説明

搬送装置および画像形成装置

【課題】転写部への記録媒体の突入姿勢を選択することができるようにした搬送装置を提供する。
【解決手段】対向する2つの挟持部材(バックアップロール28および2次転写ロール29)で転写ベルト100を挟むことで形成される2次転写部31に向けて記録用紙Pを搬送するための複数の搬送経路(上方搬送経路54および下方搬送経路56)と、前記複数の搬送経路のうち前記記録用紙Pが通る搬送経路を切り換える切換プレート48と、を設けるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図2のように、転写部(N)に給送される被記録材(14)がこしの強いもの(厚紙)であっても転写中抜けなく画像転写が行われるように、給紙部側から給送される被記録材(14)を受けて転写部(N)へ導く被記録材案内部材(16、17)の一部もしくは全部を被記録材(14)のこしの強さに応じて可動させるように構成することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、図3のように、こしの強さにおいて様々な転写材(P)に対してトナーちりや転写ずれがなく高画質の画像を形成するように、転写材(P)を転写位置(TR)に向けて案内する案内部材(32)を弾性体とするように構成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−348152号公報
【特許文献2】特開2008−3445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に比べて、転写部への記録媒体の突入姿勢を選択することができるようにした搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の搬送装置は、対向する2つの挟持部材で転写ベルトを挟むことで形成される転写部に向けて記録媒体を搬送するための複数の搬送経路と、前記複数の搬送経路のうち前記記録媒体が通る搬送経路を切り換える切換手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2の搬送装置は、請求項1に記載の搬送装置において、前記切換手段は、前記記録媒体に重力による撓みを発生させ、前記記録媒体に発生する撓み量に応じて前記複数の搬送経路のうち前記記録媒体が通る搬送経路を切り換えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3の搬送装置は、請求項1に記載の搬送装置において、前記切換手段は、前記記録媒体に重力による撓みを発生させ、発生する撓み量が小さい記録媒体ほど前記転写ベルトに接近する搬送経路を通るように、前記複数の搬送経路のうち前記記録媒体が通る搬送経路を切り換えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4の搬送装置は、請求項2または請求項3に記載の搬送装置において、さらに、前記記録媒体に発生する撓み量を増幅する増幅手段を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5の搬送装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記複数の搬送経路は、複数の板状部材が重力方向において間をおいて並べられることで多層構造として形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6の搬送装置は、請求項5に記載の搬送装置において、前記複数の板状部材のうち前記複数の搬送経路を区分けする板状部材の前記記録媒体の搬送方向において上流側の端部は、前記板状部材を面側から見た場合において前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7の搬送装置は、請求項5に記載の搬送装置において、前記複数の板状部材のうち前記複数の搬送経路を区分けする板状部材の前記記録媒体の搬送方向において上流側の端部に、弾性部材を上流側に突出するように取り付けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項8の搬送装置は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記複数の板状部材のうち前記転写ベルトに最も接近して配置される板状部材は、その他の板状部材に比べて前記転写部の一側で長さが短くされていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項9の搬送装置は、請求項5〜8のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記複数の板状部材のうち前記転写ベルトに最も接近して配置される板状部材は、前記転写ベルトに対して平行に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項10の画像形成装置は、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像装置と、前記現像装置によって現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記記録媒体を前記転写装置の転写部に向けて搬送する請求項1〜9のいずれか1項に記載の搬送装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載の搬送装置によれば、転写部に向けて記録媒体を搬送するための複数の搬送経路を備え記録媒体が通る搬送経路を切り換える構成でない場合に比べて、転写部への記録媒体の突入姿勢を選択することができる。
【0017】
本発明の請求項2に記載の搬送装置によれば、記録媒体に重力による撓みを発生させ記録媒体に発生する撓み量に応じて複数の搬送経路のうち記録媒体が通る搬送経路を切り換える構成でない場合に比べて、記録媒体が通る搬送経路の切り換えを記録媒体に発生する撓みを利用して行うことができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載の搬送装置によれば、記録媒体に重力による撓みを発生させ発生する撓み量が小さい記録媒体ほど転写ベルトに接近する搬送経路を通るように複数の搬送経路のうち記録媒体が通る搬送経路を切り換える構成でない場合に比べて、発生する撓み量が小さい記録媒体(例えばこしの強い厚紙)の転写部への突入衝撃を緩和することができる。
【0019】
本発明の請求項4に記載の搬送装置によれば、記録媒体に発生する撓み量を増幅する増幅手段を有しない場合に比べて、記録媒体が通る搬送経路の切り換えをより的確に行うことができる。
【0020】
本発明の請求項5に記載の搬送装置によれば、複数の板状部材が間をおいて並べられることで多層構造として複数の搬送経路を形成する構成でない場合に比べて、複数の搬送経路を簡易な構成により形成することができる。
【0021】
本発明の請求項6に記載の搬送装置によれば、複数の板状部材のうち複数の搬送経路を区分けする板状部材の記録媒体の搬送方向において上流側の端部が板状部材を面側から見た場合において記録媒体の搬送方向に直交する方向に対して傾斜する構成でない場合に比べて、複数の搬送経路に区分けする板状部材に記録媒体が衝突する場合の衝撃を緩和することができる。
【0022】
本発明の請求項7に記載の搬送装置によれば、複数の板状部材のうち複数の搬送経路を区分けする板状部材の記録媒体の搬送方向において上流側の端部に弾性部材を上流側に突出するように取り付けない場合に比べて、複数の搬送経路に区分けする板状部材に記録媒体が衝突する場合の衝撃を緩和することができる。
【0023】
本発明の請求項8に記載の搬送装置によれば、複数の板状部材のうち転写ベルトに最も接近して配置される板状部材がその他の板状部材に比べて転写部の一側で長さが短くされない場合に比べて、記録媒体(特にこしの強い厚紙)が搬送経路を通り抜けたときに発生する衝撃に起因する転写部での転写不良を抑制することができる。
【0024】
本発明の請求項9に記載の搬送装置によれば、複数の板状部材のうち転写ベルトに最も接近して配置される板状部材が転写ベルトに対して平行に配置されていない場合に比べて、記録媒体が転写部に突入する際の衝撃を抑制することができる。
【0025】
本発明の請求項10に記載の画像形成装置によれば、請求項1〜9のいずれか1項に記載の搬送装置を有しない場合に比べて、画質が良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の搬送装置を含む画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示す搬送装置の搬送路の付近の構成を示す図である。
【図3】図1に示す搬送装置の搬送路の付近の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態の搬送装置の搬送路の付近の構成を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の搬送装置の搬送路の付近の構成を示す図である。
【図6】図5に示す搬送装置の別態様の構成を示す図である。
【図7】図5に示す搬送装置の別態様の構成を示す図である。
【図8】図5に示す中央の板状部材をその面側から見た場合の構成を示す図である。
【図9】図8に示す中央の板状部材の別態様の構成を示す図である。
【図10】図8に示す中央の板状部材の別態様の構成を示す図である。
【図11】図4に示す搬送装置において記録用紙Pが上方搬送経路を通って2次転写部に供給される際の態様を示す図である。
【図12】図4に示す搬送装置において記録用紙Pが上方搬送経路を通って2次転写部に供給された場合であって記録用紙Pが上方搬送経路を通り抜ける前後の態様を示す図である。図12(A)は通り抜ける直前の態様を示す図である。図12(B)は通り抜けた直後の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る搬送装置および画像形成装置の実施形態について、添付の図面を用いて説明する。
【0028】
−第1実施形態−
先ず、本発明に係る搬送装置の第1実施形態について説明する。
【0029】
(画像形成装置)
図1は、本発明の第1実施形態の搬送装置を含む画像形成装置の構成の一例を示している。なお、図中の矢印Zは重力方向を示し、矢印X、矢印Yおよび矢印Zは互いに直交する方向を示している。
【0030】
この画像形成装置1は、4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K(Yはイエロー用、Mはマゼンタ用、Cはシアン用、Kはブラック用を示す)と、転写装置30と、搬送装置40と、定着装置50とを備えている。
【0031】
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ、像保持体の一例としての感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kを備えている。感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kは、それぞれ、図中の矢印Aで示す方向に回転可能とされている。
【0032】
感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの周囲には、それぞれ、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面を帯電する帯電装置14Y,14M,14C,14Kと、帯電された感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に画像データに基づいた静電潜像を形成するように表面を露光する露光装置16Y,16M,16C,16Kと、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に形成された静電潜像を現像剤に含まれるトナーによりトナー像とする現像装置18Y,18M,18C,18Kと、トナー像を転写ベルト100に1次転写するための1次転写ロール20Y,20M,20C,20Kと、1次転写後の感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に残留するトナーを除去するための感光体ドラムクリーナー22Y,22M,22C,22Kとが配置されている。
【0033】
転写装置30は、無端状の転写ベルト100を備えている。転写ベルト100は、支持ロール26a,26b,26d、1次転写ロール20Y,20M,20C,20K、テンション・ステアリングロール26cおよびバックアップロール28により内周面側から張力を掛けられて支持(張架)されており、図示しない駆動源(例えば電動モータ)によって図中の矢印Bで示す方向に回転可能とされている。なお、テンション・ステアリングロール26cは、転写ベルト100がゆがんだり蛇行したりすることを防ぐ機能を有している。
【0034】
1次転写ロール20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kに転写ベルト100を介して対向配置されており、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kとの間で転写ベルト100を挟持することで1次転写部24Y,24M,24C,24Kが形成されている。また、バックアップロール28に対向する位置には転写ベルト100を介して2次転写ロール29が配置されており、これら互いに対向する挟持部材の一例としてのバックアップロール28および2次転写ロール29で転写ベルト100を挟持することで転写部の一例としての2次転写部31が形成されている。なお、2次転写部31よりも転写ベルト100の回転方向の下流側にはベルトクリーナー32が配置されており、2次転写後の転写ベルト100の表面に残留するトナーが除去されるようになっている。
【0035】
搬送装置40は、2次転写部31よりも転写ベルト100の回転方向において上流側(図1中で2次転写部31よりも左側)に配置され、2次転写部31に記録媒体の一例としての記録用紙Pを供給する。搬送装置40は、記録媒体の一例としての記録用紙Pを収容するトレイ41と、トレイ41から記録用紙Pを一枚ずつ取り出すピックアップローラ42と、記録用紙Pを予め定められたタイミングで送り出すフィードロール44と、記録用紙Pを2次転写部31に向けて搬送するための搬送路46とを備えている。搬送装置40の搬送路46付近の具体的な構成については後述する。
【0036】
定着装置50は、2次転写部31よりも転写ベルト100の回転方向において下流側(図1中で2次転写部よりも右側)に配置され、ベルト式搬送機52により搬送される記録用紙Pを加熱加圧することで記録用紙P上のトナー像を永久画像として定着させる。
【0037】
この画像形成装置1では、以下のようにして画像が形成される。
【0038】
まず、画像形成ユニット10Yにおいて、感光体ドラム12Yは図中の矢印Aの方向(時計回り)に回転し、帯電装置14Yでその表面が帯電される。次いで、帯電された感光体ドラム12Yの表面を露光装置16Yによって露光走査することで、感光体ドラム12Yの表面には第1色(Y)の静電潜像が形成される。
【0039】
この静電潜像は現像装置18Yにより供給されるトナー(トナーを含む現像剤)によって現像され、感光体ドラム12Yの表面には可視化されたトナー像が形成される。トナー像は、感光体ドラム12Yの回転により1次転写部に至り、1次転写ロール20Yと感光体ドラム12Yとの間に1次転写電圧を印加することで転写ベルト100に1次転写される。
【0040】
同様にして第2色のトナー像(M)、第3色のトナー像(C)、第4色のトナー像(K)が画像形成ユニット10M,10C,10Kにより形成され、転写ベルト100において重ね合わせられるように順次転写される。ここで、各色のトナー像がずれないように、転写ベルト100と感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kとの回転が同期されている。それにより、転写ベルト100には多重トナー像が形成される。
【0041】
転写ベルト100に転写された多重トナー像は、転写ベルト100の回転で2次転写部31に至る。この2次転写部31では、バックアップロール28と2次転写ロール29との間に2次転写電圧が印加されており、ここに供給される記録用紙Pを転写ベルト100共々挟持することで、多重トナー像は記録用紙Pに2次転写される。
【0042】
多重トナー像が転写された記録用紙Pは、ベルト式搬送機52により定着装置50に搬送され、加熱加圧処理により多重トナー像は記録用紙Pに定着し永久画像とされる。
【0043】
なお、多重トナー像の記録用紙Pへの転写が終了した転写ベルト100はベルトクリーナー32により清掃され、表面に残留しているトナーが除去される。また、各感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面も感光体ドラムクリーナー22Y,22M,22C,22Kにより清掃され、表面に残留しているトナーが除去される。
【0044】
単色画像を形成する場合には、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kのいずれかにより形成されたトナー像を転写ベルト100に1次転写し、単色のトナー像を記録用紙Pに2次転写する。
【0045】
(搬送装置の搬送路)
次いで、搬送装置40の搬送路46の構成について具体的に説明する。図2および図3は、搬送装置40の搬送路46の付近の構成を示している。
【0046】
図2および図3に示すように、搬送装置40において、搬送路46は2次転写部に向けて記録用紙Pを搬送するための搬送経路を2つ有している。また、搬送路46は2つの搬送経路のうち記録用紙Pが通る搬送経路を切り換える切換手段の一例としての切換プレート48を有している。
【0047】
具体的に、搬送路46は、記録用紙Pの搬送方向(図中で矢印Cで示す)の上流側では1経路であるが、下流側では重力方向において上下に二股に分岐され2経路とされている。切換プレート48は、搬送経路が1経路から2経路に分岐する箇所に設けられており、上方に位置する上方搬送経路54および下方に位置する下方搬送経路56のうちのいずれか一方の搬送経路に記録用紙Pを通す(案内する)ように他方の搬送経路を封鎖するように構成されている。
【0048】
搬送装置40により記録用紙Pを2次転写部31に供給するに際しては、記録用紙Pを転写ベルト100にできるだけ接近させ転写ベルト100に沿わせた姿勢とした方が、2次転写部31への突入衝撃が緩和され好ましい。特に、記録用紙Pがこしの強い(曲げ剛性が高い)厚紙である場合には、こしの弱い(曲げ剛性が低い)薄紙に比べて、2次転写部31への突入衝撃が強いため、記録用紙Pを転写ベルト100に接近させ転写ベルト100に沿わせた姿勢として2次転写部31に供給することが望ましい。
【0049】
一方、搬送装置40により記録用紙Pを2次転写部31に供給するに際しては、記録用紙Pがこしの弱い薄紙である場合には、こしの強い厚紙に比べて、用紙姿勢が不安定であるため、記録用紙Pを転写ベルト100に接近させ転写ベルト100に沿わせた姿勢とすると、静電気力によって記録用紙Pが転写ベルト100の方に吸い寄せられ転写ベルト100上のトナー像が乱れることがある(形成画像の画質劣化の要因)。従って、記録用紙Pがこしの弱い薄紙である場合には、記録用紙Pを転写ベルト100から離し転写ベルトに沿わせない姿勢として2次転写部31に供給するのが望ましい。
【0050】
この事情に鑑み、この搬送装置40においては、図2に示すように、記録用紙Pとしてこしの強い厚紙を2次転写部31に供給するに際しては、切換プレート48を下方に切り換えて下方搬送経路56を封鎖し、記録用紙Pが上方搬送経路54を通るように構成している。上方搬送経路54を通った記録用紙Pは、図中の矢印Dで示す如く、転写ベルト100に接近し転写ベルト100に沿った姿勢で2次転写部31に供給される。従って、こしの強い厚紙が2次転写部31へ突入する際の衝撃が緩和される。
【0051】
一方、図3に示すように、記録用紙Pとしてこしの弱い薄紙を2次転写部31に供給するに際しては、切換プレート48を上方に切り換えて上方搬送経路54を封鎖し、記録用紙Pが下方搬送経路56を通るように構成している。下方搬送経路56を通った記録用紙Pは、図中の矢印Eで示す如く、転写ベルト100から離れ転写ベルト100に沿わない姿勢で2次転写部31に供給される。従って、こしの弱い薄紙が転写ベルト100の方に吸い寄せられることによって転写ベルト100上のトナー像が乱れるのが抑制される。
【0052】
このように、搬送装置40にあっては、2次転写部31に向けて記録用紙Pを搬送するための搬送路46に搬送経路を2経路設け、2経路の搬送経路のうち記録用紙Pが通る搬送経路を切り換えるように構成した。従って、2次転写部31への記録用紙Pの突入姿勢を選択(変更)することが可能となる。即ち、記録用紙Pのこしの強さに応じて2次転写部31への記録用紙Pの突入姿勢を選択(変更)することにより、画像形成装置1において画質が良好な画像を形成可能となる。
【0053】
なお、切換プレート48の切り換えは、例えば画像形成装置1に設けられる操作スイッチ(図示せず)によって(記録用紙Pの種類の入力によって)手動で行われるように構成してもよいし、記録用紙Pのこしの強さを検知する検知手段(図示せず)を設けて検知結果に応じて自動で行われるように構成してもよい。
【0054】
また、記録用紙Pに巻きぐせ(カール)が生じている場合には、巻きぐせの方向および大きさに応じて記録用紙Pが通る搬送経路を切り換えるように構成してもよい。また、片面印刷時と両面印刷時とでは、記録用紙Pに生じる巻きぐせ具合が異なるため、片面印刷時と両面印刷時とで記録用紙Pが通る搬送経路を切り換えるように構成してもよい。
【0055】
また、搬送装置40においては搬送経路を2経路設けるようにしたが、3経路以上設けると共に記録用紙Pが3経路以上の搬送経路のうちのいずれか1つの搬送経路を通るように切り換え可能な切換手段を設けるように構成してもよい。
【0056】
−第2実施形態−
次いで、本発明に係る搬送装置の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付す。
【0057】
図4および図5は、本発明に係る搬送装置の第2実施形態としての搬送装置80の搬送路82の付近の構成を示している。
【0058】
図4および図5に示すように、搬送装置80の搬送路82においては、2つの搬送経路は3枚の板状部材84,86,88が重力方向において間をおいて並べられることで多層構造として形成されている。上方の板状部材(転写ベルトに最も接近して配置される板状部材)84は、転写ベルト100に対して平行に配置されていると共に、中央の板状部材86および下方の板状部材88に比べて、2次転写部31の一側で長さが短くされている。中央の板状部材86は、2つの搬送経路を区分けする部材である。下方の板状部材88は、記録用紙Pの搬送方向において上流側から下流側に向けて上方に傾斜するように配置されている。このように、3枚の板状部材84,86,88を並べるといった簡易な構成により、2つの搬送経路を形成している。
【0059】
また、搬送装置80においては、第1実施例における切換プレート48に代わる切換手段として、記録用紙Pに重力による撓みを発生させ、記録用紙Pに発生する撓み量に応じて記録用紙Pが通る搬送経路を切り換える撓み発生切換部90が備えられている。具体的には、撓み発生切換部90は、記録用紙Pの搬送方向において2つの搬送経路の上流側において記録用紙Pを上流側板状部材92とフィードロール44とによって片持ち状に支持することにより、記録用紙Pを自重により撓ませるための空間として構成される。
【0060】
図4に示すように、記録用紙Pとしてこしの強い厚紙を2次転写部31に供給するに際しては、記録用紙Pが片持ち状に支持されたとき、撓み発生切換部90において記録用紙Pに発生する撓み量は比較的小さく、そのため記録用紙Pは上方搬送経路54を通る。一方、図5に示すように、記録用紙Pとしてこしの弱い薄紙を2次転写部31に供給するに際しては、記録用紙Pが片持ち状に支持されたとき、撓み発生切換部90において記録用紙Pに発生する撓み量は比較的大きく、そのため記録用紙Pは下方搬送経路56を通る。
【0061】
このように、搬送装置80においては、記録用紙Pを2次転写部31に供給するに際し、撓み発生切換部90において記録用紙Pに重力による撓みを発生させ、記録用紙Pに発生する撓み量に応じて記録用紙Pが通る搬送路が切り換わるように構成している。具体的には、撓み発生切換部90において発生する撓み量が小さい記録用紙Pほど上方の搬送経路(転写ベルト100に接近する搬送経路)を通るように切り換わるように構成している。
【0062】
なお、図6に示すように、撓み発生切換部90に記録用紙Pを下方から吸引する増幅手段の一例としての吸引機94を設け、記録用紙Pに発生する撓み量を増幅するようにしてもよい。それにより、重力のみによって発生する撓み量が比較的小さい記録用紙Pであっても撓み量を増幅することで下方搬送経路56を通すことが可能となる。従って、例えば重力のみによって発生する撓み量が比較的小さい記録用紙Pに対しても、通るべき搬送経路へ的確に導くことが可能となる。なお、吸引機94としては、静電気力を利用したものや負圧を利用したものが挙げられる。また、図7に示すように、増幅手段として吸引機94の代わりに弾性部材(例えばPETフィルム(マイラー))96を記録用紙Pの上面に接触する位置に設け、記録用紙Pに発生する撓み量を増幅するようにしてもよい。
【0063】
図8は、中央の板状部材86をその面側から見た場合の構成を示している。図示の如く、中央の板状部材86は台形状を呈し、中央の板状部材86の記録用紙Pの搬送方向(図中の矢印Cで示す)において上流側の端部86aは、記録用紙Pの搬送方向に直交する方向(図中の矢印Fで示す)に対して傾斜している。従って、2つの搬送経路を区分けするこの中央の板状部材86に記録用紙Pが衝突する場合でも、記録用紙Pの前方側の端部Paと中央の板状部材の端部86aとが線接触するのが抑制されるため、衝突時の衝撃が緩和される。別言すれば、記録用紙Pが中央の板状部材86に衝突する場合でも、記録用紙Pの前方側の端部Paと中央の板状部材の端部86aとが点接触するため、記録用紙Pは搬送経路へと誘い込まれ易くなる。従って、記録用紙Pが中央の板状部材86に衝突する場合でも、紙詰まりが生じるのが抑制される。
【0064】
なお、図9に示すように、中央の板状部材86を五角形状とし、中央の板状部材86の端部86aを「V」字状に形成してもよい。また、図10に示すように、中央の板状部材86の端部86aを傾斜させるのに代え、中央の板状部材86の端部86aに弾性部材(例えばPETフィルム(マイラー))98を上流側に突出するように設けるようにしてもよい。
【0065】
図11は、記録用紙Pが上方搬送経路54を通って2次転写部31に供給される際の態様を示している。前述したように、上方の板状部材84は転写ベルト100に対して平行に配置されている。そのため、図中の矢印Dで示すように、記録用紙Pは転写ベルト100に沿った姿勢で2次転写部31に供給される。従って、記録用紙Pが2次転写部31に突入する際の衝撃が抑制される。
【0066】
図12は、記録用紙Pが上方搬送経路54を通って2次転写部31に供給された場合であって記録用紙Pが上方搬送経路54を通り抜ける前後の態様を示している。図12(A)は通り抜ける直前の態様を示し、図12(B)は通り抜けた直後の態様を示している。
【0067】
記録用紙Pが上方搬送経路54を通り抜ける直前においては、記録用紙Pには上方の板状部材84から下向きの力(図中の矢印Gで示す)が作用している。記録用紙Pが上方搬送経路54を通り抜けた直後、この下向きの力が解放されることによる衝撃が記録用紙Pに生じる。この衝撃は記録用紙Pを通じて2次転写部31に伝わる。
【0068】
ここで、前述したように、上方の板状部材84は、中央の板状部材86および下方の板状部材88に比べて、2次転写部31の一側で長さが短くされている。このため、記録用紙Pが上方搬送経路54を通り抜ける直前において記録用紙Pに作用する下向きの力は、上方の板状部材84の2次転写部31側の長さを中央の板状部材86および下方の板状部材88と同程度とする場合に比べて、小さくなる。従って、記録用紙Pが上方搬送経路54を通り抜けたときに生じる衝撃は小さくなり、記録用紙Pを通じて2次転写部31に伝わる衝撃も小さくなる。
【0069】
特に記録用紙Pがこしの強い厚紙である場合、記録用紙Pに作用する下向きの力および上方搬送経路54を通り抜けたときに生じる衝撃は大きく、この衝撃が記録用紙Pを通じて2次転写部31に伝わることによる転写不良は顕著となる。従って、記録用紙Pとしてこしの強い厚紙が通ることとなる上方搬送経路54における上方の板状部材84の2次転写部31側の長さを短く形成している。それにより、特にこしの強い記録用紙Pが上方搬送経路54を通り抜けたときに生じる衝撃に起因する2次転写部31での転写不良が抑制される。
【0070】
第2実施形態における搬送装置80においては、板状部材84,86,88を3枚並べて2経路を有する搬送路82を設けるようにしたが、板状部材を4枚以上並べて3経路以上を有する搬送路を設けるように構成してもよい。
【0071】
第1実施形態における搬送装置40および第2実施形態における搬送装置80においては、記録用紙Pが水平方向に搬送される場合を示したが、記録用紙Pが重力方向において一定角度上向きに搬送される場合でも本発明を適用可能である。
【0072】
また、記録媒体として記録用紙Pを例にとって説明したが、OHPシートなどその他の記録材であっても本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置
12 感光体ドラム(像保持体の一例)
14 帯電装置
16 露光装置
18 現像装置
20 1次転写ロール
24 1次転写部
28 バックアップロール(挟持部材の一例)
29 2次転写ロール(挟持部材の一例)
30 転写装置
31 2次転写部(転写部の一例)
40 搬送装置
42 ピックアップローラ
44 フィードロール
46 搬送路
48 切換プレート(切換手段の一例)
54 上方搬送経路(複数の搬送経路うちの1つ)
56 下方搬送経路(複数の搬送経路うちの1つ)
56 下方搬送路
80 搬送装置
82 搬送路
84 板状部材
86 板状部材
88 板状部材
90 撓み発生切換部(切換手段の一例)
92 上流側板状部材
94 吸引機(増幅手段の一例)
98 弾性部材(増幅手段の一例)
100 転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2つの挟持部材で転写ベルトを挟むことで形成される転写部に向けて記録媒体を搬送するための複数の搬送経路と、
前記複数の搬送経路のうち前記記録媒体が通る搬送経路を切り換える切換手段と、
を有する搬送装置。
【請求項2】
前記切換手段は、前記記録媒体に重力による撓みを発生させ、前記記録媒体に発生する撓み量に応じて前記複数の搬送経路のうち前記記録媒体が通る搬送経路を切り換える請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記切換手段は、前記記録媒体に重力による撓みを発生させ、発生する撓み量が小さい記録媒体ほど前記転写ベルトに接近する搬送経路を通るように、前記複数の搬送経路のうち前記記録媒体が通る搬送経路を切り換える請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
さらに、前記記録媒体に発生する撓み量を増幅する増幅手段を有する請求項2または請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記複数の搬送経路は、複数の板状部材が重力方向において間をおいて並べられることで多層構造として形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記複数の板状部材のうち前記複数の搬送経路を区分けする板状部材の前記記録媒体の搬送方向において上流側の端部は、前記板状部材を面側から見た場合において前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に対して傾斜している請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記複数の板状部材のうち前記複数の搬送経路を区分けする板状部材の前記記録媒体の搬送方向において上流側の端部に、弾性部材を上流側に突出するように取り付けた請求項5に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記複数の板状部材のうち前記転写ベルトに最も接近して配置される板状部材は、その他の板状部材に比べて前記転写部の一側で長さが短くされている請求項5〜7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記複数の板状部材のうち前記転写ベルトに最も接近して配置される板状部材は、前記転写ベルトに対して平行に配置されている請求項5〜8のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像装置と、
前記現像装置によって現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体を前記転写装置の転写部に向けて搬送する請求項1〜9のいずれか1項に記載の搬送装置と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−41033(P2013−41033A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176929(P2011−176929)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】