搬送装置用除電装置、並びに、搬送装置
【課題】搬送装置に対する設置上の制約が少ない搬送装置用除電装置、並びに、当該搬送装置用除電装置を備えた搬送装置の提供を目的とする。
【解決手段】搬送装置1は、フレーム2,2の間に取り付けられたローラ部材3,3の間に除電装置10を取り付けた構成とされている。除電装置10は、除電部材20と除電部材取付具30とによって構成されている。除電装置10は、ローラ部材3,3とフレーム2,2との間に除電部材取付具30,30を上方から差し込む共に、除電部材取付具30,30の間に除電部材20を上方から差し込むことにより、搬送装置1に対して取り付けられる。
【解決手段】搬送装置1は、フレーム2,2の間に取り付けられたローラ部材3,3の間に除電装置10を取り付けた構成とされている。除電装置10は、除電部材20と除電部材取付具30とによって構成されている。除電装置10は、ローラ部材3,3とフレーム2,2との間に除電部材取付具30,30を上方から差し込む共に、除電部材取付具30,30の間に除電部材20を上方から差し込むことにより、搬送装置1に対して取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置用除電装置、並びに、搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているような搬送装置が提供されている。特許文献1に開示されている搬送装置は、これにより搬送される物品に接触可能なようにブラシ状の除電手段を設けた構成とされている。
【特許文献1】特開2001−163431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている搬送装置は、除電手段を構成するブラシを支持するための支持構造をコンベアとは別に設けたものであるため、その分だけ設置が面倒であったり、装置構成が複雑である等の問題があった。すなわち、特許文献1に開示されている搬送装置で採用されている除電手段は、コンベアとは別に支柱を設けるなどせねばならず、その分だけスペースを必要としたり、構成が複雑化するといったような設置上の制約があった。
【0004】
そこで、かかる知見に基づき、本発明は、搬送装置に対する設置上の制約が少ない搬送装置用除電装置、並びに、当該搬送装置用除電装置を備えた搬送装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、搬送装置に取り付けられる搬送装置用除電装置であって、取付け対象たる搬送装置が、平行に配されたフレームと、複数のローラ部材とを有し、ローラ部材が、ローラ本体とローラ本体の端部から突出する固定軸とを備え、前記搬送装置が、ローラ部材の固定軸をフレームに取り付けたものであり、前記搬送装置用除電装置が、除電部材と除電部材取付具とを備えており、除電部材が、除電部材取付具により、搬送装置により搬送される物品に接触可能なように支持されており、除電部材取付具が、板状であって、係合部を備えており、前記除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に配され、前記係合部をローラ部材の固定軸と係合させることにより、前記除電部材と固定軸及び/又はフレームとを導電可能な状態にすることができることを特徴とする搬送装置用除電装置である。
【0006】
本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材取付具の係合部をローラ部材の固定軸に係合させることにより、除電部材支持部に支持されている除電部材を固定軸やフレームに対して導電可能な状態とすることができる。そのため、本発明の搬送装置用除電装置を搬送装置に取り付ければ、搬送装置により搬送される物品が持つ静電気を除電部材を介して固定軸やフレーム側に逃がして確実に解消することができる。
【0007】
また、本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材取付具が板状であり、搬送装置のフレームとローラの間に配されるため、除電部材の取付のために別途スペースを用意する必要がない。そのため、本発明の搬送装置用除電装置は、従来技術のものに比べて設置上の制約が少ない。
【0008】
請求項2に記載の発明は、除電部材取付具の係合部が、固定軸に係合可能な切り欠きを有し、除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に差し込むことにより、前記切り欠きをローラ部材の固定軸に係合させることができることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置用除電装置である。
【0009】
本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材取付具を物品の搬送方向に対して交差する方向に差し込むことにより、除電部材取付具の係合部に設けられた切り欠きをローラ部材の固定軸に係合させることができる。さらに具体的には、例えば搬送装置が水平方向に複数のローラを配置して構成されている場合は、除電部材取付具をローラ部材とフレームとの間で上下方向にスライドさせ、差し込むことにより、除電部材取付具を搬送装置側に取り付けることができる。そのため、本発明によれば、除電部材取付具を容易に装着可能な搬送装置用除電装置を提供できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、除電部材取付具が、除電部材装着部を有し、当該除電部材装着部が、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に除電部材をスライドさせることにより、除電部材を装着できるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置用除電装置である。
【0011】
本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材をスライドさせることにより除電部材を除電部材支持部に装着することができるため、除電部材の装着が容易である。
【0012】
また、本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材を搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向にスライドさせることによって除電部材を除電部材支持部に対して装着するものである。そのため、搬送装置による物品搬送中に、物品の衝突等により除電部材に対して何らかの応力が作用しても、除電部材が除電部材支持部から外れてしまうといった不具合が起こる可能性が低い。
【0013】
請求項4に記載の発明は、除電部材取付具が、除電部材を支持可能な除電部材装着部と、当接部とを有し、除電部材装着部に除電部材を装着した状態において除電部材取付具と除電部材とが導電可能なものであり、除電部材取付具を搬送装置に装着した状態において、前記当接部が、フレームと導電可能なように接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置である。
【0014】
本発明の搬送装置用除電装置は、搬送装置に装着することにより当接部がフレームと導電可能なように接する。また、除電部材装着部に除電部材を装着することにより、除電部材取付具と除電部材とが導電可能な状態になる。そのため、本発明の搬送装置用除電装置によれば、搬送装置によって搬送されている物品が持つ静電気を確実にフレーム側に逃がすことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、除電部材取付具に複数の係合部が設けられており、当該係合部が、搬送装置を構成する一のローラの固定軸と、当該ローラに対して搬送装置における物品の搬送方向上流側あるいは下流側に配された他の一又は複数のローラの固定軸とに係合しており、除電部材が、搬送装置を構成する所定のローラと、当該ローラに隣接した位置に配されたローラとの間に配されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置である。
【0016】
本発明の搬送装置用除電装置は、搬送装置を構成するローラ同士の間に除電部材を配することができる。そのため、本発明によれば、搬送装置による物品の搬送上、邪魔にならないように除電部材を設置可能な搬送装置用除電装置を提供することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、フレームと、当該フレームに取り付けられた複数のローラ部材とを有し、ローラ部材が、フレームに対して複数並べて取り付けられた搬送装置であって、所定のローラ部材と、当該ローラ部材に隣接するローラ部材との間に、除電部材がローラ部材の上を通過する物品に除電部材が接触可能なように請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置が取り付けられていることを特徴とする搬送装置である。
【0018】
本発明の搬送装置は、上記各請求項に記載した搬送装置用除電装置を有し、除電部材がローラ部材の上を通過する物品に接触可能な構成とされている。そのため、本発明の搬送装置によれば、搬送中の物品が持つ静電気を確実に除去することができる。
【0019】
また、本発明の搬送装置は、上記各請求項に記載の搬送装置用除電装置を備えたものであるため、除電部材の取付のためのスペースを別途用意する必要がない。そのため、本発明の搬送装置は、従来技術のものに比べて設置上の制約が少ない。
【0020】
さらに、本発明の搬送装置は、フレームに対して取り付けられたローラ部材同士の間に除電部材が設けられているため、搬送装置用除電装置を設置した状態において、除電部材が搬送装置による物品の搬送の邪魔にならない。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、搬送装置に対する設置上の制約が少ない搬送装置用除電装置、並びに、当該搬送装置用除電装置を備えた搬送装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
続いて、本発明の一実施形態にかかる搬送装置1、並びに、搬送装置用除電装置10について図面を参照しながら詳細に説明する。搬送装置1は、図1に示すように平行に配された2本のフレーム2,2に対して、多数のローラ部材3を装着し、これらのローラ部材3から選ばれる所定のローラ部材3とこれに隣接するローラ部材3との間に搬送装置用除電装置10を設置した構成とされている。
【0023】
さらに具体的に説明すると、フレーム2は、図1等に示すように断面形状がほぼ「コ」字型で長尺の鋼材によって構成されており、水平部2aとこれに対してほぼ垂直な垂直部2bと、水平部2aに対して平行な天面部2cとを有する。フレーム2は、搬送装置1の設置状態において水平部2aが下方に向き、垂直部2bが鉛直方向に向くような姿勢で使用される。フレーム2,2は、図示しないアース線等を用いて接地されている。
【0024】
フレーム2の垂直部2bには、ローラ部材3の装着位置にあわせて多数の取付孔4がほぼ等間隔に設けられている。さらに詳細には、フレーム2,2の延びる方向(長手方向)に並ぶ2つの取付孔4,4の間隔はDとされており、後述する除電部材取付具30の係合部31,32の間隔と同一とされている。取付孔4は、図1〜図3等に示すように、ローラ部材3の固定軸6の断面形状と略同一とされている。本実施形態では、図3や図7等に示すように、固定軸6のうち取付孔4に差し込まれる部分(係合部6a)の断面形状が六角形であるため、取付孔4の開口形状もこれと略同一の大きさおよび形状とされている。
【0025】
ローラ部材3は、図1〜図3等に示すように、ローラ本体5と固定軸6とを有し、固定軸6に対してローラ本体5が回転自在なように支持されている。ローラ部材3には、ローラ本体5の内部にモータ等の動力源を備えた、いわゆるモータ内蔵ローラや、動力源を持たない、いわゆるフリーローラ等を適宜採用することができる。
【0026】
ローラ本体5は、両端部分が閉塞された円筒状の部材である。固定軸6は、ローラ本体5の両端部から突出しており、ローラ本体5の内部に設けられた軸受(図示せず)等によって支持されている。
【0027】
図3に示すように、固定軸6は、軸本体部6cの両端に、係合部6aとネジ軸部6bとが設けられている。係合部6aは、外径(外接円の径)が軸本体部6cの外径よりも小さく、その断面形状はほぼ六角形とされている。また、係合部6aは、上記したフレーム2の取付孔4に係合可能な大きさとされている。そのため、ローラ部材3は、係合部6aをフレーム2の取付孔4に係合した状態とされると、固定軸6がフレーム2に対して回動しないように支持された状態となる。
【0028】
ネジ軸部6bは、固定軸6の両端に設けられており、外周にナット7を装着可能なようにネジが設けられている。ネジ軸部6bは、固定軸6の係合部6aをフレーム2の取付孔4に係合させた状態において、フレーム2,2の外側(図3において右下側あるいは左上側)に突出する。そのため、ローラ部材3は、フレーム2,2の取付孔4に固定軸6の両端側に設けられた係合部6aが差し込まれ、係合した状態で、フレーム2,2の外側に向けて突出したネジ軸部6b,6bにナット7,7が装着されると、ローラ本体5がフレーム2,2に対して回転可能なように固定された状態になる。
【0029】
搬送装置用除電装置10(以下、単に除電装置10と称す)は、図3に示すように、除電部材20と、除電部材取付具30とによって主要部が構成されている。除電部材20は、図3に示すように刷毛あるいはブラシ状の部材であり、金属製の柄部21により、導電性を有する線状体22を挟み込んだ状態とされている。線状体22は、柄部21との間に導電性を有する。線状体22の一部は、図3に示すように柄部21を下方に配した状態において、柄部21に対してほぼ垂直上方に立ち上がっており、残部はやや曲がった状態で立ち上がっている。
【0030】
除電部材取付具30は、図3や図4に示すように板状の金属板の一部に切り欠きを設けたり、凹凸や切り起こしを設けるなどして形成されたものである。さらに具体的には、除電部材取付具30は、矩形の金属板を加工して形成されたものであり、図4に示す状態において、上端30a側が上方に向き、下端30b側が下方に向く姿勢として使用される。また、除電部材取付具30は、図4(a)に示す表面30xがフレーム2が水平部2aに対向し、図4(b)に示す裏面30yがローラ部材3(ローラ本体5)の側面に対向する姿勢として使用される。
【0031】
図4に示すように、除電部材取付具30は、係合部31,32と、除電部材装着部35と、当接部40,41とを有する。係合部31,32は、それぞれ除電部材取付具30の下端30b側から上端30a側に向けて直線的に延びる切り欠きによって構成されている。係合部31,32は、それぞれ除電部材取付具30の幅方向中央部から左右方向(幅方向)に外れた位置に形成されている。また、上記したように、係合部31,32の間隔は、フレーム2,2に設けられたローラ部材3の固定軸6を装着するために設けられた取付孔4,4の間隔Dとほぼ同一とされている。
【0032】
除電部材装着部35は、図4(b)にハッチングで示すように5つの凹凸部36により、除電部材取付具30の上端30a側を除く3方を囲んで構成された部分である。また、凹凸部36は、図3や図5に示すように除電部材取付具30の表面30x側から裏面30y側に向けて突出している。そのため、除電部材装着部35は、図3等に示すように、除電部材取付具30の上端30a側から、下端30b側に設けられた凹凸部36(以下、必要に応じて下端凹凸部36aと称す)に至るまで、ほぼ直線的に下方に向けて延び、上端30a側に向けて開放された形状となっている。また、除電部材装着部35の幅Wは、上記した除電部材20の柄部21の厚みとほぼ一致している。
【0033】
当接部40,41は、図3〜図5に示すように、除電部材取付具30の一部を表面30x側に向けて切り起こした爪状の部分である。当接部40,41は、それぞれ除電部材取付具30の上端30a側の位置であって、除電部材装着部35の側方部分を構成する凹凸部36よりも除電部材取付具30の幅方向外側(図4において左右方向)にずれた位置に設けられている。
【0034】
続いて、本実施形態の搬送装置1の組み立て構造について、除電装置10の取り付け状態を中心として説明する。搬送装置1は、図1や図7に示すようにフレーム2,2に対して、フレーム2,2の長手方向に複数のローラ部材3を取り付けた構成とされている。ローラ部材3は、図7に示すように、それぞれ固定軸6の係合部6a,6aをフレーム2,2の取付孔4,4に係合させると共に、ネジ軸部6b,6bにナット7,7を装着することにより、フレーム2,2に対して固定されている。
【0035】
除電装置10は、図1に示すように、上記した複数のローラ部材3のうちの1本と、これに隣接するもう1本のローラ部材3(以下、必要に応じてそれぞれをローラ部材3a,3bと称す)との間に除電部材20が到来し、線状体22が上方に向けて立った状態となるように取り付けられる。さらに具体的には、除電装置10の取り付ける際は、先ず図7に示すように、ローラ部材3a,3bの固定軸6,6の両端に除電部材取付具30,30が取り付けられる。
【0036】
すなわち、除電部材取付具30は、図7(a)に示すように、表面30xがフレーム2の垂直部2b側に向き、裏面30yがローラ部材3の側面側に向く姿勢とされ、下端30b側を下方に向けた状態でローラ部材3a,3bの上方から、ローラ部材3a,3bの側面とフレーム2の垂直部2bとの間に差し込まれる。この際、図7(b)に示すように、除電部材取付具30の係合部31,32の位置が、それぞれローラ部材3aやローラ部材3bの固定軸6,6の位置と合うように位置合わせされる。そのため、図7(a),(b)に示すようにして除電部材取付具30を差し込むと、図8(a),(b)に示すように係合部31,32がローラ部材3a,3bの固定軸6,6に対して係合し、接触した状態となる。またこれにより、除電部材取付具30とローラ部材3a,3bの固定軸6,6とが、電気的に導通した状態となる。
【0037】
また、図5や図6に示すように、ローラ部材3a,3bの側面から突出している固定軸6の軸本体部6cの端部とフレーム2の垂直部2bとの間隔Pは、除電部材取付具30の裏面30yから表面30x側に突出している当接部40,41の先端までの厚みp(間隔)と略同一、あるいは、間隔Pが厚みpよりやや大きい程度である。また、除電部材取付具30をローラ部材3a,3bの固定軸6,6に係合させた状態において、固定軸6の軸本体部6cは、除電部材取付具30の裏面30yにほぼ当接した状態となる。換言すれば、除電部材取付具30,30は、固定軸6,6の軸本体部6c,6cとフレーム2の垂直部2b,2bとの間に挟み込まれた状態となる。そのため、除電部材取付具30をローラ部材3a,3bの固定軸6,6に係合させると、図5に示すように、当接部40,41の先端がフレーム2の垂直部2bに当接し、除電部材取付具30とフレーム2とが電気的に導通した状態になる。
【0038】
上記したようにしてローラ部材3a,3bの両脇に除電部材取付具30,30が装着されると、これらに対して除電部材20が取り付けられる。さらに詳細には、除電部材取付具30,30をローラ部材3a,3bの固定軸6,6に係合させた状態とすると、ローラ部材3a,3bのほぼ中間の位置において、フレーム2,2の内側(ローラ部材3の取り付け側)に除電部材装着部35,35が向いた状態になる。また、この状態において、図8(b)等に示すように、溝状の除電部材装着部35,35は、上方に向けて開放された状態となっている。
【0039】
一方、除電部材20は、図8(a),(b)に矢印で示すように柄部21が下方に向き、線状体22が上方に向いた姿勢とされ、この状態で柄部21を溝状の除電部材装着部35,35に沿って下方に向けて差し込まれる。柄部21の下端部分が除電部材装着部35,35を構成する下端凹凸部36aに当接するまで除電部材20が差し込まれると、図9に示すように線状体22がローラ部材3a,3bの間において、搬送装置1の上方に向けて立った状態になる。
【0040】
また、図9に2点鎖線で示すようにローラ部材3a,3bによって構成される搬送面Lを想定した場合、除電部材20を除電部材取付具30,30に装着した状態において、線状体22は、先端が搬送面Lと同程度、あるいは、搬送面Lを超えて上方に突出した状態になる。すなわち、線状体22は、除電部材取付具30,30に取り付けた状態において、搬送面L上を流れる物品(非搬送物)に接触可能な状態となる。
【0041】
ここで、除電装置10は、取り付け状態において、除電部材20と除電部材取付具30とが接触状態となり、両者の間で電気的に導通可能な状態となる。また、除電装置10を設置すると、除電部材取付具30がローラ部材3の固定軸6に係合し、除電部材取付具30と固定軸6との間で電気的に導通可能な状態になる。また、固定軸6をフレーム2に対して固定することにより、固定軸6とフレーム2との間でも電気的に導通可能な状態となる。そのため、本実施形態の搬送装置1を用いて物品を搬送する場合は、ローラ部材3の回転に伴って搬送面L上を流れる物品が摩擦等によって一時的に静電気を蓄えた状態になっても、除電装置10の上方を通過する際に除電部材20が物品の裏面側に接触し、これより前記した静電気が除電部材20や除電部材取付具30を介してローラ部材3の回転軸6やフレーム2に逃げる。そのため、搬送装置1によって物品を搬送すれば、物品がローラ部材3等との摩擦により静電気で帯電した状態になるのを防止することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30をローラ部材3とフレーム2との間に配した際に当接部40,41がフレーム2に当接する。また、固定軸6の軸本体部6cとフレーム2との間隔Pが、除電部材取付具30の裏面30yから表面30x側に突出している当接部40,41の先端までの厚みp(間隔)とほぼ同一、あるいは、間隔Pが厚みpよりやや大きい程度であるため、当接部40,41がフレーム2に対してしっかりと当接した状態になる。そのため、フレーム2と当接部40,41との当接(接触)部分においても、除電部材取付具30とフレーム2との間で電気的に導通可能な状態になる。そのため、本実施形態の搬送装置1を用いて物品を搬送する場合は、搬送面L上を流れる物品が一時的に静電気を蓄えた状態になっても、この静電気を除電部材20に逃がすと共に、除電部材取付具30の当接部40,41を介してフレーム2側に逃がし、物品に蓄えられた静電気を解消することができる。
【0043】
上記したように、本実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30,30を平行に配された2本のローラ部材3a,3bの両脇に上方から差し込んで係合部31,32を固定軸6,6に係合させると共に、除電部材取付具30,30の除電部材装着部35,35に上方から除電部材20を差し込むだけで搬送装置1に設置することができる。また、除電装置10は、搬送装置1への設置状態においてローラ部材3a,3bの間に配され、搬送面Lよりも下方であってフレーム2,2の間に存在する。そのため、除電装置10は、別途取り付けのためにスペースを用意するといったような設置上の制約が少なく、フレーム2,2間に存在するスペースを有効利用することができる。
【0044】
また、除電装置10は、搬送面Lよりも下方に存在し、搬送面L上を通過する物品の底面に線状体22が接触可能な構成とされている。そのため、搬送装置1は、除電装置10を設置しても搬送面L上を流れる物品の搬送の邪魔にならない。
【0045】
上記実施形態では、固定軸6の軸本体部6cとフレーム2との間隔Pが、除電部材取付具30の裏面30yから表面30x側に突出している当接部40,41の先端までの厚みpとほぼ同一程度であるものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、間隔Pが厚みpに対して大きなものであってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、固定軸6の先端部分に係合部6aを設け、係合部6aよりも大径の軸本体部6cとフレーム2とで除電部材取付具35を挟み込む構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば固定軸6のうちローラ本体5の外側に突出した部分の中間に、固定軸6の径方向外側に突出したフランジ状のもの等を設け、これとフレーム2とで除電部材取付具35を挟み込む構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、上記実施形態で示したものと同様に当接部40,41をしっかりとフレーム2に対して当接させることができる。
【0047】
上記したように、本実施形態の除電装置10は、搬送装置1への設置状態において除電部材20が様々な箇所(経路)でフレーム2や固定軸6と導通状態となる。そのため、本実施形態の除電装置10は、搬送面L上を流れる物品に蓄えられている静電気を除電部材20や除電部材取付具30を介してスムーズに固定軸6やフレーム2側に逃がして解消することができる。
【0048】
本実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30を搬送装置1の上方から差し込むと共に、除電部材20をローラ部材3,3の両脇に装着された除電部材取付具30,30間に上方から差し込むことにより取り付けることができる。また逆に、除電部材取付具30や除電部材20は、搬送装置1に対して上方に向けて引き抜くことにより取り外すことができる。すなわち、除電装置10は、除電部材取付具30や除電部材20を搬送装置1による物品の搬送方向に対してほぼ直交あるいは交差する方向に抜き差しすることにより、搬送装置1に対して脱着することができる構成となっている。そのため、物品の搬送中に、物品が当たる等の何らかの理由で除電部材20や除電部材取付具30に対して物品の搬送方向に応力が作用したとしても、除電部材20や除電部材取付具30が外れたりするような不具合が起こらない。
【0049】
また、上記した除電装置10は、設置状態において当接部40,41がフレーム2に対して押しつけられたような状態となる。そのため、除電装置10は、搬送装置1の作動中に物品等がぶつかるなどして除電部材取付具35に対して衝撃が加わっても、当接部40,41がフレーム2に引っかかる可能性が高い。従って、除電装置10は、当接部40,41とフレーム2との引っかかりによっても、除電部材取付具35が外れるのを防止することができる。
【0050】
除電装置10は、ローラ部材3,3の両脇に除電部材取付具30を差し込んだり、除電部材20を除電部材取付具30,30の間に差し込むだけで搬送装置1に対して装着でき、別途ネジ止め等を施す必要がない。さらに、除電装置10は、搬送装置1の上方から除電部材20や除電部材取付具30を抜き差しする構成であるため、脱着時の作業性がよい。そのため、除電装置10は、搬送装置1への脱着が極めて容易である。
【0051】
なお、上記実施形態に示した除電装置10は、除電部材取付具30に際してネジ止め等を行わない構成であったが、ネジ等を併用して除電部材取付具30を固定する構成としてもよい。
【0052】
上記実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30に設けられた2つの係合部31,32のうち一方をローラ部材3aの固定軸6に、他方をローラ部材3aに対して搬送方向上流側あるいは下流側に隣接したローラ部材3bの固定軸6に対して係合させるものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、例えば所定のローラ部材3に対して隣接する位置にフレーム2,2間を横断するように別途軸体を取り付けたり、フレーム2,2の内側に向けて突出した軸体を設けるなどすると共に、除電部材取付具30に設けられた2つの係合部31,32のうちの一方を前記軸体に係合させ、他方をローラ部材3の固定軸6に係合させた構成とするなどしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、ローラ部材3aの固定軸6と、これに対して物品の搬送方向上流側あるいは下流側に隣接した位置に取り付けられたローラ部材3bの固定軸6とに係合部31,32を係合させる構成のものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば係合部31,32の間隔をさらに広げ、所定のローラ部材3の固定軸6と、これに対して2本以上物品の搬送方向上流側あるいは下流側にずれた位置にあるローラ部材3の固定軸6とに係合部31,32を係合させる構成としてもよい。
【0054】
上記実施形態では、除電部材取付具30に2つの係合部31,32を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定軸6に係合可能な係合部をさらに多数設け、多数本のローラ部材3の固定軸6に対して除電部材取付具30を係合させる構成としてもよい。また逆に、除電部材取付具30に2つの係合部31,32を設ける代わりに、いずれか一方を省略すると共に、ローラ部材3,3間において除電部材取付具30の下端30b等を支持可能な部分(支持手段)をフレーム2等に設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合は、ローラ部材3の側方に除電部材取付具30を差し込み、これに設けられた一つの係合部を固定軸6に係合させると共に、前記支持手段によって除電部材取付具30が支持された状態とすることにより、ローラ部材3,3間において除電部材20を支持することができる。
【0055】
上記実施形態では、除電部材取付具30に平面視がほぼ矩形あるいは正方形の凹凸部36を複数設け、これにより溝状の除電部材装着部35を形成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、例えば直線状あるいは筋状に延びる凹凸を除電部材取付具30に設けたり、除電部材取付具30の裏面30y側に溝状にくぼんだ部分を設けるなどして上記した除電部材装着部35に代わるものを設けた構成としてもよい。
【0056】
また、除電部材取付具30は、図10に示すように凹凸部36を設ける代わりに、除電部材取付具30を構成する鋼板を切り起こして起立部50を複数設け、これにより上方から下方に向けて延びる溝状の除電部材装着部51を形成したものであってもよい。このように起立部50を設けた場合は、上記したように凹凸部36を設ける場合に比べて除電部材取付具30の裏面30y側への突出量を大きくとることができ、除電部材20の柄部20をより一層しっかりと保持することができる。
【0057】
上記実施形態では、除電部材取付具30に当接部40,41を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方又は双方を省略した構成としてもよい。また、当接部40,41の配置についても、上記実施形態で例示したものに限定されるものではなく、フレーム2との接触を考慮して適宜変更することも可能である。
【0058】
上記実施形態で例示した除電部材取付具30は、平板状の金属板を切り欠いたり切り起こすなどして加工したものであったが本発明はこれに限定されるものではなく、複数の部材を組み合わせる等して、上記した係合部31,32や除電部材装着部35、凹凸部36、当接部40,41等に相当するものを形成してもよい。
【0059】
また、除電部材取付具30は、平板状の金属板によって構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、図1に示す搬送装置1のように直線的に延びるものではなく、搬送経路がカーブするようにフレーム2,2が湾曲したものである場合であって、当該湾曲部分に除電装置10を設置する場合は、除電装置10を構成する除電部材取付具30をフレーム2,2の湾曲に合わせて湾曲させたものや、当該湾曲に沿って変形可能なものとし、上記した係合部31,32や除電部材装着部35、凹凸部36、当接部40,41等に相当するものを設けた構成としてもよい。かかる構成とすれば、前記したような湾曲した搬送経路を持つ搬送装置にも除電装置10を設置することができる。
【0060】
上記実施形態において、除電部材20は、柄部21に対して導電性を有する線状で自由に屈曲可能な線状体22を多数取り付けた刷毛状(ブラシ状)のものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図11(a)のようにブレード状の導電体25を柄部21に取り付けたものや、図11(b)板状の導電体26を並べて配したもの等、適宜のものを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態にかかる搬送装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す搬送装置における除電装置の取付部分を拡大した斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】(a)は除電部材取付具を表面側から観察した状態を示す平面図であり、(b)は除電部材取付具を裏面側から観察した状態を示す平面図である。
【図5】搬送装置に除電部材を取り付ける直前の状態をローラ部材の側方側から観察した状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】搬送装置に除電部材を取り付ける直前の状態をローラ部材の上方から観察した状態示す要部拡大断面図である。
【図7】(a)は搬送装置に対する除電装置の取り付け工程の一段階を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図8】(a)は搬送装置に対する除電装置の取り付け工程の一段階を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図9】搬送装置に対して除電装置を取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】(a)は除電部材取付具の変形例を示す斜視図であり、(b)は(a)のA方向矢視図、(c)は(a)のB方向矢視図である。
【図11】(a),(b)はそれぞれ除電部材の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 搬送装置
2 フレーム
3 ローラ部材
5 ローラ本体
6 固定軸
10 搬送装置用除電装置(除電装置)
20 除電部材
30 除電部材取付具
31,32 係合部
35 除電部材装着部
40,41 当接部
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置用除電装置、並びに、搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているような搬送装置が提供されている。特許文献1に開示されている搬送装置は、これにより搬送される物品に接触可能なようにブラシ状の除電手段を設けた構成とされている。
【特許文献1】特開2001−163431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている搬送装置は、除電手段を構成するブラシを支持するための支持構造をコンベアとは別に設けたものであるため、その分だけ設置が面倒であったり、装置構成が複雑である等の問題があった。すなわち、特許文献1に開示されている搬送装置で採用されている除電手段は、コンベアとは別に支柱を設けるなどせねばならず、その分だけスペースを必要としたり、構成が複雑化するといったような設置上の制約があった。
【0004】
そこで、かかる知見に基づき、本発明は、搬送装置に対する設置上の制約が少ない搬送装置用除電装置、並びに、当該搬送装置用除電装置を備えた搬送装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、搬送装置に取り付けられる搬送装置用除電装置であって、取付け対象たる搬送装置が、平行に配されたフレームと、複数のローラ部材とを有し、ローラ部材が、ローラ本体とローラ本体の端部から突出する固定軸とを備え、前記搬送装置が、ローラ部材の固定軸をフレームに取り付けたものであり、前記搬送装置用除電装置が、除電部材と除電部材取付具とを備えており、除電部材が、除電部材取付具により、搬送装置により搬送される物品に接触可能なように支持されており、除電部材取付具が、板状であって、係合部を備えており、前記除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に配され、前記係合部をローラ部材の固定軸と係合させることにより、前記除電部材と固定軸及び/又はフレームとを導電可能な状態にすることができることを特徴とする搬送装置用除電装置である。
【0006】
本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材取付具の係合部をローラ部材の固定軸に係合させることにより、除電部材支持部に支持されている除電部材を固定軸やフレームに対して導電可能な状態とすることができる。そのため、本発明の搬送装置用除電装置を搬送装置に取り付ければ、搬送装置により搬送される物品が持つ静電気を除電部材を介して固定軸やフレーム側に逃がして確実に解消することができる。
【0007】
また、本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材取付具が板状であり、搬送装置のフレームとローラの間に配されるため、除電部材の取付のために別途スペースを用意する必要がない。そのため、本発明の搬送装置用除電装置は、従来技術のものに比べて設置上の制約が少ない。
【0008】
請求項2に記載の発明は、除電部材取付具の係合部が、固定軸に係合可能な切り欠きを有し、除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に差し込むことにより、前記切り欠きをローラ部材の固定軸に係合させることができることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置用除電装置である。
【0009】
本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材取付具を物品の搬送方向に対して交差する方向に差し込むことにより、除電部材取付具の係合部に設けられた切り欠きをローラ部材の固定軸に係合させることができる。さらに具体的には、例えば搬送装置が水平方向に複数のローラを配置して構成されている場合は、除電部材取付具をローラ部材とフレームとの間で上下方向にスライドさせ、差し込むことにより、除電部材取付具を搬送装置側に取り付けることができる。そのため、本発明によれば、除電部材取付具を容易に装着可能な搬送装置用除電装置を提供できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、除電部材取付具が、除電部材装着部を有し、当該除電部材装着部が、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に除電部材をスライドさせることにより、除電部材を装着できるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置用除電装置である。
【0011】
本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材をスライドさせることにより除電部材を除電部材支持部に装着することができるため、除電部材の装着が容易である。
【0012】
また、本発明の搬送装置用除電装置は、除電部材を搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向にスライドさせることによって除電部材を除電部材支持部に対して装着するものである。そのため、搬送装置による物品搬送中に、物品の衝突等により除電部材に対して何らかの応力が作用しても、除電部材が除電部材支持部から外れてしまうといった不具合が起こる可能性が低い。
【0013】
請求項4に記載の発明は、除電部材取付具が、除電部材を支持可能な除電部材装着部と、当接部とを有し、除電部材装着部に除電部材を装着した状態において除電部材取付具と除電部材とが導電可能なものであり、除電部材取付具を搬送装置に装着した状態において、前記当接部が、フレームと導電可能なように接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置である。
【0014】
本発明の搬送装置用除電装置は、搬送装置に装着することにより当接部がフレームと導電可能なように接する。また、除電部材装着部に除電部材を装着することにより、除電部材取付具と除電部材とが導電可能な状態になる。そのため、本発明の搬送装置用除電装置によれば、搬送装置によって搬送されている物品が持つ静電気を確実にフレーム側に逃がすことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、除電部材取付具に複数の係合部が設けられており、当該係合部が、搬送装置を構成する一のローラの固定軸と、当該ローラに対して搬送装置における物品の搬送方向上流側あるいは下流側に配された他の一又は複数のローラの固定軸とに係合しており、除電部材が、搬送装置を構成する所定のローラと、当該ローラに隣接した位置に配されたローラとの間に配されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置である。
【0016】
本発明の搬送装置用除電装置は、搬送装置を構成するローラ同士の間に除電部材を配することができる。そのため、本発明によれば、搬送装置による物品の搬送上、邪魔にならないように除電部材を設置可能な搬送装置用除電装置を提供することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、フレームと、当該フレームに取り付けられた複数のローラ部材とを有し、ローラ部材が、フレームに対して複数並べて取り付けられた搬送装置であって、所定のローラ部材と、当該ローラ部材に隣接するローラ部材との間に、除電部材がローラ部材の上を通過する物品に除電部材が接触可能なように請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置が取り付けられていることを特徴とする搬送装置である。
【0018】
本発明の搬送装置は、上記各請求項に記載した搬送装置用除電装置を有し、除電部材がローラ部材の上を通過する物品に接触可能な構成とされている。そのため、本発明の搬送装置によれば、搬送中の物品が持つ静電気を確実に除去することができる。
【0019】
また、本発明の搬送装置は、上記各請求項に記載の搬送装置用除電装置を備えたものであるため、除電部材の取付のためのスペースを別途用意する必要がない。そのため、本発明の搬送装置は、従来技術のものに比べて設置上の制約が少ない。
【0020】
さらに、本発明の搬送装置は、フレームに対して取り付けられたローラ部材同士の間に除電部材が設けられているため、搬送装置用除電装置を設置した状態において、除電部材が搬送装置による物品の搬送の邪魔にならない。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、搬送装置に対する設置上の制約が少ない搬送装置用除電装置、並びに、当該搬送装置用除電装置を備えた搬送装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
続いて、本発明の一実施形態にかかる搬送装置1、並びに、搬送装置用除電装置10について図面を参照しながら詳細に説明する。搬送装置1は、図1に示すように平行に配された2本のフレーム2,2に対して、多数のローラ部材3を装着し、これらのローラ部材3から選ばれる所定のローラ部材3とこれに隣接するローラ部材3との間に搬送装置用除電装置10を設置した構成とされている。
【0023】
さらに具体的に説明すると、フレーム2は、図1等に示すように断面形状がほぼ「コ」字型で長尺の鋼材によって構成されており、水平部2aとこれに対してほぼ垂直な垂直部2bと、水平部2aに対して平行な天面部2cとを有する。フレーム2は、搬送装置1の設置状態において水平部2aが下方に向き、垂直部2bが鉛直方向に向くような姿勢で使用される。フレーム2,2は、図示しないアース線等を用いて接地されている。
【0024】
フレーム2の垂直部2bには、ローラ部材3の装着位置にあわせて多数の取付孔4がほぼ等間隔に設けられている。さらに詳細には、フレーム2,2の延びる方向(長手方向)に並ぶ2つの取付孔4,4の間隔はDとされており、後述する除電部材取付具30の係合部31,32の間隔と同一とされている。取付孔4は、図1〜図3等に示すように、ローラ部材3の固定軸6の断面形状と略同一とされている。本実施形態では、図3や図7等に示すように、固定軸6のうち取付孔4に差し込まれる部分(係合部6a)の断面形状が六角形であるため、取付孔4の開口形状もこれと略同一の大きさおよび形状とされている。
【0025】
ローラ部材3は、図1〜図3等に示すように、ローラ本体5と固定軸6とを有し、固定軸6に対してローラ本体5が回転自在なように支持されている。ローラ部材3には、ローラ本体5の内部にモータ等の動力源を備えた、いわゆるモータ内蔵ローラや、動力源を持たない、いわゆるフリーローラ等を適宜採用することができる。
【0026】
ローラ本体5は、両端部分が閉塞された円筒状の部材である。固定軸6は、ローラ本体5の両端部から突出しており、ローラ本体5の内部に設けられた軸受(図示せず)等によって支持されている。
【0027】
図3に示すように、固定軸6は、軸本体部6cの両端に、係合部6aとネジ軸部6bとが設けられている。係合部6aは、外径(外接円の径)が軸本体部6cの外径よりも小さく、その断面形状はほぼ六角形とされている。また、係合部6aは、上記したフレーム2の取付孔4に係合可能な大きさとされている。そのため、ローラ部材3は、係合部6aをフレーム2の取付孔4に係合した状態とされると、固定軸6がフレーム2に対して回動しないように支持された状態となる。
【0028】
ネジ軸部6bは、固定軸6の両端に設けられており、外周にナット7を装着可能なようにネジが設けられている。ネジ軸部6bは、固定軸6の係合部6aをフレーム2の取付孔4に係合させた状態において、フレーム2,2の外側(図3において右下側あるいは左上側)に突出する。そのため、ローラ部材3は、フレーム2,2の取付孔4に固定軸6の両端側に設けられた係合部6aが差し込まれ、係合した状態で、フレーム2,2の外側に向けて突出したネジ軸部6b,6bにナット7,7が装着されると、ローラ本体5がフレーム2,2に対して回転可能なように固定された状態になる。
【0029】
搬送装置用除電装置10(以下、単に除電装置10と称す)は、図3に示すように、除電部材20と、除電部材取付具30とによって主要部が構成されている。除電部材20は、図3に示すように刷毛あるいはブラシ状の部材であり、金属製の柄部21により、導電性を有する線状体22を挟み込んだ状態とされている。線状体22は、柄部21との間に導電性を有する。線状体22の一部は、図3に示すように柄部21を下方に配した状態において、柄部21に対してほぼ垂直上方に立ち上がっており、残部はやや曲がった状態で立ち上がっている。
【0030】
除電部材取付具30は、図3や図4に示すように板状の金属板の一部に切り欠きを設けたり、凹凸や切り起こしを設けるなどして形成されたものである。さらに具体的には、除電部材取付具30は、矩形の金属板を加工して形成されたものであり、図4に示す状態において、上端30a側が上方に向き、下端30b側が下方に向く姿勢として使用される。また、除電部材取付具30は、図4(a)に示す表面30xがフレーム2が水平部2aに対向し、図4(b)に示す裏面30yがローラ部材3(ローラ本体5)の側面に対向する姿勢として使用される。
【0031】
図4に示すように、除電部材取付具30は、係合部31,32と、除電部材装着部35と、当接部40,41とを有する。係合部31,32は、それぞれ除電部材取付具30の下端30b側から上端30a側に向けて直線的に延びる切り欠きによって構成されている。係合部31,32は、それぞれ除電部材取付具30の幅方向中央部から左右方向(幅方向)に外れた位置に形成されている。また、上記したように、係合部31,32の間隔は、フレーム2,2に設けられたローラ部材3の固定軸6を装着するために設けられた取付孔4,4の間隔Dとほぼ同一とされている。
【0032】
除電部材装着部35は、図4(b)にハッチングで示すように5つの凹凸部36により、除電部材取付具30の上端30a側を除く3方を囲んで構成された部分である。また、凹凸部36は、図3や図5に示すように除電部材取付具30の表面30x側から裏面30y側に向けて突出している。そのため、除電部材装着部35は、図3等に示すように、除電部材取付具30の上端30a側から、下端30b側に設けられた凹凸部36(以下、必要に応じて下端凹凸部36aと称す)に至るまで、ほぼ直線的に下方に向けて延び、上端30a側に向けて開放された形状となっている。また、除電部材装着部35の幅Wは、上記した除電部材20の柄部21の厚みとほぼ一致している。
【0033】
当接部40,41は、図3〜図5に示すように、除電部材取付具30の一部を表面30x側に向けて切り起こした爪状の部分である。当接部40,41は、それぞれ除電部材取付具30の上端30a側の位置であって、除電部材装着部35の側方部分を構成する凹凸部36よりも除電部材取付具30の幅方向外側(図4において左右方向)にずれた位置に設けられている。
【0034】
続いて、本実施形態の搬送装置1の組み立て構造について、除電装置10の取り付け状態を中心として説明する。搬送装置1は、図1や図7に示すようにフレーム2,2に対して、フレーム2,2の長手方向に複数のローラ部材3を取り付けた構成とされている。ローラ部材3は、図7に示すように、それぞれ固定軸6の係合部6a,6aをフレーム2,2の取付孔4,4に係合させると共に、ネジ軸部6b,6bにナット7,7を装着することにより、フレーム2,2に対して固定されている。
【0035】
除電装置10は、図1に示すように、上記した複数のローラ部材3のうちの1本と、これに隣接するもう1本のローラ部材3(以下、必要に応じてそれぞれをローラ部材3a,3bと称す)との間に除電部材20が到来し、線状体22が上方に向けて立った状態となるように取り付けられる。さらに具体的には、除電装置10の取り付ける際は、先ず図7に示すように、ローラ部材3a,3bの固定軸6,6の両端に除電部材取付具30,30が取り付けられる。
【0036】
すなわち、除電部材取付具30は、図7(a)に示すように、表面30xがフレーム2の垂直部2b側に向き、裏面30yがローラ部材3の側面側に向く姿勢とされ、下端30b側を下方に向けた状態でローラ部材3a,3bの上方から、ローラ部材3a,3bの側面とフレーム2の垂直部2bとの間に差し込まれる。この際、図7(b)に示すように、除電部材取付具30の係合部31,32の位置が、それぞれローラ部材3aやローラ部材3bの固定軸6,6の位置と合うように位置合わせされる。そのため、図7(a),(b)に示すようにして除電部材取付具30を差し込むと、図8(a),(b)に示すように係合部31,32がローラ部材3a,3bの固定軸6,6に対して係合し、接触した状態となる。またこれにより、除電部材取付具30とローラ部材3a,3bの固定軸6,6とが、電気的に導通した状態となる。
【0037】
また、図5や図6に示すように、ローラ部材3a,3bの側面から突出している固定軸6の軸本体部6cの端部とフレーム2の垂直部2bとの間隔Pは、除電部材取付具30の裏面30yから表面30x側に突出している当接部40,41の先端までの厚みp(間隔)と略同一、あるいは、間隔Pが厚みpよりやや大きい程度である。また、除電部材取付具30をローラ部材3a,3bの固定軸6,6に係合させた状態において、固定軸6の軸本体部6cは、除電部材取付具30の裏面30yにほぼ当接した状態となる。換言すれば、除電部材取付具30,30は、固定軸6,6の軸本体部6c,6cとフレーム2の垂直部2b,2bとの間に挟み込まれた状態となる。そのため、除電部材取付具30をローラ部材3a,3bの固定軸6,6に係合させると、図5に示すように、当接部40,41の先端がフレーム2の垂直部2bに当接し、除電部材取付具30とフレーム2とが電気的に導通した状態になる。
【0038】
上記したようにしてローラ部材3a,3bの両脇に除電部材取付具30,30が装着されると、これらに対して除電部材20が取り付けられる。さらに詳細には、除電部材取付具30,30をローラ部材3a,3bの固定軸6,6に係合させた状態とすると、ローラ部材3a,3bのほぼ中間の位置において、フレーム2,2の内側(ローラ部材3の取り付け側)に除電部材装着部35,35が向いた状態になる。また、この状態において、図8(b)等に示すように、溝状の除電部材装着部35,35は、上方に向けて開放された状態となっている。
【0039】
一方、除電部材20は、図8(a),(b)に矢印で示すように柄部21が下方に向き、線状体22が上方に向いた姿勢とされ、この状態で柄部21を溝状の除電部材装着部35,35に沿って下方に向けて差し込まれる。柄部21の下端部分が除電部材装着部35,35を構成する下端凹凸部36aに当接するまで除電部材20が差し込まれると、図9に示すように線状体22がローラ部材3a,3bの間において、搬送装置1の上方に向けて立った状態になる。
【0040】
また、図9に2点鎖線で示すようにローラ部材3a,3bによって構成される搬送面Lを想定した場合、除電部材20を除電部材取付具30,30に装着した状態において、線状体22は、先端が搬送面Lと同程度、あるいは、搬送面Lを超えて上方に突出した状態になる。すなわち、線状体22は、除電部材取付具30,30に取り付けた状態において、搬送面L上を流れる物品(非搬送物)に接触可能な状態となる。
【0041】
ここで、除電装置10は、取り付け状態において、除電部材20と除電部材取付具30とが接触状態となり、両者の間で電気的に導通可能な状態となる。また、除電装置10を設置すると、除電部材取付具30がローラ部材3の固定軸6に係合し、除電部材取付具30と固定軸6との間で電気的に導通可能な状態になる。また、固定軸6をフレーム2に対して固定することにより、固定軸6とフレーム2との間でも電気的に導通可能な状態となる。そのため、本実施形態の搬送装置1を用いて物品を搬送する場合は、ローラ部材3の回転に伴って搬送面L上を流れる物品が摩擦等によって一時的に静電気を蓄えた状態になっても、除電装置10の上方を通過する際に除電部材20が物品の裏面側に接触し、これより前記した静電気が除電部材20や除電部材取付具30を介してローラ部材3の回転軸6やフレーム2に逃げる。そのため、搬送装置1によって物品を搬送すれば、物品がローラ部材3等との摩擦により静電気で帯電した状態になるのを防止することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30をローラ部材3とフレーム2との間に配した際に当接部40,41がフレーム2に当接する。また、固定軸6の軸本体部6cとフレーム2との間隔Pが、除電部材取付具30の裏面30yから表面30x側に突出している当接部40,41の先端までの厚みp(間隔)とほぼ同一、あるいは、間隔Pが厚みpよりやや大きい程度であるため、当接部40,41がフレーム2に対してしっかりと当接した状態になる。そのため、フレーム2と当接部40,41との当接(接触)部分においても、除電部材取付具30とフレーム2との間で電気的に導通可能な状態になる。そのため、本実施形態の搬送装置1を用いて物品を搬送する場合は、搬送面L上を流れる物品が一時的に静電気を蓄えた状態になっても、この静電気を除電部材20に逃がすと共に、除電部材取付具30の当接部40,41を介してフレーム2側に逃がし、物品に蓄えられた静電気を解消することができる。
【0043】
上記したように、本実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30,30を平行に配された2本のローラ部材3a,3bの両脇に上方から差し込んで係合部31,32を固定軸6,6に係合させると共に、除電部材取付具30,30の除電部材装着部35,35に上方から除電部材20を差し込むだけで搬送装置1に設置することができる。また、除電装置10は、搬送装置1への設置状態においてローラ部材3a,3bの間に配され、搬送面Lよりも下方であってフレーム2,2の間に存在する。そのため、除電装置10は、別途取り付けのためにスペースを用意するといったような設置上の制約が少なく、フレーム2,2間に存在するスペースを有効利用することができる。
【0044】
また、除電装置10は、搬送面Lよりも下方に存在し、搬送面L上を通過する物品の底面に線状体22が接触可能な構成とされている。そのため、搬送装置1は、除電装置10を設置しても搬送面L上を流れる物品の搬送の邪魔にならない。
【0045】
上記実施形態では、固定軸6の軸本体部6cとフレーム2との間隔Pが、除電部材取付具30の裏面30yから表面30x側に突出している当接部40,41の先端までの厚みpとほぼ同一程度であるものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、間隔Pが厚みpに対して大きなものであってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、固定軸6の先端部分に係合部6aを設け、係合部6aよりも大径の軸本体部6cとフレーム2とで除電部材取付具35を挟み込む構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば固定軸6のうちローラ本体5の外側に突出した部分の中間に、固定軸6の径方向外側に突出したフランジ状のもの等を設け、これとフレーム2とで除電部材取付具35を挟み込む構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、上記実施形態で示したものと同様に当接部40,41をしっかりとフレーム2に対して当接させることができる。
【0047】
上記したように、本実施形態の除電装置10は、搬送装置1への設置状態において除電部材20が様々な箇所(経路)でフレーム2や固定軸6と導通状態となる。そのため、本実施形態の除電装置10は、搬送面L上を流れる物品に蓄えられている静電気を除電部材20や除電部材取付具30を介してスムーズに固定軸6やフレーム2側に逃がして解消することができる。
【0048】
本実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30を搬送装置1の上方から差し込むと共に、除電部材20をローラ部材3,3の両脇に装着された除電部材取付具30,30間に上方から差し込むことにより取り付けることができる。また逆に、除電部材取付具30や除電部材20は、搬送装置1に対して上方に向けて引き抜くことにより取り外すことができる。すなわち、除電装置10は、除電部材取付具30や除電部材20を搬送装置1による物品の搬送方向に対してほぼ直交あるいは交差する方向に抜き差しすることにより、搬送装置1に対して脱着することができる構成となっている。そのため、物品の搬送中に、物品が当たる等の何らかの理由で除電部材20や除電部材取付具30に対して物品の搬送方向に応力が作用したとしても、除電部材20や除電部材取付具30が外れたりするような不具合が起こらない。
【0049】
また、上記した除電装置10は、設置状態において当接部40,41がフレーム2に対して押しつけられたような状態となる。そのため、除電装置10は、搬送装置1の作動中に物品等がぶつかるなどして除電部材取付具35に対して衝撃が加わっても、当接部40,41がフレーム2に引っかかる可能性が高い。従って、除電装置10は、当接部40,41とフレーム2との引っかかりによっても、除電部材取付具35が外れるのを防止することができる。
【0050】
除電装置10は、ローラ部材3,3の両脇に除電部材取付具30を差し込んだり、除電部材20を除電部材取付具30,30の間に差し込むだけで搬送装置1に対して装着でき、別途ネジ止め等を施す必要がない。さらに、除電装置10は、搬送装置1の上方から除電部材20や除電部材取付具30を抜き差しする構成であるため、脱着時の作業性がよい。そのため、除電装置10は、搬送装置1への脱着が極めて容易である。
【0051】
なお、上記実施形態に示した除電装置10は、除電部材取付具30に際してネジ止め等を行わない構成であったが、ネジ等を併用して除電部材取付具30を固定する構成としてもよい。
【0052】
上記実施形態の除電装置10は、除電部材取付具30に設けられた2つの係合部31,32のうち一方をローラ部材3aの固定軸6に、他方をローラ部材3aに対して搬送方向上流側あるいは下流側に隣接したローラ部材3bの固定軸6に対して係合させるものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、例えば所定のローラ部材3に対して隣接する位置にフレーム2,2間を横断するように別途軸体を取り付けたり、フレーム2,2の内側に向けて突出した軸体を設けるなどすると共に、除電部材取付具30に設けられた2つの係合部31,32のうちの一方を前記軸体に係合させ、他方をローラ部材3の固定軸6に係合させた構成とするなどしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、ローラ部材3aの固定軸6と、これに対して物品の搬送方向上流側あるいは下流側に隣接した位置に取り付けられたローラ部材3bの固定軸6とに係合部31,32を係合させる構成のものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば係合部31,32の間隔をさらに広げ、所定のローラ部材3の固定軸6と、これに対して2本以上物品の搬送方向上流側あるいは下流側にずれた位置にあるローラ部材3の固定軸6とに係合部31,32を係合させる構成としてもよい。
【0054】
上記実施形態では、除電部材取付具30に2つの係合部31,32を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定軸6に係合可能な係合部をさらに多数設け、多数本のローラ部材3の固定軸6に対して除電部材取付具30を係合させる構成としてもよい。また逆に、除電部材取付具30に2つの係合部31,32を設ける代わりに、いずれか一方を省略すると共に、ローラ部材3,3間において除電部材取付具30の下端30b等を支持可能な部分(支持手段)をフレーム2等に設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合は、ローラ部材3の側方に除電部材取付具30を差し込み、これに設けられた一つの係合部を固定軸6に係合させると共に、前記支持手段によって除電部材取付具30が支持された状態とすることにより、ローラ部材3,3間において除電部材20を支持することができる。
【0055】
上記実施形態では、除電部材取付具30に平面視がほぼ矩形あるいは正方形の凹凸部36を複数設け、これにより溝状の除電部材装着部35を形成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、例えば直線状あるいは筋状に延びる凹凸を除電部材取付具30に設けたり、除電部材取付具30の裏面30y側に溝状にくぼんだ部分を設けるなどして上記した除電部材装着部35に代わるものを設けた構成としてもよい。
【0056】
また、除電部材取付具30は、図10に示すように凹凸部36を設ける代わりに、除電部材取付具30を構成する鋼板を切り起こして起立部50を複数設け、これにより上方から下方に向けて延びる溝状の除電部材装着部51を形成したものであってもよい。このように起立部50を設けた場合は、上記したように凹凸部36を設ける場合に比べて除電部材取付具30の裏面30y側への突出量を大きくとることができ、除電部材20の柄部20をより一層しっかりと保持することができる。
【0057】
上記実施形態では、除電部材取付具30に当接部40,41を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方又は双方を省略した構成としてもよい。また、当接部40,41の配置についても、上記実施形態で例示したものに限定されるものではなく、フレーム2との接触を考慮して適宜変更することも可能である。
【0058】
上記実施形態で例示した除電部材取付具30は、平板状の金属板を切り欠いたり切り起こすなどして加工したものであったが本発明はこれに限定されるものではなく、複数の部材を組み合わせる等して、上記した係合部31,32や除電部材装着部35、凹凸部36、当接部40,41等に相当するものを形成してもよい。
【0059】
また、除電部材取付具30は、平板状の金属板によって構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、図1に示す搬送装置1のように直線的に延びるものではなく、搬送経路がカーブするようにフレーム2,2が湾曲したものである場合であって、当該湾曲部分に除電装置10を設置する場合は、除電装置10を構成する除電部材取付具30をフレーム2,2の湾曲に合わせて湾曲させたものや、当該湾曲に沿って変形可能なものとし、上記した係合部31,32や除電部材装着部35、凹凸部36、当接部40,41等に相当するものを設けた構成としてもよい。かかる構成とすれば、前記したような湾曲した搬送経路を持つ搬送装置にも除電装置10を設置することができる。
【0060】
上記実施形態において、除電部材20は、柄部21に対して導電性を有する線状で自由に屈曲可能な線状体22を多数取り付けた刷毛状(ブラシ状)のものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図11(a)のようにブレード状の導電体25を柄部21に取り付けたものや、図11(b)板状の導電体26を並べて配したもの等、適宜のものを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態にかかる搬送装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す搬送装置における除電装置の取付部分を拡大した斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】(a)は除電部材取付具を表面側から観察した状態を示す平面図であり、(b)は除電部材取付具を裏面側から観察した状態を示す平面図である。
【図5】搬送装置に除電部材を取り付ける直前の状態をローラ部材の側方側から観察した状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】搬送装置に除電部材を取り付ける直前の状態をローラ部材の上方から観察した状態示す要部拡大断面図である。
【図7】(a)は搬送装置に対する除電装置の取り付け工程の一段階を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図8】(a)は搬送装置に対する除電装置の取り付け工程の一段階を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図9】搬送装置に対して除電装置を取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】(a)は除電部材取付具の変形例を示す斜視図であり、(b)は(a)のA方向矢視図、(c)は(a)のB方向矢視図である。
【図11】(a),(b)はそれぞれ除電部材の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 搬送装置
2 フレーム
3 ローラ部材
5 ローラ本体
6 固定軸
10 搬送装置用除電装置(除電装置)
20 除電部材
30 除電部材取付具
31,32 係合部
35 除電部材装着部
40,41 当接部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置に取り付けられる搬送装置用除電装置であって、
取付け対象たる搬送装置が、平行に配されたフレームと、複数のローラ部材とを有し、
ローラ部材が、ローラ本体とローラ本体の端部から突出する固定軸とを備え、
前記搬送装置が、ローラ部材の固定軸をフレームに取り付けたものであり、
前記搬送装置用除電装置が、除電部材と除電部材取付具とを備えており、
除電部材が、除電部材取付具により、搬送装置により搬送される物品に接触可能なように支持されており、
除電部材取付具が、板状であって、係合部を備えており、
前記除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に配され、前記係合部をローラ部材の固定軸と係合させることにより、前記除電部材と固定軸及び/又はフレームとを導電可能な状態にすることができることを特徴とする搬送装置用除電装置。
【請求項2】
除電部材取付具の係合部が、固定軸に係合可能な切り欠きを有し、
除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に差し込むことにより、前記切り欠きをローラ部材の固定軸に係合させることができることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項3】
除電部材取付具が、除電部材装着部を有し、
当該除電部材装着部が、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に除電部材をスライドさせることにより、除電部材を装着できるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項4】
除電部材取付具が、除電部材を支持可能な除電部材装着部と、当接部とを有し、除電部材装着部に除電部材を装着した状態において除電部材取付具と除電部材とが導電可能なものであり、
除電部材取付具を搬送装置に装着した状態において、前記当接部が、フレームと導電可能なように接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項5】
除電部材取付具に複数の係合部が設けられており、
当該係合部が、搬送装置を構成する一のローラの固定軸と、当該ローラに対して搬送装置における物品の搬送方向上流側あるいは下流側に配された他の一又は複数のローラの固定軸とに係合しており、
除電部材が、搬送装置を構成する所定のローラと、当該ローラに隣接した位置に配されたローラとの間に配されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項6】
フレームと、当該フレームに取り付けられた複数のローラ部材とを有し、
ローラ部材が、フレームに対して複数並べて取り付けられた搬送装置であって、
所定のローラ部材と、当該ローラ部材に隣接するローラ部材との間に、除電部材がローラ部材の上を通過する物品に除電部材が接触可能なように請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置が取り付けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項1】
搬送装置に取り付けられる搬送装置用除電装置であって、
取付け対象たる搬送装置が、平行に配されたフレームと、複数のローラ部材とを有し、
ローラ部材が、ローラ本体とローラ本体の端部から突出する固定軸とを備え、
前記搬送装置が、ローラ部材の固定軸をフレームに取り付けたものであり、
前記搬送装置用除電装置が、除電部材と除電部材取付具とを備えており、
除電部材が、除電部材取付具により、搬送装置により搬送される物品に接触可能なように支持されており、
除電部材取付具が、板状であって、係合部を備えており、
前記除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に配され、前記係合部をローラ部材の固定軸と係合させることにより、前記除電部材と固定軸及び/又はフレームとを導電可能な状態にすることができることを特徴とする搬送装置用除電装置。
【請求項2】
除電部材取付具の係合部が、固定軸に係合可能な切り欠きを有し、
除電部材取付具が、搬送装置のフレームとローラ本体との間に、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に差し込むことにより、前記切り欠きをローラ部材の固定軸に係合させることができることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項3】
除電部材取付具が、除電部材装着部を有し、
当該除電部材装着部が、搬送装置による物品の搬送方向に対して交差する方向に除電部材をスライドさせることにより、除電部材を装着できるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項4】
除電部材取付具が、除電部材を支持可能な除電部材装着部と、当接部とを有し、除電部材装着部に除電部材を装着した状態において除電部材取付具と除電部材とが導電可能なものであり、
除電部材取付具を搬送装置に装着した状態において、前記当接部が、フレームと導電可能なように接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項5】
除電部材取付具に複数の係合部が設けられており、
当該係合部が、搬送装置を構成する一のローラの固定軸と、当該ローラに対して搬送装置における物品の搬送方向上流側あるいは下流側に配された他の一又は複数のローラの固定軸とに係合しており、
除電部材が、搬送装置を構成する所定のローラと、当該ローラに隣接した位置に配されたローラとの間に配されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置。
【請求項6】
フレームと、当該フレームに取り付けられた複数のローラ部材とを有し、
ローラ部材が、フレームに対して複数並べて取り付けられた搬送装置であって、
所定のローラ部材と、当該ローラ部材に隣接するローラ部材との間に、除電部材がローラ部材の上を通過する物品に除電部材が接触可能なように請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置用除電装置が取り付けられていることを特徴とする搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−30907(P2008−30907A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207050(P2006−207050)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
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