説明

搬送システム用安全装置

【課題】動作方向に対して傾斜運動可能な、運動要素により長手方向に動く歩道及び階段を備える搬送システム用安全装置を提供する。
【解決手段】安全カウンタガイド7が前記運動要素1、2の上に配置されて運動要素1、2の上傾斜を防止し、運動要素1、2と接触したらシステムに対して停止信号を発生する帯状の下側のセンサ8をさらに有する。これにより、運動要素1、2は上方向に傾斜できなくなるので、使用者と機械システムの両方に対して起こり得る危険が防止され、また、何らかの異常により傾斜が起こる傾向があるために、システムは自動的に停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に人を運ぶために設計された種類の機械歩道のために特に考案された安全装置に関する。この装置は、加速及び減速領域が前記歩道に設けられている場合には資材を搬送する歩道にも同様に適用できる。
【0002】
本発明の目的は前記通路のパレット、詳細には前述の加速領域及び減速領域に関わるパレットの持ち上がりを防止し、また検出することである。
【0003】
本発明は機械歩道、例えば空港や駅、及び、一般に使用者が多少長い区間を歩かねばならない公共の場所において使用される機械歩道に適用され、この場合には、この種の移動を一層容易にすることを目的とする。
【背景技術】
【0004】
前述の機械歩道のいずれにおいても、異なる速度で作動する区間が通常いくつか設けられる。すなわち、歩道には使用方向に沿って、第1の乗る領域、第2の低速領域、加速領域、より大きい最大速度中間領域、減速領域、新しい低速領域、及び最後の降りる領域が設定されている。
【0005】
加速領域及び減速領域において必要である可変速度を得るためには種々の解決策があるが、その中でも以下を指摘しなければならない。
【0006】
一定速度で循環する種々のゴムベルトにより形成された可変速歩道。両端のゴムベルトは低速で循環し、中心のゴムベルトはより速い速度で循環するため、乗降時には低速にすることができる。これらの特徴を有する歩道は特許文献1、2、3に記載されている。
【0007】
伸縮自在のプレートにより形成された可変速歩道。この解決策においては、いくつかの搬送プレートを他から分離することによって速度変化が達成される。生じた隙間は、隣接するプレートの面の下に初めは隠されているシートにより覆われる。これらの特徴を有する歩道は文献4に記載されている。
【0008】
互いに対して横方向に移動するパラレルエピペディック(parallelepipedic)プレートにより形成された可変速歩道。乗降方向への速度の射影を一定に維持しながら動作方向を変更することにより、速度変化が達成される。この歩道は典型的S字形状である。これらの特徴を有する歩道は特許文献5、6に記載されている。
【0009】
一組の、相互に接続された電動の溝付きローラにより形成された可変速歩道。ローラの直径は小さいので、使用表面はほとんど平坦になる。いくつかのローラを他より速く回転させることにより、速度変化が達成される。この歩道の一つの変形において、これらのローラは加速領域と減速領域においてのみ使用される。一定速度領域は、特許文献7に記載されているように、人を運ぶために現在使用されているものに似たゴムベルトにより解決される。
【0010】
変形可能なゴムベルトにより形成された可変速歩道。特許文献8に記載されているように、この連続ベルトは、中間領域においてより長く、乗降領域においてより広くすることができるので、こうして速度変化を達成することができる。
【0011】
多くの重なりあうプレートにより形成された可変速歩道。特許文献9、10に記載されているように、いくつかのプレートを互いに対して動かすことにより速度変化が得られる。
【0012】
特にこの最後の特許においては、異なる長さを有しかつ交互に配列される二つのタイプのプレート又はパレットが歩道の移動面として使用され、各パレット対の両方は動作方向に垂直な軸により互いに連結される。
【0013】
大きい方の後パレットは二つの側面駆動チェーンと、その案内を完全に行う側面駆動ガイドとに取り付けられる。一方、より小さい方の前パレットは、後パレットの側面ガイド上を動くことができる側面の回転又は摺動要素を有し、これにより、両パレットは加速段階及び減速段階中に相対的縦移動を行う。
【0014】
理論的観点からは完全に有効なこの解決策には、実際には欠陥がある。短い方の前パレットは何らかの偶然の原因によっても持ち上がり易く、両パレットが相対移動中に動かなくなってしまい、使用者と機械システムの両方に危険である。
【0015】
これは、両パレット間に何らかの小さい物体が偶然入り込むことによっても、また使用者側で歩道を故意に持ち上げたりすることによっても生じ得る。
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0854108 A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0850870 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0773182 A2号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2264686 A号明細書
【特許文献5】米国特許第5571254号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0646538 A2号明細書
【特許文献7】仏国特許出願公開第2747664 A1号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0831052 A1号明細書
【特許文献9】英国特許第2025872号明細書
【特許文献10】P009902555
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明により提案された装置は、上述の問題を十分に解決して、いかなる環境の下でも短い方の前パレットが傾斜するのを防止し、ひいては、前記パレットが機械歩道の概略動作平面に対して持ち上がるのを防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このために、より詳細には、前述の機械歩道に関する基本構造から出発して、本発明により提案される安全装置が、短いパレットのローラに対する物理的ストッパとして働き、かつ前記パレットの持ち上がりを防止する安全カウンタガイドとして作られる。
【0019】
さらに、本発明のもう一つの特徴によれば、前記カウンタガイドは帯状のセンサを組み込んでおり、短いパレットの上記ローラがこのセンサに接触する瞬間にセンサが前記歩道の即座の停止又は機能中断を行う機械歩道制御要素(PLC)に対して信号を発生し、故障が修理されずに保守技術者がシステムをリセットする間、この即座の停止又は機能中断が維持されることが提案される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
説明を補足するために、また本発明の好ましい実施例に従って発明の特徴をより理解しやすくする目的で、一連の図面を前記明細書の不可欠な部分として添付する。これらの図面は例示的であり、かつ限定的でない性質をもたせて示される。
【0021】
諸図を見ることにより、本発明が提案する安全装置がどのようにして機械歩道に適用できるかが理解されるだろう。機械歩道にはプレート又は長いパレット(1)と、交互に配列された短いパレット(2)があり、その両方は図1に示されるように歩道の加速及び減速領域において互いに移動できる。図1からやはり分かるように、前記プレートには溝が付けられているので、加速運動を得たいのか、減速運動を得たいのかという意図に従って各パレット対(1、2)の間の距離を増減させて変化させることができる。
【0022】
従来のように、長いパレット(1)のエッジのそれぞれは、互いにかなり間隔を空けかつ高さのずれたローラ対(3、3’)を組み込んでいる。図2から分かるように、これらは歩道の両側で動作するように配置されたそれらの各々のガイド(4、4’)を通って摺動する。
【0023】
各パレット対の内側で長いパレット(1)にヒンジ結合された短いパレット(2)は、それぞれの側に、速度が一定の領域において前述のパレットの上側ガイド(4’)上を摺動する単一のローラ(5)を組み入れている。速度が変化する領域において、短いパレット(2)は長いパレット(1)上で摺動し、短いパレット(2)のローラ(5)はその動きをガイドする支えをもたず、これにより、前記短いパレット(2)は、対応する長いパレット(1)にヒンジ結合されているその結合軸を介し、一時的に上方向に傾斜できる。
【0024】
本発明によれば、カウンタガイド(7)が短いパレット(2)の前記ローラ(5)上に配置される。これはまた、機械歩道の固定構造物(6)と一体になっていると好都合である。特に図2の断面において見ることができるこのカウンタガイドは、何らかの障害物又は不適切な操作によりローラ(5)が上傾斜することを防止する。これは、短いパレット(2)の各々がローラ(5)により長いパレット(1)とカウンタガイド(7)の間で完全にガイドされて摺動するからである。
【0025】
最後に、前述のガイド(7)は、ローラ(5)に最も近いその下側エッジ上に、帯状のセンサ(8)を組み込んでおり、これには対応する短いパレットの傾斜効果により持ち上がろうとする何れかのローラ(5)がまず作用することになる。このセンサはローラ(5)の一つとの接触により機械歩道制御装置、すなわちPLCに送られる信号を発生し、そのような発生を生じる故障が解決されなければ即座に歩道の機能停止を生じさせる。
【0026】
前述したように、機械歩道を停止させた問題が解決されたときには、歩道が再び正常な動作を始められるようにシステムをリセットする必要があるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は本発明の目的を達成する安全装置が設けられた機械歩道の部分斜視図を示す。
【図2】図1に示されるアセンブリの側面図であり、構造をより明確に示すためにガイドを省略している。
【図3】最後に図1、図2のアセンブリの断面詳細図を示す。
【符号の説明】
【0028】
1 運動要素、長いパレット
2 運動要素、短いパレット
3,3’ ローラ対
4,4’ ガイド
5 ローラ
6 固定構造物
7 カウンタガイド
8 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作方向に対して傾斜運動可能な、運動要素(1、2)により長手方向に動く歩道及び階段を備える搬送システム用の安全装置であって、
前記運動要素(1、2)の上にカウンタガイド(7)を備え、
前記カウンタガイドが前記運動要素(1、2)の上傾斜を防止するためのストッパ機能を有し、その下面には帯状のセンサ(8)を備え、
前記センサが前記運動要素(1、2)と接触すると、前記搬送システムを機能停止させるために、制御回路に向かって信号を発生する、ことを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記カウンタガイド(7)が側面位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−179480(P2008−179480A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−332754(P2007−332754)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(507421496)
【出願人】(507421500)ティッセンクルップ エレベーター (イーエス ピービービー) リミテッド (7)
【Fターム(参考)】