説明

搬送装置及び搬送装置の制御方法

【課題】把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる搬送装置及び搬送手段を得ることを目的とする。
【解決手段】円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、回転体を回転させるサーボモータ34と、回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、回転体が回転した状態で、該搬送物の受け取り及び受け渡しを行うグリッパを備えている。そして、グリッパにより回転体に与えられる外乱トルクを打ち消した所定のトルクで回転体が回転するようにサーボモータ34を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び搬送装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送物(例えば、ボトル等)を搬送する搬送装置として、複数の回転体を備え、回転体から他の回転体へ搬送物を受け渡しながら、搬送物を搬送するものがある。上記複数の回転体は、ギアとシャフトにより機械的に連結されると共に、一つのモータで駆動され、各回転体の動きは、ギアのかみ合い精度等により補償されていた。
【0003】
このような搬送装置として、特許文献1には、主機として作用する回転体と従機として作用する回転体に対し、主機と従機の位相を合わせる第1モード、主機の増減速に合わせながら従機を増減速する制御を行う第2モード、主機が増減速を完了し、一定速度を維持する第3モードを有し、第1モードでは、主機を停止した状態で、従機を低速で位相が零となるまで駆動し、第2モード及び第3モードでは、主機の運転速度に比例した速度演算結果と、主機を回転させるモータのエンコーダ及び従機を回転させるモータのエンコーダの出力から得られた位相制御演算結果と、n個の位相の平均値を取り、これに比例した速度演算を行い、これらの和を従機の速度指令として与えることで、主機と従機の動きを制御する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−122986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、各回転体毎にモータが設けられ、該モータによって回転体を回転させる搬送装置がある。
そして、これらの各回転体には、一対の把持爪で搬送物を把持するグリッパ(把持手段)が回転体の周縁に複数備えられている。グリッパは、一対の把持爪が搬送物を把持する側とは反する側にばねが設けられており、該ばねの付勢力に抗する力が付与されることによって、グリッパが開かれ、該力の付与が停止されることによってグリッパが閉じられる。そして、回転体の回転軸に連動するカム機構により、回転体から他の回転体へ搬送物を受け渡す位置付近で開閉する。この開閉のための動力(ばねの付勢力に抗する力)は、回転体の回転軸の駆動トルクにより得ている。そのため、グリッパを開閉する過程で、カム機構にばねの付勢力が作用し、回転体の一定速度の回転を妨げる外乱トルクとなる。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の制御方法は、主機と従機との位相を合わせることはできるものの、回転体が有するグリッパの開閉によって回転体の速度が変化することを抑制することはできない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送物を把持する把持手段を周縁部に複数有する回転体を備えた搬送装置において、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制する搬送装置及び搬送装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の搬送装置は以下の手段を採用する。
【0009】
すなわち、本発明にかかる搬送装置は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、前記回転体を回転させるモータと、前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、前記回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物の受け取り及び受け渡しを行う把持手段と、前記把持手段によって前記回転体に与えられる外乱トルクを打ち消した所定のトルクで前記回転体が回転するように前記モータを制御する制御手段と、を備える。
【0010】
本発明によれば、搬送装置は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、回転体を回転させるモータと、回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、回転体が回転した状態で、該搬送物の受け取り及び受け渡しを行う把持手段と、を備えている。
【0011】
把持手段は、回転体が発生させるトルクによって開閉するため、把持手段の開閉に伴う外乱トルクが回転体に発生する。具体的には、把持手段が開く場合は、回転体を減速させる外乱トルクが発生し、把持手段が閉じる場合は、回転体を加速させる外乱トルクが発生する。そのため、外乱トルクによって回転体が回転する速度が一定に保たれない場合がある。
【0012】
そこで、制御手段が、把持手段によって回転体に与えられる外乱トルクを打ち消した所定のトルクで回転体が回転するようにモータを制御するので、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0013】
また、本発明の搬送装置では、前記回転体の回転角度と前記外乱トルクの値との関係を示す情報を記憶した記憶手段と、前記回転体を所定の回転角度で回転させるためのトルクの値を導出する導出手段と、をさらに備え、前記制御手段が、前記記憶手段に記憶された前記情報から前記所定の回転角度に応じた前記外乱トルクの値を読み出し、前記導出手段によって導出されたトルクの値から、前記記憶手段から読み出した前記外乱トルクの値を減算したトルクで前記回転体が回転するように前記モータを制御してもよい。
【0014】
本発明によれば、記憶手段が、回転体の回転角度と外乱トルクの値との関係を示す情報を記憶しており、導出手段によって、回転体を所定の回転角度で回転させるためのトルクの値が導出され、制御手段によって、記憶手段に記憶された情報から前記所定の回転角度に応じた外乱トルクの値を読み出し、導出手段により導出されたトルクの値から、記憶手段から読み出した外乱トルクの値を減算したトルクで回転体が回転するようにモータが制御される。
【0015】
このように、導出手段により導出されたトルクの値から、記憶手段に記憶された情報により示される所定の回転角度に応じた外乱トルクの値を減算したトルクで回転体を回転させるので、より簡易な構成で、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0016】
また、本発明の搬送装置では、前記記憶手段に記憶される情報が、前記回転体の所定周期毎に修正されてもよい。
【0017】
本発明によれば、記憶手段に記憶される情報が、時間の経過と共に修正されるので、把持手段が発生させると共に経年変化等により変動する外乱トルクも打ち消すことができ、より確実に、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0018】
また、本発明の搬送装置では、前記回転体を回転させるためのトルクの値を示した第1トルク指令値を導出する第1導出手段と、前記回転体が回転したときの角加速度と前記回転体を回転させるためのトルクの値を示す第2トルク指令値とに基づいて、前記外乱トルクの値を導出する第2導出手段と、前記第1導出手段によって導出された第1トルク指令値と前記第2導出手段によって導出された前記外乱トルクの値とに基づいて、前記第2トルク指令値を導出する第3導出手段と、をさらに備え、前記制御手段が、前記第2トルク指令値に基づいて前記モータを制御してもよい。
【0019】
本発明によれば、第1導出手段によって、回転体を回転させるためのトルクの値を示した第1トルク指令値が導出され、第2導出手段によって、回転体が回転したときの角加速度と回転体を回転させるためのトルクの値を示した第2トルク指令値とに基づいて、外乱トルクの値が導出され、第3導出手段によって、第1導出手段によって導出された第1トルク指令値と第2導出手段で導出された外乱トルクの値とに基づいて、第2トルク指令値が導出される。そして、制御手段によって、トルク指令値に基づいてモータが制御される。
【0020】
このように、回転体が回転したときの角加速度と回転体を回転させるためのトルクの値を示した第2トルク指令値とに基づいて外乱トルクの値を導出するので、回転体に発生する外乱トルクの値をリアルタイムで得ることができ、より確実に、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0021】
また、本発明の搬送装置では、前記角加速度のうち所定周波数の値を通過させる第1フィルタと、前記第2トルク指令値のうち所定周波数の値を通過させる第2フィルタと、をさらに備え、前記第2導出手段が、前記第1フィルタを通過した前記角加速度と、前記第2フィルタを通過した前記第2トルク指令値とに基づいて、前記外乱トルクの値を導出してもよい。
【0022】
本発明によれば、第1フィルタによって角加速度の雑音が除去され、第2フィルタによって第2トルク指令値の雑音が除去され、雑音が除去された角加速度と第2トルク指令値とに基づいて、外乱トルクの値が導出されるので、より確実に、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の搬送装置の制御方法は以下の手段を採用する。
【0024】
すなわち、本発明にかかる搬送装置の制御方法は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、前記回転体を回転させるモータと、前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、前記回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物の受け取り及び受け渡しを行う把持手段と、を備えた搬送装置の制御方法であって、前記把持手段によって前記回転体に与えられる外乱トルクを打ち消した所定のトルクで前記回転体が回転するように前記モータを制御する。
【0025】
本発明によれば、搬送装置は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、回転体を回転させるモータと、回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、回転体が回転した状態で、該搬送物の受け取り及び受け渡しを行う把持手段と、を備えている。そして、把持手段によって回転体に与えられる外乱トルクを打ち消した所定のトルクで回転体が回転するようにモータを制御するので、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の搬送装置は以下の手段を採用する。
【0027】
すなわち、本発明にかかる搬送装置は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、前記回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物を第1位置で受け取り、該搬送物を第2位置で受け渡す把持手段と、前記第1位置に設けられ、前記把持手段に当接することで該把持手段を開閉させる第1カムと、前記第2位置に設けられ、前記把持手段に当接することで該把持手段を開閉させる第2カムと、を備えている。
【0028】
前記第1カム及び前記第2カムは、前記第1位置で前記把持手段が閉状態から開状態となる場合に、前記第2位置で前記把持手段が開状態から閉状態となり、前記第1位置で前記把持手段が閉状態から開状態となる場合に、前記第2位置で前記把持手段が開状態から閉状態となるように配置される。
【0029】
本発明によれば、搬送装置は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、回転体が回転した状態で、該搬送物を第1位置で受け取り、該搬送物を第2位置で受け渡す把持手段と、第1位置に設けられ、把持手段に当接することで該把持手段を開閉させる第1カムと、第2位置に設けられ、把持手段に当接することで該把持手段を開閉させる第2カムと、を備えている。
【0030】
そして、第1カム及び第2カムは、第1位置で把持手段が閉状態から開状態となる場合に、第2位置で把持手段が開状態から閉状態となり、第1位置で把持手段が閉状態から開状態となる場合に、第2位置で把持手段が開状態から閉状態となるように配置されるので、第1位置で生じる外乱トルクと第2位置で生じる外乱トルクが打ち消し合い、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制することができる。
【0031】
また、本発明の搬送装置は、前記第1カムの中心軸線と前記第2カムの中心軸線のなす角度を、隣接する前記把持手段間の間隔を示す角度の半分の奇数倍としてもよい。
【0032】
本発明によれば、第1カムの中心軸線と第2カムの中心軸線がなす角度を、隣接する把持手段間の間隔を示す角度の半分の奇数倍とするので、より簡易な構成で把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0033】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の搬送装置は以下の手段を採用する。
【0034】
すなわち、本発明にかかる搬送装置は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、前記回転体を回転させるモータと、前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物を第1位置で受け取り、該搬送物を第2位置で受け渡す把持手段と、前記把持手段毎に設けられ、前記モータの動力に連動することなく前記把持手段を開閉させる開閉手段と、を備える。
【0035】
本発明によれば、搬送装置は、円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、回転体を回転させるモータと、回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物を第1位置で受け取り、該搬送物を第2位置で受け渡す把持手段と、を備えている。そして、把持手段毎に設けられている開閉手段によって、モータの動力に連動することなく把持手段が開閉される。
【0036】
これによって、把持手段が開閉しても外乱トルクは発生しないので、把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【0037】
また、本発明の搬送装置は、前記開閉手段を、モータ又は電磁力によって鉄心が駆動するソレノイドとしてもよい。
【0038】
本発明によれば、開閉手段をモータ又は電磁力によって鉄心が駆動するソレノイドとするので、より簡易な構成で把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【発明の効果】
【0039】
把持手段の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係る搬送装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転体の回転機構の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るグリッパの構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る回転体の制御ブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る回転体の制御ブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るグリッパの開閉の説明に要する図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るグリッパ及びカムの配置位置を示す概略図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るグリッパの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明に係る搬送装置及び搬送装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0042】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0043】
図1に本第1実施形態に係る搬送装置10の概略図を示す。なお、本第1実施形態に係る搬送装置10は、搬送物の一例として中に液体(飲料物)が充填されるボトルを搬送する。なお、ボトルの材質は、ガラス又はPET(Polyethylene Terephthalate)等何れでもよく、ボトルの形状も後述するグリッパ50で把持できる形状であればどのような形状でもよい。
【0044】
搬送装置10は、ボトルを搬送しながら、ボトルの殺菌及び洗浄、ボトルへの飲料物の充填、並びにボトルの開口部をキャップを用いて閉じる、複数の回転体(スターホイール12、リンサ14A〜14C、フィラー16、キャッパ18)で構成されている。そして、回転体から他の回転体へボトルが受け渡されることで、ボトルは搬送される。
【0045】
具体的には、搬送装置10へ搬送されたボトルは、スターホイール12によって殺菌部20へ搬送され、殺菌部20に設けられたリンサ14A,14Bによって内部が殺菌される。殺菌されたボトルは、洗浄部22へスターホイール12によって搬送され、洗浄部22に設けられたリンサ14Cによって内部が洗浄される。洗浄されたボトルは、充填部24へスターホイール12によって搬送され、充填部24に設けられたフィラー16によって内部に飲料物が充填される。そして、飲料物が充填されたボトルは、キャピング部26へスターホイール12によって搬送され、キャピング部26に設けられたキャッパ18によってキャップを用いて開口部が閉じられる。
【0046】
図2に、スターホイール12を例とした回転体の回転機構の概略図を示す。
【0047】
同図に示すように、各スターホイール12は、シャフト30及び減速機32を介してサーボモータ34の回転軸と機械的に接続され、サーボモータ34の回転軸の回転力によって回転する。なお、隣り合うスターホイール12(回転体)は、各々回転方向が逆となるように制御される。
【0048】
各サーボモータ34は、サーボモータ34を制御するためのサーボアンプ36に電気的に接続されており、各サーボアンプ36は、通信ケーブル38を介してホストコントローラ40に接続されている。ホストコントローラ40は、各回転体を同期させるための位置指令値を各サーボアンプ36に送信する。サーボアンプ36は、ホストコントローラ40から送信された位置指令値、位置指令値に基づいた速度指令値、及び対応するサーボモータ34のモータエンコーダの検出値に基づいて、サーボモータ34を制御する。なお、位置指令値とは、回転体を回転させる回転角度(例えば、0°〜360°)を示し、速度指令値とは、回転体を回転させる速度(角速度)を示す。
【0049】
さらに、図3に示すように、各回転体の周縁には、ボトル46を把持するための一対の把持爪50A,50Bを有するグリッパ50が等間隔で複数設けられている。グリッパ50は、回転体が回転した状態で、隣接する他の回転体からボトル46を所定位置(以下、「受取位置」という。)で受け取り、該他の回転体とは異なる隣接する他の回転体へボトル46を所定位置(以下、「受渡位置」という。)で受け渡す。
【0050】
把持爪50A,50Bは、少なくとも何れか一方(一例として本第1実施形態では、把持爪50A)が中央近辺に設けられた軸52を中心に回動する。そして、ボトル46を把持する側とは反する側に設けられたばね54の付勢力(以下、「ばね力Fs」という。)に抗する力が把持爪50Aに与えられることによって、把持爪50A,50B、すなわちグリッパ50は開かれる。そして、グリッパ50の開かれた領域にボトルが位置した状態で、把持爪50Aへの力の付与を停止することで、再びグリッパ50は閉じられる。このようにして、グリッパ50は、ボトル46を把持する。
【0051】
なお、本第1実施形態に係るグリッパ50は、回転軸に連動するカム機構により、各回転体におけるボトル46の受取位置及び受渡位置付近で開閉する。具体的には、ボトル46の受取位置及び受渡位置には、カム56が配置されており、受取位置又は受渡位置に到達したグリッパ50は、グリッパ50に設けられたカムローラ58がカム56と当接する。これにより、ばね力Fsに抗する接触加重Pが発生し、把持爪50Aが軸52を中心に回動し、グリッパ50が開く。そして、グリッパ50が受取位置又は受渡位置から離れるとカムローラ58はカム56から離間するため、ばね力Fsに抗する接触加重Pは失われ、把持爪50Aが軸52を中心に元の位置へ回動し、グリッパ50が閉じる。
【0052】
このように、本第1実施形態にかかるグリッパ50は、開閉のための動力(接触加重P)をカム56及びカムローラ58を介して回転体の回転軸の駆動トルクにより得、回転体が回転した状態で、他の回転体から受取位置でボトル46を受け取り、受渡位置でボトル46を他の回転体へ受け渡すことができる。
【0053】
ここで、グリッパ50が開かれる場合には、グリッパ50のばね力Fsに抗する接触加重Pを回転体の駆動トルクから得るため、回転体を減速させる方向に減速トルクが発生することとなる。一方、グリッパ50が閉じられる場合は、逆に回転体を加速させる方向に加速トルクが発生することとなる。この加速トルク及び減速トルクは回転体の回転速度を乱す要素(以下、「外乱トルク」という。)となる。
【0054】
そこで、本第1実施形態に係る搬送装置10では、上記外乱トルクを打ち消した所定のトルクで回転体が回転するようにサーボモータ34を制御する。
【0055】
図4に、本第1実施形態に係るサーボモータ34により回転される回転体の制御ブロック図を示す。
【0056】
図4に示す制御ブロックは、サーボアンプ36における制御ブロックである制御系70と回転体における制御ブロックである機械系72とに分けられる。
【0057】
制御系70は、減算部74A、位置制御部76、減算部74B、速度制御部78、減算部74C、テーブル情報読出部80、及び記憶部82を備えている。
【0058】
減算部74Aは、ホストコントローラ40から出力された位置指令値から、機械系72から出力された回転体の回転角度を減算する。
【0059】
位置制御部76は、減算部74Aから出力された位置指令値に基づいて速度指令値を導出する。
【0060】
減算部74Bは、位置制御部76から出力された速度指令値から、機械系72から出力された回転体の角速度を減算する。
【0061】
速度制御部78は、減算部74Bから出力された速度指令値に基づいて、該速度指令値に応じた回転角度で回転体を回転させるためのトルクの値を示すトルク指令値を導出する。なお、該トルク指令値とは、サーボモータ34を回転させるための電流値である。
【0062】
また、記憶部82は、回転体の回転角度と外乱トルクの値との関係を示すテーブル情報を記憶している。なお、該テーブル情報とは、一例として、横軸を回転角度、縦軸をトルク補正値として表わしており、該トルク補正値が外乱トルクの値を示している。
【0063】
そして、テーブル情報読出部80は、記憶部82に記憶されているテーブル情報から、機械系72から出力された回転体の回転角度に応じたトルク補正値を読み出す。
【0064】
減算部74Cは、速度制御部78から出力されたトルク指令値から、テーブル情報読出部80から出力されたトルク補正値を減算する。そして、減算部74Cから出力されたトルク指令値によってサーボモータ34は回転し、該サーボモータ34の回転により回転体は外乱トルクを打ち消したトルクで回転することとなる。
【0065】
なお、機械系72における減算部74Dとは、カム56及びカムローラ58からなるカム機構84で発生した外乱トルクによって回転体のトルクが減少することを便宜的に示しているものであり、実際に減算部74Dに相当する機能を機械系72は備えていない。そして、減算部74Dから出力されるトルクの値が回転体で発生する正味のトルクである。
【0066】
そして、制御ブロック86Aは、回転体のトルクに基づいた回転体の角速度を導出すると共に出力し、制御ブロック86Bは、該角速度から回転体の回転角度を導出すると共に出力する。なお、本第1実施形態に係る制御ブロック86Bから出力される回転角度とは、サーボモータ34に備えられているエンコーダから出力される回転角度である。
【0067】
さらに、本第1実施形態に係る搬送装置10は、テーブル情報修正部88を備えている。
【0068】
テーブル情報修正部88は、記憶部82に記憶しているテーブル情報を逐次修正する。外乱トルクは、グリッパ50の開閉のみの要因で発生するものではなく、経年劣化等によっても発生し、時間と共に変動する場合がある。このような場合にも、外乱トルクを打ち消すことができるようにするため、記憶部82に記憶しているテーブル情報を逐次更新する。
【0069】
具体的には、回転体の1周期分の回転を修正区間単位とし、その周期をTとし、(1)式に示すように1周期分の制御系の速度偏差δω(t)、角度θ(t)を記憶部82又は不図示の記憶手段に記憶する。
【数1】

【0070】
さらに、(2)式に示すように、速度偏差δω(t)に調整係数Kを積算して得たデータ列を前の周期のトルク補正値δτに加算する。なお、(2)式において、初期データδτ(t)|0〜Tは全てゼロ(零)とされている。
【数2】

【0071】
そして、データ列δτを縦軸、θを横軸にしてテーブル情報を修正する。この修正されたデータ列δτ(θ)は、回転体の次の周期の回転のトルクの補正に用いられることとなる。このように、データ列δτ(θ)を回転体の所定周期毎(例えば、1周期毎)に修正し、回転角度の値に対応する外乱トルクを読み出して、速度制御部78から出力されるトルク指令値を減算することで偏差を小さくする。
【0072】
以上説明したように、本第1実施形態に係る搬送装置10は、回転体の回転角度と外乱トルクの値との関係を示すテーブル情報を記憶した記憶部82、及び回転体を所定の回転角度で回転させるトルクの値を導出する速度制御部78を備え、記憶部82に記憶されたテーブル情報から回転体の回転角度に応じた外乱トルクの値を読み出し、速度制御部78によって導出されたトルクから読み出した上記外乱トルクの値を減算したトルクを回転体が発生するようにサーボモータ34を制御する。
【0073】
これによって、グリッパ50の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制することができる。これにより、隣り合う回転体の位相を同期させることができる。そして、回転体の速度の変化が抑制されるため、搬送物であるボトル46の内容物が搬送中に飛散することを抑制できる。
【0074】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0075】
なお、本第2実施形態に係る搬送装置10の構成、及び回転体の回転機構の構成は、図1に示される第1実施形態に係る搬送装置10の構成、及び図2に示される第1実施形態に係る回転体の回転機構の構成と同様であるので説明を省略する。
【0076】
図5に、本第2実施形態に係るサーボモータ34により回転される回転体の制御ブロック図を示す。なお、図5における図4と同一の構成部分については図4と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
本第2実施形態に係る制御系70は、加算部90、及び外乱トルク導出部92を備えている。
【0078】
加算部90は、速度制御部78で導出されたトルク指令値(以下、「第1トルク指令値」という。)から外乱トルク導出部92で導出されたトルク補正値(詳細は後述)に基づいて、サーボモータ34へ出力する第2トルク指令値を導出する。なお、本第2実施形態では、速度制御部78で導出された第1トルク指令値から外乱トルク導出部92で導出されたトルク補正値を加算することでサーボモータ34へ出力する第2トルク指令値を導出する。
【0079】
外乱トルク導出部92は、回転体が回転したときの角加速度と加算部90から出力された第2トルク指令値とに基づいて、外乱トルクの値を導出する。なお、本第2実施形態に係る外乱トルク導出部92は、角加速度導出部94、フィルタ96A、積算部98、フィルタ96B、及び減算部74Eを備えている。
【0080】
角加速度導出部94は、回転体の角加速度を導出する。なお、本第2実施形態では、角加速度導出部94に、機械系72から出力された回転体の回転角度が入力され、該回転角度を2階微分することで、回転体の角加速度を導出する。
【0081】
フィルタ96Aは、角加速度導出部94から出力された角加速度が入力され、該角加速度のうち所定周波数の値を通過させ、該角加速度に含まれる雑音(ノイズ)を除去する。
【0082】
積算部98は、フィルタ96Aを通過した角加速度と回転体の慣性モーメントとを積算し、回転体のトルクの値を導出する。なお、慣性モーメントは、各回転体の設計値から予め算出される。
【0083】
一方、フィルタ96Bは、加算部90から出力された第2トルク指令値が入力され、該第2トルク指令値のうち所定周波数の値を通過させ、該第2トルク指令値に含まれる雑音(ノイズ)を除去する。
【0084】
なお、本第2実施形態に係る搬送装置10では、フィルタ96A,96Bとして、高周波の雑音を除去するためにローパスフィルタを用いるが、これに限らず、ハイパスフィルタ、又はバンドパスフィルタ等、他のフィルタを用いてもよい。また、フィルタ96Aに入力される角加速度とフィルタ96Bに入力される第2トルク指令値との位相を合わせるため、フィルタ96A,96Bの時定数を同一とすることが好ましい。
【0085】
減算部74Eは、フィルタ96Bを通過した第2トルク指令値から、積算部98から出力された回転体のトルクの値を減算することで外乱トルクを示すトルク補正値を導出する。そして、該トルク補正値は、加算部90へ出力され、上述したように、速度制御部78から出力された第1トルク指令値に加算され、加算部90から第2トルク指令値が出力される。
【0086】
そして、サーボアンプ36は、加算部90から出力された第2トルク指令値に基づいてサーボモータ34を制御する。
【0087】
ここで、外乱トルク導出部92の作用を下記(3)式に示す運動方程式を用いて説明する。
【数3】

【0088】
(3)式において、Jは慣性モーメント、ωは回転体の角速度、Tはトルク指令値を示し、dは外乱トルクを示す。なお、角速度ωは、回転体の回転角度を微分することで求められる。そして、外乱トルクdは、(3)式から下記(4)式のように求められる。
【数4】

【0089】
角速度ωを微分することで角加速度αが求められるため、外乱トルクdは、(5)式から求められる。
【数5】

【0090】
このように(5)式によって、外乱トルク導出部92で外乱トルクdが導出され、該外乱トルクdをトルク補正値として加算部90へ出力する。
【0091】
以上説明したように、本第2実施形態に係る搬送装置10は、回転体が回転したときの角加速度とサーボモータ34に出力する第2トルク指令値とに基づいて、外乱トルクの値を導出し、速度制御部78で導出された第1トルク指令値と上記外乱トルクの値とに基づいて、サーボモータ34に出力する第2トルク指令値を導出し、該第2トルク指令値に基づいてサーボモータ34を制御する。
【0092】
これによって、回転体に発生する外乱トルクの値をリアルタイムで得ることができ、より確実に、グリッパ50の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制することができる。これにより、隣り合う回転体の位相を同期させることができる。そして、回転体の速度の変化が抑制されるため、搬送物であるボトル46の内容物が搬送中に飛散することを抑制できる。
【0093】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0094】
なお、本第3実施形態に係る搬送装置10の構成、及び回転体の回転機構の構成は、図1に示される第1実施形態に係る搬送装置10の構成、及び図2に示される第1実施形態に係る回転体の回転機構の構成と同様であるので説明を省略する。
【0095】
本第3実施形態に係る搬送装置10では、受取位置及び受渡位置、すなわちグリッパ50が開閉する位置を、上述した外乱トルクを抑制する位置とする。
【0096】
図6に、本第3実施形態に係るグリッパ50及びカム56の配置位置を示す。なお、受取位置に対応するカムをカム56Aとし、受渡位置に対応するカムをカム56Bとする。また、以下の説明において、各カムを区別する場合は、符号の末尾に対応するA,Bの何れかを付して説明し、各カムを区別しない場合は、A,Bを省略する。
【0097】
ここで、図6に示すように、グリッパ50のカムローラ58と当接するカム56の領域110は、曲面とされており、カム56とカムローラ58とが当接を開始し始めると、回転体の回転と共に徐々にカム56がカムローラ58を押し上げ、これに伴い、グリッパ50が徐々に開く。そして、カムローラ58を最も押し上げる位置でグリッパ50の開度が最大となる。その後、回転体の回転と共にカム56によるカムローラ58の押し上げは徐々に弱まり、これに伴い、グリッパ50は徐々に閉まる。すなわち、カム56とカムローラ58とが当接するカム56の領域110は、グリッパ50を閉状態から開状態にする開く領域110Aとグリッパ50を開状態から閉状態にする領域110Bとに分けられる。
【0098】
そして、図7に示すカム56Aの中心軸線116Aとカム56Bの中心軸線116Bのなす角度(開き角度ξ)が、(6)式に示すように、隣接するグリッパ50間の間隔を示す角度(グリッパピッチ角Ψ)の半分の奇数倍となるようにカムを配置する。
【0099】
【数6】

【0100】
この配置によって、カム56A及びカム56Bは、図7に示す受取位置112でグリッパ50が閉状態から開状態となる場合に、図7に示す受渡位置114でグリッパ50が開状態から閉状態となり、受取位置112でグリッパ50が開状態から閉状態となる場合に、受渡位置114でグリッパ50が閉状態から開状態となるように配置される。すなわち、受取位置112でカムローラ58がカム56Aの領域110Aと当接している場合に、受渡位置114でカムローラ58がカム56Bの領域110Bと当接し、受取位置112でカムローラ58がカム56Aの領域110Bと当接している場合に、受渡位置114でカムローラ58がカム56Bの領域110Aと当接する。
【0101】
これにより、グリッパ50の開閉に伴い生じる外部トルクは打ち消される。
【0102】
以上説明したように、本第3実施形態に係る搬送装置10では、受取位置112でグリッパ50が閉状態から開状態となる場合に、受渡位置114でグリッパ50が開状態から閉状態となり、受取位置112でグリッパ50が開状態から閉状態となる場合に、受渡位置114でグリッパ50が閉状態から開状態となるので、受取位置112で生じる外乱トルクと受渡位置114で生じる外乱トルクが打ち消し合い、グリッパ50の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制することができる。これに伴い、隣り合う回転体の位相を同期させることができる。そして、回転体の速度の変化が抑制されるため、搬送物であるボトル46の内容物が搬送中に飛散することを抑制できる。
【0103】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
【0104】
なお、本第4実施形態に係る搬送装置10の構成、及び回転体の回転機構の構成は、図1に示される第1実施形態に係る搬送装置10の構成、及び図2に示される第1実施形態に係る回転体の回転機構の構成と同様であるので説明を省略する。
【0105】
上記第1〜3実施形態では、グリッパ50は、開閉のための動力(接触加重P)を回転体の回転軸の駆動トルクにより得ていたが、本第4実施形態では、回転体に連動することなくグリッパ50を開閉させる開閉部を、グリッパ50毎に設ける。
【0106】
図8に、本第4実施形態に係るグリッパ50の構成を示す。
【0107】
図8(A)に示すグリッパ50は、上記開閉部として、サーボモータ130を備えている。
【0108】
サーボモータ130の回転軸は、ボールネジ132の一端に連結されている。そして、ボールネジ132の他端は、ボールネジ132に沿って移動する台座134に連結されている。そして、台座134には連結部材136A,136Bの一端が連結点138で回動可能なように連結されている。一方、連結部材136Aの他端は、把持爪50Aのボトル46を把持する側とは異なる側に回動可能なように連結され、連結部材136Bの他端は、把持爪50Bのボトル46を把持する側とは異なる側に回動可能なように連結されている。
【0109】
これにより、サーボモータ130によってボールネジ132を所定方向に回転させることによって、台座134は、グリッパ50が連結されている方向とは異なる方向である方向Aへ移動する。これにより、連結部材136A,136Bの開き角度θが小さくなり、グリッパ50は開くこととなる。一方、ボールネジ132を所定方向とは逆の方向に回転させることで、台座134は、グリッパ50が連結されている方向Bへ移動する。これにより、連結部材136A,136Bの開き角度θが大きくなり、グリッパ50は閉じることとなる。
【0110】
一方、図8(B)に示すグリッパ50は、開閉部材として、電磁力によって鉄心(プランジャ140A)が駆動するソレノイド140を備える。
【0111】
ソレノイド140は、把持爪50A,50Bのボトル46を把持する側とは異なる側に備えられており、本第4実施形態では、一例として、本体140Bが把持爪50Aに連結され、プランジャ140Aが把持爪50Bに連結される。
【0112】
そして、ソレノイド140の電流を流すことによって、プランジャ140Aを移動させ、グリッパ50を開閉させる。
【0113】
以上説明したように、本第4実施形態に係る搬送装置10では、回転体に連動させることなくグリッパ50を開閉させるので、グリッパ50の開閉によって回転体の速度が変化することを抑制することができる。これに伴い、隣り合う回転体の位相を同期させることができる。そして、回転体の速度の変化が抑制されるため、搬送物であるボトル46の内容物が搬送中に飛散することを抑制できる。
【0114】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
10 搬送装置
12 スターホイール
34 サーボモータ
36 サーボアンプ
50 グリッパ
56A カム
56B カム
78 速度制御部
82 記憶部
90 加算部
92 外乱トルク導出部
96A フィルタ
96B フィルタ
130 サーボモータ
140 ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、
前記回転体を回転させるモータと、
前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、前記回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物の受け取り及び受け渡しを行う把持手段と、
前記把持手段によって前記回転体に与えられる外乱トルクを打ち消した所定のトルクで前記回転体が回転するように前記モータを制御する制御手段と、
を備えた搬送装置。
【請求項2】
前記回転体の回転角度と前記外乱トルクの値との関係を示す情報を記憶した記憶手段と、
前記回転体を所定の回転角度で回転させるためのトルクの値を導出する導出手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記情報から前記所定の回転角度に応じた前記外乱トルクの値を読み出し、前記導出手段によって導出されたトルクの値から、前記記憶手段から読み出した前記外乱トルクの値を減算したトルクで前記回転体が回転するように前記モータを制御する請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶される情報は、前記回転体の所定周期毎に修正される請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記回転体を回転させるためのトルクの値を示した第1トルク指令値を導出する第1導出手段と、
前記回転体が回転したときの角加速度と前記回転体を回転させるためのトルクの値を示す第2トルク指令値とに基づいて、前記外乱トルクの値を導出する第2導出手段と、
前記第1導出手段によって導出された第1トルク指令値と前記第2導出手段によって導出された前記外乱トルクの値とに基づいて、前記第2トルク指令値を導出する第3導出手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2トルク指令値に基づいて前記モータを制御する請求項1記載の搬送装置。
【請求項5】
前記角加速度のうち所定周波数の値を通過させる第1フィルタと、
前記第2トルク指令値のうち所定周波数の値を通過させる第2フィルタと、
をさらに備え、
前記第2導出手段は、前記第1フィルタを通過した前記角加速度と、前記第2フィルタを通過した前記第2トルク指令値とに基づいて、前記外乱トルクの値を導出する請求項4記載の搬送装置。
【請求項6】
円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、
前記回転体を回転させるモータと、
前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、前記回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物の受け取り及び受け渡しを行う把持手段と、
を備えた搬送装置の制御方法であって、
前記把持手段によって前記回転体に与えられる外乱トルクを打ち消した所定のトルクで前記回転体が回転するように前記モータを制御する搬送装置の制御方法。
【請求項7】
円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、
前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、前記回転体が発生させるトルクによって開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物を第1位置で受け取り、該搬送物を第2位置で受け渡す把持手段と、
前記第1位置に設けられ、前記把持手段に当接することで該把持手段を開閉させる第1カムと、
前記第2位置に設けられ、前記把持手段に当接することで該把持手段を開閉させる第2カムと、
を備えた搬送装置であって、
前記第1カム及び前記第2カムは、前記第1位置で前記把持手段が閉状態から開状態となる場合に、前記第2位置で前記把持手段が開状態から閉状態となり、前記第1位置で前記把持手段が閉状態から開状態となる場合に、前記第2位置で前記把持手段が開状態から閉状態となるように配置される搬送装置。
【請求項8】
前記第1カムの中心軸線と前記第2カムの中心軸線のなす角度は、隣接する前記把持手段間の間隔を示す角度の半分の奇数倍である請求項7記載の搬送装置。
【請求項9】
円形であり、該円形の中心を軸に回転する回転体と、
前記回転体を回転させるモータと、
前記回転体の周縁部に等間隔で複数設けられ、開閉することで搬送物を把持し、前記回転体が回転した状態で、該搬送物を第1位置で受け取り、該搬送物を第2位置で受け渡す把持手段と、
前記把持手段毎に設けられ、前記モータの動力に連動することなく前記把持手段を開閉させる開閉手段と、
を備えた搬送装置。
【請求項10】
前記開閉手段は、モータ又は電磁力によって鉄心が駆動するソレノイドである請求項9記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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