説明

携帯可能電子装置

【課題】動作プログラムを擬似的に修正可能な携帯可能電子装置を提供すること。
【解決手段】携帯可能電子装置は、アドレスにより管理された第1の記憶領域により構成されたデータ書き換え不能な第1の記憶手段と、アドレスにより管理された第2の記憶領域により構成されたデータ書き換え可能な第2の記憶手段と、前記第1の記憶領域の監視対象アドレスと前記第2の記憶領域のジャンプ先アドレスとを対応付けたアドレス管理情報を管理するアドレス管理手段と、アクセス対象のアドレスをカウントするカウント手段と、前記前記カウント手段による前記監視対象アドレスのカウントに対応して前記カウント手段に前記ジャンプ先アドレスを設定し、前記カウント手段に設定された前記ジャンプ先アドレスに従って、前記ジャンプ先アドレスに記憶されたデータを読み出すデータ処理手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば書き換えが可能な不揮発性メモリおよびCPUなどの制御素子を有するIC(集積回路)モジュールを内蔵した、いわゆるICカードと称される携帯可能電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全性に優れるICカード(接触式及び非接触式)の普及が目覚しい。このようなICカードは、電力供給が断たれてもデータを保持する事が可能な不揮発性メモリ、リーダライタと通信可能な通信I/F、各種動作を実行するCPUなどの制御素子、CPUの動作プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、及びデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)を有する。
【0003】
ICカードは、クレジットカード、定期券、その他の商取引の決済に使われるだけでなく、社員証、会員証、保険証などのIDカードとしても様々な分野で使われるようになっている。これは、従来の磁気カードに比べ、ICカードは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを有するICを備えることにより、様々な機能が実現可能となったこと、さらには偽造が難しいためセキュリティの面でも大きく向上したことが要因である。
【0004】
また、ICカードを多目的に利用可能とするために、複数のアプリケーションで運用可能なICカードに関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−164261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ICカードは、ROMに記憶された動作プログラムに基づき動作する。状況に応じて、動作プログラムの修正が必要となる場合があるが、ROMに記憶された動作プログラムを書き換えることはできない。そこで、ROMに記憶された動作プログラムを擬似的に修正する技術が要望されている。
【0007】
本発明の目的は、ROMに記憶された動作プログラムを擬似的に修正可能な携帯可能電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る携帯可能電子装置は、アドレスにより管理された第1の記憶領域により構成されたデータ書き換え不能な第1の記憶手段と、アドレスにより管理された第2の記憶領域により構成されたデータ書き換え可能な第2の記憶手段と、前記第1の記憶領域の監視対象アドレスと前記第2の記憶領域のジャンプ先アドレスとを対応付けたアドレス管理情報を管理するアドレス管理手段と、アクセス対象のアドレスをカウントするカウント手段と、前記カウント手段によりカウントされるアドレスに従って、前記第1の記憶領域からデータを読み出し、前記前記カウント手段による前記監視対象アドレスのカウントに対応して前記カウント手段に前記ジャンプ先アドレスを設定し、前記カウント手段に設定された前記ジャンプ先アドレスに従って、前記第2の記憶領域の前記ジャンプ先アドレスに記憶されたデータを読み出すデータ処理手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ROMに記憶された動作プログラムを擬似的に修正可能な携帯可能電子装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るICカードシステム(別称、スマートカードシステム)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るICカードの概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るICカードのアドレス監視回路を構成する各種レジスタの一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るICカードのデータメモリに記憶されるデータを説明するための図である。
【図5】プログラム修正のためのジャンプ処理の一例を説明するための図である。
【図6】プログラム修正のための前処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るICカードシステム(別称、スマートカードシステム)の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、ICカードシステムは、端末1(通信装置)及びICカード2(携帯可能電子装置)により構成される。
【0013】
端末1は、カードリーダ/ライタ102、本体(上位装置)103、キーボード104、ディスプレイ105、プリンタ106を備えている。端末1(カードリーダ/ライタ102)はICカード2と通信可能に構成されており、端末1はICカード2に対してデータを送信したり、ICカード2からのデータを受信したりする。
【0014】
本体103は、例えば、複数の通信方式及び複数のアプリケーションを選択的に実行することができる。ディスプレイ105は、ICカード2との通信結果及び認証結果等を表示する。キーボード104は、本体103に対して文字や数字等を入力する。例えば、キーボード104は、後述するパスワードを入力することができる。カードリーダ/ライタ102は、ICカード2と通信する。
【0015】
なお、ICカード2は、接触式のカード、非接触式のカード、及び非接触式と接触式の両者をサポートするコンビ型のカードのいずれであってもよい。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態に係るICカードの概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、ICカード2は、例えばプラスティックカードであり、ICチップ200、及び通信部205を備えている。ICチップ200は、制御素子により構成される制御部201、データメモリ202、ワーキングメモリ203、プログラムメモリ204、アドレス監視回路206を備えている。例えば、ICチップ200と通信部205とが一体的にICモジュール化されて、ICカード本体内(プラスティックカード内)にICモジュールとアンテナとが埋設される。
【0017】
なお、携帯可能電子装置の一例として、上記したようなICカード2について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、携帯可能電子装置は、SIM形状のICカードであってもよい。また、一つのICチップ200により、制御部201、データメモリ202、ワーキングメモリ203、プログラムメモリ204、アドレス監視回路206が構成されてもよいし、複数のICチップにより、制御部201、データメモリ202、ワーキングメモリ203、プログラムメモリ204、アドレス監視回路206が構成されてもよい。
【0018】
通信部205は、例えば接触式の通信インターフェースである。データメモリ202は、EEPROM、FRAM、FLASH等の書き込み及び消去が可能な(書き換え可能な)不揮発性メモリであり、各種データの記憶に使用される。ワーキングメモリ203は、制御部201が処理を行う際の処理データを一時的に保持するためのメモリであり、例えばRAMにより構成される。プログラムメモリ204は、制御部201の動作プログラムなどを記憶するためのメモリであり、例えばマスクROMで構成される。
【0019】
制御部201は、データ処理手段として機能し、プログラムメモリ204に記憶された動作プログラム等に基づき動作する。また、制御部201は、データメモリ202又はワーキングメモリ203に記憶されたデータを読み出したり、データメモリ202又はワーキングメモリ203に対してデータを書き込んだり、さらには、通信部205を介して受信したコマンド(端末1から送信されたコマンド)を解釈し実行したり、通信部205を介して端末1に対してコマンド実行結果の返信を制御したりする。さらに、制御部201は、プログラムカウンタPCを備え、プログラムカウンタPCによりカウントされるアドレスに従って、プログラムを読み出す。
【0020】
次に、プログラムメモリ204に記憶されたプログラムの擬似的な書き換えによる第1のプログラム修正について説明する。
【0021】
例えば、プログラムメモリ204に記憶されたプログラムの部分修正が必要となる場合に備えて、予め、プログラムメモリ204に記憶されたプログラムの中に、データメモリ202の所定領域(所定アドレス)へのアクセスを指示するアクセス情報を埋め込む。例えば、一定間隔で、プログラムの中にアクセス情報を埋め込む。プログラムメモリ204に記憶されたプログラムの中に、データメモリ202の第1の領域へのアクセスを指示する第1のアクセス情報を埋め込み、データメモリ202の第1の領域には、部分修正プログラムを書き込む。これにより、プログラムメモリ204に記憶されたプログラムが読み取られ、上記した第1のアクセス情報が読み取られると、この第1のアクセス情報の指示に従いデータメモリ202の第1の領域の部分修正プログラムが読み取られる。このようにしてプログラムメモリ204に記憶されたプログラムを擬似的に書き換え、プログラムを修正することができる。
【0022】
上記したプログラム修正の場合、アクセス情報の埋め込み間隔でのプログラム修正となる。このため、比較的小さいデータのプログラム修正が必要な場合であっても、修正する必要の無いデータも含めた比較的大きい部分修正プログラムに基づくプログラム修正となる。つまり、比較的小さいデータのプログラム修正が必要な場合であっても、データメモリ202には、修正する必要の無いデータも含めた比較的大きい部分修正プログラムが用意されることになる。これは、データメモリ202の使用効率の低下につながる。
【0023】
そこで、上記した第1のプログラム修正より、より効率よくプログラムを修正することが可能な第2のプログラム修正について説明する。つまり、データメモリ202を効率よく使用することが可能な第2のプログラム修正について説明する。
【0024】
図3に示すように、例えば、アドレス監視回路206は、アドレス監視レジスタ301とジャンプ先レジスタ304とで構成された第1のアドレスユニット、アドレス監視レジスタ302とジャンプ先レジスタ305とで構成された第2のアドレスユニット、アドレス監視レジスタ303とジャンプ先レジスタ306とで構成された第3のアドレスユニットを備えている。
【0025】
なお、本実施形態では、上記したように、アドレス監視回路206が3つのアドレスユニットにより構成されるケースについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。アドレス監視回路206は1以上のアドレスユニットにより構成することができる。
【0026】
アドレス監視レジスタ301は、第1の監視対象アドレスを登録するレジスタであり、アドレス監視レジスタ302は、第2の監視対象アドレスを登録するレジスタであり、アドレス監視レジスタ303は、第3の監視対象アドレスを登録するレジスタである。また、ジャンプ先レジスタ304は、第1のジャンプ先アドレスを登録するレジスタであり、ジャンプ先レジスタ305は、第2のジャンプ先アドレスを登録するレジスタであり、ジャンプ先レジスタ306は、第3のジャンプ先アドレスを登録するレジスタである。
【0027】
つまり、第1のアドレスユニットは、第1の監視対象アドレスと第1のジャンプ先アドレスとを対応付けた第1のアドレス管理情報を管理し、第2のアドレスユニットは、第2の監視対象アドレスと第2のジャンプ先アドレスとを対応付けた第2のアドレス管理情報を管理し、第3のアドレスユニットは、第3の監視対象アドレスと第3のジャンプ先アドレスとを対応付けた第3のアドレス管理情報を管理する。
【0028】
例えば、図5に示すように、アドレス監視レジスタ301がプログラムメモリ204上の第1の監視対象アドレス(アドレスAAAA)を登録し、ジャンプ先レジスタ304がデータメモリ202上の第1のジャンプ先アドレス(アドレスBBBB)を登録する。制御部201のプログラムカウンタPCが第1の監視対象アドレス(アドレスAAAA)をカウントすると、制御部201は、アドレス監視レジスタ301及びアドレス監視アドレス304に基づき、プログラムカウンタPCがカウントした第1の監視対象アドレス(アドレスAAAA)を第1のジャンプ先アドレス(アドレスBBBB)へ書き換える。
【0029】
制御部201は、プログラムカウンタPによりカウントされるアドレスからデータを読み出す。例えば、プログラムカウンタPが、プログラムメモリ204の記憶領域の第1のアドレスから第2のアドレスまで順にアドレスをカウントする場合、第1のアドレスから第2のアドレスまでの間に含まれた第1の監視対象アドレス(アドレスAAAA)をカウントすると、上記したように、プログラムカウンタPCがカウントした第1の監視対象アドレス(アドレスAAAA)は第1のジャンプ先アドレス(アドレスBBBB)へ書き換えられる。従って、制御部201は、プログラムメモリ204の記憶領域の第1のアドレスから第2のアドレスまでのアドレスからデータを読み出す途中で、第1の監視対象アドレス(アドレスAAAA)に記憶されたデータに替えて、データメモリ202上の第1のジャンプ先アドレス(アドレスBBBB)のデータを読み出すことができる。
【0030】
なお、第1のアドレスから第2のアドレスに対応する記憶領域にプログラムデータが記憶され、第1の監視対象アドレス(アドレスAAAA)に対応する記憶領域に修正対象プログラムデータが記憶され、第1のジャンプ先アドレス(アドレスBBBB)に対応する記憶領域に修正プログラムが記憶されているものとする。
【0031】
続いて、アドレス監視レジスタ301、302、303、及びジャンプ先レジスタ304、305、306に対するデータの設定について説明する。例えば、データメモリ202は、アドレス監視レジスタ301、302、303に設定するための第1、第2、第3の監視アドレスを記憶し、また、ジャンプ先レジスタ304、305、306に設定するための第1、第2、第3のジャンプ先アドレスも記憶する。
【0032】
例えば、ICカード200(制御部201)が起動するときのプログラム処理において、制御部201は、データメモリ202に記憶された第1、第2、第3の監視アドレスをアドレス監視レジスタ301、302、303に設定し、また、データメモリ202に記憶された第1、第2、第3のジャンプ先アドレスをジャンプ先レジスタ304、305、306に設定する。
【0033】
また、図3に示すように、アドレス監視回路206は、パスワードレジスタ307及びイネーブルレジスタ308も備える。パスワードレジスタ307は、パスワードを記憶するレジスタである。例えば、制御部201が、パスワードレジスタ307に設定された正規パスワードと、通信部205を介して入力された入力パスワードとの一致を検出すると、アドレス監視回路206により監視アドレスとジャンプ先アドレスとを対応付けた管理情報によるプログラム修正を許可する。
【0034】
また、イネーブルレジスタ308は、第1、第2、第3のビットを記憶可能に構成されており、第1のビットがアドレス監視レジスタ301とジャンプ先レジスタ304によるプログラム修正の有効又は無効を制御し、第2のビットがアドレス監視レジスタ302とジャンプ先レジスタ305によるプログラム修正の有効又は無効を制御し、第3のビットがアドレス監視レジスタ303とジャンプ先レジスタ306によるプログラム修正の有効又は無効を制御する。
【0035】
例えば、第1のビットが「1」ならば、アドレス監視レジスタ301とジャンプ先レジスタ304によるプログラム修正は有効となり、第1のビットが「0」ならば、アドレス監視レジスタ301とジャンプ先レジスタ304によるプログラム修正は無効となる。
【0036】
また、パスワードレジスタ307とイネーブルレジスタ308とを組み合わせて、プログラム修正の有効又は無効を制御するようにしてもよい。例えば、制御部201が、パスワードレジスタ307に設定された正規パスワードと、通信部205を介して入力された入力パスワードとの一致を検出した場合に、イネーブルレジスタ308に基づきプログラム修正の有効又は無効を制御するようにしてもよい。
【0037】
図4は、ICカード200のデータメモリ202に記憶されるデータの一例を示す図である。例えば、データメモリ202は、記憶内容が消去可能な不揮発性のデータ記憶領域401を備える。データ記憶領域401は、監視アドレス記憶領域402、403、404を備える。監視アドレス記憶領域402は、アドレス監視レジスタ301に登録するための第1の監視アドレスを記憶する。監視アドレス記憶領域403は、アドレス監視レジスタ302に登録するための第2の監視アドレスを記憶する。監視アドレス記憶領域404は、アドレス監視レジスタ303に登録するための第3の監視アドレスを記憶する。
【0038】
さらに、データ記憶領域401は、ジャンプ先アドレス記憶領域405、406、407を備える。ジャンプ先アドレス記憶領域405は、ジャンプ先レジスタ304に登録するための第1のジャンプ先アドレスを記憶する。ジャンプ先アドレス記憶領域406は、ジャンプ先レジスタ305に登録するための第2のジャンプ先アドレスを記憶する。ジャンプ先アドレス記憶領域407は、ジャンプ先レジスタ306に登録するための第3のジャンプ先アドレスを記憶する。
【0039】
さらに、データ記憶領域401は、ICカードに書き込まれるデータを格納する書き込みデータ記憶領域408を備える。さらに、データ記憶領域401は、第1、第2の修正プログラムを記憶する修正プログラム記憶領域409、410を備える。例えば、ジャンプ先レジスタ304に登録される第1のジャンプ先アドレスは、修正プログラム記憶領域409の位置を示すアドレスである。また、ジャンプ先レジスタ305に登録される第2のジャンプ先アドレスは、修正プログラム記憶領域409の位置を示すアドレスである。
【0040】
つまり、プログラムカウンタPCが第1の監視アドレスをカウントすると、プログラムカウンタPCがカウントした第1の監視アドレスは第1のジャンプ先アドレスへ書き換えられる。従って、制御部201は、プログラムメモリ204の第1の監視アドレスに記憶されたデータに替えて、データメモリ202の第1のジャンプ先アドレスのデータを読み出すことができる。
【0041】
同様に、プログラムカウンタPCが第2の監視アドレスをカウントすると、プログラムカウンタPCがカウントした第2の監視アドレスは第2のジャンプ先アドレスへ書き換えられる。従って、制御部201は、プログラムメモリ204の第2の監視アドレスに記憶されたデータに替えて、データメモリ202の第2のジャンプ先アドレスのデータを読み出すことができる。
【0042】
次に、図6を参照して、第2のプログラム修正の前処理について説明する。
【0043】
ICカード200(制御部201)が起動するときのプログラム処理において、制御部201は、監視アドレス記憶領域402、403、404に記憶された第1、第2、第3の監視アドレスを、アドレス監視レジスタ301、302、303に設定する(ST601)。さらに、制御部201は、ジャンプ先アドレス記憶領域405、406、407に記憶された第1、第2、第3のジャンプ先アドレスをジャンプ先レジスタ304、305、306に設定する(ST601)。
【0044】
続いて、制御部201は、パスワードレジスタ307にパスワードを設定する(ST603)。さらに、制御部201は、イネーブルレジスタ308の第1、第2、第3のビットに「1」又は「0」を設定する(ST604)
プログラムカウンタPCは、プログラムメモリ204上に格納されたプログラムのアドレス(例えば第1のアドレスから第2のアドレス)を順にカウントし、制御部201は、プログラムカウンタPCによりカウントされるアドレスに従い、プログラムを読み出す。
【0045】
例えば、プログラムカウンタPCが第1の監視アドレス(アドレスAAAA)をカウントすると、プログラムカウンタPCがカウントした第1の監視アドレス(アドレスAAAA)は第1のジャンプ先アドレス(アドレスBBBB)へ書き換えられる。これにより、データリード位置が、第1の監視アドレス(アドレスAAAA)から第1のジャンプ先アドレス(アドレスBBBB)へジャンプする。従って、制御部201は、プログラムメモリ204の第1の監視アドレスに記憶されたデータに替えて、データメモリ202の第1のジャンプ先アドレスのデータを読み出すことができる。
【0046】
以上により、本実施形態のICカードは、上記説明した第2のプログラム修正により、効率よくROMに記憶された動作プログラムを擬似的に修正することができる。例えば、プログラムメモリ204に記憶されたプログラムを部分的(比較的小さいデータサイズで)に効率よく擬似修正することができる。これにより、データメモリ202には必要最低限の修正プログラムを記憶すればよく、データメモリ202の記憶資源を有効利用することができる。
【0047】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0048】
1…端末、2…ICカード(携帯可能電子装置)、102…カードリーダ/ライタ、103…本体、104…キーボード、105…ディスプレイ、106…プリンタ、200…ICチップ、201…制御部、202…データメモリ、203…ワーキングメモリ、204…プログラムメモリ、205…通信部、206…アドレス監視回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドレスにより管理された第1の記憶領域により構成されたデータ書き換え不能な第1の記憶手段と、
アドレスにより管理された第2の記憶領域により構成されたデータ書き換え可能な第2の記憶手段と、
前記第1の記憶領域の監視対象アドレスと前記第2の記憶領域のジャンプ先アドレスとを対応付けたアドレス管理情報を管理するアドレス管理手段と、
アクセス対象のアドレスをカウントするカウント手段と、
前記カウント手段によりカウントされるアドレスに従って、前記第1の記憶領域からデータを読み出し、前記前記カウント手段による前記監視対象アドレスのカウントに対応して前記カウント手段に前記ジャンプ先アドレスを設定し、前記カウント手段に設定された前記ジャンプ先アドレスに従って、前記第2の記憶領域の前記ジャンプ先アドレスに記憶されたデータを読み出すデータ処理手段と、
を備えたことを特徴とする携帯可能電子装置。
【請求項2】
前記カウント手段は、前記第1の記憶領域の第1のアドレスから第2のアドレスまでを順にカウントし、
前記アドレス管理手段は、前記第1のアドレスから第2のアドレスまでに含まれた前記監視対象アドレスと前記第2の記憶手段のジャンプ先アドレスとを対応付けて管理することを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項3】
前記第1のアドレスから前記第2のアドレスに対応した第3の記憶領域は、プログラムデータを記憶し、
前記ジャンプ先アドレスに対応した第4の記憶領域は、修正プログラムデータを記憶することを特徴とする請求項2に記載の携帯可能電子装置。
【請求項4】
パスワードを登録するパスワード登録手段と、
パスワードを入力する入力手段と、
を備え、
前記データ処理手段は、前記入力手段により入力された入力パスワードと前記パスワード登録手段に登録された登録パスワードとの一致を条件として、前記ジャンプ先アドレスに記憶されたデータの読み出しを有効にすることを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項5】
前記第1の記憶領域の第1の監視対象アドレスと前記第2の記憶領域の第1のジャンプ先アドレスとを対応付けた第1のアドレス管理情報に基づく第1のデータ読み出し処理を有効又は無効に設定する第1の制御情報、及び前記第1の記憶領域の第2の監視対象アドレスと前記第2の記憶領域の第2のジャンプ先アドレスとを対応付けた第2のアドレス管理情報に基づく第2のデータ読み出し処理を有効又は無効に設定する第2の制御情報を登録する制御情報登録手段を備え、
前記アドレス管理手段は、前記第1及び第2のアドレス管理情報を管理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項6】
前記データ処理手段は、前記第1のアドレス管理情報、前記第1の制御情報、前記第2のアドレス管理情報、及び前記第2の制御情報に基づき、前記前記カウント手段による前記第1の監視対象アドレスのカウントに対応した前記第1のジャンプ先アドレスに記憶されたデータの読み出し、及び前記前記カウント手段による前記第2の監視対象アドレスのカウントに対応した前記第2のジャンプ先アドレスに記憶されたデータの読み出しを制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の携帯可能電子装置。
【請求項7】
ICモジュールを備えたICカードであって、
前記ICモジュールは、
アドレスにより管理された第1の記憶領域により構成されたデータ書き換え不能な第1の記憶手段と、
アドレスにより管理された第2の記憶領域により構成されたデータ書き換え可能な第2の記憶手段と、
前記第1の記憶領域の監視対象アドレスと前記第2の記憶領域のジャンプ先アドレスとを対応付けたアドレス管理情報を管理するアドレス管理手段と、
アクセス対象のアドレスをカウントするカウント手段と、
前記カウント手段によりカウントされるアドレスに従って、前記第1の記憶領域からデータを読み出し、前記前記カウント手段による前記監視対象アドレスのカウントに対応して前記カウント手段に前記ジャンプ先アドレスを設定し、前記カウント手段に設定された前記ジャンプ先アドレスに従って、前記第2の記憶領域の前記ジャンプ先アドレスに記憶されたデータを読み出すデータ処理手段と、
を備えたことを特徴とするICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−198107(P2011−198107A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64746(P2010−64746)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】