説明

携帯充電器

【課題】 太陽電池の発電による過放電状態の二次電池に対する充電が確実で二次電池の完全放電を防止可能な携帯充電器を提供する。
【解決手段】 充電器本体2に、携帯電子機器へ充電電流を供給する出力端子4、太陽電池8、この太陽電池8の出力が充電手段10を介して供給される二次電池6、及び制御手段21を設ける。制御手段21は、二次電池6の電圧を検出するとともに、二次電池6が過放電状態に陥る閾値電圧以下の電池電圧を検出した場合、出力端子4への電池電圧の供給を禁止させ、閾値電圧を超える電池電圧を検出した場合、二次電池6の出力電圧を昇圧又は降圧して出力端子4に供給する構成であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話、携帯電子ゲーム機、携帯音楽プレーヤ等の携帯式電子機器の充電に用いられる携帯充電器に係り、特に、太陽電池で発電した電力を二次電池に蓄え、この蓄えられた電力を携帯式電子機器の機器側二次電池に供給して充電をする携帯充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル状の太陽電池が発電した電力を、逆流防止ダイオードからなる充電手段を経由させて二次電池に供給してこの電池に蓄えるとともに、二次電池に接続された電圧変換手段で、二次電池から出力された電圧を昇圧又は降圧して出力端子に供給する構成の携帯充電器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この携帯充電器に携帯式電子機器が接続されると、充電器の二次電池に蓄えられた電力が、接続された電子機器を充電するのに適した電圧に電圧変換手段により変換されて、その電圧が電子機器に供給されるので、この電子機器が充電される。
【0004】
又、携帯充電器は、抵抗と発光ダイオードを直列接続してなる充電表示回路で太陽電池による二次電池の充電を表示することが一般的である。そして、この充電表示回路は、太陽電池に並列に設けられる場合と、逆流防止ダイオードからなる充電手段に並列に設けられる場合とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−124872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽電池付きの携帯充電器が備える電圧変換手段の入力と出力の関係は次式で与えられる。
【0007】
η・VIN・IIN=Po
この式において、ηは入力から出力への電力変換効率、VINは電圧変換手段に対する入力電圧、IINは電圧変換手段に対する入力電流、Poは電圧変換手段からの出力電圧である。
【0008】
前記式を展開すれば、IIN=Po/η・VINであるから、入力電流IINは入力電圧VINに反比例し、入力電圧VINが低い場合の入力電流IINはきわめて大きくなる。
【0009】
携帯充電器の二次電池が過放電状態に陥った状態で、太陽電池からの出力で二次電池への充電を行いながら、この携帯充電器に接続された携帯電子機器が使用される場合、二次電池の電圧、つまり、電圧変換手段への入力電圧VINが低いので、発電する太陽電池の出力電流の殆ど全てが電圧変換手段で消費されてしまい、二次電池は殆ど充電されない。そのため、二次電池は依然として過放電状態のまま維持される。
【0010】
二次電池は、それに蓄えた電荷が完全放電した状態となってそれが長期間継続した場合、自然放電が進行するので、この状態で電力が供給されても、電荷を溜めるための能力が活性化することがなく、充電ができなくなる。
【0011】
このため、既述のように太陽電池からの出力に拘らず二次電池が過放電状態に継続されてしまうと、二次電池の寿命が損なわれることがある。
【0012】
一方、太陽電池に並列な充電表示回路を備えた携帯充電器では次の問題がある。つまり、この充電器での太陽電池の端子間電圧VSPは、二次電池の電圧Vと逆流防止ダイオードの端子間電圧Vを合計した電圧に等しい。逆流防止ダイオードの端子間電圧Vは1個に付き0.4〜0.6Vであり、又、放電状態の二次電池の電圧Vは1V以下である。これに対して、充電表示回路の発光ダイオードを発光させるのに必要な電圧は通常2V以上である。
【0013】
したがって、二次電池が過放電状態である場合は、太陽電池から出力される充電電流が充電表示回路に流れても、発光ダイオードにこれを発光させるに十分な電圧が掛からないので、この発光ダイオードは発光しない。このように充電表示回路を備えていても、二次電池が過放電状態の場合は充電表示ができない。
【0014】
又、こうした問題は、充電手段に並列な充電表示回路を備えた携帯充電器において、充電手段をなす複数の逆流防止ダイオードを直列に接続すれば解決できるが、この構成では次の問題がある。つまり、この構成では、太陽電池の出力開放時の出力電圧を二次電池の電圧より3V以上高くしなければならないが、太陽電池の発電面積は小さいので、前記のように出力電圧を高めることは難しい。しかも、逆流防止ダイオードによる電力損失が直列接続された数に応じて増えるため、二次電池への充電効率が大きく低下してしまう。
【0015】
したがって、本発明の第1目的は、過放電状態の二次電池に対する太陽電池の発電による充電が確実で二次電池の完全放電を防止可能な携帯充電器を提供することにあり、更に、本発明の第2目的は、前記第1目的に加えて、二次電池が過放電状態であっても確実な充電表示をすることが可能で、かつ、充電効率を損なうこともない携帯充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明は、充電器本体に、携帯電子機器へ充電電流を供給する出力端子、太陽電池、この太陽電池の出力が充電手段を介して供給される二次電池、及び制御手段を設ける。制御手段は、二次電池の電圧を検出するとともに、二次電池が過放電状態に陥る閾値電圧以下の電池電圧を検出した場合、出力端子への電池電圧の供給を禁止させ、閾値電圧を超える電池電圧を検出した場合、二次電池の出力電圧を昇圧又は降圧して出力端子に供給する構成であることを特徴としている。
【0017】
本発明で、二次電池が過放電状態であるときには、制御手段が検出する二次電池の電池電圧は、予め定められた閾値電圧以下であるので、制御手段は二次電池の出力電圧を調整(昇圧又は降圧)する動作を禁止した状態にある。そのため、この状態で、出力端子に携帯電子機器を電気的に接続するとともに太陽電池を受光させて発電させた場合、太陽電池が発電した電力は、昇圧又は降圧されて出力端子に与えられることがなく、専ら二次電池に供給される。この充電により、二次電池の過放電状態が長期にわたって放置されることが防止され、二次電池は過放電状態から抜け出ることができる。
【0018】
又、二次電池が過放電状態にないときには、制御手段での制御で二次電池の出力が昇圧又は降圧されて出力端子に与えられるので、この端子に電気的に接続された携帯電子機器に充電電流を供給できる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、過放電状態の二次電池に対する太陽電池の発電による充電が確実で二次電池の完全放電を防止可能な携帯充電器を提供できる、という効果がある。
【0020】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、更に、二次電池が過放電状態であっても確実な充電表示をすることが可能で、かつ、充電効率を損なうこともない携帯充電器を提供できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る携帯充電器の回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る携帯充電器の回路図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る携帯充電器の充電手段まわりを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態について、図1を参照して詳細に説明する。
【0023】
図中符号1は携帯充電器を示している。この携帯充電器1は、携帯することが可能であって、かつ、図示しない携帯電話等の携帯電子機器に内蔵された機器二次電池への充電をするために使用される。
【0024】
携帯充電器1は、充電器本体2と、出力端子4と、二次電池6と、太陽電池8と、充電手段10と、制御手段21を具備している。更に、携帯充電器1は外部直流電源41及びCV(定電圧)/CC(定電流)回路43を備えている。CV/CC回路43は、外部直流電源41から二次電池6を急速に充電するための外部充電手段であって、一般的には逆流防止ダイオードと電流制限抵抗の直列回路で形成されている。なお、これら外部直流電源41及びCV/CC回路43は、本発明では必須ではなく省略してもよい。
【0025】
出力端子4は充電器本体2に取付けられていて、この出力端子4に、充電を要する携帯電子機器が電気的に接続される。この接続は、携帯電子機器を出力端子4に着脱直接して行われる場合と、携帯電子機器が有する充電用コードの先端に設けられコネクタを出力端子4に着脱して行われる場合とがある。
【0026】
二次電池6は充電器本体2に内蔵されている。この二次電池6には、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・水素電池、リチウム・イオン電池、リチウム・ポリマー電池等を使用でき、例えばリチウム・ポリマー電池が採用されている。このリチウム・ポリマー電池の満充電状態での電池電圧は略3.7Vであり、この電池が過放電状態に陥る閾値電圧は3.0Vである。二次電池6は次に説明する太陽電池8の正極と負極に接続してこれらの間に設けられている。
【0027】
太陽電池8は、光電変換を行うものであって、パネル状に形成されている。太陽電池8は、その受光面で充電器本体2の外部の光を受光できるように充電器本体2の外部に受光面を露出させて充電器本体2に取付けられている。
【0028】
充電手段10は充電器本体2に内蔵されている。この充電手段10は、太陽電池8の出力を二次電池6に供給させるために設けられており、カレントミラー構成のトランジスタ回路(カレントミラー回路)で形成されている。図1に例示の充電手段10は、pnp型の第1トランジスタ11及びこれにカレントミラー接続されたpnp型の第2トランジスタ12とで形成されている。第1トランジスタ11は、太陽電池8と二次電池6の正極間を接続した充電路に挿入して設けられている。第1トランジスタ11と第2トランジスタ12のベースに二次電池6の端子間電圧(出力電圧)が与えられるように結線されている。
【0029】
更に、充電手段10の第2トランジスタ12のコレクタは太陽電池8と二次電池6の負極間を接続した充電路に充電表示回路14を介して接続されている。充電表示回路14は電流制限抵抗15とこれに直列接続された発光素子たとえば発光ダイオード16とで形成されている。電流制限抵抗15の抵抗値は、発光ダイオード16を流れる電流を必要最小限とするように定められ、それによって、太陽電池8の出力で二次電池6を高効率で充電できるようになっている。
【0030】
制御手段21は充電器本体2に内蔵されている。この制御手段21と充電手段10とCV/CC回路43のうち少なくとも前二者は、単一の回路基板上に搭載されていて、この回路基板とともに回路モジュールをなしている。制御手段21は、二次電池6と出力端子4間に設けられていて、例えば電圧変換手段22と、LVLO(定電圧ロックアウト)手段31とを備えている。LVLO手段は、Low Voltage Lock Out手段の略である。
【0031】
電圧変換手段22は、二次電池6の出力電圧を昇圧又は降圧して出力端子4に供給して、この出力端子4に接続された携帯電子機器への充電を行うために設けられている。電圧変換手段22は二次電池6の出力電圧を所定レベル例えば5Vの直流電圧に変換するものである。例示された電圧変換手段22は昇圧機能を有した構成であって、この電圧変換手段22の出力電圧が5Vを下回ろうとした場合、昇圧機能が働いて出力電圧を5V以上に維持する。
【0032】
LVLO手段31は、二次電池6から出力端子4への出力動作を二次電池6が予め設定された閾値電圧以下の場合に停止させるために設けられていて、電池電圧検出回路32と、この回路での電池電圧の検出にしたがって電圧変換手段22への通電を開閉するスイッチング回路35を有している。
【0033】
電池電圧検出回路32は、二次電池6の両極間に接続された第1分圧抵抗33と第2分圧抵抗34との直列回路で形成されている。この電池電圧検出回路32によって二次電池6の電池電圧を検出できる。
【0034】
スイッチング回路35は、pnp型の第1スイッチングトランジスタ36と、npn型の第2スイッチングトランジスタ37と、ベース電流制限抵抗38とで形成されている。第1スイッチングトランジスタ36のエミッタ・コレクタ間は、二次電池6の正極と電圧変換手段22との間の充電路に挿入されている。第2スイッチングトランジスタ37のベースは第1分圧抵抗33と第2分圧抵抗34との接続点に接続されている。第2スイッチングトランジスタ37のエミッタは、二次電池6の負極と出力端子4の負極との間の充電路に接続されている。ベース電流制限抵抗38の一端は第1スイッチングトランジスタ36のベースに接続され、ベース電流制限抵抗38の他端は第2スイッチングトランジスタ37のコレクタに接続されている。
【0035】
LVLO手段31において、そのスイッチング回路35が電圧変換手段22の動作を禁止する解除電圧Vは、
=〔(R33+R34)/R34〕・VBEの式で求められる。
【0036】
この式において、R33は第1分圧抵抗33の抵抗値、R34は第2分圧抵抗34の抵抗値である。又、VBEは、第2スイッチングトランジスタ37のベース・エミッタ間の電圧で、通常0.5V〜0.6Vである。そして、R33とR34の抵抗値は、LVLO手段31の解除電圧Vが、二次電池6が過放電に陥る閾値電圧となるように設定されていて、例えばリチウム・ポリマー電池の場合は3.0Vに設定することが好ましい。しかし、この閾値電圧は、3.0Vに制限されるわけではなく、更に低い電圧をスイッチング動作電圧として設定することも可能である。なお、前記構成のスイッチング回路35において、第1スイッチングトランジスタ36はpMOSトランジスタに、又、第2スイッチングトランジスタ37はnMOSトランジスタに代えることもできる。前記LVLO手段31は、一般的に入手が容易な部品で形成されるため、コストが安い点で有利である。
【0037】
前記構成の携帯充電器1で、二次電池6が過放電状態にないときには、この二次電池6の電池電圧は予め定められた閾値電圧を超えているので、その電圧がベースに与えられている第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12はともにオフされている。つまり、充電手段10はオフ状態を維持していて、太陽電池8による二次電池6の充電が禁止されているとともに充電表示回路14の発光ダイオード16は消灯状態にある。
【0038】
これとともに、制御手段21のLVLO手段31においては、その電池電圧検出回路32が前記閾値電圧を超える値の電池電圧を検出し、それがスイッチング回路35に与えられているので、第2スイッチングトランジスタ37はオフ状態にあるとともに、第1スイッチングトランジスタ36はオン状態にある。つまり、LVLO手段31は二次電池6の出力電圧を調整(昇圧又は降圧)する動作を行うことが可能な状態にある。
【0039】
そのため、充電器本体2の出力端子4に携帯電話等の携帯電子機器が電気的に接続されると、二次電池6の出力が電圧変換手段22で昇圧(又は降圧)されて出力端子4に与えられる。これにより、出力端子4を経由して携帯電子機器に充電電流が供給されて、この携帯電子機器に内蔵されている機器側二次電池が充電される。
【0040】
又、二次電池6が過放電状態であるときには、二次電池6の電池電圧は前記閾値電圧以下であるので、その電圧がベースに与えられている第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12はともにオンされている。つまり、充電手段10はオン状態を維持していて、太陽電池8による二次電池6の充電が可能な状態にあるとともに、充電表示回路14は第2トランジスタ12を介して太陽電池8の出力が通電可能な状態となる。
【0041】
そのため、太陽電池8が受光して発電状態になると、発電された電力が、第1トランジスタ11を介して二次電池6に与えられてこの二次電池6が充電されるとともに、第2トランジスタ12を介して充電表示回路14に与えられて、その発光ダイオード16が発光して充電状態を表示する。なお、ここに、充電状態とは、充電の程度ではなく、二次電池6に充電電流が供給されていることを指している。
【0042】
これとともに、制御手段21のLVLO手段31においては、その電池電圧検出回路32が前記閾値電圧以下の電池電圧を検出し、それをスイッチング回路35に与えるので、第2スイッチングトランジスタ37がオン状態になるとともに、第1スイッチングトランジスタ36がオフ状態になる。つまり、LVLO手段31は二次電池6の電圧が電圧変換手段22を通じて出力端子4に供給されることを禁止した状態となる。
【0043】
そのため、以上説明した過放電状態の二次電池6への充電状態で、充電器本体2の出力端子4に携帯電話等の携帯電子機器が出力端子4に電気的に接続された場合、太陽電池8が発電した電力は、電圧変換手段22での電圧変換に消費されて出力端子4に与えられることがなく、専ら二次電池6に供給される。
【0044】
この充電により、二次電池6の過放電状態が長期にわたって放置されることが防止されて、二次電池6は過放電状態から抜け出すことができる。したがって、二次電池6の寿命を損なうことなく、太陽電池8の発電エネルギーによって効率よく二次電池6を充電できるので、自然エネルギーを有効利用できる。又、逆流防止ダイオード、特に直列接続された複数の逆流防止ダイオードを充電手段10が採用していないので、太陽電池8の発電による二次電池6に対する充電効率を損なうこともない。
【0045】
更に、こうした二次電池6への充電状態は充電表示回路14によって表示される。この場合、二次電池6に充電電流が流れている期間のみ、発光ダイオード16に電流が流れるので、太陽電池8の発電により二次電池6が充電中であることを正しく表示することができる。そのため、使用者は発光ダイオード16が発光している限り、充電が必要であることを認識できる。しかも、この二次電池6の電圧が閾値電圧を超えて満充電状態になると、充電手段10がオフされて、その時点以降は太陽電池8からの充電電流が流れないので、二次電池6が過充電されることがない。したがって、太陽電池8を備えた携帯充電器1の利便性を高めることができる。更に、満充電状態になると、発光ダイオード16の発光が停止して電力消費が抑制され、又、LVLO手段31の第1スイッチングトランジスタ36がオン状態に切換わる。
【0046】
又、充電手段10が備えるカレントミラー回路には、ウィルソン型やカスコード型等もあるが、第1実施形態が採用したカレントミラー構成のトランジスタ回路は、前記ウィルソン型やカスコード型の回路に比較して構成が簡単である。つまり、太陽電池8の発電エネルギーで効率よく二次電池6を充電する上で、充電手段10が備えるカレントミラー回路は最も簡単な構成であり、好適である。
【0047】
図2は本発明の第2実施形態を示している。第2実施形態は、第1実施形態で説明したスイッチング回路を電圧変換手段が兼ねた構成の制御手段を採用しており、これ以外の構成は第1実施形態と同じである。第1実施形態と同じか同様な構成については、第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
制御手段21が備える電圧変換手段22には昇圧型DC/DCコンバータが用いられている。即ち、電圧変換手段22は、nMOS型のトランジスタ24、ダイオード25、ワンチップICのDC/DCコントローラ26、及びインダクタ27等からなり、そのDC/DCコントローラ26はチップイネーブル(CE)機能を有している。電池電圧検出回路32の第1分圧抵抗33と第2分圧抵抗34の接続点は、DC/DCコントローラ26のチップイネーブル端子CEに接続されている。この電圧変換手段22は部品点数が少なく、かつ、チップイネーブル機能を有したDC/DCコントローラ26を備えているので、動作の信頼性が高い点で有利である。
【0049】
この電圧変換手段22は、周波数変調(PFM)によるスイッチングで、二次電池6の出力電圧を所定電圧例えば5Vの直流電圧に変換して出力端子4に供給するようになっている。更に、DC/DCコントローラ26の動作が開始するCE端子電圧をVENとすると、この電圧変換手段22でLVLO解除電圧Vは、
=〔(R33+R34)/R34〕・VENの式で求められる。
【0050】
この式において、R33は電池電圧検出回路32の第1分圧抵抗33の抵抗値、R34は第2分圧抵抗34の抵抗値であり、LVLO解除電圧Vは、二次電池6が過放電に陥る閾値電圧となるように設定されていて、第1実施形態と同じく例えばリチウム・ポリマー電池の場合は3.0Vに設定することが好ましい。
【0051】
なお、以上の点以外の構成は第1実施形態と同じである。又、この第2実施形態において、電圧変換手段22の低電圧における消費電流が主としてnMOS型のトランジスタ24を流れている場合には、そのゲート・ソース間の閾値電圧がLVLO解除電圧Vよりも高いnMOS型のトランジスタ24を使用することが好ましい。
【0052】
第2実施形態で二次電池6の電池電圧は、電池電圧検出回路32で検出されてDC/DCコントローラ26のチップイネーブル端子CEに与えられる。そのため、二次電池6が過放電状態にあってその電池電圧が閾値電圧以下の場合は、DC/DCコントローラ26の動作が禁止される。これにより、この状態において太陽電池8を発電させた場合、出力端子4に携帯電子機器が接続されていても、太陽電池8の出力が制御手段21を経由して携帯電子機器に供給されることはなく、太陽電池8の発電エネルギーは専らの二次電池6の充電に供される。
【0053】
したがって、この第2実施形態においても、過放電状態の二次電池6に対する太陽電池8の発電による充電が確実で二次電池6の完全放電を防止可能であるとともに、この充電中のみ充電手段10が発光表示するので、過放電状態の二次電池6が充電中であることを確実に表示することが可能で、又、充電手段10の構成により充電効率を損なうこともない。
【0054】
又、二次電池6が過放電状態ではない場合、チップイネーブル端子CEに与えられる電圧に基づくDC/DCコントローラ26での判断により、このDC/DCコントローラ26は動作を開始できる状態となるので、出力端子4に接続される携帯電子機器への充電が可能である。
【0055】
図3は本発明の第3実施形態を示している。第3実施形態は、以下説明する充電手段の以外の構成は、図3に示されない構成を含めて第1実施形態と同じである。第1実施形態と同じか同様な構成については、第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
第3実施形態では、充電手段10が、npn型の第1トランジスタ11及びこれにカレントミラー接続されたnpn型の第2トランジスタ12とで形成されている。第1トランジスタ11は、太陽電池8と二次電池6の負極間を接続した充電路に挿入して設けられている。第1トランジスタ11と第2トランジスタ12のベースには二次電池6の端子間電圧(出力電圧)が与えられるように結線されている。第1トランジスタ11と第2トランジスタ12のベースに二次電池6の電池電圧が加わるので、これらトランジスタはそれらのベース:エミッタ間電圧によってオン・オフされる。又、この充電手段10の第2トランジスタ12のコレクタは太陽電池8と二次電池6の正極間を接続した充電路に充電表示回路14を介して接続されている。以上の点以外の構成は第1実施形態と同じである。又、こうした構成の充電手段10は第2実施形態の充電手段にも適用できる。
【0057】
二次電池6が過放電状態にあるときは、充電手段10の第1トランジスタ11と第2トランジスタ12がオン状態となり、二次電池6が過放電状態にないときには、第1トランジスタ11と第2トランジスタ12がオフ状態となる。したがって、この第3実施形態においても、過放電状態の二次電池6に対する太陽電池8の発電による充電が確実で二次電池6の完全放電を防止可能であるとともに、この充電中のみ充電手段10が発光表示するので、過放電状態の二次電池6が充電中であることを確実に表示することが可能で、又、充電効率を損なうこともない。
【符号の説明】
【0058】
1…携帯充電器、2…充電器本体、4…出力端子、6…二次電池、8…太陽電池、10…充電手段、11…第1トランジスタ、12…第2トランジスタ、14…充電表示回路、16…発光ダイオード(発光素子)、21…制御手段、22…電圧変換手段、31…LVLO手段(定電圧ロックアウト手段)、32…電池電圧検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器本体と、
この充電器本体に取付けられた出力端子と、
前記充電器本体に内蔵された二次電池と、
前記充電器本体に取付けられた太陽電池と、
前記太陽電池の出力を前記二次電池に供給させる充電手段と:
前記二次電池の電圧を検出するとともに、前記二次電池が過放電状態に陥る閾値電圧以下の電池電圧を検出した場合前記出力端子への電池電圧の供給を禁止させ、前記閾値電圧を超える電池電圧を検出した場合前記二次電池の出力電圧を昇圧又は降圧して前記出力端子に供給する制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯充電器。
【請求項2】
前記充電手段が、前記太陽電池と前記二次電池の同極間を接続した充電路に挿入された第1トランジスタ、及びこの第1トランジスタにミラー接続された第2トランジスタを有したカレントミラー構成のトランンジスタ回路で形成されていて、このトランジスタ回路の前記第2トランジスタに、発光素子を有した充電表示回路が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−60716(P2012−60716A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199373(P2010−199373)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(592074441)東京コイルエンジニアリング株式会社 (62)
【Fターム(参考)】