説明

揮発性液体散布装置

香料などの複数の液体を個別に大気中へ散布するために採用された装置であって、(i)強制換気のソース(1);(ii)各々が強制換気のための入口および出口を備え、該出口が大気に通じている、前記ソースから径方向に延在する複数の流路(6);ならびに(iii)各流路の出口またはその付近にある揮発性液体の蒸発ソース(7);を備え、該装置は、さらにソースを囲む可動式の隔壁(3)を備え、この隔壁は、強制換気が一つの流路(6)のみを流れるように一度に一つの流路に対応する可動式の一つのポート(4)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中への揮発性液体の散布のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
香料、消臭剤(malodour counteractant)、殺虫剤、殺菌剤(fungicide)などの揮発性液体の散布のための装置は、非常によく知られており、多くの型のものが利用可能である。これらの殆どは、単一の液体のためのものであり、代表的には、揮発性液体のリザーバを備えており、そこから大気中へと多孔質の運搬エレメントが延在する。この運搬エレメントは、代表的には多孔質の芯である。液体は、助力を受けない蒸発によって運搬エレメントの表面から散布されても、または、ファン、加熱エレメント、または他のかかる手段によって蒸発を助長してもよい。
【0003】
この分野において残っている問題は、単一の装置からの複数の液体の個別散布である。かかる装置が所望される状況の例として、多数の香料を散布する場合で、多数の期間の各々において異なる香料を散布することが所望される場合がある。別の例として、ある期間に香料を散布し、別の期間に例えば殺虫剤を散布することが所望される状況がある。これを可能にする装置は存在するが、それらは複雑で高価である傾向がある。代表的には、かかる装置は、複数の香料カートリッジを使用し、これらのカートリッジが、散布の方法(例えば、加熱エレメントまたはファン)にしたがって回転されたり動かされたりする。
【0004】
一種類より多くの香料を散布する装置は知られており、代表的な例は、国際出願WO 2003/028775および英国出願公開GB 2 401 047において見出され得る。しかし、これらの装置の両方が、反転可能なファンを必要とする。さらに、どちらもその性質によって2種類の香料の散布に限定される。
【発明の開示】
【0005】
ここで、複数の揮発性液体を大気中へ所望の順序で散布することができる単純で効果的な装置を提供し得ることを見出した。すなわち、本発明は、複数の液体を個別に大気中へ散布するために採用された装置を提供する。この装置は、以下:
(i) 強制換気のソース;
(ii) 該ソースから径方向に延在する複数の流路であり、各々が強制換気のための入口および出口を有し、該出口が大気に通じている;
(iii)各流路の出口またはその付近にある揮発性液体の蒸発ソース;
を備え、この装置は、さらにソースを囲む可動式の隔壁を備え、この隔壁は、強制換気が一つの流路のみを流れるように一度に一つの流路に対応する可動式のポートを有する。
【0006】
本発明はさらに、一つの揮発性液体を運搬する表面を気体が流れ過ぎるようにし、それによりその蒸発を引き起こすことによって、多数の利用可能な揮発性液体のうち一つを大気中に供給する方法を提供する。各表面は、強制換気のソースから離れてソースから径方向に延在する流路の末端にある出口に位置されており、強制換気は、その流路の入口と独自に対応させられるポートを有する可動式の隔壁によって、その流路にのみ指向されている。
【0007】
強制換気のソースは、揮発性液体の蒸発を引き起こすために十分な気体の動きを生じるような任意のソースであってよい。例えば、ソースは、パイプで吹き込まれた(piped)気体であってもよい。しかし、ソースは、好ましくは回転して気体を動かすファンまたはインペラである。ファンまたはインペラは、持続的に一方向へ回転する。
【0008】
流路は、任意の好都合な手段によって提供され得る。流路は、ソースから径方向に配置され、好ましくは互いに等距離にある。流路の数は重要ではなく、散布したい液体がどれほど多くても調整することができる。しかし、この数は、好ましくは少なくとも3であり、より好ましくは少なくとも4である。6個の流路は、容易に達成することができ、実用的である;より多い数が可能であるが、より実用的でなくなる。代表的な装置は、ファンを収納するための中心部を有するハウジングと、ファンの回転平面において中心部から径方向にある流路とを備える。かかるハウジングは、任意の手段によって任意の好適な材料から作製され得、プラスチックからの成形が特に有用な方法であるが、金属、セラミックなどもまた使用され得る。
【0009】
揮発性液体の蒸発ソースは、押し込み換気が液体の蒸発と大気中へのその散布とを引き起こすように、各流路の出口またはその付近で、強制換気のソースから離れて位置される。ソースは、任意の好適なソースであってよく、例として、強制換気中へ突出する芯またはゲルなどの多孔質の運搬メンバーが挙げられ、好ましい態様において、揮発性液体のソースは、押し込み換気中へ突出する芯を備えたリザーバであり、リザーバおよび芯は、単一の交換可能なユニットの一部である。したがって、液体の交換および/または変更は容易である。
【0010】
可動式の隔壁は、強制換気を特定の流路を通して他の全てを除外するよう指向させる機能を有する。この隔壁は、換気ソースを一つのポートを除いて完全に囲み、このポートは、特定のチャネルの入口に並んでいる。したがって、強制換気はその流路のみを流れる。隔壁は、任意の好都合な形態をとってよい。例えば、隔壁は円柱状であってもよい。隔壁は、好ましくは任意の所望な位置へ回転可能である。
【0011】
隔壁の動きは、手動でもたらされても自動でもたらされてもよい。例えば、隔壁は、単純に異なる位置に配置させるか回転させることによって、異なる流路に手動で並べられてもよい。単純な自動回転が可能となるので、回転可能な隔壁が好ましい。これは、モータなどの任意の好都合な手段によって達成され得、モータは、ゼンマイ仕掛けであってもまたは(好ましくは)電動式であってもよく、後者は、本線からとった電源(mains electricity)、電池、太陽パネル、または任意の他の好都合な手段によって電力供給される。モータは、間欠的に作動しても持続的に作動してもよい;後者の場合、減速ギアのシステムが使用される。当業者は、所望の時点で特定の流路が強制換気に対して開口するように、隔壁を特定の速度で回転させることを、容易に提供できる。したがって、例えば、隔壁は、駆動帯(drive band)、チェーン遊動輪(chain idler wheel)、および減速ギアなどの、任意の好都合な手段による電動モータによって駆動され得る。別の例において、隔壁は、ある位置から別の位置へと、タイマー回路と各操作で数分の一回転をもたらすように設計されたステッピングモータとによって、迅速に動かされる。
【0012】
好ましい態様において、駆動は、ファンを駆動するものと同じモータから動力供給される減速ギアによって行われる。このことは、単一のモータを、ファンと回転機構との両方を駆動するために使用することができる利点を有し、リフィルを回転させるために別個のモータを必要とするものよりはるかに単純で廉価な装置をもたらす。
【0013】
本発明のさらなる態様において、隔壁は、補助の可動式の隔壁によって増補され、この補助隔壁は又、単一のポートを除いて連続的であり、強制換気が流れる流路を除いて、さらに強制換気のソースからの流路の出口を密封するために採用される。このことが、環境条件下において強制換気が指向されないチャンネルから蒸発可能な材料が放出されることを防ぐ。
【0014】
減速ギアは、特定の時間について所与のチャネルに強制換気を送達し、すなわち蒸発をもたらすように、隔壁の回転を時間設定することができるという利点を有する。必要なギア比の計算は、当該分野における技術の範囲内である。タイミングは、ギアセットの交換によって、またはそのセットの比を変えることを可能にするトランスミッションシステムによって変えられ得る。
【0015】
本発明による装置は、簡易で廉価に一般的な材料および部品から製造できるものであり、頑丈で信頼性があり用途が広く、補充が迅速で簡易かつ簡明である。
本発明は、ここで、添付の図面を参照してさらに説明される。図面は、好ましい態様を描写するものであり、本発明の範囲をどのようにも限定することを意図するものではない。
【0016】
遠心ファン1は、モータ軸2上に乗せられる。遠心ファン1を囲むものは、回転式シリンダ3の形態を本質的に有する隔壁であり、回転式シリンダ3は、単一の開口4を有する。シリンダ3およびファン1は、ユニット5上に乗せられる。これは成形体であり、ファンおよびシリンダのための中心位置を提供する。この中心位置から径方向にあるのは、複数の流路6である。各流路のファンから離れた末端にあるのは、芯7である。これは、リザーバ11から延在し、リザーバ11は、揮発性液体12を含有する。このリザーバは、簡易に取り外せるようにユニットに取り付けられる。
【0017】
図1において、シリンダ開口4は、ユニット5の壁に向き合っており、流路6を通って空気が逃げないように、ユニット5の壁に対して緊密に適合している。図2において、開口4は、流路6の一つに向き合うように動かされている。
したがって、操作において、ファン1は、ユニット5の上部においてポート9を通して空気を引き込む(白矢印)。空気は、次いで、シリンダ開口4を通って流路6へと吹き込まれる。流路の末端において、空気は芯7を横切ってまたはその周囲を流れ、したがって液体が空気中に取り込まれ、装置を通過して大気中へ出る。
【0018】
図3において、開口4を有するシリンダ3に、径方向の延在部13が組み込まれており、延在部13は、シリンダ13と同心円上にある補助シリンダ14において終わり、シリンダ14は、芯からの揮発性液体の著しい蒸発を防ぐために十分緊密にユニット5の外部に適合している。シリンダ14はまた、ポート15を組み込んでおり、このポートは、シリンダ3のポート4がある流路と並んでいるときに、ポート14は、強制換気がその流路を通って装置の外へ流れることができるように、その流路のもう一方の末端と並ぶように位置される。
【0019】
当業者は、本発明の範囲内で多くの態様が可能であることを理解する。例えば、図1および図2において描写される装置は、電動モータによって回転されるシリンダを有する。これを、より単純な手動で動かし得るかまたは回転可能なシリンダによって置換してもよい。電動式のバージョンは、任意の所望の回転期間を与えられることができる。描写される芯およびリザーバを、芳香性ゲルなどの任意の他の好適な揮発性液体のソースによって置換してもよい。液体のソースは、蒸発を促進するために加熱手段を備えてもよい。図面において描写される装置は、密封のために開口4がユニットの壁に対して緊密に適合していることに依存する。低動力の強制換気については問題ないが、より高い動力については問題があるかもしれない。そのような場合は、芯を含有する流路を通過することなく強制換気を装置の外に導く好適な導管によって、壁を置換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一態様の模式的な部分的水平断面を描写する。
【図2】図1の直線A−A’に沿った模式的な部分的垂直断面を描写する。
【図3】図1および図2の装置の一バリエーションの模式的な垂直断面を描写する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体を個別に大気中へ散布するために採用された装置であって、
(i) 強制換気のソース;
(ii) 該ソースから径方向に延在する複数の流路であり、各々が強制換気のための入口および出口を有し、該出口が大気に通じている;
(iii)各流路の出口またはその付近にある揮発性液体の蒸発ソース;
を備え、さらに前記ソースを囲む可動式の隔壁を備え、該隔壁が、前記強制換気が一つの流路のみを流れるように一度に一つの流路に対応する可動式のポートを有する、前記装置。
【請求項2】
強制換気のソースが、単一の方向に回転するファンまたはインペラである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
揮発性液体のソースが、強制換気中に突出する芯を備えたリザーバである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
リザーバおよび芯が、単一の交換式ユニットの一部である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
可動式の隔壁が、円柱状であって任意の所望の位置へ回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
強制換気のソースが、モータによって駆動されるファンまたはインペラであって、隔壁の回転が、前記ファンまたはインペラを駆動するものと同じモータから動力供給される減速ギアによって達成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
可動式の隔壁が、補助の可動式の隔壁によって増補され、該補助隔壁もまた、単一のポートを除いて連続的であり、強制換気が流れる流路を除いて、さらに強制換気のソースからの流路の出口を密封するために採用されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
一つの揮発性液体を運搬する表面を気体が流れ過ぎるようにし、それによりその蒸発を引き起こすことによって、多数の利用可能な揮発性液体の一つを大気中に供給する方法であって、各表面が、強制換気のソースから離れて該ソースから径方向に延在する流路の末端にある出口に位置されており、該強制換気は、該流路の入口と独自に対応させられるポートを備えた可動式隔壁によって、該流路にのみ指向される、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−536486(P2008−536486A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501130(P2008−501130)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000142
【国際公開番号】WO2006/097004
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】