説明

揮発性有機ガスの濃度希釈方法

【課題】従来のような大型の吸着層内に備えたヒーターによって発生するコスト及び消費電力を低減でき、かつ吸着層の連続使用を可能にする揮発性有機ガスの濃度希釈方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、揮発性有機ガスを第1吸着層3aに第1方向で通過させ、第1吸着層3aを通過した揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合には、第1供給路開閉弁9aを閉弁し、かつ第2供給路開閉弁9b及び第2排出路開閉弁10bを開弁することにより、揮発性有機ガス格納容器からの新たな揮発性有機ガスを第2吸着層3bに第1方向で通過させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機ガスを吸着層に通過させることで揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を希釈する揮発性有機ガスの濃度希釈方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来発明として、滅菌作業後に滅菌器から排出される酸化エチレン等を含有する滅菌ガスと、その滅菌器を清浄なエアで置換した後に滅菌器から排出されるエアレーションガスとを燃焼処理して無毒化するため、それらガス(以下、揮発性有機ガス)を吸着層に通過させ、そのガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着層の吸着材に吸着させることで、その濃度を燃焼処理可能な濃度に低減するものがある(特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平08−215541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来発明では吸着層を一旦通過した揮発性有機ガスをそのまま燃焼処理装置に供給するので、そのガスに含まれる揮発性有機化合物の供給量が吸着層の吸着可能な量を超えると、吸着層から揮発性有機化合物が高い濃度で排出される。この濃度が燃焼可能な濃度より高くなると、揮発性有機ガスを燃焼処理装置に供給しても揮発性有機ガスを燃焼処理で十分に無毒化できない事態が発生する。このような事態が生じないように、従来発明では、滅菌器から供給される揮発性有機ガスに含まれる揮発性有機化合物の供給量に対して十分に安全な大型の吸着層を備えている。
【0005】
ここで吸着層の吸着材に吸着した揮発性有機化合物が吸着材から脱離する速度は吸着層内の温度が高い程上がるので、吸着層を連続使用するには吸着層内の温度が高いことが望ましい。そこで従来発明では吸着層内にヒーターを備えて吸着層内の温度を高くできるようにしているが、吸着層が大型であるためにヒーターによるコスト及び消費電力が増大する。
【0006】
本発明は、従来のような大型の吸着層内に備えたヒーターによって発生するコスト及び消費電力を低減でき、かつ吸着層の連続使用を可能にする揮発性有機ガスの濃度希釈方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、揮発性有機ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着する吸着材を備えた第1吸着層及び第2吸着層に前記揮発性有機ガスを通過させ、前記揮発性有機化合物の濃度を希釈する揮発性有機ガスの濃度希釈方法であって、前記揮発性有機ガスを前記第1吸着層に第1方向で通過させ、前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合には、新たな前記揮発性有機ガスを前記第2吸着層に前記第1方向で通過させる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明においては、前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合に、前記第1方向で前記吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向に対して逆方向である第2方向で前記第1吸着層に通過させる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度と、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度との合計が所定濃度より高い場合に、前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向で前記第1吸着層に通過させ、かつ前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第2方向で前記第2吸着層に通過させる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度と、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度との合計が所定濃度より高い場合に、前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向で前記第1吸着層に通過させる。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度と、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度との合計が所定濃度より高い場合に、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第2方向で前記第2吸着層に通過させる。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項3又は請求項4に係る発明において、前記第1方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合に、前記第1方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第2方向で前記第1吸着層に通過させる。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項3又は請求項5に係る発明において、前記第2方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合に、前記第2方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向で前記第2吸着層に通過させる。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれかに係る発明において、前記第1吸着層に前記第1方向で通過させる前、前記第1吸着層に前記第1方向で通過させた後、前記第1吸着層に前記第2方向で通過させる前及び前記第1吸着層に前記第2方向で通過させた後の少なくともいずれかの前記揮発性有機ガスに希釈ガスを供給する。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項1〜7のいずれかに係る発明において、前記第2吸着層に前記第1方向で通過させる前、前記第2吸着層に前記第1方向で通過させた後、前記第2吸着層に前記第2方向で通過させる前及び前記第2吸着層に前記第2方向で通過させた後の少なくともいずれかの前記揮発性有機ガスに希釈ガスを供給する。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれかに係る発明において、前記吸着層を通過する前の揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より低い場合に、前記吸着層を通過する前の揮発性有機ガスを前記吸着層から迂回させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、使用する吸着層を複数にすることによりそれら吸着層の吸着材の総量を変えることなく各吸着層を小型化できる。このため各吸着層内の温度を上げるための熱量を低減できるので、本発明では、従来のような大型の吸着層内に備えたヒーターによって発生するコスト及び消費電力を低減を可能にしながら、吸着層の連続使用を可能にする。
【0018】
ここで揮発性有機ガスの処理量は、排出路から排出された揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度と、その揮発性有機ガスの流量との積算値によって決定する。従って、排出された揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度は燃焼処理が可能な範囲でなるべく高い方が揮発性有機ガスの処理量を増加させることができる。本発明の好適な実施形態は、第1吸着層を通過する揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高くなるまで揮発性有機ガスを第1吸着層に集中して供給し続ける。これにより第1吸着層から排出される揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が迅速に上昇して揮発性有機ガスの処理効率が向上する。
【0019】
本発明では、従来より吸着層を小型化できる分だけ、吸着層から揮発性有機化合物が排出し始める時間が短くなる。これにより吸着層を通過した揮発性有機化合物の濃度が迅速に上昇し、揮発性有機ガスの処理効率が向上する。
【0020】
本発明の好適な実施形態では、揮発性有機ガスを吸着層に通過させる回数が従来のように一回に限定されず、揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を十分に希釈するまで何回でも揮発性有機ガスを吸着層に通過させることができる。このため従来に比べると吸着層当たりの吸着効率が高くなり、揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を高い状態のままで排出せずに従来より各吸着層の吸着材の総量を低減できる。
【0021】
本発明の好適な実施形態においては、希釈ガスを供給することにより揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を所定濃度近傍に維持する。これにより揮発性有機化合物の処理量を増やすことができる。
【0022】
本発明の好適な実施形態においては、新たに吸着層に供給される揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より低い場合には、その揮発性有機ガスを吸着層から迂回させる。このため吸着層には揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い揮発性有機ガスのみを集中的に通過して揮発性有機ガスの処理効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面に基いて説明する。
図1は、本発明の揮発性有機ガスの濃度希釈方法が使用する濃度希釈装置1の一例を簡略的に示す模式図である。
濃度希釈装置1は、供給路2と、吸着層3と、排出路4とを基本構成として備える。吸着層3は第1吸着層3a及び第2吸着層3bから構成されている。濃度希釈装置1は、揮発性有機ガスを供給路2から第1吸着層3a及び第2吸着層3bを介して排出路4へと通過させる。
【0024】
供給路2は揮発性有機ガス格納容器(図示せず)及び第1吸着層3a及び第2吸着層3bに接続し、揮発性有機ガス格納容器からの揮発性有機ガスを第1吸着層3a及び第2吸着層3bに供給する。供給路2は、第1吸着層3aに連通する第1分岐供給路2aと、第2吸着層3bに連通する第2吸着層3bと、第1分岐供給路2a及び第2分岐供給路2bが上流側で合流する合流供給路2cとを有する。第1分岐供給路2aには第1供給路開閉弁9aが配置され、第2分岐供給路2bには第2供給路開閉弁9bが配置される。なお第1供給路開閉弁9a及び第2供給路開閉弁9bは制御部(図示せず)によって制御される。
【0025】
第1吸着層3a及び第2吸着層3bは揮発性有機ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着させる吸着材をそれぞれ有し、供給された揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を低減させる。吸着材は例えば活性炭、ゼオライト、シリカ、アルミナ、多孔吸着材等である。
【0026】
排出路4は第1吸着層3a及び第2吸着層3b及び燃焼処理装置(図示せず)に連通し、第1吸着層3a及び第2吸着層3bからの揮発性有機ガスを燃焼処理装置に排出する。排出路4は第1吸着層3aに連通する第1分岐排出路4aと、第2吸着層3bに連通する第2分岐排出路4bと、第1分岐排出路4a及び第2分岐排出路4bが下流側で合流する合流排出路4cとから構成される。第1分岐排出路4aには第1排出路開閉弁10aが配置され、第2分岐排出路4bには第2排出路開閉弁10bが配置される。なお第1排出路開閉弁10a及び第2排出路開閉弁10bは、第1供給路開閉弁9a及び第2供給路開閉弁9bと同様に制御部によって制御される。
【0027】
濃度希釈装置1は、戻し路6と、迂回路8と、通過方向切換え手段5と、希釈ガス供給手段7とをさらに備える。
【0028】
戻し路6は、第1分岐供給路2aに連通する第1戻し路6aと、第2分岐供給路2bに連通した第2戻し路6bと、第1戻し路6a及び第2戻し路6bが合流する合流戻し路6cとを有する。合流戻し路6cは第1分岐排出路4a及び第2分岐排出路4bに連通する。第1戻し路6aには第1戻し路開閉弁17aが配置され、第2戻し路6bには第2戻し路開閉弁17bが配置される。
【0029】
迂回路8は、第1吸着層3a及び第2吸着層3bを迂回し、合流供給路2cにおける第1分岐供給路2a及び第2分岐供給路2bの分岐箇所より上流側に連通し、かつ第1分岐排出路4aにおける第1排出路開閉弁10aの配置箇所より下流側に連通する。
【0030】
通過方向切換え手段5は、第1分岐供給路2aから第1吸着層3aを通過して第1分岐排出路4aから排出する揮発性有機ガスの通過方向(以下、第1方向(図1の矢印Aが示す方向))を逆方向(以下、第2方向(図1の矢印Bが示す方向))に切換える。通過方向を切り換えた揮発性有機ガスは第1吸着層3aから第1分岐供給路2aに流れ、次いで第1戻し路6a及び合流戻し路6cを介して合流排出路4cに至る。さらに通過方向切換え手段5は通過方向を第2方向に切り換えた揮発性有機ガスの通過方向を再度逆方向(すなわち第1方向)に切り換え、その揮発性有機ガスを第1戻し路6aから、その第1戻し路6aの連通箇所から第1吸着層3aまでの第1分岐供給路2aの一部、第1吸着層3a及び第1分岐排出路4aへと通過させる。揮発性有機ガスの通過方向の切換えを始めると第1供給路開閉弁9aは閉弁される。通過方向切換え手段5が第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第1方向から第2方向に切り換える場合、第1排出路開閉弁10aは閉弁される。通過方向切換え手段5が揮発性有機ガスの通過方向を第2方向から第1方向に切り換える場合、第1排出路開閉弁10aは開弁される。
【0031】
同様に、通過方向切換え手段5は、第2分岐供給路2bから第2吸着層3bを通過して第2分岐排出路4bから排出する揮発性有機ガスの通過方向である第1方向を逆方向の第2方向に切換える。通過方向を切り換えた揮発性有機ガスは第2吸着層3bから第2分岐供給路2bに流れ、次いで第2戻し路6b及び合流戻し路6cを介して合流排出路4cに至る。さらに通過方向切換え手段5は通過方向を第2方向に切り換えた揮発性有機ガスの通過方向を再度逆方向(すなわち第1方向)に切り換え、その揮発性有機ガスを第2戻し路6bから、その第2戻し路6bの連通箇所から第2吸着層3bまでの第2分岐供給路2bの一部、第2吸着層3b及び第2分岐排出路4bへと通過させる。揮発性有機ガスの通過方向の切換えを始めると第2供給路開閉弁9bは閉弁される。通過方向切換え手段5が第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第1方向から第2方向に切り換える場合、第2排出路開閉弁10bは閉弁される。通過方向切換え手段5が揮発性有機ガスの通過方向を第2方向から第1方向に切り換える場合、第2排出路開閉弁10bは開弁される。
【0032】
通過方向切換え手段5は、合流排出路4cから排出した揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高くなったときに(又はその揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度に一致したときに)、第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向及び第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向の少なくとも一方を切り換える。合流排出路4cから排出した揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度は合流排出路4cの下流側に設けられた濃度検出部(図示せず)により検出される。濃度検出部は例えば合流排出路4cに連通する燃焼処理装置の触媒内に設けられた温度センサであり、この温度センサは揮発性有機化合物の燃焼処理によって決定する触媒の温度を検出する。触媒の温度が揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度に応じて変化することを利用して、温度センサによって検出された触媒の温度から揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を検出する。なお通過方向切換え手段5は、第1分岐排出路4aから排出した揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高くなったとき(又は所定濃度に一致したとき)に、第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を切り換え、第2分岐排出路4bそれぞれから排出した揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高くなったとき(初手濃度に一致したとき)に、第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向を切り換えるてもよい。
【0033】
上記所定濃度は、揮発性有機ガスの通過方向の切り換えに要する時間やその時間に排出路から排出される揮発性有機ガスの量等に基づいて、排出路から排出される揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が予め定めた目標濃度(燃焼処理装置が揮発性有機ガスを燃焼処理できる揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度の少なくとも上限以下)を超えないように設定される。
【0034】
通過方向切換え手段5は、合流戻し路6cに配置された第1ポンプ部11(例えば真空ポンプ)と、濃度調節路12と、濃度調節路12を開閉する調節路開閉弁13と、連通路14と、連通路14に配置された第2ポンプ部15(例えばエアポンプ)と、連通路14から分岐した第1分岐連通路14a及び第2分岐連通路14bと、第1分岐連通路14aに配置された第1連通路開閉弁16aと、第2分岐連通路14bに配置された第2連通路開閉弁16bと、第1戻し路開閉弁17aと、第2戻し路開閉弁17bとを有する。なお第1ポンプ部11、第2ポンプ部15、第1連通路開閉弁16a、第2連通路開閉弁16b、第1戻し路開閉弁17a及び第2戻し路開閉弁17bは、第1供給路開閉弁9a及び第2供給路開閉弁9bと同様に制御部によって制御される。
【0035】
濃度調節路12は、合流戻し路6cにおいて第1ポンプ部11の配置箇所より上流側で連通すると共に、希釈エアを供給する希釈エア供給源(図示せず)に接続する。この濃度調節路12には調節路開閉弁13が配置され、その開度を調整して合流戻し路6cへの希釈エアの供給量を調整する。
【0036】
連通路14は上流側にて濃度調整路12に合流して希釈エア供給源に接続している。第1分岐連通路14aは、第1戻し路6aにおける濃度調節路12の連通箇所より上流側に連通し、第2分岐連通路14bは、第2戻し路6bにおける濃度調節路12の連通箇所より上流側に連通する。
【0037】
第1戻し路開閉弁17aは、第1戻し路6aにおける第1分岐連通路14aの連通箇所より下流側に配置される。第2戻し路開閉弁17bは、第2戻し路6bにおける第2分岐連通路14bより下流側に配置されている。
【0038】
第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第1方向から第2方向に切り換える場合、第1排出路開閉弁10aを閉弁し、第1戻し路開閉弁17aは開弁し、第2戻し路開閉弁17b、調節路開閉弁13及び第1連通路開閉弁16aは閉弁し、第1ポンプ部11が吸引動作することにより揮発性有機ガスを第1吸着層3a、第1吸着層3aから第1戻し路6aの連通箇所までの第1分岐供給路2aの一部、第1戻し路6a、合流戻し路6c及び合流排出路4cの順に通過させる。
【0039】
また第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第1方向から第2方向に切り換える場合、第2排出路開閉弁10bを閉弁し、第1戻し路開閉弁17aは閉弁し、第2戻し路開閉弁17bを開弁し、調節路開閉弁13及び第2連通路開閉弁16bは閉弁し、第1ポンプ部11が吸引動作することにより揮発性有機ガスを第2吸着層3bから第2戻し路6bの連通箇所までの第2分岐供給路2bの一部、第2戻し路6b、合流戻し路6c及び合流排出路4cの順に通過させる。
【0040】
第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第2方向から第1方向に切り換える場合には、第1戻し路開閉弁17a及び調節路開閉弁13は閉弁し、第1連通路開閉弁16aは開弁し、第2連通路開閉弁16aは閉弁し、第2ポンプ部15が希釈ガス供給源から希釈ガスを第1戻し路6aに送出する。この希釈ガスは、第1戻し路6a内を第2方向に通過する揮発性有機ガスを第1方向に押圧する。この希釈ガスの押圧により揮発性有機ガスを第1戻し路6a、第1戻し路6aの連通箇所から第1吸着層3aまでの第1分岐供給路2aの一部、第1吸着層3a、第1分岐排出路4aの順に通過させる。
【0041】
第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第2方向から第1方向に切り換える場合には、第2戻し路開閉弁17b及び調節路開閉弁13は閉弁し、第1連通路開閉弁16aは閉弁し、第2連通路開閉弁16bは開弁し、第2ポンプ部15が希釈ガス供給源から希釈ガスを第2戻し路6bに送出する。この希釈ガスは、第2戻し路6b内を第2方向に通過する揮発性有機ガスを第1方向に押圧する。この希釈ガスの押圧により揮発性有機ガスを第2戻し路6b、第2戻し路6bの連通箇所から第2吸着層3bまでの第2分岐供給路2bの一部、第2吸着層3b、第2分岐排出路4bの順に通過させる。
【0042】
本実施形態では通過方向切換え手段5は希釈ガス供給手段7として機能する。すなわち第1分岐供給路2aに希釈ガスを供給する場合には、第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第2方向から第1方向に切り換える場合と同様に、第1戻し路開閉弁17a及び調節路開閉弁13は閉弁し、第1連通路開閉弁16aは開弁し、第2連通路開閉弁16bは閉弁した状態で、第2ポンプ部15が希釈ガス供給源から希釈ガスを第1戻し路6aに送出することにより、希釈ガス供給源からの希釈ガスが第1戻し路6aを介して第1分岐供給路2aに供給される。このとき第1供給路開閉弁9aは閉弁されている。
【0043】
第2分岐供給路2bに希釈ガスを供給する場合には、第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第2方向から第1方向に切り換える場合と同様に、第2戻し路開閉弁17b、調節路開閉弁13及び第1連通路開閉弁16aは閉弁し、第2連通路開閉弁16bは開弁した状態で、第2ポンプ部15が希釈ガス供給源から希釈ガスを第2戻し路6bに送出することにより、希釈ガス供給源からの希釈ガスが第2戻し路6bを介して第2分岐供給路2bに供給される。このとき第2供給路開閉弁9bは閉弁されている。
【0044】
また合流排出路4cに希釈ガスを供給する場合には、第1戻し路開閉弁17a及び第2戻し路開閉弁17bは閉弁し、調節路開閉弁13は開弁し、第1連通路開閉弁16a及び第2連通路開閉弁16bは閉弁した状態で、第1ポンプ部11が吸引動作することにより希釈ガス供給源からの希釈ガスが合流戻し路6cを介して合流排出路4cに供給される。なお希釈ガス供給手段7は通過方向切換え手段5とは独立した構成にしてもよく、第1分岐供給路2a及び第1分岐排出路4aに新たに希釈ガス用に第1希釈ガス供給路を連通させ、第2分岐供給路2a及び第2分岐排出路4bに新たに希釈ガス用に第2希釈ガス供給路を連通させ、それら第1希釈ガス供給路及び第2希釈ガス供給路を介して希釈ガス供給源から希釈ガスを供給するようにしてもよい。
【0045】
迂回路8には閉弁状態の迂回路開閉弁18が設けられ、揮発性有機ガス格納容器からの揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より低くなったときに迂回路開閉弁18を開弁させ、揮発性有機ガスを迂回路8に通過させる。このとき第1供給路開閉弁9a及び第2供給路開閉弁9bは閉弁されている。揮発性有機ガスを迂回路8に通過させることで合流供給路2cの途中から吸着層3を迂回して第1排出路4aに通過させる。揮発性有機ガス格納容器からの揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度は揮発性有機ガス格納容器からの供給が始まってからその濃度が所定濃度になるまでの時間を予め計測し、その時間に迂回路開閉弁18を開弁させてもよい。また、合流供給路2cにおける迂回路8の連通箇所より上流側に濃度センサを配置し、所定濃度より低い揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を濃度検出部が検出すると迂回路開閉弁18を開弁させるようにしてもよい。なお迂回路開閉弁18は上記制御部によって制御される。
【0046】
以下、上記濃度希釈装置1を使用する本発明の濃度希釈方法の一例を説明する。
まず揮発性有機ガス格納容器からの揮発性有機ガスを第1方向で第1吸着層3aに供給する。すなわち揮発性有機ガスを第1分岐供給路2aを介して第1吸着層3aに供給する。揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物は第1吸着層3aが備える吸着材に吸着し、第1吸着層3aを通過した揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が低減する。この場合、第1供給路開閉弁9a及び第1排出路開閉弁10aは開弁し、第2供給路開閉弁9b、第1戻し路開閉弁17a、第1連通路開閉弁16a及び迂回路開閉弁18は少なくとも閉弁している。
【0047】
図2は揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が時間的に変化する状況を簡略的に示したグラフ図であり、縦軸に揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度を示し、横軸に時間tを示す。実線は合流排出路4cから排出された揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度D(以下、濃度D)を示す。
【0048】
揮発性有機ガスを第1吸着層3aに通過させる初期状態においては、揮発性有機化合物は第1吸着層3aに備えた吸着材の第1分岐供給路2a側に吸着する。その後、さらに揮発性有機ガスを第1吸着層3aに通過させ続けると、新たに第1吸着層3aを通過しようとする揮発性有機ガスにより第1分岐供給路2a側の吸着材に吸着していた揮発性有機化合物が部分的にその吸着材から脱離し、より第1分岐排出路4a側に移動して再び吸着材に吸着する。以後、揮発性有機ガスを第1吸着層3aに通過させ続けると、第1吸着層3a内の吸着材において揮発性有機化合物の一部が第1分岐排出路4a側(すなわち第1方向)に移動していき、ついには、第1吸着層3aから排出し始める。このため図2に示されるように時間t1において濃度Dが逓増し始め、さらに揮発性有機ガスを第1吸着層3aに通過させ続けると、濃度Dは所定濃度Dtに至る。ここで所定濃度Dtは、揮発性有機ガスの通過方向の切り換えに要する時間やその時間に排出路から排出される揮発性有機ガスの量等に基づいて、排出路から排出される揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が予め定めた目標濃度を超えないように設定される。目標濃度は、燃焼処理装置が揮発性有機ガスを燃焼処理できる揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度の少なくとも上限以下の濃度である。
【0049】
濃度Dが所定濃度Dtより高くなった場合(図2の時間tの濃度D)には、第1供給路開閉弁9aを閉弁し、かつ第2供給路開閉弁9b及び第2排出路開閉弁10bを開弁することにより、揮発性有機ガス格納容器からの新たな揮発性有機ガスを第2吸着層3bに第1方向で通過させる。第2吸着層3bに新たな揮発性有機ガスを通過させると共に、通過方向切換え手段5により第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第1方向から第2方向に切り換える。この通過方向の切り換えと共に第1排出路開閉弁10aを閉弁する。その後、濃度Dは所定濃度Dtより低くなる。
【0050】
なお第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向の切り換えが始まると、その後、第1吸着層3aに揮発性有機ガス格納容器から新たな揮発性有機ガスがこれ以上通過することはない。以後は既に第1吸着層3aを通過した揮発性有機ガスの通過方向を切り換えることにより、その揮発性有機ガス中の揮発性有機化合物の濃度を所定濃度以下に希釈することになる。従って第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの切り換えは第2吸着層3bとは関係なく行うことができる。このため第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの切り換えは、本実施形態のように第2吸着層3bへの揮発性有機ガスの通過と共に行わなくともよく、例えば濃度Dが所定濃度Dtより再び高くなった時点で行ってもよい。
【0051】
第1吸着層3を通過する揮発性有機ガスの通過方向が第1方向から第2方向に切り換えられた揮発性有機ガスは第1分岐排出路4aから第1吸着層3aを通過し、次いで、第1吸着層3aから第1戻し路6aの連通箇所までの第1分岐供給路2aの一部、第1戻し路6a、合流戻し路6cを順に通過して合流排出路4cに至る。この場合、通過方向切換え手段5においては、第1戻し路開閉弁17aは開弁し、第1連通路開閉弁16a及び調節路開閉弁13は閉弁し、第1ポンプ部11により揮発性有機ガスを第2方向に吸引動作している。なお第1ポンプ部11により揮発性有機ガスを吸引し続けると、第1分岐排出路4aから第1吸着層3aを介して第1戻し路6aまでの区間が負圧になって揮発性有機ガスが第2方向で通過し難くなる。この負圧を解消するために、通過方向切換え手段5においては、一時的に、第1戻し路開閉弁17aを閉弁し、第1連通路開閉弁16aを開弁して第2ポンプ部15により希釈エアを第1戻し路6aを介して第1吸着層3a及び第1分岐排出路4aまでの区間に供給するようにしている。
【0052】
揮発性有機ガスの通過方向を時間tに第2方向へと切り換えた後、第1吸着層3aにおいては第1吸着層3aに第2方向で通過しようとする揮発性有機ガスにより第1吸着層3a内の吸着材に吸着していた揮発性有機化合物の一部が脱離して、より第1分岐供給路2a側に移動しては吸着する。この脱離・吸着を繰り返すことにより、揮発性有機化合物の一部は、第1吸着層3a内の吸着材において第1分岐排出路4a側から第1分岐供給路2a側へと移動していく。そして吸着していた揮発性有機化合物の一部が第1吸着層3a内の吸着材の第1分岐供給路2a側から排出し始める。
【0053】
一方、第2吸着層3bにおいては、揮発性有機ガス格納容器からの揮発性有機ガスが時間tから通過し始めたことにより、揮発性有機化合物が第2吸着層3bに備えた吸着材の第2分岐供給路2b側に吸着する。その後、さらに揮発性有機ガスを第2吸着層3bに通過させ続けると、新たに第2吸着層3bを通過しようとする揮発性有機ガスにより第2分岐供給路2b側の吸着材に吸着していた揮発性有機化合物の一部がその吸着材から脱離し、より第2分岐排出路4b側に移動して再び吸着材に吸着する。以後、揮発性有機ガスを第2吸着層3bに通過させ続けると、第2吸着層3b内の吸着材において揮発性有機化合物の一部が第2分岐排出路4b側(すなわち第2方向)に移動していき、ついには、第2吸着層3bから排出し始める。
【0054】
このように第1吸着層3a及び第2吸着層3bの少なくとも一方から揮発性有機化合物が排出し続けることにより時間tにて濃度Dが上昇し、時間tにて所定濃度Dtより高くなる。濃度Dが所定濃度Dtより高くなると、通過方向切換え手段5により第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第2方向から第1方向に切り換えると共に、第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向を第1方向から第2方向に切り換える。この結果、濃度Dは所定濃度Dtより低減する。第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向の切り換えた後は第2供給路開閉弁9bを閉弁する。この閉弁により揮発性有機ガス格納容器からの新たな揮発性有機ガスが第2吸着層3bに供給されるのを防ぎ、揮発性有機ガスの通過方向の切り換えを円滑にする。以後、濃度Dが所定濃度Dtより高くなる度に、第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向の切り換え及び第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向の切り換えを行う。
【0055】
なお第2吸着層から揮発性有機ガスが排出し始める時間は、第2吸着層のサイズ(すなわち第2吸着層の備える吸着材の量)及び揮発性有機ガス格納容器から供給される揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度によって決定される。従ってこの排出し始める時間を予め導出しておき、それ以前に濃度Dが所定濃度Dtより高くなる場合には第1吸着層を通過する揮発性有機ガスの通過方向のみを切り換え、予め導出した上記排出し始める時間以降に第2吸着層を通過する揮発性有機ガスの切り換えを開始するようにしてもよい。
【0056】
ここで通過方向切換え手段5により第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向を最初に切り換えた後は第2供給路開閉弁9bが閉弁するので、揮発性有機ガス格納容器から新たに供給された揮発性有機ガスが第2吸着層3bに通過することはない。このため第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向を最初に切り換える時に、揮発性有機ガス格納容器からの新たな揮発性有機ガスを第2吸着層3bに通過させず迂回路8を介して燃焼処理装置に排出して燃焼処理できることが処理効率の点から望ましい。そのためには新たに供給される揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度Dtより低くなる時間まで、濃度Dが所定濃度Dtより高くなる時間を延長する必要がある。本発明の濃度希釈方法においては、揮発性有機ガス格納容器から新たに供給される揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より低くなるまで希釈ガス供給手段7により第2分岐供給路2b及び合流排出路4cの少なくとも一方に希釈ガスを供給させる。これにより濃度Dが最初に濃度Dtより高くなる時間を延長する(図2においては時間tを時間t’にする)。
【0057】
また第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの通過方向の切り換えが一旦始まった後は、第2吸着層3bを既に通過した揮発性有機ガスの通過方向を切り換えることにより、その揮発性有機ガス中の揮発性有機化合物の濃度を所定濃度未満に希釈することになる。従って第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの切り換えは第1吸着層3aとは関係なく行うことができる。このため第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの切り換えを、本実施形態のように第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向の切り換えと共に行わなくともよい。第2吸着層3bを通過する揮発性有機ガスの切り換えは、例えば所定時間毎に行うようにしてもよいし、第1戻り路開閉弁17a及び第1分岐排出路4aを閉弁して第1吸着層3aに揮発性有機ガスが通過するのを停止させた状態で、かつ濃度Dが所定濃度Dtより高くなった場合に行ってもよい。同様に、第1吸着層3aを通過する揮発性有機ガスの通過方向の切り換えも、例えば所定時間毎に行うようにしてもよいし、第2戻り路開閉弁17b及び第2分岐排出路4bを閉弁して第2吸着層3bに揮発性有機ガスが通過するのを停止させた状態で、かつ濃度Dが所定濃度Dtより高くなった場合に行ってもよい。
【0058】
また揮発性有機ガスの通過方向を切り換えた時(例えば図2の時間t及びt)から急に濃度Dが減少減少している。本濃度希釈方法による処理量は揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度とその揮発性有機ガスの流量との積算値によって決まるので、揮発性有機ガスの通過方向切り換え時の上記濃度Dの減少は上記処理量を低減させることになる。これに対しては、希釈ガス供給手段7により分岐供給路2a、分岐供給路2b及び合流排出路4cの少なくともいずれかに希釈ガスを供給することで、濃度Dが所定濃度Dtより高くなるまでの時間を延長して、これにより揮発性有機ガスの通過方向の切り換え回数を減少させることで揮発性有機ガスの移動を促進させて濃度Dを減少を抑制することができる(図2においては時間t’以降の一点鎖線を参照)。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の揮発性有機ガスの濃度希釈方法が使用する濃度希釈装置の一例を簡略的に示す模式図である。
【図2】揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が時間的に変化する状況を簡略的に示したグラフ図である。
【符号の説明】
【0060】
1…濃度希釈装置
2a…第1分岐供給路
2b…第1分岐供給路
2c…合流供給路
3a…第1吸着層
3b…第2吸着層
4a…第1分岐排出路
4b…第1分岐排出路
4c…合流排出路
5…通過方向切換え手段
6a…第1戻し路
6b…第1戻し路
6c…合流戻し路
7…希釈ガス供給手段
8…迂回路
11…第1ポンプ部
12…濃度調整路
14…連通路
14a…第1連通路
14b…第2連通路
15…第2ポンプ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着する吸着材を備えた第1吸着層及び第2吸着層に前記揮発性有機ガスを通過させ、前記揮発性有機化合物の濃度を希釈する揮発性有機ガスの濃度希釈方法であって、
前記揮発性有機ガスを前記第1吸着層に第1方向で通過させ、
前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合には、新たな前記揮発性有機ガスを前記第2吸着層に前記第1方向で通過させる、揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項2】
前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合に、前記第1方向で前記吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向に対して逆方向である第2方向で前記第1吸着層に通過させる、請求項1に記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項3】
前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度と、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度との合計が所定濃度より高い場合に、前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向で前記第1吸着層に通過させ、かつ前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第2方向で前記第2吸着層に通過させる、請求項2に記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項4】
前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度と、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度との合計が所定濃度より高い場合に、前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向で前記第1吸着層に通過させる、請求項2に記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項5】
前記第2方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度と、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度との合計が所定濃度より高い場合に、前記第1方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第2方向で前記第2吸着層に通過させる、請求項2に記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項6】
前記第1方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合に、前記第1方向で前記第1吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第2方向で前記第1吸着層に通過させる、請求項3又は請求項4に記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項7】
前記第2方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガス中における前記揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より高い場合に、前記第2方向で前記第2吸着層を通過した前記揮発性有機ガスを前記第1方向で前記第2吸着層に通過させる、請求項3又は請求項5に記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項8】
前記第1吸着層に前記第1方向で通過させる前、前記第1吸着層に前記第1方向で通過させた後、前記第1吸着層に前記第2方向で通過させる前及び前記第1吸着層に前記第2方向で通過させた後の少なくともいずれかの前記揮発性有機ガスに希釈ガスを供給する、請求項1〜7のいずれかに記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項9】
前記第2吸着層に前記第1方向で通過させる前、前記第2吸着層に前記第1方向で通過させた後、前記第2吸着層に前記第2方向で通過させる前及び前記第2吸着層に前記第2方向で通過させた後の少なくともいずれかの前記揮発性有機ガスに希釈ガスを供給する、請求項1〜7のいずれかに記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。
【請求項10】
前記吸着層を通過する前の揮発性有機ガス中における揮発性有機化合物の濃度が所定濃度より低い場合に、前記吸着層を通過する前の揮発性有機ガスを前記吸着層から迂回させる、請求項1〜9のいずれかに記載の揮発性有機ガスの濃度希釈方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−183534(P2008−183534A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20994(P2007−20994)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000114363)ムラキ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】