換気装置
【課題】 本発明は、空調装置が消費するエネルギの量を抑えつつ車内環境を良くすることができる換気装置を提供する。
【解決手段】 換気装置60は、車内10aの空気を吸気するとともに当該吸気した空気を空気調和した後車内10aに戻す内気循環運転が可能な空調装置20と、車外10bより外気を、空調装置20を通さずに車内10aに導入可能な換気口部61と、換気口部61を通して外気を車内に送風可能な送風機62と、送風機62の動作を制御する制御部26とを備える。
【解決手段】 換気装置60は、車内10aの空気を吸気するとともに当該吸気した空気を空気調和した後車内10aに戻す内気循環運転が可能な空調装置20と、車外10bより外気を、空調装置20を通さずに車内10aに導入可能な換気口部61と、換気口部61を通して外気を車内に送風可能な送風機62と、送風機62の動作を制御する制御部26とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に設けられる換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、車室内の環境(温度など)を乗員にとって過ごしやすいように調整(調和)する空調装置を備えている。空調装置は、例えば車体の前側部分、具体的にはインストルメントパネルの内側に配置されている。
【0003】
空調装置は、当該装置内にクーリングユニットやヒータユニットとなどを備えており、空調を行っている。空調装置は、車室内の空気を循環しながら空調(空気を調整すること、空気調和)する内気循環モードと、車外の空気を導入し、当該導入された空気を空調する外気導入モードとを有している(例えば、特許文献1,2参照)。これら、内気循環モードと外気導入モードとは、空調装置のスイッチ操作(内気循環モードまたは外気導入モードの選択)により、切り換えられる。
【0004】
一方、空調装置は、当該空調装置の運転モードとして、マニュアルエアコンモードと、オートエアコンモードを有している。マニュアルエアコンモードは、車内に噴出される空気(空調された後の空気)の温度や、噴出される空気の風量などを乗員が調整する。
【0005】
オートエアコンモードでは、乗員が温度を設定すると、車室内の温度が当該設定された温度になるように空調装置の動作が制御される。オートエアコンモードでは、各設定に基づいて、内気循環モードと外気導入モードとが自動的に選択される。例えば、窓ガラスのくもりを取り除くべくまたは窓ガラスがくもらないようにするべく空気を窓ガラスに当てるように設定されている場合では、外気導入モードが選択される。また、車室内を早急に冷却する場合では、内気循環モードが選択される。
【特許文献1】特開2000−13598号公報
【特許文献2】特開2006−1310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内気循環モードが選択されると、車内の空気が循環されるため、乗員の呼吸によって、車内の空気中の二酸化炭素濃度が増加するとともに湿度が上昇する傾向にある。車内の空気中の二酸化炭素濃度が増加すると乗員に対して好ましくない。また、車内の湿度が上昇すると、窓がくもりやすくなる傾向にあり、運転者の視界が確保されにくくなるので好ましくない。このため、外気導入モードを併用することによって窓くもりを抑制することが行われる。
【0007】
一方、乗員が空調装置を用いて車内の温度を快適な温度に調整(調和)する場合、車外の温度と車室内の温度との温度差が生じている。特に、夏や冬では、特に温度差が大きくなる傾向にある。このため、オートエアコンモード中に外気循環モードが選択されると、導入された外気温を調整するために、空調装置で用いられるエネルギ量が大きくなる傾向にある。
【0008】
本発明の目的は、空調装置が消費するエネルギの量を抑えつつ車内環境を良くすることができる換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明の換気装置は、車内の空気を吸気するとともに当該吸気した空気を空気調和した後前記車内に戻す内気循環運転が可能な空調装置と、車外より外気を、前記空調装置を通さずに前記車内に導入可能な換気口部と、前記換気口部を通して外気を車内に送風可能な送風機と、前記送風機の動作を制御する制御部とを備える。
【0010】
請求項2に係る発明の換気装置では、請求項1に記載の換気装置において、前記制御部は、前記車内の湿度が所定の湿度以上となると前記送風機を動作させる。
【0011】
請求項3に係る発明の換気装置では、請求項2に記載の換気装置において、前記制御部は、前記車内の温度にもとづいて前記車内の湿度を求めるマップを備える。
【0012】
請求項4に係る発明の換気装置では、請求項2に記載の換気装置において、前記車内の湿度を検出する湿度検出センサを備える。
【0013】
請求項5に係る発明の換気装置では、請求項1に記載の換気装置において、前記制御部は、前記車内の二酸化炭素濃度が所定の二酸化炭素濃度以上となると前記送風機を動作させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の換気装置は、空調装置のエネルギの消費を抑えつつ、車内の環境を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態に係る換気装置を、図1〜5を用いて説明する。図1は、本実施形態の換気装置60を備える自動車10を示す側面図である。なお、自動車10は、本発明で言う車両の一例である。図1中では、車内10aの様子を示すために、乗員の乗降用のドアと着座用シートとなどが省略されている。
【0016】
図1に示すように、自動車10は、車室内の温度を調整(調和)する空調装置20と、車内10aに車外10bの空気を導く換気装置60とを備えている。空調装置20は、一例として、インストルメントパネル11内に収容されている。
【0017】
図2は、自動車10を概略的に示す概略図である。なお、図2中では、インストルメントパネル11は、切りかかれて一部が示されている。また、図2中、自動車10の前後には、各々一対の前輪16と後輪17とが設けられている。図2に示すように、空調装置20は、ハウジング21と、クーリングユニット22と、ヒータユニット23と、ブロワユニット24と、スイッチ部25と、制御部26と、車室内の温度を検出する温度検出センサ27となどを備えている。空調装置20は、本発明で言う空調装置の一例である。
【0018】
ブロワユニット24と、クーリングユニット22と、ヒータユニット23とは、ハウジング21内に収容されている。ハウジング21には、当該ハウジング21内に車内10aの空気を導入可能な吸気口28が設けられている。吸気口28は、車内10aに露出している。
【0019】
ブロワユニット24は、ハウジング21内において吸気口28の近傍に配置されている。ブロワユニット24は、吸気口28を通して車内10aの空気をハウジング21内に導入する。本実施形態の空調装置20は、車内10aの空気を循環する(車内10aの空気をブロワユニット24によってハウジング21内に導入し、当該導入された空気を空調し、空調された空気を再び車内10aに戻す)内気循環式である。なお、内気循環式とは、本願発明で言う、内気循環運転可能であることの一例である。
【0020】
クーリングユニット22は、吸気口28より導入された空気を冷却する機能を有している。ヒータユニット23は、吸気口28より導入された空気を暖める機能を有している。
【0021】
なお、ハウジング21内には、吸気口28から導入された空気を、クーリングユニット22を通して冷却した後再び車内10aに戻す流路と、ヒータユニット23を通して暖めた後再び車内10aに戻す流路とが設けられている。この流路は、図示しないダンパなどによって切り替えられる。
【0022】
制御部26は、クーリングユニット22とブロワユニット24とヒータユニット23と上記されたダンパとなどの動作を制御する。なお、図2中では、制御部26は、クーリングユニット22と、ヒータユニット23と、ブロワユニット24とから離れた位置に図示されているが、制御部26の位置は、図示される位置に限定されるものでない。
【0023】
スイッチ部25は、インストルメントパネル11に設けられており、乗員(例えば運転者)によって操作しやすい位置に配置されている。スイッチ部25を正面から見た状態を、図2中に拡大して示している。
【0024】
スイッチ部25には、噴出される空気の温度を調整する温度スイッチ30と、車内10aに噴出される風の風量を調整する風量スイッチ40と、車内10aにおいて空調された後の空気を噴出する噴出し口のうちいずれかを選択する噴出し口スイッチ50などが設けられている。
【0025】
温度スイッチ30の操作部31は、回転式である。操作部31の周囲には、決定印32が設けられている。操作部31は、決定印32に対して回転可能である。操作部31には、各温度を示す目盛33が設けられている。操作部31を回転することによって目盛33の位置が調整される。温度を示す目盛33のうち、決定印32と重なる位置の温度が選択される。後述されるマニュアルエアコンモードでは、空気は、決定印32と重なる位置の温度で噴出されるようになる。後述されるオートマニュアルエアコンモードでは、車内10aの温度は、決定印32と重なる位置の温度に保たれるよう制御される。
【0026】
風量スイッチ40の操作部41は、回転式である。操作部41の周囲には、決定印42が設けられている。操作部41は、決定印42に対して回転可能である。操作部41には、噴出される風量を示す目盛43と、OFF印44と、AUTO印45とが設けられている。
【0027】
操作部41が操作されてOFF印44が決定印42と重なると、空調装置20は動作を停止する。操作部41が操作されて風量を示す目盛43のいずれかが決定印42と重なると(風量が設定されると)、空調装置20は、後述されるマニュアルエアコンモードが選択され、かつ、設定された風量で空気が噴出される。
【0028】
噴出し口スイッチ50の操作部51は、回転式である。操作部51の周囲には、決定印52が設けられている。操作部51は、決定印52に対して回転可能である。操作部51には、噴出し口の位置を示す印が設けられている。例えば、デフロスター噴出し口や、足元から噴出す噴出し口などである。
【0029】
操作部51が操作されていずれかの噴出し口を示す印が決定印52と重なると、当該噴出し口が選択され、当該噴出し口から空調された後の空気が噴出する。なお、上記されたスイッチ部25の構造は、一例であって限定されるものではない。
【0030】
制御部26は、上記されたスイッチ部25(スイッチ30,40,50)が操作されると、当該操作にそうように、ブロワユニット24とクーリングユニット22とヒータユニット23と上記されたダンパなどを制御する。
【0031】
空調装置20は、動作のモードとして、マニュアルエアコンモードと、オートエアコンモードとを有している。
【0032】
マニュアルエアコンモードは、車内10aに噴出される空気(空調装置20によって空調された後の空気)の温度を乗員が調整し、空気が噴出される噴出し口を乗員が選択し、噴出される風量(空気の量)を乗員が調整する。これらの調整、選択は、上記されたスイッチ部25を操作することによって行われる。マニュアルエアコンモードは、風量スイッチ40の操作部41の風量を示す目盛43のいずれかが決定印42に合わせられると設定される。
【0033】
なお、クーリングユニット22とヒータユニット23とには、温度センサ22a,23aが設けられている。温度センサ22aは、クーリングユニット22によって調整(調和)された後の空気の温度、つまり、噴出される空気の温度を検出する。温度センサ23aは、ヒータユニット23によって調整(調和)された後の空気の温度、つまり、噴出される空気の温度を検出する。
【0034】
温度センサ22a,23aは、制御部26に接続されており、噴出される空気の温度を把握する。そして、制御部26は、マニュアルエアコンモードが選択された際には、噴出し口から噴出される空気の温度が、乗員によって設定された温度となるように、クーリングユニット22とヒータユニット23との動作を制御する。
【0035】
なお、温度センサ22a,23aに代えて各噴出し口に温度センサを設けて、当該温度センサより得られる噴出される空気の温度に基づいて、クーリングユニット22の動作とヒータユニット23の動作とが制御されてもよい。要するに、噴出される空気の温度が把握される構造であればよい。
【0036】
オートエアコンモードは、車内10aの温度を乗員が設定した温度に保つように空調装置20の動作が制御される運転モードである。オートエアコンモードは、風量スイッチ40の操作部41のAUTO印45が決定印42に合わせられることによって設定される。
【0037】
オートエアコンモードとなると、制御部26は、車室内の温度を、乗員が設定した設定温度に保たれるようにクーリングユニット22の動作とヒータユニット23の動作となどを制御する。このとき、制御部26は、クーリングユニット22またはヒータユニット23に車内10aの空気が供給されるように、かつ、噴出される風量を調整(調和)するために、ブロワユニット24の動作も制御する。
【0038】
オートエアコンモードでの設定温度とは、温度スイッチ30によって設定された温度である。オートエアコンモードでは、噴出し口より噴出される空気の温度はスイッチ30によって設定された温度とは異なり、制御部26によって制御される。なお、噴出し口は、乗員が選択できるようになってもよい。
【0039】
温度検出センサ27は、車内10aの温度を検出する。本実施形態では、温度検出センサ27は、一例として、ハウジング21の近傍に設けられている。温度検出センサ27は、制御部26に接続されており、検出した車内10aの温度を制御部26に送信する。なお、温度検出センサ27は、車内10aの温度を検出できる位置に配置されればよい。
【0040】
制御部26は、オートエアコンモード時には、温度検出センサ27によって検出された車内10aの温度と設定された温度とを比較し、車内10aの温度が設定温度となるようにクーリングユニット22とヒータユニット23とブロワユニット24とを制御する。
【0041】
制御部26は、記憶部29を備えている。記憶部29は、温度に対応する相対湿度を示すマップ29aと、自動車の窓にくもりが生じやすくなる相対湿度のデータ29bとを備えている。
【0042】
マップ29aが示す相対湿度は、各温度に対する当該温度での平均的な相対湿度を示しており、実験や観測などによって得られる。この実験は、自動車10が用いられる場所(国)で行われ、例えば、自動車10が日本で用いられる場合では、上記実験や観測は、日本で行われる。例えば、マップ29aは、季節ごとに対応するよう、複数備えられてもよい。例えば、春用のマップ、梅雨時期のマップ、夏用のマップなどである。春用のマップは、春の各温度に対する相対湿度を示す。夏用のマップは、夏の各温度に対する相対湿度を示す。窓くもりが生じやすくなる相対湿度を示すデータ29bは、実験などによって得られる。
【0043】
図3は、自動車10の後部を示す斜視図である。図1〜3に示すように、換気装置60は、一例として、車体の後部に設けられている。換気装置60は、換気口部61と、送風機62と、二酸化炭素濃度検出センサ63と、換気装置60の動作を制御する制御部とを備えている。
【0044】
換気口部61は、車体の側壁部12に形成されており、車外10bより車内10aに外気を導入可能である。換気口部61の構造の一例としては、側壁部12(本発明で言う車体の一部)に車内10aと車外10bとを連通する連通孔61aが設けられ、当該連通孔に例えばフィルタ61bなどが設けられて雨などの液体が当該換気口部61を通して車内10aに流入しないようになっている。
【0045】
なお、換気口部61は、側壁部12に形成されることに限定されない。換気口部61は、外気を車内10aに導入できる位置に設けられればよい。また、換気口部61の構造は、上記に限定されない。例えば、換気口部61を通して車外10bより雨などの流体が流入するおそれがない場所では、換気口部61の構造は、フィルタがなく連通孔だけであってもよい。
【0046】
送風機62は、換気口部61の近傍に配置されている。送風機62は、ハウジング64と、当該ハウジング64内に収容されるインペラ65となどを備えている。ハウジング64は、換気口部61と例えば管部材66などを介して連結されている。インペラ65が回転すると、換気口部61を通して外気がハウジング64内に導入される。
【0047】
ハウジング64には、車内10a側に向かって開口する供給口67が形成されている。ハウジング64内に導入された外気は、供給口67を通って車内10aに導入される。
【0048】
二酸化炭素濃度検出センサ63は、車室内の空気の二酸化炭素の濃度を検出する。二酸化炭素濃度検出センサ63は、制御部26に接続されており、制御部26に空気中の二酸化炭素濃度を送信する。このため、制御部26は、車室内の空気中の二酸化炭素濃度を把握する。
【0049】
本実施形態では、換気装置60用の制御部として、空調装置20の制御部26が共通して用いられている。言い換えると、制御部26は、換気装置60の制御部としても機能する。制御部26は、送風機62の動作を制御する。なお、制御部26とは別途に、換気装置60用に独立して制御部が設けられてもよい。換気装置60用に別途に制御部が設けられる場合には、二酸化炭素濃度検出センサ63は、換気装置60用の制御部に接続され、検出された二酸化炭素濃度が当該制御部に送信される。
【0050】
また、車体の外壁部を構成する部位には、断熱材が設けられている。一例として、側壁部のインナパネル(図示せず)とアウタパネル(図示せず)との間に、断熱材が設けられている。断熱材によって、車体の外壁部を通して車外10bの温度が車内10aに伝達されることが抑制されて、車内10aの温度が保たれるようになっている。断熱材は、好ましくは、車室全体を覆うように設けられている。
【0051】
つぎに、換気装置60の動作を説明する。まず、換気装置60の動作として、エンジン13が停止した状態での換気装置60の動作を説明する。
【0052】
図4は、エンジン13が停止した状態での換気装置60の動作を示すフローチャートである。エンジン13が停止している状態では、制御部26は、例えば車載バッテリで動作する。または、車体には、太陽電池が設けられており、エンジン13が停止している状態では、制御部26は、太陽電池によって動作するようになっていてもよい。
【0053】
まず、制御部26は、エンジン13が停止すると、ステップST11において、温度検出センサ27によって車内10aの温度を検出する。車内10aが摂氏温度40度以上であると、ステップST12に進む。なお、ステップST11で比較される温度は、摂氏温度40度に限定されない。任意に設定される。
【0054】
ステップST12では、制御部26は、換気装置60を駆動する。このため、換気口部61を通って車外10bの空気(外気)が車内10aに導入される。なお、車内10aの空気は、車体に設けられる隙間を通って車外10bに自然に排出される。車体の隙間としては、例えば図3に示すように乗降用の開口を覆うドア14と乗降用開口との間の隙間15などである。外気が車内10aに導入されることによって、車内10aの温度が低下する。ついで、ステップST13に進む。
【0055】
ステップST13では、制御部26は、温度検出センサ27によって車内10aの温度を検出する。車内10aの温度が摂氏温度35度以上である場合では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)を駆動し続ける。ステップST13において車内10aの温度が摂氏温度35度未満となると、ステップST14に進む。なお、ステップST13で用いられる閾地は、摂氏温度35に限定されない。この温度は、任意に設定される。
【0056】
ステップST14では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)の動作を停止する。また、ステップST11において、車内10aの温度が40未満であると、換気装置60は駆動されない。ステップST11〜ST14までの制御は、エンジン13が停止されている間行われる。
【0057】
エンジン13の駆動の停止中に上記動作が行われることによって、車内10aの温度が高くなることが抑制される。例えば、夏に自動車を駐車場に駐車した際では、車内10aの温度が40度以上となることが抑制されるようになる。このため、乗員が自動車に乗車した際に、車内10aの温度が高くなりすぎるといった車内10a環境が悪くなることが抑制される。
【0058】
つぎに、エンジン13が駆動している状態であって、かつ、空調装置20がオートエアコンモードである状態での換気装置60の動作を説明する。図5は、エンジン13が駆動している状態での換気装置60の動作を示すフローチャートである。
【0059】
図5に示すように、エンジン13が駆動している状態では、まず、ステップST21において、制御部26は、二酸化炭素濃度検出センサ63によって、車内10aの空気中の二酸化炭素濃度を検出する。そして、制御部26は、車内10aの二酸化炭素濃度が、予め設定された所定の二酸化炭素濃度以上であるか否かを判定する。
【0060】
ここで言う、予め設定された所定の二酸化炭素濃度とは、任意に設定される値であり、記憶部29に保存されている。予め設定された二酸化炭素濃度は、一例としては、運転者(乗員)に眠気を生じやすくなる濃度である。運転者に眠気が生じやすくなる濃度は、予め実験などによって得ることができる。ここで言う、運転者に眠気が生じやすくなる二酸化炭素濃度は、本発明で言う所定の二酸化炭素濃度の一例である。
【0061】
ステップST21で、車内10aの二酸化炭素濃度が予め設定される所定濃度以上であると判定されると、ステップST24に進む。ステップST24では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)を駆動する。換気装置60が駆動されることによって外気が車内10aに導入され、それゆえ、車内10aの二酸化炭素濃度が減少する。
【0062】
ステップST21で、車内10aの二酸化炭素濃度が設定濃度未満であると判定されると、ステップST22に進む。ステップST22では、制御部26は、温度検出センサ27によって、車内10aの温度を検出する。そして、制御部26は、車内10aの温度が設定温度以上であるか否かを判定する。なお、ここで言う設定温度とは、乗員が空調装置20をオートエアコンモードにした際に設定した車内10aの設定温度である。
【0063】
ステップST22において、制御部26が、車内10aの温度が設定温度以上であると判定すると、ステップST23に進む。
【0064】
ステップST23では、制御部26は、自動車10の窓(特にフロントガラス18、図1に示す)がくもるおそれがあるか否かを判定する。これは、設定温度が車内10aの温度より低い場合、空調装置20がオートエアコンモードで運転することによって、車内10aの温度は設定温度に近づき、設定温度となる。車内10a温度が低下することによって、空気中の飽和水蒸気量が低下し、それゆえ、相対湿度が上昇する。この結果、窓にくもりが生じやすくなる傾向にあるためである。
【0065】
ステップST23では、まず、制御部26は、温度検出センサ27によって、車内10aの温度を測定する。車内10aの温度は、ステップST22で検出されたデータを用いてもよい。ついで、制御部26は、記憶部に保存されているマップ29aより、温度検出センサ27によって検出された車内10aの温度に対する相対湿度を求める。
【0066】
ついで、制御部26は、マップ29aより得られた車内10aの相対湿度と、設定湿度とを比較する。ここで言う設定湿度とは、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度(データ29b)である。本実施形態では、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度(データ29b)は、本発明で言う所定の湿度の一例である。上記のように、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度29bは、予め実験などによって求められており、記憶部29に保存されている。
【0067】
制御部26は、マップ29aより得られた車内10aの相対湿度が、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度29b以上であると判定すると、ステップST24に進む。
【0068】
ステップST24では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)を駆動する。換気装置60が駆動されることによって、車内10aに外気が導入される。
【0069】
空調装置20は、車内10aの空気が循環される内気循環式である。このため、車内10aの空気中に含まれる水蒸気量は、乗員の呼吸によって増加する。また、車内10aの空気中の二酸化炭素濃度も増加する。しかしながら、ステップST24で換気装置60が駆動されることによって車内10aに外気が導入されるので、車内10aの空気中の水蒸気量が低下し、それゆえ、車内10aの相対湿度が下がる。同様に、車内10aの空気中の二酸化炭素濃度も低下する。
【0070】
ついで、ステップST21に戻る。空調装置20がオートエアコンモードである場合は、ステップST21〜ST25までの動作が繰りかえされる。なお、ステップST22では、車室内の温度が設定温度未満となると、ステップST25に進む。
【0071】
ステップST25では、換気装置60の駆動が停止される。車室内温度が設定温度未満となると、空調装置20は、温度を下げる必要がなくなる。温度が下がらない場合では、空気中の相対湿度が上昇しない。それゆえ、空気中の水蒸気に起因する窓くもりが生じにくくなるためである。
【0072】
図4に示すように、エンジン13の駆動が停止されている場合であっても、換気装置60が動作することによって、車内10aの温度が高くなりすぎることが抑制される。言い換えると、車内10a環境が悪くなることが抑制される。
【0073】
図5に示すように、エンジン13が駆動されて、かつ、空調装置20がオートエアコンモードである場合では、換気装置60が駆動されることによって、車内10aの二酸化炭素濃度が設定濃度より多くなることが抑制され、かつ、窓がくもることが抑制される。この結果、運転者の視界が損なわれることが抑制される。言い換えると、車内10a環境が悪くなることが抑制される。
【0074】
また、換気装置60によって外気が車内10aに取り入れられるため、空調装置20が消費するエネルギ量を小さくすることができる。この点について、具体的に説明する。換気装置60によって外気が車内10aに導入されるため、空調装置20は、車内10aの相対湿度および二酸化炭素濃度を低下すべく外気を導入して当該導入された外気の温度を調整(調和)して車内10aに供給する必要がない。
【0075】
例えば夏などでは、外気の温度と乗員が望む設定温度(オートエアコンモードで乗員が設定する設定温度)との温度差は、比較的大きい。このため、空調装置20が外気を導入して、当該外気の温度を調整(調和)する場合、空調装置20で消費されるエネルギ量は大きくなる傾向にある。
【0076】
しかしながら、本実施形態では、自動車10が換気装置60を備えるため、空調装置20は、外気を導入する構造ではなく車内10aの空気を循環させる内気循環式である。この結果、空調装置20が消費するエネルギ量は小さく抑えることができる。言い換えると、換気装置60を備えることによって、空調装置20は、外気を導入する構造を備えずに、内気循環のみできる構造でよくなる。
【0077】
このように、換気装置60によって、空調装置20が消費するエネルギの量を抑えつつ車内10a環境を良くすることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、空調装置20は、内気循環運転のみを行う構造であるが、内気循環運転を可能な構造に加えて外気を導入可能な構造を有してもよい。具体的には、ハウジング21内に車外の空気を導くとともに当該導かれた空気を空気調和する機能を有していてもよい。このような構造であっても、内気循環運転が可能である。
【0079】
この構造の場合、例えば外気温度の急激な変化に伴い急にフロントガラス18がくもった場合などに、空調装置20を介して外気を導入するとともに導入された空気をフロントガラス18にあてる。このことによって、フロントガラス18のくもりをとることができる。このような場合にのみ空調装置20が外気を導入することによって、空調装置20で消費されるエネルギ量を小さく抑えることができる。
【0080】
また、換気装置60が、空調装置20のオートエアコンモードと連動して動作をすることによって、具体的には、オートエアコンモードが実施される際に設定される設定温度を閾地として用いることによって(ステップST22)、車内10aの二酸化炭素濃度と相対湿度の上昇とを効率よく抑制することができる。
【0081】
この点について具体的に説明する。空調装置20は、オートエアコンモードに設定されると、車内10a温度が設定温度となるように、かつ、設定温度が保持されるように動作をし続ける。空調装置20は、内気循環式である。このため、空調装置20が動作し続けると、乗員の呼吸によって車内10aの二酸化炭素濃度と相対湿度とが上昇する傾向にある。
【0082】
しかしながら、換気装置60がオートエアコンの動作と連動して動作することによって、オートエアコンモード時には換気装置60が動作をするので、二酸化炭素濃度の上昇と相対湿度の上昇とが抑制される。
【0083】
また、車内の湿度を検出するためにマップ29aを備えている。マップ29aを利用することによって、湿度を検出するセンサを用いることがないので、コストを削減することができる。
【0084】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る換気装置を、図6,7を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
本実施形態では、換気装置60の構造と動作とが第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0086】
図6は、本実施形態の自動車10を示す概略図である。図6に示すように、換気装置60は、第1の実施形態で説明された構成に加えて、さらに、湿度検出センサ68を備えている。湿度検出センサ68は、車内10aの空気中の相対湿度を検出する。湿度検出センサ68は、本実施形態では一例としてハウジング64の近傍に設けられている。なお、湿度検出センサ68は、車内10aの相対湿度を検出できる位置に設けられればよい。
【0087】
湿度検出センサ68は、制御部26に接続されている。湿度検出センサ68は、検出した車内10aの相対湿度を示すデータを制御部26に送信する。このため、制御部26は、車内10aの相対湿度を把握する。
【0088】
つぎに、本実施形態での換気装置60の動作を説明する。図7は、エンジン13が駆動している状態での換気装置60の動作を示すフローチャートである。なお、エンジン13が停止している場合の換気装置60の動作は、第1の実施形態と同様である(図4と同様の動作である)。
【0089】
本実施形態では、換気装置60は、空調装置20の動作(オートエアコンモードを含む動作)に連動しないで動作する。言い換えると、換気装置60は、空調装置20が動作している状態および動作していない状態であっても動作する。図7に示すように、まず、ステップST31において、二酸化炭素濃度検出センサ63によって車内10aの空気中の二酸化炭素の濃度が検出される。車内10aの空気中の二酸化炭素濃度が設定濃度以上である場合は、ステップST33に進む。ここで言う設定濃度は、第1の実施形態と同様であり、乗員に眠気が生じやすくなる濃度である(本発明で言う所定の二酸化炭素濃度の一例)。
【0090】
ステップST33では、制御部26は、換気装置60を駆動する。換気装置60が駆動されることによって外気が車内10aに導入される。外気が導入されることによって車内10aの空気中の二酸化炭素濃度が低下する。
【0091】
ステップST31において、二酸化炭素濃度が設定二酸化炭素濃度未満である場合は、ステップST32に進む。ステップST32では、制御部26は、窓くもりが生じやすいか否かを判定する。この動作について、具体的に説明する。
【0092】
まず、制御部26は、湿度検出センサ68によって車内10aの相対湿度を検出する。ついで、制御部26は、車内10aの相対湿度と、設定湿度とを比較する。ここで言う設定湿度とは、窓くもりが生じやすくなる相対湿度29b(第1の実施形態と同様であり、本発明で言う所定の湿度の一例)である。制御部26は、車内10aの相対湿度が窓くもりを生じやすくなる相対湿度以上であると判定すると、ステップST33に進む。
【0093】
ステップST33では、制御部26は、換気装置60を駆動する。換気装置60が駆動されることによって、車外10bの空気が車内10aに導入されるため、車内10aの水蒸気量が低下し、それゆえ、車内10aの相対湿度が低下する。
【0094】
ステップST32において車室内の湿度が設定湿度未満となると、ステップST34に進む。ステップST34では、制御部26は、換気装置60の動作を停止する。
【0095】
本実施形態では、湿度検出センサ68を用いることによって、マップ29aを用いることがなく、車内10aの相対湿度をより正確に検出することができる。このため、本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、車内10aの相対湿度をより正確に検出できるようになる。本実施形態では、制御部26は、マップ29aを備えなくてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、換気装置60は、空調装置20の動作(オートエアコンモードを含む動作)とは関係なく動作するので、車内10aの二酸化炭素濃度と相対湿度とが上昇することを常に抑制することができる。
【0097】
なお、第1の実施の形態においても、湿度検出センサ68が用いられて、当該湿度検出センサ68によって車内10aの二酸化炭素濃度を検出するようにしてもよい。または、第2の実施形態においても、第1の実施形態で説明されたマップ29aを用いて湿度を検出するようにしてもよい。
【0098】
第1,2の実施形態では、本発明で言う所定湿度として、窓くもりが生じやすくなる湿度とした。しかしながら、本発明で言う所定湿度は、窓くもりが生じやすくなる湿度に限定されるものではなく、任意に設定できる値である。
【0099】
同様に、第1,2の実施形態では、本発明で言う所定の二酸化炭素濃度として、乗員に眠気が生じやすくなる二酸化炭素濃度とした。しかしながら、本発明で言う所定の二酸化炭素濃度は、乗員に眠気が生じやすくなる二酸化炭素濃度に限定されるものではなく、任意に設定できる値である。
【0100】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る換気装置を備える自動車を示す側面図。
【図2】図1に示された自動車を示す概略図。
【図3】図1に示された自動車の後部を示す斜視図。
【図4】図2に示された換気装置の、エンジンが停止した状態での動作を示すフローチャート。
【図5】図2に示された換気装置の、エンジンが駆動している状態での動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る換気装置を備える自動車を示す概略図。
【図7】図6に示された換気装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0102】
10b…車外、10a車内、20…空調装置、26…制御部、60…換気装置、61…換気口部、62…送風機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に設けられる換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、車室内の環境(温度など)を乗員にとって過ごしやすいように調整(調和)する空調装置を備えている。空調装置は、例えば車体の前側部分、具体的にはインストルメントパネルの内側に配置されている。
【0003】
空調装置は、当該装置内にクーリングユニットやヒータユニットとなどを備えており、空調を行っている。空調装置は、車室内の空気を循環しながら空調(空気を調整すること、空気調和)する内気循環モードと、車外の空気を導入し、当該導入された空気を空調する外気導入モードとを有している(例えば、特許文献1,2参照)。これら、内気循環モードと外気導入モードとは、空調装置のスイッチ操作(内気循環モードまたは外気導入モードの選択)により、切り換えられる。
【0004】
一方、空調装置は、当該空調装置の運転モードとして、マニュアルエアコンモードと、オートエアコンモードを有している。マニュアルエアコンモードは、車内に噴出される空気(空調された後の空気)の温度や、噴出される空気の風量などを乗員が調整する。
【0005】
オートエアコンモードでは、乗員が温度を設定すると、車室内の温度が当該設定された温度になるように空調装置の動作が制御される。オートエアコンモードでは、各設定に基づいて、内気循環モードと外気導入モードとが自動的に選択される。例えば、窓ガラスのくもりを取り除くべくまたは窓ガラスがくもらないようにするべく空気を窓ガラスに当てるように設定されている場合では、外気導入モードが選択される。また、車室内を早急に冷却する場合では、内気循環モードが選択される。
【特許文献1】特開2000−13598号公報
【特許文献2】特開2006−1310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内気循環モードが選択されると、車内の空気が循環されるため、乗員の呼吸によって、車内の空気中の二酸化炭素濃度が増加するとともに湿度が上昇する傾向にある。車内の空気中の二酸化炭素濃度が増加すると乗員に対して好ましくない。また、車内の湿度が上昇すると、窓がくもりやすくなる傾向にあり、運転者の視界が確保されにくくなるので好ましくない。このため、外気導入モードを併用することによって窓くもりを抑制することが行われる。
【0007】
一方、乗員が空調装置を用いて車内の温度を快適な温度に調整(調和)する場合、車外の温度と車室内の温度との温度差が生じている。特に、夏や冬では、特に温度差が大きくなる傾向にある。このため、オートエアコンモード中に外気循環モードが選択されると、導入された外気温を調整するために、空調装置で用いられるエネルギ量が大きくなる傾向にある。
【0008】
本発明の目的は、空調装置が消費するエネルギの量を抑えつつ車内環境を良くすることができる換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明の換気装置は、車内の空気を吸気するとともに当該吸気した空気を空気調和した後前記車内に戻す内気循環運転が可能な空調装置と、車外より外気を、前記空調装置を通さずに前記車内に導入可能な換気口部と、前記換気口部を通して外気を車内に送風可能な送風機と、前記送風機の動作を制御する制御部とを備える。
【0010】
請求項2に係る発明の換気装置では、請求項1に記載の換気装置において、前記制御部は、前記車内の湿度が所定の湿度以上となると前記送風機を動作させる。
【0011】
請求項3に係る発明の換気装置では、請求項2に記載の換気装置において、前記制御部は、前記車内の温度にもとづいて前記車内の湿度を求めるマップを備える。
【0012】
請求項4に係る発明の換気装置では、請求項2に記載の換気装置において、前記車内の湿度を検出する湿度検出センサを備える。
【0013】
請求項5に係る発明の換気装置では、請求項1に記載の換気装置において、前記制御部は、前記車内の二酸化炭素濃度が所定の二酸化炭素濃度以上となると前記送風機を動作させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の換気装置は、空調装置のエネルギの消費を抑えつつ、車内の環境を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態に係る換気装置を、図1〜5を用いて説明する。図1は、本実施形態の換気装置60を備える自動車10を示す側面図である。なお、自動車10は、本発明で言う車両の一例である。図1中では、車内10aの様子を示すために、乗員の乗降用のドアと着座用シートとなどが省略されている。
【0016】
図1に示すように、自動車10は、車室内の温度を調整(調和)する空調装置20と、車内10aに車外10bの空気を導く換気装置60とを備えている。空調装置20は、一例として、インストルメントパネル11内に収容されている。
【0017】
図2は、自動車10を概略的に示す概略図である。なお、図2中では、インストルメントパネル11は、切りかかれて一部が示されている。また、図2中、自動車10の前後には、各々一対の前輪16と後輪17とが設けられている。図2に示すように、空調装置20は、ハウジング21と、クーリングユニット22と、ヒータユニット23と、ブロワユニット24と、スイッチ部25と、制御部26と、車室内の温度を検出する温度検出センサ27となどを備えている。空調装置20は、本発明で言う空調装置の一例である。
【0018】
ブロワユニット24と、クーリングユニット22と、ヒータユニット23とは、ハウジング21内に収容されている。ハウジング21には、当該ハウジング21内に車内10aの空気を導入可能な吸気口28が設けられている。吸気口28は、車内10aに露出している。
【0019】
ブロワユニット24は、ハウジング21内において吸気口28の近傍に配置されている。ブロワユニット24は、吸気口28を通して車内10aの空気をハウジング21内に導入する。本実施形態の空調装置20は、車内10aの空気を循環する(車内10aの空気をブロワユニット24によってハウジング21内に導入し、当該導入された空気を空調し、空調された空気を再び車内10aに戻す)内気循環式である。なお、内気循環式とは、本願発明で言う、内気循環運転可能であることの一例である。
【0020】
クーリングユニット22は、吸気口28より導入された空気を冷却する機能を有している。ヒータユニット23は、吸気口28より導入された空気を暖める機能を有している。
【0021】
なお、ハウジング21内には、吸気口28から導入された空気を、クーリングユニット22を通して冷却した後再び車内10aに戻す流路と、ヒータユニット23を通して暖めた後再び車内10aに戻す流路とが設けられている。この流路は、図示しないダンパなどによって切り替えられる。
【0022】
制御部26は、クーリングユニット22とブロワユニット24とヒータユニット23と上記されたダンパとなどの動作を制御する。なお、図2中では、制御部26は、クーリングユニット22と、ヒータユニット23と、ブロワユニット24とから離れた位置に図示されているが、制御部26の位置は、図示される位置に限定されるものでない。
【0023】
スイッチ部25は、インストルメントパネル11に設けられており、乗員(例えば運転者)によって操作しやすい位置に配置されている。スイッチ部25を正面から見た状態を、図2中に拡大して示している。
【0024】
スイッチ部25には、噴出される空気の温度を調整する温度スイッチ30と、車内10aに噴出される風の風量を調整する風量スイッチ40と、車内10aにおいて空調された後の空気を噴出する噴出し口のうちいずれかを選択する噴出し口スイッチ50などが設けられている。
【0025】
温度スイッチ30の操作部31は、回転式である。操作部31の周囲には、決定印32が設けられている。操作部31は、決定印32に対して回転可能である。操作部31には、各温度を示す目盛33が設けられている。操作部31を回転することによって目盛33の位置が調整される。温度を示す目盛33のうち、決定印32と重なる位置の温度が選択される。後述されるマニュアルエアコンモードでは、空気は、決定印32と重なる位置の温度で噴出されるようになる。後述されるオートマニュアルエアコンモードでは、車内10aの温度は、決定印32と重なる位置の温度に保たれるよう制御される。
【0026】
風量スイッチ40の操作部41は、回転式である。操作部41の周囲には、決定印42が設けられている。操作部41は、決定印42に対して回転可能である。操作部41には、噴出される風量を示す目盛43と、OFF印44と、AUTO印45とが設けられている。
【0027】
操作部41が操作されてOFF印44が決定印42と重なると、空調装置20は動作を停止する。操作部41が操作されて風量を示す目盛43のいずれかが決定印42と重なると(風量が設定されると)、空調装置20は、後述されるマニュアルエアコンモードが選択され、かつ、設定された風量で空気が噴出される。
【0028】
噴出し口スイッチ50の操作部51は、回転式である。操作部51の周囲には、決定印52が設けられている。操作部51は、決定印52に対して回転可能である。操作部51には、噴出し口の位置を示す印が設けられている。例えば、デフロスター噴出し口や、足元から噴出す噴出し口などである。
【0029】
操作部51が操作されていずれかの噴出し口を示す印が決定印52と重なると、当該噴出し口が選択され、当該噴出し口から空調された後の空気が噴出する。なお、上記されたスイッチ部25の構造は、一例であって限定されるものではない。
【0030】
制御部26は、上記されたスイッチ部25(スイッチ30,40,50)が操作されると、当該操作にそうように、ブロワユニット24とクーリングユニット22とヒータユニット23と上記されたダンパなどを制御する。
【0031】
空調装置20は、動作のモードとして、マニュアルエアコンモードと、オートエアコンモードとを有している。
【0032】
マニュアルエアコンモードは、車内10aに噴出される空気(空調装置20によって空調された後の空気)の温度を乗員が調整し、空気が噴出される噴出し口を乗員が選択し、噴出される風量(空気の量)を乗員が調整する。これらの調整、選択は、上記されたスイッチ部25を操作することによって行われる。マニュアルエアコンモードは、風量スイッチ40の操作部41の風量を示す目盛43のいずれかが決定印42に合わせられると設定される。
【0033】
なお、クーリングユニット22とヒータユニット23とには、温度センサ22a,23aが設けられている。温度センサ22aは、クーリングユニット22によって調整(調和)された後の空気の温度、つまり、噴出される空気の温度を検出する。温度センサ23aは、ヒータユニット23によって調整(調和)された後の空気の温度、つまり、噴出される空気の温度を検出する。
【0034】
温度センサ22a,23aは、制御部26に接続されており、噴出される空気の温度を把握する。そして、制御部26は、マニュアルエアコンモードが選択された際には、噴出し口から噴出される空気の温度が、乗員によって設定された温度となるように、クーリングユニット22とヒータユニット23との動作を制御する。
【0035】
なお、温度センサ22a,23aに代えて各噴出し口に温度センサを設けて、当該温度センサより得られる噴出される空気の温度に基づいて、クーリングユニット22の動作とヒータユニット23の動作とが制御されてもよい。要するに、噴出される空気の温度が把握される構造であればよい。
【0036】
オートエアコンモードは、車内10aの温度を乗員が設定した温度に保つように空調装置20の動作が制御される運転モードである。オートエアコンモードは、風量スイッチ40の操作部41のAUTO印45が決定印42に合わせられることによって設定される。
【0037】
オートエアコンモードとなると、制御部26は、車室内の温度を、乗員が設定した設定温度に保たれるようにクーリングユニット22の動作とヒータユニット23の動作となどを制御する。このとき、制御部26は、クーリングユニット22またはヒータユニット23に車内10aの空気が供給されるように、かつ、噴出される風量を調整(調和)するために、ブロワユニット24の動作も制御する。
【0038】
オートエアコンモードでの設定温度とは、温度スイッチ30によって設定された温度である。オートエアコンモードでは、噴出し口より噴出される空気の温度はスイッチ30によって設定された温度とは異なり、制御部26によって制御される。なお、噴出し口は、乗員が選択できるようになってもよい。
【0039】
温度検出センサ27は、車内10aの温度を検出する。本実施形態では、温度検出センサ27は、一例として、ハウジング21の近傍に設けられている。温度検出センサ27は、制御部26に接続されており、検出した車内10aの温度を制御部26に送信する。なお、温度検出センサ27は、車内10aの温度を検出できる位置に配置されればよい。
【0040】
制御部26は、オートエアコンモード時には、温度検出センサ27によって検出された車内10aの温度と設定された温度とを比較し、車内10aの温度が設定温度となるようにクーリングユニット22とヒータユニット23とブロワユニット24とを制御する。
【0041】
制御部26は、記憶部29を備えている。記憶部29は、温度に対応する相対湿度を示すマップ29aと、自動車の窓にくもりが生じやすくなる相対湿度のデータ29bとを備えている。
【0042】
マップ29aが示す相対湿度は、各温度に対する当該温度での平均的な相対湿度を示しており、実験や観測などによって得られる。この実験は、自動車10が用いられる場所(国)で行われ、例えば、自動車10が日本で用いられる場合では、上記実験や観測は、日本で行われる。例えば、マップ29aは、季節ごとに対応するよう、複数備えられてもよい。例えば、春用のマップ、梅雨時期のマップ、夏用のマップなどである。春用のマップは、春の各温度に対する相対湿度を示す。夏用のマップは、夏の各温度に対する相対湿度を示す。窓くもりが生じやすくなる相対湿度を示すデータ29bは、実験などによって得られる。
【0043】
図3は、自動車10の後部を示す斜視図である。図1〜3に示すように、換気装置60は、一例として、車体の後部に設けられている。換気装置60は、換気口部61と、送風機62と、二酸化炭素濃度検出センサ63と、換気装置60の動作を制御する制御部とを備えている。
【0044】
換気口部61は、車体の側壁部12に形成されており、車外10bより車内10aに外気を導入可能である。換気口部61の構造の一例としては、側壁部12(本発明で言う車体の一部)に車内10aと車外10bとを連通する連通孔61aが設けられ、当該連通孔に例えばフィルタ61bなどが設けられて雨などの液体が当該換気口部61を通して車内10aに流入しないようになっている。
【0045】
なお、換気口部61は、側壁部12に形成されることに限定されない。換気口部61は、外気を車内10aに導入できる位置に設けられればよい。また、換気口部61の構造は、上記に限定されない。例えば、換気口部61を通して車外10bより雨などの流体が流入するおそれがない場所では、換気口部61の構造は、フィルタがなく連通孔だけであってもよい。
【0046】
送風機62は、換気口部61の近傍に配置されている。送風機62は、ハウジング64と、当該ハウジング64内に収容されるインペラ65となどを備えている。ハウジング64は、換気口部61と例えば管部材66などを介して連結されている。インペラ65が回転すると、換気口部61を通して外気がハウジング64内に導入される。
【0047】
ハウジング64には、車内10a側に向かって開口する供給口67が形成されている。ハウジング64内に導入された外気は、供給口67を通って車内10aに導入される。
【0048】
二酸化炭素濃度検出センサ63は、車室内の空気の二酸化炭素の濃度を検出する。二酸化炭素濃度検出センサ63は、制御部26に接続されており、制御部26に空気中の二酸化炭素濃度を送信する。このため、制御部26は、車室内の空気中の二酸化炭素濃度を把握する。
【0049】
本実施形態では、換気装置60用の制御部として、空調装置20の制御部26が共通して用いられている。言い換えると、制御部26は、換気装置60の制御部としても機能する。制御部26は、送風機62の動作を制御する。なお、制御部26とは別途に、換気装置60用に独立して制御部が設けられてもよい。換気装置60用に別途に制御部が設けられる場合には、二酸化炭素濃度検出センサ63は、換気装置60用の制御部に接続され、検出された二酸化炭素濃度が当該制御部に送信される。
【0050】
また、車体の外壁部を構成する部位には、断熱材が設けられている。一例として、側壁部のインナパネル(図示せず)とアウタパネル(図示せず)との間に、断熱材が設けられている。断熱材によって、車体の外壁部を通して車外10bの温度が車内10aに伝達されることが抑制されて、車内10aの温度が保たれるようになっている。断熱材は、好ましくは、車室全体を覆うように設けられている。
【0051】
つぎに、換気装置60の動作を説明する。まず、換気装置60の動作として、エンジン13が停止した状態での換気装置60の動作を説明する。
【0052】
図4は、エンジン13が停止した状態での換気装置60の動作を示すフローチャートである。エンジン13が停止している状態では、制御部26は、例えば車載バッテリで動作する。または、車体には、太陽電池が設けられており、エンジン13が停止している状態では、制御部26は、太陽電池によって動作するようになっていてもよい。
【0053】
まず、制御部26は、エンジン13が停止すると、ステップST11において、温度検出センサ27によって車内10aの温度を検出する。車内10aが摂氏温度40度以上であると、ステップST12に進む。なお、ステップST11で比較される温度は、摂氏温度40度に限定されない。任意に設定される。
【0054】
ステップST12では、制御部26は、換気装置60を駆動する。このため、換気口部61を通って車外10bの空気(外気)が車内10aに導入される。なお、車内10aの空気は、車体に設けられる隙間を通って車外10bに自然に排出される。車体の隙間としては、例えば図3に示すように乗降用の開口を覆うドア14と乗降用開口との間の隙間15などである。外気が車内10aに導入されることによって、車内10aの温度が低下する。ついで、ステップST13に進む。
【0055】
ステップST13では、制御部26は、温度検出センサ27によって車内10aの温度を検出する。車内10aの温度が摂氏温度35度以上である場合では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)を駆動し続ける。ステップST13において車内10aの温度が摂氏温度35度未満となると、ステップST14に進む。なお、ステップST13で用いられる閾地は、摂氏温度35に限定されない。この温度は、任意に設定される。
【0056】
ステップST14では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)の動作を停止する。また、ステップST11において、車内10aの温度が40未満であると、換気装置60は駆動されない。ステップST11〜ST14までの制御は、エンジン13が停止されている間行われる。
【0057】
エンジン13の駆動の停止中に上記動作が行われることによって、車内10aの温度が高くなることが抑制される。例えば、夏に自動車を駐車場に駐車した際では、車内10aの温度が40度以上となることが抑制されるようになる。このため、乗員が自動車に乗車した際に、車内10aの温度が高くなりすぎるといった車内10a環境が悪くなることが抑制される。
【0058】
つぎに、エンジン13が駆動している状態であって、かつ、空調装置20がオートエアコンモードである状態での換気装置60の動作を説明する。図5は、エンジン13が駆動している状態での換気装置60の動作を示すフローチャートである。
【0059】
図5に示すように、エンジン13が駆動している状態では、まず、ステップST21において、制御部26は、二酸化炭素濃度検出センサ63によって、車内10aの空気中の二酸化炭素濃度を検出する。そして、制御部26は、車内10aの二酸化炭素濃度が、予め設定された所定の二酸化炭素濃度以上であるか否かを判定する。
【0060】
ここで言う、予め設定された所定の二酸化炭素濃度とは、任意に設定される値であり、記憶部29に保存されている。予め設定された二酸化炭素濃度は、一例としては、運転者(乗員)に眠気を生じやすくなる濃度である。運転者に眠気が生じやすくなる濃度は、予め実験などによって得ることができる。ここで言う、運転者に眠気が生じやすくなる二酸化炭素濃度は、本発明で言う所定の二酸化炭素濃度の一例である。
【0061】
ステップST21で、車内10aの二酸化炭素濃度が予め設定される所定濃度以上であると判定されると、ステップST24に進む。ステップST24では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)を駆動する。換気装置60が駆動されることによって外気が車内10aに導入され、それゆえ、車内10aの二酸化炭素濃度が減少する。
【0062】
ステップST21で、車内10aの二酸化炭素濃度が設定濃度未満であると判定されると、ステップST22に進む。ステップST22では、制御部26は、温度検出センサ27によって、車内10aの温度を検出する。そして、制御部26は、車内10aの温度が設定温度以上であるか否かを判定する。なお、ここで言う設定温度とは、乗員が空調装置20をオートエアコンモードにした際に設定した車内10aの設定温度である。
【0063】
ステップST22において、制御部26が、車内10aの温度が設定温度以上であると判定すると、ステップST23に進む。
【0064】
ステップST23では、制御部26は、自動車10の窓(特にフロントガラス18、図1に示す)がくもるおそれがあるか否かを判定する。これは、設定温度が車内10aの温度より低い場合、空調装置20がオートエアコンモードで運転することによって、車内10aの温度は設定温度に近づき、設定温度となる。車内10a温度が低下することによって、空気中の飽和水蒸気量が低下し、それゆえ、相対湿度が上昇する。この結果、窓にくもりが生じやすくなる傾向にあるためである。
【0065】
ステップST23では、まず、制御部26は、温度検出センサ27によって、車内10aの温度を測定する。車内10aの温度は、ステップST22で検出されたデータを用いてもよい。ついで、制御部26は、記憶部に保存されているマップ29aより、温度検出センサ27によって検出された車内10aの温度に対する相対湿度を求める。
【0066】
ついで、制御部26は、マップ29aより得られた車内10aの相対湿度と、設定湿度とを比較する。ここで言う設定湿度とは、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度(データ29b)である。本実施形態では、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度(データ29b)は、本発明で言う所定の湿度の一例である。上記のように、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度29bは、予め実験などによって求められており、記憶部29に保存されている。
【0067】
制御部26は、マップ29aより得られた車内10aの相対湿度が、窓にくもりが生じやすくなる相対湿度29b以上であると判定すると、ステップST24に進む。
【0068】
ステップST24では、制御部26は、換気装置60(インペラ65)を駆動する。換気装置60が駆動されることによって、車内10aに外気が導入される。
【0069】
空調装置20は、車内10aの空気が循環される内気循環式である。このため、車内10aの空気中に含まれる水蒸気量は、乗員の呼吸によって増加する。また、車内10aの空気中の二酸化炭素濃度も増加する。しかしながら、ステップST24で換気装置60が駆動されることによって車内10aに外気が導入されるので、車内10aの空気中の水蒸気量が低下し、それゆえ、車内10aの相対湿度が下がる。同様に、車内10aの空気中の二酸化炭素濃度も低下する。
【0070】
ついで、ステップST21に戻る。空調装置20がオートエアコンモードである場合は、ステップST21〜ST25までの動作が繰りかえされる。なお、ステップST22では、車室内の温度が設定温度未満となると、ステップST25に進む。
【0071】
ステップST25では、換気装置60の駆動が停止される。車室内温度が設定温度未満となると、空調装置20は、温度を下げる必要がなくなる。温度が下がらない場合では、空気中の相対湿度が上昇しない。それゆえ、空気中の水蒸気に起因する窓くもりが生じにくくなるためである。
【0072】
図4に示すように、エンジン13の駆動が停止されている場合であっても、換気装置60が動作することによって、車内10aの温度が高くなりすぎることが抑制される。言い換えると、車内10a環境が悪くなることが抑制される。
【0073】
図5に示すように、エンジン13が駆動されて、かつ、空調装置20がオートエアコンモードである場合では、換気装置60が駆動されることによって、車内10aの二酸化炭素濃度が設定濃度より多くなることが抑制され、かつ、窓がくもることが抑制される。この結果、運転者の視界が損なわれることが抑制される。言い換えると、車内10a環境が悪くなることが抑制される。
【0074】
また、換気装置60によって外気が車内10aに取り入れられるため、空調装置20が消費するエネルギ量を小さくすることができる。この点について、具体的に説明する。換気装置60によって外気が車内10aに導入されるため、空調装置20は、車内10aの相対湿度および二酸化炭素濃度を低下すべく外気を導入して当該導入された外気の温度を調整(調和)して車内10aに供給する必要がない。
【0075】
例えば夏などでは、外気の温度と乗員が望む設定温度(オートエアコンモードで乗員が設定する設定温度)との温度差は、比較的大きい。このため、空調装置20が外気を導入して、当該外気の温度を調整(調和)する場合、空調装置20で消費されるエネルギ量は大きくなる傾向にある。
【0076】
しかしながら、本実施形態では、自動車10が換気装置60を備えるため、空調装置20は、外気を導入する構造ではなく車内10aの空気を循環させる内気循環式である。この結果、空調装置20が消費するエネルギ量は小さく抑えることができる。言い換えると、換気装置60を備えることによって、空調装置20は、外気を導入する構造を備えずに、内気循環のみできる構造でよくなる。
【0077】
このように、換気装置60によって、空調装置20が消費するエネルギの量を抑えつつ車内10a環境を良くすることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、空調装置20は、内気循環運転のみを行う構造であるが、内気循環運転を可能な構造に加えて外気を導入可能な構造を有してもよい。具体的には、ハウジング21内に車外の空気を導くとともに当該導かれた空気を空気調和する機能を有していてもよい。このような構造であっても、内気循環運転が可能である。
【0079】
この構造の場合、例えば外気温度の急激な変化に伴い急にフロントガラス18がくもった場合などに、空調装置20を介して外気を導入するとともに導入された空気をフロントガラス18にあてる。このことによって、フロントガラス18のくもりをとることができる。このような場合にのみ空調装置20が外気を導入することによって、空調装置20で消費されるエネルギ量を小さく抑えることができる。
【0080】
また、換気装置60が、空調装置20のオートエアコンモードと連動して動作をすることによって、具体的には、オートエアコンモードが実施される際に設定される設定温度を閾地として用いることによって(ステップST22)、車内10aの二酸化炭素濃度と相対湿度の上昇とを効率よく抑制することができる。
【0081】
この点について具体的に説明する。空調装置20は、オートエアコンモードに設定されると、車内10a温度が設定温度となるように、かつ、設定温度が保持されるように動作をし続ける。空調装置20は、内気循環式である。このため、空調装置20が動作し続けると、乗員の呼吸によって車内10aの二酸化炭素濃度と相対湿度とが上昇する傾向にある。
【0082】
しかしながら、換気装置60がオートエアコンの動作と連動して動作することによって、オートエアコンモード時には換気装置60が動作をするので、二酸化炭素濃度の上昇と相対湿度の上昇とが抑制される。
【0083】
また、車内の湿度を検出するためにマップ29aを備えている。マップ29aを利用することによって、湿度を検出するセンサを用いることがないので、コストを削減することができる。
【0084】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る換気装置を、図6,7を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
本実施形態では、換気装置60の構造と動作とが第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0086】
図6は、本実施形態の自動車10を示す概略図である。図6に示すように、換気装置60は、第1の実施形態で説明された構成に加えて、さらに、湿度検出センサ68を備えている。湿度検出センサ68は、車内10aの空気中の相対湿度を検出する。湿度検出センサ68は、本実施形態では一例としてハウジング64の近傍に設けられている。なお、湿度検出センサ68は、車内10aの相対湿度を検出できる位置に設けられればよい。
【0087】
湿度検出センサ68は、制御部26に接続されている。湿度検出センサ68は、検出した車内10aの相対湿度を示すデータを制御部26に送信する。このため、制御部26は、車内10aの相対湿度を把握する。
【0088】
つぎに、本実施形態での換気装置60の動作を説明する。図7は、エンジン13が駆動している状態での換気装置60の動作を示すフローチャートである。なお、エンジン13が停止している場合の換気装置60の動作は、第1の実施形態と同様である(図4と同様の動作である)。
【0089】
本実施形態では、換気装置60は、空調装置20の動作(オートエアコンモードを含む動作)に連動しないで動作する。言い換えると、換気装置60は、空調装置20が動作している状態および動作していない状態であっても動作する。図7に示すように、まず、ステップST31において、二酸化炭素濃度検出センサ63によって車内10aの空気中の二酸化炭素の濃度が検出される。車内10aの空気中の二酸化炭素濃度が設定濃度以上である場合は、ステップST33に進む。ここで言う設定濃度は、第1の実施形態と同様であり、乗員に眠気が生じやすくなる濃度である(本発明で言う所定の二酸化炭素濃度の一例)。
【0090】
ステップST33では、制御部26は、換気装置60を駆動する。換気装置60が駆動されることによって外気が車内10aに導入される。外気が導入されることによって車内10aの空気中の二酸化炭素濃度が低下する。
【0091】
ステップST31において、二酸化炭素濃度が設定二酸化炭素濃度未満である場合は、ステップST32に進む。ステップST32では、制御部26は、窓くもりが生じやすいか否かを判定する。この動作について、具体的に説明する。
【0092】
まず、制御部26は、湿度検出センサ68によって車内10aの相対湿度を検出する。ついで、制御部26は、車内10aの相対湿度と、設定湿度とを比較する。ここで言う設定湿度とは、窓くもりが生じやすくなる相対湿度29b(第1の実施形態と同様であり、本発明で言う所定の湿度の一例)である。制御部26は、車内10aの相対湿度が窓くもりを生じやすくなる相対湿度以上であると判定すると、ステップST33に進む。
【0093】
ステップST33では、制御部26は、換気装置60を駆動する。換気装置60が駆動されることによって、車外10bの空気が車内10aに導入されるため、車内10aの水蒸気量が低下し、それゆえ、車内10aの相対湿度が低下する。
【0094】
ステップST32において車室内の湿度が設定湿度未満となると、ステップST34に進む。ステップST34では、制御部26は、換気装置60の動作を停止する。
【0095】
本実施形態では、湿度検出センサ68を用いることによって、マップ29aを用いることがなく、車内10aの相対湿度をより正確に検出することができる。このため、本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、車内10aの相対湿度をより正確に検出できるようになる。本実施形態では、制御部26は、マップ29aを備えなくてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、換気装置60は、空調装置20の動作(オートエアコンモードを含む動作)とは関係なく動作するので、車内10aの二酸化炭素濃度と相対湿度とが上昇することを常に抑制することができる。
【0097】
なお、第1の実施の形態においても、湿度検出センサ68が用いられて、当該湿度検出センサ68によって車内10aの二酸化炭素濃度を検出するようにしてもよい。または、第2の実施形態においても、第1の実施形態で説明されたマップ29aを用いて湿度を検出するようにしてもよい。
【0098】
第1,2の実施形態では、本発明で言う所定湿度として、窓くもりが生じやすくなる湿度とした。しかしながら、本発明で言う所定湿度は、窓くもりが生じやすくなる湿度に限定されるものではなく、任意に設定できる値である。
【0099】
同様に、第1,2の実施形態では、本発明で言う所定の二酸化炭素濃度として、乗員に眠気が生じやすくなる二酸化炭素濃度とした。しかしながら、本発明で言う所定の二酸化炭素濃度は、乗員に眠気が生じやすくなる二酸化炭素濃度に限定されるものではなく、任意に設定できる値である。
【0100】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る換気装置を備える自動車を示す側面図。
【図2】図1に示された自動車を示す概略図。
【図3】図1に示された自動車の後部を示す斜視図。
【図4】図2に示された換気装置の、エンジンが停止した状態での動作を示すフローチャート。
【図5】図2に示された換気装置の、エンジンが駆動している状態での動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る換気装置を備える自動車を示す概略図。
【図7】図6に示された換気装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0102】
10b…車外、10a車内、20…空調装置、26…制御部、60…換気装置、61…換気口部、62…送風機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内の空気を吸気するとともに当該吸気した空気を空気調和した後前記車内に戻す内気循環運転が可能な空調装置と、
車外より外気を、前記空調装置を通さずに前記車内に導入可能な換気口部と、
前記換気口部を通して外気を車内に送風可能な送風機と、
前記送風機の動作を制御する制御部と
を具備することを特徴とする換気装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車内の湿度が所定の湿度以上となると前記送風機を動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車内の温度にもとづいて前記車内の湿度を求めるマップを具備する
ことを特徴とする請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
請求項2に記載の換気装置において、
前記車内の湿度を検出する湿度検出センサを具備する
ことを特徴とする換気装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車内の二酸化炭素濃度が所定の二酸化炭素濃度以上となると前記送風機を動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項1】
車内の空気を吸気するとともに当該吸気した空気を空気調和した後前記車内に戻す内気循環運転が可能な空調装置と、
車外より外気を、前記空調装置を通さずに前記車内に導入可能な換気口部と、
前記換気口部を通して外気を車内に送風可能な送風機と、
前記送風機の動作を制御する制御部と
を具備することを特徴とする換気装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車内の湿度が所定の湿度以上となると前記送風機を動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車内の温度にもとづいて前記車内の湿度を求めるマップを具備する
ことを特徴とする請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
請求項2に記載の換気装置において、
前記車内の湿度を検出する湿度検出センサを具備する
ことを特徴とする換気装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車内の二酸化炭素濃度が所定の二酸化炭素濃度以上となると前記送風機を動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−221760(P2010−221760A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68998(P2009−68998)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
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