説明

接続検出回路を備えた半導体装置

【課題】 接続関係の不良解析を、非破壊状態で可能とする半導体装置を提供することである。
【解決手段】 バウンダリー・スキャン・セルを内部接続ノードの情報を取り出すキャリヤーとする。さらに、接続状態をスキャンするセンサーとそのデータをデジタル変換するレベル判定回路とを組み合わせる。この接続検出回路備えることで、金線ボンディング及び金属バンプ接続を用いた全てのインターフェースで接続状態を非破壊で検出を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に複数の半導体チップを搭載し、そのチップ間の接続状態を検出する接続検出回路を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年電子機器は、多くの機能を併せ持つ多機能化とともに、小型化されている。そのため電子機器に使用される半導体装置も小型化されている。半導体装置の小型化の方法として、主として2つの方法がある。第1の方法は、微細加工技術を採用して、一つの半導体チップに多くの素子を搭載させ多機能化を実現する大規模集積化の方法である。しかし、この方法では、微細加工のため露光技術開発費用や、工場設立のために膨大な費用が必要になる。さらに、生産のためのマスク費用が高価であるという問題がある。そのため、大量生産が見込まれる機器には有効であるが、一般的な電子機器にはコスト高となる。
【0003】
そのため第2の方法として、複数の半導体チップを1つのパッケージに搭載するマルチチップパッケージや、さらに複数のIC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)をパッケージ化するマルチチップモジュールと呼ばれる実装方法がある。これらの方法は、必要な半導体チップ又はICを集めて、パッケージ化することから汎用的な方法である。例えば、電子機器のバージョンアップや、機能追加の場合でも、搭載する半導体チップを変更することで対処することができる。そのため短期間で電子機器が開発できる等の利点が大きい。
【0004】
この複数の半導体チップ又はICを搭載する半導体装置に関する先行特許文献としては、例えば特開2007−149919号公報(以下特許文献1)がある。特許文献1には、デジタル信号処理回路が搭載された第1の半導体チップと、ダイナミック型ランダムアクセスメモリを構成する第2の半導体チップと、不揮発性メモリを構成する第3の半導体チップとを、積層したモジュールが開示されている。特許文献1では、積層した半導体チップをワイヤーボンディングした後、樹脂を用いて封止している。
【0005】
【特許文献1】特開2007−149919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1のモジュールには下記の問題がある。複数の半導体IC及びLSIを搭載し、レジン等のエポキシ有機材によりパッケージ化された製品においては、ワイヤーボンディングを含めた接続関係の不良解析が困難であるという問題がある。モジュール化するための組立工程や、出荷後に不良が発生する。例えば、接続関係としては、ワイヤー同士の接触、ワイヤーボンドや金属バンプのボール・オフ及び断裂という不良が発生することがある。
【0007】
これらの不良に対して、不良箇所の特定、原因究明のために不良解析が行われる。一般的な不良解析としては、物理的な発生場所を半導体テスターやX線などを用い場所を推定する。その後、有機溶剤を用い封止材を溶かし(デ・キャップ)、不具合箇所を特定する。或いは不具合接合箇所まで削り(クロス・セクション)、SEM(走査線顕微鏡)等による接合断面を観察する方法が行われている。しかし、この場合には、下記の理由により、接続関係の不良解析が困難、あるいは長期化するという問題がある。
【0008】
1)物理的な接続による問題か、半導体回路上の配線による問題か、或いは機能不具合なのかの判別が困難である事。
2)不具合箇所の特定に非常に時間がかかる事。
3)解析ツールとして半導体テスター、X線或いはレーザー照射機、SEM等の高価な評価ツールが必要である事。
4)ESDの破壊による機能不具合か、他の問題かの判別がつかない事。
5)開封(破壊)した場合応力が開放され、間欠性の不具合(インターミッテント)か判別不可である事。
等により、チップの接続関係の不良解析が困難である。また、パッケージやモジュールを破壊しなければ解析できないことから不良解析期間が長くなる。その結果として、『開発期間の大幅な遅れ』、『開発コストの肥大化』、『市場不具合解決の長期化』等を引き起こしている。半導体の複数のIC又はLSIを1つのパッケージに搭載する場合やモジュール化した場合、チップ間の接続にはワイヤーボンディングやフリップ・チップが用いられている。パッケージやモジュールを破壊することなく、その接続の状態を観測することは特別な装置(X線等)を用いて透視する必要があり、コストアップになる。このように半導体装置の接続関係の不良解析が、非破壊状態では、困難であるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記した課題を解決するものであり、非破壊状態で、接続関係の不良解析が可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するため、本願発明の半導体装置は、入力パッドと入力保護ダイオードとの間に挿入されたバウンダリー・スキャン・セルと、前記入力パッドの電圧レベルを判定し、その判定結果を前記バウンダリー・スキャン・セルに出力するレベル判定回路と、前記入力パッドと電源又はグランド間に設けられた電流パスとから構成された接続検出回路が設けられた第1の半導体チップと、出力パッドが前記入力パッドに接続された第2の半導体チップと、を備え、前記第1と第2の半導体チップの電源同士又はグランド同士間に測定電圧を印加し、前記レベル判定回路で前記第1の半導体チップの前記入力パッドのレベルを判定することで前記第1と第2の半導体チップ間の接続状態を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、半導体チップ間の接続状態を検出する接続検出回路を備えることで、半導体チップのI/O接続を非破壊で検出することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1について、図1〜5を参照して詳細に説明する。図1には、半導体装置の全体構成図を示す。図2には、図1に示された半導体装置における半導体チップの入出力部分の構成図を示す。図3に本実施例に係る接続検出回路の構成図、図4に接続検出回路の検出状態を説明する電圧電流の相関図、図5に接続検出回路を備えた半導体装置の断面図をそれぞれ示す。
【0014】
図1に示す半導体装置は、一つのパッケージに半導体チップであるLSI1、33、39の3個が搭載され、エポキシ系樹脂42で封止されている。図では有機基板40の上にLSI1とLSI33が搭載され、さらにLSI33の上にLSI39を搭載している。半田ボール41a及び41bで構成された外部電極は、有機基板表層での電極ランド43aと43bを経由し、有機基板内部の銅配線44aと44bにより有機基板のボンディングパッド45aと45bに接続される。有機基板のボンディングパッドは、ボンディングワイヤー46aと46bにより、半導体チップ上のパッドPad8と26に接続される。LSI1とLSI33とはボンディングワイヤーで接続され、LSI33とLSI39とは半田ボールを用いて接続されている。
【0015】
図2には、LSI1とLSI33との接続と、その半導体チップの入出力部分の構成図を示す。それぞれのLSIは簡単のため内部回路は省略し、インバータ回路のみを示している。LSI1とLSI33とは、ボンディングワイヤーWire16、17、18を用いて接続される。電源配線(Vcc)はPad4と19、信号線はPad9と25、グランド配線(Gnd)はPad14と30がそれぞれ接続されている。また図示していないが、LSI1のPad2、8、13、Pad21、26、32は必要に応じてそれぞれ外部へ接続されているとする。一般的にチップ間の接続は、この様なボンドディング・ワイヤーや、半田ボール或いは金属ポスト等を用いて行われている。チップ上の金属Pad間で共晶させることで接続の信頼性を得ている。この後の封止プロセスとして、エポキシ系樹脂を流し込みパッケージ化される。
【0016】
この樹脂の流し込み時に、サグ・ワイヤー(金線ヨレ、ダレによる隣接ワイヤーとの接触)や、ワイヤーボンド外れや、半田ボールの剥離が発生し、接続不良となることがある。また共晶不良(金属が十分にアロイになっていない状態)が発生し、接続不良となることがある。この場合半導体チップのパッドは、直接外部電極に取り出されていない。そのため、例えば、外部I/O(Pad8及び26)から電気的にPad9〜Wire17〜Pad25の接続状態を特定することは出来ない。さらには、半田ボール、電極ランド、銅配線、ボンディングワイヤーの接続状態を特定することは出来ない。
【0017】
この構成の中で有機基板の銅配線44a及び44bに関しては基板メーカから出荷検査において良品選別が行われている為、その不良発生は少なく、問題となることは比較的少ない。問題となるのは、パッケージングやモジュールの組み立て工程で行われる配線の接続とその長期的品質である。完全にエポキシ系の樹脂で固められた状態からLSIの持つ回路的な不具合なのか、或いは組み立て工程の不具合なのか特定することが困難であった。この解析を瞬時で行う方法として、LSI1或いはLSI33に新たな接続検出回路を設けている。
【0018】
図3にLSI33とLSI1とを示し、LSI33には接続検出回路を備えている。LSI1は電源パッドPad2、4と、入力パッドPad8と、グランドパッドPad13、14と、出力パッドPad9を備えている。さらに内部には電源配線Vcc3と、PチャネルトランジスタPch6とNチャネルトランジスタNch11から構成されたインバータ回路と、グランド配線としてGnd15と、入力保護ダイオードDiode5、10と、出力保護ダイオードDiode7、12とが設けられている。LSI33は電源パッドPad19、21と、入力パッドPad25と、グランドパッドPad30、32と、出力パッドPad26を備えている。さらに内部には電源配線Vcc20と、Pch23とNch27から構成されたインバータ回路と、グランド配線Gnd31と、入力保護ダイオードDiode22、27と、出力保護ダイオードDiode24、29とが設けられている。
【0019】
さらにLSI33の入力側に接続検出回路が設けられている。接続検出回路は、抵抗R34、R35、R’、コンパレータComp36、Nch28a、バウンダリー・スキャン・セルBSC37から構成される。BSC37はIEEE1194.1に準拠したものである。抵抗R34、R35は比較電圧発生回路である。抵抗R34、R35は、電源配線Vcc20とグランド配線Gnd31間に直列接続され、その節点が比較電圧としてコンパレータComp36に接続される。抵抗R’とNch28aは電流パスを構成し、接続節点nとグランド間に配置される。Nch28aのドレイン、ソース、ゲートは、それぞれ抵抗R’の一端、グランド配線、制御信号に接続される。ゲートに入力される制御信号はテスト(接続検出)時にはハイレベルで、通常動作時にはローレベルとする。
【0020】
コンパレータComp36は、抵抗R34、R35の節点(比較電圧)と、抵抗R’の他端とPad25及びBSC37の入力との節点nとに接続される。この節点はLSI1との接続点であることから接続節点nとする。接続節点nは、LSI1の出力部から、Pad9、Pad25、LSI25のBSC37の入力までの金属配線及びボンディングワイヤーで接続されている全体を示すものとする。BSC37は通常動作時はトランスファーゲートで導通状態となり、テスト時にはコンパレータComp36からの信号をラッチする。また抵抗R’は、以後の説明においては、Nch28aのオン抵抗に含まれるものとしてまとめて、Nch28aのオン抵抗の一部として説明する。
【0021】
ここで、Gnd15及び31はコモンとせず、0.5V〜1.2V程度のバイアスを外部より印加できる構成とする。LSI1を動作させてテストする場合は、全てのNch(図ではNch11)をオン状態になるように設定する。又は、LSI1を全く動作させず、Pad2とPad13をショートしてDiode12の特性のみでチェックすることもできる。今、この構成で外部より制御可能なPadは電源用Pad2及び21、グランド用Pad32、I/O用Pad8及び26とする。I/O用Pad9と25はボンディングワイヤー或いは半田ボール或いその他の金属ポスト等で物理的に接続されている状態とする。
【0022】
電源用Pad2又は21とグランド用のPad32間にバイアスを印加し、グラント用Pad13とグランド用Pad32間にDiode12の順方向電流を流す為のバイアス1.0〜1.5Vを印加する。このDiode12は素子の入出力にESD保護用に付加されたダイオードや寄生ダイオードを含む。この状態で、制御信号によりNch28aをオンさせてPad25にローデータ、即ちPad32のグランドレベルを印加させる。Pad13からDiode12〜Pad9〜Pad25間にはDiode12の順方向電流が流れる。またその順方向電流はNch28aを経由してPad32に流れる。その電圧電流特性は、Diode12のダイオード特性とNch28aのオン抵抗によって決定される。
【0023】
ここで抵抗R34、R35の節点電圧を比較電圧Vrとし、接続節点電圧をVnとする。コンパレータはこの2つの電圧を比較し、比較結果をデジタルデータ“0”及び“1”としてバウンダリー・スキャン・セルが有するラッチ回路に格納する。全てのI/Oはこのバウンダリー・スキャン・セルを有し、デイジーに接続している。IEEE1194.1に準拠したバウンダリー・スキャン・セルのシフト・レジスタ機能により、各I/Oの状態がシリアル・データとして出力される。Pad13とPad32間に印加する測定電圧Vsを変化させて、Diode12の順方向電圧付近で移動させデータを取り込むことによって、より詳細な解析データを得ることが可能となる。
【0024】
図4に、接続検出回路の検出状態を説明する電圧電流の相関図を示す。図では横軸にPad13からPad32に流れる電流Is、縦軸にPad32をグランド(0V)とし、Pad13に測定電圧Vsを印加したときの電圧を示す。コンパレータの比較電圧はVrであり、Diode12のダイオード特性とNch28aのオン抵抗により決まる接続節点nの電圧Vn、そのときの電流Inをそれぞれ示す。ここでは抵抗R’を含めた合計抵抗値をNch28aのオン抵抗とする。図4において、(a)は正常な接続状態、(b)はDiode12がリーク状態、(c)はオープン状態、(d)はシュート状態を示す。
【0025】
Pad13に印加する測定電圧を、グランドレベルから順次高電圧とし、例えばVs1、Vs2、Vs3とする。そのときの接続節点nの電圧(Vn1、Vn2、Vn3)、電流(In)を○印で示す。測定電圧Vs1のときレベル判定回路は“0”出力で、Vs3のときレベル判定回路は“1”出力で、Vs2のときレベル判定回路は“0”から“1”出力に変化する。図4(a)、(b)、(d)におけるレベル判定回路の出力が変化する測定電圧Vs2は、その順に小さな値を示す。図4(c)においては、レベル判定回路は常に“0”出力であり、測定電圧Vs2は見出せない。測定電圧Vsを変化させ、テストを繰り返すことで、電圧(Vn)と電流(In)が変わり、(a)正常、(b)リーク、(c)オープン状態、(d)ショート状態のそれぞれが識別できる。この結果をBSC37のラッチからのデータ読み出しで判定する。
【0026】
図5には、本発明の半導体装置の配置断面図を示す。本発明においてはバウンダリー・スキャン・セルを追加する必要がある。このバウンダリー・スキャン・セルは、解析検出したデジタルデータを運ぶ機能と、素子間をアイソレーション(Hiz)することと、同時に通常オペレーション時のスルー機能が主たる機能である。このとき、Diode12の順方向電流をLSI33のなかのNch28aをオンさせ、コンパレータへの入力電圧(すなわち、Vn)を発生させなければならない。この入力電圧Vnは、バウンダリー・スキャン・セルにも接続されている。Nch28aのオン抵抗を可能な限り妨げることなく、目的を達成するためには、バウンダリー・スキャン・セルの構成は3ステート双方向トランシーバーでは無く、トランスファーゲートタイプである必要がある。
【0027】
更に、そのトランスファーゲートは、限りなくオン抵抗が低いものである事が要求される。半導体設計の中で、オン抵抗を下げる為にはゲート幅を限りなく広く構成する必要がある。しかしオン抵抗を低くした数100μmの大きなトランスファーゲートを全てのI/Oに付与するとそのサイズインパクトは限りなく大きくなり、コスト的に実用化が困難となる。この状況を解決する為に、トランスファーゲートをボンディングパッドの直下或いはパシベーション膜の開口部以外のパッド直下に形成しサイズのインパクトを抑える方法を考案した。
【0028】
図5(a)には、通常のトランスファーゲートのトランジスタをパッド周りに配置した断面図を示す。図5(b)には、本発明のバウンダリー・スキャン・セルをパッドに近接させて配置した断面図を示す。本発明においては、パッドに近接させ、例えば10μm以内のパッドのアルミの直下に、バウンダリー・スキャン・セルを設けている。パッドのアルミで、バウンダリー・スキャン・セルの全面を覆うようにして、ボンディングの衝撃から保護している。
【0029】
本実施例の半導体チップは、バウンダリー・スキャン・セルと、レベル判定回路と、接続節点とグランド間の電流パスとを有する接続検出回路を備え、接続された第2の半導体チップの保護ダイオードとパッドと、ボンディングワイヤーと、第1の半導体チップのパッド間の接続状態を非破壊で、検出することが可能となる。
【実施例2】
【0030】
本発明の実施例2について、図6を参照して詳細に説明する。図6には、本実施例に係る接続検出回路の構成図を示す。第1の実施例に比較して本実施例は、接続検出回路がLSI1の出力側にも配置搭載している。LSI1とLSI33の両方に接続検出回路が搭載し、お互いのI/Oの接続状態が検出する。図6においては、チップ内部のインバータ回路等は図示せず、発明に直接関係する部分のみを示す。
【0031】
LSI1の接続検出回路は、図に示すように出力保護ダイオードDiode7と12の接続節点と、パッドPad9との間に挿入されている。その接続検出回路は、比較電圧を発生させる抵抗R34aとR35b、レベル判定回路であるコンパレータComp36a、電流パスとなるNch28bと抵抗、バウンダリー・スキャン・セルBSC37aから構成される。この構成は第1実施例と同様であることから、その説明は省略する。また本実施例では電源パッドPad4と19は接続されているとする。接続検出の測定としては、パッドPad13とPad32に測定電圧Vsを印加する。パッドPad13に測定電圧Vsを印加した場合には、BSC37aはトランスファーゲート、Nch28bはオフ状態とし、第1実施例と同様にして接続状態が測定できる。パッドPad32に測定電圧Vsを印加した場合は、Diode27を経由して逆方向であるが、同様に測定できる。
【0032】
本実施例の半導体チップは、LSI1と33の両方に接続検出回路が搭載していることから、お互いのI/Oの接続状態を非破壊で、検出することが可能である。
【実施例3】
【0033】
本発明の実施例3について、図7を参照して詳細に説明する。図7には、本実施例に係る接続検出回路の構成図を示す。本実施例はレベル判定回路をコンパレータの代わりにトランジスタ回路で構成した実施例である。
【0034】
図7に示す接続検出回路は、BSC37と、電流パスと、レベル判定回路と、モード設定回路から構成される。BSC37は、接続節点nと入力保護ダイオード及び内部インバータ回路の節点間に配置される。電流パスは接続節点nとグランド間に接続されたR35とNch28aから構成される。Nch28aのゲートには制御信号が入力され、測定時には電流を流す。モード設定回路はレベル判定回路の出力とグランド間に接続されたNch38aから構成される。Nch38aのゲートには反転制御信号が入力され、通常動作と測定動作時のモード切り替えを行い、通常動作時にはレベル判定回路の出力を“0”レベルに固定する。レベル判定回路は電源とグランド間に順にPch23a、R34、Nch38を接続する。Pch23aのゲートには反転制御信号、Nch38のゲートには接続節点nが入力される。Nch38のドレインとR34の接続点が出力節点となり、BSC37に入力される。
【0035】
本実施例の構成においてもPad13とPad32間に測定電圧Vsを印加することで実施例1と同様に動作することから、第1と第2の半導体チップ間の接続状態を非破壊で、検出することが可能である。
【実施例4】
【0036】
本発明の実施例4について、図8を参照して詳細に説明する。図8には、本実施例に係る接続検出回路の構成図を示す。本実施例はレベル判定回路をコンパレータの代わりに電源側に電流パスを設けたトランジスタ回路で構成した実施例である。
【0037】
図8に示す接続検出回路は、BSC37と、電流パスと、レベル判定回路と、モード設定回路から構成される。BSC37は、接続節点nと入力保護ダイオード及び内部インバータ回路の節点間に配置される。電流パスは接続節点nと電源間に接続されたR34とPch23bから構成される。Pch23bのゲートには反転制御信号が入力され、測定時には電流を流す。モード設定回路はレベル判定回路の出力と電源間に接続されたPch23aから構成される。Pch23aのゲートには制御信号が入力され、通常動作と測定動作時のモード切り替えを行い、通常動作時にはレベル判定回路の出力を“1”レベルに固定する。レベル判定回路は電源とグランド間に順にPch23c、R35、Nch28aを接続する。Pch23cのゲートには接続節点n、Nch28aのゲートには制御信号が入力される。Pch23cのドレインとR35の接続点が出力節点となり、その反転信号がBSC37に入力される。
【0038】
本実施例の構成においては、Pad2とPad21間に測定電圧を印加することで、接続状態が検出でき、第1と第2の半導体チップ間の接続状態を非破壊で、検出することが可能である。
【0039】
上記したように本発明の半導体装置は、バウンダリー・スキャン・セルを内部接続ノードの情報を取り出すキャリヤーとする。さらに、接続状態をスキャンするセンサーとそのデータをデジタル変換するレベル判定回路とを組み合わせる。この接続検出回路を備えることで、金線ボンディング及び金属バンプ接続を用いた全てのインターフェースで接続状態を非破壊で検出を可能にするものである。
【0040】
本発明によれば、入力パッドと入力保護ダイオードとの間に挿入されたバウンダリー・スキャン・セルと、入力パッドの電圧レベルを判定し、その判定結果をバウンダリー・スキャン・セルに出力するレベル判定回路と、入力パッドと電源又はグランド間に設けられた電流パスとから構成された接続検出回路が設けられた第1の半導体チップと、出力パッドが入力パッドに接続された第2の半導体チップと、を備え、第1と第2の半導体チップの電源同士又はグランド同士間に測定電圧を印加し、レベル判定回路で第1の半導体チップの入力パッドのレベルを判定することで第1と第2の半導体チップ間の接続状態を検出することを特徴とする半導体装置が得られる。
【0041】
また本発明の第2の半導体チップには、出力パッドと出力保護ダイオードとの間に挿入された第2のバウンダリー・スキャン・セルと、出力パッドの電圧レベルを判定し、その判定結果を第2のバウンダリー・スキャン・セルに出力する第2のレベル判定回路と、入力パッドと電源又はグランド間に設けられた第2の電流パスとから構成された接続検出回路を設けることができる。
【0042】
本発明のレベル判定回路は、コンパレータ回路を用いて構成され、電源電圧を抵抗分割することで得られた比較電圧と、接続された第1の半導体チップの入力パッドと第2の半導体チップの出力パッドとの接続節点の電圧とを比較判定することができる。またレベル判定回路は、電源とグランド間に順に配置されたPチャネルトランジスタと、抵抗と、Nチャネルトランジスタから構成され、Pチャネルトランジスタのゲートは反転制御信号により制御され、Nチャネルトランジスタのゲートは第1の半導体チップの入力パッドと第2の半導体チップの出力パッドとの接続節点に接続され、Nチャネルトランジスタのドレインと抵抗との接続点を出力とすることができる。さらに、レベル判定回路は、電源とグランド間に順に配置されたPチャネルトランジスタと、抵抗と、Nチャネルトランジスタから構成され、Nチャネルトランジスタのゲートは制御信号により制御され、Pチャネルトランジスタのゲートは第1の半導体チップの入力パッドと第2の半導体チップの出力パッドの接続節点に接続され、Pチャネルトランジスタのドレインと抵抗との接続点を出力としてもよい。
【0043】
本発明のバウンダリー・スキャン・セルは、トランスファーゲートで構成され、そのトランスファーゲートはボンディングパッドを構成する金属配線の直下に配置することができる。
【0044】
上記したように実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】半導体装置の全体構成図である。
【図2】図1に示された半導体装置における半導体チップの入出力部分の構成図である。
【図3】本発明の実施例1に係る接続検出回路の構成図である。
【図4】本発明に係る接続検出回路の検出状態を説明する電圧電流の相関図である。
【図5】本発明に係る接続検出回路を備えた半導体装置の断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る接続検出回路の構成図である。
【図7】本発明の実施例3に係る接続検出回路の構成図である。
【図8】本発明の実施例4に係る接続検出回路の構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1、33、39 LSI
2、4、8、9.13、14、19、21、25、26、30、32 パッド(Pad)
3、20 電源配線(Vcc)
5、7、10、12、22、24、27、29 ダイオード(Diode)
6、23、23a Pチャネルトランジスタ(Pch)
11、28、28a、28b、38、38a Nチャネルトランジスタ(Nch)
15、31 グランド配線(Gnd)
16、17、18 ワイヤー(Wire)
34、34a、35、35a 抵抗(R)
36、36a コンパレータ(Comp)
37 バウンダリー・スキャン・セル(BSC)
40 有機基板
41a、41b 半田ボール
42 エポキシ系樹脂
43a、43b 電極ランド
44a、44b 銅配線
45a、45b ボンディングパッド
46a、46b ボンディングワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パッドと入力保護ダイオードとの間に挿入されたバウンダリー・スキャン・セルと、前記入力パッドの電圧レベルを判定し、その判定結果を前記バウンダリー・スキャン・セルに出力するレベル判定回路と、前記入力パッドと電源又はグランド間に設けられた電流パスとから構成された接続検出回路が設けられた第1の半導体チップと、
出力パッドが前記入力パッドに接続された第2の半導体チップと、を備え、前記第1と第2の半導体チップの電源同士又はグランド同士間に測定電圧を印加し、前記レベル判定回路で前記第1の半導体チップの前記入力パッドのレベルを判定することで前記第1と第2の半導体チップ間の接続状態を検出することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2の半導体チップは、前記出力パッドと出力保護ダイオードとの間に挿入された第2のバウンダリー・スキャン・セルと、前記出力パッドの電圧レベルを判定し、その判定結果を前記第2のバウンダリー・スキャン・セルに出力する第2のレベル判定回路と、前記入力パッドと電源又はグランド間に設けられた第2の電流パスとから構成された接続検出回路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記レベル判定回路は、コンパレータ回路を用いて構成され、電源電圧を抵抗分割することで得られた比較電圧と、接続された前記第1の半導体チップの入力パッドと前記第2の半導体チップの出力パッドとの接続節点の電圧とを比較判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記レベル判定回路は、電源とグランド間に順に配置されたPチャネルトランジスタと、抵抗と、Nチャネルトランジスタから構成され、前記Pチャネルトランジスタのゲートは反転制御信号により制御され、前記Nチャネルトランジスタのゲートは前記第1の半導体チップの入力パッドと前記第2の半導体チップの出力パッドとの接続節点に接続され、前記Nチャネルトランジスタのドレインと前記抵抗との接続点を出力とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記レベル判定回路は、電源とグランド間に順に配置されたPチャネルトランジスタと、抵抗と、Nチャネルトランジスタから構成され、前記Nチャネルトランジスタのゲートは制御信号により制御され、前記Pチャネルトランジスタのゲートは前記第1の半導体チップの入力パッドと前記第2の半導体チップの出力パッドの接続節点に接続され、前記Pチャネルトランジスタのドレインと前記抵抗との接続点を出力とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記バウンダリー・スキャン・セルは、トランスファーゲートで構成され、そのトランスファーゲートはボンディングパッドを構成する金属配線の直下に配置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−231375(P2009−231375A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72160(P2008−72160)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(308032552)株式会社 ビンテーシス (3)