説明

推進シールド工法における薬剤注入装置

【課題】薬剤が詰まりにくい構造の逆止弁を採用すると共に、薬剤供給管の撤去時に作業し易く、その後の閉塞も容易、確実に行うことができる薬剤注入装置を提供する。
【解決手段】シールド掘進機の後方に埋設管1a、1bを結合した推進体1を、上記推進体の埋設管の外周部に薬剤を注入しながら掘削、推進させ上記埋設管によって形成される管路を敷設する推進シールド工法において、上記埋設管内に設けられ、上記薬剤を供給する薬剤供給管2にカプラ14を介して接続されたボール弁式逆止弁16を上記カプラと離隔した位置でボールの自重が逆止弁の閉塞方向に作用するように上記埋設管の側壁に埋設状態で装着すると共に、上記ボール弁式逆止弁から送出される薬剤を上記埋設管の外周部に吐出する第2の逆止弁9を上記埋設管の管壁部に設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は推進シールド工法における薬剤注入装置、特にシールド掘進機の後方に結合された複数の埋設管の外周部に潤滑材としての薬剤を注入する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設管を敷設する場合、シールド掘進機によって地中を掘削しながら上記シールド掘進機に接続された複数の埋設管を推し進めて敷設する推進シールド工法が採用されることが多い。
【0003】
この場合、推進時に推進抵抗を低減させるための潤滑材や周囲の土壌を改良するための土壌改良剤等の薬剤を埋設管の外周部に注入しながら推進作業を実施している。特に、長距離を推進する場合には、埋設管の全長にわたって潤滑材を注入し、推進抵抗を低減させる必要がある。
【0004】
従来の推進作業における薬剤の注入は、埋設管内に薬剤供給管を設けると共に、埋設管の管壁に注入口を設け、この注入口に装着した逆止弁を含む薬剤注入装置を介して埋設管の外周部へ薬剤を注入し、推進作業が終了した場合には、薬剤注入管を埋設管から撤去し、薬剤注入装置は管壁に残すようにしていた。
【0005】
図4は、従来の薬剤注入装置と薬剤注入管の配設状況を示すものであり、図5は、薬剤注入装置の構成を拡大して示す概略図である。即ち、図4に示すように、図示しないシールド掘進機の後方に埋設管1a、1bを結合して推進体1を形成し、各埋設管内に薬剤供給管2を設けると共に、推進体1の後方の推進起点に薬剤貯留槽3及びそこに貯留された薬剤を上記薬剤供給管2に供給するポンプ4を設け、所定の埋設管1aの管壁に設けられた薬剤注入装置5に結合管6を介して供給するようにしていた。
【0006】
薬剤注入装置5は、図5に拡大断面図を示すように、鋼板製の外壁部7aとコンクリート製の内壁部7bとで形成された管壁7の一部に矩形状の開口部を形成して、その開口部に埋め込む形で装着されており、次のように構成されている。
【0007】
即ち、管壁7の開口部に埋め込まれたケーシング本体51内に仕切り壁52を設けて第1の空間53と第2の空間54とを形成している。
また、ケーシング本体51の縁部は外壁部7aに溶接固定され、ケーシング本体の外面側には第1、第2の空間53,54を覆うカバー55が設けられている。
【0008】
仕切り壁52には第1の空間53側からリフト式の汎用チャッキ弁を有する第1の逆止弁8が装着され、その入力端は第1の空間53内でケーシング本体51の底部を貫通して導入された結合管6と結合され、結合管6を経て供給される薬剤が第2の空間54に吐出される構成となっている。また、第2の空間54にはカバー55を貫通する形で第2の空間54の薬剤を埋設管1aの外周部に吐出するバタフライ型の弁体を有する第2の逆止弁9が装着されている。なお、第2の逆止弁9の構成は周知であるため詳細説明を省略する。
【0009】
一方、ケーシング本体51の底部には、推進作業の終了時に薬剤供給管2と、これに接続された結合管6とを撤去するため結合管6を切断する装置が設けられている。即ち、ケーシング本体51の底面と、カバー部材56との間に適宜の切断刃10を埋設管1aの軸方向に移動可能に配設し、切断刃10の先端と図示しない送泥管あるいは排泥管とをワイヤ等の適宜の接続具10aで接続し、推進作業の終了時に薬剤供給管2の撤去と共に上記送泥管及び排泥管を撤去する際、接続具10aを介して上記切断刃10を図において右方に移動させて結合管6を切断し、同時に切断刃10を装着している板部材で結合管6の切断口を閉塞するようにしている。
【0010】
従って管壁に埋め込まれた薬剤注入装置5は薬剤供給管2の撤去後も管壁に埋め込まれた状態で残されることになる。(例えば特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2004−285616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の薬剤注入装置は上記のように構成され、第1の逆止弁8がリフト式の汎用チャッキ弁を採用しているが、この弁は周知のように実質的な開口面積が小さいため薬剤に埃等が含まれている場合には、詰まり易いという問題点があった。
【0013】
また、薬剤供給管2の撤去時に薬剤注入装置5に接続された結合管6を切断刃10によって切断する構成としているが、構造が複雑で製作及び設置に手間がかかるという問題点もあった。
【0014】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、薬剤が詰まりにくい構造の逆止弁を採用すると共に、薬剤供給管の撤去時に作業しやすく、その後の閉塞も容易、確実に行うことができる薬剤注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係るシールド工法における薬剤注入装置は、シールド掘進機の後方に埋設管を結合した推進体を、上記推進体の埋設管の外周部に薬剤を注入しながら掘削、推進させ上記埋設管によって形成される管路を敷設する推進シールド工法において、上記埋設管内に設けられ、上記薬剤を供給する薬剤供給管にカプラを介して接続されたボール弁式逆止弁を上記カプラと離隔した位置でボールの自重が逆止弁の閉塞方向に作用するように上記埋設管の側壁に埋設状態で装着すると共に、上記ボール弁式逆止弁から送出される薬剤を上記埋設管の外周部に吐出する第2の逆止弁を上記埋設管の管壁部に設けたものである。
【0016】
この発明に係るシールド工法における薬剤注入装置は、また、上記ボール弁式逆止弁と第2の逆止弁が1つのケースに収容されているものである。更に、上記第2の逆止弁がバタフライ型の弁体を有するものである。
【0017】
この発明に係るシールド工法における薬剤注入装置は、また、上記カブラがプラグと、このプラグに着脱可能に結合されるソケットとから構成されると共に、推進作業の終了後に上記薬剤供給管及び送泥管、排泥管を撤去して上記ソケットを上記プラグから引き外した時、上記プラグの入力側を閉塞する撤去閉塞手段を設けたものである。
【0018】
この発明に係るシールド工法における薬剤注入装置は、また、上記撤去閉塞手段が、上記カプラを装着するケーシング本体と、上記カプラのソケットに結合された薬剤供給管を外部に導出する孔を有し、上記ケーシング本体をカバーする蓋体と、上記蓋体上を摺動し得るように設けられた閉塞部及びこの閉塞部より幅狭に形成され、かつ上記閉塞部の端面に容易に切断し得るように結合され上記孔に対応した孔を有する幅狭部を備えた可動板と、上記ケーシング本体に固定され、上記可動板の摺動時に上記可動板の閉塞部が上記孔を閉塞した状態で上記閉塞部の端面と当接し、上記閉塞部の摺動を停止させると共に、上記可動板の幅狭部を上記閉塞部から切断、分離させる突出部とから構成されるものである。
【0019】
この発明に係るシールド工法における薬剤注入装置は、また、上記可動板の幅狭部と閉塞部との結合部に両者の切断、分離を容易にする切り込み部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係るシールド工法における薬剤注入装置は上記のように構成され、薬剤注入装置の入力側の逆止弁をボール弁式の逆止弁とし、しかもそのボールの自重が逆止弁の閉塞方向に作用するように埋設管の側壁に装着しているため、弁動作の信頼性が高い上、弁の開口面積が大きく、薬剤に埃が含まれていても詰まりにくいという特徴を有する。
また、上記のボール弁式逆止弁はカプラと離隔して設けられているためカプラとは関係なく管壁への取り付け姿勢を選択できるため、ボールの自重が逆止弁の閉塞方向に作用するように最適の状態で管壁に装着することができる。
【0021】
また、薬剤供給管にはプラグと、ソケットから構成され、両者を着脱可能に結合したカプラを接続し、このカプラを介して薬剤注入装置に薬剤を供給するようにしているため、薬剤供給管の撤去作業が簡単で、しかも撤去後にはプラグの入力側が確実に閉塞されるため、推進作業終了後に埋設管外の薬剤や地下水等が埋設管内に逆流することを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、実施の形態1の構成を示すもので、薬剤注入装置の埋設部分で埋設管を径方向に切断した状態を示す断面図、図2は、実施の形態1における撤去閉塞手段の構成を拡大して示す概略図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0023】
図1に示すように、埋設管1は鋼板製の外壁部7aとコンクリート製の内壁部7bとから構成されている。その内側下部にはシールド掘進機に泥水を供給し、掘進に伴って生ずる泥等を供給した泥水と共に排出する送泥管11及び排泥管12と共に、薬剤供給管2が設けられている。薬剤供給管2は撤去閉塞手段13のカプラ14に接続され、カプラ14から結合管15を経て薬剤注入装置5に薬剤を供給するようにされている。撤去閉塞手段13については後述する。
【0024】
薬剤供給装置5はボール弁式逆止弁16と、この逆止弁16から排出された薬剤を埋設管の外周部に吐出する図5と同様なバタフライ型の弁体を有する第2の逆止弁9を収容するケース17とからなり、ボール弁式逆止弁16のボール(図示せず)の自重が逆止弁の閉塞方向に作用するように、逆止弁16を上下方向に向ける形でケース17を埋設管1の側方の壁面に装着している。
【0025】
ボール弁式逆止弁16自体の構成は周知であるため詳細説明を省略する。ケース17内には逆止弁16と第2の逆止弁9との間に薬剤の通路18を形成すると共に、逆止弁16を固定するためにエポキシ樹脂19が充填されている。また、逆止弁16の入力端は結合管15に接続されている。
【0026】
撤去閉塞手段13は図2(a)(b)に示すように構成され、薬剤注入装置5とは離隔した位置に設けられている。即ち、埋設管1内の下部に、その長手方向が送泥管11及び排泥管12に沿って管壁に埋め込まれたケーシング本体61と、薬剤供給管2をケーシング本体内に導入する孔62を有する蓋体63と、蓋体63上を長手方向、図2では左方に摺動し得るように設けられ、ケーシング本体61と同じ幅に形成された閉塞部64及びこの閉塞部より幅狭に形成され、かつ上記閉塞部64の端面65に結合され、上記孔62に対応する孔66を有する幅狭部67からなる可動板68と、上記ケーシング本体61にねじ69によって固定され上記可動板68が図2において左方に摺動し、その閉塞部64が蓋体63の孔62を閉塞する位置まで摺動した時、閉塞部64の端面65と当接して閉塞部64のそれ以上の摺動を阻止する突出部70を有するストッパ71とを備えている。
【0027】
なお、ストッパ71の突出部70の下面には可動板68の厚さより僅かに厚い厚さを有すると共にストッパ71側にテーパ面77を形成した阻止部78が設けられている。従って、閉塞部64の端面65と突出部70との当接は、実際にはストッパ71とテーパ面77との間に端面65が挟まれる形となって閉塞部64の摺動が突出部70の直前で阻止されるため、突出部70と端面65とが当接することはない。
【0028】
また、可動板68の幅狭部67と閉塞部64の端面65との結合部には両外側から切り込み部72が設けられ、可動板68が図2において左方に摺動し、閉塞部64の端面65がテーパ面77とストッパ71との間に挟まれる形で突出部70の直前で摺動が阻止された時、幅狭部67が閉塞部64から切断され易いようにされている。
【0029】
なお、可動板68の図2において左端に設けられている孔73には図示しないワイヤ等の適宜の接続具の一端が結合され、この接続具の他端が図1に示す薬剤供給管2または送排泥管11、12に固定されている。また、ケーシング本体61の図2において右端の端壁74には、プラグ14aとソケット14bからなり、ソケットをプラグに着脱可能に結合することができるカプラ14のプラグ14aが端壁74を貫通して固定され、このプラグ14aには図1に示す結合管15の下端が結合されている。更に、ソケット14bには薬剤供給管2が結合されている。
【0030】
上記カプラ14は市販されていて周知であるため、具体的な構造については説明を省略するが、ソケット14bの外周に設けられている操作部75を図2において左方に移動させることにより、プラグ14aとソケット14bとの連結が外れ、ソケット14bの操作部75をプラグ14aに挿入することにより、プラグ14aとソケット14bとが連結されるようになっている。また、操作部75にはワイヤ等の適宜の接続具76の一端が固定され、接続具76の他端は孔62及び66を経て外部に引き出され、送泥管11あるいは排泥管12に固定されている。
【0031】
次に、この実施の形態の作用について説明する。図2は、カプラ14のプラグ14aとソケット14bとが連結された状態を示しており、薬剤供給管2からカプラ14及び図1に示す結合管15を介してボール弁式逆止弁16に薬剤が供給され、逆止弁16から吐出された薬剤が通路18を経てバタフライ型の弁体を有する第2の逆止弁9から埋設管1の外周部に供給され、シールド掘進機及び複数の埋設管からなる推進体1が掘削推進されることになる。
【0032】
推進作業が終了すると、薬剤供給管2及び送泥管11、排泥管12が撤去される。
この場合、送泥管11及び排泥管12が先に引き抜かれ、これらの管に固定されているワイヤ等の適宜の接続具76を介してカプラ14のソケット14bの操作部75が図2において左方に引っ張られるため、カプラ14のプラグ14aとソケット14bとの連結が外れる。
【0033】
その後、薬剤供給管2が引き抜かれるため、その先端に結合されているソケット14bがケーシング本体61の蓋体63の孔62及び可動板68の幅狭部67の孔66を通ってケーシング本体61の外方に引き出され撤去される。
【0034】
なお、可動板68の孔73と薬剤供給管2または送排泥管11、12とを接続しているワイヤ等の適宜の接続具は、カプラ14のソケット14bが蓋体63の孔62及び可動板68の幅狭部67の孔66を通過して本体61外に引き出された時に、可動板68が図2において左方に引かれ始めるような長さにあらかじめ設定されている。また、カプラの操作部75に固定されているワイヤ等の適宜の接続具76の他端を孔73を通して送泥管11あるいは排泥管12に固定するようにしてもよい。このように構成すれば、カプラ14が本体61から引き出された後に可動板68が図2において左方に引かれる結果、可動板68の幅狭部67及び閉塞部64が図2において左方に摺動し、閉塞部の端面65がストッパ71とテーパ面77との間に挟まれる形で突出部70の直前で停止する。可動板68が更に図2において左方に引かれると、幅狭部67は切り込み部72の位置で切断され、幅狭部67は薬剤供給管2または送排泥管11、12と共に撤去される。
【0035】
この時、閉塞部64は、その端面65がストッパ71とテーパ面77との間に圧入された状態となっているため、閉塞部64は図2において右方に戻ることなく、突出部70の直前で停止した状態のままケーシング本体61内に残り、蓋体63の孔62を閉塞する。従って、撤去後に埋設管1の外部から逆止弁9及び16を経てカプラ14側に薬剤や地下水等が逆流することがあっても、埋設管1内への流入を確実に防止することができる。
【0036】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図にもとづいて説明する。この実施の形態の基本的構成は実施の形態1と同様であるが、撤去閉塞手段に装着されているカプラの構成及びその取付構造が相違する。
【0037】
図3は実施の形態2における撤去閉塞手段13の構成を示す側面図である。図1、図2と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
以下、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0038】
図3に示すように、実施の形態2のカプラ14は実施の形態1と同様に、プラグ14aとソケット14bとソケットの外周に移動可能に設けられている操作部75とから構成されており、操作部75をソケット14b側に移動させた状態でプラグ14aをソケット14bに挿入することによりプラグ14aとソケット14bとが連結され、この状態で操作部75がプラグ14a側に戻ることによりプラグ14aとソケット14bとの連結状態がロックされるようになっている。
【0039】
また、プラグ14aとソケット14bとの連結状態において操作部75をソケット14b側、即ち図3において相対的に右方に移動させるとロックが解除されてソケット14bとプラグ14aとの連結が解除されるように構成されている。ロックの解除時における操作部75の移動方向が実施の形態1とは逆になっている。
【0040】
このように構成されたカプラ14を以下に述べる構成で撤去閉塞手段13に装着している。即ち、可動板68の幅狭部67の端部側から端板74側に向けて傾斜面を形成するようにガイド板80を装着し、このガイド板80と蓋体63との間に固定板81を固定する。この固定板81の中央部にはカプラ14の操作部75の径より小さい径の孔82が設けられている。
【0041】
一方、カプラ14の操作部75にはフランジ状の突出部83を形成し、カプラ14のプラグ14aが上記固定板81の孔82を図3において右方から左方に貫通する形でカプラ14の操作部75を固定板81の図3において右方の面に当接し、固定板81と突出部83とを適宜のねじ84で固定する。
【0042】
プラグ14aには薬剤供給管2を結合し、ソケット14bにはビニールパイプ等のフレキシブルパイプ85を結合し、フレキシブルパイプ85の外端を図1に示す結合管15に接続する。なお、図3に示すカプラ14は市販されていて構成そのものは周知である。
【0043】
次に、実施の形態2の作用について説明する。
図3はカプラ14のプラグ14aとソケット14bとが連結された状態を示しており、実施の形態1と同様に、薬剤供給管2からカプラ14、フレキシブルパイプ85及び図1に示す結合管15を介してボール弁式逆止弁16に薬剤が供給され、逆止弁16から吐出された薬剤が通路18を経てバタフライ型の弁体を有する第2の逆止弁9から埋設管1の外周部に供給され、シールド掘進機及び複数の埋設管からなる推進体1が掘削推進されることになる。
【0044】
掘削作業が終了すると、薬剤供給管2及び送泥管11、排泥管12が撤去される。この場合、薬剤供給管2の先端に結合されているプラグ14aが薬剤供給管2の撤去に伴って図3において左方に引かれるため、プラグ14aに連結されているソケット14bも図3において左方に引かれる。この結果、固定板81に固定されている操作部75が相対的にソケット14b側、即ち図3において右方に移動することになるため、ソケット14bとプラグ14aとの連結が外れ、プラグ14aが薬剤供給管2と共に引き出される形で薬剤供給管2が撤去される。この実施の形態においては薬剤供給管2によってプラグ14aを引き出し、カプラ14の連結状態を解除するため、実施の形態1において図2(b)に示したように、操作部75と薬剤供給管2等とを接続する接続具76が不要となる。
【0045】
また、可動板68は実施の形態1と同様に、図3において左方に引かれるため、蓋体63の孔62を閉塞することは実施の形態1と同様である。なお、ガイド板80はプラグ14aを装着した薬剤供給管2が引き出される際、プラグ14a及び薬剤供給管2が周囲の部材に接触したり、係止されたりするのを防ぎ、引き出しをスムースにするためのガイドとして機能するものである。
【0046】
また、ソケット14bに結合されたフレキシブルパイプ85は、薬剤供給管2の引き出し時にソケット14bが図3において左方に移動するため、この移動をスムースに行なうために設けられているものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態1の構成を示すもので、薬剤注入装置の埋設部分で埋設管を径方向に切断した状態を示す断面図である。
【図2】実施の形態1における撤去閉塞手段の構成を拡大して示す概略図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】この発明の実施の形態2における撤去閉塞手段の構成を拡大して示す側面図である。
【図4】従来の推進シールド工法における薬剤供給管と薬剤注入装置の構成を示す概略図である。
【図5】図3における薬剤注入装置の構成を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 推進体、 1a、1b 埋設管、 2 薬剤供給管、 3 薬剤貯留槽、
4 ポンプ、 5 薬剤注入装置、 6 結合管、 7 管壁、 7a 外壁部、
7b 内壁部、 8 第1の逆止弁、 9 第2の逆止弁、 10 切断刃、
10a 接続体、 11 送泥管、 12 排泥管、 13 撤去閉塞手段、
14 カプラ、 14a プラグ、 14b ソケット、 15 結合管、
16 ボール弁式逆止弁、 17 ケース、 18 通路、 19 エポキシ樹脂、 51 ケーシング本体、 52 仕切り壁、 53 第1の空間、 54 第2の空間、
55 カバー、 56 カバー部材、 61 ケーシング本体、 62 孔、
63 蓋体、 64 閉塞部、 65 端面、 66 孔、 67 幅狭部、
68 可動板、 69 ねじ、 70 突出部、 71 ストッパ、
72 切り込み部、 73 孔、 74 端壁、 75 操作部、 76 接続具、 77 テーパ面、 78 阻止部、 80 ガイド板、 81 固定板、 82 孔、
83 突出部、 84 ねじ、 85 フレキシブルパイプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機の後方に埋設管を結合した推進体を、上記推進体の埋設管の外周部に薬剤を注入しながら掘削、推進させ上記埋設管によって形成される管路を敷設する推進シールド工法において、上記埋設管内に設けられ、上記薬剤を供給する薬剤供給管にカプラを介して接続されたボール弁式逆止弁を上記カプラと離隔した位置でボールの自重が逆止弁の閉塞方向に作用するように上記埋設管の側壁に埋設状態で装着すると共に、上記ボール弁式逆止弁から送出される薬剤を上記埋設管の外周部に吐出する第2の逆止弁を上記埋設管の管壁部に設けたことを特徴とする推進シールド工法における薬剤注入装置。
【請求項2】
上記ボール弁式逆止弁と第2の逆止弁は1つのケースに収容されていることを特徴とする請求項1記載の推進シールド工法における薬剤注入装置。
【請求項3】
上記第2の逆止弁はバタフライ型の弁体を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の推進シールド工法における薬剤注入装置。
【請求項4】
上記カプラはプラグと、このプラグに着脱可能に結合されるソケットとから構成されると共に、推進作業の終了後に上記薬剤供給管及び送泥管、排泥管を撤去して上記ソケットを上記プラグから引き外した時、上記プラグの入力側を閉塞する撤去閉塞手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の推進シールド工法における薬剤注入装置。
【請求項5】
上記撤去閉塞手段は、上記カプラを装着するケーシング本体と、上記カプラのソケットに結合された薬剤供給管を外部に導出する孔を有し、上記ケーシング本体をカバーする蓋体と、上記蓋体上を摺動し得るように設けられた閉塞部及びこの閉塞部より幅狭に形成され、かつ上記閉塞部の端面に容易に切断し得るように結合され上記孔に対応した孔を有する幅狭部を備えた可動板と、上記ケーシング本体に固定され、上記可動板の摺動時に上記可動板の閉塞部が上記孔を閉塞した状態で上記閉塞部の端面と当接し、上記閉塞部の摺動を停止させると共に、上記可動板の幅狭部を上記閉塞部から切断、分離させる突出部とから構成されることを特徴とする請求項4記載の推進シールド工法における薬剤注入装置。
【請求項6】
上記可動板の幅狭部と閉塞部との結合部に両者の切断、分離を容易にする切り込み部が設けられたことを特徴とする請求項5記載の推進シールド工法における薬剤注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−95491(P2008−95491A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236443(P2007−236443)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(505358679)
【出願人】(506292262)ヤスダエンジニアリング株式会社 (8)
【Fターム(参考)】