説明

搬送装置、及び搬送方法

【課題】搬送されるウェブにしわやスリップが発生することをより確実に防止することができる搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】ウェブを搬送ローラで支持しつつ搬送する搬送装置で、搬送ローラが、該搬送ローラの回転軸方向の両端部に設けられ、該回転軸方向の中央部よりも径が大きくなるように形成された大径部と、搬送ローラの回転軸方向の前記大径部の間に設けられ、大径部よりも径が小さく、回転軸方向に一定の径で形成された小径部と、小径部の周面に形成され、該周面と搬送されるウェブとの間のエアを逃がすことによって、周面にウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構を備える。大径部の周面に支持されるウェブに係る回転軸外側に向かう張力が、小径部の周面に支持されるウェブにかかる保持力より大きくなるようにウェブを搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープや光学フィルム等のシート状製品は、ウェブと称される帯状の搬送物を搬送ローラで支持し、各種の製造工程を経て搬送させることで、製造される。
【0003】
従来、搬送されるウェブにしわが生じることを防止するため、搬送ローラの両端の径を中央部より大きくすることで、ウェブに対してローラの軸方向外側向きの張力を付与する技術が知られている。
【0004】
また、搬送されるウェブが搬送ローラ表面においてスリップすることを防止するため、搬送に用いる搬送ローラの表面に、リング状又はスパイラル状の溝部を形成し、搬送ローラとウェブとの間のエアを溝部から排出することにより、スリップを防止する技術が知られている。
【0005】
搬送されるウェブに生じるしわを防止する技術と、スリップを防止する技術を兼ね備えたものとしては特許文献1及び2に示すものがある。
【0006】
特許文献1には、搬送ローラの軸方向中央部に形成される縮径ローラ部と、搬送ローラの軸方向両端部において縮径ローラ部の径に比して大きい径に形成される拡径ローラ部と、縮径ローラ部と拡径ローラ部とを繋ぐテーパローラ部と、を備えた搬送ローラが記載されている。この搬送ローラは、縮径ローラ部の周面に、拡径ローラ部の周面に比して摩擦係数が大きい摩擦面が形成されている。
【0007】
特許文献2には、ウェブを走行させるガイドローラが記載されている。このガイドローラは、ローラ本体と、ローラ本体の回転軸方向の両端部に設けられ、ウェブの幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域を周囲に有し、ローラ本体の端部に向かうに従って径が大きくなるように形成されたテーパ部とを備えている。耳部接触領域には複数の突条が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−298496号公報
【特許文献2】特開2009−227447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、磁気記録媒体の高容量化に伴って磁気テープの薄厚化が進んでおり、該磁気テープの支持体として使用されるウェブの薄厚化により、ウェブの剛性が低下し、搬送時にしわが発生しやすくなる。
また、ウェブの平滑化によりウェブと搬送ローラ表面との間で摩擦が低下するため、スリップが生じやすくなる。さらに、ウェブの搬送速度が高速になると、搬送されるウェブに同伴するエアも大きくなるため、スリップが生じやすくなる。スリップは、ウェブを傷つけたり、搬送ローラが空転したりする原因となる。
【0010】
特許文献1の搬送ローラは、拡径ローラ部とウェブとの摩擦力が低いため、ウェブの薄厚化や搬送速度の高速化を図った場合に、ウェブにおいてローラの軸方向端外側向きの張力がローラの軸方向中央部分に比べて小さくなり、しわの発生を抑えられなくなる虞がある。
【0011】
特許文献2のガイドローラは、ローラ本体の回転軸方向の中央部には突条が形成されていないため、ウェブとの摩擦力が低くなり、ウェブの薄厚化や搬送速度の高速化を図った場合に、搬送されるウェブが該中央部の上に浮き上がってしまう現象が生じて、スリップが発生してしまう虞がある。
【0012】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、搬送されるウェブにしわやスリップが発生することを防止することができる搬送装置及び搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)ウェブを搬送ローラで支持しつつ搬送する搬送装置であって、
前記搬送ローラが、
前記搬送ローラの回転軸方向の両端部に設けられ、該回転軸方向の中央部よりも径が大きくなるように形成された大径部と、
前記搬送ローラの回転軸方向の前記大径部の間に設けられ、前記大径部よりも径が小さい小径部と、
前記大径部及び前記小径部の周面に形成され、該周面と搬送される前記ウェブとの間のエアを逃がすことによって、前記周面に前記ウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構と、を備え、
前記大径部の周面に支持される前記ウェブにおける前記回転軸外側に向かう張力が、前記小径部の周面に支持される前記ウェブにかかる前記保持力より大きい搬送装置。
(2)ウェブを搬送ローラで支持しつつ搬送する搬送装置を用いた搬送方法であって
前記搬送ローラが、
前記搬送ローラの回転軸方向の両端部に設けられ、該回転軸方向の中央部よりも径が大きくなるように形成された大径部と、
前記搬送ローラの回転軸方向の前記大径部の間に設けられ、前記大径部よりも径が小さい小径部と、
前記小径部の周面に形成され、該周面と搬送される前記ウェブとの間のエアを逃がすことによって、前記周面に前記ウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構と、を備え、
前記大径部の周面に支持される前記ウェブに係る前記回転軸外側に向かう張力が、前記小径部の周面に支持される前記ウェブにかかる保持力より大きくなるように前記ウェブを搬送する搬送方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、搬送されるウェブにしわやスリップが発生することを防止することができる搬送装置及び搬送方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の搬送装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の搬送装置をX方向に見た側面図である。
【図3】図1の搬送装置の点線Pで示した部分の断面図である。
【図4】図1の搬送ローラの各部の寸法を説明するための図である。
【図5】図1の搬送装置でウェブを搬送させているときの状態を説明する図である。
【図6】図5の状態において、搬送ローラの回転軸方向の位置に対するウェブにかかるテンションの関係を示すグラフである。
【図7】溝の変形例を示す断面図である。
【図8】突条の形状と、その変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、搬送装置の構成を模式的に示す図である。図2は、図1の搬送装置をX方向に見た側面図である。
【0017】
搬送装置1は、帯状の搬送物であるウェブWを図示しない各製造工程を経ながら搬送するものである。
【0018】
搬送装置は、一例としては、磁気テープの製造設備で使用することができる。磁気テープの製造設備においては、搬送装置は、磁気テープを構成する支持体を搬送する搬送経路の上流に位置する送り出し部や、搬送経路の下流に位置する巻き取り部に使用される。また、搬送装置は、搬送される支持体に磁性塗布層を形成する塗布部や非性塗布層を形成する塗布部に使用される。更に、搬送装置は、支持体に塗布された磁性塗布層や非磁性塗布層を乾燥させるための乾燥部に使用される。
【0019】
図1のX方向は、ウェブWの幅方向であり、Y方向は、ウェブWの幅方向(つまりX方向)に直交し、ウェブWの搬送方向である。
【0020】
搬送装置1は、搬送されるウェブWを支持しつつ搬送する搬送ローラ10を備えている。搬送装置1は、搬送ローラ10を複数備えていても良い。搬送ローラ10は、駆動源を備えた駆動ローラであっても良く、従動自在なフリーローラであっても良い。
【0021】
図1に示すように、搬送ローラ10は、略円柱形状のローラ本体11を有する。ローラ本体11は、回転軸S方向の両端部に形成された大径部12と、回転軸S方向の中央部に形成された小径部14とを備える。なお、ローラ本体11は、その内部において回転軸Sに沿って連通する孔が開孔した略円筒形状であっても良い。
【0022】
大径部12は、回転軸S方向の両端部において、該回転軸S方向に一定の径で形成され、小径部14よりも径が大きい。小径部14は、回転軸S方向中央部において、該回転軸S方向に一定の径で形成され、大径部12よりも径が小さい。小径部14の径は、大径部12の径よりちいさければよく、回転軸S方向に一定である必要はない。
【0023】
図1に示すように、搬送されるウェブWは、その幅方向中央部が、ローラ本体11の回転軸S方向の中央部に重なるように支持される。このとき、ウェブWの幅方向における両端部がそれぞれ、ローラ本体11の大径部12の周面に少なくとも一部重なるように支持される。
【0024】
搬送ローラ10の大径部12及び小径部14の周面には、後述するエア排出機構が設けられている。
【0025】
図3は、図1の搬送装置の点線Pで示した部分の断面図である。
【0026】
大径部12の周面には複数の溝12gが形成されている。複数の溝12gはそれぞれ、大径部12の周面に、回転軸S方向に間隔をおいて形成され、該周面をリング状に周回するように形成されている。
【0027】
小径部14の周面には複数の溝14gが形成されている。複数の溝14gはそれぞれ、小径部14の周面に、回転軸S方向に間隔をおいて形成され、該周面をリング状に周回するように形成されている。
【0028】
この例では、溝12g、14gは、ローラ本体11を回転軸Sに平行な断面で切った場合の断面視においてV字の形状を有する。溝12g、14gの溝の深さ、幅、及び溝同士の間隔(溝ピッチ)は、等しい。
【0029】
溝12g、14gは、搬送されるウェブWと大径部12及び小径部14の周面との間のエアを逃がすことによって、大径部12及び小径部14の周面にウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構として機能する。
【0030】
なお、回転軸S方向において、小径部14と大径部12との間には、回転軸S方向外側に向かって次第に径が大きくなるように形成されたテーパ部13が形成されている。
【0031】
図4は、図1の搬送ローラの各部の寸法を説明するための図である。なお、ここで説明する寸法は一例である。
【0032】
大径部12の直径がDであって、小径部14の直径がdであり、D=1.0005d〜1.02dである。
【0033】
ウェブWの幅方向全体の寸法がWであって、小径部14の回転軸S方向の寸法がw1であって、大径部12にウェブWが重なる部分の寸法がそれぞれw2、w3であり、W=w1+w2+w3である。ウェブWの幅方向中央とローラ本体11の回転軸S方向の中央とが一致しているとき、w2とw3とは等しい。また、w2(=w3)=0.025W0〜0.15W0である。
【0034】
次に、搬送装置でウェブを搬送させた場合のウェブの状態を説明する。
【0035】
図5は、図1の搬送装置でウェブを搬送させているときの状態を示している。図5では、搬送ローラ10に支持されたウェブWのみを断面で示している。
【0036】
ウェブWを搬送させた際にウェブWの近傍に該ウェブWに同伴するエアの流れが生じる。搬送ローラ10の大径部12及び小径部14の周面に形成された溝12g、14gは、該周面とウェブWとの間のエアを外に逃がす。溝12g、14gによってエアを逃がすことにより、ウェブWが大径部12及び小径部14の周面に回転軸S側に向かってかかる力Hによって引き寄せられる。このとき、大径部12及び小径部14の周面にかかるこの力を保持力とし、小径部14の周面に支持されたウェブWにかかる保持力をHと定義する。
【0037】
また、大径部12は小径部14より径が大きいため、ローラ本体11が回転しているときには、大径部12の円周速度は、小径部14の円周速度より大きくなる。搬送されるウェブWにはローラ本体11の回転軸S方向において円周速度の速い方に引き付けられる力が働くため、ウェブWは回転軸S方向の外側に向かって引っ張られる力が働く。このときの力を張力とし、大径部12の周面に支持されたウェブWにかかる張力をTと定義する。
【0038】
図6は、図5の状態において、搬送ローラの回転軸方向の位置に対するウェブにかかるテンションの関係を示すグラフである。図6のグラフにおいて、横軸は搬送ローラの回転軸方向、つまり搬送されるウェブの幅方向Xを示し、縦軸はウェブにかかる張力Tの大きさを示している。
【0039】
ウェブWにおいて、搬送ローラ10の大径部12の周面に支持された部分(グラフ中w2、w3で示す領域)の張力Taは、搬送ローラ10の小径部14の周面に支持された部分(グラフ中w1で示す領域)の張力Tbより大きい。
【0040】
上述のように、搬送されるウェブWには、小径部14の周面に支持された部分に溝14gによる保持力Hがかかり、大径部12の周面に支持された部分に溝12gによる保持力がかかるとともに、張力Tがかかる。
【0041】
保持力の調整は、エア排出機構の構成を変更することで可能である。
例えば、上述の搬送ローラ10のように複数の溝12g、14gの配置とその形状とのうち少なくとも1つを変更することで、保持力を調整できる。
【0042】
複数の溝12g、14gの配置の変更としては、複数の溝12g、14gの溝ピッチを変更する手段がある。溝ピッチを狭くすることで、逃がすエアの量を増やして保持力を大きくすることができ、溝ピッチを広くすることで、逃がすエアの量を減らして保持力を減らすことができる。または、複数の溝12g、14gをリング状に周回するものから、スパイラル状に周回するものに変更しても良い。
【0043】
張力の調整は、大径部12と小径部14の径寸法の比率や、回転軸S方向における小径部14の長さ寸法と大径部12の長さ寸法の比率を変えることで調整できる。
【0044】
大径部12に支持されたウェブWにかかる張力Tは、溝12gによって十分な保持力がある場合に十分に大きくすることができる。このため、必要に応じて、大径部12の周面に支持されたウェブWの保持力が小径部14の周面に支持されたウェブWの保持力より大きくなるように調整することで、張力Tを大きくするように調整することができる。
【0045】
本発明の搬送装置は、大径部12の周面に支持されるウェブにおける回転軸S外側に向かう張力Tが、小径部14の周面に支持されるウェブにかかる保持力Hより大きい。このため、搬送されるウェブWには張力Tの影響により、しわが生じることを防止できる。また、ウェブWには、溝12g、14gによって大径部12及び小径部14のそれぞれの周面に対する保持力がかかるため、ウェブWが搬送ローラ10の周面においてスリップすることを防止できる。
【0046】
エア排出機構は、上述した形状の溝に限定されず、ローラ本体の大径部及び小径部に保持力を発生せしめることができる範囲で、変更可能である。
【0047】
図7は、ローラ本体の周面に形成される溝の変形例を示す断面図である。図7は、ローラ本体11を回転軸Sに平行な断面で切った場合の断面視したときの断面図である。
【0048】
図7(a)に示すように、断面視において、溝の形状は、おいて、略矩形状であっても良い。
【0049】
図7(b)に示すように、断面視において、略半円形状又は略半楕円形状であっても良い。
【0050】
また、エア排出機構は、上述したような溝に限定されず、以下に説明するように複数の突条であってもよい。
【0051】
図8は、突条の形状と、その変形例を示す断面図である。図8は、ローラ本体11を回転軸Sに平行な断面で切った場合の断面視したときの断面図である。
【0052】
図8(a)に示すように、断面視において、ローラ本体11の周面から突出する部分が略三角形状であっても良い。
【0053】
図8(b)に示すように、断面視において、ローラ本体11の周面から突出する部分が略矩形状であっても良い。
【0054】
図8(c)に示すように、断面視において、ローラ本体11の周面から突出する部分が略半径形状又は略半楕円形状であっても良い。
【0055】
搬送装置に備えられる搬送ローラは、ウェブを案内する案内ローラ、ウェブの走行位置を規制するEPCローラ、ウェブテンションを制御するダンサーローラ等に適用することができる。
【0056】
搬送ローラは、ローラ本体が円柱形状のものに限定されず、円筒形状のものでも良い。円筒形状のローラ本体は、例えば、アルミニウムシェル材で構成されたローラ本体の周面にニッケルメッキを施し、クロムメッキで仕上げたものでも良い。
【0057】
搬送装置で搬送されるウェブとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、アルミニウム、銅を利用することができる。ウェブとしては、厚み3.0μm〜15μmのものであると効果が顕著である。また、ウェブの搬送方向のヤング率MD:4〜13GPa、幅方向のヤング率TD:6〜15GPaの乾燥フィルムに適用した場合に、特にしわ防止及びスリップ防止の効果が顕著である。また、この搬送装置は、ウェブの搬送速度が10m/min以上であるときに、効果が顕著である。
【0058】
(実施例)
次に、上述した搬送装置を用いてウェブを搬送し、搬送されるウェブにしわやスリップが発生しないことを確認した。
【0059】
ウェブとしては、次の、3種類のウェブを使用した。
(1)PETフィルム:ポリエチレンテレフタレートを材料とする帯状の基材である支持体を含み、支持体の厚みが4.5〜15.0μmである。
(2)PENフィルム:ポリエチレンナフタレートを材料とする帯状の基材である支持体を含み、支持体の厚みが4.9〜6.0μmである。
(3)アラミドフィルム:アラミドを材料とする帯状の基材である支持体を含み、支持体の厚みが3.6μmである。
【0060】
ウェブの搬送速度を50〜400m/minとし、搬送時において、ウェブの幅方向にかかる張力を50N〜200Nとした。
【0061】
搬送ローラは、大径部の直径Dと小径部の直径dとの比d/Dを0.99734とした。
【0062】
搬送ローラの溝形状は、断面視においてV形状のリング溝で等ピッチ間隔に溝を配置した。また、溝の断面積(単位幅あたり)は、大径部では0.055mm/mmとし、小径部では0.021mm/mmとした。
【0063】
このような条件で上記のウェブを搬送させた場合、どのウェブについてもしわやスリップが発生することを防止することができた。
【0064】
本明細書は次の事項を開示する。
(1)ウェブを搬送ローラで支持しつつ搬送する搬送装置であって、
前記搬送ローラが、
前記搬送ローラの回転軸方向の両端部に設けられ、該回転軸方向の中央部よりも径が大きくなるように形成された大径部と、
前記搬送ローラの回転軸方向の前記大径部の間に設けられ、前記大径部よりも径が小さい小径部と、
前記大径部及び前記小径部の周面に形成され、該周面と搬送される前記ウェブとの間のエアを逃がすことによって、前記周面に前記ウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構と、を備え、
前記大径部の周面に支持される前記ウェブにおける前記回転軸外側に向かう張力が、前記小径部の周面に支持される前記ウェブにかかる前記保持力より大きい搬送装置。
(2)(1)に記載の搬送装置であって、
前記エア排出機構は、前記ウェブにかかる前記保持力が、前記小径部よりも前記大径部において大きくなるように形成されている搬送装置。
(3)(1)又は(2)に記載の搬送装置であって、
前記エア排出機構は、前記小径部の周面に、前記回転軸方向に間隔をおいて形成された複数の溝である搬送装置。
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記保持力は、前記複数の溝の配置と、各溝の形状とのうち少なくとも一つによって規定される搬送装置。
(5)(1)に記載の搬送装置であって、
前記エア排出機構は、前記小径部の周面に、前記回転軸方向に間隔をおいて形成された複数の突条である搬送装置。
(6)(5)に記載の搬送装置であって、
前記保持力は、前記複数の突条の配置と、各突条の形状とのうち少なくとも一つによって規定される搬送装置。
(7)(1)から(6)のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記ウェブは支持体を含み、
前記支持体の厚みが3.0〜15.0μmである搬送装置。
(8)(7)に記載の搬送装置であって、
前記支持体は、搬送方向のヤング率が4〜13GPaであり、幅方向のヤング率が6〜15GPaである搬送装置。
(9)(7)又は(8)に記載の搬送装置であって、
前記支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、アルミニウム、銅のうちいずれか1つを材料とする帯状の基材である搬送装置。
(10)(1)から(9)のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記ウェブを10m/min以上で搬送する搬送装置。
(11)ウェブを搬送ローラで支持しつつ搬送する搬送装置を用いた搬送方法であって
前記搬送ローラが、
前記搬送ローラの回転軸方向の両端部に設けられ、該回転軸方向の中央部よりも径が大きくなるように形成された大径部と、
前記搬送ローラの回転軸方向の前記大径部の間に設けられ、前記大径部よりも径が小さい小径部と、
前記小径部の周面に形成され、該周面と搬送される前記ウェブとの間のエアを逃がすことによって、前記周面に前記ウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構と、を備え、
前記大径部の周面に支持される前記ウェブに係る前記回転軸外側に向かう張力が、前記小径部の周面に支持される前記ウェブにかかる保持力より大きくなるように前記ウェブを搬送する搬送方法。
【符号の説明】
【0065】
1 搬送装置
10 搬送ローラ
11 ローラ本体
12 大径部
12g 溝
14 小径部
14g 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを搬送ローラで支持しつつ搬送する搬送装置であって、
前記搬送ローラが、
前記搬送ローラの回転軸方向の両端部に設けられ、該回転軸方向の中央部よりも径が大きくなるように形成された大径部と、
前記搬送ローラの回転軸方向の前記大径部の間に設けられ、前記大径部よりも径が小さい小径部と、
前記大径部及び前記小径部の周面に形成され、該周面と搬送される前記ウェブとの間のエアを逃がすことによって、前記周面に前記ウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構と、を備え、
前記大径部の周面に支持される前記ウェブにおける前記回転軸外側に向かう張力が、前記小径部の周面に支持される前記ウェブにかかる前記保持力より大きい搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記エア排出機構は、前記ウェブにかかる前記保持力が、前記小径部よりも前記大径部において大きくなるように形成されている搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の搬送装置であって、
前記エア排出機構は、前記小径部の周面に、前記回転軸方向に間隔をおいて形成された複数の溝である搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記保持力は、前記複数の溝の配置と、各溝の形状とのうち少なくとも一つによって規定される搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記エア排出機構は、前記小径部の周面に、前記回転軸方向に間隔をおいて形成された複数の突条である搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の搬送装置であって、
前記保持力は、前記複数の突条の配置と、各突条の形状とのうち少なくとも一つによって規定される搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記ウェブは支持体を含み、
前記支持体の厚みが3.0〜15.0μmである搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の搬送装置であって、
前記支持体は、搬送方向のヤング率が4〜13GPaであり、幅方向のヤング率が6〜15GPaである搬送装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の搬送装置であって、
前記支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、アルミニウム、銅のうちいずれか1つを材料とする帯状の基材である搬送装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記ウェブを10m/min以上で搬送する搬送装置。
【請求項11】
ウェブを搬送ローラで支持しつつ搬送する搬送装置を用いた搬送方法であって
前記搬送ローラが、
前記搬送ローラの回転軸方向の両端部に設けられ、該回転軸方向の中央部よりも径が大きくなるように形成された大径部と、
前記搬送ローラの回転軸方向の前記大径部の間に設けられ、前記大径部よりも径が小さい小径部と、
前記小径部の周面に形成され、該周面と搬送される前記ウェブとの間のエアを逃がすことによって、前記周面に前記ウェブを保持するための保持力を発生させるエア排出機構と、を備え、
前記大径部の周面に支持される前記ウェブに係る前記回転軸外側に向かう張力が、前記小径部の周面に支持される前記ウェブにかかる保持力より大きくなるように前記ウェブを搬送する搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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