説明

搬送装置及び搬送方法

【課題】ローラテーブルのような工場内に配設されて定期的に交換やメンテナンスを要する対象物を円滑かつ効率的に搬送する搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】搬送装置10は、複数のローラテーブル12の配列方向に沿って敷設されたレール32、36上を走行可能であって各ローラテーブルの側方に位置決め可能に構成された架台26と、架台26に可動に設けられた可動梁28とを有する。可動梁28が有する係合機構は、架台26からローラテーブル12の各々の上方に向けて移動している間に、ローラテーブルの上方であって可動梁28の長手方向に離隔配置された第1及び第2の固定構造物52及び54に順次係合するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラテーブル等の物品の搬送装置及び該物品の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製鉄工場における圧延ラインでは、各々がローラを備えた複数のローラテーブルが使用されている。各ローラテーブルについては、その故障時や定期的なメンテナンスのために交換作業が必要となる。このような作業を効率良く行える方法がいくつか提唱されており、例えば特許文献1には、複数個のローラとその付属品をライン外にあるキャリアパレット上で組み付けて1ユニットとし、交換作業の簡略化を図った交換工事方法が開示されている。
【0003】
また特許文献2には、炉内に定間隔で配設されたロールを、炉壁に沿って走行する台車上に設けたロール抽出装置によって交換するロール交換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−239618号公報
【特許文献2】特開平8−225827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、ローラテーブルのような搬送対象物を交換やメンテナンスのために搬送する場合、工場建屋の天井付近に設けられたクレーンによって各ローラテーブルを吊り上げて所定位置に搬送していた。しかし、クレーンによる作業は時間がかかる上に作業者の負担も大きく、またクレーンは多数の用途に使用されるため、ローラテーブルの搬送作業中はクレーンを他の用途に使用できないという不都合もあった。
【0006】
特許文献1のようなキャリアパレットを使用する場合、床面を掘り下げる必要があり、コストアップの要因となり得る。また特許文献2のような抽出装置は、軸4がロール吊り上げ時にいわゆる「片持ち梁」の状態となり、ローラテーブルの重量によっては軸が撓んで好適な搬送ができなくなる虞がある。また軸4を片持ち梁状態でも撓まない十分な剛性を備えたものとすると、抽出装置自体が重量化するとともにコストアップの要因ともなる。
【0007】
そこで本発明は、ローラテーブルのような工場内に配設されて定期的に交換やメンテナンスを要する対象物を円滑かつ効率的に搬送する搬送装置及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、隣接配置された複数の対象物の配列方向に沿って、該複数の対象物の各々の側方を移動可能に構成された架台と、前記架台に設けられた可動梁であって、該可動梁の長手方向に、該架台から前記複数の対象物の各々の上方に向けて可動に構成された可動梁と、前記可動梁に設けられ、該可動梁が前記複数の対象物の各々の上方に位置したときに該対象物を吊り上げ可能な吊り上げ手段と、前記可動梁に設けられ、該架台から前記複数の対象物の各々の上方に向けて移動している間に、前記対象物の上方であって前記可動梁の長手方向に離隔配置された少なくとも2つの固定構造物に順次係合するように構成された係合機構と、を有する搬送装置を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の搬送装置において、前記吊り上げ手段は、前記可動梁に対して該可動梁の長手方向に可動に構成される搬送装置を提供する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の搬送装置において、前記係合機構は、前記可動梁に係合しかつ前記可動梁の長手方向に移動可能な第1の係合部と、前記可動梁の対象物側端部近傍に設けられた第2の係合部とを有し、前記第1の係合部は、前記可動梁上を走行可能な走行部と、前記可動梁が第1の位置と第2の位置との間に位置している間第1の固定構造物に当接して前記可動梁の移動を案内する案内部と、前記案内部を前記第1の固定構造物に当接した状態に保持する保持部とを有し、前記第2の係合部は、前記可動梁が前記第2の位置にあるときに第2の固定構造物に係合するように構成される搬送装置を提供する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の搬送装置において、前記第1の係合部は、少なくとも前記可動梁の移動方向について前記第1の係合部に対して移動可能なストッパ位置決め手段と、前記第1の係合部に対して可動に設けられて該第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定するストッパ部材とを有し、該ストッパ位置決め手段は、前記可動梁が前記第1の位置に近づいたときに前記第1の固定構造物に当接可能に構成された当接検知部と、該当接検知部に一体的に成形されたストッパ押込部とを有し、該ストッパ押込部は、前記当接検知部が前記第1の固定構造物に当接していないときは前記ストッパ部材に当接して、前記第1の係合部を、該第ストッパ部材が前記第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定しない位置に位置決めし、前記当接検知部が前記第1の固定構造物に当接しているときは前記ストッパ部材を、前記ストッパ部材が前記第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定する位置に位置決めする搬送装置を提供する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の搬送装置において、前記ストッパ部材を、該ストッパ部材が前記第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定する位置に保持するラッチ機構を有し、前記可動梁は、該可動梁の長手方向に略垂直な方向に変位可能に構成されたロッドを備えたアクチュエータを有し、前記ラッチ機構の係合を解除可能に構成されたラッチプロテクト部材が前記ロッドに連結され、前記ラッチプロテクト部材は、前記ラッチ機構の係合を解除する位置にあるときは前記第1の係合部に係止し、前記ラッチ機構の係合を許容する位置にあるときは前記第1の係合部から分離するように構成される搬送装置を提供する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記複数の対象物の各々はローラを含むローラテーブルであり、複数の該ローラテーブルが各ローラの回転軸方向に略垂直な方向に隣接配列される搬送装置を提供する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、隣接配置された複数の対象物の配列方向に沿って該複数の対象物の各々の側方を移動可能に構成された架台を、搬送すべき対象物の側方に配置するステップと、前記架台に設けられた可動梁であって、該可動梁の長手方向に沿って該架台から前記複数の対象物の各々の上方に向けて可動に構成された可動梁を、該架台から前記対象物の上方に向けて移動させるステップと、前記可動梁を該架台から前記対象物の上方に向けて移動している間に、前記可動梁の可動方向に沿って前記対象物の上方であって前記可動梁の長手方向に離隔配置された少なくとも2つの固定構造物に前記可動梁を順次係合させるステップと、前記可動梁が前記対象物の各々の上方に位置したときに、該可動梁に設けられた吊り上げ手段を用いて前記対象物を吊り上げるステップと、前記可動梁を前記架台に向けて移動させるステップと、を有する搬送方法を提供する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の搬送方法において、前記可動梁を、前記架台から第1の固定構造物に係合する第1の位置まで移動させるステップと、前記可動梁が前記第1の位置に到達して前記第1の固定構造物に係合したら前記可動梁を停止させ、前記吊り上げ手段を前記可動梁の対象物側端部に向けて移動させるステップと、前記可動梁を前記第1の位置から第2の固定構造物に係合する第2の位置まで移動させるとともに、前記可動梁が前記第1の位置から前記第2の位置まで移動している間、前記吊り上げ手段の静止座標系における位置が変化しないように前記吊り上げ手段を前記可動梁に対して移動させるステップと、前記可動梁が前記第2の位置に到達して前記第2の固定構造物に係合したら前記可動梁を停止させ、前記吊り上げ手段を前記可動梁の対象物側端部に向けて移動させて、前記対象物を吊り上げ可能な位置に停止させるステップと、を有する搬送方法を提供する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の搬送方法において、前記可動梁が前記第2の位置にありかつ前記吊り上げ手段が前記対象物を吊り上げている状態で、前記吊り上げ手段を前記可動梁の架台側端部に向けて移動させるステップと、前記可動梁を前記第2の位置から前記第1の位置まで移動させるとともに、前記可動梁が前記第2の位置から前記第1の位置まで移動している間、前記吊り上げ手段の静止座標系における位置が変化しないように前記吊り上げ手段を前記可動梁に対して移動させるステップと、前記可動梁が前記第1の位置に到達したら前記可動梁を停止させ、前記吊り上げ手段を前記可動梁の架台側端部に向けて移動させるステップと、を有する搬送方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に一形態によれば、架台から移動する可動梁が第1及び第2の固定構造物に逐次的に係合するので、可動梁がいわゆる片持ち梁の状態になることは殆どなく、故に自重及び搬送対象物の重量によって不都合に撓むことが防止される。
【0018】
吊り上げ手段を可動梁に対して可動に構成することにより、可動梁がいわゆる片持ち梁の状態で搬送対象物の重量を受けることがなくなり、対象物の重量によって不都合に撓むことが確実に防止される。
【0019】
係合機構が第1の係合部及び第2の係合部を有し、さらに第1の係合部が走行部、案内部及び保持部を有することにより、可動梁が第1の位置と第2の位置との間を移動する間、第1の係合部が第1の固定構造物に係合して可動梁の重量を第1の固定構造物に担わせることができる。
【0020】
第1の係合部がストッパ位置決め手段及びストッパ部材を有することにより、可動梁が第1の位置と第2の位置との間を移動する間、特に吊り上げ手段により吊り上げた搬送対象物を架台方向に移動させる間、第1の係合部を確実に第1の固定構造物に固定した状態に保持することができる。
【0021】
ストッパ部材に設けたラッチ機構と可動梁に設けたアクチュエータに取り付けたラッチプロテクト部材とにより、ストッパ部材を確実に第1の固定構造物に当接した状態に保持することができる。
【0022】
本発明の他の態様によれば、架台から移動する可動梁を第1及び第2の固定構造物に逐次的に係合させ、可動梁をいわゆる片持ち梁の状態にすることなくスムースに搬送対象物を搬送することができる。
【0023】
本発明によれば、搬送対象物を吊り上げ手段で吊り上げるまでのより具体的な搬送方法が提供される。
【0024】
本発明によれば、搬送対象物を吊り上げ手段で吊り上げてから架台側の所定位置に搬送するまでのより具体的な搬送方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る搬送装置の好適な実施形態の上面、正面及び側面を示す図である。
【図2a】可動梁に設けられる係合機構の一実施形態の上面及び正面図であって、該係合機構が可動梁の移動に伴って第1の固定構造物に向けて移動している状態を示す図である。
【図2b】図2aの係合機構が第1の固定構造物にさらに接近した状態を示す図である。
【図2c】図2aの係合機構が第1の固定構造物に当接して係合し始めた状態を示す図である。
【図2d】可動梁が図2cの状態からさらに反架台側に移動し、ストッパ部材が起立した状態を示す図である。
【図2e】ラッチプロテクト部材が図2dの状態から移動し、ストッパ部材が起立した状態に保持されて係合機構が第1の固定構造物に固定された状態を示す図である。
【図3a】搬送装置が初期位置にある状態を示す図である。
【図3b】可動梁が架台から移動して第1の位置に位置した状態を示す図である。
【図3c】図3bの状態から吊り上げユニットをローラテーブル側に移動させた状態を示す図である。
【図3d】図3cの状態から可動梁を第2の位置に移動させた状態を示す図である。
【図3e】図3dの状態から吊り上げユニットをローラテーブルの上方に移動させた状態を示す図である。
【図3f】図3eの状態から吊り上げユニットによってローラテーブルを吊り上げた状態を示す図である。
【図3g】図3fの状態から吊り上げユニットを架台側に移動させた状態を示す図である。
【図3h】図3gの状態から可動梁を第1の位置に移動させた状態を示す図である。
【図3i】図3hの状態から吊り上げユニットを架台側に移動させた状態を示す図である。
【図3j】図3iの状態から可動梁を初期位置に移動させた状態を示す図である。
【図4】可動梁を固定構造物に固定するための懸垂アーム機構の概略構成を示す図である。
【図5】図4の懸垂アーム機構の代替例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明に係る搬送装置10の好適な実施形態の上面、正面及び側面を示す図である。なお本実施形態では、搬送装置10の搬送対象物が、製鉄工場の圧延ラインにおける冷却設備に含まれる搬送ラインを形成するローラテーブル12である場合を説明する。ローラテーブル12は、例えば各々が直径300mmのローラ14と、ローラ14を回転駆動するモータ16と、ローラ14及びモータ16を支持する支持台18とを有し、ローラ14の回転軸方向に略垂直な方向に例えば300mm〜500mmの間隔で複数配列されている。またローラテーブル12は、ローラ14の両端部の上方に穴20を備えた吊り上げ用のブラケット22を有し、該穴20にフック(後述)等を引掛けることにより各ローラテーブル12全体をユニットとして吊り上げできるようになっている。またローラテーブル12の周りには、ローラ上を搬送される薄板鋼板等を冷却するためのシャワーノズル(図示せず)を支持するためのフレーム24が設けられる。
【0027】
搬送装置10は、複数のローラテーブル12の配列方向に沿って敷設されたレール上を走行可能であり、各ローラテーブルの側方に位置決め可能に構成された架台26と、架台26に可動に設けられた可動梁28とを有する。図示された実施形態では、架台26は、設置面30上に敷設された第1レール32と、フレーム24の架台26側に設けられたアングル34に設けられた第2レール36との上をそれぞれ走行可能な車輪38、40を有する。なお図示例では架台26とフレーム24との間に作業者用の通路42を確保するためにフレーム24にアングル34を設けかつ一方のレールを作業者の上方に配置した構成としているが、これは本発明に必須のものではなく、例えばいずれのレールも設置面上に敷設してもよい。また架台の移動はレールと車輪との組み合わせで実現されるものでなくともよく、例えば架台がタイヤを備えて設置面上を走行するようにしてもよい。
【0028】
可動梁28は、例えばH鋼等の梁部材であり、例えば可動梁28の長手方向に複数設けられたローラ機構29によって、可動梁28すなわち自らの長手方向に、架台26からローラテーブル12の上方に向けて可動に構成される。また可動梁28には、可動梁28がローラテーブル12の上方に位置したときに該ローラテーブルを吊り上げ可能な吊り上げ手段すなわち吊り上げユニット44が設けられる。好ましくは、吊り上げユニット44は、可動梁28に対して可動梁28の長手方向に可動に構成されたH鋼等の梁部材を有する。また吊り上げユニット44は、ローラテーブル12のブラケット22に形成された穴20に係合可能なフック46と、フック46を上下動させるウインチ機構48とを有し、故に穴20に係合した状態でフック46を上方に移動させることにより、ローラテーブル12を吊り上げることができる。吊り上げユニット44のウインチ機構48は自動化されたものでもよいが、設置スペースの観点からは手動のものが好ましい。
【0029】
次に図2aを参照して、可動梁28が有する係合機構について説明する。係合機構50は、可動梁28に設けられ、架台26からローラテーブル12の各々の上方に向けて移動している間に、ローラテーブルの上方であって可動梁28の長手方向に、例えば2〜3mの間隔で離隔配置された第1及び第2の固定構造物52及び54(図1参照)に順次係合するように構成される。なお好適な固定構造物は、略水平かつ可動梁28の長手方向に略垂直に延びるH鋼であり、可動梁28の長手方向に沿って略同一高さに少なくとも2つ配置される。またここでは、2つの固定構造物のうち架台26に近い側を第1の固定構造物52、他方を第2の固定構造物54とする。
【0030】
好適な実施形態に係る係合機構50は、図2aに示すようなローラアセンブリ56を構成し、可動梁28に係合し(具体的にはH鋼である可動梁28の一方(上側)のフランジ58を挟み)かつ可動梁28上を走行するように構成された走行部である対(図示例では2対)のローラすなわち第1のピンチローラ60、62と、可動梁28が第1の位置(後述)まで移動したときに第1の固定構造物52に当接して係合する(具体的にはH鋼52の一方(下側)のフランジ64を挟む)ように構成された案内部である対(図示例では1対)のローラすなわち第2のピンチローラ66と、ピンチローラ60、62及び66をそれらの位置関係が変化しないように回転可能に連結するフレーム68とを有する。なおローラアセンブリ56は、第2のピンチローラ66が確実にH鋼52に係合するために、可動梁28が第1の位置に接近したときにH鋼52に対するローラアセンブリ56の位置を概ね規定するガイド機能を備えたガイドローラ70、72をさらに有してもよい。ガイドローラ70、72は、第2のピンチローラ66の各々よりも可動梁28の長手方向に関して架台26とは反対側に配置され、かつ可動梁28が第1の位置にあるとき(図3c)はH鋼52のフランジ64からいくらか離隔するように、フレーム68に連結される。
【0031】
上記のように構成されたローラアセンブリ56は、第1のピンチローラ60、62によって可動梁28上をその長手方向に走行できるとともに、第2のピンチローラ66によって第1の固定構造物52にがたつきなく係合することができる。従って第2のピンチローラ66は、第1の固定構造物52に対する可動梁28の鉛直方向の位置決め手段として機能するとともに、可動梁28の自重の少なくとも一部を第1の固定構造物52に担わせることができる。なお第2のピンチローラ66を構成する各ローラは、フレーム68に回転可能に連結される。
【0032】
なお可動梁28にH鋼を使用した場合、図2aにおける上側の図(上面図)に示すように、ローラアセンブリ56は可動梁の28の長手方向中心線75について左右対称となるように2組設けてもよい。その場合、2組のローラアセンブリは互いに勝手違いに構成される。
【0033】
上述のようにローラアセンブリ56は可動梁の自重を第1の固定構造物に担わせる機能を有するので、可動梁28が第1の固定構造物52の下方に存在している間は常に、ローラアセンブリは第1の固定構造物に係合している(第2のピンチローラ66がH鋼52のフランジ64を把持している)ことが好ましい。そこで以下に、ローラアセンブリ56と第1の固定構造物との係合状態を保持する保持部であるストッパ機構について説明する。
【0034】
図2aに示すように、ローラアセンブリ56は、フレーム68に一体的に形成されるとともにフレーム68から反架台側(図3では右側)に延びる部材74を有し、該部材74の反架台側の先端にはストッパ部材76が、略水平かつ可動梁28の長手方向に垂直な方向に延びる軸78回りに回転可能となるように枢着される。またローラアセンブリは、一体的に成形されたストッパ押込部82及び当接検知部84を有するストッパ位置決め手段すなわちストッパ位置決めバー80を有する。本実施例ではストッパ位置決めバー80は、棒状部材又は線状部材を略J字状に形成してなり、その長辺部材すなわちストッパ押込部82がストッパ部材76に当接可能であり、かつ短辺部材すなわち当接検知部84がH鋼52のウェブ86に当接可能であるような姿勢で、ストッパ位置決めバー80を反架台側に付勢する第1のスプリング88を介してフレーム68に連結される。従ってストッパ位置決めバー80は、少なくとも可動梁28の移動方向について、フレーム68すなわち各ローラに対して移動可能である。なおストッパ押込部82及び当接検知部84の先端にはそれぞれ、衝撃吸収や部材の傷付き等の防止を目的とした弾性部材(図示例では球形のもの)を取り付けてもよい。また第1のスプリング88の代わりにゴム等の弾性部材を使用してもよい。
【0035】
可動梁28の反架台側の先端90には、可動梁28の長手方向に略垂直な方向(例えば鉛直方向)に変位可能なロッド92を備えたエアシリンダ又は油圧シリンダ等のアクチュエータ94が取り付けられる。ロッド92の先端には、ラッチプロテクト部材96が取り付けられており、一方ストッパ部材76にはラッチ98が、略水平かつ可動梁28の長手方向に垂直な方向に延びる軸100回りに回転可能となるように枢着される。ラッチ98は、ストッパ部材76がH鋼52の反架台側のフランジ64に当接した状態(後述する図2dの状態)で、フレーム68に設けられた突部104に係合可能な位置に設けられており、一方ラッチプロテクト部材96は、ロッド92が上方に延びているときはラッチ98と突部104との係合を防止すべくラッチ98を押し上げ、ロッド92が下方に引込んでいるときはラッチ98と突部104との係合を許容するように構成されている。従って後述する図2eの状態では、ラッチ98と突部104とが係合し、ストッパ部材76はH鋼52のフランジ64に当接した状態(図示例では起立した状態)に保持され、結果としてローラアセンブリ56もH鋼52に対して不動に保持される。
【0036】
またストッパ部材76は、該ストッパ部材を起立する方向に付勢する第2のスプリング106によってフレーム68に連結されることが好ましい。但し第2のスプリング106のバネ定数は、第1のスプリング88のバネ定数よりも弱く設定される。すなわち、第2のスプリング106は、ストッパ位置決めバー80がH鋼52に当接していない状態(第1のスプリング88が伸張していない状態)では、第1のスプリング88を伸張させる(ストッパ部材76を起立する方向に回転させる)ことはできない。なお第2のスプリング106の代わりにゴム等の弾性部材を使用してもよい。
【0037】
次に、図3a〜図3jを参照して、搬送装置10を用いてローラテーブルを搬送する手順について説明する。先ず、図1に示したレールに沿って架台26を移動させ、該架台を交換又は搬送すべきローラテーブル12の側方に位置決めする。この状態すなわち初期位置における搬送装置10は、図3aに示すように、架台26の下方に可動梁28及び吊り上げユニット44が引き込まれた状態となっている。このとき吊り上げユニット44は、架台側昇降位置に位置している。
【0038】
次に図3bに示すように、可動梁28をローラテーブル12側に向けて移動させ、第1の固定構造物52と係合する第1の位置で停止させる。このとき、吊り上げユニット44が架台26に対して移動しないように、すなわち静止座標系における吊り上げユニット44の位置が変化しないように、概略図示したソレノイド等のクランプ手段108を用いて、吊り上げユニット44を一時的に架台26に固定しておくことが好ましい。一方、クランプ手段108を使用する代わりに、吊り上げユニット44に可動梁28上を自走可能な駆動輪等の自走手段を設け、架台26に対する可動梁28の移動速度と同速度で、吊り上げユニット44を可動梁28に対して可動梁28の移動方向と逆方向に移動させてもよい。
【0039】
図2a〜図2eは、図3aの状態から図3bの状態に至るまでの、上述のローラアセンブリ周りの各部の作用を詳細に説明する図である。図2aの状態では、まだローラアセンブリ56のストッパ位置決めバー80がH鋼52に当接しておらず、ストッパ位置決めバーの長辺部材82がストッパ部材76を倒した状態を維持している。従って図2bに示すように、さらに可動梁28をローラテーブル側(右側)に移動させたときに、ストッパ部材76はH鋼52に接触することなくH鋼52の下方を通過することができる。
【0040】
図2cは、ストッパ位置決めバー80の短辺部材すなわち当接検知部84がH鋼52のウェブ86に当接し、該当接の瞬間からさらに可動梁28がいくらかローラテーブル側に移動した状態を示す図である。図2cの状態では、ストッパ位置決めバー80をフレーム68に連結しているスプリング88が伸張し始めており、それに伴ってストッパ位置決めバー80の長辺部材すなわちストッパ押込み部82がストッパ部材76に対して架台側に移動する。従ってストッパ部材76は、第2のスプリング106の付勢力によって徐々に起立状態に近付いていく。
【0041】
図2dは、図2cの状態からさらに可動梁28がローラテーブル側に移動し、ストッパ部材76が起立してH鋼52のフランジ64に当接した状態を示す。この状態から、図2eに示すようにエアシリンダ94のロッド92を下方に移動させることにより、ロッド92に連結されたラッチプロテクト部材96も同時に下降する。これにより、ラッチ98が下方に倒れてフレーム68の突部104に係合し、ストッパ部材76は起立した状態に保持される。このようにして、ローラアセンブリ56は第1の固定構造物52に固定されるとともに、可動梁28の自重の少なくとも一部を第1の固定構造物52に担わせることができる。従って可動梁28は、第1の固定構造物52に係合している間は、いわゆる「片持ち梁」の状態となって撓みが生じることが防止される。
【0042】
なお第1のピンチローラ60、62の把持力を一定値以上にしておけば、図2a〜図2dの状態では、ローラアセンブリ56は可動梁28に対して実質固定された状態となる。しかしラッチプロテクト部材96を、図2a〜図2dの状態ではフレーム68の一部に係止し、かつ図2eの状態ではその係止が解除すなわち分離されるように構成しておけば、ローラの把持力に関係なく図2a〜図2dの操作を確実に行えることができる。すなわちこの場合、ラッチプロテクト部材96は、上昇した位置にあるときはラッチ98と突部104との係合を防止するとともにローラアセンブリ56が可動梁28に実質固定する機能を兼ね、一方下降した位置にあるときはラッチ98と突部104との係合を許容するとともにローラアセンブリ56が可動梁28に対してその長手方向に移動することを許容する機能を兼ねる部材として作用する。
【0043】
次に図3cに示すように、可動梁28を第1の位置に停止させた状態で、吊り上げユニット44をローラテーブル側に移動させ、中間待機位置に停止させる。続いて図3dに示すように、可動梁28を、第1の固定構造物52に係合している第1の位置から、第2の固定構造物54に係合する第2の位置まで移動させ、該第2の位置に停止させる。このとき、図3bの場合と同様に、吊り上げユニット44が架台26に対して移動しないように、すなわち静止座標系における吊り上げユニット44の位置が変化しないように、ソレノイド等のクランプ手段110を用いて、吊り上げユニット44を一時的に架台26に固定しておくことが好ましい。換言すれば、可動梁28が第1の位置から第2の位置まで移動している間は、吊り上げユニット44は可動梁28に対して架台26側に移動していることになり、結果として中間待機位置に居続けることになる。一方、この場合も、クランプ手段110を使用する代わりに、吊り上げユニット44に可動梁28上を自走可能な駆動輪等の自走手段を設け、架台26に対する可動梁28の移動速度と同速度で、吊り上げユニット44を可動梁28に対して可動梁28の移動方向と逆方向に移動させてもよい。
【0044】
図4は、可動梁28を第2の固定構造物に係合させるための手段を説明する図である。可動梁28の反架台側端部の近傍には、第2の固定構造物例えばH鋼54の下側フランジ114を把持する懸垂アーム機構116が設けられる。アーム機構116は、可動梁28のウェブ112に枢着された一対のアーム118と、該アームの各々を開いた状態に保持するための、一端が各アームに連結され他端がウェブ112に連結されたワイヤ120とを有する。アーム118の各々は、図示しないバネ機構等により互いに閉じる方向(H鋼54のフランジ114を把持する方向)に付勢されているが、H鋼54を把持すべきとき(可動梁が第2の位置にあるとき)以外はワイヤ120によって開いた状態となっている。可動梁28が第2の位置に移動したときすなわちH鋼54の下方に一対のアーム118が位置したときに、ワイヤ120が図示しないワイヤ巻取り機構等によって緩められ、一対のアームがH鋼の下側フランジを把持する。これにより可動梁28は第2の固定構造物54に係合するとともに、可動梁28の自重の少なくとも一部を第2の固定構造物に担わせることができる。なお懸垂アーム機構116は、可動梁28にH鋼を使用した場合、上述のローラアセンブリと同様に、可動梁の28の長手方向中心線について左右対称となるように2組設けてもよい。
【0045】
上述のようにローラアセンブリ56は、第1の固定構造物に対する可動梁のガイド機能を有するとともに、可動梁(及び搬送対象物)の重量を第1の固定構造物に担わせる機能も有する。但し、搬送対象物の重量が相当に大きい場合等には、第2の固定構造物54に係合するためのアーム機構116と同様又は後述する第2の懸垂アーム機構126と同様の懸垂アーム機構124を、可動梁が第2の位置にあるときに第1の固定構造物であるH鋼52の下側フランジ64を把持するできる位置に設けてもよい。その場合、上述のローラアセンブリとアーム機構との干渉を防止するために、該ローラアセンブリ及びアーム機構124は、例えば図2aの上図のように、可動梁28の長手方向に略垂直な方向にいくらかずらして配置される。具体的には、可動梁28のフランジ上を走行するローラを備えたローラアセンブリを可動梁の中心寄りに配置し、アーム機構124を該中心に関して外側に配置することが好ましい。なおこの場合も、懸垂アーム機構124を可動梁28の長手方向中心線について左右対称となるように2組設けてもよい。
【0046】
図5は、懸垂アーム機構116の代替例である第2の懸垂アーム機構126を示す図である。アーム機構126は、可動梁28のウェブ112に枢着された一対のアーム128a及び128bと、該アームの一方(図示例では左側のアーム128a)を開閉するための、一端が該アームに連結され他端が可動梁28の下側に設けられたアタッチメント130に連結されたエアシリンダ又は油圧シリンダ等のアクチュエータ132とを有する。アーム128a及び128bは、それぞれ支点134a及び134bによって可動梁28に回転可能に連結される。またアーム128a及び128bはそれぞれ、支点134a134bを中心に回転可能に構成されるとともに互いに係合する歯車136a及び136bを有する。従って図5の例では、一方のアーム128aのみをエアシリンダ132で開閉駆動すれば、他方のアーム128bも同時に開閉駆動する。アームの開閉駆動機構を一方のアームにのみ設けることは、図5のようにアーム機構を可動梁の端部に設ける場合に特に有効である。また歯車136a及び136bのような係合機構を、上述のアーム機構116に適用してワイヤ及びその巻き取り機構を一方のアームにのみ設けることももちろん可能である。なお図5の例では、上述のアーム機構116が有するような、各アームを一方向に付勢するワイヤ等の手段は不要である。また懸垂アーム機構126も、可動梁28にH鋼を使用した場合、上述のローラアセンブリと同様に、可動梁の28の長手方向中心線について左右対称となるように2組設けてもよい。
【0047】
図3dの状態から、図3eに示すように、可動梁28を第2の位置に停止させた状態で、吊り上げユニット44をローラテーブル側に移動させ、搬送すべきローラテーブル12の略上方すなわち対象物側昇降位置に配置する。そして図3fに示すように、吊り上げユニット44のフック46をローラテーブル12のブラケット22の穴20(図2参照)に掛け、ウインチ機構48を用いてローラテーブル12を吊り上げる。この状態では、可動梁28は第1及び第2の固定構造物52、54に支持されているので、可動梁28がローラテーブル12の重量によって不都合に撓むことが防止される。
【0048】
次に図3gに示すように、可動梁28を第2の位置に停止させた状態で、吊り上げユニット44を架台26側に移動させて上述の中間待機位置に戻し、ローラテーブル12を除けば概ね図3dの状態と同じ位置関係となるようにする。そして上述の一対のアーム118を開いてアーム機構116と第2の固定構造物54との係合を解除し(可動梁が第1の固定構造物を把持するアーム機構を備えている場合には該アーム機構も解除する)、図3hに示すように可動梁28を架台26側に第1の位置まで移動させる。なおこのときも、クランプ手段110を用いて、吊り上げユニット44を一時的に架台26に固定し、中間待機位置に居続けるようにすることが好ましい。
【0049】
次に図3iに示すように、吊り上げユニット44を架台側に移動させて架台側昇降位置に位置決めし、最後に図3jに示すように、可動梁28を第1の位置から図4aの初期位置に移動させる。なおこのときも、クランプ手段108を用いて、吊り上げユニット44を一時的に架台26に固定しておくことが好ましい。
【0050】
上述のようにローラアセンブリ56は、第1の固定構造物52に対する自らの位置を変化させないためのストッパ機構を備えているので、図3bから図3iまでの間は同じ位置に滞留し、第1の固定構造物52に係合した状態に保持される。また図3iの状態から図3jの状態に至るまでは、図2a〜図2eを用いて説明した動作と逆の動作によってストッパ機構と第1の固定構造物との係合が解除される。すなわち、可動梁28が第2の位置から第1の位置に戻ったときは、第1の係合部すなわちローラアセンブリ56は図2eに示す状態にあり、ラッチ98はストッパ部材76を固定状態に保持している。そこで図2dに示すように、エアシリンダ94のロッド92を上方に変位させて、ラッチプロテクト部材96によってラッチ98を押し上げ、ラッチ98と突部104との係合を解除し、アクチュエータ94の動作によりローラアセンブリ56が可動梁に対し係止される。次に図2cに示すように、可動梁28を架台側に移動させていくと、ローラアセンブリ56も可動梁28とともに架台側に移動する。このとき、伸張した状態であった第1スプリング88が徐々に元の長さに縮小されていくので、フレーム68とストッパ位置決めバー80との位置関係が変化し、ストッパ位置決めバー80に当接しているストッパ部材76が徐々に傾倒していく。その後図2bに示すように、ストッパ位置決めバー80がH鋼52から離れ、ストッパ部材76はH鋼52の下を通過し、図2aの状態に至る。
【0051】
図3jの状態では吊り上げユニットが架台側昇降位置に位置しており、ウインチ機構48を用いてローラテーブル12を下降させ、架台26の下方に配置した搬送台車(図示せず)等にローラテーブル12を載置することにより、ローラテーブルは所定の場所へ搬送可能となる。以上で搬送すべきローラテーブルについての作業は完了し、搬送装置は他のローラテーブルを搬送すべく別の場所に移動できるようになる。
【0052】
本発明に係る搬送装置の可動梁28は、架台26に略水平に設けられて自らの長手方向に沿って移動可能に構成される。よって可動梁は例えば、その可動範囲が設置面から高さ2mを超えないように構成することもできる。従って従来のようにローラテーブルを高さ数メートルの天井に設けられたクレーン等で吊り上げる必要はない。
【0053】
また可動梁28が図示例のものよりも十分に長い場合は、図3a〜図3jを用いて説明したような手順を経ずとも、吊り上げユニットを上述の架台側昇降位置と対象物側昇降位置との間を単純に移動させることも可能である。しかし一般に、工場内において架台の大きさや可動梁の長さには制約があり、またそれらの製造コストの問題もある。そこで本発明では、吊り上げユニットを中間待機位置に一旦停止させる手順を採用し、比較的狭い場所であっても使用可能な搬送装置を提供している。
【0054】
上述の実施形態では固定構造物として2つ(第1及び第2)のH鋼が設けられるが、可動梁の第1及び第2の係合部が適切に係合できるものであれば、他の形状の構造物を使用してもよい。また固定構造物の個数は3つ以上でもよく、可動梁の長さや搬送対象物の重量等に応じて適宜変更することができる。
【0055】
なお図2aに示すように、可動梁28に移動用ラック122を設け、該ラック122に係合するピニオン(図示せず)を架台側に設けることにより、いわゆるラックアンドピニオン構造を利用して可動梁28の位置を規定することもできる。
【0056】
また本実施形態では圧延ラインにおけるローラテーブルの交換装置及び交換方法を説明したが、本発明はローラテーブルに限らず、隣接配置された複数の搬送対象物にも適用できる。
【符号の説明】
【0057】
10 搬送装置
12 ローラテーブル
26 架台
28 可動梁
44 吊り上げユニット
52 第1の固定構造物
54 第2の固定構造物
56 ローラアセンブリ
76 ストッパ部材
80 ストッパ位置決めバー
96 ラッチプロテクト部材
98 ラッチ
116 懸垂アーム機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接配置された複数の対象物の配列方向に沿って、該複数の対象物の各々の側方を移動可能に構成された架台と、
前記架台に設けられた可動梁であって、該可動梁の長手方向に、該架台から前記複数の対象物の各々の上方に向けて可動に構成された可動梁と、
前記可動梁に設けられ、該可動梁が前記複数の対象物の各々の上方に位置したときに該対象物を吊り上げ可能な吊り上げ手段と、
前記可動梁に設けられ、該架台から前記複数の対象物の各々の上方に向けて移動している間に、前記対象物の上方であって前記可動梁の長手方向に離隔配置された少なくとも2つの固定構造物に順次係合するように構成された係合機構と、
を有する搬送装置。
【請求項2】
前記吊り上げ手段は、前記可動梁に対して該可動梁の長手方向に可動に構成される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記係合機構は、前記可動梁に係合しかつ前記可動梁の長手方向に移動可能な第1の係合部と、前記可動梁の対象物側端部近傍に設けられた第2の係合部とを有し、
前記第1の係合部は、前記可動梁上を走行可能な走行部と、前記可動梁が第1の位置と第2の位置との間に位置している間第1の固定構造物に当接して前記可動梁の移動を案内する案内部と、前記案内部を前記第1の固定構造物に当接した状態に保持する保持部とを有し、
前記第2の係合部は、前記可動梁が前記第2の位置にあるときに第2の固定構造物に係合するように構成される、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1の係合部は、少なくとも前記可動梁の移動方向について前記第1の係合部に対して移動可能なストッパ位置決め手段と、前記第1の係合部に対して可動に設けられて該第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定するストッパ部材とを有し、該ストッパ位置決め手段は、前記可動梁が前記第1の位置に近づいたときに前記第1の固定構造物に当接可能に構成された当接検知部と、該当接検知部に一体的に成形されたストッパ押込部とを有し、該ストッパ押込部は、前記当接検知部が前記第1の固定構造物に当接していないときは前記ストッパ部材に当接して、前記第1の係合部を、該第ストッパ部材が前記第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定しない位置に位置決めし、前記当接検知部が前記第1の固定構造物に当接しているときは前記ストッパ部材を、前記ストッパ部材が前記第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定する位置に位置決めする、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1の係合部は、前記ストッパ部材を、該ストッパ部材が前記第1の係合部を前記第1の固定構造物に対して固定する位置に保持するラッチ機構を有し、前記可動梁は、該可動梁の長手方向に略垂直な方向に変位可能に構成されたロッドを備えたアクチュエータを有し、前記ラッチ機構の係合を解除可能に構成されたラッチプロテクト部材が前記ロッドに連結され、前記ラッチプロテクト部材は、前記ラッチ機構の係合を解除する位置にあるときは前記第1の係合部に係止し、前記ラッチ機構の係合を許容する位置にあるときは前記第1の係合部から分離するように構成される、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記複数の対象物の各々はローラを含むローラテーブルであり、複数の該ローラテーブルが各ローラの回転軸方向に略垂直な方向に隣接配列される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
隣接配置された複数の対象物の配列方向に沿って該複数の対象物の各々の側方を移動可能に構成された架台を、搬送すべき対象物の側方に配置するステップと、
前記架台に設けられた可動梁であって、該可動梁の長手方向に沿って該架台から前記複数の対象物の各々の上方に向けて可動に構成された可動梁を、該架台から前記対象物の上方に向けて移動させるステップと、
前記可動梁を該架台から前記対象物の上方に向けて移動している間に、前記可動梁の可動方向に沿って前記対象物の上方であって前記可動梁の長手方向に離隔配置された少なくとも2つの固定構造物に前記可動梁を順次係合させるステップと、
前記可動梁が前記対象物の各々の上方に位置したときに、該可動梁に設けられた吊り上げ手段を用いて前記対象物を吊り上げるステップと、
前記可動梁を前記架台に向けて移動させるステップと、
を有する搬送方法。
【請求項8】
前記可動梁を、前記架台から第1の固定構造物に係合する第1の位置まで移動させるステップと、
前記可動梁が前記第1の位置に到達して前記第1の固定構造物に係合したら前記可動梁を停止させ、前記吊り上げ手段を前記可動梁の対象物側端部に向けて移動させるステップと、
前記可動梁を前記第1の位置から第2の固定構造物に係合する第2の位置まで移動させるとともに、前記可動梁が前記第1の位置から前記第2の位置まで移動している間、前記吊り上げ手段の静止座標系における位置が変化しないように前記吊り上げ手段を前記可動梁に対して移動させるステップと、
前記可動梁が前記第2の位置に到達して前記第2の固定構造物に係合したら前記可動梁を停止させ、前記吊り上げ手段を前記可動梁の対象物側端部に向けて移動させて、前記対象物を吊り上げ可能な位置に停止させるステップと、
を有する、請求項7に記載の搬送方法。
【請求項9】
前記可動梁が前記第2の位置にありかつ前記吊り上げ手段が前記対象物を吊り上げている状態で、前記吊り上げ手段を前記可動梁の架台側端部に向けて移動させるステップと、
前記可動梁を前記第2の位置から前記第1の位置まで移動させるとともに、前記可動梁が前記第2の位置から前記第1の位置まで移動している間、前記吊り上げ手段の静止座標系における位置が変化しないように前記吊り上げ手段を前記可動梁に対して移動させるステップと、
前記可動梁が前記第1の位置に到達したら前記可動梁を停止させ、前記吊り上げ手段を前記可動梁の架台側端部に向けて移動させるステップと、
を有する、請求項8に記載の搬送方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図3j】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−167452(P2010−167452A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12290(P2009−12290)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000203977)太平工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】