説明

接触センサパッケージ構造

【課題】静電電荷を放出させて静電電荷の問題を低減することができる接触センサパッケージ構造を提供する。
【解決手段】接触センサパッケージ構造は、基板、膜、シーラントおよび基板上に配置した複数の接触センサを有する。接触センサは基板、膜およびシーラントによって画成された封止空間内に配置され、接触センサパッケージ構造はさらに基板上に形成した接地導電性トレースおよび膜の表面上に形成されかつ接地導電性トレースに電気的に接続された静電電荷放出層とを有する。静電電荷放出層は接触ワークピースを検出するための接触面として機能する上面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触センサパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
接触センサパッケージ構造は、例えば、コンピュータスクリーンや、マウス、フィンガーパターン同定装置等を含め多数のタイプの電子装置において広く採用されてきている。高い感度と小型化とすることの必要性から、大部分の接触センサパッケージは正確かつ小型のセンサおよび回路を備えている。しかしながら、電子装置が精度及び精密性を有するため、外部環境の影響(例えば、汚染物質)を受けてより損傷を受けやすくなっている。したがって、多くの接触センサパッケージは、接触面として機能する絶縁性であるが可撓性のある膜を含んでおり、それによって、パッケージ内の回路及びセンサが直接外部の環境状況に曝されないようになっている。また、使用者あるいは物が絶縁性膜に対して頻繁に接触したりあるいは擦れたりすると、しばしば静電気が生ずる。静電電荷が十分なレベルまで該膜上に集まると、内部回路あるいはセンサに静電電荷放電が生じ、内部回路あるいはセンサのいずれかに不可逆的な損傷を与える可能性がある。言い換えると、電子装置がより正確かつよりコンパクトになると、静電放電により過敏となる。したがって、静電気放電により接触センサパッケージが損傷する可能性を低減できる方法が早急に必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の少なくとも一つの目的は、静電電荷を放出しかつ静電電荷問題を解決することができる絶縁材料を有する接触センサパッケージ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの利点及び他の利点を得るため及び本発明の目的にしたがって、本明細書中で具体的に述べかつ広く記載したように、本発明は以下の接触センサパッケージ構造を提供する。即ち、接触センサパッケージ構造は、主として基板と、基板上方に配置した膜と、シーランと、前記基板上に配置した複数の接触センサとを有する。前記基板と、前記膜と前記シーランとが一緒になって包囲空間を画成し、前記複数の接触センサは前記包囲空間内でかつ前記基板上に配置される。膜は、接触被工作物を検知するための接触表面として機能する一つの表面、例えば上面あるいは下面、を有する。本発明の接触センサパッケージ構造は、さらに基板上に少なくとも一つの接地導電性トレースと膜の上面に導電性材料(例えば、インジウムスズ酸化物の化合物)から形成された静電電荷放出層とを有する。静電電荷放出層は、接触被工作物を検出するための接触面として機能する。静電電荷放出層は基板上の接地導電性トレースに電気的に接続され、接触あるいは摩擦によって接触センサパッケージ構造に静電電荷が生じた場合に、該電荷を接地導電性トレースに流すことができるようになっている。したがって、接触センサパッケージ構造は、静電電荷放電が生じた場合においてもパッケージ内のセンサおよび回路に不可逆的な損傷が生じることから保護されている。
【0005】
さらに、好ましくは、静電電荷放出層が膜の上面全てを被覆しており、接触面のいずれの部分に存在する静電気も流去することができる。さらに、接触センサパッケージ構造に充分な接触感度を付与するため、前記静電電荷放出層と前記膜とをあわせた厚さが12μmより小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の接触センサパッケージでは、静電電荷放出層が膜の上に形成されかつ基板上の接地導電性トレースに電気的に接続されているので、静電電荷放出層は接触表面として機能する。したがって、接触センサパッケージに対して接触あるいは摩擦することによって静電電荷が溜まった場合でも容易に静電電荷放出層から容易に流去されセンサや内部回路に流れて損傷を与える可能性はない。
前述の一般的な記載及び以下の詳細な記載は例示的であり、特許請求項の発明をさらに説明することを意図するものであることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付する図面は、本発明をさらに理解させるため含めたもので、本明細書の一部を形成するものである。同図面は本発明の実施態様を図示するもので、発明の記載と相俟って本発明の原理を説明するものである。
【0008】
以下に、本発明の好適な実施態様について詳細に言及する。これらの例を添付する図面に図示する。可能な限り、同一または類似の部分に言及する際には同一の参照番号を図面及び明細書中で使用する。
【0009】
図1は、本発明の一実施態様に係る接触センサパッケージ構造の模式的横断図である。図1に示すように、接触センサパッケージ構造100は、主に基板102と、基板102上に配置した複数の接触センサ104と、シーラント108を介して基板102の上方に配置した膜106とを有する。環境汚染物質により汚染されるのを防止するため、接触センサ104を基板102と、膜106とシーラント108によって画成された封止空間中に包み込んでいる。
【0010】
基板102は、セラミックあるいはガラス等の硬質材料から形成した板状構造を有することが好ましい。本実施態様では、接触センサパケージ構造100は、基板102の上に立設されかつ該複数の接触センサ104を取り囲む支持エレメント110を有する。膜106は、支持エレメント110の頂部に封止されている。さらに、接触センサ104の他に、複数の導電性トレース(図示せず)と少なくとも一つの接地導電性トレースとを設けることが好ましい。さらに、支持エレメント100の外側の基板上にチップ(図示せず)も形成されており、チップは導電性トレースを介して接触センサ104に接続され、少なくとも、タッチおよび他の何らかの必要な操作により発生する信号を処理する。
【0011】
膜106は、2つの主目的を行う機能を有する。すなわち、膜106はパッケージ100の内部のセンサ104及び回路を保護し、また他の望ましくない影響(隣接するセンサ104の短絡等)を何ら生じることなくワークピースとの接触をセンサ104に対する信号に変えるための不活性インターフェースを提供する。したがって、膜は、絶縁性であるが可撓性のある材料、例えばディポン社によって製造されているマイラー(Mylar)シリーズから形成することが好ましい。
【0012】
静電電荷放出層114は、膜106の上面106aに設ける。さらに、静電電荷放出層114の上面もワークピース(例えば、使用者の指)を検出するための接触面として機能する。静電電荷放出層114は導電性材料(例えば、導電性接着剤)を用いて形成し、導電性材料116(例えば、導電性接着剤)を介して基板102上の接地導電性トレース112に電気的に接続されている。非導電性ワークピースがパッケージ100の接触面に接触あるいは軽くこするときに、しばしば静電電荷すなわちいわゆる摩擦電気が発生する。
【0013】
本実施態様では、パッケージ100の接触面を摩擦することにより静電電荷が生じても、静電電荷放出層114を介して接地導電性トレース112に流され、該静電電荷がセンサ104あるいは内部の回路に流れて損傷を与えることはない。好ましくは、静電電荷放出層114は60オーム/mを超えない抵抗を有し、膜106の上面106a上の静電荷を迅速に接地導電性トレース112へ流すことができるようになっている。さらに、膜106の上面のいずれの箇所の電荷も容易に放出するために、静電電荷放出層114は膜106の上面106a全体を覆うことが好ましい。さらに、接触センサパッケージ100の感度は膜106及び静電電荷放出層114を合わせた厚さに逆比例するので、パッケージ100に十分な接触感度を付与するためには、膜106及び静電電荷放出層114を合わせた厚さは12μmより薄いことが好ましい。
【0014】
図1に示すように、接地導電性トレース112は基板102、膜106、支持エレメント110及びシーラント108とによって画成された空間内に配置される。したがって、導電性材料116は封止空間の領域内を自由に這わせて、静電電荷放出層114と接地導電性トレース112とを一緒にして電気的に接続することができる。
【0015】
図2と図3に示す他の実施態様では、接地導電性トレース112を基板上に例えばフィンガーとして接触センサパッケージ200の外側に設けることができる。この場合、導電性材料116を封止空間116の外部に這わせて、静電電荷放出層114と接地導電性トレース112とを電気的に接続することもできる。
【0016】
本発明の範囲及び精神を逸脱することなく本発明の構造に種々の変更および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。上述の記載を考慮すれば、当該変更および変形した態様が特許請求の範囲およびその均等の範囲に属することを条件として、本発明はこれらの態様も包含することを意図していることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施態様に係る接触センサパッケージ構造の模式的横断図である。
【図2】本発明の別の実施態様に係る接触センサパッケージ構造の上面図である。
【図3】図2に示す接触センサパッケージ構造の線3−3に沿う横断面図である。
【符号の説明】
【0018】
100・・・接触センサパッケージ
102・・・基板
104・・・接触センサ
106・・・膜
106a・・・上面
108・・・シーラント
110・・・支持エレメント
112・・・接地導電性トレース
114・・・静電電荷放出層
116・・・導電性材料
200・・・接触センサパッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板上方に設けた膜と、
前記基板上方に前記膜を配置するためのシーランと、
前記基板上に配置した複数の接触センサと、
前記基板上に設置した少なくとも一つの接地導電性トレースと、
前記膜の表面に形成しかつ前記接地導電性トレースに電気的に接続された静電電荷放出層とからなる接触センサパッケージ構造であって、
前記基板と、前記膜と前記シーランとは一緒になって包囲空間を画成し、前記複数の接触センサは前記包囲空間内でかつ前記基板上に配置され、前記静電電荷放出層の上面は被工作物との接触を検出するための接触面として機能する、接触センサパッケージ構造。
【請求項2】
前記静電電荷放出層を構成する材料はインジウムスズ酸化物(ITO)からなる、請求項1の接触センサパッケージ構造。
【請求項3】
前記静電電荷放出層と前記膜とをあわせた厚さが12μmを超えない、請求項1または2の接触センサパッケージ構造。
【請求項4】
前記基板がさらに前記基板上に立設した支持エレメントを含んでいて、前記支持エレメントは前記接触センサを取り囲み、前記シーラントは前記支持エレメントの頂部に位置し、前記膜は前記シーラントを介して前記支持エレメントの頂部上に封止されている、請求項1乃至3のいずれかの接触センサパッケージ構造。
【請求項5】
前記支持エレメントの外側で前記基板上にさらにチップを有する、請求項4の接触センサパッケージ構造。
【請求項6】
前記静電電荷放出層が完全に前記膜の上面を覆う、請求項1乃至5のいずれかの接触センサパッケージ構造。
【請求項7】
前記静電電荷放出層と前記接地導電性トレースが導電性接着剤によって電気的に接続されている、請求項1乃至6のいずれかの接触センサパッケージ構造。
【請求項8】
前記パッケージ構造がさらに前記静電電荷放出層と前記接地導電性トレースとの間を電気的に連結する導電性材料とを含み、前記導電性接地トレースと前記導電性材料とがともに包囲空間外に配置されている、請求項1乃至7の接触センサパッケージ構造。
【請求項9】
前記パッケージがさらに前記静電電荷放出層と前記接地導電性トレースとの間を電気的に連結する導電性材料とを含み、前記導電性接地トレースと前記導電性材料とがともに包囲空間内に設置されている、請求項1乃至7の接触センサパッケージ構造。
【請求項10】
前記基板がガラス基板である、請求項1乃至9のいずれかの接触センサパッケージ構造。
【請求項11】
前記支持エレメントが接着体である、請求項4乃至10のいずれかの方法。
【請求項12】
前記支持エレメントがリング構造である、請求項1乃至11のいずれかの接触センサパッケージ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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