説明

接続先設定装置、接続先設定方法

【課題】 音楽セッションの相手がある特定のグループのメンバーに限定されるといった事情をもつ演奏者に対し、その相手との音楽セッションを簡易確実に実現させること。
【解決手段】 ネットワークを介した音楽セッションに用いられるセッション端末10を、特定のグループ毎に複数台ずつセットとして販売する。そして、セッション端末10の販売店舗には接続先設定装置30を設置し、セットとして販売されるセッション端末10同士により音楽セッションを行うための初期設定を接続先設定装置30が行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを利用した音楽セッションを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遠隔にある者同士で音楽セッションを行うためのシステムが提案されてきた。この種の音楽セッションは、複数の演奏者が、通信機能を搭載した専用端末により各々の電子楽器の演奏内容を遣り取りすることで実現される。ところが、一般に、通信機能を搭載したデバイスは、自身のアドレスを登録するといったような初期設定を行わなければネットワークへ接続することすらできないようになっている。ネットワークに関する専門的な知識の無い演奏者にしてみると、このような初期設定は非常に煩わしいものであった。
【0003】
また、初期設定を完了した後、実際に特定の相手と音楽セッションを行うためには、その相手のアドレスを自らの専用端末に入力しなければならない。音楽セッションに参加する都度、各演奏者にこのような作業が強いられるとしたならば、誤ったアドレスを入力し所望の相手とうまく接続できないといった問題も頻繁に発生しうる。特許文献1には、このような問題の発生を回避するための仕組みの1つが開示されている。
【特許文献1】特開2004−129257
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、音楽セッションに参加する演奏者の中には、様々な相手との音楽セッションを求めて参加してくる第1のタイプの演奏者と、毎回決まった相手との音楽セッションのみを求めて参加してくる第2のタイプの演奏者とが存在している。この第2のタイプの演奏者は、バンドなどのある特定のグループに所属しており、専用端末の購入当初から、自らが所属するグループのメンバー以外との音楽セッションには興味を有していないことが多い。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、音楽セッションの相手がある特定のグループのメンバーに限定されるといった事情をもつ演奏者に対し、その相手との音楽セッションだけを、複雑な設定作業を行なうこと無く簡易確実に実現させるようなセッション端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な態様である接続先設定装置は、セッション端末を接続して情報の入出力を行うインターフェースと、複数のセッション端末から、それら各セッション端末を識別する端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々取得する取得手段と、前記取得手段が取得した複数の端末識別情報を外部の特定の装置へセットとして送信するグループ登録依頼手段と、前記特定の装置から、グループ登録が完了した旨のメッセージを受信する完了通知受信手段と、前記完了通知受信手段が前記メッセージを受信すると、前記複数のセッション端末の各々に対し、各々から見て別のセッション端末から前記取得手段が取得していた端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々引き渡す転送手段とを備える。
【0006】
本発明の別の好適な態様である接続先設定方法は、自身を識別する端末識別情報を予め記憶した記憶手段を備えた複数のセッション端末と、それら各セッション端末を接続して情報の入出力を行うインターフェースを備えた接続先設定装置と、セッションの各グループを識別するグループ識別情報とそれらのグループに属するセッション端末の端末識別情報とを対応付けて記憶した記憶手段を備えたセッション管理サーバ装置とを含んだシステムによる接続先設定方法であって、前記接続先設定装置が、前記複数のセッション端末の記憶手段に記憶された端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々取得する情報取得工程と、前記接続先設定装置が、前記情報取得工程にて取得した複数の端末識別情報をセッション管理サーバ装置へセットとして送信するグループ登録依頼工程と、前記セッション管理サーバ装置が、前記接続先設定装置からセットとして受信した複数の端末識別情報を、あるグループ識別情報と対応付けて自らの記憶手段に記憶するグループ登録工程と、前記複数の端末識別情報を記憶したセッション管理サーバ装置が、グループ登録が完了した旨のメッセージを前記接続先設定装置へ送信する登録完了通知工程と、前記メッセージを受信した接続先設定装置が、前記複数のセッション端末の各々に対し、各々から見て別のセッション端末から取得していた端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々引き渡す情報転送工程と、 前記各セッション端末が、前記接続先設定装置から取得した端末識別情報を、セッション時における接続先として各々の記憶手段に記憶する接続先登録工程とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、ある特定のグループに属する各演奏者同士によって行われる音楽セッションを、複雑な手続きを強いることなく確実に実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明の実施の形態)
本願発明の実施形態について説明する。本実施形態にかかるセッションシステムは、以下の2つの特徴を有する。1つ目の特徴は、ネットワークを介した音楽セッションに用いられる専用の端末(以下、「セッション端末」と呼ぶ)を、特定のグループ毎に複数台ずつセットとして販売するようにした点である。2つ目の特徴は、セッション端末のセットを販売する店舗にて、そのセットに含まれるセッション端末同士による音楽セッションだけを想定した初期設定を行うようにした点である。
【0009】
ここで、以降の説明において用いる主要な用語を定義しておく。「運営者」とは、ネットワークを利用した音楽セッションサービスを提供している事業者を意味する。「販売者」とは、自らが経営する店舗にてセッション端末を販売する事業者を意味する。「演奏者」とは、運営者による支援の下、セッション端末の持ち主として音楽セッションに参加する個人を意味する。「楽音情報」とは、楽音信号にある圧縮符号化処理を施して得た符号列を表す情報を意味する。「セッショングループ」とは、セットとして購入される複数のセッション端末を各一台ずつ利用することになっている演奏者の集団を意味する。
【0010】
図1は、本実施形態にかかるセッションシステムの全体構成図である。図に示すように、本システムは、複数のセッション端末10と、接続先設定装置30と、SIP(session initialization protocol)サーバ装置40とから構成される。
図2は、セッション端末10のハードウェア構成を示すブロック図である。この端末10は、各演奏者に夫々利用されるものであり、図に示すように、楽音信号入力部11、楽音信号出力部12、通信部13、エンコード/デコード部14、自端末情報記憶部15、接続先情報記憶部16、表示部17、操作部18、設定装置接続インターフェース19、及び制御部20を備える。
【0011】
楽音信号入力部11は、電子楽器50から自端末10へ楽音信号を入力する。一方、楽音信号出力部12は、自端末10からスピーカ60へ楽音信号を出力する。通信部13は、予め登録されたSIPサーバ装置40のネットワークアドレスを基に同装置40とコネクションを確立し、各種情報の送受信を行うようになっている。
エンコード/デコード部14は、楽音信号入力部11から楽音信号が供給されると、その楽音信号に符号化処理を施して得た楽音情報を通信部13へ供給する一方、通信部13から楽音情報が供給されると、その楽音情報に復号化処理を施して得た楽音信号を楽音信号出力部12へ供給する。
【0012】
自端末情報記憶部15は、セッション端末10を識別するための識別情報である端末IDを予め記憶している。接続先情報記憶部16は、音楽セッションの相手となるセッション端末10の端末IDを記憶する。後述するように、この接続先情報記憶部16の記憶内容の設定は、接続先設定装置30による制御の下に行われる。
表示部17は、各種情報を表示するディスプレイである。操作部18は、各種情報を入力するタッチパネルである。
【0013】
設定装置接続インターフェース19は、LAN(local area network)ポートを有しており、そのポートに接続したLANケーブルを介し接続先設定装置30との間で情報の入出力を行う。
制御部20は、上記各部を制御する。この制御部20が行う特徴的な動作については、後にフローチャートを参照しつつ詳述する。
【0014】
図3は、接続先設定装置30のハードウェア構成を示すブロック図である。この装置30は、セッション端末10を販売する店舗に備え付けられ、販売者による管理の下に稼動される。図に示すように、この装置30は、CPU31、RAM32、ROM33、ネットワークインターフェース34、ハードディスク35の他に、端末接続インターフェース36を備える。この端末接続インターフェース36は複数のLANポートを有しており、それら各ポートに夫々接続したLANケーブルを介し複数のセッション端末10との間で情報の入出力を行う。
【0015】
また、ハードディスク35は、接続先設定プログラム35aを記憶する。RAM32をワークエリアとして利用しつつこの接続先設定プログラム35aを実行するCPU31には、以下に示す特徴的な機能が付与される。
a 端末ID取得機能
これは、各セッション端末10の自端末情報記憶部15に記憶されている端末IDを夫々取得する機能である。
b グループ登録依頼機能
これは、各セッション端末10から取得した端末IDをセットとしてSIPサーバ装置40へ送信する機能である。
c 端末ID転送機能
これは、各セッション端末10の各々に対し、各々から見て別のセッション端末10から取得していた端末IDを夫々引き渡す機能である。
【0016】
図4は、SIPサーバ装置40のハードウェア構成を示すブロック図である。この装置40は、運営者による管理の下に稼動しており、図に示すように、CPU41、RAM42、ROM43、ネットワークインターフェース44、キーボード45、コンピュータディスプレイ46、及びハードディスク47を備える。そして、ハードディスク47は、セッショングループデータベース47aとセッション管理プログラム47bとを記憶している。
【0017】
図5は、セッショングループデータベース47aのデータ構造図である。図に示すように、このデータベース47aは、各々が1つのセッショングループと対応する複数のレコードの集合体である。このデータベースを構成する1つのレコードは、「グループ」、「登録メンバー」、及び「セッション可能メンバー」の3つのフィールドを有している。
「グループ」のフィールドには、各セッショングループを識別するグループ識別情報が記憶される。「登録メンバー」のフィールドには、各セッショングループに所属する全演奏者の端末IDが記憶される。「セッション可能メンバー」のフィールドには、音楽セッションへの参加を求めて自装置40へアクセスしてきたセッション端末10から受信した端末IDを記憶する。
【0018】
RAM42をワークエリアとして利用しつつこのセッション管理プログラム47bを実行するCPU41には、以下に示す特徴的な機能が付与される。
d グループ登録機能
これは、接続先設定装置30からセットとして受信した複数の端末IDを1つのセッショングループの管理情報としてセッショングループデータベース47aへ登録する機能である。
e グループセッション制御機能
これは、同じセッショングループに属する複数のセッション端末10による楽音情報の遣り取りを仲介する機能である。
【0019】
次に、本実施形態の動作を説明する。本実施形態の動作は、購入時設定処理とセッション処理とに分けられる。
上述したように、本実施形態は、セッション端末10をセッショングループ毎のセットとして販売するようにした点を特徴の1つとしている。セッション端末10の購入を希望するセッショングループの演奏者(全員でも代表者でもよい。)は、販売者の店舗を訪れ、自グループの構成員となる演奏者の人数を販売者に口頭で伝える。そして、人数分のセッション端末10が演奏者によって購入されると、販売者は、購入されたセッション端末10の各々と店舗に設置された接続先設定装置30とをLANケーブルを介して接続する。セッション端末10を接続した状態で接続先設定装置30を起動すると、購入時設定処理が開始される。
【0020】
図6は、購入時設定処理を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、セッション端末10A乃至Cの計3台を接続先設定装置30に接続した状態で行われる同処理を示したものとなっている。
接続先設定装置30が起動されると、同装置30のCPU31は、SIPサーバ装置40とコネクションを確立した後、セッショングループの新規登録を要求するメッセージをSIPサーバ装置40へ送信する(S100)。
【0021】
メッセージを受信したSIPサーバ装置40のCPU41は、端末IDの送信を求めるメッセージを接続先設定装置30へ送信する(S110)。
このメッセージを受信した接続先設定装置30のCPU31は、まず、セッション端末10Aに対して端末IDの引渡しを要求する(S120)。
【0022】
接続先設定装置30のCPU31は、要求に応じたセッション端末10Aから、その端末の自端末情報記憶部15に記憶されている端末IDを取得する(S130)。そして、セッション端末10Aから取得した端末IDをSIPサーバ装置40へ送信する(S140)。
セッション端末10Aの端末IDを接続先設定装置30から受信したSIPサーバ装置40のCPU41は、その端末IDをRAM42に記憶する(S150)。そして、セッション端末10Aの端末IDが記憶されると、セッション端末10B、更にはセッション端末10Cを対象としたステップ110乃至ステップ150の処理が繰返される。
【0023】
セッション端末10Cから取得した端末IDをSIPサーバ装置40へ送信した後、ステップ110に戻り、端末IDの引渡しを求めるメッセージを同装置40から再び受信した接続先設定装置30のCPU31は、グループ登録を要する端末IDをすべて送信した旨のメッセージをSIPサーバ装置40へ送信する(S160)。
このメッセージを受信したSIPサーバ装置40のCPU41は、セッショングループデータベース47aに新たなレコードを1つ追加する(S170)。続いて、CPU41は、RAM42に記憶したセッション端末10A乃至10Cの端末IDを、ステップ170で追加したレコードの「登録メンバー」のフィールドへ記憶すると共に、そのレコードの「グループ」のフィールドに、自らが生成した固有のグループ識別情報を記憶する(S180)。
【0024】
続いて、CPU41は、グループ登録が完了した旨のメッセージを接続先設定装置30に送信した後(S190)、同装置30とのコネクションを切断する。
グループ登録が完了した旨のメッセージを受信した接続先設定装置30のCPU31は、セッション端末10Aから取得していた端末IDを、セッション端末10B及びセッション端末10Cに夫々引き渡す(S200)。セッション端末10B及び10Cの制御部20は、引き渡された端末IDを自らの接続先情報記憶部16に記憶する(S210)。
【0025】
セッション端末10Bと10Cにセッション端末10Aの端末IDが引き渡されると、今度は、セッション端末10Aと10C、更にはセッション端末10Aと10Bを対象としたステップ200の処理が繰返される。
この結果、セッション端末10Aの接続先情報記憶部16にはセッション端末10Bと10Cの端末IDが、セッション端末10Bの接続先情報記憶部16にはセッション端末10Aと10Cの端末IDが、セッション端末10Cの接続先情報記憶部16にはセッション端末10Aと10Bの端末IDが夫々記憶されることになる。
【0026】
各々から見て別のセッション端末10から取得された端末IDを自らの接続先情報記憶部16に記憶した各セッション端末10の制御部20は、自端末情報記憶部15に予め記憶されていた端末IDと接続先情報記憶部16に新たに記憶された端末IDとを読出し、表示部17に表示させる(S220)。
この表示を参照することにより、各演奏者は、音楽セッション時に自らを表すことになる端末IDと、セッショングループの構成員である他の演奏者を表す端末IDとを了解する。
【0027】
セッショングループの構成員である演奏者は、購入時設定処理を終えた各セッション端末10を夫々の自宅へ持ち帰る。そして、各演奏者は、自宅の公衆回線網とセッション端末10とを接続してから同端末10を起動する。セッション端末10が起動されると、セッション処理が開始される。
【0028】
図7は、セッション処理を示すフローチャートである。
セッション端末10が起動されると、その制御部20は、SIPサーバ装置40とコネクションを確立した後、自端末情報記憶部15に記憶されている端末IDを読出し、読み出した端末IDをSIPサーバ装置40へ送信する(S300)。
端末IDを受信したSIPサーバ装置40のCPU41は、その端末IDをRAM42へ記憶する(S310)。
【0029】
続いて、CPU41は、受信した端末IDを「登録メンバー」のフィールドに記憶しているレコードを、セッショングループデータベース47aから特定する(S320)。
CPU41は、ステップ310にてRAM42に記憶しておいた端末IDを、ステップ320で特定したレコードの「セッション可能メンバー」のフィールドへ記憶する(S330)。このステップ330にて、自らの送信した端末IDが「セッション可能メンバー」のフィールドに記憶されたセッション端末10は、同じフィールドに既に記憶されていた、又はその後に記憶される端末IDの送信元である他のセッション端末10と共に音楽セッションを行うことが可能な状態になる。
【0030】
続いて、CPU41は、ステップ320で特定したレコードの「セッション可能メンバー」のフィールドに記憶されている全ての端末IDをRAM42へ読み出す(S340)。
CPU41は、ステップ340で読み出した端末IDを所定の雛形に埋め込むことによって参加状況通知画面の表示データを生成し、生成した表示データを、ステップ340で読み出した各端末IDの発信元であった各セッション端末10に宛てて送信する(S350)。
【0031】
表示データを受信したセッション端末10の制御部20は、その表示データに基づいて表示部17に参加状況通知画面を表示させる(S360)。
図8は、参加状況通知画面である。この画面の上段には、「現在、セッションの準備ができているメンバーのIDは以下の通りです。」という内容の文字列が表示され、その下には、ステップ340で読み出された全ての端末IDが表示される。更に画面の下段には、「セッション開始」と記したボタンが表示される。
この画面を参照した演奏者は、セッションを開始してもよいか否かを判断する。セッションを開始してもよいと判断したときは、画面下のボタンを操作部17によって選択する。
【0032】
「セッション開始」のボタンが選択されると、制御部20は、セッションの開始を要求するメッセージをSIPサーバ装置40へ送信する(S370)。
SIPサーバ装置40のCPU41は、表示データの宛先であった全てのセッション端末10からセッションの開始を要求するメッセージを受信すると、音楽セッションの開始タイミングまでの残り時間長を表すカウントダウン信号を、それらのセッション端末10へ送信する(S380)。
【0033】
このカウントダウン信号を受信したセッション端末10の制御部20は、他のセッション端末10と同期を取りつつ、音楽セッションの開始タイミングまでの残り時間長を表示部17に表示させる(S390)。具体的には、「スタート3秒前」→「スタート2秒前」→「スタート1秒前」の各内容を示す文字列をこの順番で一秒おきに表示させ、更に「スタート1秒前」の文字列を表示してから1秒経過したタイミングで、「スタート!」の文字列を表示させる。
【0034】
各演奏者は、自らのセッション端末10の表示部17に表示されるカウントダウン表示を参照し、「スタート!」の文字列が表示されたタイミングに合わせて一斉に電子楽器50の演奏を開始する。
演奏が開始されると、各セッション端末10は、電子楽器50から自端末に入力される楽音信号を楽音情報としてSIPサーバ装置40へ送信する処理と、SIPサーバ装置40から自端末へ送信される楽音情報を楽音信号としてスピーカ60へ出力する処理とを並行して行う。一方、SIPサーバ装置40のCPU41は、セッション端末10から受信した楽音情報を、セッショングループデータベース47aにてそのセッション端末10と同じセッショングループとして管理されている他のセッション端末10へ直ちに転送する処理を行う。
【0035】
このようなSIPサーバ装置40を介した楽音情報の遣り取りが実行されることで、各セッション端末10は、遠隔にある他のセッション端末10に入力された楽音信号をも自らのスピーカ60から楽音として放音することが可能になり、その結果、遠隔にある演奏者同士によるリアルタイムの音楽セッションが実現する。
【0036】
以上説明した本実施形態では、ネットワークを介した音楽セッションに必須のデバイスであるセッション端末10が、セッショングループ毎に複数台ずつセットとして販売されるようになっている。そして、セッション端末10をセットとして販売する際は、そのセットに含まれるセッション端末10同士による音楽セッションを実現するために必要な初期設定を、店舗に備え付けた接続先設定装置30によって纏めて行うようになっている。従って、セッション端末10を購入した各演奏者は、一般のネットワーク通信機器を使用するときのような複雑な設定作業を行なわずとも、購入したセッション端末10を自宅の通信回線に接続して起動するだけで、自らが所属するセッショングループのメンバーと共に音楽セッションを楽しむことができる。
【0037】
また、初期設定の際は、セットとして購入された複数のセッション端末10の端末IDがSIPサーバ装置40のセッショングループデータベース47aに登録される。そして、その後、ある演奏者のセッション端末10がSIPサーバ装置40に自らの端末IDを送信してきたときは、その演奏者と同じセッショングループのメンバーで且つ音楽セッションを行える状況にあるメンバーを示す参加状況通知画面が提示され、この画面の参照を経てから音楽セッションが開始されるようになっている。従って、演奏者が誤って見知らぬ相手に対して音楽セッションを申し込んでしまうといったような事態の発生を防ぐことができる。
【0038】
(他の実施形態)
本実施形態は、種々の変形実施が可能である。
上記実施形態では、セッション端末10と接続先設定装置30とに、LANポートを有するインターフェースを搭載させ、両者の間の情報の入出力をLANケーブルを介して行っていた。これに対し、LANとは異なる規格の専用ケーブルを介して情報の入出力を行なってもよい。また、無線LANやICタグを用いて情報の入出力を行なってもよい。
【0039】
上記実施形態において、SIPサーバ装置40は、セッショングループデータベース47aのあるレコードの「セッション可能メンバー」のフィールドへ端末IDを新たに記憶すると、そのフィールドに記憶されている全ての端末IDの発信元であるセッション端末10に宛てて、セッションの開始を促す参加状況通知画面の表示データが送信されるようになっていた。これに対し、「登録メンバー」のフィールドに端末IDが記憶されているにもかかわらず「セッション可能メンバー」のフィールドには端末IDが記憶されていないセッション端末10に宛てて、SIPサーバ装置40への接続を促すメッセージが送信されるようにしてもよい。例えば、そのようなメッセージを受け取ったセッション端末10のスピーカ60から所定のアラーム音が放音されるようにすれば、セッショングループのメンバーが集まらずに音楽セッションがいつまでも開始できないといった事態の発生を防ぐことができる。
【0040】
上記実施形態の購入時設定処理において、接続先設定装置30は、端末接続インターフェース36を介して各セッション端末10から取得した端末IDをSIPサーバ装置40へ1つずつ送信するようになっていた。これに対し、すべてのセッション端末10から端末IDを取得した後、取得した全端末IDを纏めてSIPサーバ装置40へ送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】セッションシステムの全体構成図である。
【図2】セッション端末のハードウェア構成図である。
【図3】接続先設定装置のハードウェア構成図である。
【図4】SIPサーバ装置のハードウェア構成図である。
【図5】セッショングループデータベースのデータ構造図である。
【図6】購入時設定処理を示すフローチャートである。
【図7】セッション処理を示すフローチャートである。
【図8】参加状況通知画面である。
【符号の説明】
【0042】
10…セッション端末、11…楽音信号入力部、12…楽音信号出力部、13…通信部、14…エンコード/デコード部、15…自端末情報記憶部、16…接続先情報記憶部、17…表示部、18…操作部、19…設定装置接続インターフェース、20…制御部、30…接続先設定装置、31,41…CPU、32,42…RAM、33,43…ROM、34,44…ネットワークインターフェース、35,47…ハードディスク、45…キーボード、46…コンピュータディスプレイ、36…端末接続インターフェース、40…SIPサーバ装置、50…電子楽器、60…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セッション端末を接続して情報の入出力を行うインターフェースと、
複数のセッション端末から、それら各セッション端末を識別する端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した複数の端末識別情報を外部の特定の装置へセットとして送信するグループ登録依頼手段と、
前記特定の装置から、グループ登録が完了した旨のメッセージを受信する完了通知受信手段と、
前記完了通知受信手段が前記メッセージを受信すると、前記複数のセッション端末の各々に対し、各々から見て別のセッション端末から前記取得手段が取得していた端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々引き渡す転送手段と
を備えた接続先設定装置。
【請求項2】
自身を識別する端末識別情報を予め記憶した記憶手段を備えた複数のセッション端末と、それら各セッション端末を接続して情報の入出力を行うインターフェースを備えた接続先設定装置と、セッションの各グループを識別するグループ識別情報とそれらのグループに属するセッション端末の端末識別情報とを対応付けて記憶した記憶手段を備えたセッション管理サーバ装置と
を含んだシステムによる接続先設定方法であって、
前記接続先設定装置が、前記複数のセッション端末の記憶手段に記憶された端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々取得する情報取得工程と、
前記接続先設定装置が、前記情報取得工程にて取得した複数の端末識別情報をセッション管理サーバ装置へセットとして送信するグループ登録依頼工程と、
前記セッション管理サーバ装置が、前記接続先設定装置からセットとして受信した複数の端末識別情報を、あるグループ識別情報と対応付けて自らの記憶手段に記憶するグループ登録工程と、
前記複数の端末識別情報を記憶したセッション管理サーバ装置が、グループ登録が完了した旨のメッセージを前記接続先設定装置へ送信する登録完了通知工程と、
前記メッセージを受信した接続先設定装置が、前記複数のセッション端末の各々に対し、各々から見て別のセッション端末から取得していた端末識別情報を前記インターフェースを介して夫々引き渡す情報転送工程と、
前記各セッション端末が、前記接続先設定装置から取得した端末識別情報を、セッション時における接続先として各々の記憶手段に記憶する接続先登録工程と
を有する接続先設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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