説明

搬送装置及び搬送方法

【課題】連続する各搬送物の間隔が狭い場合でも、各搬送物または選択した搬送物を効率良く所定領域へ仕分けすることが可能な搬送装置を提供することができる。
【解決手段】本搬送装置1aは、搬送物Wを第1搬送方向に搬送する第1搬送手段2と、搬送物Wを選択的に前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段3aとを備え、第2搬送手段3aは、選択された搬送物Wに当接する搬送部材9a、9bが、第2搬送方向に沿って前進するように構成されるので、連続する各搬送物Wの間隔が狭い場合でも、各搬送物Wを効率良く所定領域へ仕分けすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を所定領域に仕分けするための搬送装置及び搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送装置50は、図8〜図10に示すように、搬送物Wを搬送するベルトコンベア51と、該ベルトコンベア51の延在方向に沿って間隔を置いて複数配置され、ベルトコンベア51の幅方向にスライド自在の各スライドコマ52と、各スライドコマ52の下端に当接されるガイドシャフト53とを備えている。そして、ガイドシャフト53をその一端を支点に回動させることにより、各スライドコマ52の配列方向をベルトコンベア51の延在方向に対して所定角度となるようにして、搬送物Wを所定領域(図8にてベルトコンベア51から右側の領域54)に仕分けするようにしている。
【0003】
また、特許文献1には、ベルトコンベヤの一側方に沿って一定の間隔で仕分け装置が配設されており、該仕分け装置は、ベルトコンベヤの搬送方向に対して傾斜したガイドと、該ガイドをベルトコンベヤの搬送方向に直交して進退させるシリンダとを備え、ガイドはシリンダロッドの先端に取り付けられていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−294317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8〜図10に示す従来の搬送装置50では次の(1)〜(3)に示すような問題が発生する。
(1)搬送物Wを仕分けするために各スライドコマ52をスライドさせた後、元の位置に戻すためのより高度な機構及び制御が必要になり、結果的に大型な設備となる。
(2)搬送物Wを、ベルトコンベア51の延在方向に対して左右方向のいずれか一方しか仕分けすることができないために、設備レイアウトが制約される。また、搬送物Wを、ベルトコンベア51の延在方向に対して左右側に仕分けしようとすると、これまで以上に高度な機構及び制御が必要になり、結果的に大型な設備になる。
(3)搬送物Wの搬送距離や仕分け領域の変化に即座に対応することができない。すなわち、従来の搬送装置50では、ベルトコンベア51及び各スライドコマ52を備えたユニットを、搬送物Wの搬送距離や仕分け領域の変化に伴って簡単に増減させることができず、不都合を生じることがある。
【0006】
また、特許文献1の発明では、ベルトコンベア上を連続する各搬送物の間隔がない場合、当該搬送物をシリンダにより所定領域へ仕分けしている最中に後続の搬送物が突出したシリンダロッドに干渉してしまうために、間隔がなく搬送される搬送物をそれぞれスムーズに所定領域に仕分けすることができず問題である。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、連続する各搬送物の間隔が狭い場合でも、各搬送物または選択した搬送物を効率良く所定領域へ仕分けすることが可能な搬送装置及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の搬送装置は、搬送物を所定領域に仕分ける搬送装置であって、搬送物を第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、当該第1搬送手段によって搬送される搬送物を選択的に前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段と、を備え、前記第2搬送手段は、選択された搬送物に当接する搬送部材が、前記第2搬送方向に沿って前進するように構成され、前記第1搬送手段の搬送速度と、前記第2搬送手段の搬送速度の前記第1搬送方向の搬送速度成分とが一致することを特徴としている。
また、本発明の搬送方法は、搬送物を所定領域に仕分ける搬送する搬送方法であって、搬送物を第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、搬送物を前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段と、を備え、前記第1搬送手段により第1搬送方向に搬送される各搬送物に、前記第2搬送手段に備えた複数の搬送部材をそれぞれ当接させて、各搬送物を前記第2搬送方向に沿うようにそれぞれ搬送して所定の仕分け領域に仕分けすることを特徴としている。
これにより、連続する各搬送物の間隔が狭い場合でも、各搬送物または選択した搬送物を効率良く所定領域に仕分けすることができる。
なお、本発明の搬送装置及び搬送方法の各種態様およびそれらの作用については、以下の発明の態様の項において詳しく説明する。
【0009】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項〜(5)項の各々が、請求項1〜5の各々に相当し、(7)項及び(8)項が請求項6及び7に相当する。
【0010】
(1)搬送物を所定領域に仕分ける搬送装置であって、搬送物を第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、当該第1搬送手段によって搬送される搬送物を選択的に前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段と、を備え、前記第2搬送手段は、選択された搬送物に当接する搬送部材が、前記第2搬送方向に沿って前進するように構成され、前記第1搬送手段の搬送速度と、前記第2搬送手段の搬送速度の前記第1搬送方向の搬送速度成分とが一致することを特徴とする搬送装置。
(2)前記第2搬送手段の搬送部材は前記第2搬送方向に後退不能に構成されることを特徴とする(1)項に記載の搬送装置。
(1)項及び(2)項の搬送装置では、第1搬送手段により第1搬送方向に搬送される各搬送物のうち選択された搬送物は、第2搬送手段の搬送部材により第2搬送方向に沿って搬送されて所定領域に仕分けされる。しかも、第2搬送手段の搬送部材は、第2搬送方向に沿って前進すると共に後退不能に構成されているために、連続して搬送される各搬送物の間隔が狭い場合でも、後続の搬送物の仕分けに影響を与えることなく、各搬送物をそれぞれスムーズに所定領域に仕分けすることができる。
【0011】
(3)前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段が1ユニットとして構成されていることを特徴とする(1)項または(2)項に記載の搬送装置。
(3)項の搬送装置では、第1搬送手段及び第2搬送手段を1ユニットとしたユニット数を増減することで、搬送物の搬送距離や仕分け領域の変化に即座に対応することが可能になる。
【0012】
(4)前記第2搬送手段は、その第2搬送方向が平面視で交差するように第1搬送手段を介して上下一対配置されることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれかに記載の搬送装置。
(4)項の搬送装置では、第1搬送手段により第1搬送方向に搬送される搬送物は、上方または下方のいずれか一方の第2搬送手段により第2搬送方向に沿って搬送されて第1仕分け領域に仕分けられる。また、次の搬送物は、他方の第2搬送手段により第2搬送方向に沿って搬送されて第2仕分け領域に仕分けられる。また、第1搬送手段により第1搬送方向に間隔がほとんど無く搬送される各搬送物を、第1及び第2の仕分け領域のそれぞれに仕分けすることができる。なお、第1仕分け領域及び第2仕分け領域は、第1搬送手段による第1搬送方向に対して左右側の領域となる。
【0013】
(5)前記第1搬送手段は、コンベアで構成され、前記第2搬送手段は、駆動ローラ及び案内ローラに巻回された無端状部材と、該無端状部材の周方向に複数連結される前記搬送部材とからなることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれかに記載の搬送装置。
(5)項の搬送装置では、第1搬送手段のコンベア上を搬送される搬送物に、第2搬送手段の搬送部材が当接されると、該搬送物が第2搬送方向に沿って搬送されて所定領域に仕分けられる。また、搬送部材はチェーンに沿って移動されることで元の位置に戻るようになる。
【0014】
(6)前記搬送部材は、搬送物の、前記第1搬送手段による第1搬送方向に対する一側面に当接されることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれかに記載の搬送装置。
(6)項の搬送装置では、搬送物を容易に第2搬送方向に沿って搬送することができる。
【0015】
(7)前記第2搬送手段の上流側に前記第1搬送手段による搬送物の搬送を検出する検出手段を備えることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれかに記載の搬送装置。
(7)項の搬送装置では、第2搬送手段を駆動させるタイミングを認知することができる。
【0016】
(8)搬送物を所定領域に仕分ける搬送する搬送方法であって、搬送物を第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、搬送物を前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段と、を備え、前記第1搬送手段により第1搬送方向に搬送される各搬送物に、前記第2搬送手段に備えた複数の搬送部材をそれぞれ当接させて、各搬送物を前記第2搬送方向に沿うようにそれぞれ搬送して所定の仕分け領域に仕分けすることを特徴とする搬送方法。
(8)項の搬送方法では、第1搬送手段により第1搬送方向に間隔がほとんど無く搬送される各搬送物を、所定の仕分け領域にスムーズに仕分けすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、連続する各搬送物の間隔が狭い場合でも、各搬送物または選択した搬送物を効率良く所定領域へ仕分けすることが可能な搬送装置及び搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る搬送装置の平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る搬送装置の側面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係る搬送装置により搬送物を所定領域に仕分けする作用を段階的に示した図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係る搬送装置の平面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態に係る搬送装置の側面図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態に係る搬送装置の平面図である。
【図7】図7は、本発明の第3の実施形態に係る搬送装置の側面図である。
【図8】図8は、従来の搬送装置の平面図である。
【図9】図9は、従来の搬送装置の正面図である。
【図10】図10は、従来の搬送装置の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る搬送装置1a、1b、1cは、図1、図4及び図6に示すように、搬送物Wを第1搬送方向に搬送する第1搬送手段2と、搬送物Wを選択的に前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段3a、3bと、第2搬送手段3a、3bの上流側に位置して第1搬送手段2による搬送物Wの搬送を検知する検知手段4とを備えている。なお、本実施の形態では、搬送物Wは直方体で構成される。
【0020】
まず、第1の実施形態に係る搬送装置1aを図1〜図3に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、第1搬送手段2は、各ローラ5が並列に配列されるローラコンベア6で構成される。このローラコンベア6の延びる方向が第1搬送方向となる。各ローラ5は独立して回転駆動する。例えば、駆動シャフト(図示略)をローラコンベア6の下方に搬送方向と同じ方向に延在させる。該駆動シャフトと、各ローラ5それぞれとに、伝達チェーン(図示略)を90度向きを変えた状態で巻回する。これにより、駆動シャフトの回転駆動が各ローラ5に各伝達チェーンを介して伝達されて、各ローラ5が独立して回転駆動する。また、後述する第2搬送手段3aを構成するチェーン8が延びる方向に配置されるローラコンベア6の各ローラ5は、チェーン8から垂直方向に突設する各搬送部材9a、9bの移動に干渉しないようにそれぞれ分断して構成される。
【0021】
第2搬送手段3aは、駆動ローラ7a及び案内ローラ7bに巻回され、一定の方向に、例えば、前進方向に循環駆動される無端状部材としてのチェーン8と、該チェーン8の周方向に間隔を置いて複数連結され、搬送物Wの一側面に当接する搬送部材9a、9bとから構成される。該第2搬送手段3aは、第1搬送手段2のローラコンベア6の下方に配置される。
具体的には、駆動ローラ7a及び案内ローラ7bに巻回されたチェーン8は、ローラコンベア6の下方に配置される。チェーン8は、ローラコンベア6による第1搬送方向に対して所定角度θの第2搬送方向に指向するように配置される。チェーン8には、その周方向に間隔を置いて複数の搬送部材9a、9b(本実施の形態では2つ)が連結される。各搬送部材9a、9bは、チェーン8から垂直方向に延びる棒状部材12a、12bと、棒状部材12a、12bの先端に一体的に接続され、搬送物Wの一側面に当接される板状の当接部材13a、13bとからなる。該当接部材13a、13bは、その当接面が第1搬送手段2による第1搬送方向と略平行になるように棒状部材12a、12bに接続される。なお、当接部材13a、13bの第1搬送方向に沿う長さは、搬送物Wの第1搬送方向に沿う長さより短く形成される。
【0022】
また、第1搬送手段2及び第2搬送手段3aを駆動させる際には、第1搬送手段2のローラコンベア6の第1搬送方向への搬送速度と、第2搬送手段3aの駆動ローラ7aによる第2搬送方向への搬送速度の第1搬送方向の搬送速度成分とを一致させるようにする。
【0023】
検知手段4は、例えば、エリアセンサーであり、ある周波数の光線の送光部及び受光部を上下方向に多数備え、その間に搬送物Wが通過すると、各光線が遮断されることで搬送物Wの通過を検知するようにしている。
【0024】
なお、第1の実施形態に係る搬送装置1aでは、検知手段4によって搬送物Wが検知された後所定時間経過後に搬送物Wが通過する位置において、第2搬送手段3aの搬送部材9aまたは9bの当接部材13aまたは13bが、搬送物Wの一側面に当接できるように第2搬送手段3aの駆動ローラ7aの駆動を図示しない制御装置により制御している。
【0025】
次に、第1の実施形態に係る搬送装置1aの作用を図3に基づいて説明する。
図3(a)に示すように、検知手段4により、第1仕分け領域15に仕分けるべき搬送物Wの通過が検知されると、検知してから所定時間経過後にローラコンベア6上の所定位置に搬送される搬送物Wの一側面に、搬送部材9aの当接部材13aが当接できるタイミングで駆動ローラ7aが駆動され、チェーン8が回動して、ローラコンベア6上の所定位置に搬送されてきた搬送物Wの一側面に搬送部材9aの当接部材13aが当接する。
その後、図3(b)に示すように、搬送物Wは、第1搬送手段2のローラコンベア6と、第2搬送手段3aの搬送部材9aとにより、チェーン8の延びる方向に沿ってローラコンベア6外に押し出されるように第1仕分け領域15に仕分けされるようになる。
【0026】
次に、図3(c)に示すように、検知手段4により、次に仕分けるべき搬送物Wの通過が検知されると、検知してから所定時間経過後にローラコンベア6上の所定位置に搬送される当該搬送物Wの一側面に、次の搬送部材9bの当接部材13bが当接できるタイミングで駆動ローラ7aが駆動され、チェーン8が回動して、ローラコンベア6上の所定位置に搬送されてきた搬送物Wの一側面に次の搬送部材9bの当接部材13bが当接する。
その後、図3(d)に示すように、搬送物Wは、第1搬送手段2のローラコンベア6と、第2搬送手段3aの搬送部材9bとにより、チェーン8の延びる方向に沿ってローラコンベア6外に押し出されるように第1仕分け領域15に仕分けされるようになる。
上述した動作が繰り返し実施されて、第1搬送手段2のローラコンベア6上を連続して搬送される搬送物Wのうち、第1仕分け領域15に仕分けるべき搬送物Wが全て仕分けられる。
【0027】
上述したように、第2搬送手段3aの各搬送部材9a、9bは、搬送物Wを所定領域に仕分けした後、第2搬送方向を後退することなく、チェーン8に沿って前進して移動し元の位置に戻るために、各搬送部材9a、9bが後続の搬送物Wの仕分けの障害とならない。この結果、ローラコンベア6上を連続して搬送される各搬送物Wの間隔がほとんど無い場合でも、各搬送物Wを所定領域に仕分けすることが可能になる。この場合には、チェーン8に、間隔がほとんど無い各搬送物Wに順次当接できるように各搬送部材9a、9bを互いに近接して配置するようにする。
【0028】
次に、第2の実施形態に係る搬送装置1bを図4及び図5に基づいて説明する。
第2の実施形態に係る搬送装置1bは、第2搬送手段3bを第1搬送手段2(ローラコンベア6)の上方に配置して構成される。該第2の実施形態に係る搬送装置1bが採用される場合には、第1搬送手段2にベルトコンベアを採用してもよい。
なお、第2の実施形態に係る搬送装置1bの作用は、第1の実施形態に係る搬送装置1aと同じであるのでここでの説明を省略する。
【0029】
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施形態に係る搬送装置1a及び1bでは、ローラコンベア6上を連続して搬送される各搬送物Wの間隔が狭い場合や間隔がほとんど無い場合でも何ら支障なく各搬送物Wを所定領域に仕分けすることができる。また、第1搬送手段2、及び第2搬送手段3aまたは3bを1ユニットとしたユニット数を増減させることで、搬送物Wの搬送距離や仕分け領域の変化に即座に対応することが可能になる。
【0030】
次に、第3の実施形態に係る搬送装置1cを図6及び図7に基づいて説明する。
第3の実施形態に係る搬送装置1cは、上述した第1の実施形態に係る搬送装置1aと第2の実施形態に係る搬送装置1bとを組み合せたものである。すなわち、図6に示すように、第2搬送手段3a、3bによる第2搬送方向が平面視で交差するように、第2搬送手段3b、3aが第1搬送手段2を介して上下一対配置される。図6において搬送物Wを第1搬送方向に対して右側の仕分け領域15に仕分ける第2搬送手段3bを第1搬送手段2(ローラコンベア6)の上方に配置し、図6において搬送物Wを第1搬送方向に対して左側の仕分け領域16に仕分ける第2搬送手段3aを第1搬送手段2(ローラコンベア6)の下方に配置する。
【0031】
次に、第3の実施形態に係る搬送装置1cの作用を説明する。
検知手段4により搬送物Wの通過が検知されると、まず、第1搬送手段2の上方に配置した第2搬送手段3bが駆動される。すなわち、検知手段4による検知から所定時間経過後にローラコンベア6上の所定位置に搬送される搬送物Wの一側面に、上方の第2搬送手段3bの搬送部材9aの当接部材13aが当接できるタイミングで駆動ローラ7aが駆動され、チェーン8が回動して、ローラコンベア6上の所定位置に搬送されてきた搬送物Wの一側面に搬送部材9aの当接部材13aが当接する。
その後、搬送物Wは、第1搬送手段2のローラコンベア6と、上方の第2搬送手段3bの搬送部材9aとにより、チェーン8の延びる方向に沿ってローラコンベア6外に押し出されるように第1仕分け領域15に仕分けられる。
【0032】
次に、検知手段4により次の搬送物Wの通過が検知されると、第1搬送手段2の下方に配置した第2搬送手段3aが駆動され、上方の第2搬送手段3bと同様に、次の搬送物Wは、第1搬送手段2のローラコンベア6と、下方の第2搬送手段3aの搬送部材9aとにより、チェーン8の延びる方向に沿ってローラコンベア6外に押し出されるように第2仕分け領域16に仕分けられる。
上述した動作が繰り返し実施されて、第1搬送手段2のローラコンベア6上を連続して搬送される各搬送物Wは、交互に第1及び第2仕分け領域15、16に仕分けられる。
【0033】
本実施の形態では、第1搬送手段2のローラコンベア6上を連続して搬送される各搬送物Wを第1及び第2仕分け領域15、16に交互に仕分ける形態を説明したが、上方または下方の第2搬送手段3bまたは3aを選択的に駆動させることで、第1及び第2仕分け領域15、16それぞれに仕分ける個数を適宜設定することができる。
【0034】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態に係る搬送装置1cでは、第1搬送手段2のローラコンベア6上を連続して搬送される各搬送物Wを、第1搬送方向に対して左右両側の第1及び第2仕分け領域15、16に適宜仕分けすることができる。また、第3の実施形態に係る搬送装置1cでは、第1搬送手段2を介して上下一対の第2搬送手段3b、3aが作動時に互いに干渉することはないので、ローラコンベア6上を連続して搬送される各搬送物Wの間隔がほとんど無い場合でも、各搬送物Wを支障なく第1及び第2仕分け領域15、16のそれぞれに仕分けすることができる。
【符号の説明】
【0035】
1a、1b、1c 搬送装置,2 第1搬送手段,3a、3b 第2搬送手段,4 検知手段,6 ローラコンベア,7a 駆動ローラ,8 チェーン(無端状部材),9a、9b 搬送部材,15 第1仕分け領域,16 第2仕分け領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を所定領域に仕分ける搬送装置であって、
搬送物を第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、
当該第1搬送手段によって搬送される搬送物を選択的に前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段と、を備え、
前記第2搬送手段は、選択された搬送物に当接する搬送部材が、前記第2搬送方向に沿って前進するように構成され、
前記第1搬送手段の搬送速度と、前記第2搬送手段の搬送速度の前記第1搬送方向の搬送速度成分とが一致することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送手段の搬送部材は前記第2搬送方向に後退不能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段が1ユニットとして構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第2搬送手段は、その第2搬送方向が平面視で交差するように第1搬送手段を介して上下一対配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1搬送手段は、コンベアで構成され、
前記第2搬送手段は、駆動ローラ及び案内ローラに巻回された無端状部材と、該無端状部材の周方向に複数連結される前記搬送部材とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第2搬送手段の上流側に前記第1搬送手段による搬送物の搬送を検出する検出手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
搬送物を所定領域に仕分ける搬送する搬送方法であって、
搬送物を第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、搬送物を前記第1搬送方向に対して所定角度の第2搬送方向に搬送する第2搬送手段と、を備え、
前記第1搬送手段により第1搬送方向に搬送される各搬送物に、前記第2搬送手段に備えた複数の搬送部材をそれぞれ当接させて、各搬送物を前記第2搬送方向に沿うようにそれぞれ搬送して所定の仕分け領域に仕分けすることを特徴とする搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−254868(P2012−254868A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129260(P2011−129260)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】