搬送装置および搬送方法
【課題】 装置の設置面積を小さくすることができ、しかも板状の搬送対象物を、この搬送対象物の縁部を除く残余の部分を損傷から保護するための保護体を用いなくても、前記残余の部分を損傷させることなく、搬送することができる搬送装置および搬送方法を提供する。
【解決手段】 支持手段15は、液晶表示モジュール2を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する。支持手段15は、液晶表示モジュール2を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向Aに関して傾斜させた状態で支持する。支持手段15は、搬送経路に沿って設けられる第1および第2支持部23,24を備える。液晶表示モジュール2は、第1支持部23によって、その下縁部16が支持され、第2支持部24によって、その上縁部17が支持される。
【解決手段】 支持手段15は、液晶表示モジュール2を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する。支持手段15は、液晶表示モジュール2を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向Aに関して傾斜させた状態で支持する。支持手段15は、搬送経路に沿って設けられる第1および第2支持部23,24を備える。液晶表示モジュール2は、第1支持部23によって、その下縁部16が支持され、第2支持部24によって、その上縁部17が支持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の搬送対象物を搬送するための搬送装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビジョン装置が備える液晶表示装置をはじめとするフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、略称FPD)装置の組立工程では、FPD装置の一部を構成する表示パネルモジュールを搬送する機会がある。表示パネルモジュールは、表示面を有する板状の表示パネルと、表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える。前記表示面は、表示パネルモジュールの縁部を除く残余の部分に形成される。このような表示パネルモジュールの搬送にあたっては、搬送装置が用いられる。
【0003】
第1の従来技術の搬送装置は、ベルトコンベアによって実現される。この搬送装置によって搬送対象物である表示パネルモジュールを搬送するにあたっては、表示パネルモジュールの表示パネルの表示面を、搬送装置との接触による損傷から保護するために、保護体が用いられる。保護体は、パレットまたはカセットによって実現される。表示パネルモジュールは、保護体に搭載され、この状態で、搬送装置に乗載される。表示パネルモジュールは、水平面に対して平行な状態で、搬送装置によって搬送される。
【0004】
第2の従来技術の搬送装置として、特許文献1には、ローラ搬送装置が開示される。ローラ搬送装置は、ローラによるコンベア搬送によって、搬送対象物であるプリント基板を搬送する。プリント基板には、各種部品が搭載される。前記各種部品は、プリント基板の縁部を除く残余の部分に搭載される。このようなプリント基板をローラ搬送装置によって搬送するにあたっては、プリント基板に搭載される各種部品を、搬送装置との接触による損傷から保護するために、保護体であるパレットが用いられる。プリント基板は、パレットに搭載され、この状態で、ローラ搬送装置に乗載される。プリント基板は、水平面に対して平行な状態で、ローラ搬送装置によって搬送される。
【0005】
【特許文献1】特開平8−191198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記第1の従来技術の搬送装置では、表示パネルモジュールを搬送するにあたって、表示パネルモジュールを、保護体に搭載する必要があり、この搭載に手間および時間を要するという問題がある。また表示パネルモジュールを、水平面に対して平行な状態にして搬送するので、装置の設置面積が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
前記第2の従来技術の搬送装置では、プリント基板を搬送するにあたって、プリント基板を保護体であるパレットに搭載する必要があり、この搭載に手間および時間を要する。またプリント基板を、水平面に対して平行な状態にして搬送するので、装置の設置面積が大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
したがって本発明の目的は、装置の設置面積を小さくすることができ、しかも板状の搬送対象物を、この搬送対象物の縁部を除く残余の部分を損傷から保護するための保護体を用いなくても、前記残余の部分を損傷させることなく、搬送することができる搬送装置および搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する支持手段を含み、
支持手段は、搬送対象物を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持し、
支持手段は、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の下縁部を支持する第1支持部と、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の上縁部を支持する第2支持部とを備えることを特徴とする搬送装置である。
【0010】
また本発明は、第2支持部は、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物毎に、搬送対象物の上縁部を支持する複数の支持部分を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、第2支持部の各支持部分は、搬送対象物の下縁部から上縁部までの寸法が小さいほど、搬送対象物と搬送幅方向との成す角度が小さくなるように、配置されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、支持手段は、第1支持部と第2支持部との相対位置を変更可能に構成されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、第2支持部は、搬送対象物の上縁部と接触する接触部分が、搬送経路に垂直な仮想一平面内で延びるように設けられることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、第1支持部は、搬送経路に沿って延びる角変位軸線まわりに角変位可能に設けられることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、第1支持部は、支持部本体と、この支持部本体によって搬送経路に沿って移動可能に支持され、搬送対象物が乗載される乗載台とを有することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、支持手段は、ローラを用いて搬送対象物を支持することを特徴とする。
また本発明は、支持手段によって支持される搬送対象物を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、搬送対象物は、表示面を有する表示パネルとこの表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える表示パネルモジュールであることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で、その搬送対象物の下縁部および上縁部を支持して、搬送経路に沿って搬送することを特徴とする搬送方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、支持手段によって板状の搬送対象物が支持される。このような支持状態で、搬送対象物が略水平な搬送経路に沿って移動され、これによって搬送対象物が搬送される。
【0020】
支持手段は、搬送対象物を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持する。したがって搬送対象物が搬送幅方向に関して傾斜されることなく支持される場合に比べて、搬送幅方向に関して装置の寸法を小さくすることができ、これによって装置の設置面積を小さくすることができる。
【0021】
支持手段は、搬送経路に沿って設けられる第1および第2支持部を備える。搬送対象物は、第1支持部によって、その下縁部が支持され、第2支持部によって、その上縁部が支持される。このように搬送対象物が支持されるので、搬送対象物の縁部を除く残余の部分に、搬送対象物を支持するための支持部が接触することがない。したがって支持部の接触に起因して前記残余の部分が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0022】
このような本発明では、搬送対象物の搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記残余の部分の損傷を防ぐことができる。換言すれば、搬送対象物の搬送にあたって、前記残余の部分の損傷を防ぐために、保護体を用いる必要がない。保護体を用いないことによって、搬送対象物を保護体に搭載するために要する手間および時間を削減することができる。
【0023】
また本発明によれば、第2支持部は、複数の支持部分を有する。各支持部分は、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物毎に、搬送対象物の上縁部を支持する。このような各支持部分によって前記各搬送対象物の各上縁部が支持されるので、前記各搬送対象物の各上縁部を支持するために、第1支持部と第2支持部とが相対変位される必要がない。したがって簡単な構成で、装置の汎用性を向上させることができる。
【0024】
また本発明によれば、搬送対象物の下縁部から上縁部までの寸法が小さいほど、搬送対象物と搬送幅方向との成す角度が小さくなるように、第2支持部の各支持部分が配置される。このように第2支持部の各支持部分が配置されるので、搬送対象物の前記残余の部分に、この搬送対象物よりも前記寸法が小さい他の搬送対象物を支持するための支持部分が接触してしまうことがない。
【0025】
また本発明によれば、第1支持部と第2支持部との相対位置を変更可能に、支持手段が構成される。このように支持手段が構成されるので、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物の各上縁部をそれぞれ支持するために、第2支持部を大形化させる必要がない。換言すれば、第2支持部を大形化させることなく、装置の汎用性を向上させることができる。
【0026】
また本発明によれば、搬送対象物の上縁部と接触する接触部分が、搬送経路に垂直な仮想一平面内で延びるように、第2支持部が設けられる。このように第2支持部が設けられるので、搬送対象物の上縁部と第2支持部との接触面積を大きくすることができ、したがって搬送対象物を安定して搬送することができる。
【0027】
また本発明によれば、搬送経路に沿って延びる角変位軸線まわりに角変位可能に、第1支持部が設けられる。このように第1支持部が設けられるので、搬送対象物の搬送幅方向に対する傾斜角度に応じて、第1支持部を角変位させることによって、第1支持部と搬送対象物との接触状態を一定に保つことができる。
【0028】
また本発明によれば、第1支持部は、支持部本体と乗載台とを有する。乗載台は、支持部本体によって搬送経路に沿って移動可能に支持される。このような乗載台に搬送対象物が乗載される。したがって搬送対象物の搬送にあたって、搬送対象物の下縁部と第1支持部との擦れがなく、これによって搬送対象物の下縁部の損傷を防ぐことができる。
【0029】
また本発明によれば、支持手段、ローラを用いて搬送対象物を支持するので、搬送対象物と支持手段との間の摩擦を軽減することができる。
【0030】
また本発明によれば、支持手段によって支持される搬送対象物を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段を含むので、人手を要することなく、搬送対象物を搬送することができる。
【0031】
また本発明によれば、搬送対象物は、表示パネルモジュールである。表示パネルモジュールは、表示面を有する表示パネルと、この表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える。本発明では、このような表示パネルモジュールの搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記表示面の損傷を防ぐことができる。
【0032】
また本発明によれば、板状の搬送対象物を支持し、このような支持状態で、搬送対象物を略水平な搬送経路に沿って搬送する。搬送対象物は、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持される。したがって搬送対象物が搬送幅方向に関して傾斜されることなく支持される場合に比べて、搬送幅方向に関して装置の寸法を小さくすることができ、これによって装置の設置面積を小さくすることができる。
【0033】
搬送対象物は、その下縁部および上縁部が支持される。このように搬送対象物が支持されるので、搬送対象物の縁部を除く残余の部分に、搬送対象物を支持するための支持部が接触することがない。したがって支持部の接触に起因して前記残余の部分が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0034】
このような本発明では、搬送対象物の搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記残余の部分の損傷を防ぐことができる。換言すれば、搬送対象物の搬送にあたって、前記残余の部分の損傷を防ぐために、保護体を用いる必要がない。保護体を用いないことによって、搬送対象物を保護体に搭載するために要する手間および時間を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、本発明の実施の第1形態である搬送装置1を簡略化して示す正面図である。図2は、図1の切断面線S2−S2から見た断面図である。図1および図2には、板状の搬送対象物である液晶表示モジュール2をも示す。本実施の形態の搬送装置1は、液晶表示装置の組立工程において、液晶表示モジュール2を搬送するために用いられる。本実施の形態では、液晶表示モジュール2を搬送するための搬送方法をも説明する。
【0036】
液晶表示モジュール2は、液晶表示装置の一部を構成する。液晶表示モジュール2は、表示面3を有する矩形板状の液晶表示パネル4と、液晶表示パネル4の縁部を全周にわたって保持するフレーム5と、液晶表示パネル4の背後に設けられてフレーム5に装着され、液晶表示パネル4に対して背後から照明光を与えるバックライトユニット6とを備える。フレーム5は、液晶表示パネル4の防塵および耐衝撃のために設けられる。バックライトユニット6は、照明光を発生する光源としてのランプ7と、ランプ7を収容し、液晶表示パネル4の表示面3とは反対側の面に臨んで開放される箱形形状のシャーシ8と、シャーシ8の内面部に設けられ、ランプ7からの照明光を反射させるリフレクタ9と、液晶表示パネル4とランプ7との間に介在し、ランプ7からの照明光を拡散あるいは集光する光学シート10とを有する。
【0037】
本実施の形態の搬送装置1は、液晶表示モジュール2を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する支持手段15を含む。略水平は水平を含む。本実施の形態では、搬送経路は水平な一直線を成す。支持手段15によって液晶表示モジュール2が支持され、このような支持状態で、液晶表示モジュール2が搬送経路に沿って移動され、これによって液晶表示モジュール2が搬送される。
【0038】
支持手段15は、液晶表示モジュール2を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向Aに関して傾斜させた状態で支持する。したがって液晶表示モジュール2が搬送幅方向Aに関して傾斜されることなく支持される場合に比べて、搬送幅方向Aに関して装置の寸法を小さくすることができ、これによって装置の設置面積を小さくすることができる。
【0039】
液晶表示モジュール2は、その液晶表示パネル4の表示面3が斜め下方を向くようにして、支持手段15に乗載される。支持状態において、液晶表示モジュール2は、対向する一対の縁辺部16,17が、搬送経路に平行であり、対向するもう一対の縁辺部18,19が、搬送幅方向Aに関して傾斜する。液晶表示モジュール2は、搬送経路に平行な一対の縁辺部16,17のうち、一方16が下縁部となり、他方17が上縁部となる。詳しくは、液晶表示モジュール2は、そのフレーム5の、搬送経路に平行な一対のフレーム部分20,21のうち、一方20が下縁部となり、他方21が上縁部となる。以下、液晶表示モジュール2の上縁部には符号として「16」を付し、液晶表示モジュール2の下縁部には符号として「17」を付す。
【0040】
支持手段15は、支持状態において、液晶表示モジュール2の液晶表示パネル4の表示面3が開放されるように、構成される。支持手段15は、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の下縁部16を支持する第1支持部23と、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の上縁部17を支持する第2支持部24とを備える。液晶表示モジュール2は、第1支持部23によって、その下縁部16が支持され、第2支持部24によって、その上縁部17が支持され、液晶表示モジュール2の縁部である各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3が開放される。このように液晶表示モジュール2が支持されるので、液晶表示モジュール2の各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3に、液晶表示モジュール2を支持するための支持部が接触することがない。したがって支持部の接触に起因して前記表示面3が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0041】
第1支持部23は、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の下縁部16の端面25を支持する第1支持体26と、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の下縁部16の前記表示面3と同一方向を向く一表面27を支持する第2支持体28と、第1支持体26と第2支持体28とを連結する連結体29とを有する。第1支持部23は、搬送経路に沿って延びる角変位軸線L23まわりに角変位可能に設けられる。
【0042】
第1支持体26は、搬送経路に沿って延びる基部31と、この基部31に対して、搬送経路に垂直な回転軸線L32まわりに回転可能に設けられる複数のローラ32とを有する。各ローラ32は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ32の回転軸線L32は、液晶表示モジュール2の下縁部16の前記端面25に沿う仮想一平面内で平行である。各ローラ32は、軸部33と、この軸部33と同軸のローラ本体34とを有する。ローラ本体34は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体34の外周面35は、軸部33と同軸の円筒面である。各ローラ32のローラ本体34の外径は、同一である。
【0043】
第2支持体28は、搬送経路に沿って延びる基部41と、この基部41に対して、搬送経路に垂直な回転軸線L42まわりに回転可能に設けられる複数のローラ42とを有する。各ローラ42は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ42の回転軸線L42は、液晶表示モジュール2の下縁部16の前記一表面27に沿う仮想一平面内で平行である。各ローラ42は、軸部43と、この軸部43と同軸のローラ本体44とを有する。ローラ本体44は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体44の外周面45は、軸部43と同軸の円筒面である。各ローラ42のローラ本体44の外径は、同一である。
【0044】
連結体29には、第1支持体26の基部31が固定されるとともに、第2支持体28の基部41が固定される。この連結体29によって、第1支持体26と第2支持体28との相対位置が固定される。連結体29は、基台に対して前記角変位軸線L23まわりに角変位可能に設けられる。連結体29が基台に対して前記角変位軸線L23まわりに角変位されることによって、第1支持体26と第2支持体28とが、相対位置を固定された状態で、前記角変位軸線L23まわりに角変位される。
【0045】
第2支持部24は、液晶表示モジュール2の上縁部17の前記表示面3と同一方向を向く一表面50を支持する。第2支持部24は、搬送経路に沿って延びる基部51と、この基部51に対して、搬送経路に垂直な回転軸線L52まわりに回転可能に設けられる複数のローラ52とを有する。基部51は、連結体29と共通の基台に固定される。各ローラ52は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ52の回転軸線L52は、仮想一平面内で平行である。本実施の形態では、各ローラ52の回転軸線L52は、搬送幅方向Aに垂直な仮想一平面内で平行であり、鉛直方向に延びる。各ローラ52は、軸部53と、この軸部53と同軸のローラ本体54とを有する。ローラ本体54は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体54は、軸線方向に延びて形成される。ローラ本体54の外周面55は、軸部53と同軸の円筒面である。各ローラ52のローラ本体54の外径は、同一である。
【0046】
このように支持手段15は、ローラを用いて液晶表示モジュール2を支持するので、液晶表示モジュール2と支持手段15との間の摩擦を軽減することができる。
【0047】
本実施の形態の搬送装置1は、支持手段15によって支持される液晶表示モジュール2を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段61をさらに含む。駆動手段61は、第1支持体26の各ローラ32を回転駆動する。駆動手段61は、駆動源と、この駆動源からの回転動力を第1支持体26の各ローラ32に伝達する動力伝達手段とを有する。駆動源は、たとえば電動機によって実現される。動力伝達手段は、たとえば索条を用いる動力伝達機構によって実現される。
【0048】
図3は、図1および図2に示す搬送装置1によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図3(a)は下縁部16から上縁部17までの寸法が第1寸法W1である第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図3(b)は下縁部16から上縁部17までの寸法が第1寸法W1よりも小さい第2寸法W2である第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図3(c)は下縁部16から上縁部17までの寸法が第2寸法W2よりも小さい第3寸法W3である第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0049】
第2支持部24は、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる複数の液晶表示モジュール2の各上縁部17をそれぞれ支持する複数の支持部分を有する。本実施の形態では、第2支持部24は、第1〜第3の液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する第1〜第3支持部分65a,65b,65cを有する。第1支持部分65aは、前記各ローラ本体54の上部寄りの部分によって構成される。第2支持部分65bは、前記各ローラ本体54の上部寄りの部分と下部寄りの部分との間の中間部分によって構成される。第3支持部分65cは、各ローラ本体54の下部寄りの部分によって構成される。
【0050】
第1の液晶表示モジュール2aの場合は、図3(a)に示すように、第1支持部分65aによって、その上縁部17が支持される。第2の液晶表示モジュール2bの場合は、図3(b)に示すように、第2支持部分65bによって、その上縁部17が支持される。第3の液晶表示モジュール2cの場合は、図3(c)に示すように、第3支持部分65cによって、その上縁部17が支持される。
【0051】
このように第1〜第3支持部分65a〜65cは、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する。このような第1〜第3支持部分65a〜65cによって前記各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17が支持されるので、前記各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17を支持するために、第1支持部23と第2支持部24とが相対変位される必要がない。したがって簡単な構成で、装置の汎用性を向上させることができる。
【0052】
第1〜第3支持部分65a〜65cは、液晶表示モジュール2の下縁部16から上縁部17までの寸法が小さいほど、液晶表示モジュール2と搬送幅方向Aとの成す角度θが小さくなるように、配置される。換言すれば、搬送経路に垂直な断面で見たとき、上下に隣接する2つの支持部分のうち、下方の支持部分は、上方の支持部分と第1支持部23とを結ぶ直線よりも下方に配置される。このように第1〜第3支持部分65a〜65cが配置されるので、液晶表示モジュール2の各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3に、この液晶表示モジュール2よりも前記寸法が小さい他の液晶表示モジュール2を支持するための支持部分が接触してしまうことがない。具体的には、第1の液晶表示モジュール2aの前記表示面3に、第2および第3支持部分65b,65cが接触してしまうことがなく、また第2の液晶表示モジュール2bの前記表示面3に、第3支持部分65cが接触してしまうことがない。
【0053】
液晶表示モジュール2は、下縁部16から上縁部17までの寸法が小さいほど、搬送幅方向Aに関する傾斜角度θが小さくなる。この点を考慮して、第1支持部23は、液晶表示モジュール2の搬送幅方向Aに関する傾斜角度θに応じて、基台に対して角変位軸線L23まわりの周方向Rに角変位される。第1支持部23は、第1支持体26の各ローラ本体34と液晶表示モジュール2の下縁部16との接触面積および第2支持体28の各ローラ本体44と液晶表示モジュール2の下縁部16との接触面積が大きくなるように、角変位される。このように第1支持部23が角変位されることによって、第1支持部23と液晶表示モジュール2との接触状態を一定に保つことができ、したがって液晶表示モジュール2を安定して搬送することができる。
【0054】
以上のような本実施の形態によれば、液晶表示モジュール2の搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記表示面3の損傷を防ぐことができる。換言すれば、液晶表示モジュール2の搬送にあたって、前記表示面3の損傷を防ぐために、保護体を用いる必要がない。本実施の形態のように保護体を用いないことによって、換言すれば液晶表示モジュール2を直接搬送することによって、液晶表示モジュール2を保護体に搭載するために要する手間および時間を削減することができ、また保護体に要するコストを削減することができる。
【0055】
保護体を用いる場合、搬送方向最下流の地点で保護体を回収し、回収した保護体を搬送方向最上流の地点に戻す必要があり、回収した保護体を搬送方向最上流の地点に戻すためのリターンラインが必要となる。本実施の形態では、保護体を用いないので、前記リターンラインが不要となる。
【0056】
また搬送装置1は、支持手段15によって支持される液晶表示モジュール2を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段61を含むので、人手を要することなく、液晶表示モジュール2を搬送することができる。
【0057】
図4は、本発明の実施の第2形態である搬送装置71によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図4(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図4(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図4(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0058】
本実施の形態の搬送装置71は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第2支持部24に代えて、以下のような第2支持部72が用いられる。
【0059】
第2支持部72の各ローラ73は、軸部53と、この軸部53と同軸のローラ本体74とを有する。各ローラ本体74は、軸線方向に沿って並んで配置される複数のテーパ部分を有する。本実施の形態では、各ローラ本体74は、第1〜第3テーパ部分75a,75b,75cを有する。第1〜第3テーパ部分75a〜75cは、軸線方向に沿って上部から下部に向かうにつれて、外径が大きくなる。第1〜第3テーパ部分75a〜75cの各外周面は、液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17と接触する接触部分76a,76b,76cが、搬送経路に垂直な仮想一平面内で、前記各上縁部17に平行に延びるように、回転軸線L52に関して傾斜する。このように各ローラ本体74が形成されるので、液晶表示モジュール2の上縁部17と第2支持部72との接触面積を大きくすることができ、したがって液晶表示モジュール2を安定して搬送することができる。
【0060】
図5は、本発明の実施の第3形態である搬送装置81を簡略化して示す正面図である。図6は、図5の切断面線S5−S5から見た断面図である。本実施の形態の搬送装置81は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第2支持部24に代えて、以下のような第2支持部82が用いられる。
【0061】
第2支持部82は、複数の支持体を有する。本実施の形態では、第2支持部82は、第1〜第3支持体83a〜83cを有する。第1〜第3支持体83a〜83cの構成は、同一であるので、第1支持体83aについてだけ説明し、第2および第3支持体83b,83cについては、対応する部分には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0062】
第1支持体83aは、搬送経路に沿って延びる基部91と、この基部91に対して、搬送経路に垂直な回転軸線まわりに回転可能に設けられる複数のローラ92とを有する。基部91は、連結体29と共通の基台に固定される。各ローラ92は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ92の回転軸線L92は、仮想一平面内で平行である。各ローラ92は、軸部93と、この軸部93と同軸のローラ本体94とを有する。ローラ本体94は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体94の外周面95は、軸部93と同軸の円筒面である。各ローラ92のローラ本体94の外径は、同一である。
【0063】
図7は、図5および図6に示す搬送装置81によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図7(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図7(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図7(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0064】
第2支持部82は、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる複数の液晶表示モジュール2の各上縁部17をそれぞれ支持する複数の支持部分を有する。本実施の形態では、第2支持部82は、下縁部16から上縁部17までの寸法が第1〜第3寸法W1〜W3の各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する第1〜第3支持部分97a〜97cを有する。第1支持部分97aは、前記第1支持体83aの各ローラ本体94によって構成される。第2支持部分97bは、前記第2支持体83bの各ローラ本体94によって構成される。第3支持部分97cは、前記第3支持体83cの各ローラ本体94によって構成される。
【0065】
第1の液晶表示モジュール2aの場合は、図7(a)に示すように、第1支持部分97aによって、その上縁部17が支持される。第2の液晶表示モジュール2bの場合は、図7(b)に示すように、第2支持部分97bによって、その上縁部17が支持される。第3の液晶表示モジュール2cの場合は、図7(c)に示すように、第3支持部分97cによって、その上縁部17が支持される。
【0066】
このように第1〜第3支持部分97a〜97cは、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する。このような第1〜第3支持部分97a〜97cによって前記各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17が支持されるので、前記各液晶表示モジュール2の各上縁部17を支持するために、第1支持部23と第2支持部82とが相対変位される必要がない。したがって簡単な構成で、装置の汎用性を向上させることができる。
【0067】
第1〜第3支持部分97a〜97cは、液晶表示モジュール2の下縁部16から上縁部17までの寸法が小さいほど、液晶表示モジュール2と搬送幅方向Aとの成す角度θが小さくなるように、配置される。このように第1〜第3支持部分97a〜97cが配置されるので、液晶表示モジュール2の各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3に、この液晶表示モジュール2よりも前記寸法が小さい他の液晶表示モジュール2を支持するための支持部分が接触してしまうことがない。具体的には、第1の液晶表示モジュール2aの前記表示面3に、第2および第3支持部分97b,97cが接触してしまうことがなく、また第2の液晶表示モジュール2bの前記表示面3に、第3支持部分97cが接触してしまうことがない。
【0068】
第1〜第3支持体83a〜83cの各ローラ92は、液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17と接触する接触部分98a,98b,98cが、搬送経路に垂直な仮想一平面内で、前記各上縁部17に平行に延びるように、配置される。このように各ローラ92が配置されるので、液晶表示モジュール2の上縁部17と第2支持部82との接触面積を大きくすることができ、したがって液晶表示モジュール2を安定して搬送することができる。
【0069】
以上のような本実施の形態によれば、第2支持部82は、第1〜第3支持体83a〜83cを有し、これらの第1〜第3支持体83a〜83cによって、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17を支持する。第1〜第3支持体83a〜83cは、複数のローラ92を個別に有するので、各ローラ92の個々の質量を小さくすることができる。したがって各ローラ92を容易に、回転させ、また回転を停止させることができる。
【0070】
本実施の形態では、第2支持部82は、3つの支持体83a〜83cを有するけれども、第2支持部82は、2つの支持体を有していてもよく、あるいは4つ以上の支持体を有していてもよい。支持体の個数を増やすことによって、液晶表示モジュールの下縁部16から上縁部17までの寸法の自由度が高くなり、これによって装置の汎用性を向上させることができる。
【0071】
図8は、本発明の実施の第4形態である搬送装置101を簡略化して示す正面図である。図9は、図8の切断面線S9−S9から見た断面図である。本実施の形態の搬送装置101は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第2支持部24に代えて、以下のような第2支持部102が用いられる。
【0072】
第2支持部102は、1つの支持体によって構成される。第2支持部102の構成は、前述の第3形態における第2支持部82の第1支持体83aの構成と同一であるので、対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。第2支持部102には、移動手段104が設けられる。移動手段104は、一直線を成す基準軸線L105に沿って延びる複数の案内レール105と、第2支持部102が固定され、各案内レール105に対して基準軸線L105に沿ってスライド変位可能に装着される可動部106とを有する。各案内レール105の基準軸線L105は、搬送経路に垂直かつ搬送幅方向Aに垂直であり、本実施の形態では鉛直方向に延びる。このような移動手段104によって、第2支持部102が鉛直方向にスライド変位される。
【0073】
図10は、図8および図9に示す搬送装置101によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図10(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図10(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図10(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0074】
第1の液晶表示モジュール2aを搬送する場合、第2支持部102は、図10(a)に示すように、第1の液晶表示モジュール2aの上縁部17を支持可能な位置に配置される。第2の液晶表示モジュール2bを搬送する場合、第2支持部102は、図10(b)に示すように、第2の液晶表示モジュール2bの上縁部17を支持可能な位置に配置される。第3の液晶表示モジュール2cを搬送する場合、第2支持部102は、図10(c)に示すように、第3の液晶表示モジュール2cの上縁部17を支持可能な位置に配置される。
【0075】
以上のような本実施の形態によれば、第2支持部102を鉛直方向にスライド変位させることによって、第1支持部23と第2支持部102との相対位置を変更することができる。このように支持手段15が構成されるので、下縁部16から上縁部17までの寸法の異なる複数の液晶表示モジュール2の各上縁部17をそれぞれ支持するために、第2支持部102を大形化させる必要がない。換言すれば、第2支持部102を大形化させることなく、装置の汎用性を向上させることができる。
【0076】
図11は、本発明の実施の第5形態である搬送装置111を簡略化して示す正面図である。図12は、図11の切断面線S12−S12から見た断面図である。図13は、図11および図12に示す搬送装置111によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図13(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図13(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図13(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0077】
本実施の形態の搬送装置111は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第1支持部23に代えて、以下のような第1支持部112が用いられる。第1支持部112は、支持部本体113と、この支持部本体113によって搬送経路に沿って移動可能に支持され、液晶表示モジュール2が乗載される乗載台114とを有する。
【0078】
支持部本体113は、搬送経路に沿って延びる基部121と、この基部121に対して、搬送幅方向Aに平行な回転軸線L122まわりに回転可能に設けられる複数のローラ122とを有する。各ローラ122は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ122は、軸部123と、この軸部123と同軸の第1および第2ローラ本体124a,124bとを有する。各ローラ122の第1ローラ本体124aは、搬送幅方向Aに関して同一の位置に配置され、各ローラ122の第2ローラ本体124bは、搬送幅方向Aに関して同一の位置に配置される。第1および第2ローラ本体124a,124bは、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。第1ローラ本体124aの外周面125aは、軸部123と同軸の円筒面である。各ローラ122の第1ローラ本体124aの外径は、同一である。第2ローラ本体124bは、第1ローラ本体124aと同一の外径の筒部と、筒部の外周面に連なり、半径方向外方に向かって先細となる先細部とを有する。
【0079】
乗載台114は、液晶表示モジュール2の下縁部16を受ける凹部127と、支持部本体113の第1ローラ本体124aの外周面が接触する平面部128と、支持部本体113の第2ローラ本体124bの先細部が嵌まり込む溝部129とを有する。乗載台114は、液晶表示モジュール2を搭載した状態で支持部本体113上を移動する。このとき、乗載台114の溝部129と第2ローラ本体124bとによって搬送幅方向Aへの変位が阻止される。
【0080】
駆動手段130は、支持部本体113の各ローラ122を回転駆動する。これによって乗載台114に搭載される液晶表示モジュール2を搬送することができる。
【0081】
以上のような本実施の形態によれば、乗載台114は、支持部本体113によって搬送経路に沿って移動可能に支持される。このような乗載台114に液晶表示モジュール2が乗載される。したがって液晶表示モジュール2の搬送にあたって、液晶表示モジュール2の下縁部16と第1支持部112との擦れがなく、これによって液晶表示モジュール2の下縁部16の損傷を防ぐことができる。
【0082】
本実施の形態では、第2支持部24に代えて、前述の第2、第3または第4形態における第2支持部72,82,102が用いられてもよい。
【0083】
前述の実施の各形態の搬送装置1,71,81,101,111は、液晶表示モジュール2の搬送に好適に用いることができる。液晶テレビジョン装置が備える液晶表示装置に見られるように、液晶表示モジュール2は、超大形化するとともに、寸法の種類が増加する傾向にある。保護体を用いた搬送では、寸法の異なる液晶表示モジュール2毎に、保護体が必要となり、搬送に使用していない保護体の収納場所などが問題になるけれども、第1〜第4形態の搬送装置1,71,81,101は、液晶表示モジュール2を直接搬送するので、前記問題が生じない。また第5形態の搬送装置111では、寸法の異なる液晶表示モジュール2を共通の乗載台114に乗載するので、前記問題が生じない。
【0084】
液晶表示モジュール2は、液晶表示パネル4の画像表示部分に、偏光板が貼られている。この偏光板は傷がつきやすいので、画像表示部分は触れられない。したがって液晶表示モジュール2を保護体に搭載するにあたっては、フレームのみを持ち、液晶表示パネルに大きな力が働かないようにしなければならず、困難である。前述の実施の各形態では、保護体を用いないので、前述のような困難を回避することができる。
【0085】
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。図14は、他の液晶表示モジュール141を示す断面図である。他の液晶表示モジュール141は、バックライトユニット6が組み付けられていないという点を除いて、前述の実施の各形態における液晶表示モジュール2と同様である。このような他の液晶表示モジュール141が搬送対象物であってもよい。
【0086】
搬送対象物としては、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、略称FPD)装置の一部を構成する表示パネルモジュールが挙げられる。搬送対象物は、液晶表示モジュールに限定されず、FPD装置であるプラズマ表示装置の一部を構成する表示パネルモジュールであってもよい。また搬送対象物は、表示パネルモジュールに限定されず、たとえば、各種部品が搭載されるプリント基板であってもよい。
【0087】
前述の第1〜第4形態では、駆動手段61は、第1支持体26の各ローラ32を回転駆動するけれども、第1支持体26の各ローラ32に代えて、第2支持体28の各ローラ42を回転駆動してもよい。また駆動手段61は、第1支持体26の各ローラ32および第2支持体28の各ローラ42を回転駆動してもよい。第1形態の場合は、第2支持部24の各ローラ52をも回転駆動するように構成されてもよい。第2形態の場合は、第2支持部72の各ローラ73をも回転駆動するように構成されてもよい。第3形態の場合は、第2支持部82の各ローラ92をも回転駆動するように構成されてもよい。第4形態の場合は、第2支持部102の各ローラ92をも回転駆動するように構成されてもよい。
【0088】
前述の第5形態では、駆動手段130は、第2支持部24の各ローラ52をも回転駆動するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の第1形態である搬送装置1を簡略化して示す正面図である。
【図2】図1の切断面線S2−S2から見た断面図である。
【図3】図1および図2に示す搬送装置1によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の第2形態である搬送装置71によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の第3形態である搬送装置81を簡略化して示す正面図である。
【図6】図5の切断面線S5−S5から見た断面図である。
【図7】図5および図6に示す搬送装置81によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の第4形態である搬送装置101を簡略化して示す正面図である。
【図9】図8の切断面線S9−S9から見た断面図である。
【図10】図8および図9に示す搬送装置101によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の第5形態である搬送装置111を簡略化して示す正面図である。
【図12】図11の切断面線S12−S12から見た断面図である。
【図13】図11および図12に示す搬送装置111によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図14】他の液晶表示モジュール141を示す断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1,71,81,101,111 搬送装置
2 液晶表示モジュール
15 支持手段
23 第1支持部
24 第2支持部
61,130 駆動手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の搬送対象物を搬送するための搬送装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビジョン装置が備える液晶表示装置をはじめとするフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、略称FPD)装置の組立工程では、FPD装置の一部を構成する表示パネルモジュールを搬送する機会がある。表示パネルモジュールは、表示面を有する板状の表示パネルと、表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える。前記表示面は、表示パネルモジュールの縁部を除く残余の部分に形成される。このような表示パネルモジュールの搬送にあたっては、搬送装置が用いられる。
【0003】
第1の従来技術の搬送装置は、ベルトコンベアによって実現される。この搬送装置によって搬送対象物である表示パネルモジュールを搬送するにあたっては、表示パネルモジュールの表示パネルの表示面を、搬送装置との接触による損傷から保護するために、保護体が用いられる。保護体は、パレットまたはカセットによって実現される。表示パネルモジュールは、保護体に搭載され、この状態で、搬送装置に乗載される。表示パネルモジュールは、水平面に対して平行な状態で、搬送装置によって搬送される。
【0004】
第2の従来技術の搬送装置として、特許文献1には、ローラ搬送装置が開示される。ローラ搬送装置は、ローラによるコンベア搬送によって、搬送対象物であるプリント基板を搬送する。プリント基板には、各種部品が搭載される。前記各種部品は、プリント基板の縁部を除く残余の部分に搭載される。このようなプリント基板をローラ搬送装置によって搬送するにあたっては、プリント基板に搭載される各種部品を、搬送装置との接触による損傷から保護するために、保護体であるパレットが用いられる。プリント基板は、パレットに搭載され、この状態で、ローラ搬送装置に乗載される。プリント基板は、水平面に対して平行な状態で、ローラ搬送装置によって搬送される。
【0005】
【特許文献1】特開平8−191198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記第1の従来技術の搬送装置では、表示パネルモジュールを搬送するにあたって、表示パネルモジュールを、保護体に搭載する必要があり、この搭載に手間および時間を要するという問題がある。また表示パネルモジュールを、水平面に対して平行な状態にして搬送するので、装置の設置面積が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
前記第2の従来技術の搬送装置では、プリント基板を搬送するにあたって、プリント基板を保護体であるパレットに搭載する必要があり、この搭載に手間および時間を要する。またプリント基板を、水平面に対して平行な状態にして搬送するので、装置の設置面積が大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
したがって本発明の目的は、装置の設置面積を小さくすることができ、しかも板状の搬送対象物を、この搬送対象物の縁部を除く残余の部分を損傷から保護するための保護体を用いなくても、前記残余の部分を損傷させることなく、搬送することができる搬送装置および搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する支持手段を含み、
支持手段は、搬送対象物を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持し、
支持手段は、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の下縁部を支持する第1支持部と、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の上縁部を支持する第2支持部とを備えることを特徴とする搬送装置である。
【0010】
また本発明は、第2支持部は、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物毎に、搬送対象物の上縁部を支持する複数の支持部分を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、第2支持部の各支持部分は、搬送対象物の下縁部から上縁部までの寸法が小さいほど、搬送対象物と搬送幅方向との成す角度が小さくなるように、配置されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、支持手段は、第1支持部と第2支持部との相対位置を変更可能に構成されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、第2支持部は、搬送対象物の上縁部と接触する接触部分が、搬送経路に垂直な仮想一平面内で延びるように設けられることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、第1支持部は、搬送経路に沿って延びる角変位軸線まわりに角変位可能に設けられることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、第1支持部は、支持部本体と、この支持部本体によって搬送経路に沿って移動可能に支持され、搬送対象物が乗載される乗載台とを有することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、支持手段は、ローラを用いて搬送対象物を支持することを特徴とする。
また本発明は、支持手段によって支持される搬送対象物を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、搬送対象物は、表示面を有する表示パネルとこの表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える表示パネルモジュールであることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で、その搬送対象物の下縁部および上縁部を支持して、搬送経路に沿って搬送することを特徴とする搬送方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、支持手段によって板状の搬送対象物が支持される。このような支持状態で、搬送対象物が略水平な搬送経路に沿って移動され、これによって搬送対象物が搬送される。
【0020】
支持手段は、搬送対象物を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持する。したがって搬送対象物が搬送幅方向に関して傾斜されることなく支持される場合に比べて、搬送幅方向に関して装置の寸法を小さくすることができ、これによって装置の設置面積を小さくすることができる。
【0021】
支持手段は、搬送経路に沿って設けられる第1および第2支持部を備える。搬送対象物は、第1支持部によって、その下縁部が支持され、第2支持部によって、その上縁部が支持される。このように搬送対象物が支持されるので、搬送対象物の縁部を除く残余の部分に、搬送対象物を支持するための支持部が接触することがない。したがって支持部の接触に起因して前記残余の部分が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0022】
このような本発明では、搬送対象物の搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記残余の部分の損傷を防ぐことができる。換言すれば、搬送対象物の搬送にあたって、前記残余の部分の損傷を防ぐために、保護体を用いる必要がない。保護体を用いないことによって、搬送対象物を保護体に搭載するために要する手間および時間を削減することができる。
【0023】
また本発明によれば、第2支持部は、複数の支持部分を有する。各支持部分は、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物毎に、搬送対象物の上縁部を支持する。このような各支持部分によって前記各搬送対象物の各上縁部が支持されるので、前記各搬送対象物の各上縁部を支持するために、第1支持部と第2支持部とが相対変位される必要がない。したがって簡単な構成で、装置の汎用性を向上させることができる。
【0024】
また本発明によれば、搬送対象物の下縁部から上縁部までの寸法が小さいほど、搬送対象物と搬送幅方向との成す角度が小さくなるように、第2支持部の各支持部分が配置される。このように第2支持部の各支持部分が配置されるので、搬送対象物の前記残余の部分に、この搬送対象物よりも前記寸法が小さい他の搬送対象物を支持するための支持部分が接触してしまうことがない。
【0025】
また本発明によれば、第1支持部と第2支持部との相対位置を変更可能に、支持手段が構成される。このように支持手段が構成されるので、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物の各上縁部をそれぞれ支持するために、第2支持部を大形化させる必要がない。換言すれば、第2支持部を大形化させることなく、装置の汎用性を向上させることができる。
【0026】
また本発明によれば、搬送対象物の上縁部と接触する接触部分が、搬送経路に垂直な仮想一平面内で延びるように、第2支持部が設けられる。このように第2支持部が設けられるので、搬送対象物の上縁部と第2支持部との接触面積を大きくすることができ、したがって搬送対象物を安定して搬送することができる。
【0027】
また本発明によれば、搬送経路に沿って延びる角変位軸線まわりに角変位可能に、第1支持部が設けられる。このように第1支持部が設けられるので、搬送対象物の搬送幅方向に対する傾斜角度に応じて、第1支持部を角変位させることによって、第1支持部と搬送対象物との接触状態を一定に保つことができる。
【0028】
また本発明によれば、第1支持部は、支持部本体と乗載台とを有する。乗載台は、支持部本体によって搬送経路に沿って移動可能に支持される。このような乗載台に搬送対象物が乗載される。したがって搬送対象物の搬送にあたって、搬送対象物の下縁部と第1支持部との擦れがなく、これによって搬送対象物の下縁部の損傷を防ぐことができる。
【0029】
また本発明によれば、支持手段、ローラを用いて搬送対象物を支持するので、搬送対象物と支持手段との間の摩擦を軽減することができる。
【0030】
また本発明によれば、支持手段によって支持される搬送対象物を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段を含むので、人手を要することなく、搬送対象物を搬送することができる。
【0031】
また本発明によれば、搬送対象物は、表示パネルモジュールである。表示パネルモジュールは、表示面を有する表示パネルと、この表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える。本発明では、このような表示パネルモジュールの搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記表示面の損傷を防ぐことができる。
【0032】
また本発明によれば、板状の搬送対象物を支持し、このような支持状態で、搬送対象物を略水平な搬送経路に沿って搬送する。搬送対象物は、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持される。したがって搬送対象物が搬送幅方向に関して傾斜されることなく支持される場合に比べて、搬送幅方向に関して装置の寸法を小さくすることができ、これによって装置の設置面積を小さくすることができる。
【0033】
搬送対象物は、その下縁部および上縁部が支持される。このように搬送対象物が支持されるので、搬送対象物の縁部を除く残余の部分に、搬送対象物を支持するための支持部が接触することがない。したがって支持部の接触に起因して前記残余の部分が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0034】
このような本発明では、搬送対象物の搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記残余の部分の損傷を防ぐことができる。換言すれば、搬送対象物の搬送にあたって、前記残余の部分の損傷を防ぐために、保護体を用いる必要がない。保護体を用いないことによって、搬送対象物を保護体に搭載するために要する手間および時間を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、本発明の実施の第1形態である搬送装置1を簡略化して示す正面図である。図2は、図1の切断面線S2−S2から見た断面図である。図1および図2には、板状の搬送対象物である液晶表示モジュール2をも示す。本実施の形態の搬送装置1は、液晶表示装置の組立工程において、液晶表示モジュール2を搬送するために用いられる。本実施の形態では、液晶表示モジュール2を搬送するための搬送方法をも説明する。
【0036】
液晶表示モジュール2は、液晶表示装置の一部を構成する。液晶表示モジュール2は、表示面3を有する矩形板状の液晶表示パネル4と、液晶表示パネル4の縁部を全周にわたって保持するフレーム5と、液晶表示パネル4の背後に設けられてフレーム5に装着され、液晶表示パネル4に対して背後から照明光を与えるバックライトユニット6とを備える。フレーム5は、液晶表示パネル4の防塵および耐衝撃のために設けられる。バックライトユニット6は、照明光を発生する光源としてのランプ7と、ランプ7を収容し、液晶表示パネル4の表示面3とは反対側の面に臨んで開放される箱形形状のシャーシ8と、シャーシ8の内面部に設けられ、ランプ7からの照明光を反射させるリフレクタ9と、液晶表示パネル4とランプ7との間に介在し、ランプ7からの照明光を拡散あるいは集光する光学シート10とを有する。
【0037】
本実施の形態の搬送装置1は、液晶表示モジュール2を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する支持手段15を含む。略水平は水平を含む。本実施の形態では、搬送経路は水平な一直線を成す。支持手段15によって液晶表示モジュール2が支持され、このような支持状態で、液晶表示モジュール2が搬送経路に沿って移動され、これによって液晶表示モジュール2が搬送される。
【0038】
支持手段15は、液晶表示モジュール2を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向Aに関して傾斜させた状態で支持する。したがって液晶表示モジュール2が搬送幅方向Aに関して傾斜されることなく支持される場合に比べて、搬送幅方向Aに関して装置の寸法を小さくすることができ、これによって装置の設置面積を小さくすることができる。
【0039】
液晶表示モジュール2は、その液晶表示パネル4の表示面3が斜め下方を向くようにして、支持手段15に乗載される。支持状態において、液晶表示モジュール2は、対向する一対の縁辺部16,17が、搬送経路に平行であり、対向するもう一対の縁辺部18,19が、搬送幅方向Aに関して傾斜する。液晶表示モジュール2は、搬送経路に平行な一対の縁辺部16,17のうち、一方16が下縁部となり、他方17が上縁部となる。詳しくは、液晶表示モジュール2は、そのフレーム5の、搬送経路に平行な一対のフレーム部分20,21のうち、一方20が下縁部となり、他方21が上縁部となる。以下、液晶表示モジュール2の上縁部には符号として「16」を付し、液晶表示モジュール2の下縁部には符号として「17」を付す。
【0040】
支持手段15は、支持状態において、液晶表示モジュール2の液晶表示パネル4の表示面3が開放されるように、構成される。支持手段15は、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の下縁部16を支持する第1支持部23と、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の上縁部17を支持する第2支持部24とを備える。液晶表示モジュール2は、第1支持部23によって、その下縁部16が支持され、第2支持部24によって、その上縁部17が支持され、液晶表示モジュール2の縁部である各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3が開放される。このように液晶表示モジュール2が支持されるので、液晶表示モジュール2の各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3に、液晶表示モジュール2を支持するための支持部が接触することがない。したがって支持部の接触に起因して前記表示面3が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0041】
第1支持部23は、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の下縁部16の端面25を支持する第1支持体26と、搬送経路に沿って設けられ、液晶表示モジュール2の下縁部16の前記表示面3と同一方向を向く一表面27を支持する第2支持体28と、第1支持体26と第2支持体28とを連結する連結体29とを有する。第1支持部23は、搬送経路に沿って延びる角変位軸線L23まわりに角変位可能に設けられる。
【0042】
第1支持体26は、搬送経路に沿って延びる基部31と、この基部31に対して、搬送経路に垂直な回転軸線L32まわりに回転可能に設けられる複数のローラ32とを有する。各ローラ32は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ32の回転軸線L32は、液晶表示モジュール2の下縁部16の前記端面25に沿う仮想一平面内で平行である。各ローラ32は、軸部33と、この軸部33と同軸のローラ本体34とを有する。ローラ本体34は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体34の外周面35は、軸部33と同軸の円筒面である。各ローラ32のローラ本体34の外径は、同一である。
【0043】
第2支持体28は、搬送経路に沿って延びる基部41と、この基部41に対して、搬送経路に垂直な回転軸線L42まわりに回転可能に設けられる複数のローラ42とを有する。各ローラ42は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ42の回転軸線L42は、液晶表示モジュール2の下縁部16の前記一表面27に沿う仮想一平面内で平行である。各ローラ42は、軸部43と、この軸部43と同軸のローラ本体44とを有する。ローラ本体44は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体44の外周面45は、軸部43と同軸の円筒面である。各ローラ42のローラ本体44の外径は、同一である。
【0044】
連結体29には、第1支持体26の基部31が固定されるとともに、第2支持体28の基部41が固定される。この連結体29によって、第1支持体26と第2支持体28との相対位置が固定される。連結体29は、基台に対して前記角変位軸線L23まわりに角変位可能に設けられる。連結体29が基台に対して前記角変位軸線L23まわりに角変位されることによって、第1支持体26と第2支持体28とが、相対位置を固定された状態で、前記角変位軸線L23まわりに角変位される。
【0045】
第2支持部24は、液晶表示モジュール2の上縁部17の前記表示面3と同一方向を向く一表面50を支持する。第2支持部24は、搬送経路に沿って延びる基部51と、この基部51に対して、搬送経路に垂直な回転軸線L52まわりに回転可能に設けられる複数のローラ52とを有する。基部51は、連結体29と共通の基台に固定される。各ローラ52は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ52の回転軸線L52は、仮想一平面内で平行である。本実施の形態では、各ローラ52の回転軸線L52は、搬送幅方向Aに垂直な仮想一平面内で平行であり、鉛直方向に延びる。各ローラ52は、軸部53と、この軸部53と同軸のローラ本体54とを有する。ローラ本体54は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体54は、軸線方向に延びて形成される。ローラ本体54の外周面55は、軸部53と同軸の円筒面である。各ローラ52のローラ本体54の外径は、同一である。
【0046】
このように支持手段15は、ローラを用いて液晶表示モジュール2を支持するので、液晶表示モジュール2と支持手段15との間の摩擦を軽減することができる。
【0047】
本実施の形態の搬送装置1は、支持手段15によって支持される液晶表示モジュール2を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段61をさらに含む。駆動手段61は、第1支持体26の各ローラ32を回転駆動する。駆動手段61は、駆動源と、この駆動源からの回転動力を第1支持体26の各ローラ32に伝達する動力伝達手段とを有する。駆動源は、たとえば電動機によって実現される。動力伝達手段は、たとえば索条を用いる動力伝達機構によって実現される。
【0048】
図3は、図1および図2に示す搬送装置1によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図3(a)は下縁部16から上縁部17までの寸法が第1寸法W1である第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図3(b)は下縁部16から上縁部17までの寸法が第1寸法W1よりも小さい第2寸法W2である第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図3(c)は下縁部16から上縁部17までの寸法が第2寸法W2よりも小さい第3寸法W3である第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0049】
第2支持部24は、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる複数の液晶表示モジュール2の各上縁部17をそれぞれ支持する複数の支持部分を有する。本実施の形態では、第2支持部24は、第1〜第3の液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する第1〜第3支持部分65a,65b,65cを有する。第1支持部分65aは、前記各ローラ本体54の上部寄りの部分によって構成される。第2支持部分65bは、前記各ローラ本体54の上部寄りの部分と下部寄りの部分との間の中間部分によって構成される。第3支持部分65cは、各ローラ本体54の下部寄りの部分によって構成される。
【0050】
第1の液晶表示モジュール2aの場合は、図3(a)に示すように、第1支持部分65aによって、その上縁部17が支持される。第2の液晶表示モジュール2bの場合は、図3(b)に示すように、第2支持部分65bによって、その上縁部17が支持される。第3の液晶表示モジュール2cの場合は、図3(c)に示すように、第3支持部分65cによって、その上縁部17が支持される。
【0051】
このように第1〜第3支持部分65a〜65cは、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する。このような第1〜第3支持部分65a〜65cによって前記各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17が支持されるので、前記各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17を支持するために、第1支持部23と第2支持部24とが相対変位される必要がない。したがって簡単な構成で、装置の汎用性を向上させることができる。
【0052】
第1〜第3支持部分65a〜65cは、液晶表示モジュール2の下縁部16から上縁部17までの寸法が小さいほど、液晶表示モジュール2と搬送幅方向Aとの成す角度θが小さくなるように、配置される。換言すれば、搬送経路に垂直な断面で見たとき、上下に隣接する2つの支持部分のうち、下方の支持部分は、上方の支持部分と第1支持部23とを結ぶ直線よりも下方に配置される。このように第1〜第3支持部分65a〜65cが配置されるので、液晶表示モジュール2の各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3に、この液晶表示モジュール2よりも前記寸法が小さい他の液晶表示モジュール2を支持するための支持部分が接触してしまうことがない。具体的には、第1の液晶表示モジュール2aの前記表示面3に、第2および第3支持部分65b,65cが接触してしまうことがなく、また第2の液晶表示モジュール2bの前記表示面3に、第3支持部分65cが接触してしまうことがない。
【0053】
液晶表示モジュール2は、下縁部16から上縁部17までの寸法が小さいほど、搬送幅方向Aに関する傾斜角度θが小さくなる。この点を考慮して、第1支持部23は、液晶表示モジュール2の搬送幅方向Aに関する傾斜角度θに応じて、基台に対して角変位軸線L23まわりの周方向Rに角変位される。第1支持部23は、第1支持体26の各ローラ本体34と液晶表示モジュール2の下縁部16との接触面積および第2支持体28の各ローラ本体44と液晶表示モジュール2の下縁部16との接触面積が大きくなるように、角変位される。このように第1支持部23が角変位されることによって、第1支持部23と液晶表示モジュール2との接触状態を一定に保つことができ、したがって液晶表示モジュール2を安定して搬送することができる。
【0054】
以上のような本実施の形態によれば、液晶表示モジュール2の搬送にあたって、保護体を用いることなく、前記表示面3の損傷を防ぐことができる。換言すれば、液晶表示モジュール2の搬送にあたって、前記表示面3の損傷を防ぐために、保護体を用いる必要がない。本実施の形態のように保護体を用いないことによって、換言すれば液晶表示モジュール2を直接搬送することによって、液晶表示モジュール2を保護体に搭載するために要する手間および時間を削減することができ、また保護体に要するコストを削減することができる。
【0055】
保護体を用いる場合、搬送方向最下流の地点で保護体を回収し、回収した保護体を搬送方向最上流の地点に戻す必要があり、回収した保護体を搬送方向最上流の地点に戻すためのリターンラインが必要となる。本実施の形態では、保護体を用いないので、前記リターンラインが不要となる。
【0056】
また搬送装置1は、支持手段15によって支持される液晶表示モジュール2を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段61を含むので、人手を要することなく、液晶表示モジュール2を搬送することができる。
【0057】
図4は、本発明の実施の第2形態である搬送装置71によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図4(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図4(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図4(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0058】
本実施の形態の搬送装置71は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第2支持部24に代えて、以下のような第2支持部72が用いられる。
【0059】
第2支持部72の各ローラ73は、軸部53と、この軸部53と同軸のローラ本体74とを有する。各ローラ本体74は、軸線方向に沿って並んで配置される複数のテーパ部分を有する。本実施の形態では、各ローラ本体74は、第1〜第3テーパ部分75a,75b,75cを有する。第1〜第3テーパ部分75a〜75cは、軸線方向に沿って上部から下部に向かうにつれて、外径が大きくなる。第1〜第3テーパ部分75a〜75cの各外周面は、液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17と接触する接触部分76a,76b,76cが、搬送経路に垂直な仮想一平面内で、前記各上縁部17に平行に延びるように、回転軸線L52に関して傾斜する。このように各ローラ本体74が形成されるので、液晶表示モジュール2の上縁部17と第2支持部72との接触面積を大きくすることができ、したがって液晶表示モジュール2を安定して搬送することができる。
【0060】
図5は、本発明の実施の第3形態である搬送装置81を簡略化して示す正面図である。図6は、図5の切断面線S5−S5から見た断面図である。本実施の形態の搬送装置81は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第2支持部24に代えて、以下のような第2支持部82が用いられる。
【0061】
第2支持部82は、複数の支持体を有する。本実施の形態では、第2支持部82は、第1〜第3支持体83a〜83cを有する。第1〜第3支持体83a〜83cの構成は、同一であるので、第1支持体83aについてだけ説明し、第2および第3支持体83b,83cについては、対応する部分には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0062】
第1支持体83aは、搬送経路に沿って延びる基部91と、この基部91に対して、搬送経路に垂直な回転軸線まわりに回転可能に設けられる複数のローラ92とを有する。基部91は、連結体29と共通の基台に固定される。各ローラ92は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ92の回転軸線L92は、仮想一平面内で平行である。各ローラ92は、軸部93と、この軸部93と同軸のローラ本体94とを有する。ローラ本体94は、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。ローラ本体94の外周面95は、軸部93と同軸の円筒面である。各ローラ92のローラ本体94の外径は、同一である。
【0063】
図7は、図5および図6に示す搬送装置81によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図7(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図7(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図7(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0064】
第2支持部82は、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる複数の液晶表示モジュール2の各上縁部17をそれぞれ支持する複数の支持部分を有する。本実施の形態では、第2支持部82は、下縁部16から上縁部17までの寸法が第1〜第3寸法W1〜W3の各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する第1〜第3支持部分97a〜97cを有する。第1支持部分97aは、前記第1支持体83aの各ローラ本体94によって構成される。第2支持部分97bは、前記第2支持体83bの各ローラ本体94によって構成される。第3支持部分97cは、前記第3支持体83cの各ローラ本体94によって構成される。
【0065】
第1の液晶表示モジュール2aの場合は、図7(a)に示すように、第1支持部分97aによって、その上縁部17が支持される。第2の液晶表示モジュール2bの場合は、図7(b)に示すように、第2支持部分97bによって、その上縁部17が支持される。第3の液晶表示モジュール2cの場合は、図7(c)に示すように、第3支持部分97cによって、その上縁部17が支持される。
【0066】
このように第1〜第3支持部分97a〜97cは、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17をそれぞれ支持する。このような第1〜第3支持部分97a〜97cによって前記各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17が支持されるので、前記各液晶表示モジュール2の各上縁部17を支持するために、第1支持部23と第2支持部82とが相対変位される必要がない。したがって簡単な構成で、装置の汎用性を向上させることができる。
【0067】
第1〜第3支持部分97a〜97cは、液晶表示モジュール2の下縁部16から上縁部17までの寸法が小さいほど、液晶表示モジュール2と搬送幅方向Aとの成す角度θが小さくなるように、配置される。このように第1〜第3支持部分97a〜97cが配置されるので、液晶表示モジュール2の各縁辺部16〜19を除く残余の部分、特に液晶表示パネル4の表示面3に、この液晶表示モジュール2よりも前記寸法が小さい他の液晶表示モジュール2を支持するための支持部分が接触してしまうことがない。具体的には、第1の液晶表示モジュール2aの前記表示面3に、第2および第3支持部分97b,97cが接触してしまうことがなく、また第2の液晶表示モジュール2bの前記表示面3に、第3支持部分97cが接触してしまうことがない。
【0068】
第1〜第3支持体83a〜83cの各ローラ92は、液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17と接触する接触部分98a,98b,98cが、搬送経路に垂直な仮想一平面内で、前記各上縁部17に平行に延びるように、配置される。このように各ローラ92が配置されるので、液晶表示モジュール2の上縁部17と第2支持部82との接触面積を大きくすることができ、したがって液晶表示モジュール2を安定して搬送することができる。
【0069】
以上のような本実施の形態によれば、第2支持部82は、第1〜第3支持体83a〜83cを有し、これらの第1〜第3支持体83a〜83cによって、下縁部16から上縁部17までの寸法が異なる各液晶表示モジュール2a〜2cの各上縁部17を支持する。第1〜第3支持体83a〜83cは、複数のローラ92を個別に有するので、各ローラ92の個々の質量を小さくすることができる。したがって各ローラ92を容易に、回転させ、また回転を停止させることができる。
【0070】
本実施の形態では、第2支持部82は、3つの支持体83a〜83cを有するけれども、第2支持部82は、2つの支持体を有していてもよく、あるいは4つ以上の支持体を有していてもよい。支持体の個数を増やすことによって、液晶表示モジュールの下縁部16から上縁部17までの寸法の自由度が高くなり、これによって装置の汎用性を向上させることができる。
【0071】
図8は、本発明の実施の第4形態である搬送装置101を簡略化して示す正面図である。図9は、図8の切断面線S9−S9から見た断面図である。本実施の形態の搬送装置101は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第2支持部24に代えて、以下のような第2支持部102が用いられる。
【0072】
第2支持部102は、1つの支持体によって構成される。第2支持部102の構成は、前述の第3形態における第2支持部82の第1支持体83aの構成と同一であるので、対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。第2支持部102には、移動手段104が設けられる。移動手段104は、一直線を成す基準軸線L105に沿って延びる複数の案内レール105と、第2支持部102が固定され、各案内レール105に対して基準軸線L105に沿ってスライド変位可能に装着される可動部106とを有する。各案内レール105の基準軸線L105は、搬送経路に垂直かつ搬送幅方向Aに垂直であり、本実施の形態では鉛直方向に延びる。このような移動手段104によって、第2支持部102が鉛直方向にスライド変位される。
【0073】
図10は、図8および図9に示す搬送装置101によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図10(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図10(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図10(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0074】
第1の液晶表示モジュール2aを搬送する場合、第2支持部102は、図10(a)に示すように、第1の液晶表示モジュール2aの上縁部17を支持可能な位置に配置される。第2の液晶表示モジュール2bを搬送する場合、第2支持部102は、図10(b)に示すように、第2の液晶表示モジュール2bの上縁部17を支持可能な位置に配置される。第3の液晶表示モジュール2cを搬送する場合、第2支持部102は、図10(c)に示すように、第3の液晶表示モジュール2cの上縁部17を支持可能な位置に配置される。
【0075】
以上のような本実施の形態によれば、第2支持部102を鉛直方向にスライド変位させることによって、第1支持部23と第2支持部102との相対位置を変更することができる。このように支持手段15が構成されるので、下縁部16から上縁部17までの寸法の異なる複数の液晶表示モジュール2の各上縁部17をそれぞれ支持するために、第2支持部102を大形化させる必要がない。換言すれば、第2支持部102を大形化させることなく、装置の汎用性を向上させることができる。
【0076】
図11は、本発明の実施の第5形態である搬送装置111を簡略化して示す正面図である。図12は、図11の切断面線S12−S12から見た断面図である。図13は、図11および図12に示す搬送装置111によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図であり、図13(a)は第1の液晶表示モジュール2aの場合を示し、図13(b)は第2の液晶表示モジュール2bの場合を示し、図13(c)は第3の液晶表示モジュール2cの場合を示す。
【0077】
本実施の形態の搬送装置111は、前述の第1形態の搬送装置1に類似するので、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態では、前述の第1形態における第1支持部23に代えて、以下のような第1支持部112が用いられる。第1支持部112は、支持部本体113と、この支持部本体113によって搬送経路に沿って移動可能に支持され、液晶表示モジュール2が乗載される乗載台114とを有する。
【0078】
支持部本体113は、搬送経路に沿って延びる基部121と、この基部121に対して、搬送幅方向Aに平行な回転軸線L122まわりに回転可能に設けられる複数のローラ122とを有する。各ローラ122は、搬送経路に沿って間隔をあけて並んで配置される。各ローラ122は、軸部123と、この軸部123と同軸の第1および第2ローラ本体124a,124bとを有する。各ローラ122の第1ローラ本体124aは、搬送幅方向Aに関して同一の位置に配置され、各ローラ122の第2ローラ本体124bは、搬送幅方向Aに関して同一の位置に配置される。第1および第2ローラ本体124a,124bは、最外周にシリコンゴム、ポリウレタンやナイロンなどが巻かれている。第1ローラ本体124aの外周面125aは、軸部123と同軸の円筒面である。各ローラ122の第1ローラ本体124aの外径は、同一である。第2ローラ本体124bは、第1ローラ本体124aと同一の外径の筒部と、筒部の外周面に連なり、半径方向外方に向かって先細となる先細部とを有する。
【0079】
乗載台114は、液晶表示モジュール2の下縁部16を受ける凹部127と、支持部本体113の第1ローラ本体124aの外周面が接触する平面部128と、支持部本体113の第2ローラ本体124bの先細部が嵌まり込む溝部129とを有する。乗載台114は、液晶表示モジュール2を搭載した状態で支持部本体113上を移動する。このとき、乗載台114の溝部129と第2ローラ本体124bとによって搬送幅方向Aへの変位が阻止される。
【0080】
駆動手段130は、支持部本体113の各ローラ122を回転駆動する。これによって乗載台114に搭載される液晶表示モジュール2を搬送することができる。
【0081】
以上のような本実施の形態によれば、乗載台114は、支持部本体113によって搬送経路に沿って移動可能に支持される。このような乗載台114に液晶表示モジュール2が乗載される。したがって液晶表示モジュール2の搬送にあたって、液晶表示モジュール2の下縁部16と第1支持部112との擦れがなく、これによって液晶表示モジュール2の下縁部16の損傷を防ぐことができる。
【0082】
本実施の形態では、第2支持部24に代えて、前述の第2、第3または第4形態における第2支持部72,82,102が用いられてもよい。
【0083】
前述の実施の各形態の搬送装置1,71,81,101,111は、液晶表示モジュール2の搬送に好適に用いることができる。液晶テレビジョン装置が備える液晶表示装置に見られるように、液晶表示モジュール2は、超大形化するとともに、寸法の種類が増加する傾向にある。保護体を用いた搬送では、寸法の異なる液晶表示モジュール2毎に、保護体が必要となり、搬送に使用していない保護体の収納場所などが問題になるけれども、第1〜第4形態の搬送装置1,71,81,101は、液晶表示モジュール2を直接搬送するので、前記問題が生じない。また第5形態の搬送装置111では、寸法の異なる液晶表示モジュール2を共通の乗載台114に乗載するので、前記問題が生じない。
【0084】
液晶表示モジュール2は、液晶表示パネル4の画像表示部分に、偏光板が貼られている。この偏光板は傷がつきやすいので、画像表示部分は触れられない。したがって液晶表示モジュール2を保護体に搭載するにあたっては、フレームのみを持ち、液晶表示パネルに大きな力が働かないようにしなければならず、困難である。前述の実施の各形態では、保護体を用いないので、前述のような困難を回避することができる。
【0085】
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。図14は、他の液晶表示モジュール141を示す断面図である。他の液晶表示モジュール141は、バックライトユニット6が組み付けられていないという点を除いて、前述の実施の各形態における液晶表示モジュール2と同様である。このような他の液晶表示モジュール141が搬送対象物であってもよい。
【0086】
搬送対象物としては、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、略称FPD)装置の一部を構成する表示パネルモジュールが挙げられる。搬送対象物は、液晶表示モジュールに限定されず、FPD装置であるプラズマ表示装置の一部を構成する表示パネルモジュールであってもよい。また搬送対象物は、表示パネルモジュールに限定されず、たとえば、各種部品が搭載されるプリント基板であってもよい。
【0087】
前述の第1〜第4形態では、駆動手段61は、第1支持体26の各ローラ32を回転駆動するけれども、第1支持体26の各ローラ32に代えて、第2支持体28の各ローラ42を回転駆動してもよい。また駆動手段61は、第1支持体26の各ローラ32および第2支持体28の各ローラ42を回転駆動してもよい。第1形態の場合は、第2支持部24の各ローラ52をも回転駆動するように構成されてもよい。第2形態の場合は、第2支持部72の各ローラ73をも回転駆動するように構成されてもよい。第3形態の場合は、第2支持部82の各ローラ92をも回転駆動するように構成されてもよい。第4形態の場合は、第2支持部102の各ローラ92をも回転駆動するように構成されてもよい。
【0088】
前述の第5形態では、駆動手段130は、第2支持部24の各ローラ52をも回転駆動するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の第1形態である搬送装置1を簡略化して示す正面図である。
【図2】図1の切断面線S2−S2から見た断面図である。
【図3】図1および図2に示す搬送装置1によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の第2形態である搬送装置71によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の第3形態である搬送装置81を簡略化して示す正面図である。
【図6】図5の切断面線S5−S5から見た断面図である。
【図7】図5および図6に示す搬送装置81によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の第4形態である搬送装置101を簡略化して示す正面図である。
【図9】図8の切断面線S9−S9から見た断面図である。
【図10】図8および図9に示す搬送装置101によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の第5形態である搬送装置111を簡略化して示す正面図である。
【図12】図11の切断面線S12−S12から見た断面図である。
【図13】図11および図12に示す搬送装置111によって液晶表示モジュール2を搬送している状態を示す断面図である。
【図14】他の液晶表示モジュール141を示す断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1,71,81,101,111 搬送装置
2 液晶表示モジュール
15 支持手段
23 第1支持部
24 第2支持部
61,130 駆動手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する支持手段を含み、
支持手段は、搬送対象物を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持し、
支持手段は、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の下縁部を支持する第1支持部と、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の上縁部を支持する第2支持部とを備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
第2支持部は、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物毎に、搬送対象物の上縁部を支持する複数の支持部分を有することを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
第2支持部の各支持部分は、搬送対象物の下縁部から上縁部までの寸法が小さいほど、搬送対象物と搬送幅方向との成す角度が小さくなるように、配置されることを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
支持手段は、第1支持部と第2支持部との相対位置を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項5】
第2支持部は、搬送対象物の上縁部と接触する接触部分が、搬送経路に垂直な仮想一平面内で延びるように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項6】
第1支持部は、搬送経路に沿って延びる角変位軸線まわりに角変位可能に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項7】
第1支持部は、支持部本体と、この支持部本体によって搬送経路に沿って移動可能に支持され、搬送対象物が乗載される乗載台とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項8】
支持手段は、ローラを用いて搬送対象物を支持することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項9】
支持手段によって支持される搬送対象物を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項10】
搬送対象物は、表示面を有する表示パネルとこの表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える表示パネルモジュールであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項11】
板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で、その搬送対象物の下縁部および上縁部を支持して、搬送経路に沿って搬送することを特徴とする搬送方法。
【請求項1】
板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に沿って移動可能に支持する支持手段を含み、
支持手段は、搬送対象物を、搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で支持し、
支持手段は、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の下縁部を支持する第1支持部と、搬送経路に沿って設けられ、搬送対象物の上縁部を支持する第2支持部とを備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
第2支持部は、下縁部から上縁部までの寸法が異なる複数の搬送対象物毎に、搬送対象物の上縁部を支持する複数の支持部分を有することを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
第2支持部の各支持部分は、搬送対象物の下縁部から上縁部までの寸法が小さいほど、搬送対象物と搬送幅方向との成す角度が小さくなるように、配置されることを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
支持手段は、第1支持部と第2支持部との相対位置を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項5】
第2支持部は、搬送対象物の上縁部と接触する接触部分が、搬送経路に垂直な仮想一平面内で延びるように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項6】
第1支持部は、搬送経路に沿って延びる角変位軸線まわりに角変位可能に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項7】
第1支持部は、支持部本体と、この支持部本体によって搬送経路に沿って移動可能に支持され、搬送対象物が乗載される乗載台とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項8】
支持手段は、ローラを用いて搬送対象物を支持することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項9】
支持手段によって支持される搬送対象物を、搬送経路に沿って移動させるための駆動手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項10】
搬送対象物は、表示面を有する表示パネルとこの表示パネルの縁部を保持するフレームとを備える表示パネルモジュールであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項11】
板状の搬送対象物を、略水平な搬送経路に垂直かつ水平な搬送幅方向に関して傾斜させた状態で、その搬送対象物の下縁部および上縁部を支持して、搬送経路に沿って搬送することを特徴とする搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−331897(P2007−331897A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166565(P2006−166565)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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