説明

接続端子付プリント基板およびそれを備えた電気接続箱

【課題】端子台座に保持された接続端子のプリント基板への半田付け部の視認性をより向上することの出来る、新規な構造の接続端子付プリント基板を提供すること。
【解決手段】端子台座24に端子挿通部38を貫設すると共に、該端子台座24に、前記端子挿通部38の周上の一部を該端子挿通部38の全長に亘って外部に開口する開口部34を設け、該開口部34を通じて、前記端子挿通部38に挿通した接続端子20の外周面を前記端子台座24の外部に露呈させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台座に保持された接続端子がプリント基板に半田付けされている接続端子付プリント基板、およびそのような接続端子付プリント基板をケース内に収容した電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に搭載される電気接続箱の内部回路として、コネクタやヒューズ等の外部の電気部品を接続するために、プリント基板に対して複数の接続端子が半田付けされて突設された接続端子付プリント基板が用いられている。これら接続端子付プリント基板では、例えば特開2008−35669号公報(特許文献1)等に記載されているように、接続端子の複数本を纏めて効率良くプリント基板に固定したり、外部電気部品の挿抜に際して接続端子を支持する等のために、合成樹脂製の端子台座に貫設された孔状の端子挿通部に対して接続端子が挿通保持されている。そして、接続端子の一端部がプリント基板に半田付けされると共に、他端部が電気接続箱のケース外に突出されて、外部の電気部品と接続可能とされている。
【0003】
ところで、接続端子の半田付け部は、プリント基板に正しく半田付けされているか否かが目視で検査される。この目視検査は、プリント基板に設けられる接続端子が多数になることから、速やか且つ確実に行えることが望ましい。
【0004】
ところが、従来の端子台座を用いた接続端子付プリント基板では、接続端子の周囲に端子台座が張り出していることから、端子台座で視線が遮られて、半田付け部を目視し難いという問題があった。特に近年では、プリント基板の高密度化や、コネクタの多極化等の要求から、端子台座に3列以上の接続端子を設けることも検討されている。このような場合には、中間列に位置する接続端子の半田付け部は、端子台座の内方に位置して視認がより困難になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−35669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、端子台座に保持された接続端子のプリント基板への半田付け部の視認性をより向上することの出来る、新規な構造の接続端子付プリント基板を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような接続端子付プリント基板をケース内に収容した、新規な構造の電気接続箱を提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
接続端子付プリント基板に関する本発明の第一の態様は、端子台座に端子挿通部が貫設されていると共に、該端子挿通部に挿通保持された接続端子の一端部がプリント基板に半田付けされている接続端子付プリント基板において、前記端子台座には、前記端子挿通部の周上の一部を該端子挿通部の全長に亘って外部に開口する開口部が設けられており、該開口部を通じて、前記端子挿通部に挿通配置された前記接続端子の外周面が外部に露呈されていることを、特徴とする。
【0008】
本発明に従う構造とされた接続端子付プリント基板によれば、端子台座において、端子挿通部に挿通配置された接続端子の外周面を、周上の一部で端子挿通部の全長に亘って露呈させる開口部を設けた。これにより、開口部において端子台座の張り出しが抑えられて、開口部を通じて、接続端子の一端部の半田付け部を容易に目視確認することが出来る。
【0009】
なお、開口部は、例えば端子台座の中央部分に窓状に貫設されて、接続端子において端子台座の内側に位置する側面を外部に露呈させる態様や、端子台座の周縁部に切欠状に設けられて、接続端子において端子台座の外側に位置する側面を外部に露呈させる態様の何れをも含む。
【0010】
接続端子付プリント基板に関する本発明の第二の態様は、接続端子付プリント基板に関する前記第一の態様に記載のものにおいて、前記端子台座には複数の前記端子挿通部が複数列で配列して形成されていると共に、それら端子挿通部の列間には前記開口部が前記配列方向に連続して貫設されているものである。
【0011】
このようにすれば、端子挿通部の列間に設けられた開口部を通じて、各接続端子の半田付け部を容易に視認することが出来る。これにより、特に端子台座に接続端子を3列以上で配列する場合には、中間列に位置する接続端子の半田付け部も開口部を通じて端子台座の上方から視認することが出来、視認性を効果的に向上することが出来る。
【0012】
接続端子付プリント基板に関する本発明の第三の態様は、接続端子付プリント基板に関する前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記端子台座には、複数の前記端子挿通部が前記端子台座の長手方向に沿って整列配置されていると共に、各前記端子挿通部に挿通配置された各前記接続端子が、各前記端子挿通部に対して前記整列方向で隙間をもって挿通配置されているものである。
【0013】
本態様によれば、接続端子を端子挿通部に対して、特別な押込力を要することのない非圧入状態で容易に挿通することが出来る。また、接続端子の半田付けの加熱等による端子台座とプリント基板との熱膨張収縮差による相対変位を、端子挿通部と接続端子との隙間で巧く吸収することにより、端子台座の変形が接続端子の位置ずれを生じさせるおそれが軽減されており、接続端子における半田クラックの発生を抑えることが出来る。
【0014】
電気接続箱に関する本発明の第一の態様は、端子台座に端子挿通部が貫設されていると共に、該端子挿通部に挿通保持された接続端子の一端部がプリント基板に半田付けされている接続端子付プリント基板が、ケース内に収容されている一方、前記接続端子の他端部が前記ケース外に突出されて外部電気部品と接続可能とされている電気接続箱において、前記接続端子付プリント基板として前記接続端子付プリント基板に関する前記第一〜第三の何れか一つの態様に記載の接続端子付プリント基板を用いると共に、前記接続端子には、前記外部電気部品の接続方向で前記プリント基板に係止される基板側係止部と、前記外部電気部品の抜去方向で前記端子台座に係止される台座側係止部とが形成されており、前記端子台座に前記ケースが重ね合わされることにより、前記接続端子における前記台座側係止部と前記基板側係止部の間が前記端子台座と前記プリント基板で挟まれていることを、特徴とする。
【0015】
本発明に従う構造とされた電気接続箱によれば、接続端子に外部電気部品が接続される場合には、接続端子の基板側係止部がプリント基板に係止されることにより、接続端子を支持することが出来る。一方、接続端子から外部電気部品が抜去される場合には、接続端子の台座側係止部が端子台座に係止されると共に、端子台座がケースで支持されることにより、接続端子を支持することが出来る。これにより、外部電気部品の挿抜両方向で接続端子を支持して、半田クラックの発生を抑えることが出来る。
【0016】
電気接続箱に関する本発明の第二の態様は、電気接続箱に関する前記第一の態様に記載のものにおいて、前記ケースには、前記端子台座に向けて突出して、前記端子台座の外部に露呈された前記接続端子の前記外周面を支持する支持突部が形成されているものである。
【0017】
本態様によれば、ケースに設けられた支持突部で、端子挿通部において端子台座の外側に露呈された接続端子の外周面を支持することによって、接続端子の端子挿通部からの抜け出しを阻止することが出来る。
【0018】
電気接続箱に関する本発明の第三の態様は、電気接続箱に関する前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記ケースには、前記プリント基板に対して前記接続端子の反対側から当接されて、前記プリント基板における前記接続端子の半田付け部分の周囲を支持する支持部が形成されているものである。
【0019】
本態様によれば、外部電気部品の接続に際して接続端子がプリント基板側に押し込まれた場合に、プリント基板における接続端子の半田付け部の周囲をケースで支持することにより、プリント基板の撓み変形を抑えることが出来て、半田クラックの発生をより効果的に阻止することが出来る。
【発明の効果】
【0020】
接続端子付プリント基板に関する本発明によれば、端子台座において接続端子を挿通する端子挿通部の周上の一部を端子台座の外側に開口する開口部を設け、開口部を通じて接続端子の外周面を端子台座の外部に露出させた。これにより、接続端子のプリント基板への半田付け部を容易に視認することが出来る。そして、電気接続箱に関する本発明によれば、前記接続端子付プリント基板における接続端子に基板側係止部と台座側係止部を形成すると共に、端子台座にケースを重ね合わせた。これにより、接続端子に外部電気部品が接続される場合には、基板側係止部をプリント基板に係止して接続端子を支持することが出来る。また、外部電気部品が抜去される場合には、台座側係止部を端子台座に係止すると共に、端子台座をケースで支持することにより、接続端子を支持することが出来る。これにより、接続端子を外部電気部品の挿抜両方向で安定的に支持して、半田クラックの発生を抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電気接続箱の要部の断面図。
【図2】図1に示した電気接続箱の要部の、図1とは異なる方向の断面図。
【図3】図1に示した電気接続箱を構成する、本発明の第一の実施形態としての接続端子付プリント基板の要部の斜視図。
【図4】端子台座の底面側の斜視図。
【図5】接続端子の斜視図。
【図6】図5とは異なる接続端子の斜視図。
【図7】本発明の第二の実施形態としての接続端子付プリント基板の要部の斜視図。
【図8】異なる態様の接続端子の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
先ず、図1および図2に、電気接続箱に関する本発明の第一の実施形態としての電気接続箱10の要部を示す。電気接続箱10は、アッパケース12とロアケース14からなるケース16に、接続端子付プリント基板に関する本発明の第一の実施形態としての接続端子付プリント基板18が収容された構造とされている。
【0024】
図3に、接続端子付プリント基板18の要部を示す。接続端子付プリント基板18は、複数の接続端子としての線状端子20およびタブ状端子22が端子台座24に組み付けられてなる台座コネクタ26がプリント基板28に設けられて、線状端子20およびタブ状端子22がプリント基板28に半田付けされて突設された構造とされている。
【0025】
図4に、台座コネクタ26を構成する端子台座24の、プリント基板18と対向する底面30側を示す。端子台座24は、非導電性の合成樹脂からなる一体成形品とされており、略長手矩形のブロック形状を有すると共に、四隅部から脚部32がそれぞれ突設された構造とされている。端子台座24には、複数(本実施形態においては、2つ)の開口部34が形成されている。開口部34は、端子台座24を厚さ方向に貫通して、端子台座24の底面30とその反対側の上面36の両面に開口すると共に、端子台座24の長手方向に延びる矩形のスリット形状とされている。そして、2つの開口部34が、互いに平行に端子台座24の長手方向に延び出して形成されている。
【0026】
これら各開口部34において、延出方向に直交する幅方向の両側には、複数の端子挿通部38a,38bが形成されている。これら端子挿通部38a,38bは、後述する線状端子20およびタブ状端子22の幅寸法に応じて幅寸法(図1における左右方向寸法)が異ならされている以外は互いに略同様の形状を有することから、特に区別する必要の無い場合には、端子挿通部38として説明する。
【0027】
端子挿通部38は、端子台座24の厚さ方向に貫通して上面36および底面30に開口すると共に、開口部34において幅方向で対向する内面40a又は内面40bに開口する溝形状を有している。これにより、端子挿通部38は、内面40a(40b)に位置された周上の一部が、端子挿通部38の全長に亘って、開口部34を通じて端子台座24の外部に開口されている。従って、開口部34において幅方向両側で対向する内面40aと内面40bのそれぞれに、複数の端子挿通部38が開口部34の延出方向に沿って所定間隔を隔てて形成されており、各開口部34それぞれの幅方向両側で、複数の端子挿通部38が2列に配列して形成されている。そして、本実施形態においては、2つの開口部34が形成されていることにより、複数の端子挿通部38が4列で配列して形成されている。これにより、4列で配列された複数の端子挿通部38において互いに対向する2列の間で、開口部34が端子挿通部38の配列方向に連続して端子台座24に貫設されている。
【0028】
端子挿通部38は、底面30側において幅寸法(図1中、左右寸法)が部分的に大きくされた段付形状とされている。これにより、端子挿通部38の底面30側には、端子挿通部38の幅方向両側に突出して、端子挿通部38の長さ方向に直交する一対の係止面42,42が形成されている。
【0029】
なお、本実施形態における端子挿通部38aの幅寸法(図1中、左右寸法)は、線状端子20を非圧入状態で挿通可能なように、線状端子20の幅寸法よりも僅かに大きくされている。同様に、端子挿通部38bの幅寸法は、タブ状端子22を非圧入状態で挿通可能なように、タブ状端子22の幅寸法よりも僅かに大きくされている。
【0030】
そして、端子挿通部38aに線状端子20が挿通保持されると共に、端子挿通部38bにタブ状端子22が挿通保持される。図5に示すように、線状端子20は、表面に錫などのめっきが施された金属板がプレス打ち抜き加工されて形成されており、一端部が正方形断面をもって延びる半田付け部44とされている一方、他端部が半田付け部44と同じ大きさの正方形断面をもって延びる接続部46とされている。線状端子20において半田付け部44と接続部46の間となる長さ方向中間部分には、幅寸法が部分的に大きくされた拡幅部48が形成されている。そして、拡幅部48における半田付け部44側の端面によって、線状端子20の幅方向両側に突出すると共に線状端子20の延出方向に直交して広がる略平坦面とされた基板側係止部50,50が形成されている。一方、拡幅部48における接続部46側の端面によって、線状端子20の幅方向両側に突出すると共に線状端子20の延出方向に直交して広がる略平坦面とされた台座側係止部52,52が形成されている。
【0031】
一方、図6に、タブ状端子22を示す。なお、タブ状端子22において、線状端子20と同様の構造とされた部位には、線状端子20と同一の符号を付す。タブ状端子22は、表面に錫などのめっきが施された金属板がプレス打ち抜き加工されて形成されており、一端部が、線状端子20の半田付け部44と同じ大きさの正方形断面をもって延びる半田付け部44とされている一方、他端部が半田付け部44よりも大きな長方形断面を有する扁平なタブ形状とされた接続部46とされている。このように、タブ状端子22は、半田付け部44よりも接続部46の幅寸法が大きくされた段付形状とされており、半田付け部44の基端部分に設けられた段差部によって、線状端子20の基板側係止部50と同様の突出面形状とされた基板側係止部50が形成されている。また、タブ状端子22の長さ方向中間部分で、基板側係止部50よりも接続部46側には、幅方向両側に突出する係止突起54,54が形成されている。そして、これら係止突起54,54における接続部46側の端面によって、線状端子20の台座側係止部52と同様の突出面形状とされた台座側係止部52が形成されている。なお、線状端子20における基板側係止部50と台座側係止部52との離隔距離と、タブ状端子22における基板側係止部50と台座側係止部52との離隔距離は、互いに等しくされている。
【0032】
このような線状端子20およびタブ状端子22が、端子台座24の端子挿通部38a,38bにそれぞれ挿通保持される。これら両端子20,22は、端子挿通部38に対して、接続部46が底面30側から差し込まれて、台座側係止部52,52が端子台座24の係止面42,42に係止されることによって挿通量が規定される。これにより、線状端子20およびタブ状端子22の接続部46が端子台座24の上面36上に突出されると共に、半田付け部44が端子台座24の底面30から突出される。そして、線状端子20およびタブ状端子22の半田付け部44がプリント基板28のスルーホール56に挿通されて半田付けされる。このようにして、プリント基板28に台座コネクタ26が組みつけられて、接続端子付きプリント基板18が構成されている。
【0033】
図3に示したように、プリント基板18への半田付け状態において、端子挿通部38a,38bに挿通された線状端子20およびタブ状端子22は、その外周面の一面が端子台座24における開口部34の内面40a(40b)と同一平面上に位置されて、端子挿通部38a,38bの全長に亘って、開口部34を通じて端子台座24の外部に露呈されている。また、線状端子20およびタブ状端子22における台座側係止部52と基板側係止部50の間が、端子台座24とプリント基板18で挟まれる。更に、前述のように、端子挿通部38a,38bの幅寸法は線状端子20およびタブ状端子22より僅かに大きくされており、線状端子20およびタブ状端子22は、端子挿通部38a,38bに対して、端子台座24の長手方向(図1中、左右方向)で僅かに隙間をもって挿通されている。
【0034】
このような接続端子付きプリント基板18が、図1および図2に示したように、アッパケース12とロアケース14からなるケース16に収容されている。アッパケース12およびロアケース14は、非導電性の合成樹脂から形成されている。アッパケース12には部品装着部としてのコネクタ装着部62が形成されている。コネクタ装着部62は、アッパケース12の外側(図1中、上方)に開口する略矩形周壁形状を有している。コネクタ装着部62の底部64には、端子挿通孔66a,66bが貫設されている。詳細な図示は省略するが、これら端子挿通孔66a,66bは、それぞれ、線状端子20およびタブ状端子22の断面形状に対応する断面形状をもって、アッパケース12を貫通して形成されている。なお、コネクタ装着部62の底部64は、アッパケース12の内方(図1中、下方)に突出して形成されており、その突出端面となる底面68は平坦面とされている。更に、図2に示すように、底部64には、底面68から突出する2つの支持突部70,70が形成されている。支持突部70は、端子台座24の開口部34の開口形状に対応する長手のブロック形状を有している。図2に示すように、支持突部70の底面68からの突出端部は、突出方向前方(図2中、下方)に行くに連れて先細となるテーパ形状とされており、後述する開口部34への嵌め入れが容易に行なえるようになっている。
【0035】
一方、ロアケース14には、支持部72が一体形成されている。支持部72は、ロアケース14の内方(図1中、上方)に突出する略矩形ブロック形状とされており、その突出端面となる支持面74は平坦面とされている。支持部72において、プリント基板18の各スルーホール56と重なる位置には、支持面74に開口する凹状の逃げ孔76が形成されている。
【0036】
これらアッパケース12とロアケース14が、接続端子付プリント基板18を収容した状態で、従来公知の図示しないロック機構等により相互に固定される。これにより、アッパケース12とロアケース14で構成されたケース16に接続端子付プリント基板18が収容されて、電気接続箱10が構成されている。
【0037】
ケース16への収容状態で、線状端子20およびタブ状端子22の接続部46がコネクタ装着部62の端子挿通孔66a,66bにそれぞれ挿通されて、コネクタ装着部62内でアッパケース12の外方に突出される。これにより、接続部46が、コネクタ装着部62に装着される図示しない外部電気部品としてのコネクタと接続可能とされる。更に、アッパケース12におけるコネクタ装着部62の底面68が、端子台座24の上面36に重ね合わされることにより、図2に示したように、底面68から突出された支持突部70,70が端子台座24の開口部34,34にそれぞれ嵌め入れられる。これにより、開口部34の内面40a(40b)に露呈された線状端子20およびタブ状端子22の外周面に支持突部70,70が重ね合わされて、線状端子20およびタブ状端子22の外周面が支持突部70,70で支持される。
【0038】
一方、ロアケース14における支持部72にプリント基板18が重ね合わされる。そして、スルーホール56を通じてプリント基板18から突出された線状端子20およびタブ状端子22の半田付け部44が、支持部72の逃げ孔76に挿通されて、支持部72との干渉が回避される。これにより、プリント基板18が、支持部72の支持面74に直接に重ね合わされており、支持部72が、線状端子20およびタブ状端子22の反対側からプリント基板18に接触されている。
【0039】
なお、詳細な図示は省略するが、アッパケース12には、ロアケース14に向けて突出する2つの位置決めピン78,78が形成されており、この位置決めピン78,78がプリント基板18に貫設された位置決め孔80,80(図3参照)に挿通されると共に、ロアケース14に設けられた有底筒形状の差込筒部82に差し込まれることにより、プリント基板18がケース16内で位置決めされるようになっている。
【0040】
このような構造とされた接続端子付プリント基板18によれば、端子台座24の開口部34を通じて、端子挿通部38a,38bが端子台座24の外部に開放されている。これにより、端子挿通部38a,38bに挿通された線状端子20およびタブ状端子22の外周面が周上の一部で、端子挿通部38a,38bの全長に亘って端子台座24の外部に露呈される。これにより、開口部34を通じて、線状端子20およびタブ状端子22の半田付け部44をより容易に目視することが出来て、半田付け状態の目視検査の工数を削減することが出来る。特に本実施形態においては、4列に配列された端子挿通部38a,38bのうち、互いに対向する列間に開口部34,34をそれぞれ設けたことにより、中間列に位置する線状端子20およびタブ状端子22の半田付け部44も、開口部34を通じて端子台座24の上方から視認することが可能であり、接続端子を3列以上で配列する場合における視認性を効果的に向上することが出来る。
【0041】
また、線状端子20およびタブ状端子22が、端子挿通部38a,38bに対して、隙間を隔てて挿通されている。これにより、線状端子20およびタブ状端子22を端子挿通部38a,38bに挿通するに際して、特別な押込力を要することなく容易に挿通することが出来る。更に、線状端子20およびタブ状端子22の半田付け等によって端子台座24が熱変形した場合でも、端子挿通部38a,38bと線状端子20およびタブ状端子22との隙間で端子台座24の変形を吸収することが出来て、線状端子20およびタブ状端子22の傾斜とこれによる半田クラックの発生を抑えることが出来る。
【0042】
そして、接続端子付プリント基板18をケース16に収容した電気接続箱10においては、アッパケース12に設けられた支持突部70が端子台座24の開口部34に嵌め入れられることにより、端子挿通部38a,38bにおける内面40a(40b)への開放部分が支持突部70で覆蓋される。これにより、内面40a,40bに露呈された線状端子20およびタブ状端子22の外周面を支持突部70で支持することが出来て、線状端子20およびタブ状端子22の端子台座24からの抜け出しをより確実に阻止することが出来る。特に本実施形態においては、開口部34が2列に配列された端子挿通部38a,38bの列間に形成されていることにより、1つの支持突部70で2列の端子挿通部38a,38bの両方の開放部分を覆蓋することが出来る。
【0043】
また、線状端子20およびタブ状端子22に図示しない外部電気部品としてのコネクタが接続される際には、両端子20,22の基板側係止部50がコネクタの接続方向(図1中、上方から下方)でプリント基板18に係止される。これにより、コネクタ接続に際する押込力に対して線状端子20およびタブ状端子22を支持することが出来て、半田クラックの発生を抑えることが出来る。特に、ロアケース14に設けられた支持部72によって、プリント基板18における線状端子20およびタブ状端子22の半田付け部44の周囲を支持することにより、コネクタ接続の押し込みによるプリント基板18の撓み変形を抑えて、半田クラックの発生をより軽減することが出来る。
【0044】
一方、コネクタが抜去される際には、線状端子20およびタブ状端子22の台座側係止部52がコネクタの抜去方向(図1中、下方から上方)で端子台座24の係止面42に係止される。更に、端子台座24がアッパケース12で支持される。これにより、線状端子20およびタブ状端子22をアッパケース12と端子台座24で支持して、コネクタ抜去に際する半田クラックの発生を抑えることが出来る。このように、本実施形態によれば、線状端子20およびタブ状端子22をプリント基板18と端子台座24の間で挟むようにして、コネクタの挿抜両方向で線状端子20およびタブ状端子22を支持することが出来て、半田クラックの発生を効果的に抑えることが出来る。また、基板側係止部50において幅寸法が大きくされていることにより、めっきの表面積をより大きく確保することが出来て、半田付け部44のハンダ条件の向上を図ることも出来る。
【0045】
次に、図7に、接続端子付プリント基板に関する本発明の第二の実施形態としての接続端子付プリント基板90の要部を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0046】
本実施形態におけるプリント基板28には、台座コネクタ92が設けられている。台座コネクタ92の端子台座94には、複数の端子挿通部38a,38bが2列に配列して形成されている。そして、端子台座94の幅方向両端部に開口部96,96が切欠形状に形成されることによって、端子挿通部38a,38bの周上の一部が開口部96,96を通じて端子台座94の幅方向の外側に開放されている。これにより、端子挿通部38a,38bに挿通された線状端子20およびタブ状端子22の外周面が、開口部96を通じて端子台座94の幅方向の外方に露呈されている。本実施形態によれば、線状端子20およびタブ状端子22の外周面が、端子台座94の最外面上に露呈されることから、半田付け部44をより容易に視認することが出来る。なお、図示は省略するが、本実施形態においても、前記第一の実施形態と同様に、アッパケースに2つの支持突部(図2における支持突部70参照)を設けて、それら支持突部を開口部96,96に嵌め入れることによって、端子台座94の外方に露呈された線状端子20およびタブ状端子22の外周面を支持突部で支持することが出来る。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、接続端子として、図8に示す線材端子98を用いても良い。線材端子98は、一定の正方形断面を有する金属線材が所定長さに切断されて形成されており、略全長に亘って一定の正方形断面をもって一直線状に延びる形状とされている。そして、一端側の半田付け部44と他端側の接続部46の間において、半田付け部44側に突起形状の基板側係止部50が潰し加工で形成される一方、接続部46側に台座側係止部52が同様に形成されている。このような線材端子98は、前記線状端子20やタブ状端子22と同様にして端子台座24に組み付けることが出来る。このように、接続端子としては、金属線材から形成されたものも採用可能である。
【0048】
また、接続端子を端子挿通部に圧入して端子台座に固定することも可能である。例えば前記第一の実施形態における線状端子20を、幅方向両側に突出された台座側係止部52において端子挿通部38aに圧入固定しつつ、台座側係止部52から接続部46側は端子挿通部38aに対して隙間を隔てた非圧入状態で容易に挿通可能とする等しても良い。
【符号の説明】
【0049】
10:電気接続箱、16:ケース、18,90:接続端子付プリント基板、20:線状端子(接続端子)、22:タブ状端子(接続端子)、24,94:端子台座、26,92:台座コネクタ、28:プリント基板、34,96:開口部、38a,b:端子挿通部、44:半田付け部(一端部)、46:接続部(他端部)、50:基板側係止部、52:台座側係止部、70:支持突部、72:支持部、98:線材端子(接続端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台座に端子挿通部が貫設されていると共に、該端子挿通部に挿通保持された接続端子の一端部がプリント基板に半田付けされている接続端子付プリント基板において、
前記端子台座には、前記端子挿通部の周上の一部を該端子挿通部の全長に亘って外部に開口する開口部が設けられており、該開口部を通じて、前記端子挿通部に挿通配置された前記接続端子の外周面が外部に露呈されている
ことを特徴とする接続端子付プリント基板。
【請求項2】
前記端子台座には複数の前記端子挿通部が複数列で配列して形成されていると共に、それら端子挿通部の列間には前記開口部が前記配列方向に連続して貫設されている請求項1に記載の接続端子付プリント基板。
【請求項3】
前記端子台座には、複数の前記端子挿通部が前記端子台座の長手方向に沿って整列配置されていると共に、各前記端子挿通部に挿通配置された各前記接続端子が、各前記端子挿通部に対して前記整列方向で隙間をもって挿通配置されている請求項1又は2に記載の接続端子付プリント基板。
【請求項4】
端子台座に端子挿通部が貫設されていると共に、該端子挿通部に挿通保持された接続端子の一端部がプリント基板に半田付けされている接続端子付プリント基板が、ケース内に収容されている一方、前記接続端子の他端部が前記ケース外に突出されて外部電気部品と接続可能とされている電気接続箱において、
前記接続端子付プリント基板として請求項1〜3の何れか1項に記載の接続端子付プリント基板を用いると共に、前記接続端子には、前記外部電気部品の接続方向で前記プリント基板に係止される基板側係止部と、前記外部電気部品の抜去方向で前記端子台座に係止される台座側係止部とが形成されており、
前記端子台座に前記ケースが重ね合わされることにより、前記接続端子における前記台座側係止部と前記基板側係止部の間が前記端子台座と前記プリント基板で挟まれていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項5】
前記ケースには、前記端子台座に向けて突出して、前記端子台座の外部に露呈された前記接続端子の前記外周面を支持する支持突部が形成されている請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記ケースには、前記プリント基板に対して前記接続端子の反対側から当接されて、前記プリント基板における前記接続端子の半田付け部分の周囲を支持する支持部が形成されている請求項4又は5に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−142136(P2012−142136A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292941(P2010−292941)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】