説明

接続ブレード及びこれを有する中間接続電気コネクタそしてこれらを有する接続ブレード組立体

【課題】形状を殆んど同じくするストレートペアとクロスペアを有する接続ブレードを提供することを課題とする。
【解決手段】二つの回路接続部材30,40同士を接続する接点を両端縁部に有する差動伝送用の差動ペア線路が絶縁板21に形成され、該差動ペア線路が、互いに交差することのない二つの線路で形成されるストレートペア22と、線路中間位置で互いに非接触で交差する交差点を含む交差域25Dをもつクロスペア24とが並設されている接続ブレード20において、クロスペア24は交差域以外で該クロスペアの線路同士が互いに平行である平行域25Cを有し、ストレートペア22は、上記クロスペアの交差域25Dと同一形状の擬似交差域23Dを有し、該擬似交差域以外では該ストレートペアの線路同士が平行である平行域23Cとなっており、上記ストレートペア22とクロスペア24が同一線路長をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二つの電気コネクタ同士を接続する接続ブレード及びこれを有する中間接続電気コネクタさらには、これらを有する接続ブレード組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
二つの電気コネクタ同士を接続する接続ブレード及びこれを有する中間接続電気コネクタは、例えば、特許文献1にて知られている。
【0003】
信号の高速伝送そしてノイズの低減の目的から二つの伝送路線をペアとしてもつ差動ペア線路が有効であり、また、接続ブレードに複数の差動ペア線路を形成する場合、隣接する差動ペア同士間のクロストークを低減するために差動ペアをストレートペアとクロスペアとを交互に配して形成することも知られており、上述の特許文献1に開示されている。ストレートペアとクロスペアとは、電気的特性を同じにするために、伝送路長すなわち線路長を等しくする必要がある。そこで、特許文献1では、ストレートペアをそのほぼ全長にわたる範囲に分布して波形形状部分を設けることで、クロスペアと線路長を等しくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開公報 US2010/0184307A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、波形のストレートペアと直線状部分を多くもつクロスペアの形状が大きく相違しており、両者のインピーダンスの波形に大きな差がでる。また、両ペアの伝送路長が短い接続ブレードの場合、すなわち接続ブレードの上記伝送路長方向寸法が小さい場合には、ストレートペアを波形にするだけでは、クロスペアと伝送路長を同じにできないこともある。無理に同じにしようとすると、波形の波高さを大きくせねばならずストレートペアの配置に要する接続ブレードの面上の面積が大きくなり、ストレートペアとクロスペアが多数配列されている場合、配列方向での接続ブレードの幅が著しく大きくなってしまう。さらには、ストレートペアとクロスペアを形成するエレメント(線路)を金属シートの打抜きで得る場合、全く異なる形状の打抜き金型をストレートペアとクロスペアのそれぞれに専用に用意しなくてはならないし、波形のストレートペアのために複雑な波形の刃をもつ打抜き金型を製作しなくてはならない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、ストレートペアとクロスペアを共通打抜き金型を使用できるような形状のものとし、インピーダンスの波形の差を少なくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題のために、接続ブレード、中間接続電気コネクタ、そして接続ブレード組立体が次のように構成される。
【0008】
<接続ブレード>
本発明に係る接続ブレードは、二つの回路接続部材同士を接続する接点を両端縁部に有する差動伝送用の差動ペア線路が絶縁板に形成され、該差動ペア線路が、互いに交差することのない二つの線路で形成されるストレートペアと、線路中間位置で互いに非接触で交差する交差点を含む交差域をもつクロスペアとが並設されている。
【0009】
かかる接続ブレードにおいて、本発明では、クロスペアは交差域以外で該クロスペアの線路同士が互いに平行である平行域を有し、ストレートペアは、絶縁板の板面に直角な方向から見たとき、上記クロスペアの交差域と同一形状の擬似交差域を有し、該擬似交差域以外では該ストレートペアの線路同士が平行である平行域となっており、上記ストレートペアとクロスペアが同一線路長をなしていることを特徴としている。
【0010】
本発明では、クロスペアが該クロスペアを形成する二つの線路が線路中間位置で交差しているのに対し、ストレートペアとは交差していない二つの線路を意味し、全長にわたって一直線状であるという意味ではない。
【0011】
また、クロスペアの交差点が形成されている線路中間位置とは、線路の長手方向において、中央位置のみならず、両端の間の任意の位置をも含む意味である。
【0012】
さらには、クロスペアにおける交差域は、クロスペアを形成する二つの線路が互いに平行な平行域以外で、交差のために平行でなくなっている域をいう。ストレートペアにおける擬似交差域とは、平行域以外で上記クロスペアの交差域に対応する域であり、平行域に比し、絶縁板の面に対して直角な方向から見たときに二つの線路が交差するほどに近接しあるいは交差してはいないが、交差しているように見える域である。
【0013】
本発明において、ストレートペアとクロスペアは、それぞれの平行域での二つの線路のそれぞれが一つの直線もしくは接続された複数の直線で、ストレートペアは、擬似交差域で、該ストレートペアの二つの線路が互いに近接方向に屈曲された屈曲域を有しているように形成できる。例えば、ストレートペアは、その屈曲域で、該ストレートペアの二つの線路が非接触で、かつ絶縁板の面に直角な方向から見たとき、屈曲頂点が同位置にあるようにすることができる。
【0014】
<中間接続電気コネクタ>
本発明では、絶縁保持体で上述の接続ブレードを一つもしくは複数保持して中間接続電気コネクタを形成することができる。かかる本発明の中間接続電気コネクタは、上述の一つの接続ブレードがもしくは複数の接続ブレードが一つのブレード群をなして絶縁保持体で保持されており、該絶縁保持体の二つの開口部のそれぞれで、対応回路接続部材と結合して接続ブレードの接点が対応回路接続部材の接触部と接続可能となっていることを特徴としている。
【0015】
ここで、回路接続部材とは、絶縁ハウジングに端子を保持している通常の電気コネクタ、あるいは、接続用の回路部が形成されている回路基板等、回路同士を接続するための部材を意味する。
【0016】
<接続ブレード組立体>
本発明では、一つもしくは複数の接続ブレードそして接続ブレード群を一つもしくは複数の回路接続部材を用いて線路方向に直列に接続する接続ブレード組立体を形成することができる。
【0017】
かかる本発明の接続ブレード組立体は、二つの回路接続部材同士を接続する接点を両端縁部に有する差動伝送用の差動ペア線路が絶縁板に形成され、該差動ペア線路が、互いに交差することのない二つの線路で形成されるストレートペアと、線路中間位置で互いに非接触で交差する交差点を含む交差域をもつクロスペアとが並設されている接続ブレードを一つもしくは複数配された一つの接続ブレード群を有し、一つの接続ブレードもしくは一つの接続ブレード群が、線路部材を有する一つもしくは複数の回路接続部材と互いの線路同士を直列とするように接続され、接続ブレードは、接続ブレードのクロスペアは交差域以外で該クロスペアの線路同士が互いに平行である平行域を有し、接続ブレードのストレートペアは、絶縁板の板面に直角な方向から見たとき、上記クロスペアの交差域と同一形状の擬似交差域を有し、該擬似交差域以外では該ストレートペアの線路同士が平行である平行域となっており、接続ブレードが回路接続部材と接続されたとき、接続ブレードと回路接続部材の互いの線路の長さの和が、ストレートペアを含む線路の全長とクロスペアを含む線路の全長とで同一線路長をなしていることを特徴としている。
【0018】
このような本発明の接続ブレード、中間接続電気コネクタそして接続ブレード組立体では、絶縁板の板面に直角な方向から見たときの形状(平面形状)が、ストレートペアとクロスペアとで同一になるので、これらの線路をシートメタルの打抜きで形成する際、交差点の位置で金型を分割することで、ストレートペアとクロスペアに対して共通の刃を有する金型を使用でき、また、使用に際しては、ストレートペアとクロスペアとの間でのインピーダンスの差が極小となる。
【0019】
また、ストレートペアとクロスペアの平行域が直線で形成されるようにすると、ストレートペアとクロスペアは形状がきわめて単純となり、その結果、金型の刃部も単純な形状となって金型の製作費用が低減し、線路同士、そしてペア同士の間隔を狭くでき、接続ブレードの幅方向寸法を小さくでき、さらには線路についての設計に自由度を増す。
【0020】
ストレートペアの屈曲域における屈曲頂点が同位置にある形態では、ストレートペアとクロスペアとが絶縁板の面に直角な方向から見たとき、完全に同じ形状とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように、二つの回路接続部材を接続する接続ブレードの絶縁板上に形成されたストレートペアとクロスペアとを、クロスペアが交差域以外で該クロスペアの線路同士が互いに平行である平行域を有し、ストレートペアが、絶縁板の板面に直角な方向から見たとき、上記クロスペアの交差域と同一形状の擬似交差域を有し、該擬似交差域以外では該ストレートペアの線路同士が平行である平行域となっており、上記ストレートペアとクロスペアが同一線路長をなしているように形成したので、両ペア間のインピーダンスの差異を最小にしつつ、両ペアのエレメント作成のための打抜き金型を部分的に共通化することができ、量産性の向上をもちながら金型費の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態としての接続ブレードを有する中間接続電気コネクタと、これに接続される相手コネクタとを、接続前の状態で示す斜視図である。
【図2】図1の接続ブレードを示す斜視図である。
【図3】図2の接続ブレードの平面図である。
【図4】図2,3の接続ブレードの部分拡大斜視図である。
【図5】他の実施形態の中間接続電気コネクタの破断斜視図である。
【図6】図5の中間接続電気コネクタを用いた接続ブレード組立体の概要構成で、(A)は一例、(B)は他の例を示す。
【図7】ストレートペアとクロスペア間のインピーダンスの差の測定結果を示す図であり、(A)は実施例、(B)は比較例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の接続ブレード20を複数有し、絶縁保持体11で保持している中間接続電気コネクタ10と、これと接続される二つの相手コネクタ30,40とを接続前の状態で示す斜視図である。
【0025】
中間接続電気コネクタ10は、後述の複数の接続ブレード20から成る接続ブレード群をそれらの板面が平行となるようにして、図1に見られるように、四角筒状のハウジングとして絶縁保持体11をなす上保持体11Aと下保持体11Bとにより上下から位置決めされ保持されている。上保持体11Aと下保持体11Bとで成る絶縁保持体11は、上下に開口していて、それぞれで相手コネクタ30と相手コネクタ40の嵌合部分を嵌合受入れして結合し、両コネクタ30,40の端子(接触部)と上記接続ブレード20の接点と接触接続するようになっている。相手コネクタ30と相手コネクタ40とは、ほぼ同じ形態に作られており、図1では上下が互いに逆向きに位置している。一方、相手コネクタ30,40は、中間接続電気コネクタ10に向く側に、接続ブレード群をなす上記接続ブレード20の数だけ、スリット開口41(相手コネクタ30のスリット開口は下方を向いているために見えない)が形成されており、また、逆側の面には端子に付けられた半田ボール32,42が設けられている。両相手コネクタ30,40は半田ボールにて、それぞれの対応回路基板(図示せず)の対応回路部に半田接続されて使用される。かくして、両相手コネクタ30,40は、それぞれ対応回路基板に取り付けられた状態で、図1のごとく対向して、上記中間接続電気コネクタ10を介して接続される。
【0026】
接続ブレード20は、図2そして図3に示されるごとく、電気絶縁材料から作られた絶縁板21の一方の板面で、信号線路としてのストレートペア22をなす一対のエレメント23とクロスペア24をなす一対のエレメント25とが保持されている。絶縁板21の他方の板面には、シールド板が設けられているが、本発明の要旨とするところではないので、説明を省略する。
【0027】
絶縁板21は、両側縁が上記保持体11へ挿入組立されるための被案内縁21Aを形成し、該被案内縁21Aには挿入位置を定める突部21A−1が設けられている。絶縁板21の板面には、両方の被案内縁21Aを結ぶ保持突条部21B,21C,21Dが間隔をおいて設けられている。これら保持突条部21B,21C,21Dは、上記両方の被案内縁21Aの間で該被案内縁21Aに平行に延びるストレートペア22の各線路をなすエレメント23とクロスペア24の各線路をなすエレメント25とを保持している。
【0028】
上記ストレートペア22とクロスペア24は、例えば、シートメタルを帯状に打ち抜き、部分的に屈曲されて作られており、上記絶縁板21の一方の板面上で、交互に配されており、いずれも、絶縁板21の被案内縁21Aが延びる方向での両端の縁部まで延びていて、両端には、接点23A,23Bと接点25A,25Bとをそれぞれ有している。
【0029】
上記ストレートペア22のエレメント23とクロスペア24のエレメント25は、これらのエレメントが延びる方向で、上記絶縁板13の中央部に位置する保持突条部21Cの範囲を除いた該保持突条部21Cの両側の範囲で、直線状にそして平行に延びていて同一形状をなしていて平行域23Cそして平行域25Cをそれぞれ形成している。上記ストレートペア22のエレメント23とクロスペア24のエレメント25は、絶縁板21との一体モールド成形によって保持されて、上記保持突条部21B,21C,21D以外の範囲では、エレメント23そしてエレメント25の一方の面が露呈しており、上記保持突条部21B,21Dの範囲では埋設状態で保持されており、また、中央に位置する保持突条部21Cの範囲では一対のエレメント23の一方そして一対のエレメント25の一方のそれぞれの一部が露呈しており他方のエレメントは埋設されている。なお、上記露呈をさせるか、どの程度露呈させるかは、特性インピーダンスの整合を考慮して定められる。
【0030】
上記保持突条部21Cの範囲では、クロスペア24の一対のエレメント25は、図4によく見られるように、絶縁板に対して直角な方向に見たときに、互いに交差するように屈曲されていて交差域25Dを形成し、一方、上記ストレートペア22の一対のエレメント23は、互いに近接するようにV字状に屈曲されていて、絶縁板に対して直角に見たときには、一対のエレメント23全体で交差しているように見える擬似交差域23Dを形成している。
【0031】
上記クロスペア24のエレメント25の交差域25Dは、絶縁板21の板面に直角に見たときに、図4に見られるように、エレメント25同士がX字状に交差している。この交差域25Dでは、エレメント25同士はその板厚方向にも屈曲されていて、互いに間隔をもって非接触となっており、この間隔は絶縁板21の材料が充填されている。この交差域25Dで上方に位置するエレメント25の部分25D−1が図2,3にて露呈している。一方、ストレートペア22のエレメント23は、上記保持突条部21Cの範囲で、絶縁板13の面に直角に見たときに、エレメント22同士が互いに近接するようにV字状に屈曲されていて、交差していないにも拘らず、両エレメント22全体を見たときに両方の屈曲頂点が同一位置にあるので両エレメント23が交差して見える擬似交差域23Dを形成している。この擬似交差域23Dでは、両エレメント23は、板厚方向にも屈曲されていて互いに間隔をもって非接触となっており、この間隔には、クロスペア24のときと同様に、絶縁板21の材料が充填されている。この擬似交差域23Dで上方に位置するエレメント23の部分23D−1が図2,3にて露呈している。
【0032】
かくして、一対のエレメント25から成るクロスペア24と、一対のエレメント23から成るストレートペア22は、互いにペア全体として絶縁板21の面に対して直角に見ると、平行域23Cと平行域25Cのみならず、交差域23Dと擬似交差域25Dにおいて、同じ形状をなすこととなる。
【0033】
したがって、クロスペア24のエレメント25とストレートペア22のエレメント23とは、形状が同じで、しかも、同一線路長をなすようになる。その結果、クロスペア24そしてストレートペア22のいずれもが差動回路線路としての機能を果たすのみならず、互いのペア間のインピーダンスの差異を最小にし、しかも、両ペアのエレメントの間で、少なくとも平行域で、打ち抜きのための金型を共通にして用いることができるだけでなく、一体成形金型も形状の共通化、単純化により安価に製作できる。さらには、ストレートペアにおいても、クロスペアの平行域と同じ形態の平行域とすることができるので、両ペア間の間隔を狭くでき、その間隔方向での接続ブレードの小型化を図れる。
【0034】
図1ないし図4の形態にあっては、クロスペアもストレートペアもエレメントの延びる方向が、一つの直線に平行となっていたが、本発明は、これに限定されず、図5に示されるように、全体として略直角に屈曲されたL型の経路となっている形態でもよい。
【0035】
図5において、中間接続電気コネクタ50、側方と下方に向け開口51A,51Bをそれぞれ有するハウジングとしての絶縁保持体51と、複数の接続ブレード60から成る接続ブレード群とを有し該接続ブレード60は、上記側方の開口51Aと下方の開口51Bで、接点63A,63Bをそれぞれ有する一対のエレメント63で、平行域63Cと擬似交差域63Dを有しているスレートペア62と、接点65A,65Bをそれぞれ有する一対のエレメント65で、平行域65Cと交差域65Dを有しているクロスペア64とが絶縁板61上に設けられている。本実施形態では、クロスペア64もストレートペア62も、全体として略L字状の線路をなしており、クロスペア64よりL字の内側に位置するストレートペア62の方が線路長が短くなっている。さらに、クロスペア64における一対のエレメント65同士間、そしてストレートペア62の一対のエレメント63同士間でも、上記L字状となっている関係で、線路長が異なっている。
【0036】
なお、図5の接続ブレード60では、ストレートペア62の擬似交差域63Dでは、一対のエレメント63同士はV字状に屈曲されて屈曲頂点が至近しているが、絶縁板61の面に直角に見た場合に重なってはない。したがって、擬似交差域63Dでは、エレメント63はその板厚方向に屈曲されていなくとも、互いに非接触である。しかし、両エレメント63の屈曲頂点は至近しているので、交差はしていないものの、両エレメント63を全体として見ると、交差しているように見える。本実施形態では、各エレメント63,65が平行をなしてL字状に屈曲されているので、各エレメントの線路長が互いに異なる、このような中間接続電気コネクタ50は、単独では使用されない。
【0037】
かかる中間接続電気コネクタ50は、図6(A),図6(B)のように、他の回路接続部材と組み合わされて、接続ブレード組立体として用いられる。図6(A),図6(B)は、接続ブレード60のストレートペア62は破線で、クロスペア64は一点鎖線でそれらの線路の形態を簡易的に示している。
【0038】
図6(A)においては、上記接続ブレード60を有する中間接続電気コネクタ50は、第一の実施基板71に取り付けられた回路接続部材としての第一コネクタ72と、第二の実装基板81に取り付けられた回路接続部材としての第二コネクタ82との間を、中継基板91に設けられた回路接続部材としての中継コネクタ92及び中継接続ブレード93を介して、接続している。
【0039】
第一コネクタ72、第二コネクタ82、中継コネクタ92そして中継接続ブレード93においては、中間接続電気コネクタ50の接続ブレード60におけるストレートペア62そしてクロスペア64のエレメント63,65をそのまま直列に接続して延長する線路を形成しているだけで線路同士が交差することはない。特に、中継接続ブレード93では、上記接続ブレード60のストレートペア62のエレメント63とクロスペア64のエレメント65に接続されるエレメント93A,93B,93C,93DがいずれもL字状に屈曲されているが、互いに平行であって交差はしていない。かくして、接続ブレード60の短い線路長のストレートペア62のエレメント63,63は中継接続ブレード93の長い線路長のエレメント93A,93Bと接続され、接続ブレード60の長い線路長のクロスペア64のエレメント65,65は中継接続ブレード93の短いエレメント93C,93Dと接続され、中継接続ブレード93の介在によって、第一の実装基板71と第二の実装基板81の間の四つの線路の線路長はすべて調整されて等しくなっている。かくして、中間接続電気コネクタ50の差動ペアとしての特性が機能する。
【0040】
図6(B)では、第一の実装基板71に取り付けられた第一コネクタ72と、バックプレーンと称される他の基板83に取り付けられた第二コネクタ82とを、上記中間接続電気コネクタ50で接続している。図6(B)において、中間接続電気コネクタ50に加え、第一の実装基板71、第一コネクタ72、そして第二コネクタ82は、同符号をそれぞれ付した図6(A)のものと同じである。
【0041】
図6(B)では、第一の実装基板71と他の基板83とを結ぶ四つの線路の線路長の調整は、上記他の基板83自体で行われている。この図6(B)の形態において、基板83に内層をなすように形成された四つの線路83A,83B,83C,83Dはその線路長が異なっていて、図6(A)における中継接続ブレード93におけるエレメント93A,93B,93C,93Dと同様にして、上記第一の実装基板71から上記基板83に及ぶ全長範囲で各線路長を等しくしている。
【0042】
本発明において、クロスペアの交差域とストレートペアの擬似交差域とは、図示の形態のように、線路が延びる方向にて同一位置にある必要はなく、上記方向で互いにずれた位置にあってもよい。
【実施例】
【0043】
次に、本発明についての実施例について説明する。実施例としては、図1ないし図3に示されるクロスペアとストレートペアを有する接続ブレードを用い、また、比較例としては特許文献1に示されているクロスペアと波形のストレートペアを有する接続ブレードを用いて、両ペア間のインピーダンスの差を測定した。図7は、横軸を両ペアの線路方向の位置、縦軸を両ペアのそれぞれのインピーダンス(Ω)としていて、図中実線で示されているのがストレートペアで、破線で示されているのがクロスペアである。図7(A)が本実施例、図7(B)が比較例を示している。両図を比較すると、明らかに本実施例の方が両ペア間のインピーダンスの差が小さくなっている。
【符号の説明】
【0044】
20;60 接続ブレード
21;61 絶縁板
22;62 ストレートペア
23C;63C 平行域
23D;63D 擬似交差域
24;64 クロスペア
25C;65C 平行域
25D;65D 擬似交差域
30 回路接続部材(コネクタ)
40 回路接続部材(コネクタ)
50 中間接続電気コネクタ
71 回路接続部材(基板)
72 回路接続部材(コネクタ)
81 回路接続部材(基板)
82 回路接続部材(コネクタ)
83 回路接続部材(基板)
91 回路接続部材(基板)
92 回路接続部材(コネクタ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの回路接続部材同士を接続する接点を両端縁部に有する差動伝送用の差動ペア線路が絶縁板に形成され、該差動ペア線路が、互いに交差することのない二つの線路で形成されるストレートペアと、線路中間位置で互いに非接触で交差する交差点を含む交差域をもつクロスペアとが並設されている接続ブレードにおいて、
クロスペアは交差域以外で該クロスペアの線路同士が互いに平行である平行域を有し、ストレートペアは、絶縁板の板面に直角な方向から見たとき、上記クロスペアの交差域と同一形状の擬似交差域を有し、該擬似交差域以外では該ストレートペアの線路同士が平行である平行域となっており、上記ストレートペアとクロスペアが同一線路長をなしていることを特徴とする接続ブレード。
【請求項2】
ストレートペアとクロスペアは、それぞれの平行域での二つの線路のそれぞれが一つの直線もしくは接続された複数の直線で、ストレートペアは、擬似交差域で、該ストレートペアの二つの線路が互いに近接方向に屈曲された屈曲域を有していることとする請求項1に記載の接続ブレード。
【請求項3】
ストレートペアは、その屈曲域で、該ストレートペアの二つの線路が非接触で、かつ絶縁板の面に直角な方向から見たとき、屈曲頂点が同位置にあることとする請求項2に記載の接続ブレード。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の一つの接続ブレードがもしくは複数の接続ブレードが一つのブレード群をなして絶縁保持体で保持されており、該絶縁保持体の二つの開口部のそれぞれで、対応回路接続部材と結合して接続ブレードの接点が対応回路接続部材の接触部と接続可能となっていることを特徴とする中間接続電気コネクタ。
【請求項5】
二つの回路接続部材同士を接続する接点を両端縁部に有する差動伝送用の差動ペア線路が絶縁板に形成され、該差動ペア線路が、互いに交差することのない二つの線路で形成されるストレートペアと、線路中間位置で互いに非接触で交差する交差点を含む交差域をもつクロスペアとが並設されている接続ブレードを一つもしくは複数配された一つの接続ブレード群を有し、
一つの接続ブレードもしくは一つの接続ブレード群が、線路部材を有する一つもしくは複数の回路接続部材と互いの線路同士を直列とするように接続され、
接続ブレードは、接続ブレードのクロスペアは交差域以外で該クロスペアの線路同士が互いに平行である平行域を有し、接続ブレードのストレートペアは、絶縁板の板面に直角な方向から見たとき、上記クロスペアの交差域と同一形状の擬似交差域を有し、該擬似交差域以外では該ストレートペアの線路同士が平行である平行域となっており、接続ブレードが回路接続部材と接続されたとき、接続ブレードと回路接続部材の互いの線路の長さの和が、ストレートペアを含む線路の全長とクロスペアを含む線路の全長とで同一線路長をなしていることを特徴とする接続ブレード組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80648(P2013−80648A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220723(P2011−220723)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】