏れを防ぐためのシーラント、および出血を止めるかまたは防ぐための止血剤が挙げられる。
【0051】
創傷処置材料「W」は、生体適合性のシーラントおよび/または接着剤であり得、組織に接触すると硬化するシーラント、紫外(UV)線を照射すると硬化するシーラント、別々に保存されていたものを混合する二液型のシーラント、またはそのいずれかの組み合わせを含むがそれに限定されるものではないことが意図されている。ある実施形態においては、かかるシーラントおよび/または接着剤は硬化型であることが意図される。たとえば、約10から15秒の硬化時間を有するシーラントおよび/または接着剤が使用され得る。他の実施形態においては、約30秒の硬化時間を有するシーラントおよび/または接着剤を使用することが意図されている。望ましい実態形態においては、シーラントおよび/または接着剤は生体吸収性および/または生体再吸収性材料である。
【0052】
ある好ましい実施形態では、創傷処置材料「W」に含まれるシーラントは、PEGベースの材料であることが望ましい。シーラントおよび/または接着剤として有用な材料の種類の例は、生体適合性光重合開始剤の存在下におけるアクリレートまたはメタクリレート機能性ヒドロゲル、アルキル−シアノアクリレート、アミン系機能性マクロマーと組み合わせるかまたは組み合わせないイソシアン酸系機能性マクロマー、スクシンイミジルエステル系機能性マクロマーとアミン系またはスルフヒドリル系機能性マクロマーとの組み合わせ、エポキシ系機能性マクロマーとアミン系機能性マクロマーとの組み合わせ、アルデヒド架橋剤、ゲニピン、または水溶性カルボジイミドの存在下におけるタンパク質またはポリペプチドの混合物、多価カチオン存在下のアニオン性多糖類、等を含む。使用しうるシーラントの例は、フィブリンシーラントおよび、コラーゲンベースおよび合成ポリマーベースの組織シーラントを含む。市販のシーラントの例は、合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル材料であり、CoSealTMの商品ロゴでCohesion Technologies and Baxter International,Inc.から販売されている。
【0053】
本開示にしたがって使用しうる外科手術用生体適合創傷処置材料「W」は、臓器、組織または構造体を接着または固定することを機能とする接着剤を含む。使用できる接着剤の例は、タンパク質由来、アルデヒドベースの接着剤材料を含み、例えば市販のグルタミン/グルタルアルデヒドの材料が、BioGlueTMの商品名でCryolife,Inc.から販売されており、シアノアクリレートベースの材料が、IndermilTMおよびDerma BondTMの商品名で、それぞれTyco Healthcare Group, LP およびEthicon Endosurgery,Inc.から販売されている。
【0054】
接着剤として利用できる具体的な材料のいくつかとして、米国特許第6,702,731号明細書および米国特許第6,296,607号明細書および米国特許出願公開第2004/0068078号明細書に開示されるものを含む、有機ポリイソシアネートおよびオキシエチレンベースのジオールまたはポリオールに由来するイソシアネート末端親水性ウレタンプレポリマー;米国特許第6,565,840号明細書に開示されるものを含む、アルファシアノアクリレートベースの接着剤;米国特許第6,620,846号明細書に開示されるものを含む、アルキルエステルベースのシアノアクリレート接着剤;米国特許第6,566,406号明細書に開示されるものを含む、インサイチュで反応および架橋することができる求電子性基および求核基を有する水溶性前駆体からつくられた生体適合性架橋ポリマーにもとづく接着剤;内容が参照することによりここに組み込まれる米国特許出願公開第2003/0032734号明細書に開示される、生体吸収性のジアミン化合物と組み合わせられ一つまたはそれ以上のイソシアン酸基で置換したポリアルキレンオキシド骨格、または生体吸収性のジイソシアネート化合物と組み合わせられ一つまたはそれ以上のアミン基で置換されたポリアルキレンオキシド骨格に基づくものを含む二液型接着剤;および、参照によって内容がここに組み込まれる米国特許出願公開第2004/0115229号明細書に開示される、芳香族ジイソシアネートおよびポリオールに由来するイソシアネート末端親水性ウレタンプレポリマーが挙げられる。既知の適切な接着剤のいずれも使用しうることが意図されている。
【0055】
ある実施形態において、創傷処置材料「W」は、出血を止めるかまたは防止する機能の止血剤を含む。使用可能な止血剤材料の例は、アルミニウム明礬(すなわち、アンモニウム明礬または硫酸アンモニウムアルミニウム)だけでなく、フィブリンベース、コラーゲンベース、酸化再生セルロースベース、およびゼラチンベースの局所止血剤を含む。市販の止血剤材料の例は、フィブリノゲン−トロンビンの混合材料が、CoStasisTMの商品名でTyco Healthcare Group,LPから、TisseelTMの商品名でBaxter International,Inc.から販売されている。ここでは止血剤は、たとえばアルミニウム硫酸塩および凝固剤のような収斂剤を含む。
【0056】
創傷処置材料「W」は、縫合構造体102が裂けた際に創傷処置材料「W」がそこから自由に流出できるような、比較的低粘度の流体または液体であり得ることが想定されている。さらに、創傷処置材料「W」は、微粒子材料の微粉を含み得るか、または微粒子材料の微粉状であり得ることも想定されている。
【0057】
他の実施形態においては、創傷処置材料「W」は、薬剤を含み得る。薬剤は、構造体100の上に配置されてもよく、または構造体100内へと含浸させてもよい。薬剤は、薬物、酵素、成長因子、ペプチド、タンパク質、色素、診断用薬、または止血薬、モノクロナール抗体、またはその他の狭窄症予防において用いられる薬剤のような医学的および/または外科手術的に有用な物質を一つまたはそれ以上含み得る。たとえば、AcryMed,Inc.,Portland,OregonからSilvaSorbTMが市販されている。
【0058】
さらに、創傷処置材料「W」は、たとえば、合成物および/または化合物の粒子が外科手術的修復部位に塗布されるかまたは触れると治癒過程を速めるかまたは改善する合成物および/または化合物を含み得ることが意図されている。たとえば、創傷処置材料「W」は、修復部位に置かれることとなる治療剤でありうる。治療剤は、その抗菌性、修復または再生および/または新しい組織の成長を促進する機能によって選ぶことができる。ゆっくりと組織内へと放出される、広域抗生物質(硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシンまたは誘導化されたグリコペプチド)のような抗菌剤を上記のように適用すれば、組織修復部位の臨床感染および不顕性感染への抵抗を助けることができる。修復および/または組織の成長を促進するため、創傷処置材料「W」は、一つまたは複数の増殖促進因子、たとえば、線維芽細胞増殖因子、骨増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、マクロファージ由来増殖因子、肺胞由来増殖因子、単球由来増殖因子、およびマガイニンなどを含み得る。いくつかの治療指標としては:血栓症の原因となるグリセロールおよび組織または腎臓プラスミノーゲン活性化因子、組織を損傷するフリーラジカルを除去するスーパーオキシドジムターゼ、癌治療のための腫瘍壊死因子またはコロニー刺激因子およびインターフェロン、免疫系を強化するインターロイキン−2または他のリンフォカインがある。
【0059】
創傷処置材料「W」は、粘弾性皮膜形成材、架橋反応剤、およびエネルギー硬化接着剤を含み得る。創傷処置材料「W」、特に接着剤は、水および/またはグリセリン(1,2,3−プラナテトリオール、別名グリセロールおよびグリセリン)の適用により硬化し得ることが想定される。このように、水および/またはグリセリンは接着剤を硬化させ、外傷を湿潤する。
【0060】
さらに、本開示内で、外傷治療材料「W」が任意の微生物剤、鎮痛剤、成長因子、および抗炎症薬で、当該技術分野の技術者に既知のもの、またはそれらの任意の組み合わせを含むことが想定される。
【0061】
外科手術野における縫合構造体の可視度を上げるために、縫合構造体102、112、122を染色することが所望され得ると考えられる。縫合糸に組み入れるのに適することが知られている染料が使用され得る。かかる染料には、Daniel M.Marrion著、Handbook of U.S.Colorants for Food,Drugs and Cosmetics(1979)に記載の、カーボンブラック、ボーンブラック、D&Cグリーン6番、およびD&Cバイオレット2番が含まれるがそれに限定されない。縫合構造体102、112、122は、約数パーセント以下で好ましくは約0.2%の染料、そして最も好ましくは約0.06%から約0.08%の、例えばD&Cバイオレット2番のような染料を、押出し成形に前もって樹脂に加えて染色することが好ましい。
【0062】
次に図6〜図9を参照すると、縫合構造体102を含む縫合針アセンブリ100とあわせた外科手術用ステープルデバイス10の、吻合処置において腸内部分66および68の接合を達成するための使用が図示されている。吻合処置は、腹腔鏡手法および器具を含む低侵襲外科技術を用いて行なわれるのが典型的である。縫合構造体102を用いる処置が示され、説明されているが、縫合構造体112または122もそれと同様に用いうることが想定され、前提とされている。
【0063】
図6に示される処置の部位では、罹患した腸内部分が既に切除されており、アンビルアセンブリ30が外科手術的切開を通じてまたは経肛門的に外科手術部位に適用され、腸内部分68内に置かれ、外科手術用ステープルデバイス10の管状の本体部20が経肛門的に腸内部分66へ挿入されている。望ましくは、図7からわかるように、腸内部分66および68は、縫合針アセンブリ100の縫合構造体102により、それぞれの構成部品(例えば、アンビルアセンブリ30のシャフト28、および管状の本体部20の結合部材40)のまわりに、一時的に固定されている(例えば、巾着縫合されている)。望ましくは、図7〜図9からわかるように、腸内部分66および68をアンビルアセンブリ30のシャフト28および管状の本体部20の結合部材40に縫い付ける際、縫合針アセンブリ100の針110(図2を参照)は、縫合構造体102がステープルカートリッジアセンブリ22のステープルポケット24を横切って延在するように、および/またはアンビル部材26のステープルアンビルポケット27を横切って延在するように、腸内部分66および68を通過するか、または縫い通す。
【0064】
執刀医はそれから、シャフト28の近位端が管状の本体部20の結合部材40内に挿入されるまで、さもなければ動作可能に接続されるまで、アンビルアセンブリ30を操作する。その後、図8からわかるように、アンビルアセンブリ30および管状の本体部20を接近させて、腸内部分66および68を近づける。望ましくは、一実施形態において、図9からわかるように、縫合構造体102が裂けて腸内部分66および68の間に創傷処置材料「W」が放出されるに足る圧力を縫合構造体102の上に生じさせるのに十分な分だけ、アンビルアセンブリ30をステープルカートリッジアセンブリ22へ接近させる。
【0065】
縫合構造体112または122が使用される場合、創傷処置材料「W」(例えば、接着剤)は、感圧活性型であり得る。このようにすれば、使用時にアンビルアセンブリ30とステープルカートリッジアセンブリ22の間の圧力が、接着剤を活性化する閾値またはある最低水準を超えると、創傷処置材料「W」が活性化する。
【0066】
次に図9を参照すると、アンビルアセンブリ30をステープルカートリッジアセンブリ22に接近させ、その間に腸内部分66および68を固定または捕捉した上で、外科手術用ステープルデバイス10を発射し、それによって腸内部分66、68同士をステープリングし、接着する。外科手術用ステープルデバイス10の発射と同時に、ステープル38がステープルカートリッジアセンブリ22から打ち出され、腸内部分66、68を通過し、その結果腸内部分66、68同士が機械固定される。それと同時に、ナイフ50が、ナイフ50を横切って延在する縫合構造体102の部分をいずれも切断し、その結果そこから創傷処置材料「W」を腸内部分66、68の上にさらに放出させるとともに、腸内部分66、68の、ナイフ50の半径方向内側に位置する部分を切断する。
【0067】
縫合構造体の特定の形態をいくつか、およびその特定の使用方法を図示し、記載しているが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされうることもまた明らかである。たとえば、紫外線光活性化創傷処置材料(例えば接着剤)が上に記載の縫合構造体のいずれかに伴って使用されることが想定され、本開示の範囲内である。それに応じて、使用時には、外科手術用ステープルデバイス10の発射の前または後に、接着剤を活性化させるために、吻合部をUV光で照射することとなる。
【0068】
さらに別の実施形態では、外科手術用ステープルデバイス10は、例えば食道治療のためなど、体内への経口挿入のために用意される。
【0069】
ここに記載の縫合構造体はさらに、腸内部分同士を固定するためのステープルを含んでいない外科用環状吻合デバイスであって、組織に接近し、接着し、切断できるものと一緒に使用されうると考えられる。
【0070】
かくして、当然のことながら、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、本開示の縫合構造体の形状、詳細および適用における様々な変更がなされうる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、典型的な先行技術による外科手術用環状ステープルデバイスの斜視図である。
【図2】図2は、本開示の実施形態による縫合構造体を含む、針アセンブリの斜視図である。
【図3】図3は、図2の3−3に沿った、図2の縫合構造体の横断面図である。
【図4】図4は、本開示の別の実施形態による縫合構造体の横断面図である。
【図5】図5は、本開示のさらに別の実施形態による縫合構造体の横断面図である。
【図6】図6は、吻合処置を行なう際に、図2〜図5の縫合システムのいずれかを使用する方法を図示する、患者の腸内区域の透視図である。
【図7】図7は、環状ステープルデバイスの結合部材に搭載されたアンビルシャフトを図示する、図6の腸内区域の概略透視図である。
【図8】図8は、ステープルプッシャアセンブリに向かうアンビル部材の接近を追随する、サーキュラーステープルデバイスの遠位端の縦断面図である。
【図9】図9は、図8細部に指示された区域の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−106760(P2009−106760A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289105(P2008−289105)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【分割の表示】特願2007−536858(P2007−536858)の分割
【原出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(500329892)タイコ ヘルスケア グループ エルピー (94)
【Fターム(参考)】