説明

搬送装置の制御方法、制御プログラム及び制御装置、並びに搬送システム

【課題】作業台車の列に過負荷が発生したときに、列のけん引を適切に停止させる。
【解決手段】生産ライン上で列をなす作業台車をけん引する場合において、列から作業台車が離脱するとき又は列に作業台車が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出し(ステップS12、S14及びS34、S36)、当該総重量に基づいて搬送に必要十分なけん引力を算出し(ステップS16、S38)、けん引ユニットのけん引力を、列から先頭の作業台車が離脱したタイミング又は列に新たな作業台車が追加されるタイミングで、算出した必要十分なけん引力に制御する(ステップS18、S20及びS40、S42)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、搬送装置の制御方法、制御プログラム及び制御装置、並びに搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、組立作業などを行う生産ラインでは、組立製品が搭載された作業台車やパレットなどを複数連結した状態でけん引するシステムが導入されている。このようなシステムには、必要なけん引力以上にけん引力が発生しないようにするための機能(過負荷停止機能)が設けられ、異常が発生したときに作業台車等の移動を停止させることで、作業者の負傷や製品破損の発生を抑制している。
【0003】
この場合、けん引力は、一般的に、製品重量や作業台車重量の総重量が最も重くなった場合を想定して決定される。また、過負荷停止させるけん引力としては、搬送に必要なけん引力にマージンを加算したけん引力が採用される。
【0004】
なお、特許文献1〜3には、コンベアの制御に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3127291号公報
【特許文献2】特開平6−247528号公報
【特許文献3】特開2001−192112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような生産ラインでは、作業台車の列に新たに作業台車が連結されたり、組立が完了した組立製品が搭載された作業台車を列から分離したりするため、必要なけん引力が変化する。また、1つのラインに種々の製品を流す混流生産が行われる場合、製品重量が製品毎に異なることから必要なけん引力が常時変化する。このため、上記のように過負荷停止するけん引力を最も重い搬送重量を想定して決定すると、搬送重量が比較的軽い場合(必要なけん引力と過負荷停止させるけん引力との差が大きい場合)に過負荷停止機能が適切なタイミングで働かないおそれがある。
【0007】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、搬送装置を適切に過負荷停止させることが可能な搬送装置の制御方法、制御プログラム及び制御装置、並びに適切な過負荷停止が可能な搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載の搬送装置の制御方法は、組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御方法であって、前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出する総重量算出工程と、前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算する演算工程と、前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算工程で演算された搬送力に制御する制御工程と、をコンピュータが実行する搬送装置の制御方法である。
【0009】
本明細書に記載の搬送装置の制御プログラムは、組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御プログラムであって、前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出し、前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算し、前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算された搬送力に制御する、処理をコンピュータに実行させる搬送装置の制御プログラムである。
【0010】
本明細書に記載の搬送装置の制御装置は、組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御装置であって、前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出する総重量算出部と、前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算する演算部と、前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算部で演算された搬送力に制御する制御部と、を備える。
【0011】
本明細書に記載の搬送システムは、組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置と、前記搬送装置の搬送力を制御する、本明細書に記載の搬送装置の制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に記載の搬送装置の制御方法、制御プログラム及び制御装置、並びに搬送システムは、搬送装置を適切に過負荷停止させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る搬送システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】作業台車の一例を示す斜視図である。
【図3】混流一個流しラインにおける組立製品の重量と作業台車の重量について説明するための図である。
【図4】図4(a)は、けん引ユニットの構成を模式的に示す図であり、図4(b)は、けん引チェーンを電磁クラッチの方向から見た状態を示す図である。
【図5】搬送システムの制御系を示す図である。
【図6】図5の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【図7】制御装置の機能ブロック図である。
【図8】製品重量DBを示す図である。
【図9】台車重量DBを示す図である。
【図10】搬送荷重と励磁電流との関係を示すグラフである。
【図11】制御装置(特に、けん引重量データ生成部、演算部、電磁クラッチ制御部)の処理について示すフローチャートである。
【図12】図12(a)〜図12(c)は、列の変遷を示す図である。
【図13】図13(a)、図13(b)は、列のデータの変遷を示す図(その1)である。
【図14】図14(a)、図14(b)は、列のデータの変遷を示す図(その2)である。
【図15】必要なけん引力と、設定するけん引力の変化を示す図である。
【図16】比較例について説明するための図(その1)である。
【図17】比較例について説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、搬送システムの一実施形態について、図1〜図15に基づいて詳細に説明する。図1の搬送システム100は、1つの生産ラインに種々の製品を流して生産を行う混流一個流しラインを実現するためのシステムである。搬送システム100は、図1に示すように、列をなしてラインに沿って移動する搬送台としての作業台車10と、列をなす作業台車10を図1のけん引方向にけん引する搬送装置としてのけん引ユニット20と、を備える。また、搬送システム100は、列に新たな作業台車10を追加するローダユニット30と、列から先頭の作業台車10を離脱させるアンローダユニット32と、を備える。なお、図1においては、列をなす作業台車10近傍に、後補充部品棚40が設けられており、当該後補充部品棚40には、ユーザが組立作業に用いるツールや試験機などが配置されている。
【0015】
各作業台車10には、組立製品50が載置(保持)される。作業者は、列をなす作業台車10が移動している間に、組立製品50の組立作業等を行う。作業台車10は、一例として図2に示すように、複数(例えば4つ)のキャスタ12と、作業台14とを有する。作業者は作業台14上で組立製品50に対する組立作業等を行う。なお、作業台14の棚板14a,14b上には、組立製品50の部品等が載置される。また、作業台車10には、近傍(列の前後)の作業台車10と連結するための連結部(不図示)が設けられている。
【0016】
ここで、本実施形態では、前述のように混流一個流しラインが採用されている。このため、図3に示すように、組立製品50の重量は様々となっている(なお、図3では、高さ方向の寸法又は四角形の面積が重量を示している)。また、作業台車10の重量についても、個体差があるものとする。
【0017】
図1に戻り、けん引ユニット20は、列をなす作業台車10の先頭に位置する作業台車に対してけん引力を作用させて、列をなす作業台車10全体をけん引方向に移動させる。けん引ユニット20のけん引速度は、例えば100(mm/min)であるものとする。
【0018】
けん引ユニット20は、図4(a)に模式的に示すように、搬送部としてのけん引チェーン22と、中継チェーン24A,24Bと、回転モータ26と、電磁クラッチ28と、を備える。回転モータ26は、交流モータ(ACモータ)を含む。電磁クラッチ28は、制御装置80(図5参照)により所定の励磁電流が供給されると、回転モータ26の回転力のうち、励磁電流に応じた力(励磁力)を中継チェーン24A及びけん引チェーン22に伝達させる。けん引チェーン22は、当該励磁電流に応じた力を受けて、矢印A方向(けん引方向)に回転する。ここで、けん引チェーン22を電磁クラッチ28側から見た状態を示す図4(b)から分かるように、けん引チェーン22には、列の先頭の作業台車10の一部(係合部11)が係合する。これにより、作業台車10の列全体が、けん引チェーン22の矢印A方向の回転動作に伴って、けん引方向に移動する(けん引される)ようになっている。
【0019】
図1に戻り、ローダユニット30は、作業台車の列の最後尾が所定位置に達したときに、新たな作業台車を列に対して送り出すことで、列に新たな作業台車を追加する機能を有している。作業台車の列が所定位置に達したか否かは図5の位置センサ62により検出される。位置センサ62としては、フォトカプラ、フォトインタラプタなどの光センサのほか、磁気センサなどを採用することができる。
【0020】
アンローダユニット32は、作業台車の列の先頭が所定位置に達したときに、先頭の作業台車を列から離脱させる機能を有している。作業台車の列が所定位置に達したか否かは図5の位置センサ64により検出される。位置センサ64としては、位置センサ62と同様、フォトカプラ、フォトインタラプタなどの光センサのほか、磁気センサなども採用することができる。
【0021】
図5は、搬送システム100の制御系を示す図である。図5に示すように、次にロードされる作業台車10の近傍(ローダユニット30近傍)には、組立製品用情報読取装置66と、作業台車用情報読取装置68が設けられている。組立製品用情報読取装置66は、組立製品50に設けられたICチップやバーコードなどから組立製品50の識別情報(モデルID)を取得し、制御装置80に送信する。作業台車用情報読取装置68は、作業台車10に設けられたICチップやバーコードなどから作業台車10の識別情報(ID)を取得し、制御装置80に送信する。なお、組立製品用情報読取装置66及び作業台車用情報読取装置68は、所定位置に固定されてもよいし、作業者がICチップやバーコード等に近づけることでID等を読み取るようにしてもよい。
【0022】
図6には、制御装置80のハードウェア構成が示されている。この図6に示すように、制御装置80は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、入出力装置97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えており、制御装置80の構成各部は、バス98に接続されている。制御装置80では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(制御プログラム)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(制御プログラム)をCPU90が実行することにより、図7の各部の機能が実現される。
【0023】
図7には、制御装置80のCPU90の機能ブロック図が示されている。制御装置80では、CPU90がプログラムを実行することにより、取得部としての入力部102と、ローダユニット制御部104と、アンローダユニット制御部106と、総重量算出部(第1特定部、第2特定部及び算出部を含む)としてのけん引重量データ生成部108と、演算部110と、電磁クラッチ制御部112と、が実現されている。なお、図7には、HDD96等に格納されている製品重量DB(データベース)120及び台車重量DB(データベース)122も記載されている。
【0024】
入力部102は、位置センサ62,64の検出結果、及び組立製品用情報読取装置66、作業台車用情報読取装置68の読み取り結果を受信する。
【0025】
ローダユニット制御部104は、入力部102に入力された位置センサ62の検出結果に基づいて、作業台車の列の最後尾が所定位置に達したときに、新たな作業台車を列に対して送り出すよう、ローダユニット30を制御する。アンローダユニット制御部106は、入力部102に入力された位置センサ64の検出結果に基づいて、作業台車の列の先頭が所定位置に達したときに、先頭の作業台車を列から離脱させるよう、アンローダユニット32を制御する。
【0026】
けん引重量データ生成部108は、入力部102に入力された組立製品用情報読取装置66、作業台車用情報読取装置68の読み取り結果を取得する。そして、けん引重量データ生成部108は、新たに追加される作業台車及び組立製品の重量を特定するとともに、作業台車の列の総重量(けん引重量)を算出する。また、けん引重量データ生成部108は、列から離脱される作業台車及び組立製品の識別番号を取り出し、これら作業台車及び組立製品の重量を特定するとともに、作業台車の列の総重量(けん引重量)を算出する。なお、けん引重量データ生成部108は、上記作業台車及び組立製品の重量の特定において、製品重量DB120及び台車重量DB122を参照する。ここで、製品重量DB120には、図8に示すように、組立製品のモデルIDと、製品重量(Kgf)とが対応付けて格納されている。また、台車重量DB122には、図9に示すように、台車No.と、台車重量(Kgf)とが対応付けて格納されている。
【0027】
演算部110は、けん引重量データ生成部108が算出した作業台車の列の総重量に基づいて、電磁クラッチ28に供給すべき励磁電流を演算する。この場合、演算部110は、作業台車の列の総重量から水平方向の搬送荷重(けん引に最低限必要なけん引力)を算出し、図10に示すような搬送荷重と励磁電流との関係(グラフ)に基づいて、励磁電流を演算する。なお、ここでの演算の具体的方法については、後に詳述する。電磁クラッチ制御部112は、演算部110で演算された励磁電流を電磁クラッチ28に供給する。
【0028】
次に、図11のフローチャートに沿って、かつその他図面を適宜参照しつつ、制御装置80(特に、けん引重量データ生成部108、演算部110、電磁クラッチ制御部112)の処理について詳細に説明する。ここで、本実施形態では、作業台車10及び組立製品50の列が、図12(a)〜図12(c)に示すように変遷するものとする。具体的には、図12(a)に示す列(ここでは、一例として9台の作業台車10を含む列とする)が図12(b)の位置までけん引されると、アンローダユニット32により、先頭の作業台車10が離脱される。この先頭の作業台車10の組立製品は組立が完了したものであり、次工程に移管される。また、図12(b)から図12(c)の位置まで列がけん引されると、ローダユニット30により、新規の組立製品を保持する作業台車10が、列に追加される。このように、本実施形態では、作業の進行に伴い、列の編成が変化するようになっている。
【0029】
なお、けん引重量データ生成部108は、図13(a)に示すような作業台車10の列のデータを保持しているものとする。この図13(a)の作業台車の列のデータには、列をなすN台の作業台車のID及び組立製品のモデルIDを格納でき、列の状態(作業台車の追加、離脱、列の移動)に応じて、適宜更新されるものとする。また、けん引重量データ生成部108は、列をなしている作業台車及び組立製品の総重量を予め保持しているものとする。
【0030】
図11の処理では、まず、ステップS10において、けん引重量データ生成部108が、列の先頭の作業台車10を位置センサ64が検出するまで待機する。そして、列の先頭の作業台車10が所定位置に達した時点で、ステップS12に移行する。なお、アンローダユニット制御部106は、位置センサ64が先頭の作業台車を検出した時点で、アンローダユニット32を介して、先頭の作業台車10を列から離脱させる。
【0031】
次いで、ステップS12では、けん引重量データ生成部108が、分離した作業台車と組立製品のけん引重量データを取得する。この場合、けん引重量データ生成部108は、まず、図13(a)の列のデータのうち、先頭の格納エリア1に格納されている組立製品のモデルID「A101」と作業台車のID「No.1」を取り込む。そして、けん引重量データ生成部108は、図8の製品重量DB120から製品ID「A101」の重量22(Kgf)を取得するとともに、図9の台車重量DB122から台車ID「No.1」の重量11.1(Kgf)を取得する。更に、けん引重量データ生成部108は、これら取得した2つの重量を合算した値33.1(Kgf)を取得する。すなわち、ステップS12では、けん引重量データ生成部108が、列から離脱した作業台車と組立製品の重量を特定しているといえる。
【0032】
次いで、ステップS14では、けん引重量データ生成部108が、けん引する総重量を計算する。この場合、けん引重量データ生成部108は、総重量をこれまでの総重量(けん引重量データ生成部108が保持している)から、ステップS12で取得された33.1(Kgf)を差し引くことで計算する。
【0033】
次いで、ステップS16では、演算部110が、総重量に基づいて、必要十分なけん引力を算出する。この場合、演算部110は、次式(1)に基づいて、必要十分なけん引力を算出する。
必要十分なけん引力=総重量×摩擦係数μ×搬送係数k …(1)
【0034】
なお、摩擦係数μは、作業台車10のキャスタ12と床面との間の動摩擦係数であり、例えば0.05〜0.1の範囲の値であるものとする。また、搬送係数kは、列をけん引するのに最低限必要なけん引力にマージンを与えて必要十分なけん引力を算出するための係数であり、例えば1.15〜1.25の範囲(ここでは、一例として1.20であるものとする)の値とすることができる。
【0035】
次いで、ステップS18では、演算部110が、電磁クラッチ28に供給する励磁電流を計算する。この場合、演算部110は、ステップS16で算出された必要十分なけん引力と図10の関係とを用いて、励磁電流を計算する。
【0036】
次いで、ステップS20では電磁クラッチ制御部112が、電磁クラッチ28に対して、ステップS18で計算された励磁電流を供給することで、励磁力(けん引力)を指示する。
【0037】
次いで、ステップS22では、けん引重量データ生成部108が、分離した台車のけん引重量データを、列のデータから消去する(図13(b)参照)。次いで、ステップS24では、作業台車の列の移動を考慮して、列のデータを、図14(a)に示すように、図13(b)の状態から1つ右側にずらすように更新する。
【0038】
次いで、ステップS30では、けん引重量データ生成部108が、新しい組立製品及び作業台車の識別情報(ID)を受信するまで待機する。この場合、組立製品用情報読取装置66及び作業台車用情報読取装置68から識別情報(ID)が送信されてきた段階で、ステップS34に移行する。
【0039】
ステップS34では、けん引重量データ生成部108が、受信した識別情報(ID)に基づいて、データベース(製品重量DB120及び台車重量DB122)から重量データを取得する。例えば、図14(b)に示すように、受信した組立製品のモデルIDが「C301」で作業台車のIDが「No.9」であったとする。この場合には、けん引重量データ生成部108は、図8の製品重量DB120から、組立製品のモデルIDが「C301」の重量12(Kgf)を取得するとともに、台車重量DB122から作業台車のIDが「No.9」の重量10.8(Kgf)を取得する。そして、けん引重量データ生成部108は、これら取得した2つの重量を合算した値22.8(Kgf)を取得する。すなわち、本ステップS34では、けん引重量データ生成部108が、列に追加される作業台車と組立製品の重量を特定しているといえる。
【0040】
次いで、ステップS36では、けん引重量データ生成部108が、けん引する総重量を計算する。この場合、けん引重量データ生成部108は、総重量を、これまでの総重量にステップS34で取得された値22.8(Kgf)を加えることで、計算する。
【0041】
次いで、ステップS38では、演算部110が、必要十分なけん引力を算出する。ここでは、前述したステップS16と同様、演算部110は、上式(1)を用いて、必要十分なけん引力を算出する。次いで、ステップS40では、演算部110が、供給する励磁電流を計算する。この場合も、前述したステップS20と同様、演算部110は、ステップS38で算出された必要十分なけん引力と、図10の関係とを用いて、電磁クラッチ28に供給する励磁電流を計算する。
【0042】
次いで、ステップS42では電磁クラッチ制御部112が、電磁クラッチ28に対して、ステップS18で計算された励磁電流を供給することで、励磁力(けん引力)を指示する。
【0043】
次いで、ステップS44では、けん引重量データ生成部108が、図14(b)に黒矢印で示すように、新たなけん引重量データを列のデータに格納する。その後は、ステップS10に戻る。なお、本実施形態では、ステップS44の後に、列の最後尾が所定位置を通過する。この通過を位置センサ62が検出した段階で、ローダユニット制御部104は、ローダユニット30を介して新たな作業台車及び組立製品を列に追加する。
【0044】
図15には、図11の処理を実行したときの、必要なけん引力(前述した列のけん引に最低限必要なけん引力:実線)と、設定するけん引力(電磁クラッチ28の励磁力:破線)の時系列に沿った変化が示されている。図15に示すように、時刻αで列から先頭の作業台車が離脱し、必要なけん引力(実線)が低下すると、その直後の時刻α’において電磁クラッチ28に供給される励磁電流が低減されて、設定するけん引力(破線)が低減される。一方、時刻βで列に新たな作業台車が追加される場合には、その前段階(時刻β’)において、設定するけん引力(破線)が、必要なけん引力(実線)が増加する前に予め増加される。この場合の時刻β’とβとの間の時間は、例えばタクトタイム(ラインで作業者1人が1つの製品に対して行う作業の時間)の1/10程度とされている。なお、図15の時刻βにおいて必要なけん引力が他よりも突出しているのは、静止摩擦係数等の関係上、新たな作業台車が連結された直後に必要なけん引力はその後の牽引力よりも10%程度大きくなるためである。
【0045】
また、本実施形態では、列のけん引に最低限必要なけん引力に搬送係数k(=1.20)を積算して必要十分なけん引力を設定しているので、図15に示すように、必要なけん引力よりも20%大きいけん引力で、列がけん引される。逆に言えば、ラインに異常が発生した場合には、列の総重量の20%以上の負荷が作業台車10の列に作用すれば、設定しているけん引力では列をけん引することができなくなる(列の移動が過負荷停止する)。これにより、異常が生じたラインのけん引ユニット20を適切に過負荷停止させることができるようになる。また、上述したように連結直後には必要なけん引力が突出する(他のけん引力よりも10%程度大きくなる)が、上式(1)において搬送係数k(=1.15〜1.25等)が積算されているので、連結直後でも問題なく、列をけん引することができる。
【0046】
なお、これまでの説明から分かるように、本実施形態では、演算部110と、電磁クラッチ制御部112とにより、制御部としての機能が実現されている。
【0047】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、列から作業台車10が離脱するとき又は列に作業台車10が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出し(ステップS12、S14及びS34、S36)、当該総重量に基づいて搬送に必要十分なけん引力を算出し(ステップS16、S38)、けん引ユニット20のけん引力を、列から先頭の作業台車10が離脱したタイミング又は列に新たな作業台車10が追加されるタイミングで、算出した必要十分なけん引力に制御する(ステップS18、S20及びS40、S42)。これにより、本実施形態では、けん引ユニット20のけん引力を、実際にけん引する作業台車10及び組立製品50の列の総重量に応じて変更することができる。したがって、けん引ユニット20のけん引力を総重量から求まる必要十分なけん引力に設定しておくことで、異常などにより列に過負荷が発生したときに、けん引ユニット20を適切に停止させる(過負荷停止させる)ことができる。
【0048】
ここで、図16、図17に基づいて、比較例(従来行われていた制御)について説明する。図16は、過負荷停止させるけん引力を設定する従来の方法について説明するための図である。この図16に示すように、従来においては、作業台車の列が最も重くなる場合の総重量を想定して、これにマージンを加えたけん引力を過負荷停止させるけん引力として設定していた。
【0049】
この場合において、本実施形態のように混流一個流しラインを採用したとする。この場合、図17に示すように、作業台車10が新たに連結した後(図17の「台車連結」の後)には、異常発生により負荷Fが作業台車10の列に加わるまでけん引ユニット20は過負荷停止しない。また、作業台車10が分離した後(図17の「台車分離」の後)においては、必要なけん引力(太線)がより小さいことから、異常により負荷F’(>F)が作業台車10の列に加わるまでけん引ユニット20は過負荷停止しない。すなわち、従来技術では、本実施形態よりも大きな負荷FやF’が作業台車10に加わらなければ、けん引ユニット20は過負荷停止させることができない。
【0050】
この点、本実施形態では、けん引力に応じて、電磁クラッチ28に供給する励磁電流の大きさを変更し、設定するけん引力(過負荷停止するけん引力)を変更することとしているので、作業台車10の列の総重量にかかわらず、適切なけん引(適切に過負荷停止するようなけん引)を行うことが可能となる。
【0051】
また、本実施形態によると、列の総重量を算出する際には、列から離脱した作業台車10又は列に追加される作業台車10の識別情報(ID)、及びこれら作業台車10が保持する組立製品50の識別情報(モデルID)を取得し、作業台車10の識別情報と台車重量DB122とを用いて作業台車の重量を特定するとともに、組立製品50の識別情報と製品重量DB120とを用いて、作業台車10が保持する組立製品の重量を特定する(ステップS12、S34)。また、特定した作業台車10及び組立製品50の重量に基づいて、列をなす作業台車10及びこれに保持された組立製品50の総重量を計算する(ステップS14、S36)。これにより、作業台車10や組立製品50の識別情報を得るとともに、各DB120,122を参照することで、簡易に総重量を計算することができる。ただし、これに限らず、列から離脱した作業台車10及び組立製品50の重量や、列に追加される作業台車10及び組立製品50の重量を、直接計測し、当該計測結果に基づいて、列の総重量を計算することとしてもよい。
【0052】
なお、上記実施形態では、けん引ユニット20が、回転モータ26(交流モータ)と、回転モータ26の発生する力を用いて作業台車10の列をけん引するけん引チェーン22と、回転モータ26とけん引チェーン22との間に設けられた電磁クラッチ28とを有しており、電磁クラッチ28に対して供給される励磁電流が調整されることで、けん引力の制御が行われる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、けん引力の制御はその他の方法により行うこととしてもよい。例えば、回転モータ26として直流モータ(DCモータ)を用いることとすれば、電磁クラッチ28を設けなくてもよい。この場合、直流モータに供給する電流制御により、けん引力の制御を行うことが可能である。
【0053】
なお、上記実施形態では、組立製品50を保持して移動する搬送台として作業台車10が採用された場合について説明したが、これに限らず、台(例えばコロ付きの台など)の上をけん引されるパレットであっても良い。
【0054】
また、上記実施形態では、搬送装置が、搬送台としての作業台車10の列をけん引するけん引ユニット20である場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、列を押し出す方向に移動させる搬送装置を採用してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、混流一個流しラインに搬送システム100を採用した場合について説明したが、これに限られるものではない。同一の組立製品をラインに供給する場合であっても、製品の重量誤差や作業台車の重量の個体差等がある場合がある。したがって、このようなラインに、上記実施形態の構成等を適用することとしてもよい。
【0056】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0057】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0058】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0059】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0060】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御方法であって、
前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出する総重量算出工程と、
前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算する演算工程と、
前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算工程で演算された搬送力に制御する制御工程と、をコンピュータが実行することを特徴とする搬送装置の制御方法。
(付記2) 前記総重量算出工程は、
前記列から離脱した搬送台又は前記列に追加される搬送台の識別情報、及び当該搬送台が保持する組立製品の識別情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された前記搬送台の識別情報と、各搬送台の識別情報と各搬送台の重量とが関連付けて記憶された搬送台重量データベースと、を用いて、前記搬送台の重量を特定する第1特定工程と、
前記取得工程で取得された前記搬送台が保持する組立製品の識別情報と、各組立製品の識別情報と各組立製品の重量とが関連付けて記憶された製品重量データベースと、を用いて、前記搬送台が保持する組立製品の重量を特定する第2特定工程と、
前記第1特定工程及び前記第2特定工程における特定結果に基づいて、前記列をなす複数の搬送台及び当該搬送台が保持する組立製品の総重量を算出する算出工程と、を含むことを特徴とする付記1に記載の搬送装置の制御方法。
(付記3) 前記搬送装置は、交流モータと、当該交流モータの発生する力を用いて、前記複数の搬送台を搬送する搬送部と、前記交流モータと前記搬送部との間に設けられた電磁クラッチとを有し、
前記制御工程では、前記電磁クラッチに対して供給する励磁電流を調整することで、前記搬送力の制御を行うことを特徴とする付記1又は2に記載の搬送装置の制御方法。
(付記4) 前記演算工程では、前記総重量算出工程の算出結果に基づいて、列をなす複数の搬送台及び当該複数の搬送台が保持する組立製品の搬送に最低限必要な搬送力を算出し、当該最低限必要な搬送力に1より大きい値を積算することで前記搬送に必要十分な搬送力を演算することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の搬送装置の制御方法。
(付記5) 組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御プログラムであって、
前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出し、
前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算し、
前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算された搬送力に制御する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする搬送装置の制御プログラム。
(付記6) 前記総重量を算出する処理では、
前記列から離脱した搬送台又は前記列に追加される搬送台の識別情報、及び当該搬送台が保持する組立製品の識別情報を取得し、
前記取得する処理で取得された前記搬送台の識別情報と、各搬送台の識別情報と各搬送台の重量とが関連付けて記憶された搬送台重量データベースと、を用いて、前記搬送台の重量を特定し、
前記取得する処理で取得された前記搬送台が保持する組立製品の識別情報と、各組立製品の識別情報と各組立製品の重量とが関連付けて記憶された製品重量データベースと、を用いて、前記搬送台が保持する組立製品の重量を特定し、
前記特定された前記搬送台の重量及び前記組立製品の重量に基づいて、前記列をなす複数の搬送台及び当該搬送台が保持する組立製品の総重量を算出する、ことを特徴とする付記5に記載の搬送装置の制御プログラム。
(付記7) 前記搬送装置は、交流モータと、当該交流モータの発生する力を用いて、前記複数の搬送台を搬送する搬送部と、前記交流モータと前記搬送部との間に設けられた電磁クラッチとを有し、
前記制御する処理では、前記電磁クラッチに対して供給する励磁電流を調整することで、前記搬送力の制御を行うことを特徴とする付記5又は6に記載の搬送装置の制御プログラム。
(付記8) 前記演算する処理では、前記算出結果に基づいて、列をなす複数の搬送台及び当該複数の搬送台が保持する組立製品の搬送に最低限必要な搬送力を算出し、当該最低限必要な搬送力に1より大きい値を積算することで前記搬送に必要十分な搬送力を演算することを特徴とする付記5〜7のいずれかに記載の搬送装置の制御プログラム。
(付記9) 組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御装置であって、
前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出する総重量算出部と、
前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算する演算部と、
前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算部で演算された搬送力に制御する制御部と、を備える搬送装置の制御装置。
(付記10) 前記列から離脱した搬送台又は前記列に追加される搬送台の識別情報、及び当該搬送台が保持する組立製品の識別情報を取得する取得部と、
前記複数の搬送台それぞれの識別情報と各搬送台の重量とを関連付けて記憶する搬送台重量データベースと、
前記複数の搬送台に保持される組立製品それぞれの識別情報と各組立製品の重量とを関連付けて記憶する製品重量データベースと、を更に備え、
前記総重量算出部は、
前記取得部で取得された前記搬送台の識別情報と、前記搬送台重量データベースと、を用いて、前記搬送台の重量を特定する第1特定部と、
前記取得部で取得された前記搬送台が保持する組立製品の識別情報と、前記製品重量データベースと、を用いて、前記搬送台が保持する組立製品の重量を特定する第2特定部と、
前記第1特定部及び前記第2特定部の特定結果に基づいて、前記列をなす複数の搬送台及び当該搬送台が保持する組立製品の総重量を算出する算出部と、を有することを特徴とする請求項9に記載の搬送装置の制御装置。
(付記11) 前記搬送装置は、交流モータと、当該交流モータの発生する力を用いて、前記複数の搬送台を搬送する搬送部と、前記交流モータと前記搬送部との間に設けられた電磁クラッチとを有し、
前記制御部は、前記電磁クラッチに対して供給する励磁電流を調整することで、前記搬送力の制御を行うことを特徴とする付記9又は10に記載の搬送装置の制御装置。
(付記12) 前記演算部は、前記算出結果に基づいて、列をなす複数の搬送台及び当該複数の搬送台が保持する組立製品の搬送に最低限必要な搬送力を算出し、当該最低限必要な搬送力に1より大きい値を積算することで前記搬送に必要十分な搬送力を演算することを特徴とする付記9〜11のいずれかに記載の搬送装置の制御装置。
(付記13) 組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の搬送力を制御する、付記9〜12のいずれかに記載の搬送装置の制御装置と、を備える搬送システム。
【符号の説明】
【0061】
10 作業台車(搬送台)
20 けん引ユニット(搬送装置)
22 けん引チェーン(搬送部)
26 回転モータ(交流モータ)
28 電磁クラッチ
50 組立製品
80 制御装置
100 搬送システム
102 入力部(取得部)
108 けん引重量データ生成部(総重量算出部(第1特定部、第2特定部、算出部))
110 演算部(演算部、制御部の一部)
112 電磁クラッチ制御部(制御部の一部)
120 製品重量DB(製品重量データベース)
122 台車重量DB(搬送台重量データベース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御方法であって、
前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出する総重量算出工程と、
前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算する演算工程と、
前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算工程で演算された搬送力に制御する制御工程と、をコンピュータが実行することを特徴とする搬送装置の制御方法。
【請求項2】
前記総重量算出工程は、
前記列から離脱した搬送台又は前記列に追加される搬送台の識別情報、及び当該搬送台が保持する組立製品の識別情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された前記搬送台の識別情報と、各搬送台の識別情報と各搬送台の重量とが関連付けて記憶された搬送台重量データベースと、を用いて、前記搬送台の重量を特定する第1特定工程と、
前記取得工程で取得された前記搬送台が保持する組立製品の識別情報と、各組立製品の識別情報と各組立製品の重量とが関連付けて記憶された製品重量データベースと、を用いて、前記搬送台が保持する組立製品の重量を特定する第2特定工程と、
前記第1特定工程及び前記第2特定工程における特定結果に基づいて、前記列をなす複数の搬送台及び当該搬送台が保持する組立製品の総重量を算出する算出工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置の制御方法。
【請求項3】
前記搬送装置は、交流モータと、当該交流モータの発生する力を用いて、前記複数の搬送台を搬送する搬送部と、前記交流モータと前記搬送部との間に設けられた電磁クラッチとを有し、
前記制御工程では、前記電磁クラッチに対して供給する励磁電流を調整することで、前記搬送力の制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置の制御方法。
【請求項4】
前記演算工程では、前記総重量算出工程の算出結果に基づいて、列をなす複数の搬送台及び当該複数の搬送台が保持する組立製品の搬送に最低限必要な搬送力を算出し、当該最低限必要な搬送力に1より大きい値を積算することで前記搬送に必要十分な搬送力を演算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送装置の制御方法。
【請求項5】
組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御プログラムであって、
前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出し、
前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算し、
前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算された搬送力に制御する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする搬送装置の制御プログラム。
【請求項6】
組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置の制御装置であって、
前記列から搬送台が離脱するとき又は前記列に搬送台が追加されるときに、離脱又は追加後の列の総重量を算出する総重量算出部と、
前記総重量に基づいて前記列の搬送に必要十分な搬送力を演算する演算部と、
前記列から搬送台が離脱したタイミング又は前記列に新たな搬送台が追加されるタイミングで、前記搬送装置の搬送力を前記演算部で演算された搬送力に制御する制御部と、を備える搬送装置の制御装置。
【請求項7】
組立製品を保持し、製造ラインに沿って列をなした状態で搬送される複数の搬送台を、前記製造ラインに沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の搬送力を制御する、請求項6に記載の搬送装置の制御装置と、を備える搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−23346(P2013−23346A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160231(P2011−160231)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】