説明

搬送トレイを備えた記録再生装置

【課題】記憶媒体収納位置から搬送する搬送トレイの横振れなどを抑えて品質の向上を図る。
【解決手段】記憶媒体たるディスクを載置して搬送する搬送トレイ3と、この搬送トレイ3を組み付けた本体フレーム2とを備えた記録再生装置1において、本体フレーム2に磁石20を設け、搬送トレイ3に磁石20との間で吸引力を発生させる磁性体21を取り付ける。磁石20と磁性体21とが磁力により相互に吸引するので、本体フレーム2に搬送トレイ3を磁力で付勢させた状態で搬送することができ、搬送トレイ3が横振れしないように抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどの記憶媒体を装置の内外に搬送する搬送トレイを備えた記録再生装置に関し、特に、搬送トレイの収納位置から記憶媒体の交換位置への搬出移動が完了する際などの停止時に、搬送トレイが振れることを抑えた搬送トレイを備えた記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CDなどのディスクの記録再生を行う記録再生装置においては、その記録再生装置のフレームの外側に搬出されたトレイにディスクを載置させ、その載置されたディスクが記録再生装置の内外に搬送する構造が開示されている。このような記録再生装置100のトレイの構造について図9に基づき説明すると、外観を担う部品となる記録再生装置100のフレーム101に形成した凸部102とトレイ103の両側の底面に形成した凹状のレール104とを摺動自在に遊嵌させ、フレーム101に対してトレイ103はフレーム101から外れることがないようにその搬送方向(図9に示す上下方向)に摺動可能に組み付けられている。前記フレーム101の前方側にはストッパーが設けられており、トレイ103が搬出された記憶媒体交換位置でトレイ103の後端部側がストッパーに当接され、トレイ103はフレーム101から離脱しないように構成されている。また、トレイ103の底面部には搬送方向とほぼ同方向にラック105が延設されている。そして、フレーム101には前記トレイ103のラック105と噛合するピニオンギア106を備え、このピニオンギア106に動力を伝達する複数のギアやプーリ等により構成した駆動伝達機構107を介して、前記ピニオンギア106を回転させるための駆動モータ108がフレーム101に取り付けられている。そして、駆動モータ108の回転に伴って駆動伝達機構107を介してピニオンギア106が回転されると、ピニオンギア106と噛合するラック105が移動し、フレーム101に対してトレイ103の搬入移動及び搬出移動が行われる。
【0003】
上述した従来技術に関連するものとして、特許文献1にはトレイがディスク交換位置に移動したときに、がたつかないようにトレイの後端部を保持機構で係合するディスク装置が開示されている。また、特許文献2には、トレイが記録再生装置から出し入れする際、外枠の外側壁凹部にトレイの摺動面に備えた弾性部材の突起部を係合させ、トレイの横振れを軽減するローディング装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−6971号公報
【特許文献2】特開2003−16712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1及び特許文献2では、トレイの停止時などにこのトレイを係合することによって保持し、がたつきや横振れしないようにトレイを保持することは可能ではあるが、トレイは繰り返し搬送されることでトレイを係合する部分が磨耗や劣化することは避けることができず、繰り返しトレイが搬送されることによって係合する部分が磨耗などしてしまい、トレイのがたつきを抑えることができなくなってしまう虞がある。
【0006】
また、図9に示したトレイ103を円滑に搬送するには次の点に注意する必要がある。第一に、フレーム101に対してトレイ103を摺動可能に取り付けるため、トレイ103のレール104とフレーム101の凸部102との間などに僅かな隙間を設けなければいけない。すなわち、トレイ103は凸部102とレール104とが遊嵌した状態で搬送方向(図9に示す上下方向)に移動可能に構成する必要があり、レール104と凸部102との間に隙間がない場合は、前記フレーム101に対してトレイ103を取り付けることができなくなったり、或いは強制的にトレイ103の取り付けを行ったとしても、隙間がない状態では、トレイ103の搬送動作が円滑に行えなくなり、レール104と凸部102との間で摩擦や磨耗が生じ、摩擦に伴う異音や磨耗による粉塵の発生などの不具合を招いてしまう。
【0007】
第二に、ピニオンギア106とラック105との歯面間の遊びによるバックラッシの影響により、レール104と凸部102との間の隙間が極端に変化することが無いよう、フレーム101に対してトレイ103の取り付け位置を定める必要があるため、トレイ103の両側部に設けるレール104の一方における凸部102とレール104との隙間を極力抑え、また、トレイ103の成形誤差を考慮して、フレーム101に対しトレイ103が取り付け出来ない等の不具合が生じないよう他方における凸部102とレール104との隙間は大きくする必要がある。すなわち、トレイ103に形成するレール104の一方側の内側内面壁と、これと当接する凸部102との位置を基準とし、前記内側内面壁に近い前記レール104の外側内面壁は寸法誤差の影響が小さいことから、前記レール104と前記凸部102との隙間(ここで述べる隙間とは、凸部102にレール104を遊嵌した状態における双方の間で形成される空間を意味する)を極力小さくすることができる。そして他方側のレール104は基準となる一方側のレール104の内側内面壁からトレイ103のおよそ幅寸法の分だけ離れた位置に形成することから寸法誤差の影響が大きくなるため、対向する凸部102との間で十分な隙間がとれるように形成するのが一般的である。そして、トレイ103の一方側に形成するレール104と凸部102との隙間を小さくすることで、前記トレイ103に形成するラック105とピニオンギア106との間におけるバックラッシをほぼ一定とすることができる。もしも一方側のレール104と凸部102との隙間を他方側のレール104と凸部102との隙間と同様に大きく形成すれば、ピニオンギア106の回転力によってトレイ103が隙間の範囲内で回動し、ラック105とピニオンギア106との間におけるバックラッシが不安定となり、極論で述べれば前記トレイ103を搬送する際に前記ラック105と前記ピニオンギア106との噛合が外れて歯飛びや空転が生じたり、或いは歯飛び又は空転が生じなくても前記ラック105と前記ピニオンギア106との噛合する位置が逐次変化することで夫々の歯に負荷が蓄積し、歯の欠損やそれによるトレイ103の搬送動作への影響が懸念される。
【0008】
第三に、トレイ103の搬送時における捩れなどの変形の要因を解消するため、トレイ103の底面に形成するラック105に近いレール104とフレーム101の凸部102との隙間を極力抑え、他方のレール104と凸部102との隙間を大きくしなければならない。すなわち、ラック105に近いレール104と凸部102との隙間を小さくすることにより、回転駆動力によるトレイ103の捩れなどの変形が生じることなく前記トレイ103の搬送を円滑に行うことができる。仮にラック105から離れたレール104と凸部102との隙間を小さくして前記ラック105に近いレール104と凸部102との隙間を大きくした場合、前記レール104と凸部102とが当接する基準となる位置が前記ラック105とピニオンギア106から離れた位置となることから、トレイ103を搬送するために前記ラック105と噛合する前記ピニオンギア106が、駆動モータ108の駆動力に伴って回転し、このピニオンギア106の回転力がラック105に伝達するとともに基準となるレール104と凸部102との当接部分を支点としてトレイ103が回動する力が働き、この力が搬送するトレイ103の捩れの要因となる。前記捩れ力の発生により、トレイ103の搬送動作は不安定なものとなってしまい、ラック105とピニオンギア106との間における歯飛び、空転、及び破損を引き起こす懸念がある。
【0009】
さらに図9に示した構造においては、トレイ103が記憶媒体交換位置とする搬出移動が完了した際、隙間やトレイ103等の捩れなどが原因で、このトレイ103が横方向へ振れてしまうので、記録再生装置100の品位を低下させる原因となる。また、その他の原因として、記憶媒体収納位置から搬出移動するトレイ103を駆動する駆動モータ108の回転は、短時間で停止させるために、停止寸前で駆動モータの回転を逆回転させるいわゆる逆転ブレーキを用いるので、逆転ブレーキの反動によるフレーム101の振れと、前述した隙間によって、特に記憶媒体交換位置へのトレイ103の搬出完了時におけるトレイ103の横方向への振れが大きく発生してしまう。また、トレイ103は一般には合成樹脂により成形されており、少なくともトレイ103に記憶媒体を載置可能な程度の大きさを要することから、トレイ103の反りなどによる変形が懸念される。特に反りの影響はトレイ103の搬送時における振れや搬送が円滑に行われなくなるといった影響を与える虞がある。
【0010】
本案件は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、記憶媒体収納位置から搬送する搬送トレイの横振れなどを抑えて品質の向上を図り、また、搬送トレイの強度を向上して前記搬送トレイの反り防止を可能とした搬送トレイを備えた記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1の搬送トレイを備えた記録再生装置は、記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、前記本体フレーム又は前記搬送トレイの何れか一方に磁石を取り付けると共に、この磁石を取り付けていない他方の前記搬送トレイ又は前記本体フレームに前記磁石と吸引される磁石若しくは磁性体を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項1の搬送トレイを備えた記録再生装置により、磁石と磁性体或いは磁石と磁石とが相互に磁力によって吸引されるので、本体フレームに組み付けた搬送トレイを磁石の吸引方向に付勢させた状態で搬送することができ、搬送トレイが振れることを抑えることができる。
【0013】
本発明の請求項2の搬送トレイを備えた記録再生装置は、記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、本体フレームに磁石を設け、前記搬送トレイに前記磁石との間で吸引力を発生させる磁性体を取り付けたことを特徴とする。
【0014】
請求項2の搬送トレイを備えた記録再生装置により、本体フレームの磁石に搬送トレイの磁性体を磁力によって吸引させ、本体フレームに組み付けた搬送トレイを磁石と磁性体との吸引方向に付勢させた状態で搬送することができるので、搬送トレイを振れないように抑えることができる。
【0015】
本発明の請求項3の搬送トレイを備えた記録再生装置は、記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、本体フレームに磁性体を設け、前記搬送トレイに前記磁性体との間で吸引力を発生させる磁石を取り付けたことを特徴とする。
【0016】
請求項3の搬送トレイを備えた記録再生装置により、本体フレームの磁性体に搬送トレイの磁石を磁力によって吸引させ、本体フレームに組み付けた搬送トレイを磁石と磁性体との吸引方向に付勢させた状態で搬送することができるので、搬送トレイを振れないように抑えることができる。
【0017】
本発明の請求項4の搬送トレイを備えた記録再生装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置において、前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力は、搬送トレイが搬送している状態で常に発生する位置に配設したことを特徴とする。
【0018】
請求項4の搬送トレイを備えた記録再生装置により、搬送トレイが搬送している状態で、常に本体フレームの磁性体或いは磁石に搬送トレイの磁石或いは磁性体が磁力によって吸引する。よって、搬送トレイを磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引方向に付勢させた状態で常に搬送することができ、搬送トレイの振れを抑えることができる。
【0019】
本発明の請求項5の搬送トレイを備えた記録再生装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置において、前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力を、前記搬送トレイの所定の停止位置で最大になるように前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石とを配設したことを特徴とする。
【0020】
請求項5の搬送トレイを備えた記録再生装置により、搬送トレイの停止位置で磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力が最大となることで、搬送トレイの停止時に伴う搬送トレイの振れを抑えることができる。
【0021】
本発明の請求項6の搬送トレイを備えた記録再生装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置において、前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力を、前記搬送トレイが搬出完了の所定の停止位置で最大になるように前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石とを配設したことを特徴とする。
【0022】
請求項6の搬送トレイを備えた記録再生装置により、搬送トレイの搬出完了位置で磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力が最大となることで、搬送トレイの搬出完了時に伴う搬送トレイの振れを抑えることができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の搬送トレイを備えた記録再生装置によれば、記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、前記本体フレーム又は前記搬送トレイの何れか一方に磁石を取り付けると共に、この磁石を取り付けていない他方の前記搬送トレイ又は前記本体フレームに前記磁石に吸引される磁石若しくは磁性体を設けたので、本体フレームに組み付けた搬送トレイを磁石と磁性体或いは磁石と磁石との吸引方向に付勢させた状態で搬送することが可能となり、搬送トレイが横振れなどしないよう抑えることで記録再生装置の品質向上を図ることができる。
【0024】
本発明の請求項2の搬送トレイを備えた記録再生装置は、記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、本体フレームに磁石を設け、前記搬送トレイに前記磁石との間で吸引力を発生させる磁性体を取り付けたので、本体フレームに組み付けた搬送トレイを磁石と磁性体との吸引方向に付勢させた状態で搬送することが可能となり、搬送トレイが横振れなどしないよう抑えることで記録再生装置の品質向上を図ることができる。
【0025】
本発明の請求項3の搬送トレイを備えた記録再生装置は、記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、本体フレームに磁性体を設け、前記搬送トレイに前記磁性体との間で吸引力を発生させる磁石を取り付けたので、本体フレームに組み付けた搬送トレイを磁石と磁性体との吸引方向に付勢させた状態で搬送することが可能となり、搬送トレイが横振れなどしないよう抑えることで記録再生装置の品質向上を図ることができる。
【0026】
本発明の請求項4の搬送トレイを備えた記録再生装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置において、前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力は、搬送トレイが搬送している状態で常に発生する位置に配設したので、搬送トレイが搬入及び搬出している搬送状態などであっても、搬送トレイを磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力で横振れなどしないよう抑えた品質向上を図った記録再生装置を提供することができる。
【0027】
本発明の請求項5の搬送トレイを備えた記録再生装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置において、前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力を、前記搬送トレイの所定の停止位置で最大になるように前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石とを配設したので、搬送トレイの停止時に伴う搬送トレイの振れを抑止した品質向上を図った記録再生装置を提供することができる。
【0028】
本発明の請求項6の搬送トレイを備えた記録再生装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置において、前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力を、前記搬送トレイが搬出完了の所定の停止位置で最大になるように前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石とを配設したので、搬送トレイの搬出完了時に伴う搬送トレイの振れを抑止した品質向上を図った記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は搬送トレイを搬入した状態の記録再生装置を示す平面図、図2は搬送トレイを搬入した状態の記録再生装置を示す断面図、図3は搬送トレイを搬出した状態を示す記録再生装置の平面図、図4は搬送トレイを示す平面図、図5は搬送トレイを示す底面図、図6は搬送トレイを側面から視た状態を示す側面図、図7は搬送トレイを示す正面側断面図、図8は本体フレームを示す平面図である。以下、図1〜図8に基づき、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を説明する。これらの図に示すように、記録再生装置1は、本体フレーム2にCDなどの記憶媒体たるディスクを載置する搬送トレイ3を備え、本体フレーム2に設けられた駆動源としての駆動モータの動力を駆動伝達機構を介して、搬送トレイ3が本体フレーム2の前後に搬入及び搬出されるようになっており、搬送トレイ3が本体フレーム2の最も前側に前進した状態、すなわち搬送トレイ3が本体フレーム2から搬出して停止した状態で、搬送トレイ3の載置部4にディスクを載置するものである。
【0030】
本実施例における記録再生装置1は、図9で示した従来の記録再生装置と同様に、外観の構成部品となる記録再生装置1の本体フレーム2に形成した凸部10と搬送トレイ3の両側に形成した凹状のレール11とを摺動自在に遊嵌させ、搬送トレイ3は本体フレーム2から外れることがないようにその搬送方向に摺動しながら移動可能に組み付けられている。
【0031】
また、前記本体フレーム2の前方側には図示しないストッパーを設けており、搬送トレイ3が最も前側に搬出した搬送トレイ3の停止位置としての記憶媒体交換位置(図3に示す状態)で、搬送トレイ3の後端部がストッパーに当接し停止するので、前述したように搬送トレイ3は本体フレーム2から外れないように構成されている。
【0032】
搬送トレイ3の底面部には搬送方向とほぼ同方向にラック12を延設しており、このラック12と噛合するピニオンギア13が本体フレームに備えてある。なお、ピニオンギア13には駆動モータ14からの動力を駆動伝達機構15たるギアやプーリ等を介して伝達し、駆動モータ14の回転に伴って駆動伝達機構15を介してピニオンギア13が回転すると、ピニオンギア13と噛合されたラック12が移動して、本体フレーム2に対する搬送トレイ3の搬入移動及び搬出移動が行われる。
【0033】
また、搬送トレイ3の両側の搬送トレイ3の搬送方向に沿って形成されたレール11と本体フレーム2の両側部に断続的に複数形成した凸部10とを遊嵌すると共に、レール11の上方側に配置された本体フレーム2に形成した複数の支持部16により、搬送トレイ3が本体フレーム2から外れることがないよう摺動自在に組み付けられている。
【0034】
そして、駆動モータ14の回転に伴って駆動伝達機構15を介してピニオンギア13が回転すると、ピニオンギア13と噛合したラック12が前方若しくは後方に移動することで、搬送トレイ3の本体フレーム2に対する搬入移動若しくは搬出移動が行われる。尚、駆動モータ14を回転或いは停止するための構造や制御方法、本体フレーム2に搬送トレイを収納した記憶媒体収納位置に搬送トレイ3が搬入移動した後におけるディスクへのデータ等の記録或いは再生については、本発明に直接関係するものではないことからここでの詳細な説明については割愛する。
【0035】
ところで、搬送トレイ3は、前述したように本体フレーム2に対して摺動可能に組み付けられているため、レール11と凸部10、及びレール11と支持部16との間には僅かな隙間Sが設けられていることから、ピニオンギア13とラック12とのギア間のバックラッシが前記搬送トレイ3の搬送時においてほぼ一定となるように、本体フレーム2と搬送トレイ3との隙間Sをほぼ一定にし、本体フレーム2に対する搬送トレイ3の位置が左右に横振れして変化しないように一定にする必要があることから、搬送トレイ3の両側のレール11の内、レール11の一方とこのレール11に遊嵌する凸部10との隙間Sを極力抑え、また、合成樹脂で成形された搬送トレイ3及び本体フレーム2の成形寸法の誤差を考慮して、前記隙間Sを極力抑えたレール11と凸部10との反対側に位置する他方のレール11と凸部10との隙間Sを、本体フレーム2に対して搬送トレイ3が取付け出来ない等の寸法誤差による不具合が生じないよう大きくする。また、搬送トレイ3の搬送時におけるこの搬送トレイ3の捩れなどの変形の要因を解消するため、そして、本体フレーム2に対する搬送トレイ3の取り付けが容易に行えるようにするために、2つのレール11の内、搬送トレイ3の底面に形成したラック12に近い方のレール11と本体フレーム2の凸部10との隙間Sを極力抑え、他方のレール11と凸部10との隙間を大きくしている。
【0036】
また、本実施例における記録再生装置1では本体フレーム2の両側部の一方側には磁石20を設けると共に、搬送トレイ3の底面には前記磁石20との間で吸引力を発生させる磁性体21を取り付けている。この磁性体21は搬送トレイ3の移動方向とほぼ同方向に直線状に長い板状に形成し、より詳しくは、搬送トレイ3を上方から視た状態において、搬送トレイ3の奥行き方向と同じである搬送トレイ3の搬送方向に対して、傾斜した状態で取り付け、搬送トレイ3が記憶媒体収納位置にある時の磁性体21と磁石20との距離より、搬送トレイ3の搬出が完了した搬送トレイ3の停止位置としての記憶媒体交換位置における磁性体21と磁石20との距離を小さくする。なお、本実施例における磁性体21は、搬送トレイ3の両側部のレール11の内、よりラック12から離れた一方のレール11の近傍に取り付け、且つ、磁石20は本体フレーム2に取り付けたピニオンギア13から離れた一方のレール11の近傍であって且つ搬送トレイ3の側部の前端側に設ける。
【0037】
以上のように、本発明の一例における記録再生装置1は、記憶媒体収納位置から搬送移動する搬送トレイ3が記憶媒体交換位置への搬出完了時に、磁石20と磁性体21との間で発生する吸引力を最も増加させ、搬送トレイ3の横方向などへの振れを抑制することができるので、記録再生装置1の品質向上を実現することができる。
【0038】
さらに、搬送トレイ3の前端側から後端側にかけて延設した磁性体21を形成したので、搬送トレイ3が搬送されている時、磁石20の近傍に磁性体21の一部が配置されているので、磁石と磁性体21との吸引力により、搬送トレイ3は常に本体フレーム2の一方側へと引き付けられた状態で搬送されるので、摺動可能に組み付けるために必要な隙間が搬送トレイ3と本体フレーム2との間に有していても、横振れやがたつくことなく安定した状態で搬送トレイ3を搬送することができる。
【0039】
しかも、搬送トレイ3が記憶媒体交換位置への搬出を完了するときの吸引力が最大となるように、磁石20と磁性体21との距離を小さくしていることから、駆動モータ14の逆転ブレーキやレール11と凸部10との間における隙間Sの影響を抑え、搬送トレイ3の横方向の振れを抑えることが可能となるので、記録再生装置1の品位向上が実現できる。
【0040】
また、磁性体21を搬送トレイ3の移動方向に長い形状とし、且つこの磁性体21を搬送トレイ3の底面に取り付けることで磁性体21を搬送トレイ3の補強部材としての機能も兼ね、合成樹脂からなる搬送トレイ3の強度の向上による搬送トレイ3の反りなどを抑えることが可能となり、その結果、搬送トレイ3の反りなどの変形による搬送トレイ3の搬送時の問題となる前述した隙間Sを一定にすることができなくなるといった要因を解消できる。
【0041】
以上、本発明の一実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、磁石20を本体フレーム2に取り付け且つ磁石20と吸引される磁性体21を搬送トレイ3に取り付けた一例を示したが、これに限らず磁性体21を本体フレーム2に取り付け且つ磁石20を搬送トレイ3に取り付けるようにしてもよく、また、磁性体21の代わりにシート状の磁石を貼着し、この貼着した磁石と本体フレーム2に取り付けた磁石20とにより、搬送トレイ3を吸引するようにしてもよい。さらに、搬送トレイ3の底面であって搬送トレイ3の奥行き方向に形成された図示しない突状のガイドリブなどに、前記シート状の磁石を両面接着テープなどによって貼着するなど、種々の変形実施も可能である。また、前述した一例においては、搬送トレイ3の底面に取り付けた直線状の磁性体21を前記搬送トレイ3の搬送方向と同じ方向である搬送トレイ3の奥行き方向に対して傾斜して取り付けていたが、磁性体21の形状は直線状に限定するものではなく、記憶媒体交換位置で吸引力が最大になるのであれば、湾曲した形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一例における搬送トレイを搬入した状態の記録再生装置を示す平面図である。
【図2】同上、搬送トレイを搬入した状態の記録再生装置を示す断面図である。
【図3】同上、搬送トレイを搬出した状態を示す記録再生装置の平面図である。
【図4】同上、搬送トレイを示す平面図である。
【図5】同上、搬送トレイを示す底面図である。
【図6】同上、図4における搬送トレイを側面から視た状態を示す側面図である。
【図7】同上、搬送トレイを示す正面側断面図である。
【図8】同上、本体フレームを示す平面図である。
【図9】従来から用いられている記録再生装置の平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 記録再生装置
2 本体フレーム
3 搬送トレイ
20 磁石
21 磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、前記本体フレーム又は前記搬送トレイの何れか一方に磁石を取り付けると共に、この磁石を取り付けていない他方の前記搬送トレイ又は前記本体フレームに前記磁石と吸引される磁石若しくは磁性体を設けたことを特徴とする搬送トレイを備えた記録再生装置。
【請求項2】
記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、本体フレームに磁石を設け、前記搬送トレイに前記磁石との間で吸引力を発生させる磁性体を取り付けたことを特徴とする搬送トレイを備えた記録再生装置。
【請求項3】
記憶媒体を載置して搬送する搬送トレイと、この搬送トレイを組み付けた本体フレームとを備えた記録再生装置において、本体フレームに磁性体を設け、前記搬送トレイに前記磁性体との間で吸引力を発生させる磁石を取り付けたことを特徴とする搬送トレイを備えた記録再生装置。
【請求項4】
前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力は、搬送トレイが搬送している状態で常に発生する位置に配設したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置。
【請求項5】
前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力を、前記搬送トレイの所定の停止位置で最大になるように前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石とを配設したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置。
【請求項6】
前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石との吸引力を、前記搬送トレイが搬出完了の所定の停止位置で最大になるように前記磁性体と磁石或いは磁石と磁石とを配設したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送トレイを備えた記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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