説明

携帯ガス測定装置

【課題】電池の終止電圧を低く設定すること。
【解決手段】電池3からの電力によりジュール熱で加熱してガスを検出するセンサ1を使用し、前記電池から制御手段に電力を供給する携帯用ガス測定装置において、電源投入後、センサ1が所定温度に到達した時点で制御手段4に電力を供給する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュール熱を利用するセンサーを用い、電源を電池に求める携帯ガス測定装置、より詳細には装置の動作を制御するCPUの起動技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に見られるような電池を電源とする携帯ガス測定装置は、電源が投入されるとセンサーと制御手段段とが同時に作動するため、電池が消耗している場合にはセンサーの動作可能温度への加熱のための大電流により大きな電圧降下が生じて制御手段Uが誤動作する。これを防止するため、電源となる電池に容量の大きなものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-185613
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサーが定格温度に到達した以後は、センサーへの電流が減少するため、通常の状態では電源電圧が定格値に対してオーバ気味となり無駄が生じる。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、装置の定常状態での定格電圧に可及的に近い出力電圧の電池で作動させることができる携帯ガス測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電池からの電力によりジュール熱で加熱してガスを検出するセンサを使用し、前記電池から制御手段に電力を供給する携帯用ガス測定装置において、電源投入後、前記センサが所定温度に到達した時点で前記制御手段に電力を供給するようにした。
【発明の効果】
【0006】
電圧降下が激しい電源投入時を過ぎて端子電圧が回復した以降に電圧の影響を受けやすい制御装置を作動させるため、センサの加熱初期の電圧降下によるマージンが不要となり制御手段の動作電圧程度の出力電圧を有する電池で電源を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は本発明の装置の実施例を示すブロック図である。
【図2】図2は、同上装置の動作を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施例を示すものであって、センサ1は、ヒータ1aのジュール熱によりガスと反応して電圧変化や電気抵抗変化を生じる種類のもので、接触燃焼式ガスセンサや熱伝導型ガスセンサ、半導体ガスセンサなどである。このセンサ1には定電圧を出力するセンサ駆動用電源回路2を介して電池3から電力が供給されている。
【0009】
制御手段4は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、制御用電力供給回路5を介してセンサ1と同一の電池3から電力が供給されている。
【0010】
この実施例において、電源スイッチ6を投入すると図2(A)に示したようにセンサ駆動用電源回路2を介してセンサ1にだけ電力が供給される。初期においては、センサ1を構成するヒータ1aに大きな電流が流れ、図2(B)電池1の端子電圧が大きく降下する。
このようにして所定時間ΔTが経過してセンサ1の温度が動作可能温度まで上昇すると、ヒータ1aの抵抗値が増大し、電池3からの負荷電流が減少する。
【0011】
これにより、電池3の端子電圧が制御手段4を確実に作動させることができる所定値V0まで回復するので、制御用電力供給回路5は電池3から制御手段4に電力を供給する。
【0012】
これにより、たとえ電池3の残量が少なくなっていても制御手段4は動作可能電圧以上の電圧での電力を受けることができ確実に作動する。すなわち、電池1の終止電圧を制御手段4の動作が可能な電圧程度に低く設定することが可能となる。
【0013】
もとより、センサ1が規定の温度まで上昇していなければ、正確な測定結果が得られないから、電源投入直後に所定時間、制御手段4が休止状態を維持していても実用上の問題は無い。
【0014】
なお、電池の端子電圧が制御手段4の動作可能値まで回復した時点を検出する制御用電力供給回路としては、電圧が所定値、つまり制御手段4が動作可能な電圧を検知してオンとなるスイッチング回路や、電源投入から所定時間、つまりセンサ1が定常状態まで昇温するに要する時間後にオンとなるタイマー回路等により構成することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 センサ
3 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池からの電力によりジュール熱で加熱してガスを検出するセンサを使用し、前記電池から制御手段に電力を供給する携帯用ガス測定装置において、
電源投入後、前記センサが所定温度に到達した時点で前記制御手段に電力を供給することを特徴とする携帯用ガス測定装置。
【請求項2】
前記センサが所定温度に到達した時点を時限手段により検出する請求項1に記載の携帯用ガス測定装置。
【請求項3】
前記センサが所定温度に到達した時点を前記電池の電圧により検出する請求項1に記載の携帯用ガス測定装置。

【図1】
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【図2】
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