説明

換気装置

【課題】空調機と連動して制御が行われる換気装置において、ユーザの快適性を保ちながら、空調機の空調負荷をより軽減することのできる換気装置を提供する。
【解決手段】少なくとも冷房機能を有する空調機と連動することができ、対象空間SIの換気を行う換気装置1であって、第1換気ファン12と、制御部とを備える。制御部は、第1換気ファン12を稼働して対象空間SIに外気を取り入れて換気を行う第1換気運転と、第1換気ファン12を止めて換気を行わない換気停止と、の選択を行う。制御部は、空調機の設定温度、対象空間SIの温度および外気の温度に応じて、選択を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内に供給される居室外の空気と、居室内から排出される空調空気(排気)との間で熱交換を行うことで、居室内に配置される空調機の空調負荷を低減する換気装置が提案されている。このような換気装置は、空調機と連動して制御が行われるものが多い。また、このような換気装置には、例えば、特許文献1(特開2000−88298号公報)に記載のように、夜中に居室外の空気を取り入れることで翌朝の空調機の負荷を低減するナイトパージ制御や、特許文献2(特開平6−123473号公報)に記載のように、朝一番の空調機の運転時には所定時間運転を停止する運転遅延制御の両者を有するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の2つの制御を有する換気装置において、当該2つの制御が別々に設定されている場合、空調機の空調負荷を低減する目的と相反する方向に効果が働く場合が懸念される。例えば、朝一番に空調機が運転された場合、運転遅延制御が行われることになるが、ナイトパージ制御のように居室外の空気を取り入れるほうが空調機の空調負荷を低減することも想定されるということである。
【0004】
そこで、本発明の課題は、空調機と連動して制御が行われる換気装置において、ユーザの快適性の向上を考慮しながら、空調機の空調負荷を軽減することのできる換気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る換気装置は、少なくとも冷房機能を有する空調機と連動することができ、対象空間の換気を行う換気装置であって、第1換気ファンと、制御部とを備える。制御部は、第1換気ファンを稼働して対象空間に外気を取り入れて換気を行う換気運転と、第1換気ファンを止めて換気を行わない換気停止と、の選択を行う。制御部は、空調機の設定温度、対象空間の温度および外気の温度に応じて、選択を行う。
【0006】
ここで、例えば、対象空間とは、ビル等の建物内における室内空間である。
【0007】
第1発明に係る換気装置では、空調機の設定温度、対象空間の温度および外気の温度に応じて、換気運転と換気停止との選択を行うことができることにより、より早く対象空間の温度をユーザの快適とする温度に近付けることができる。これにより、ユーザの快適性を考慮しながら空調機の空調負荷を軽減することができる。
【0008】
第2発明に係る換気装置は、第1発明に係る換気装置であって、排気ファンと、熱交換装置と、状態変更手段とをさらに備える。排気ファンは、対象空間の空気を排気として外部に排出する。熱交換装置は、外気と排気との間で熱交換させることが可能である。状態変更手段は、熱交換装置において外気と排気との間で熱交換させない第1状態と、熱交換装置において外気と排気との間で熱交換させる第2状態と、採り得る。そして、第1換気ファンは、外気を対象空間に導入する給気ファンである。換気運転には、第1換気運転と、第2換気運転とが含まれる。第1換気運転は、排気ファンがさらに稼働し状態変更手段が第1状態を採る。第2換気運転は、排気ファンがさらに稼働し状態変更手段が第2状態を採る。
【0009】
第2発明に係る換気装置では、空調機の設定温度、対象空間の温度および外気の温度に応じて、第1換気運転と、第2換気運転と、換気停止とを選択することができる。制御部が上述のそれぞれの温度関係に応じた制御を行うことによって、空調機の空調負荷を軽減することができる。また、空調機の空調負荷を軽減することができることにより、ユーザの快適性の向上に貢献することもできる。
【0010】
第3発明に係る換気装置は、第2発明に係る換気装置であって、制御部は、空調機の冷房機能の立ち上げ時において、対象空間の温度が空調機の設定温度より高く且つ外気の温度が対象空間の温度未満である場合に、第1換気運転を選択する。
【0011】
第3発明に係る換気装置では、対象空間の温度をユーザの快適とする温度により早く近付けることができる。
【0012】
第4発明に係る換気装置は、第2発明または第3発明に係る換気装置であって、制御部は、空調機の冷房機能の立ち上げ時において、対象空間の温度が空調機の設定温度より高く且つ外気の温度が対象空間の温度以上である場合に、換気停止を選択する。
【0013】
第4発明に係る換気装置では、換気停止が行われることによって、空調機の空調負荷を軽減することができる。
【0014】
第5発明に係る換気装置は、第2発明〜第4発明のいずれかに係る換気装置であって、
制御部は、空調機の冷房機能の立ち上げ時において、対象空間の温度が、空調機の設定温度と同じ、または、第1換気運転または換気停止を選択している状態において、対象空間の温度が、空調機の設定温度に近づいた場合に、前記第2換気運転を選択する。
【0015】
第5発明に係る換気装置では、第2換気運転が行われることにより、対象空間における空気質等の環境の保護が維持される。
【0016】
第6発明に係る換気装置は、第2発明〜第5発明のいずれかに係る換気装置であって、制御部は、空調機の運転が行われていない状態において、空調機の設定モードが冷房であり、且つ、対象空間の温度が空調機の設定温度より高く且つ外気の温度が対象空間の温度未満である場合に、第1換気運転を選択する。
【0017】
第6発明に係る換気装置では、空調機の運転の立ち上げ時における空調負荷を軽減することができる。
【0018】
第7発明に係る換気装置は、第2発明〜第6発明に係る換気装置であって、対象空間の空気の汚れ度合いを検出するための汚れ度合い検出センサをさらに備える。制御部は、空調機の冷房機能の立ち上げ時において、汚れ度合いが所定値未満で且つ対象空間の温度が空調機の設定温度より高く且つ外気の温度が対象空間の温度以上である場合に換気停止を選択し、汚れ度合いが所定値以上で且つ対象空間の温度が空調機の設定温度より高く且つ外気の温度が対象空間の温度未満である場合に第1換気運転を選択し、対象空間の温度が、空調機の設定温度と同じ、または、空調機の設定温度に近づいた場合に第2換気運転を選択する。
【0019】
第7発明に係る換気装置では、対象空間の空気の汚れ度合いを加味した制御が行われることによって、空気質等の環境に関してよりユーザの快適性の向上を図ることができる。
【0020】
第8発明に係る換気装置は、第7発明に係る換気装置であって、空調機は、暖房機能を有する。制御部は、空調機の暖房機能の立ち上げ時において、対象空間の温度が空調機の設定温度未満で且つ外気の温度が対象空間の温度より高い場合に第1換気運転を選択し、対象空間の温度が空調機の設定温度未満で且つ外気の温度が対象空間の温度以下である場合に換気停止を選択し、対象空間の温度が、前記空調機の設定温度と同じ、または、空調機の設定温度に近づいた場合に、前第2換気運転を選択する。
【0021】
第8発明に係る換気装置では、空調機の設定温度、対象空間の温度および外気の温度に応じて、第1換気運転と、第2換気運転と、換気停止とを選択することができる。制御部が上述のそれぞれの温度関係に応じた制御を行うことによって、空調機の空調負荷を軽減することができる。また、空調機の空調負荷を軽減することができることにより、ユーザの快適性の向上に貢献することもできる。
【0022】
第9発明に係る換気装置は、第8発明に係る換気装置であって、制御部は、空調機の運転が行われていない状態において、空調機の設定モードが暖房であり、且つ、対象空間の温度が空調機の設定温度未満で且つ外気の温度が対象空間の温度より高い場合に、第1換気運転を選択する。
【0023】
第9発明に係る換気装置では、空調機の運転の立ち上げ時における空調負荷を軽減することができる。
【0024】
第10発明に係る換気装置は、第8発明または第9発明に係る換気装置であって、制御部は、空調機の暖房機能の立ち上げ時において、汚れ度合いが所定値未満で且つ対象空間の温度が空調機の設定温度未満で且つ外気の温度が対象空間の温度以下である場合に換気停止を選択し、汚れ度合いが所定値以上で且つ対象空間の温度が空調機の設定温度未満で且つ外気の温度が対象空間の温度より高い場合に第1換気運転を選択し、対象空間の温度が、空調機の設定温度と同じ、または、空調機の設定温度に近づいた場合に第2換気運転を選択する。
【0025】
第10発明に係る換気装置では、対象空間の空気の汚れ度合いを加味した制御が行われることによって、空気質等の環境に関してよりユーザの快適性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
第1発明に係る換気装置では、空調機の設定温度、対象空間の温度および外気の温度に応じて、換気運転と換気停止との選択を行うことができることにより、より早く対象空間の温度をユーザの快適とする温度に近付けることができる。これにより、ユーザの快適性を考慮しながら空調機の空調負荷を軽減することができる。
【0027】
第2発明に係る換気装置では、空調機の設定温度、対象空間の温度および外気の温度に応じて、第1換気運転と、第2換気運転と、換気停止とを選択することができる。制御部が上述のそれぞれの温度関係に応じた制御を行うことによって、空調機の空調負荷を軽減することができる。また、空調機の空調負荷を軽減することができることにより、ユーザの快適性の向上に貢献することもできる。
【0028】
第3発明に係る換気装置では、対象空間の温度をユーザの快適とする温度により早く近付けることができる。
【0029】
第4発明に係る換気装置では、換気停止が行われることによって、空調機の空調負荷を軽減することができる。
【0030】
第5発明に係る換気装置では、第2換気運転が行われることにより、対象空間における空気質等の環境の保護が維持される。
【0031】
第6発明に係る換気装置では、空調機の運転の立ち上げ時における空調負荷を軽減することができる。
【0032】
第7発明に係る換気装置では、対象空間の空気の汚れ度合いを加味した制御が行われることによって、空気質等の環境に関してよりユーザの快適性の向上を図ることができる。
【0033】
第8発明に係る換気装置では、空調機の設定温度、対象空間の温度および外気の温度に応じて、第1換気運転と、第2換気運転と、換気停止とを選択することができる。制御部が上述のそれぞれの温度関係に応じた制御を行うことによって、空調機の空調負荷を軽減することができる。また、空調機の空調負荷を軽減することができることにより、ユーザの快適性の向上に貢献することもできる。
【0034】
第9発明に係る換気装置では、空調機の運転の立ち上げ時における空調負荷を軽減することができる。
【0035】
第10発明に係る換気装置では、対象空間の空気の汚れ度合いを加味した制御が行われることによって、空気質等の環境に関してよりユーザの快適性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】換気装置の一般の配置を示す図。
【図2】全熱交換換気運転を行う状態の換気装置の概略構成を示す模式図。
【図3】普通換気運転を行う状態の換気装置の概略構成を示す模式図。
【図4】換気装置の熱交換器の概略構成図。
【図5】差圧スイッチを示すための換気装置の模式図(排気ファンは除く)。
【図6】換気装置の制御部の制御ブロック図。
【図7】換気装置の夜間の外気取り入れ運転のフローチャート。
【図8】空気調和装置の運転開始時における換気装置の運転のフローチャート。
【図9】第2実施形態に係る換気装置の制御部の制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る換気装置1について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0038】
<第1実施形態>
<換気装置1の構成>
換気装置1は、建物内の室内の天井裏や壁に設置され、室内空間SIの換気を行う。換気装置1は、エアコン等の空気調和装置20(図1を参照)と連動して、あるいは、単独で運転される。
【0039】
また、換気装置1は、図1や図2に示すように、略直方体の箱形状を有する本体ケーシング10から構成される。
【0040】
本体ケーシング10内には、図2や図3に示すように、主として、熱交換器11と、給気ファン12と、排気ファン13と、制御部9(図6を参照)とが収容されている。また、本体ケーシング10には、外部空間SOの空気を外気OAとして本体ケーシング10内に導入するための導入口10aと、外気OAを給気SAとして室内に供給する給気口10bと、室内空気(還気)RAを室内から本体ケーシング10内に取り込むための取込口10cと、室内空気(還気)RAを外部に排気EAとして排出するための排気口10dとが形成されている。導入口10aおよび排気口10dは、ダクト31(図1を参照)を介して外部空間SOに繋がっている。給気口10bおよび取込口10cは、ダクト32(図1を参照)を介して室内空間SIに繋がっている。
【0041】
また、本体ケーシング10内には、外気温度センサ51と、室内温度センサ52とが設けられている。外気温度センサ51は、導入口10aと熱交換器11との間を通る外気OAの温度、すなわち、外部空間SOの温度TSOを検出することができる位置(具体的には、導入口10aと熱交換器11との間)に設けられている。室内温度センサ52は、還気RAの温度、すなわち、室内空間SIにおける温度TSIを検出することができる位置(具体的には、熱交換器11と、取込口10cとの間)に設けられている。
【0042】
以下、本体ケーシング10内の各部の構成について説明する。
【0043】
(1)熱交換器11
なお、以下の説明においては、空気が外部空間SOから室内空間SIへと流れる方向を第1空気流れ方向といい、空気が室内空間SIから外部空間SOへと流れる方向を第2空気流れ方向という。
【0044】
また、以下の説明においては、外気OAとは、本体ケーシング10の第1空気流れ方向の上流端から熱交換器11の第1空気流れ方向の下流端までの経路を流れる空気をいい、給気SAとは、熱交換器11の第1空気流れ方向の下流端から給気口10bを介して室内空間SIに流入する空気をいう。また、排気EAとは、熱交換器11の第2空気流れ方向の上流端(またはこれに相当する位置から)排気口10dを介して外部空間SOに流れる空気をいい、還気RAとは、室内空間SIから取込口10cを通って熱交換器11の第2空気流れ方向の上流端(またはこれに相当する位置)までの経路を流れる空気をいう。
【0045】
熱交換器11は、2つの空気流(ここでは、外気OAと排気EA)の間で熱交換を行わせる全熱交換器である。
【0046】
また、熱交換器11は、図4に示すように、主として、複数の全熱交換素子111と、複数の波板部材112とを有している。
【0047】
全熱交換素子111は、紙等の伝熱性および透湿性を有する平板状の部材であり、上下方向に所定の間隔を空けて多数積層されている。
【0048】
波板部材112は、波板状の部材であり、全熱交換素子111の積層方向に全熱交換素子111と交互に配置されている。波板部材112は、その上下端に全熱交換素子111が接触することによって外気OAが流れる第1空気流路113aを形成する第1波板部材113と、その上下端に全熱交換素子111が接触することによって排気EAが流れる第2空気流路114aを形成する第2波板部材114とを有している。そして、第1波板部材113と第2波板部材114とは、全熱交換素子111を挟んで、全熱交換素子111の積層方向に交互に配置されている。また、第1波板部材113と、第2波板部材114とは、第1空気流路113aと、第2空気流路114aとが互いに直交するように配置されている。よって、第1空気流路113aを流れる外気OAと、第2空気流路114aを流れる排気EAとは、互いに混じり合うことなく熱交換することが可能になっている。
【0049】
なお、第1空気流路113aは、給気経路17(図2や図3を参照)の一部を構成しており、第2空気流路114aは、第1排気経路18(図2を参照)の一部を構成している。
【0050】
また、熱交換器11では、本体ケーシング10の所定位置に設けられるダンパ14(図2および図3を参照)の切り替え(開閉)によって、換気装置1の普通換気運転の状態(すなわち、外気OAと排気EAとを熱交換させない状態)と、換気装置1の全熱交換換気運転の状態(すなわち、外気OAと排気EAとを熱交換させる状態)とを採ることができる。なお、ダンパ14の開閉は、後述する制御部9によってダンパ駆動モータ214(図6を参照)が稼働されることにより行われる。
【0051】
(2)給気ファン12,排気ファン13
給気ファン12は、外部空間SOから給気経路17を通って室内空間SIに向かう空気流れを生成するためのファンであり、図2や図3に示すように、給気経路17の下流端に配置される。ここで、給気経路17とは、導入口10aから、熱交換器11を経て、給気口10bまで延びる経路である。
【0052】
排気ファン13は、室内空間SIから第1排気経路18を通って外部空間SOに向かう空気流れを生成するためのファンであり、第1排気経路18の下流端に配置される。ここで、第1排気経路18とは、取込口10cから、熱交換器11を経て、排気口10dまで延びる経路である。
【0053】
給器ファン12および排気ファン13は、それぞれ、給器ファンモータ212および排気ファンモータ213(いずれも図6を参照)によって稼働される。
【0054】
なお、図5に示すように、給気経路17には、給気ファン12によって生成される空気流中に含まれる塵埃等を捕集するための、取替可能な給気フィルタ15が設けられている。
【0055】
ここで、給気フィルタに塵埃等が付着すると目詰まりが生じることが考えられる。給気フィルタに目詰まりが生じると通風抵抗が増加し給気ファンの吸込圧力が高くなることが懸念される。そこで、換気装置1には、給気フィルタ15の前後の差圧を検知することによって給気フィルタ15の目詰まりを検知する差圧スイッチ92が設けられている。具体的には、差圧スイッチ92を収容したスイッチボックス91が、本体ケーシング10の外部(または外方)に設けられている。
【0056】
スイッチボックス91は、換気装置1を室内の天井等に取り付ける際に、同時に本体ケーシング10に取り付けられる。ここで、スイッチボックス91の取り付け方法について簡単に説明する。
【0057】
まず、本体ケーシング10の給気ファン12の吸込口の近傍には、予め給気ファン12の吸込圧力を取り出すための第1穴(図示せず)が形成されており、換気装置1が施工場所(換気装置1を取り付ける室内)に運ばれた際は、その穴を覆うように蓋がされた状態にある。また、導入口10aに接続されるダクト31には、導入口10aに接続された状態において、導入口10aの近傍に、導入口10a付近の圧力を取り出すための第2穴(図示せず)が形成されており、施工場所に運ばれた際は、その穴を覆うように蓋がされた状態にある。次に、換気装置1を室内の天井等に取り付ける際に、ダクト31および本体ケーシング10に形成されるそれぞれの第1穴,第2穴に、差圧スイッチ92が接続される差圧取出ポート81,82が接続される。
【0058】
なお、スイッチボックスの近傍には、報知部(図示せず、例えば、ランプ等である)が設けられている。よって、差圧スイッチ92によって検知される差圧が所定の差圧に達すると、報知部によって、管理者等に、給気フィルタ15に目詰まりが生じていることが報知されるようになっている。
【0059】
以上のことから、給気フィルタ15の目詰まりによる換気量の低下等をできるだけ抑制することができている。
【0060】
なお、第1穴は、上述の位置に形成されるものに限られず、本体ケーシング10の、熱交換器11の吹出面から給気ファン12の吸込口までの間の圧力を取り出すことができる位置に形成されていてもよい。また、第2穴は、上述の位置に形成されるものに限られず、ダクト31から給気フィルタ15の吸込面までの間の圧力を取り出すことができる位置に形成されていてもよい。
【0061】
また、第1排気経路18にも、排気ファン13によって生成される空気流中に含まれる塵埃等を捕集するための排気フィルタ(図示せず)が設けられていてもよい。この場合であっても、差圧スイッチ92により給気フィルタ15および排気フィルタの目詰まりを検知することができる。
【0062】
(3)制御部9
制御部9は、図6に示すように、本体ケーシング10内に配置される各種機器の制御を行うためのマイクロコンピュータ等から構成され、取得部9aと、判定部9bと、運転制御部9cとを有している。なお、取得部9a、判定部9bおよび運転制御部9cは、メモリに記憶されているプログラムを読み出すことによって、後の<換気装置1の動作>で説明する動作を行う。また、制御部9は、外気温度センサ51や室内温度センサ52等からの検出信号を受信したり、空気調和装置20の制御部(図示せず、例えば、リモコン等)と運転データ等の送受信を行ったりする。また、制御部9は、センサ51,52等の検出結果や空気調和装置20の運転データ等に基づいて、給気ファン12を稼働する給気ファンモータ212、排気ファン13を稼働する排気ファンモータ213、ダンパ14を開閉駆動するためのダンパ駆動モータ214等の制御を行う。なお、給気ファンモータ212および排気ファンモータ213は、インバータ装置(図示せず)を介して電力の供給を受けて駆動されるようになっており、周波数(すなわち、回転数)を可変することによって、それぞれ給気ファン12および排気ファン13の風量を可変することができる。また、ダンパ駆動モータ214は、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動されるようになっており、周波数を可変することによって、ダンパ14の開度を可変することができる。
【0063】
以下、換気装置1の動作について説明する。
【0064】
<換気装置1の動作>
<通常の換気運転>
制御部9は、外気温度センサ51および室内温度センサ52により検出される温度データや空気調和装置20の運転データ等に基づいて、換気装置1の通常の換気運転を行う。この通常の換気運転では、主として全熱換気運転と、普通換気運転とが切り替えられる(主としては、全熱交換換気運転が行われる)。
【0065】
(1)全熱交換換気運転
全熱交換換気運転においては、ダンパ14は、図2に示すように、全熱交換換気運転の状態を採っている。
【0066】
この状態において、給気ファンモータ212および排気ファンモータ213が稼働されると、外部空間SOの空気がダクト31を通って導入口10aを介して換気装置1内に流入し、還気RAがダクト32を通って取込口10cを介して換気装置1の本体ケーシング10内に流入する。
【0067】
次に、外部空間SOの空気は、外気OAとして熱交換器11を経て、給気SAとして給気口10bおよびダクト32を介して室内空間SIへ供給される。また、還気RAは、熱交換器11に流入し、排気EAとして排気口10dおよびダクト31を介して外部空間SOに排出される。このとき、熱交換器11においては、外気OAと排気EAとの間で熱および水分の授受が行われている。
【0068】
(2)普通換気運転
普通換気運転においては、ダンパ14は、図3に示すように、普通換気運転の状態を採っている。
【0069】
この状態において、給気ファンモータ212および排気ファンモータ213が稼働されると、外部空間SOの空気がダクト31を通って導入口10aを介して換気装置1内に流入し、還気RAがダクト32を通って取込口10cを介して換気装置1の本体ケーシング10内に流入する。
【0070】
次に、外部空間SOの空気は、外気OAとして熱交換器11を経て、給気SAとして給気口10bおよびダクト32を介して室内空間SIへ供給される。また、還気RAは、熱交換器11を経ない第2排気経路19を通って排気EAとして排気口10dおよびダクト31を介して外部空間SOに排出される。すなわち、普通換気運転においては、外部空間SOの空気をそのまま取り入れる外気冷房や外気暖房を行うことができる。
【0071】
<本発明の特有の運転制御について>
従来、空気調和装置と連動して運転可能な換気装置が存在する。このような換気装置は、基本的に、空気調和装置の運転/停止に伴って運転/停止が行われる。しかし、このような換気装置には、例外として、夜間の外気取り入れ運転や換気停止運転が行われるものがある。
【0072】
夜間の外気取り入れ運転は、主として普通換気運転と同様の運転であり、朝一番の空気調和装置の運転負荷を軽減するために、空気調和装置の停止時であって夜間に、室内空間に外部空間の空気を取り入れる運転である。また、換気停止運転は、朝一番の空気調和装置の運転負荷の軽減およびユーザの快適性の向上のために、朝一番に空気調和装置の運転が開始されても、所定時間換気装置の運転を停止する運転である。
【0073】
従来の換気装置では、上述の2つの運転は別々に設定されているため、朝空気調和装置の運転が開始されると夜間の外気取り入れ運転は終了され、換気停止運転が開始されるようになっている。しかし、これらの運転がそれぞれ単独で行われることで、空気調和装置の運転負荷の軽減やユーザの快適性の向上といった目的に相反する方向に働く場合が想定される。すなわち、例えば、朝一番に空気調和装置の運転が開始されても、夜間の外気取り入れ運転のような外部空間の空気を室内空間に取り入れるほうが、換気停止運転を行うよりも空調機の空調負荷を低減する場合が考えられるということである。
【0074】
そこで、本実施形態の換気装置1では、空気調和装置20の運転の開始(立ち上げ)時においては、制御部9は、空気調和装置20の設定温度TSと、外部空間SOの温度TSOと、室内空間SIの温度TSIとが所定の条件を満たすか否かによって、換気停止と、普通換気運転と、通常の換気運転とを選択する制御を行っている。すなわち、換気装置1では、従来の夜間の外気取り入れ運転と換気停止運転とがそれぞれが単独に運転されるのではなく、両運転を連動させる制御を行っている。
【0075】
以下では、まず、従来からある夜間の外気取り入れ運転について簡単に説明した後、夜間の外気取り入れ運転に続いて空気調和装置20の運転が開始されたときの換気装置1の運転について説明する。
【0076】
(1)夜間の外気取り入れ運転
以下、夜間の外気取り入れ運転における制御部9の具体的な運転制御について図7を用いて説明する。
【0077】
(a)空気調和装置20の設定モードが冷房の場合
まず、図7に示すように、ステップS1では、判定部9bは、空気調和装置20の運転が停止したか否かを判定する。すなわち、判定部9bは、取得部9aが空気調和装置20の制御部から停止信号を受信したか否かを判定している。停止したと判定する場合は、ステップS2へ移行し、停止していないと判定する場合は、ステップS1を繰り返す。なお、ここでは、取得部9aが空気調和装置20の制御部から停止信号を受信すると、運転制御部9cは、換気停止、すなわち、給気ファン12および排気ファン13の運転を停止する。
【0078】
ステップS2では、判定部9bは、空気調和装置20の運転を停止してからの経過時間t1(時間)が、管理者によって予め設定される任意の時間tA(時間)を過ぎたか否かを判定する。具体的には、判定部9bは、経過時間t1を計測する第1タイマー9d(図6を参照)が、空気調和装置20の運転が停止してから任意の時間tAを計測したか否かを判定している。経過時間t1が任意の時間tAを過ぎたと判定する場合は、ステップS3へ移行し、過ぎていないと判定する場合は、ステップS2を繰り返す。
【0079】
ステップS3では、運転制御部9cは、モニタ運転を開始する。ここで行われるモニタ運転は、通常の換気運転である。なお、モニタ運転を開始するのは、ステップS5で取得部9aが、外部空間SOの温度TSOのデータと、室内空間SIの温度TSIのデータとを取得するためである。
【0080】
ステップS4では、取得部9aは、外気温度センサ51および室内温度センサ52の検出データを定期的に取得する。
【0081】
ステップS5では、判定部9bは、室内空間SIの温度TSIが、空気調和装置20の設定温度TS+α1(予め設定される任意の値)より高く、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSIより低い(これを以下、第1条件という)か否かを判定する。第1条件を満たす場合は、ステップS6へ移行し、第1条件を満たさない場合は、ステップS5を繰り返す。
【0082】
なお、ここで用いられる空気調和装置20の設定温度TSは、換気装置1が空気調和装置20と連動して運転しているときに、取得部9aが空気調和装置20の制御部から定期的に取得する空気調和装置20の運転データ(例えば、空気調和装置20の運転状況等(空気調和装置20の稼働/停止状況、設定温度、設定モード(冷房または暖房)等)を参照するものとする。
【0083】
ステップS6では、運転制御部9cは、普通換気運転を行う。すなわち、運転制御部9cは、給気ファン12および排気ファン13を稼働し、ダンパ14を普通換気運転の状態に切り替える。
【0084】
なお、ステップS6では、普通換気運転を行うと説明しているが、これに限られず、通常の換気運転を行ってもよい。
【0085】
また、夜間の外気取り入れ運転は、所定の条件を満たすか否かが判定されることによって運転/中断が繰り返されるものであってもよい。具体的には、第1条件を満たす場合には、夜間の外気取り入れ運転を行う(夜間の外気取り入れ運転を継続する)、すなわち、給気ファン12および排気ファン13を稼働(または、運転を継続)する。他方、室内空間SIの温度TSIが、空気調和装置20の設定温度TS+α2(予め設定される任意の値)以下で、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSI以上である場合は、夜間の外気取り入れ運転を中断する、すなわち、給気ファン12および排気ファン13を停止するというものである。
【0086】
ここで、夜間の外気取り入れ運転は、従来と同様、空気調和装置20の運転が開始されることにより終了される。但し、本実施形態では、空気調和装置20の運転開始時、換気装置1が、夜間の外気取り入れ運転のような外部空間SOの空気を取り入れる運転(すなわち、普通換気運転)を行うことが空気調和装置20の空調負荷の軽減に繋がるような場合は、そのまま外部空間SOの空気を取り入れる普通換気運転を行うことができるようになっている。よって、夜間の外気取り入れ運転は、空気調和装置20の運転が開始されると終了するが、それと同時に外部空間SOの空気を取り入れる普通換気運転に形を変えて、制御部9によって選択される運転の一つとなっている。
【0087】
(b)空気調和装置20の設定モードが暖房の場合
空気調和装置20の設定モードが暖房の場合、制御の流れとしては、空気調和装置20の設定モードが冷房の場合と同様である。但し、普通換気運転を開始する判定条件が異なるので、これについて説明する。
【0088】
空気調和装置20の設定モードが暖房の場合、普通換気運転を開始する条件は、室内空間SIの温度TSIが、空気調和装置20の設定温度TS+β1(予め設定される任意の値)未満であり、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSIより高い場合である。
【0089】
そして、所定の条件を満たすか否かを判定することによって夜間の外気取り入れ運転の運転/中断が繰り返される場合は、上述の条件を満たす場合は、夜間の外気取り入れ運転を行う。他方、室内空間SIの温度TSIが、空気調和装置20の設定温度TS+β2(予め設定される任意の値)以上で、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSI以下である場合は、夜間の外気取り入れ運転を中断する。
【0090】
(2)空気調和装置20の運転開始時における換気装置1の運転
(a)空気調和装置20の冷房運転開始時における換気装置1の運転
図8に示すように、ステップS21では、判定部9bは、空気調和装置20の運転が開始されたか否かを判定する。すなわち、判定部9bは、取得部9aが空気調和装置20の制御部から運転信号を受信したか否かを判定している。開始されたと判定する場合は、ステップS22へ移行し、開始されていないと判定する場合は、ステップS21を繰り返す。
【0091】
ステップS22では、判定部9bは、給気ファン12および排気ファン13が運転してからの経過時間t2(時間)が所定時間tB(時間)(予め設定される任意の値、例えば、2分〜5分)を過ぎたか否かを判定する。具体的には、判定部9bは、経過時間t2を計測する第2タイマー9e(図6を参照)が、給気ファン12および排気ファン13が稼働してから所定時間tBを計測したか否かを判定する。運転していると判定する場合は、ステップS23へ移行し、運転していないと判定する場合は、ステップS27へ移行する。
【0092】
ここで、夜間の外気取り入れ運転が運転/中断を繰り返す場合、ステップS22の直前まで夜間の外気取り入れ運転がされている場合は、給気ファン12および排気ファン13は運転している状態にある。よって、この場合、後述するステップS27(モニタ運転の開始)へ移行せず、ステップS23へ移行すると考えられる。他方、ステップS22より前に夜間の外気取り入れ運転が中断されている場合は、基本的に、給気ファン12および排気ファン13は所定時間tBの間、継続して運転していないと考えられるので、ステップS27へ移行すると考えられる。
【0093】
ステップS23では、判定部9bは、室内空間SIの温度TSIが空気調和装置20の設定温度TS+α3(予め設定される任意の値)より高く、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSI以上であるか否かを判定する。そして、当該条件を満たすと判定する場合は、ステップS24へ移行し、当該条件を満たさないと判定する場合は、ステップS28へ移行する。
【0094】
ステップS24では、運転制御部9cは、換気停止を行う。すなわち、給気ファン12および排気ファン13を停止する。これは、換気装置1を運転することによって空気調和装置20の運転負荷がより大きくなると考えられるので、これを防止するためである。また、空気調和装置20の運転負荷が大きくなるとユーザの快適性にも影響すると考えられるのでこれを防止するためでもある。
【0095】
ステップS25では、判定部9bは、給気ファン12および排気ファン13が停止してからの経過時間t3(時間)が所定時間tC(時間)を過ぎたか否かを判定する。具体的には、判定部9bは、経過時間t3を計測する第3タイマー9f(図6を参照)が、給気ファン12および排気ファン13が停止してから所定時間tCを計測したか否かを判定する。停止していると判定する場合は、ステップS26へ移行し、停止していないと判定する場合は、ステップS25を繰り返す。
【0096】
ここで、所定時間tCは、室内空間SIの温度TSIが空気調和装置20の設定温度TSと同じ、または、空気調和装置20の設定温度TSに近づいている(例えば、室内空間SIの温度TSIが、空気調和装置20の設定温度TS±所定の任意の値となっている)と考えられる時間であり、予め設定される任意の値である。この所定時間tCは、例えば、10分〜30分である。
【0097】
ステップS26では、運転制御部9cは、通常の換気運転を行う。
【0098】
ステップS27では、運転制御部9cは、モニタ運転を開始する。すなわち、運転制御部9cは、給気ファン12および排気ファン13を稼働する。なお、ここで行われるモニタ運転は、通常の換気運転である。モニタ運転を行うのは、取得部9aが、外気温度センサ51および室内温度センサ52からの検出データを取得するためである。
【0099】
ステップS28では、判定部9bは、室内空間SIの温度TSIが空気調和装置20の設定温度TS+α4(予め設定される任意の値)より高く、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSI未満であるか否かを判定する。当該条件を満たすと判定する場合は、ステップS29へ移行し、当該条件を満たしていないと判定する場合は、ステップS26へ移行する。
【0100】
ステップS29では、運転制御部9cは、普通換気運転を行う。ここで、運転制御部9cは、給気ファンモータ212および排気ファンモータ213の回転数を上げる制御を行ってもよい。ここでは、換気装置1の普通換気運転により、室内空間SIの温度TSIをユーザの快適とする温度にすることが早くなる。よって、空気調和装置20の運転負荷をより軽減することができる。
【0101】
ステップS30では、判定部9bは、室内空間SIの温度TSIが空気調和装置20の設定温度TSと同じ、または、空気調和装置20の設定温度TSに近づいている(例えば、室内空間SIの温度TSIが、空気調和装置20の設定温度TS±所定の任意の値となっている)か否かを判定する。当該条件を満たす場合は、ステップS26へ移行し、当該条件を満たさない場合は、ステップS30を繰り返す。
【0102】
(b)空気調和装置20の暖房運転開始時における換気装置1の運転
空気調和装置20の暖房運転開始時における換気装置1の運転は、基本的に、空気調和装置20の冷房運転開始時における換気装置1の運転と同様である。但し、所定の判定処理においては、判定条件が異なるため、異なるところ(具体的には、運転制御部9cが換気停止する判定条件、および、運転制御部9cが普通換気運転を開始する判定条件)についてのみ以下に説明する。
【0103】
まず、空気調和装置20の暖房運転開始時における換気装置1の運転では、判定部9bが、室内空間SIの温度TSIが空気調和装置20の設定温度TS+β3(予め設定される任意の値)より低く、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSI以下であると判定する場合に、運転制御部9cは、給気ファン12および排気ファン13を停止する(すなわち、換気停止を行う)。
【0104】
また、判定部9bが、上述の条件を満たさないと判定する場合であって、室内空間SIの温度TSIが空気調和装置20の設定温度TS+β4(予め設定される任意の値)より低く、かつ、外部空間SOの温度TSOが室内空間SIの温度TSIより高いと判定する場合に、運転制御部9cは、普通換気運転を行う。
【0105】
<第1実施形態に係る換気装置1の特徴>
本実施形態に係る換気装置1では、空気調和装置20の運転立ち上げ時において、制御部9は、空気調和装置20の設定温度TSと、外部空間SOの温度TSOと、室内空間SIの温度TSIとが所定の条件を満たしているか否かによって、換気停止、普通換気運転、および、通常の換気運転のいずれを行うかを選択している。
【0106】
これによって、換気装置1においては、従来のように換気停止を行うよりも普通換気運転を行ったほうがいいにも関わらず空気調和装置の運転が立ち上がることで換気停止が優先して行われるような状態を防止することができる。
【0107】
よって、空気調和装置20の運転立ち上げ時における空調負荷を軽減することができる。したがって、省エネルギーおよび省コストに貢献する。また、室内空間SIの温度TSIをより早くユーザの快適とする温度にすることが可能になるので、ユーザの快適性の向上にも貢献する。
【0108】
<第1実施形態に係る換気装置1の変形例>
(A)
上記実施形態では、図8に示すように、ステップS25およびステップS30において、給気ファン12および排気ファン13の稼働/停止の継続時間によって、通常の換気運転を行うか否かを判定しているが、本発明はこれに限られるものではない。
【0109】
例えば、空気調和装置20の運転開始時からの経過時間が所定時間(例えば、30分〜数時間)を経過しているか否かが判定されることによって通常の換気運転を行うか否かを判定するものであってもよい。
【0110】
また、判定部9bが、給気ファン12および排気ファン13が運転してからの経過時間t4が所定時間tD(時間)(予め設定される任意の値、例えば、室内空間SIの温度TSIが空気調和装置20の設定温度TSと同じ、または、空気調和装置20の設定温度TSに近づいた値になっていると考えられる時間値)を過ぎたか否かを判定することによって、通常の換気運転を行うか否かを判定するものであってもよい。
【0111】
(B)
夜間の外気取り入れ運転における普通換気運転の開始条件は、上記実施形態の他に、空気調和装置20の運転開始予定時間までの時間が所定時間以下であるか否かといった条件であってもよい。
【0112】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と共通する構成部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0113】
第2実施形態の第1実施形態と異なる点は、換気装置1の本体ケーシング10の所定位置に、図9に示すように、室内空間SIの空気の汚れ度合いを検出する汚れ度合いセンサ271が設けられている点である。
【0114】
この場合であっても、第2実施形態における各種の運転は、第1実施形態における各種の運転と同様である。但し、以下に説明する点が異なる。
【0115】
第2実施形態に係る空気調和装置20の運転開始時における換気装置1の運転においては、第1実施形態に係る空気調和装置20の運転開始時における換気装置1の運転において、ステップS23の判定条件に所定の条件が追加される。所定の条件とは、汚れ度合いセンサ271によって検出される室内空間SIの汚れ度合いがγ(例えば、ビル管理法で定められる各種(CO2濃度等)の基準値)未満であるといった条件である。
【0116】
なお、第2実施形態においては、制御部9は、室内空間SIの空気の汚れ度合いを考慮した換気運転を行うのか、省エネルギーを優先する換気運転を行うのかを管理者等が予め設定してもよい。
【0117】
<第2実施形態に係る換気装置1の特徴>
従来の換気停止運転では、朝一番に空気調和装置が運転されても、換気装置は運転されない。
【0118】
通常、ビル等の建物内においては、朝は空気の汚れ度合いは低いと考えられているので換気停止運転を行っても問題はないと考えられるが、密閉型の建物においては、朝であっても空気が汚れている場合があると考えられる。
【0119】
そこで、第2実施形態に係る換気装置1では、汚れ度合いセンサ271が設けられている。これにより、汚れ度合いを加味した換気運転(普通換気運転、通常の換気運転)の稼働/停止が可能になっている。
【0120】
よって、ユーザの快適性をより考慮しながら、空気調和装置20の空調負荷を軽減することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明では、ユーザの快適性の向上を考慮しながら、空調機の空調負荷を軽減することができるので、有用である。
【符号の説明】
【0122】
1 換気装置
9 制御部
11 熱交換装置
12 給気ファン(第1換気ファン)
13 排気ファン
14 ダンパ(状態変更手段)
20 空気調和装置(空調機)
271 汚れ度合い検出センサ
EA 排気
SI 室内空間(対象空間)
TS 空気調和装置の設定温度(空調機の設定温度)
TSI 室内空間の温度(対象空間の温度)
TSO 外部空間の温度(外気の温度)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】特開2000−88298号公報
【特許文献2】特開平6−123473号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも冷房機能を有する空調機(20)と連動することができ、対象空間(SI)の換気を行う換気装置(1)であって、
第1換気ファン(12)と、
前記第1換気ファン(12)を稼働して前記対象空間(SI)に外気(OA)を取り入れて換気を行う換気運転と、前記第1換気ファン(12)を止めて換気を行わない換気停止と、の選択を行う制御部(9)と、
を備え、
前記制御部(9)は、前記空調機(20)の設定温度(TS)、前記対象空間(SI)の温度(TSI)および前記外気の温度(TSO)に応じて、前記選択を行う、
換気装置(1)。
【請求項2】
前記対象空間(SI)の空気(RA)を排気(EA)として外部に排出する排気ファン(13)と、
前記外気と前記排気(EA)との間で熱交換させることが可能な熱交換装置(11)と、
前記熱交換装置(11)において前記外気と前記排気(EA)との間で熱交換させない第1状態と、前記熱交換装置(11)において前記外気と前記排気(EA)との間で熱交換させる第2状態と、を採り得る状態変更手段(14)と、
をさらに備え、
前記第1換気ファン(12)は、前記外気を前記対象空間(SI)に導入する給気ファンであり、
前記換気運転には、前記排気ファン(13)がさらに稼働し前記状態変更手段が前記第1状態を採る第1換気運転と、前記排気ファン(13)がさらに稼働し前記状態変更手段(14)が前記第2状態を採る第2換気運転とが含まれる、
請求項1に記載の換気装置(1)。
【請求項3】
前記制御部(9)は、前記空調機(20)の前記冷房機能の立ち上げ時において、前記対象空間(SI)の温度(TSI)が前記空調機(20)の設定温度(TS)より高く且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)未満である場合に、前記第1換気運転を選択する、
請求項2に記載の換気装置(1)。
【請求項4】
前記制御部(9)は、前記空調機(20)の前記冷房機能の立ち上げ時において、前記対象空間(SI)の温度(TSI)が前記空調機(20)の設定温度(TS)より高く且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)以上である場合に、前記換気停止を選択する、
請求項2または3に記載の換気装置(1)。
【請求項5】
前記制御部(9)は、前記空調機(20)の前記冷房機能の立ち上げ時において、前記対象空間(SI)の温度(TSI)が、前記空調機(20)の設定温度(TS)と同じ、
または、
前記第1換気運転または前記換気停止を選択している状態において、前記対象空間(SI)の温度(TSI)が、前記空調機(20)の設定温度(TS)に近づいた場合に、前記第2換気運転を選択する、
請求項2〜4のいずれかに記載の換気装置(1)。
【請求項6】
前記制御部(9)は、
前記空調機(20)の運転が行われていない状態において、前記空調機(20)の設定モードが冷房であり、且つ、前記対象空間(SI)の温度(TSI)が前記空調機(20)の設定温度(TS)より高く且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)未満である場合に、前記第1換気運転を選択する、
請求項2〜5のいずれかに記載の換気装置(1)。
【請求項7】
前記対象空間(SI)の空気の汚れ度合いを検出するための汚れ度合い検出センサ(271)をさらに備え、
前記制御部(9)は、
前記空調機(20)の前記冷房機能の立ち上げ時において、
前記汚れ度合いが所定値未満で且つ前記対象空間(SI)の温度が前記空調機(20)の設定温度(TS)より高く且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)以上である場合に前記換気停止を選択し、
前記汚れ度合いが所定値以上で且つ前記対象空間(SI)の温度(TSI)が前記空調機(20)の設定温度(TS)より高く且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)未満である場合に前記第1換気運転を選択し、
前記対象空間(SI)の温度(TSI)が、前記空調機(20)の設定温度(TS)と同じ、または、前記空調機(20)の設定温度(TS)に近づいた場合に前記第2換気運転を選択する、
請求項2〜6のいずれかに記載の換気装置(1)。
【請求項8】
前記空調機(20)は、暖房機能を有し、
前記制御部(9)は、
前記空調機(20)の前記暖房機能の立ち上げ時において、
前記対象空間(SI)の温度(TSI)が前記空調機(20)の設定温度(TS)未満で且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)より高い場合に前記第1換気運転を選択し、
前記対象空間(SI)の温度(TSI)が前記空調機(20)の設定温度(TS)未満で且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)以下である場合に前記換気停止を選択し、
前記対象空間(SI)の温度(TSI)が、前記空調機(20)の設定温度(TS)と同じ、または、前記空調機(20)の設定温度(TS)に近づいた場合に、前記第2換気運転を選択する、
請求項7に記載の換気装置(1)。
【請求項9】
前記制御部(9)は、
前記空調機(20)の運転が行われていない状態において、前記空調機(20)の設定モードが暖房であり、且つ、前記対象空間(SI)の温度が前記空調機(20)の設定温度(TS)未満で且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)より高い場合に、前記第1換気運転を選択する、
請求項8に記載の換気装置(1)。
【請求項10】
前記制御部(9)は、
前記空調機(20)の前記暖房機能の立ち上げ時において、
前記汚れ度合いが所定値未満で且つ前記対象空間(SI)の温度が前記空調機(20)の設定温度(TS)未満で且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)以下である場合に前記換気停止を選択し、
前記汚れ度合いが所定値以上で且つ前記対象空間(SI)の温度が前記空調機(20)の設定温度(TS)未満で且つ前記外気の温度(TSO)が前記対象空間(SI)の温度(TSI)より高い場合に前記第1換気運転を選択し、
前記対象空間(SI)の温度(TSI)が、前記空調機(20)の設定温度(TS)と同じ、または、前記空調機(20)の設定温度(TS)に近づいた場合に前記第2換気運転を選択する、
請求項8または9に記載の換気装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−80630(P2011−80630A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231470(P2009−231470)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】