説明

掻込みリールのタイン取付け構造

【課題】タインの耐久性の向上を図れると共に、タインの交換手間の軽減を図る。
【解決手段】タイン支持バー本体42Aの下方に、チャンネル部材42Bの上フランジ70を沿わせて取り付けてあり、チャンネル部材42Bのウェブ71に、長手方向に間隔をあけて多数本のタイン45を並列装着してある掻込みリールのタイン取付け構造であって、タイン45は、被取付部80Aを上端部に設け、下端部側に垂下棒状部81を設け、横軸芯周りに螺旋形状のコイルばね部80Bを被取付部80Aに隣接させて設けて構成してあり、各タイン45は、被取付部80Aをチャンネル部材42Bのウェブ71に固定するネジ部材73の部材軸芯jが、コイルばね部80Bの螺旋最高部80Baと螺旋最低部80Bbとの高さ範囲内に位置する状態で、個別のネジ部材73で取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右のリールフレームに亘って設けられたタイン支持バー本体の下方に、タインを取付可能なチャンネル部材の上フランジを沿わせて取り付けてあり、前記チャンネル部材のウェブに、長手方向に間隔をあけて多数本のタインを並列装着してある掻込みリールのタイン取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の掻込みリールのタイン取付け構造としては、タインの上端部を、タイン支持バー本体に固着されたチャンネル部材と、そのチャンネル部材より高さ寸法の小さな小チャンネル部材とで挟む状態でネジ固定してあるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
取付対象の前記タインは、ネジ部材によって前記チャンネル部材に取り付けられる被取付部を上端部に設け、下端部側に垂下棒状部を設け、且つ、掻込みリールの回転駆動に伴う掻込み反力による垂下棒状部の曲げ変位を、弾性変形によって吸収可能な横軸芯周りに螺旋形状のコイルばね部を前記被取付部に隣接させて設けて構成してあり、前記被取付部を、前記チャンネル部材と小チャンネル部材との間に配置して、前記ネジ部材で挟む状態に取り付けてある。
また、タインは、前記コイルばね部が前記小チャンネル部材の下フランジの下面に当接する状態に取り付けてあり、コイルばね部と、その上方に位置する前記被取付部とは、連結棒状部を介して一体的に形成してある。
また、前記チャンネル部材と小チャンネル部材とは長尺に形成してあり、前記タインの複数個は、それら一対の前記チャンネル部材で一度に挟持固定されている。
一方、前記チャンネル部材の下フランジには、複数のスリットが形成してあり、前記タインの前記垂下棒状部をそのスリットに挿通させて、前記タインが前記ネジ部材の部材軸芯周りに揺動するのを防止してある。
また、前記被取付部と連結棒状部と前記コイルばね部からなるタイン頭部は、前記チャンネル部材の上フランジと下フランジとの間の溝内に、上下それぞれに隙間をあけて余裕のある状態に、且つ、そのすべてが前記溝内に納まる状態に取り付けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−439号公報(図1、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の掻込みリールのタイン取付け構造によれば、前記掻込みリールの回転駆動に伴う掻込み反力によってタイン先端側の前記垂下棒状部に変位が発生すると、基端側に大きな曲げモーメントが作用する。
この曲げ応力は、前記コイルばね部と共に、連結棒状部にも作用するが、連結棒状部は、コイルばね部より基端側に位置していると共に、コイルばね部の螺旋構造と異なって直線状の部分であるから、この連結棒状部に曲げ力の応力集中が起こりやすい。
従って、連結棒状部が塑性変形したり、繰り返し荷重によって疲労破壊するおそれがあった。
また、タインに塑性変形や疲労破壊が発生すれば、該当するタインのみを取り替えることになるが、一つのタインを交換するにも、前記小チャンネル部材を取り外す必要があるから、小チャンネル部材で固定されている他のタインもネジ部材を外す必要があり、部品交換に手間が掛かる問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、タインの耐久性の向上と、タインの交換手間の軽減を図れる掻込みリールのタイン取付け構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、左右のリールフレームに亘って設けられたタイン支持バー本体の下方に、タインを取付可能なチャンネル部材の上フランジを沿わせて取り付けてあり、前記チャンネル部材のウェブに、長手方向に間隔をあけて多数本のタインを並列装着してある掻込みリールのタイン取付け構造であって、前記タインは、ネジ部材によって前記チャンネル部材に取り付けられる被取付部を上端部に設け、下端部側に垂下棒状部を設け、且つ、前記掻込みリールの回転駆動に伴う掻込み反力による前記垂下棒状部の曲げ変位を、弾性変形によって吸収可能な横軸芯周りに螺旋形状のコイルばね部を前記被取付部に隣接させて設けて構成してあり、前記各タインは、前記被取付部を前記チャンネル部材のウェブに固定するネジ部材の部材軸芯が、前記コイルばね部の螺旋最高部と螺旋最低部との高さ範囲内に位置する状態で、個別のネジ部材で取り付けてあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、タインは、被取付部を上端部に設け、下端部側に垂下棒状部を設け、コイルばね部を被取付部に隣接させて設けて構成してあり、前記各タインは、前記被取付部をチャンネル部材のウェブに固定するネジ部材の部材軸芯が、前記コイルばね部の螺旋最高部と螺旋最低部との高さ範囲内に位置する状態で、チャンネル部材のウェブに固定してあるから、従来のような連結棒状部を省略でき、タインの先端部に作用する変位を、主に、前記コイルばね部の弾性変形によって吸収することができるようになる。
従って、タインの塑性変形や疲労破壊を生じ難くでき、タインの耐久性の向上を図ることが可能となる。
また、各タインは、チャンネル部材に対して個別のネジ部材で取り付けてあるから、部品交換の際、各タインを個別に着脱操作することができる。
従って、タインの交換手間の軽減を図ることができる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記タインは、前記チャンネル部材の下フランジに形成したスリットに前記垂下棒状部を挿通した状態で、且つ、前記被取付部と前記コイルばね部を備えたタイン頭部の最高部が、前記チャンネル部材の上フランジの下面に近接する状態に取り付けてあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、前記チャンネル部材の下フランジに形成したスリットにタインの垂下棒状部を挿通した状態で、被取付部をチャンネル部材のウェブに取り付けてあるから、スリット幅方向への垂下棒状部の移動は、スリット縁部によって拘束される。従って、タインが被取付部のネジ部材の部材軸芯周りに揺動するのを防止できる。
更には、前記被取付部と前記コイルばね部を備えたタイン頭部の最高部が、前記チャンネル部材の上フランジの下面に近接する状態に取り付けてあるから、掻込みリールの回転に伴って、タインに突き上げ力が作用した場合に、タイン頭部の最高部を、前記チャンネル部材の上フランジによって支持することができる。
従って、前記突き上げ力の作用に伴う被取付部の固定ネジ部材への負担を軽減できると共に、仮に、ネジ部材が緩んでいて固定力が減少していても、前記チャンネル部材の上フランジによって突き上げ力を受け止めることができるから、タインが不用意に外れるのを防止できる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記タインは、前記被取付部を固定する前記ネジ部材の部材軸芯が、前記コイルばね部の螺旋最高部における内周面と同じ又は略同じ高さに位置し、且つ、前記被取付部が前記タイン頭部の最高部となるように形成してあり、前記タイン頭部の高さ寸法は、前記チャンネル部材の上下フランジ間隔寸法と同じ又は略同じ値に設定してあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、前記タインは、前記被取付部を固定する前記ネジ部材の部材軸芯が、前記コイルばね部の螺旋最高部における内周面と同じ又は略同じ高さに位置させてあるから、コイル頭部としては、コイルばね部の螺旋延長上に被取付部を形成したシンプルな形状にすることができ、タインの加工上のコストダウンを叶えることができる。
また、前記被取付部が前記タイン頭部の最高部となるように形成してあるから、タインに対する突き上げ力を、被取付部によって前記チャンネル部材の上フランジに伝えることができる。従って、突き上げに対し、上フランジによる支持力と、被取付部の固定ネジ部材による固定力の両方で対抗することができ、より安定した固定状態を維持することができる。更には、コイルばね部は被取付部に隣接しているから、垂下棒状部から作用する突き上げ力と被取付部での支持力とは偶力となるが、この偶力を、コイルばね部の弾性変形によって柔軟に吸収することができ、衝撃を伴う突き上げ力が作用しても、被取付部を固定しているネジ部材への衝撃緩和を図ることができ、ネジが緩み難い。
因みに、弾性変形部分であるコイルばね部を、上フランジに当接させて突き上げ力に対抗することも考えられるが、この場合は、上フランジでコイルばね部を拘束するから、コイルばね部の弾性変形に悪影響を与えるおそれがあると共に、双方が擦れることによって損耗するおそれもあり、この意味からしても、被取付部を上フランジに当接させる構造の方が好ましい。
また、前記タイン頭部の高さ寸法は、前記チャンネル部材の上下フランジ間隔寸法と同じ又は略同じ値に設定してあるから、チャンネル部材を従来に比べて最小限の寸法にでき、小寸法のチャンネル部材使用によるコストダウンをも叶えることができる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記タインは、前記コイルばね部の螺旋の一部が、上下フランジの外縁部どうしを結ぶ直線より外方に突出する状態に取り付けてあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、上下フランジの外縁部どうしを結ぶ直線より外方に突出するコイルばね部の螺旋の一部は、コイルばねとしての機能を果たすと共に、例えば、タインのメンテナンス等によってチャンネル部材に対するタインの着脱時に、外方への突出部を指で摘んで操作することができ、チャンネル部材へのタインの着脱作業を効率よく実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの前部の左側面図
【図2】掻込みリールの正面図
【図3】タインの取付状況を示す説明図
【図4】別実施形態のタイン取付け構造
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の掻込みリールのタイン取付け構造を採用した普通型のコンバインの前部の左側面図である。
コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1,1によって自走し、かつ運転座席2aが装備された運転部2を有した走行機体と、この走行機体の機体フレーム3の後部側に設けた脱穀機4と、この脱穀機4の横側に設けた袋詰めタンク11が装備された穀粒袋詰め部10と、前記脱穀機4の前部にフィーダ21が連結された刈取り部20とを備えて構成してある。
【0017】
このコンバインは、稲、麦などを収穫する。
すなわち、刈取り部20は、前記フィーダ21を備える他、このフィーダ21の前端部に連結された刈取りフレーム22と、この刈取りフレーム22の前端部の両横側に設けたデバイダ23と、前記刈取りフレーム22にこれのプラットホーム部22aの前端部に配置して駆動自在に設けたバリカン形の刈取り装置24と、前記刈取りフレーム22に前記刈取り装置24の後方近くで、かつ前記プラットホーム部22aの上面側に配置して駆動回転自在に設けたオーガ25と、前記刈取りフレーム22の基端側の上部から前方向きに延出している左右一対の支持アーム26,26に駆動回転自在に支持された掻込みリール27とを備えて構成してある。
【0018】
前記刈取り部20は、前記フィーダ21が油圧シリンダ28によって機体横向きの昇降軸芯Pまわりに脱穀機4に対して上下に揺動操作されることにより、刈取りフレーム22の前記プラットホーム部22aが地面近くに下降した下降作業状態と、刈取りフレーム22が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。刈取り部20を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部20は、植立穀稈の刈取り処理と、刈取り穀稈の脱穀機4への供給とを行う。
【0019】
すなわち、左右一対のデバイダ23,23によって植立穀稈を刈取り対象と非刈取り対象とに分草し、刈取り対象の植立穀稈を、掻込みリール27によって刈取り装置24に掻き込みながらこの刈取り装置24によって刈り取る。刈取り穀稈をオーガ25によってオーガ25の後側に位置するフィーダ21の入り口に送り込む。フィーダ21に入り込んだ刈取り穀稈を、フィーダ21の内部に位置するコンベヤ29によってフィーダ21の内部を後方に搬送する。フィーダ21の後端部に至った刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を前記コンベヤ29の掻き送り作用によって脱穀機4の扱室(図示せず)に投入する。
【0020】
次に、前記掻込みリール27について説明する。
図2は、前記掻込みリール27の正面図である。図に示すように、前記掻込みリール27は、前記一対の支持アーム26,26の先端部に回転自在に支持された駆動軸40と、この駆動軸40の左右端部に一体回転自在に設けた走行機体側面視で五角形のリールフレーム41と、左右一対のリールフレーム41,41にわたって掻込みリール27に周方向に並ぶと共にリールフレーム41の五つの頂部に一本ずつ位置する配置で設けた円形のパイプ材とチャンネル部材とで成るタイン取付バー42とを備えて構成してある。
【0021】
前記各リールフレーム41は、リールフレーム本体に備えた板金製の五本のアーム41aと、各アーム41aの先端部に設けた樹脂製のブロック体43と、前記五つのブロック体43にわたって巻回され、前記ブロック体43との共締めボルトで前記アーム41aに連結された環状の帯板44とを備えて構成してある。前記各ブロック体43は、前記タイン取付バー42を回転自在に取り付ける取り付け部を構成している。環状の帯板44は、各アーム41aの部位で分割された分割帯板材によって構成してある。
【0022】
掻込みリール27は、前記各タイン取付バー42に前記駆動軸40が有する掻込みリール回転軸芯X(以下、リール回転軸芯Xと略称する。)の方向に並べて設けたタイン45と、掻込みリール27の一方の横外側に設けた走行機体側面視で五角形の補助回転体61を有したタイン保持機構60とを備えている。
このタイン保持機構60は、掻込みリール27の回転に伴い、補助回転体61を掻込みリール27からリンク63を介して伝達される駆動力によって前記リール回転軸芯Xとは異なる軸芯Zまわりに回転させ、各タイン取付バー42をリンク63によって回転操作して各タイン取付バー42をリールフレーム41に対して回転操作し、各タイン取付バー42のタイン45を、掻込みリール27の回転にかかわらずタイン取付バー42から下方向きに延出した姿勢を保持するよう構成されている。
【0023】
掻込みリール27は、図1に示すように、前記一対の支持アーム26,26の一方と刈取りフレーム22とに連結した油圧シリンダ50によって一対の支持アーム26,26が連結軸51の軸芯Yまわりに刈取りフレーム22に対して上下に揺動操作されることにより、下降作業状態と上昇非作業状態とに昇降する。
左右一対の支持アーム26,26が下降操作されて掻込みリール27の下端側が地面Gの近くに位置すると、掻込みリール27が低位置側の下降作業状態になる。すると、駆動軸40の回転によって掻込みリール27がリール回転軸芯Xまわりに回転し、各タイン取付バー42のタイン45をリール回転軸芯Xまわりに回転方向Aに回転させる。
各タイン45は、前記タイン保持機構60の作用によってタイン取付バー42から下方向きに延出した姿勢を保持した状態で回転し、植立穀稈に係止しながら刈取り装置24に掻き込み供給する。
【0024】
前記タイン取付バー42は、図3に示すように、金属パイプ製のタイン支持バー本体42Aの下面に、溝開口をコンバイン前方に向けた状態に沿わせたチャンネル部材42Bを一体に固着して構成してある。
前記チャンネル部材42Bは、上フランジ70、ウェブ71、下フランジ72とを備えて構成してあり、前記上フランジ70を前記タイン支持バー本体42Aに沿わせて溶接することで、タイン支持バー本体42Aとの一体化が図られている。
ウェブ71には、長手方向に間隔をあけてタイン取付用の複数の挿通孔71aが形成してある。
下フランジ72には、後述するタイン45の垂下棒状部81を挿通させてタイン45の横ぶれを防止するスリット72aが、各タイン取付位置に対応させて形成してある。
【0025】
前記タイン45は、金属バネ材で構成してあり、タイン頭部80の下方に垂下棒状部81を一体に設けて構成してある。
タイン頭部80は、ネジ部材73によってチャンネル部材42Bのウェブ71に取り付けられる被取付部80Aを上端部に設けると共に、横軸芯周りに螺旋形状のコイルばね部80Bを前記被取付部80Aに連設させて構成してある。前記被取付部80Aは、リング形状に成形してあり、リング中空部に平ワッシャ73aを備えた前記ネジ部材73を挿通させて前記ウェブ71に固定できるように構成してある。また、コイルばね部80Bは、当実施形態においては、二条の螺旋形状に成形してあり、前記掻込みリール27の回転駆動に伴う植立穀稈や地面G等からの掻込み反力による前記垂下棒状部81の曲げ変位を、縮径方向(又は拡径方向)の弾性変形によって吸収できるように構成されている。
また、被取付部80Aとコイルばね部80Bとの位置関係は、図3に示すように、被取付部80Aを固定する前記ネジ部材73の部材軸芯jが、前記コイルばね部80Bの螺旋最高部80Baにおける内周面nと同じ高さ(又は略同じ高さ)に位置している(図3 (b)参照)。
【0026】
従って、タイン45をチャンネル部材42Bに取り付けた状態では、前記被取付部80Aの上端部がタイン頭部80の最高部となり、被取付部80Aは、前記チャンネル部材42Bの上フランジ70の下面に近接する状態(少し隙間が形成される状態、又は当接する状態、又は略当接する状態)に取り付けられている。タイン45下方からの突き上げ力が作用した場合、前記ネジ部材73による固定力と、被取付部80Aが当接する上フランジ70の支持力とが共に作用してタイン45の取付状態を安定維持できる。
【0027】
因みに、前記被取付部80Aの上端部から、コイルばね部80Bの螺旋最低部80Bbまでのタイン頭部高さ寸法hは、前記チャンネル部材42Bの上フランジ70と下フランジ72との間隔寸法と同じ値(又は略同じ値)に設定してあり、タイン頭部80をチャンネル部材42Bの溝内に余分なスペースをつくることなく納めることができ、使用するチャンネル部材42Bを最小限の寸法のものにでき、コストダウンを図ることができる。
また、タイン45は、前記コイルばね部80Bの螺旋の一部が、チャンネル部材42Bの上下フランジ70,72の外縁部どうしを結ぶ直線より外方に突出する状態に構成してあり(図3(a)参照)、この突出部は、例えば、タイン45のメンテナンス(点検や修理や交換)等によってチャンネル部材42Bに対するタイン45の着脱時に、指で摘んで操作することができ、メンテナンス作業を効率よく実施できる。
【0028】
当該実施形態のタイン取付け構造によれば、被取付部45aに近接させてコイルばね部80Bを配置してあるから、タイン45の先端部に作用する変位を、主に、前記コイルばね部80Bの弾性変形によって効率的に吸収することができ、タイン45の塑性変形や疲労破壊を生じ難くして、タイン45の耐久性の向上を図ることが可能となる。
また、各タイン45の交換を個別に実施できるから、タイン45の交換手間の軽減を図ることができる。
更には、タイン45に突き上げ力が作用しても、タイン取付バー42によって安定した支持状態を維持できる。
一方、タイン45の形状も、極めて単純な形状であること、及び、チャンネル部材42Bをタイン頭部80の寸法に近いコンパクトなものにできることから、タイン45の加工コストや、チャンネル部材42Bの材料コストを低減することができる。
更には、コイルばね部80Bの螺旋の一部が、チャンネル部材42Bより前方に突出しているから、その突出部を指で摘んで操作することができ、タイン45の着脱作業を効率よく実施できる。
【0029】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0030】
〈1〉 タイン45の取付対象の掻込みリール27、及び、その掻込みリール27を備えたコンバイン等は、先の実施形態で説明した構造のものに限るものではなく、適宜、構造変更が可能である。
〈2〉 タイン45は、先の実施形態で説明した形状に限るものではなく、例えば、図4に示すように、前記被取付部80Aを前記チャンネル部材42Bのウェブ71に固定するネジ部材73の部材軸芯jが、前記コイルばね部80Bの螺旋最高部80Baと螺旋最低部80Bbとの高さ範囲内で、前記コイルばね部80Bの螺旋最高部80Baにおける内周面と高さが異なるように位置する形状であってもよい。
タイン45をチャンネル部材42Bに取り付けた状態でのタイン頭部80の最高部は、先の実施形態で説明した前記被取付部80Aの上端部であることに限らず、図4に示すように、コイルばね部80Bの螺旋最高部80Baであってもよい。
当該別実施形態のものは、前記部材軸芯jが、螺旋最高部80Baと螺旋最低部80Bbとの高さ範囲内でも、中央部より下方寄りの位置に設定してあり、タイン頭部高さ寸法hを、更に、小さくすることができ、それに伴って、チャンネル部材42Bの部材断面の縮小化をも可能となり、より経済性の向上を図ることが可能となる。
更には、タイン45下方からの突き上げ力が作用した場合は、ネジ部材73による固定力と、前記螺旋最高部80Baが当接する上フランジ70の支持力とが共に作用してタイン45の取付状態を安定維持できる。
また、タイン頭部80の高さ寸法とチャンネル部材42Bの上下フランジ間隔寸法とを同じ値(又は略同じ)に設定してあることで、タイン頭部80は、その上下両端部が前記両フランジ70,72によって拘束されるから、チャンネル部材42Bの溝内で上下方向に揺動し難くなる。その結果、タイン45に対する突き上げ力や、垂下棒状部81に対する横ぶれ力等の外力が繰り返して作用しても、タイン頭部80がネジ部材73の部材軸芯j周りに揺動し難く、ネジの緩みを防止でき、安定した取付状態を維持することができる。この作用は、先の実施形態で説明したものについても同様に発揮されるが、図4に示す実施形態のものは、より顕著である。
【0031】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
当該掻込みリールのタイン取付け構造は、袋詰めタンクに替えてグレンタンクを搭載した普通型のコンバインにも利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
41 リールフレーム
42A タイン支持バー本体
42B チャンネル部材
45 タイン
70 上フランジ
71 ウェブ
72 下フランジ
72a スリット
73 ネジ部材
80 タイン頭部
80A 被取付部
80B コイルばね部
80Ba 螺旋最高部
80Bb 螺旋最低部
81 垂下棒状部
h タイン頭部高さ寸法
j 部材軸芯(ネジ部材軸芯)
n 内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のリールフレームに亘って設けられたタイン支持バー本体の下方に、タインを取付可能なチャンネル部材の上フランジを沿わせて取り付けてあり、前記チャンネル部材のウェブに、長手方向に間隔をあけて多数本のタインを並列装着してある掻込みリールのタイン取付け構造であって、
前記タインは、ネジ部材によって前記チャンネル部材に取り付けられる被取付部を上端部に設け、下端部側に垂下棒状部を設け、且つ、前記掻込みリールの回転駆動に伴う掻込み反力による前記垂下棒状部の曲げ変位を、弾性変形によって吸収可能な横軸芯周りに螺旋形状のコイルばね部を前記被取付部に隣接させて設けて構成してあり、前記各タインは、前記被取付部を前記チャンネル部材のウェブに固定するネジ部材の部材軸芯が、前記コイルばね部の螺旋最高部と螺旋最低部との高さ範囲内に位置する状態で、個別のネジ部材で取り付けてある掻込みリールのタイン取付け構造。
【請求項2】
前記タインは、前記チャンネル部材の下フランジに形成したスリットに前記垂下棒状部を挿通した状態で、且つ、前記被取付部と前記コイルばね部を備えたタイン頭部の最高部が、前記チャンネル部材の上フランジの下面に近接する状態に取り付けてある請求項1に記載の掻込みリールのタイン取付け構造。
【請求項3】
前記タインは、前記被取付部を固定する前記ネジ部材の軸芯が、前記コイルばね部の螺旋最高部における内周面と同じ又は略同じ高さに位置し、且つ、前記被取付部が前記タイン頭部の最高部となるように形成してあり、前記タイン頭部の高さ寸法は、前記チャンネル部材の上下フランジ間隔寸法と同じ又は略同じ値に設定してある請求項2に記載の掻込みリールのタイン取付け構造。
【請求項4】
前記タインは、前記コイルばね部の螺旋の一部が、上下フランジの外縁部どうしを結ぶ直線より外方に突出する状態に取り付けてある請求項1〜3の何れか一項に記載の掻込みリールのタイン取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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