説明

揮散剤容器

【課題】従来の揮散剤容器と同様に効率の良い揮散剤の揮散を行えるとともに、構造が極めて簡単であり、また、その外観にも優れ、機能的部材が外観向上効果を発揮する揮散剤容器を提案する。
【解決手段】上端を開口した皿状をなすとともに、内部に揮散剤Cを収納する容器本体Aと、容器本体Aの上端縁に下端縁を嵌合するドーム状の蓋体Bとを備え、蓋体Bの周面部に複数の側方揮散口23を穿設するとともに、蓋体Bの頂部中央に一つの頂部揮散口24を開口した。また、蓋体Bの弾性押圧変形が可能に構成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揮散剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤等の揮散剤を収納し、揮散させる揮散剤容器が種々提案されている。(例えば、特許文献1及び2参照)
【0003】
特許文献1に記載された芳香剤容器は、容器本体の開口部の外周に、断面コ字型の蓋体の外周壁を上下動可能に螺着し、この蓋体の外周壁に、香気の流通口を開口するとともに、蓋体の天板の内面にパッキン体を配置し、このパッキン体を、容器本体の開口縁または中皿の上端に気密的に圧着可能な寸法としている。そして、香気が不必要な場合には、完全に香気の流出を遮断でき、芳香剤の無駄な消費を防止できる如く構成している。
【0004】
また、特許文献2の芳香剤容器は、容器体に保持部材で保持された吸液芯材が挿入されている。吸液芯材は毛細管現象を利用して芳香剤を吸上げるもので、容器体上方に上端を突出する。また、容器体には通気孔を備えたキャップが嵌合されている。キャップは、その外筒部材を回動させることにより、側周面に設けられた通気孔の開口を閉じたり開口面積を調整したりできるので、芳香剤の揮散度合いを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−112339号公報
【特許文献1】特開2006−36292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記各特許文献の芳香剤容器は、前者においては、香気が不必要な場合には、完全に香気の流出を遮断でき、芳香剤の無駄な消費を防止できるという利点を備え、また、後者の場合も、芳香剤の揮散度合いを調整できるすぐれたものである。
【0007】
本発明は上記した従来の揮散剤容器と同様に効率の良い揮散剤の揮散を行えるとともに、構造が極めて簡単であり、また、その外観にも優れ、機能的部材が外観向上効果を発揮する揮散剤容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、上端を開口した皿状をなすとともに、内部に揮散剤Cを収納する容器本体Aと、容器本体Aの上端縁に下端縁を嵌合するドーム状の蓋体Bとを備え、蓋体Bの周面部に複数の側方揮散口23を穿設するとともに、蓋体Bの頂部中央に一つの頂部揮散口24を開口した。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、蓋体Bを弾性押圧変形が可能に構成した。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれか1つの手段に於いて、頂部揮散口24を開閉可能に閉塞する栓体Dを設けた。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段に於いて、容器本体Aを逆ドーム状に形成するとともに、頂部揮散口24を、上端より順次縮径する湾曲筒壁25により画成し、上記栓体Dを、湾曲筒壁25内周下部に周縁部を嵌合させて頂部揮散口24を閉塞する基板40と、基板40の上面より湾曲筒壁25上方へ上端を突出して起立した棒部41とで構成した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段乃至第4の手段のいずれか1つの手段に於いて、容器本体Aの上端外周縁に環状の係止突条12を起立し、蓋体B下端の内周縁に垂設した環状の係合突条22を係止突条12内面に嵌合させるとともに、蓋体B下面を係止突条12上面に、容器本体上面を係合突条22下面に当接し、蓋体Bを容器本体Aに嵌合させた。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、容器本体A内に揮散剤Cを収納し、蓋体Bの周面部に複数の側方揮散口23を穿設するとともに、蓋体Bの頂部中央に一つの頂部揮散口24を開口しているので、一般的に空気より重い揮散剤Cの揮散気体が各側方揮散口23から排出され、また、頂部揮散口24から外気が導入されて、揮散剤容器1の周囲への揮散気体の揮散を円滑に行える。
【0014】
また、蓋体Bを弾性押圧変形が可能に構成した場合には、必要に応じて上方より圧搾することで、揮散剤容器1内部に揮散している気体を強制的に外部へ排出することができ、外部の揮散気体の濃度調整を容易に行える。
【0015】
頂部揮散口24を開閉可能に閉塞する栓体Dを設けた場合には、必要に応じて頂部揮散口24を栓体Dで閉塞しておけば外気の導入に円滑性をかくこととなり、その結果、揮散剤容器1内に揮散した液の外部への排出量が制限されるととなり、また、栓体Dを外せばもとの円滑な排出が可能となるため、排出量の調整を簡単に行える利点がある。
【0016】
容器本体Aを逆ドーム状に形成するとともに、頂部揮散口24を、上端より順次縮径する湾曲筒壁25により画成し、上記栓体Dを、湾曲筒壁25内周下部に周縁部を嵌合させて頂部揮散口24を閉塞する基板40と、基板40の上面より湾曲筒壁25上方へ上端を突出して起立した棒部41とで構成した場合には、外観がリンゴ,梨等の果物形態に形成できて外観的な魅力を増大し、しかも機能的にも上記した利点を充分発揮することができる。
【0017】
容器本体Aの上端外周縁に環状の係止突条12を起立し、蓋体B下端の内周縁に垂設した環状の係合突条22を係止突条12内面に嵌合させるとともに、蓋体B下面を係止突条12上面に、容器本体上面を係合突条22下面に当接し、蓋体Bを容器本体Aに嵌合させた場合には、必要に応じて蓋体Bを押圧弾性変形させた場合に容器本体Aと蓋体Bとの係合が外れる虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】揮散剤容器の斜視図である。(実施例1)
【図2】揮散剤容器の縦断面図である。(実施例1)
【図3】揮散剤容器の斜視図である。(実施例2)
【図4】揮散剤容器の縦断面図である。(実施例2)
【図5】揮散剤容器の平面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1及び図2は揮散剤容器1の一例を示す。揮散剤容器1は、容器本体Aと、蓋体Bとを備えている。
【0021】
容器本体Aは合成樹脂等により形成され、底壁10の周縁部より立設した周壁1を上方に行くに従って拡径する湾曲円筒状に形成しており、下面が扁平な逆ドーム状に形成している。周壁1の上端面外周には環状の係止突条12を周設している。容器本体Aの内部には揮散剤Cを収納している。揮散剤Cは、従来から使用されている揮散性の固体,粉体,粒体等が使用でき、具体的には芳香剤,消臭剤,殺虫剤等が使用できる。
【0022】
蓋体Bは合成樹脂等により形成され、周壁部20から頂壁部21に亘って、上方に行くに従って縮径する湾曲円筒状をなすドーム状に形成しており、周壁部20の下端内周には環状の係合突条22を垂設している。そして、係合突条22を係止突条12内面に嵌合させるとともに、周壁部20の下端を係止突条12の上面に当接し、容器本体周壁11の上端を係合突条22の下面に当接して、蓋体Bを容器本体Aに嵌合させている。
【0023】
蓋体Bは上方からの押圧により弾性変形が可能に構成しており、その様な状況を現出する具体的手段としては、肉厚の選択、或いは材質の選択、或いはこれらの複合等で行える。本例の場合には比較的柔らかい合成樹脂を採用している。また、周壁部20の下端部には周方向等間隔に複数の側方揮散口23を穿設しており、また、頂部中央には一つの頂部揮散口24を開口している。頂部揮散口24は、上端より順次縮径する湾曲筒壁25により画成されている。
【0024】
上記の揮散剤容器1を使用する場合には、目的位置に載置しておけば良く、その場合に揮散剤Cは一般に空気より重く、その結果、揮散気体は周囲の側方揮散口23より排出され、頂部揮散口24から外気が導入される。また、必要に応じて蓋体Bを下方へ圧縮することで揮散剤容器1内に揮散している液を強制的に外部へ排出できる。その際には頂部揮散口24からの排出もある。
【0025】
図3乃至図5は他の例を示すもので、容器本体Aは図1の場合と同様に合成樹脂等により形成され、中央部を上方に隆起させた隆起部13を形成した底壁10の周縁部より立設した周壁11を上方に行くに従って拡径する湾曲円筒状に形成しており、底壁10から周壁11に亘って湾曲する逆ドーム状に形成している。周壁11の上端面外周には同様に環状の係止突条12を周設している。また、容器本体Aの内部には同様の揮散剤Cを収納している。
【0026】
蓋体Bは図1の場合と同様に合成樹脂等により形成され、周壁部20から頂壁部21に亘って、上方に行くに従って縮径する湾曲円筒状をなすドーム状に形成しており、周壁部20の下端内周には図1の場合と同様に環状の係合突条22を垂設している。そして、図1の場合と同様に係合突条22を係止突条12内面に嵌合させるとともに、周壁部20の下端を係止突条12の上面に当接し、容器本体周壁11の上端を係合突条22の下面に当接して、蓋体Bを容器本体Aに嵌合させている。
【0027】
また、蓋体Bは図1の場合と同様に上方からの押圧により弾性変形が可能に構成しており、本例の場合にも比較的柔らかい合成樹脂を採用している。また、頂壁部21の周縁部から周壁部20の下部に亘り周方向等間隔に複数の側方揮散口23を穿設しており、各側方揮散口23はそれぞれ細い切溝状に形成されている。また、頂部中央には図1の例と同様な一つの頂部揮散口24を開口している。
【0028】
本例の場合には栓体Dを備えている。栓体Dは、湾曲筒壁25内周下部に周縁部を嵌合させて頂部揮散口24を閉塞する基板40と、基板40の上面より湾曲筒壁25上方へ上端を突出して起立した棒部41とで構成しており、着脱自在に構成している。この栓体Dを装着することで、リンゴの形状を表現している。
【0029】
本例の場合の揮散剤容器1を使用する場合には、通常は図4の状態から栓体Dを取り外した状態で、図1の例と同様に目的位置に載置しておけば良い。また、必要に応じて蓋体Bを下方へ圧縮することで揮散剤容器1内に揮散している液を強制的に外部へ排出できることも同様である。更に、揮散気体の排出量を少なくしたい場合には栓体Dを装着しておけば、頂部揮散口24からの外気の導入が遮断されるため、揮散気体の排出量が制限される。
【符号の説明】
【0030】
1…揮散剤容器
A…容器本体
10…底壁,11…周壁,12…係止突条,13…隆起部
B…蓋体
20…周壁部,21…頂壁部,22…係合突条,23…側方揮散口,24…頂部揮散口,
25…湾曲筒部
C…揮散剤
D…栓体
40…基板,41…棒部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端を開口した皿状をなすとともに、内部に揮散剤Cを収納する容器本体Aと、容器本体Aの上端縁に下端縁を嵌合するドーム状の蓋体Bとを備え、蓋体Bの周面部に複数の側方揮散口23を穿設するとともに、蓋体Bの頂部中央に一つの頂部揮散口24を開口したことを特徴とする揮散剤容器。
【請求項2】
蓋体Bを弾性押圧変形が可能に構成した請求項1記載の揮散剤容器。
【請求項3】
頂部揮散口24を開閉可能に閉塞する栓体Dを設けた請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の揮散剤容器。
【請求項4】
容器本体Aを逆ドーム状に形成するとともに、頂部揮散口24を、上端より順次縮径する湾曲筒壁25により画成し、上記栓体Dを、湾曲筒壁25内周下部に周縁部を嵌合させて頂部揮散口24を閉塞する基板40と、基板40の上面より湾曲筒壁25上方へ上端を突出して起立した棒部41とで構成した請求項3に記載の揮散剤容器。
【請求項5】
容器本体Aの上端外周縁に環状の係止突条12を起立し、蓋体B下端の内周縁に垂設した環状の係合突条22を係止突条12内面に嵌合させるとともに、蓋体B下面を係止突条12上面に、容器本体上面を係合突条22下面に当接し、蓋体Bを容器本体Aに嵌合させた請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の揮散剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−30707(P2011−30707A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178839(P2009−178839)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】