搬送装置
【課題】 簡易な構成で且つ製造コストの増加を抑制しつつ画像形成媒体の弛みを形成可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】
送り出しローラ対13の下流側に設けられたループ形成領域Lの上方には、回転自在に支持された2つの回転ローラ18が配置されている。感光材料Pの先端部がチャッカ装置14の挟持部14aで挟持された状態で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が回転駆動されると、ループ形成領域Lの上方の感光材料Pは、その巻き癖によって、搬送経路よりも上方に弛み、2つの回転ローラ18に当接するようになる。すると、感光材料Pの腰が折られ、その後は、感光材料Pの弛みがループ形成領域Lで形成される。
【解決手段】
送り出しローラ対13の下流側に設けられたループ形成領域Lの上方には、回転自在に支持された2つの回転ローラ18が配置されている。感光材料Pの先端部がチャッカ装置14の挟持部14aで挟持された状態で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が回転駆動されると、ループ形成領域Lの上方の感光材料Pは、その巻き癖によって、搬送経路よりも上方に弛み、2つの回転ローラ18に当接するようになる。すると、感光材料Pの腰が折られ、その後は、感光材料Pの弛みがループ形成領域Lで形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の画像形成媒体を搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真処理装置でロール状の感光材料に対する露光処理が行われる場合には、感光材料がプリントサイズに切断された後で露光処理が行われることが多い。ここで、感光材料を切断する切断部と露光処理を行う露光部との距離が短い場合には、露光部での感光材料に対する露光処理と並行して、切断部で感光材料を切断しなければならないことがある。このような場合には、感光材料が切断される際の振動が、露光部で露光処理が行われている感光材料に伝わり、感光材料に形成される画像の品質が悪化するという問題が発生する。
【0003】
そこで、切断部と露光部との間において感光材料の弛み(ループ)が形成される写真処理装置が知られている。この写真処理装置では、切断部と露光部との間で感光材料の弛みが形成された状態で、感光材料に対して露光処理が行われる。そのため、感光材料の弛みよりも上流側に配置されたカッターで感光材料が切断された場合でも、切断時の振動が露光位置の感光材料に伝わりにくくなり、画像品質の悪化が抑制される。
【0004】
ここで、感光材料の弛みを形成可能な搬送装置としては、感光材料に当接しつつ移動可能なガイドローラや揺動部材を備えたものがある(例えば、特許文献1、2参照)。この搬送装置では、ガイドローラ等が当接することにより感光材料に力が加わり、感光材料の弛みはガイドローラ等の移動方向に形成される。また、その他の搬送装置には、エアーを吐出または吸引可能なノズルを備えたものがある。この搬送装置では、例えばエアーがノズルから感光材料に向かって吐出されることにより感光材料に力が加わり、感光材料の弛みはエアーの吐出方向に形成される。
【特許文献1】特開2003−84374号公報(図2)
【特許文献2】特開平11−109597号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガイドローラ等を備えた搬送装置では、ガイドローラ等を移動させるための構成が必要であり、装置構成が複雑になってしまう。また、エアーを吐出または吸引するノズルを備えた搬送装置では、エアー吐出装置またはエアー吸引装置が必要であり、製造コストが増加してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で且つ製造コストの増加を抑制しつつ画像形成媒体の弛みを形成可能な搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本発明の搬送装置は、画像形成媒体の画像形成面が外側になるように巻回された巻回部から引き出された画像形成媒体を挟持して搬送可能な送り出しローラ対と、前記送り出しローラ対よりも搬送方向下流側に配置されており、画像形成媒体を挟持可能な挟持部と、前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路に対して画像形成面側の所定位置に配置された弛み形成部材とを備えている。
【0008】
ここで、「前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路」とは、送り出しローラ対及び挟持部が画像形成媒体を挟持し、送り出しローラ対と挟持部との間で画像形成媒体が張った状態における画像形成媒体の搬送経路を示す。また、「画像形成媒体を挟持可能な挟持部」は、送り出しローラ対が回転駆動された場合に、送り出しローラ対と挟持部との間で画像形成媒体の弛みが形成されるように、送り出しローラ対よりも搬送方向下流側で画像形成媒体を挟持可能なものであればよい。従って、挟持部は、画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を搬送しない状態で保持するものであってもよいし、画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を送り出しローラ対よりも遅い搬送速度で搬送するものであってもよい。
【0009】
この構成によると、送り出しローラ対と挟持部との間で画像形成媒体が張った状態で、送り出しローラ対が回転駆動されると共に、挟持部が画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を搬送しない状態で保持している場合には、画像形成媒体の巻き癖によって、画像形成媒体が画像形成面側に弛み始めるが、このとき、画像形成媒体の弛みが少し形成された段階で、画像形成媒体が弛み形成部材に当接する。すると、画像形成媒体の腰が折られ、画像形成媒体の弛みが画像形成面と反対側に形成されるようになる。このように、弛み形成部材を画像形成媒体の搬送経路に対して画像形成面側の所定位置に配置するだけで、画像形成媒体の弛みを形成可能である。従って、装置構成の複雑化及び製造コストの増加を抑制することができる。なお、挟持部が画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を送り出しローラ対よりも遅い搬送速度で搬送する場合も同様である。
【0010】
本発明の写真処理装置において、前記弛み形成部材は、前記所定位置で回転自在に支持された回転ローラであってもよい。
【0011】
この構成によると、画像形成媒体が弛み形成部材に当接した場合でも、弛み形成部材である回転ローラは回転自在に支持されているので、画像形成媒体の損傷が抑制される。
【0012】
本発明の写真処理装置において、前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路を挟んで前記弛み形成部材と対向するように配置された弛み形成領域が設けられていてもよい。
【0013】
この構成によると、画像形成媒体の弛みが画像形成面と反対側の領域で必要な長さだけ形成可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る写真処理装置の概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示す写真処理装置1は、長尺な感光材料Pを所定長さに切断し、切断された感光材料Pを露光処理するプリンタ部Aと、プリンタ部Aによって露光処理が施されて乳剤面に潜像が形成された感光材料Pを現像液に浸漬させて現像処理し乾燥させるプロセッサ部Bと、プリンタ部Aで露光処理された感光材料Pを並列状態に配置しプロセッサ部Bに搬送する連結部Cとを有している。なお、プリンタ部A、プロセッサ部B及び連結部Cは、同一筐体により形成されている。
【0016】
プリンタ部Aにおける筐体外部の上部には、写真処理装置1の処理状況等が表示されるモニター5と、顧客が持参してきたコンパクトディスクやメモリーカード等に記憶された画像データを読み取る読取装置6とが設けられている。また、プリンタ部Aの内部には、読取装置6により読み取られた画像データを一時的に記憶すると共に写真処理装置1の各部の制御を行う制御部7と、乳剤面が外側になるようにロール状に巻回された長尺の感光材料Pを軸周りに回転可能に枢支して収容するマガジン8と、マガジン8から引き出された感光材料Pを所定長さに切断した後、感光材料Pを水平方向に搬送するペーパー供給部10と、ペーパー供給部10から受け取った感光材料Pを副走査方向に搬送する露光搬送部20と、露光搬送部20で搬送される感光材料Pの乳剤面に露光処理(いわゆる走査露光)を行うレーザ走査型の露光部28とを備えている。
【0017】
プロセッサ部Bは、露光処理が施された感光材料Pを現像液に浸漬させて現像処理する現像処理ユニット30と、現像処理ユニット30で現像処理された感光材料Pを乾燥させる乾燥ユニット40とを有している。現像処理ユニット30には、複数の槽からなる現像処理槽31と、感光材料Pの現像処理槽31への浸漬と引き上げとを行えるように適宜配設されて並列状態にある複数のローラ対32とが設けられている。現像処理槽31の複数の槽には現像液が入れられており、プロセッサ部Bでは、露光処理が施された並列状態の感光材料Pが複数のローラ対32によって並列状態を維持したまま、各槽の現像液への浸漬と現像液からの引き上げとが繰り返される。その後、乾燥装置40へと搬送されて乾燥処理が行われ、現像液の浸漬による感光材料の濡れが乾燥される。
【0018】
次に、ペーパー供給部10及び露光搬送部20の構成について、図2を参照して説明する。図2は、図1の写真処理装置のペーパー供給部及び露光搬送部の構成を示す図である。
【0019】
ペーパー供給部10は、図2に示すように、感光材料Pを切断するカッター12と、マガジン8から引き出された感光材料Pをカッター12の切断位置に搬送する導入ローラ対11と、カッター12の下流側に配置された送り出しローラ対13と、感光材料Pを挟んで水平方向に搬送するチャッカ装置14とを有している。
【0020】
導入ローラ対11は、駆動ローラ11aと、駆動ローラ11aとの間で感光材料Pを挟持する2つの従動ローラ11b、11cとを有している。駆動ローラ11aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により回転駆動される。
【0021】
カッター12は、感光材料Pをプリントサイズに切断するための固定刃12aと可動刃12bとを有している。固定刃12aは、感光材料Pの搬送経路の下方に固定されており、可動刃12bは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により固定刃12aに向かって上下に移動可能である。
【0022】
送り出しローラ対13は、駆動ローラ13aと、駆動ローラ13aとの間で感光材料Pを挟持する従動ローラ13bとを有している。駆動ローラ13aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により回転駆動される。
【0023】
チャッカ装置14は、感光材料Pの先端部を露光搬送部20に供給するためのものである。チャッカ装置14には、感光材料Pの先端部を挟む挟持部14aが設けられており、挟持部14aを保持するキャリア14bは、移動軸14cに沿って水平方向に移動可能である。従って、キャリア14bが送り出しローラ対13近傍に配置された状態(図2の状態)で、挟持部14aにより感光材料Pの先端部が挟持された後で、キャリア14bが露光搬送部20に向かって移動することによって、感光材料Pの先端部を露光搬送部20に送り込むことが可能である。
【0024】
また、ペーパー供給部10の送り出しローラ対13の下流側には、感光材料Pの搬送経路の下方に配置されたループ形成領域Lが設けられている。つまり、ペーパー供給部10では、送り出しローラ対13の下流側に水平ガイド15が設けられると共に、露光搬送部20の受け入れローラ21の上流側に水平ガイド17が設けられている。そして、水平ガイド15と水平ガイド17とは離隔しており、水平ガイド15の端部から斜め下方向に延在する傾斜ガイド16が設けられている。従って、水平ガイド15と水平ガイド17との間であり且つ傾斜ガイド16の上方の領域がループ形成領域Lになる。
【0025】
また、ループ形成領域Lの上方には、支持部材(図示しない)によって回転自在に支持された2つの回転ローラ18が配置されている。2つの回転ローラ18は、感光材料Pの搬送経路よりも上方に配置されている。そのため、2つの回転ローラ18は、感光材料Pが水平状態である場合には感光材料Pに当接しない。また、2つの回転ローラ18は、感光材料Pの搬送経路の幅方向中心位置に対して対称となる位置に配置されている。つまり、2つの回転ローラ18は、図2では紙面に垂直な方向に離隔して配置されている。
【0026】
2つの回転ローラ18は、感光材料Pの弛みがループ形成領域Lで形成されるようにするためのものである。つまり、感光材料Pの先端部がチャッカ装置14の挟持部14aで挟持された状態で、送り出しローラ対13の回転駆動が開始された場合には、感光材料Pの巻き癖によって、感光材料Pが搬送経路よりも上方に弛み始める。そして、感光材料Pの弛みが少し形成された段階で、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接し、感光材料Pの腰が折られ、感光材料Pの弛みが搬送経路よりも下方のループ形成領域Lで形成されるようになる。ここで、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接した場合でも、回転ローラ18は回転自在に支持されているので、感光材料Pの損傷が抑制される。
【0027】
露光搬送部20は、ペーパー供給部10から供給された感光材料Pを受け入れる受け入れローラ対21と、露光部28による露光位置での感光材料Pの搬送速度を支配する2つの露光搬送ローラ対25、26とを有している。
【0028】
受入れローラ対21は、駆動ローラ21aと、駆動ローラ21aとの間で感光材料Pを挟持する挟持位置及び感光材料Pを挟持しない開放位置のいずれかの位置を取り得る従動ローラ21bとを有している。受入れローラ対21の駆動ローラ21aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により回転駆動される。一方、従動ローラ21bは、制御部7からの制御信号に基づいて挟持位置及び開放位置のいずれかに切り換えられる。
【0029】
露光搬送ローラ対25、26は、露光位置の上流側及び下流側にそれぞれ配置されており、露光位置の感光材料Pを一定速度で搬送可能である。露光搬送ローラ対25、26は、駆動ローラ25a、26aと、駆動ローラ25a、26aとの間で感光材料Pを挟持する挟持位置及び感光材料Pを挟持しない開放位置のいずれかの位置を取り得る従動ローラ25b、26bとをそれぞれ有している。露光搬送ローラ対25、26の駆動ローラ25a、26aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力によりそれぞれ回転駆動される。一方、従動ローラ25b、26bは、制御部7からの制御信号に基づいて挟持位置及び開放位置のいずれかに切り換えられる。
【0030】
次に、ペーパー搬送部10及び露光搬送部20を感光材料Pが搬送される場合の動作について、図3を参照して説明する。図3は、ペーパー搬送部及び露光搬送部を感光材料Pが搬送される場合の動作を示す図である。
【0031】
マガジン8から引き出された感光材料Pが導入ローラ対11で搬送され、図3(a)に示すように、感光材料Pの先端部が送り出しローラ対13から設定量だけ送り出されたタイミングで、感光材料Pの送り出しが停止され、感光材料Pの先端部がチャッカ装置14の挟持部14aで挟持される。図3では、チャッカ装置14の挟持部14aで感光材料Pが挟持される様子が模式的に図示されている。
【0032】
そして、感光材料Pの先端部が挟持部14aで挟持された状態で、キャリア14bが露光搬送部20に向かって移動すると共に、この移動速度で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13によって感光材料Pが下流側へと送り出される。すると、図3(b)に示すように、挟持部14aで挟持された感光材料Pの先端部が受入れローラ21の駆動ローラ21aと従動ローラ21bとの間に送り込まれる。このとき、受入れローラ21、露光搬送ローラ対25、26は開放状態になっている。
【0033】
このように、感光材料Pの先端部が受入れローラ21に送り込まれ、感光材料Pの先端部が挟持部14aで挟持された状態で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が回転駆動されると、ループ形成領域Lの上方に搬送された感光材料Pは、その巻き癖によって、図3(c)に示すように、搬送経路よりも上方に弛み、2つの回転ローラ18に当接するようになる。
【0034】
すると、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接した部分に下方に向かう力が加わることによって、感光材料Pの腰が折られて、感光材料Pは搬送経路よりも下方に弛むようになる。その後、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が回転駆動されると、図3(d)に示すように、感光材料Pの弛みがループ形成領域Lで形成される。
【0035】
ループ形成領域Lにおいて、予め設定された量の弛みが形成されると、図3(e)に示すように、受け入れローラ対21で感光材料Pの先端部が挟持されると共に、挟持部14aでの挟持が解除されると共に、受入れローラ対21の従動ローラ21bが挟持位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態に切り換えられる。その後、受入れローラ対21によって感光材料Pの先端部が挟持され、感光材料Pの搬送が開始される。
【0036】
感光材料Pの先端部が、図3(f)に示すように、露光搬送ローラ対25の駆動ローラ25aと従動ローラ25bとの間に送り込まれると、図3(g)に示すように、露光搬送ローラ対25の従動ローラ25bが挟持位置に移動し、露光搬送ローラ対25が挟持状態に切り換えられると共に、受入れローラ対21の従動ローラ21bが開放位置に移動し、受け入れローラ対21での挟持が解除される。
【0037】
引き続き、露光搬送ローラ対25で感光材料Pの先端部が挟持されることによって感光材料Pが搬送される。このとき、露光搬送ローラ対25で搬送される感光材料Pに対する露光処理が開始される。そして、感光材料Pの先端部が、露光搬送ローラ対26の駆動ローラ26aと従動ローラ26bとの間に送り込まれると、図3(h)に示すように、露光搬送ローラ対26の従動ローラ26bが挟持位置に移動し、露光搬送ローラ対26が挟持状態に切り換えられる。なお、感光材料Pに対する露光処理は、露光搬送ローラ対26が挟持状態に切り換えられた後も、露光搬送ローラ対25、26で搬送される感光材料Pに対して継続して行われる。
【0038】
このとき、受け入れローラ対21は開放状態になっている。なお、露光搬送ローラ対25、26による搬送と同期した速度で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が同期駆動されることにより、ループ形成領域Lに形成される感光材料Pの弛みが所定量に維持される。
【0039】
そして、感光材料Pに対する露光処理が行われているときに、感光材料Pのカット位置がカッター12の切断位置に到達すると、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が一時停止され、図3(i)に示すように、カッター12によって感光材料Pが切断される。ここで、感光材料Pが切断される直前に、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが挟持位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態に切り換えられる。
【0040】
感光材料Pの切断が終了すると、図3(j)に示すように、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが開放位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態から開放状態に切り換えられる。そして、引き続き、露光搬送ローラ対25、26で搬送される感光材料Pに対する露光処理が行われると共に、送り出しローラ対13で感光材料Pが搬送される。その後、感光材料Pの後端部が送り出しローラ対13を通過する直前に、図3(k)に示すように、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが挟持位置に移動し、受入れローラ対21が開放状態から挟持状態に切り換えられる。
【0041】
そして、感光材料Pの後端部がループ形成領域Lを搬送されている間は、図3(l)に示すように、受け入れローラ対21は挟持状態に維持される。このとき、受け入れローラ対21は、露光搬送ローラ対25、26と同じ速度で感光材料Pを搬送するのが好ましい。その後、感光材料Pの後端部が、図3(m)に示すように、ループ形成領域Lを通過すると、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが開放位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態から開放状態に切り換えられる。
【0042】
引き続き、露光搬送ローラ対25、26で搬送される感光材料Pに対する露光処理が行われ、図3(n)に示すように、感光材料Pの後端部が露光搬送ローラ対25を通過する直前に、露光搬送ローラ対25の従動ローラ25bが開放位置に移動し、露光搬送ローラ対25が挟持状態から開放状態に切り換えられる。その後、露光搬送ローラ対26で搬送される感光材料Pに対する露光処理が行われ、図3(o)に示すように、感光材料Pの後端部近傍に対する露光処理が終了すると、露光搬送ローラ対26の従動ローラ26bが開放位置に移動し、露光搬送ローラ対26が挟持状態から開放状態に切り換えられる。その後、露光処理が終了した感光材料Pは、露光搬送部20より下流側の連結部Cのローラ対32によって搬送される。このとき、露光処理が終了した感光材料Pは露光搬送部20では挟持されていないので、連結部Cのローラ対32によって比較的高速で搬送することが可能になる。
【0043】
なお、本実施の形態では、露光部28で感光材料Pに対する露光処理が行われているときは、通常、受け入れローラ21は開放状態になっている。そして、感光材料Pが切断される直前、感光材料Pの後端部が送り出しローラ対13を通過する直前及び感光材料Pの後端部がループ形成領域Lを搬送されている間だけ、受け入れローラ21は挟持状態に切り換えられる。このように、受け入れローラ21で感光材料Pを挟持する時間を極力短くすることによって、露光処理が行われている感光材料Pが、露光搬送ローラ対25、26に挟持されるだけでなく、受け入れローラ21に挟持されることにより搬送ムラが発生するのが抑制される。また、受け入れローラ21の搬送力は、露光搬送ローラ対25、26の搬送力よりも小さくてもよい。この場合には、露光位置での搬送ばらつきが小さくなり、画像の品質が向上する。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態に係る写真処理装置1では、送り出しローラ対13とチャッカ装置14の挟持部14aとの間で感光材料Pが張った状態で、送り出しローラ対13が回転駆動された場合には、感光材料Pの巻き癖によって、感光材料Pが乳剤面側に弛み始めるが、このとき、感光材料Pの弛みが少し形成された段階で、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接する。すると、感光材料Pの腰が折られ、感光材料Pの弛みが乳剤面と反対側に形成されるようになる。このように、2つの回転ローラ18を感光材料Pの搬送経路に対して乳剤面側の所定位置に配置するだけで、感光材料Pの弛みを形成可能である。従って、装置構成の複雑化及び製造コストの増加を抑制することができる。
【0045】
また、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接した場合でも、2つの回転ローラ18は回転自在に支持されているので、感光材料Pの損傷が抑制される。
【0046】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、感光材料Pを搬送可能なペーパー供給部10(搬送装置)を説明しているが、その他の画像形成媒体を搬送可能な搬送装置でもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態では、ループ形成領域Lの上方には回転自在に支持された2つの回転ローラ18が配置されているが、回転ローラの数は変更可能である。また、弛み形成部材は、回転ローラに限られず、固定された部材であってもよい。
【0048】
また、上述の実施の形態では、チャッカ装置14の挟持部14aが感光材料Pを挟持し且つ感光材料Pを搬送しない状態で保持した状態で送り出しローラ対13が回転駆動される場合を説明しているが、受け入れローラ対21が感光材料Pを挟持し且つ感光材料Pを搬送しない状態で保持した状態で送り出しローラ対13が回転駆動されてもよいし、受け入れローラ対21が感光材料Pを挟持し且つ感光材料Pを送り出しローラ対13よりも遅い搬送速度で搬送する状態で送り出しローラ対13が回転駆動されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る写真処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の写真処理装置のペーパー供給部及び露光搬送部の構成を示す図である。
【図3】ペーパー搬送部及び露光搬送部を感光材料Pが搬送される場合の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 写真処理装置
7 制御部
10 ペーパー供給部
11 導入ローラ対
12 カッター
13 送り出しローラ対
14 チャッカ装置
14a 挟持部
18 回転ローラ
20 露光搬送部
21 受け入れローラ対
25 露光搬送ローラ対
26 露光搬送ローラ対
28 露光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の画像形成媒体を搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真処理装置でロール状の感光材料に対する露光処理が行われる場合には、感光材料がプリントサイズに切断された後で露光処理が行われることが多い。ここで、感光材料を切断する切断部と露光処理を行う露光部との距離が短い場合には、露光部での感光材料に対する露光処理と並行して、切断部で感光材料を切断しなければならないことがある。このような場合には、感光材料が切断される際の振動が、露光部で露光処理が行われている感光材料に伝わり、感光材料に形成される画像の品質が悪化するという問題が発生する。
【0003】
そこで、切断部と露光部との間において感光材料の弛み(ループ)が形成される写真処理装置が知られている。この写真処理装置では、切断部と露光部との間で感光材料の弛みが形成された状態で、感光材料に対して露光処理が行われる。そのため、感光材料の弛みよりも上流側に配置されたカッターで感光材料が切断された場合でも、切断時の振動が露光位置の感光材料に伝わりにくくなり、画像品質の悪化が抑制される。
【0004】
ここで、感光材料の弛みを形成可能な搬送装置としては、感光材料に当接しつつ移動可能なガイドローラや揺動部材を備えたものがある(例えば、特許文献1、2参照)。この搬送装置では、ガイドローラ等が当接することにより感光材料に力が加わり、感光材料の弛みはガイドローラ等の移動方向に形成される。また、その他の搬送装置には、エアーを吐出または吸引可能なノズルを備えたものがある。この搬送装置では、例えばエアーがノズルから感光材料に向かって吐出されることにより感光材料に力が加わり、感光材料の弛みはエアーの吐出方向に形成される。
【特許文献1】特開2003−84374号公報(図2)
【特許文献2】特開平11−109597号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガイドローラ等を備えた搬送装置では、ガイドローラ等を移動させるための構成が必要であり、装置構成が複雑になってしまう。また、エアーを吐出または吸引するノズルを備えた搬送装置では、エアー吐出装置またはエアー吸引装置が必要であり、製造コストが増加してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で且つ製造コストの増加を抑制しつつ画像形成媒体の弛みを形成可能な搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本発明の搬送装置は、画像形成媒体の画像形成面が外側になるように巻回された巻回部から引き出された画像形成媒体を挟持して搬送可能な送り出しローラ対と、前記送り出しローラ対よりも搬送方向下流側に配置されており、画像形成媒体を挟持可能な挟持部と、前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路に対して画像形成面側の所定位置に配置された弛み形成部材とを備えている。
【0008】
ここで、「前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路」とは、送り出しローラ対及び挟持部が画像形成媒体を挟持し、送り出しローラ対と挟持部との間で画像形成媒体が張った状態における画像形成媒体の搬送経路を示す。また、「画像形成媒体を挟持可能な挟持部」は、送り出しローラ対が回転駆動された場合に、送り出しローラ対と挟持部との間で画像形成媒体の弛みが形成されるように、送り出しローラ対よりも搬送方向下流側で画像形成媒体を挟持可能なものであればよい。従って、挟持部は、画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を搬送しない状態で保持するものであってもよいし、画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を送り出しローラ対よりも遅い搬送速度で搬送するものであってもよい。
【0009】
この構成によると、送り出しローラ対と挟持部との間で画像形成媒体が張った状態で、送り出しローラ対が回転駆動されると共に、挟持部が画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を搬送しない状態で保持している場合には、画像形成媒体の巻き癖によって、画像形成媒体が画像形成面側に弛み始めるが、このとき、画像形成媒体の弛みが少し形成された段階で、画像形成媒体が弛み形成部材に当接する。すると、画像形成媒体の腰が折られ、画像形成媒体の弛みが画像形成面と反対側に形成されるようになる。このように、弛み形成部材を画像形成媒体の搬送経路に対して画像形成面側の所定位置に配置するだけで、画像形成媒体の弛みを形成可能である。従って、装置構成の複雑化及び製造コストの増加を抑制することができる。なお、挟持部が画像形成媒体を挟持し且つ画像形成媒体を送り出しローラ対よりも遅い搬送速度で搬送する場合も同様である。
【0010】
本発明の写真処理装置において、前記弛み形成部材は、前記所定位置で回転自在に支持された回転ローラであってもよい。
【0011】
この構成によると、画像形成媒体が弛み形成部材に当接した場合でも、弛み形成部材である回転ローラは回転自在に支持されているので、画像形成媒体の損傷が抑制される。
【0012】
本発明の写真処理装置において、前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路を挟んで前記弛み形成部材と対向するように配置された弛み形成領域が設けられていてもよい。
【0013】
この構成によると、画像形成媒体の弛みが画像形成面と反対側の領域で必要な長さだけ形成可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る写真処理装置の概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示す写真処理装置1は、長尺な感光材料Pを所定長さに切断し、切断された感光材料Pを露光処理するプリンタ部Aと、プリンタ部Aによって露光処理が施されて乳剤面に潜像が形成された感光材料Pを現像液に浸漬させて現像処理し乾燥させるプロセッサ部Bと、プリンタ部Aで露光処理された感光材料Pを並列状態に配置しプロセッサ部Bに搬送する連結部Cとを有している。なお、プリンタ部A、プロセッサ部B及び連結部Cは、同一筐体により形成されている。
【0016】
プリンタ部Aにおける筐体外部の上部には、写真処理装置1の処理状況等が表示されるモニター5と、顧客が持参してきたコンパクトディスクやメモリーカード等に記憶された画像データを読み取る読取装置6とが設けられている。また、プリンタ部Aの内部には、読取装置6により読み取られた画像データを一時的に記憶すると共に写真処理装置1の各部の制御を行う制御部7と、乳剤面が外側になるようにロール状に巻回された長尺の感光材料Pを軸周りに回転可能に枢支して収容するマガジン8と、マガジン8から引き出された感光材料Pを所定長さに切断した後、感光材料Pを水平方向に搬送するペーパー供給部10と、ペーパー供給部10から受け取った感光材料Pを副走査方向に搬送する露光搬送部20と、露光搬送部20で搬送される感光材料Pの乳剤面に露光処理(いわゆる走査露光)を行うレーザ走査型の露光部28とを備えている。
【0017】
プロセッサ部Bは、露光処理が施された感光材料Pを現像液に浸漬させて現像処理する現像処理ユニット30と、現像処理ユニット30で現像処理された感光材料Pを乾燥させる乾燥ユニット40とを有している。現像処理ユニット30には、複数の槽からなる現像処理槽31と、感光材料Pの現像処理槽31への浸漬と引き上げとを行えるように適宜配設されて並列状態にある複数のローラ対32とが設けられている。現像処理槽31の複数の槽には現像液が入れられており、プロセッサ部Bでは、露光処理が施された並列状態の感光材料Pが複数のローラ対32によって並列状態を維持したまま、各槽の現像液への浸漬と現像液からの引き上げとが繰り返される。その後、乾燥装置40へと搬送されて乾燥処理が行われ、現像液の浸漬による感光材料の濡れが乾燥される。
【0018】
次に、ペーパー供給部10及び露光搬送部20の構成について、図2を参照して説明する。図2は、図1の写真処理装置のペーパー供給部及び露光搬送部の構成を示す図である。
【0019】
ペーパー供給部10は、図2に示すように、感光材料Pを切断するカッター12と、マガジン8から引き出された感光材料Pをカッター12の切断位置に搬送する導入ローラ対11と、カッター12の下流側に配置された送り出しローラ対13と、感光材料Pを挟んで水平方向に搬送するチャッカ装置14とを有している。
【0020】
導入ローラ対11は、駆動ローラ11aと、駆動ローラ11aとの間で感光材料Pを挟持する2つの従動ローラ11b、11cとを有している。駆動ローラ11aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により回転駆動される。
【0021】
カッター12は、感光材料Pをプリントサイズに切断するための固定刃12aと可動刃12bとを有している。固定刃12aは、感光材料Pの搬送経路の下方に固定されており、可動刃12bは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により固定刃12aに向かって上下に移動可能である。
【0022】
送り出しローラ対13は、駆動ローラ13aと、駆動ローラ13aとの間で感光材料Pを挟持する従動ローラ13bとを有している。駆動ローラ13aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により回転駆動される。
【0023】
チャッカ装置14は、感光材料Pの先端部を露光搬送部20に供給するためのものである。チャッカ装置14には、感光材料Pの先端部を挟む挟持部14aが設けられており、挟持部14aを保持するキャリア14bは、移動軸14cに沿って水平方向に移動可能である。従って、キャリア14bが送り出しローラ対13近傍に配置された状態(図2の状態)で、挟持部14aにより感光材料Pの先端部が挟持された後で、キャリア14bが露光搬送部20に向かって移動することによって、感光材料Pの先端部を露光搬送部20に送り込むことが可能である。
【0024】
また、ペーパー供給部10の送り出しローラ対13の下流側には、感光材料Pの搬送経路の下方に配置されたループ形成領域Lが設けられている。つまり、ペーパー供給部10では、送り出しローラ対13の下流側に水平ガイド15が設けられると共に、露光搬送部20の受け入れローラ21の上流側に水平ガイド17が設けられている。そして、水平ガイド15と水平ガイド17とは離隔しており、水平ガイド15の端部から斜め下方向に延在する傾斜ガイド16が設けられている。従って、水平ガイド15と水平ガイド17との間であり且つ傾斜ガイド16の上方の領域がループ形成領域Lになる。
【0025】
また、ループ形成領域Lの上方には、支持部材(図示しない)によって回転自在に支持された2つの回転ローラ18が配置されている。2つの回転ローラ18は、感光材料Pの搬送経路よりも上方に配置されている。そのため、2つの回転ローラ18は、感光材料Pが水平状態である場合には感光材料Pに当接しない。また、2つの回転ローラ18は、感光材料Pの搬送経路の幅方向中心位置に対して対称となる位置に配置されている。つまり、2つの回転ローラ18は、図2では紙面に垂直な方向に離隔して配置されている。
【0026】
2つの回転ローラ18は、感光材料Pの弛みがループ形成領域Lで形成されるようにするためのものである。つまり、感光材料Pの先端部がチャッカ装置14の挟持部14aで挟持された状態で、送り出しローラ対13の回転駆動が開始された場合には、感光材料Pの巻き癖によって、感光材料Pが搬送経路よりも上方に弛み始める。そして、感光材料Pの弛みが少し形成された段階で、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接し、感光材料Pの腰が折られ、感光材料Pの弛みが搬送経路よりも下方のループ形成領域Lで形成されるようになる。ここで、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接した場合でも、回転ローラ18は回転自在に支持されているので、感光材料Pの損傷が抑制される。
【0027】
露光搬送部20は、ペーパー供給部10から供給された感光材料Pを受け入れる受け入れローラ対21と、露光部28による露光位置での感光材料Pの搬送速度を支配する2つの露光搬送ローラ対25、26とを有している。
【0028】
受入れローラ対21は、駆動ローラ21aと、駆動ローラ21aとの間で感光材料Pを挟持する挟持位置及び感光材料Pを挟持しない開放位置のいずれかの位置を取り得る従動ローラ21bとを有している。受入れローラ対21の駆動ローラ21aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力により回転駆動される。一方、従動ローラ21bは、制御部7からの制御信号に基づいて挟持位置及び開放位置のいずれかに切り換えられる。
【0029】
露光搬送ローラ対25、26は、露光位置の上流側及び下流側にそれぞれ配置されており、露光位置の感光材料Pを一定速度で搬送可能である。露光搬送ローラ対25、26は、駆動ローラ25a、26aと、駆動ローラ25a、26aとの間で感光材料Pを挟持する挟持位置及び感光材料Pを挟持しない開放位置のいずれかの位置を取り得る従動ローラ25b、26bとをそれぞれ有している。露光搬送ローラ対25、26の駆動ローラ25a、26aは、制御部7に接続されたモータ(図示しない)からの駆動力によりそれぞれ回転駆動される。一方、従動ローラ25b、26bは、制御部7からの制御信号に基づいて挟持位置及び開放位置のいずれかに切り換えられる。
【0030】
次に、ペーパー搬送部10及び露光搬送部20を感光材料Pが搬送される場合の動作について、図3を参照して説明する。図3は、ペーパー搬送部及び露光搬送部を感光材料Pが搬送される場合の動作を示す図である。
【0031】
マガジン8から引き出された感光材料Pが導入ローラ対11で搬送され、図3(a)に示すように、感光材料Pの先端部が送り出しローラ対13から設定量だけ送り出されたタイミングで、感光材料Pの送り出しが停止され、感光材料Pの先端部がチャッカ装置14の挟持部14aで挟持される。図3では、チャッカ装置14の挟持部14aで感光材料Pが挟持される様子が模式的に図示されている。
【0032】
そして、感光材料Pの先端部が挟持部14aで挟持された状態で、キャリア14bが露光搬送部20に向かって移動すると共に、この移動速度で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13によって感光材料Pが下流側へと送り出される。すると、図3(b)に示すように、挟持部14aで挟持された感光材料Pの先端部が受入れローラ21の駆動ローラ21aと従動ローラ21bとの間に送り込まれる。このとき、受入れローラ21、露光搬送ローラ対25、26は開放状態になっている。
【0033】
このように、感光材料Pの先端部が受入れローラ21に送り込まれ、感光材料Pの先端部が挟持部14aで挟持された状態で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が回転駆動されると、ループ形成領域Lの上方に搬送された感光材料Pは、その巻き癖によって、図3(c)に示すように、搬送経路よりも上方に弛み、2つの回転ローラ18に当接するようになる。
【0034】
すると、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接した部分に下方に向かう力が加わることによって、感光材料Pの腰が折られて、感光材料Pは搬送経路よりも下方に弛むようになる。その後、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が回転駆動されると、図3(d)に示すように、感光材料Pの弛みがループ形成領域Lで形成される。
【0035】
ループ形成領域Lにおいて、予め設定された量の弛みが形成されると、図3(e)に示すように、受け入れローラ対21で感光材料Pの先端部が挟持されると共に、挟持部14aでの挟持が解除されると共に、受入れローラ対21の従動ローラ21bが挟持位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態に切り換えられる。その後、受入れローラ対21によって感光材料Pの先端部が挟持され、感光材料Pの搬送が開始される。
【0036】
感光材料Pの先端部が、図3(f)に示すように、露光搬送ローラ対25の駆動ローラ25aと従動ローラ25bとの間に送り込まれると、図3(g)に示すように、露光搬送ローラ対25の従動ローラ25bが挟持位置に移動し、露光搬送ローラ対25が挟持状態に切り換えられると共に、受入れローラ対21の従動ローラ21bが開放位置に移動し、受け入れローラ対21での挟持が解除される。
【0037】
引き続き、露光搬送ローラ対25で感光材料Pの先端部が挟持されることによって感光材料Pが搬送される。このとき、露光搬送ローラ対25で搬送される感光材料Pに対する露光処理が開始される。そして、感光材料Pの先端部が、露光搬送ローラ対26の駆動ローラ26aと従動ローラ26bとの間に送り込まれると、図3(h)に示すように、露光搬送ローラ対26の従動ローラ26bが挟持位置に移動し、露光搬送ローラ対26が挟持状態に切り換えられる。なお、感光材料Pに対する露光処理は、露光搬送ローラ対26が挟持状態に切り換えられた後も、露光搬送ローラ対25、26で搬送される感光材料Pに対して継続して行われる。
【0038】
このとき、受け入れローラ対21は開放状態になっている。なお、露光搬送ローラ対25、26による搬送と同期した速度で、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が同期駆動されることにより、ループ形成領域Lに形成される感光材料Pの弛みが所定量に維持される。
【0039】
そして、感光材料Pに対する露光処理が行われているときに、感光材料Pのカット位置がカッター12の切断位置に到達すると、導入ローラ対11及び送り出しローラ対13が一時停止され、図3(i)に示すように、カッター12によって感光材料Pが切断される。ここで、感光材料Pが切断される直前に、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが挟持位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態に切り換えられる。
【0040】
感光材料Pの切断が終了すると、図3(j)に示すように、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが開放位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態から開放状態に切り換えられる。そして、引き続き、露光搬送ローラ対25、26で搬送される感光材料Pに対する露光処理が行われると共に、送り出しローラ対13で感光材料Pが搬送される。その後、感光材料Pの後端部が送り出しローラ対13を通過する直前に、図3(k)に示すように、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが挟持位置に移動し、受入れローラ対21が開放状態から挟持状態に切り換えられる。
【0041】
そして、感光材料Pの後端部がループ形成領域Lを搬送されている間は、図3(l)に示すように、受け入れローラ対21は挟持状態に維持される。このとき、受け入れローラ対21は、露光搬送ローラ対25、26と同じ速度で感光材料Pを搬送するのが好ましい。その後、感光材料Pの後端部が、図3(m)に示すように、ループ形成領域Lを通過すると、受け入れローラ対21の従動ローラ21bが開放位置に移動し、受入れローラ対21が挟持状態から開放状態に切り換えられる。
【0042】
引き続き、露光搬送ローラ対25、26で搬送される感光材料Pに対する露光処理が行われ、図3(n)に示すように、感光材料Pの後端部が露光搬送ローラ対25を通過する直前に、露光搬送ローラ対25の従動ローラ25bが開放位置に移動し、露光搬送ローラ対25が挟持状態から開放状態に切り換えられる。その後、露光搬送ローラ対26で搬送される感光材料Pに対する露光処理が行われ、図3(o)に示すように、感光材料Pの後端部近傍に対する露光処理が終了すると、露光搬送ローラ対26の従動ローラ26bが開放位置に移動し、露光搬送ローラ対26が挟持状態から開放状態に切り換えられる。その後、露光処理が終了した感光材料Pは、露光搬送部20より下流側の連結部Cのローラ対32によって搬送される。このとき、露光処理が終了した感光材料Pは露光搬送部20では挟持されていないので、連結部Cのローラ対32によって比較的高速で搬送することが可能になる。
【0043】
なお、本実施の形態では、露光部28で感光材料Pに対する露光処理が行われているときは、通常、受け入れローラ21は開放状態になっている。そして、感光材料Pが切断される直前、感光材料Pの後端部が送り出しローラ対13を通過する直前及び感光材料Pの後端部がループ形成領域Lを搬送されている間だけ、受け入れローラ21は挟持状態に切り換えられる。このように、受け入れローラ21で感光材料Pを挟持する時間を極力短くすることによって、露光処理が行われている感光材料Pが、露光搬送ローラ対25、26に挟持されるだけでなく、受け入れローラ21に挟持されることにより搬送ムラが発生するのが抑制される。また、受け入れローラ21の搬送力は、露光搬送ローラ対25、26の搬送力よりも小さくてもよい。この場合には、露光位置での搬送ばらつきが小さくなり、画像の品質が向上する。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態に係る写真処理装置1では、送り出しローラ対13とチャッカ装置14の挟持部14aとの間で感光材料Pが張った状態で、送り出しローラ対13が回転駆動された場合には、感光材料Pの巻き癖によって、感光材料Pが乳剤面側に弛み始めるが、このとき、感光材料Pの弛みが少し形成された段階で、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接する。すると、感光材料Pの腰が折られ、感光材料Pの弛みが乳剤面と反対側に形成されるようになる。このように、2つの回転ローラ18を感光材料Pの搬送経路に対して乳剤面側の所定位置に配置するだけで、感光材料Pの弛みを形成可能である。従って、装置構成の複雑化及び製造コストの増加を抑制することができる。
【0045】
また、感光材料Pが2つの回転ローラ18に当接した場合でも、2つの回転ローラ18は回転自在に支持されているので、感光材料Pの損傷が抑制される。
【0046】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、感光材料Pを搬送可能なペーパー供給部10(搬送装置)を説明しているが、その他の画像形成媒体を搬送可能な搬送装置でもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態では、ループ形成領域Lの上方には回転自在に支持された2つの回転ローラ18が配置されているが、回転ローラの数は変更可能である。また、弛み形成部材は、回転ローラに限られず、固定された部材であってもよい。
【0048】
また、上述の実施の形態では、チャッカ装置14の挟持部14aが感光材料Pを挟持し且つ感光材料Pを搬送しない状態で保持した状態で送り出しローラ対13が回転駆動される場合を説明しているが、受け入れローラ対21が感光材料Pを挟持し且つ感光材料Pを搬送しない状態で保持した状態で送り出しローラ対13が回転駆動されてもよいし、受け入れローラ対21が感光材料Pを挟持し且つ感光材料Pを送り出しローラ対13よりも遅い搬送速度で搬送する状態で送り出しローラ対13が回転駆動されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る写真処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の写真処理装置のペーパー供給部及び露光搬送部の構成を示す図である。
【図3】ペーパー搬送部及び露光搬送部を感光材料Pが搬送される場合の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 写真処理装置
7 制御部
10 ペーパー供給部
11 導入ローラ対
12 カッター
13 送り出しローラ対
14 チャッカ装置
14a 挟持部
18 回転ローラ
20 露光搬送部
21 受け入れローラ対
25 露光搬送ローラ対
26 露光搬送ローラ対
28 露光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成媒体の画像形成面が外側になるように巻回された巻回部から引き出された画像形成媒体を挟持して搬送可能な送り出しローラ対と、
前記送り出しローラ対よりも搬送方向下流側に配置されており、画像形成媒体を挟持可能な挟持部と、
前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路に対して画像形成面側の所定位置に配置された弛み形成部材とを備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記弛み形成部材は、前記所定位置で回転自在に支持された回転ローラであることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路を挟んで前記弛み形成部材と対向するように配置された弛み形成領域が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項1】
画像形成媒体の画像形成面が外側になるように巻回された巻回部から引き出された画像形成媒体を挟持して搬送可能な送り出しローラ対と、
前記送り出しローラ対よりも搬送方向下流側に配置されており、画像形成媒体を挟持可能な挟持部と、
前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路に対して画像形成面側の所定位置に配置された弛み形成部材とを備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記弛み形成部材は、前記所定位置で回転自在に支持された回転ローラであることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記送り出しローラ対と前記挟持部との間における画像形成媒体の搬送経路を挟んで前記弛み形成部材と対向するように配置された弛み形成領域が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2007−22777(P2007−22777A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210015(P2005−210015)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
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