携帯型情報処理システム、携帯型情報処理装置、ホスト装置、携帯型情報処理装置の制御方法、および、ホスト装置の制御方法
【課題】所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能な携帯型情報処理システムを提供する。
【解決手段】携帯型情報処理装置(ICカード)は、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段(通信制御MCU18)と、問い合わせに応じて記憶されたID情報を送信する送信手段(RF回路19)と、ホスト装置から表示情報を受信する受信手段(RF回路19)と、受信された表示情報を表示する表示手段(EPD11a)と、を有し、ホスト装置は、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段(中央制御部52)と、取得されたID情報を格納する格納手段(データベース53)と、ID情報に基づいて通信対象を特定する特定手段(中央制御部52)と、特定された携帯型情報処理装置に対して選択的に表示情報を供給する供給手段(通信制御部54)とを有する。
【解決手段】携帯型情報処理装置(ICカード)は、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段(通信制御MCU18)と、問い合わせに応じて記憶されたID情報を送信する送信手段(RF回路19)と、ホスト装置から表示情報を受信する受信手段(RF回路19)と、受信された表示情報を表示する表示手段(EPD11a)と、を有し、ホスト装置は、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段(中央制御部52)と、取得されたID情報を格納する格納手段(データベース53)と、ID情報に基づいて通信対象を特定する特定手段(中央制御部52)と、特定された携帯型情報処理装置に対して選択的に表示情報を供給する供給手段(通信制御部54)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報処理システム、携帯型情報処理装置、ホスト装置、携帯型情報処理装置の制御方法、および、ホスト装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RF−IDにより、セキュリティを確保しつつデータを管理する技術が開示されている。また、特許文献2には、管理情報を記録したRF−IDを物品に付すことにより、物品の貸出管理を自動的に行うことが可能な技術が開示されている。また、特許文献3には、RF−IDによって物品の不正な持ち出しを規制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−212341号公報
【特許文献2】特開2005−298100号公報
【特許文献3】特開2005−301331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1〜3に開示される技術では、RF−IDとリーダライタとの間の通信は1対1の関係となることが前提とされている。このため、これらの技術では、複数のRF−IDの中から特定のRF−IDに対して選択的に情報を送信することができないという問題点がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能な携帯型情報処理システム、携帯型情報処理装置、ホスト装置、携帯型情報処理装置の制御方法、および、ホスト装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の携帯型情報処理システムは、相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置とホスト装置とを有する携帯型情報処理システムにおいて、前記携帯型情報処理装置は、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、前記ホスト装置から供給される表示情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、を有し、前記ホスト装置は、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、を有する、ことを特徴とする。
この構成によれば、携帯型情報処理装置がホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置がID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給し、携帯型情報処理装置は受信した表示情報を表示する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【0006】
また、本発明は、上記発明において、前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する複数のアンテナを有し、前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報とを対応付けして格納しており、前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給する、ことを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置が複数のアンテナを有し、格納手段は各携帯型情報処理装置のID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能なアンテナを特定するための情報とを対応付けして格納し、供給手段はID情報とアンテナを特定するための情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置に表示情報を送信する。このため、複数のアンテナによって広い領域をカバーすることができるとともに、それぞれの領域を細かく設定することにより携帯型情報処理装置の送信電力を抑えることができる。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する1または複数のアンテナを有するとともに、これら1または複数のアンテナの中から所望のアンテナを用いて通信対象となる携帯型情報処理装置と無線通信を行う制御を行う制御装置を複数有し、前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報と、当該アンテナを有する前記制御装置を特定するための情報と、を対応付けして格納しており、前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報と、前記制御装置を特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置は、携帯型情報処理装置と無線通信する1または複数のアンテナを有するとともに、これら1または複数のアンテナの中から所望のアンテナを用いて通信対象となる携帯型情報処理装置と無線通信を行う制御を行う制御装置を複数有し、格納手段は各携帯型情報処理装置のID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能なアンテナを特定するための情報と、当該アンテナを有する制御装置を特定するための情報と、を対応付けして格納し、供給手段はこれらの3つの情報に基づいて、表示情報を供給する。このため、複数のアンテナおよび制御装置によって広い領域をカバーすることができるとともに、それぞれの領域を細かく設定することにより携帯型情報処理装置の送信電力を抑えることができる。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記ホスト装置は、前記表示情報に含まれるコマンドを、通信対象の携帯型情報処理装置に対応するコマンドに変換する変換手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置の変換手段は通信対象の携帯型情報処理装置に応じてコマンドを変換する。このため、携帯型情報処理装置に応じてコマンドが自動的に変換されるので、携帯型情報処理装置の種類に応じてコマンドを生成する必要がない。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記問い合わせ手段は、所定の周期で各携帯型情報処理装置に対して前記問い合わせを行うことを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置の問い合わせ手段は、所定の周期で各携帯型情報処理装置に対してID情報の問い合わせを行う。このため、携帯型情報処理装置側からID情報を自発的に登録させる場合に比較して、携帯型情報処理装置の処理を軽減し、携帯型情報処理装置の電源の消費を抑えることができる。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記ID情報は、個々の携帯型情報処理装置に付与された固有の固有ID情報と、複数の携帯型情報処理装置に共通に付与された共通ID情報とを有し、前記特定手段は、前記固有ID情報または前記共通ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する、ことを特徴とする。
この構成によれば、特定手段は、固有IDまたは共通IDに基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する。このため、個々の携帯型情報処理装置に対して表示情報を送信できるとともに、複数の携帯型情報処理装置に対してまとめて表示情報を送信することができる。
【0011】
また、本発明の携帯型情報処理装置は、ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置において、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置においてID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信して表示する。このため、携帯型情報処理装置が自発的にID情報を送信する場合に比較して、送信電力を抑えることができる。
【0012】
また、本発明のホスト装置は、携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置において、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置が携帯型情報処理装置に対して問い合わせを行い、得られたID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【0013】
また、本発明の携帯型情報処理装置の制御方法は、各種情報を記憶する記憶部及び各種情報を表示する表示部を有し、ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置の制御方法において、前記記憶部に各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶過程と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶部に記憶されたID情報を送信する送信過程と、前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信過程と、前記受信された前記表示情報を前記表示部に表示する表示過程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、携帯型情報処理装置がホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置がID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給し、携帯型情報処理装置は受信した表示情報を表示する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【0014】
また、本発明のホスト装置の制御方法は、表示部を有する携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置の制御方法において、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ過程と、前記問い合わせに前記各携帯型情報処理装置が前記無線通信により応答することによって取得されたID情報を格納する格納過程と、前記格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定過程と、前記特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示部に表示すべき表示情報を前記無線通信機により供給する供給過程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、携帯型情報処理装置がホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置がID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給し、携帯型情報処理装置は受信した表示情報を表示する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下では、本発明の携帯型情報処理システムをIC(Integrated Circuit)カードシステムとして実施した場合を例に挙げて説明する。また、携帯型情報処理システムの情報処理方法については、ICカードシステムの情報処理方法を例に挙げて説明し、携帯型情報処理装置についてはICカードを例に挙げて説明し、また、ホスト装置については通信ルータ、制御装置、および、管理装置を例に挙げて説明する。
【0016】
(A)実施の形態の構成の説明
図1は、本発明を適用した実施形態に係るICカードシステムの概略構成を示す図である。図1に示すように、ICカードシステムは、ICカード10−1,10−2(請求項中「携帯型情報処理装置」に対応)、通信ルータ20−1,20−2(請求項中「ホスト装置」に対応)、制御装置30−1,30−2(請求項中「ホスト装置」および「制御装置」に対応)、ネットワーク40、管理装置50(請求項中「ホスト装置」に対応)、および、ユーザ端末装置60−1,60−2を主要な構成要素とする。
ICカード10−1,10−2は、通信ルータ20−1,20−2から供給される情報を表示する。通信ルータ20−1,20−2は、ループアンテナA11〜A13(請求項中「アンテナ」に対応)およびループアンテナA21〜A23(請求項中「アンテナ」に対応)を有し、通信対象となるICカードが属している通信可能エリアに対応するループアンテナを用いてICカード10−1,10−2に表示情報を送信する。制御装置30−1,30−2は、管理装置50から送信された情報を、通信対象のICカードに対応するコマンドに変換し、通信ルータ20−1,20−2を介して通信対象のICカードに送信する。ネットワーク40は、例えば、LAN(Local Network Area)またはインターネット等によって構成され、制御装置30−1,30−2、ユーザ端末装置60−1,60−2、および、管理装置50を相互に接続し、これらの間で情報をパケットによって伝送する。管理装置50は、ICカード10−1,10−2が有するID情報と、ICカード10−1,10−2が属する通信エリアを形成するループアンテナを特定する情報と、そのループアンテナを有する制御装置を特定する情報とを対応付けして格納するデータベースを有している。ユーザ端末装置60−1,60−2から所定の情報を送信する要求がなされた場合には、管理装置50は、このデータベースを参照して、通信対象のICカードが属する通信エリアに対応するループアンテナおよび制御装置を特定し、通信対象のICカードに対して情報を送信する。ユーザ端末装置60−1,60−2は、管理装置50に対して、所定の情報を所定のICカードに対して送信する要求を行う。
【0017】
なお、この例では、ICカードは2枚とされ、制御装置および通信ルータはそれぞれ2台とされ、ループアンテナは3本ずつとされ、ユーザ端末装置は2台とされ、管理装置は1台とされているが、これ以外の数であってもよい。
【0018】
図2は、図1に示すICカード10−1の外観構成を示す図である。なお、ICカード10−1とICカード10−2は、同様の構成とされているので、以下では、ICカード10−1を例に挙げて説明を行う。図2に示すように、ICカード10−1は、略長方形の薄型の形状を有する担体100を有しており、ICカード10−1の表面(図2における奥行き方向の手前側の面)には、表示デバイスとしてのEPD(Electrophoretic Display)11aがはめ込まれており、また、その下側(図2の上下方向の下側)には後述する入力デバイス15を構成する操作ボタン15a〜15cが配置されている。
【0019】
図3は、ICカード10−1の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、ICカード10−1は、EPD11a(請求項中「表示手段」および「表示装置」に対応)、SRAM(Static RAM)11b、表示制御回路12、バッテリ13、電源回路14、入力デバイス15、表示制御MCU(Main Control Unit)16、不揮発性メモリ17、通信制御MCU18(請求項中「記憶手段」および「記憶装置」に対応)、RF(Radio Frequency)回路19(請求項中「送信手段」および「受信手段」に対応)、および、ループアンテナ19aを主要な構成要素としている。
【0020】
ここで、EPD11aは、透明な液体の中で浮動する微粒子を電界によって移動させることにより、文字および図形等の表示を行う表示デバイスである。なお、EPD11aに表示された情報は、EPD11aへの電源の供給を絶った後も表示され続ける、不揮発性の表示デバイスである。SRAM11bは、EPD11aに表示する情報を格納するメモリである。より詳細には、EPD11aは、例えば、横および縦がそれぞれ352×450画素から構成されており、SRAM11bは、横および縦がそれぞれ352×450ビットの情報を格納可能な記憶容量を有しており、SRAM11bに格納されている情報の各ビットに応じてEPD11aを構成する画素を黒または白の状態とすることにより、種々の情報を表示することができる。なお、この実施の形態では、SRAM11bは、書き込みのみが可能なライトオンリ(Write Only)のメモリとして構成される。表示制御回路12は、EPD11aに情報を表示する際の制御を行う回路であり、例えば、表示制御MCU16とEPD11aとの間の電圧の変換を行う制御を行う。また、表示制御回路12は、電源回路14から供給された電力をSRAM11bおよびEPD11aに供給する。バッテリ13は、例えば、リチウムイオン電池等によって構成され、電源回路14に直流電力を供給する。電源回路14は、バッテリ13から供給される電源電圧を、所定の電圧に昇圧または降圧し、表示制御回路12に供給する。なお、図3では、電源回路14によって生成された電源電力は、表示制御回路12のみに供給されているが、実際にはその他の部分にも供給されている。
【0021】
入力デバイス15は、操作ボタン15a〜15cと、図示せぬスイッチによって構成され、図2に示す操作ボタン15a〜15cがユーザによって操作された場合には、スイッチがオンまたはオフの状態になり、表示制御MCU16がスイッチの状態に基づいて操作ボタンが操作されたことを検出する。表示制御MCU16は、通信制御MCU18から供給された描画コマンドを不揮発性メモリ17に描画コマンドとして格納するとともに、コマンドを解釈し、不揮発性メモリ17に格納されている対応するフォントデータまたはビットマップデータを取得し、内蔵されているVRAM(Video RAM)をワークエリアとして描画処理を実行し、得られた画像データを表示制御回路12に供給してEPD11aに表示させる処理を実行する。不揮発性メモリ17は、例えば、FeRAM(Ferroelectric RAM)によって構成され、管理装置50から供給された描画コマンドを格納する。また、不揮発性メモリ17は、表示制御MCU16が使用するフォントデータおよびビットマップデータを格納するとともに、表示制御MCU16が実行するプログラム等を格納する。通信制御MCU18は、RF回路19から供給されるディジタル信号を解釈し、内蔵するメモリ(不図示)を書き換えたり、ディジタル信号から復元されたコマンドを表示制御MCU16に供給したりする。また、通信制御MCU18は、ICカードを特定するためのID情報18aを格納する。ID情報18aは、各ICカードに固有の(ユニークな)情報としての固有IDと、全てのICカードに共通の情報としてのグローバルIDと、複数のICカードに共通の情報としてのグループIDが存在する。RF回路19は、ループアンテナ19aによって捕捉された電波を復調し、ディジタル信号を生成して、通信制御MCU18に供給する。ループアンテナ19aは、コイル形状を有しており、通信ルータ20から送信された電波を捕捉し、RF回路19に供給する。
【0022】
図4は、図1に示す通信ルータ20−1の構成例を示すブロック図である。なお、通信ルータ20−2は、通信ルータ20−1と同様の構成とされているので、以下では、通信ルータ20−1を例に挙げて説明する。
通信ルータ20−1は、RF回路21〜23、選択回路24、および、I/F(Interface)25を主要な構成要素としている。ここで、RF回路21〜24は、I/F25および選択回路24を介して制御装置30−1から供給されたディジタルビット列に応じて搬送波を変調し、ループアンテナA11〜A13から電波として送信するとともに、ループアンテナA11〜A13によって受信された搬送波に含まれているディジタルビット列を復調し、選択回路24およびI/F25を介して制御装置30−1に供給する。
選択回路24は、I/F25を介して制御装置30−1から供給されたディジタルビット列を対応するRF回路21〜23に対して供給する。また、RF回路21〜23によって受信されたディジタルビット列を、I/F25を介して制御装置30−1に供給する。
I/F25は、例えば、RS232Cインタフェースによって構成され、制御装置30−1との間で情報を授受する際の制御を行う。
【0023】
図5は、図1に示す制御装置30−1の構成例を示す機能ブロック図である。なお、制御装置30−2は、制御装置30−1と同様の構成とされているので、以下では、制御装置30−1を例に挙げて説明する。
制御装置30−1は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、HDD(Hard Disk Drive)を主要な構成要素とし、HDDに格納されているプログラムが実行され、ソフトウエア資源としてのプログラムと、ハードウエア資源としてのCPUその他が協働することにより図5に示す機能ブロックが形成される。図5に示す例では、制御装置30−1を構成する機能ブロックとしては、I/F31、中央制御部32、変換部33(請求項中「変換手段」に対応)、通信制御部34、および、I/F35を有する。ここで、I/F31は、例えば、RS232Cインタフェースによって構成され、通信ルータ20−1との間で情報を授受する際の制御を行う。中央制御部32は、制御装置30−1の各部の制御を行う。変換部33は、管理装置50から送信された上位のコマンド(以下、「上位コマンド」と称する)を、通信対象となるICカードの種類に応じた下位のコマンド(以下、「下位コマンド」と称する)に変換する。通信制御部34は、I/F31およびI/F35に関する制御を行う。I/F35は、ネットワーク40との間で情報を授受する際の制御を行う。
【0024】
図6は、図1に示す管理装置50の構成例を示す機能ブロック図である。この図6に示すように、管理装置50は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、図示せぬ、CPU、ROM、RAM、および、HDDを主要な構成要素とし、HDDに格納されているプログラムが実行され、ソフトウエア資源としてのプログラムと、ハードウエア資源としてのCPUその他が協働することにより図6に示す機能ブロックが形成される。図6に示す例では、管理装置50を構成する機能ブロックとしては、I/F51、中央制御部52(請求項中「問い合わせ手段」および「特定手段」に対応)、データベース53(請求項中「格納手段」および「格納装置」に対応)、および、通信制御部54(請求項中「供給手段」に対応)を有する。ここで、I/F51は、ネットワーク40を介して制御装置30−1,30−2またはユーザ端末装置60−1,60−2との間で情報を授受する際の制御を行う。中央制御部52は、管理装置50の各部を制御する。データベース53は、ループアンテナA11〜A13,A21〜A23のそれぞれが形成する通信可能エリアに存在するICカードを特定するための情報(ID情報)と、当該通信可能エリアを形成するループアンテナおよび制御装置を特定するための情報等を関連付けして格納する。なお、このデータベース53に格納されている情報は、中央制御部52の制御により、例えば、定期的にICカード10−1,10−2に対して問い合わせがなされ、その応答された結果に基づいて変更される。通信制御部54は、I/F51に関する制御を行う。
【0025】
図7は、図1に示すユーザ端末装置60−1の構成例を示す機能ブロック図である。なお、ユーザ端末装置60−2は、ユーザ端末装置60−1と同様の構成とされているので、以下では、ユーザ端末装置60−1を例に挙げて説明する。
ユーザ端末装置60−1は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、図示せぬCPU、ROM、RAM、および、HDDを主要な構成要素とし、HDDに格納されているプログラムが実行され、ソフトウエア資源としてのプログラムと、ハードウエア資源としてのCPUその他が協働することにより図7に示す機能ブロックが形成される。図7に示す例では、ユーザ端末装置60−1を構成する機能ブロックとしては、I/F61、中央制御部62、通信制御部63、および、I/F64が存在し、I/F64には入力装置65および表示装置66が接続されている。ここで、I/F61は、ネットワーク40との間で情報を授受する制御を行う。中央制御部62は、ユーザ端末装置60−1の各部を制御する。通信制御部63は、I/F61に関する制御を行う。I/F64は、入力装置65および表示装置66との間で情報の授受を行う際の制御を行う。入力装置65は、例えば、キーボードおよびマウス等のポインティングデバイスによって構成され、ユーザの操作に応じた情報を生成して出力する。表示装置66は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイまたはLCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、中央制御部62からI/F64を介して供給された情報を表示する。
【0026】
(B)実施の形態の動作
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。なお、以下では、図1に示すシステムが所定の施設(例えば、動物園)に配置され、ICカードが施設を見学する見学者に貸与され、施設の管理者または施設の案内者から各見学者に情報が供給される場合を例に挙げて説明する。
まず、ループアンテナA11〜A13,A21〜A23のそれぞれが形成する通信可能エリア内に存在するICカードを検出し、データベース53を更新する処理について説明する。
図8は、図6に示す管理装置50において、ICカードを検出する際に実行される処理の一例を示す図である。この図の処理が開始されると、まず、管理装置50の中央制御部52は、ステップS10において、前回、ICカードの検出処理を実行してから一定時間(例えば、10分)が経過しているか否かを判定し、一定時間が経過していると判定した場合(ステップS10;Yes)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10;No)には同様の処理を繰り返す。例えば、前回、検出処理を実行してから10分が経過した場合にはステップS11に進む。
【0027】
ステップS11では、中央制御部52は、ICカードの検出を行う対象となる制御装置を選択する処理を実行する。図1の例では、制御装置30−1,30−2が存在するので、これらのいずれかが選択される。ステップS12では、中央制御部52は、ICカード検出処理を実行する。より詳細には、中央制御部52は、対象となる制御装置に接続されている通信ルータが有するループアンテナが形成する通信可能エリア内に存在しているICカードを検出する処理を実行する。この処理の結果、制御装置からは、ICカードのID情報その他が送信されてくる。なお、検出処理の詳細については、図10に示す処理を参照して後述する。
【0028】
ステップS13では、中央制御部52は、制御装置から送信されてきたID情報等を受信する。なお、受信する情報としては、ICカードの前述したID情報(固有ID、グローバルID、および、グループID)、制御装置を特定するための情報、および、ループアンテナを特定するための情報、および、ICカードのバージョン情報等である。つづくステップS14では、中央制御部32は、ステップS13において取得した情報に基づいて、データベース53に登録されている情報を更新する。図9は、データベース53に登録されている情報の一例を示す図である。なお、この例では、87枚のICカードが存在する場合の一例を示している。この図に示すように、データベース53には、「No.」、「固有ID」、「グローバルID」、「グループID」、「制御装置」、「ループアンテナ」、および、「バージョン」に関する情報が登録されている。ここで、「No.」は、登録された情報に付与されるシリアル番号である。「固有ID」は、各ICカードが有する固有のID情報である。「グローバルID」は、全てのICカードに共通のID情報である。「グループID」は、複数のICカードに共通に付与されたID情報である。「制御装置」は、ICカードが存在する通信可能エリアを形成するループアンテナを有する通信ルータが接続された制御装置を特定するための情報である。「ループアンテナ」は、ICカードが存在する通信可能エリアを形成するループアンテナを特定するための情報である。「バージョン」は、ICカードのバージョンを示す情報であり、この情報に基づいて、ICカードが認識可能な下位コマンドが決定される。
【0029】
なお、図9の下から2行目に示す情報では、「制御装置」は「不明」とされ、また、「ループアンテナ」は「未送データ有」とされている。これは、ステップS12の検出処理によって再検出することができなかった、いわば、行方不明となっているICカードに関する情報である。データベース53に登録済みのICカードの情報が、ステップS12の検出処理において検出することができなかった場合には、データベース53を更新する際には、「制御装置」のフィールドに「不明」が書き込まれる。また、後述する処理によって、不明となっているICカード宛てに情報を送信する要求がなされた場合には、「ループアンテナ」のフィールドに「未送データ有」が書き込まれるとともに、送信要求がなされた情報が、ICカードの固有IDと対応付けされてデータベース53に格納される。そして、行方不明となっているICカードが検出された場合には、データベース53に格納されている未送の情報が送信される。これにより、情報の送信漏れを防ぐことができる。なお、未送データ有の場合に、一定期間(例えば、30分)以上検出ができない場合には、期限超過として「未送データ有」を「未送データ無」の状態に変更するとともに、データベース53に格納されている情報を削除するようにしてもよい。そのような処理により、待ち状態が長時間続いているICカードの存在により、処理能力および記憶領域が無駄に消費されることを防止できる。
【0030】
なお、図9の例では、「制御装置」および「ループアンテナ」のフィールドを用いて、行方不明となっているICカードに関する情報を格納するようにしたが、これらに対する専用のフィールドを別途設けるようにしてもよい。また、行方不明となっているICカードについては、ICカードの検索処理によって発見された場合に、未送の情報を送信するようにしたが、「未送データ有」のICカードについては、当該固有IDに対する検索処理を通常よりも短い周期(ステップS10の一定時間よりも短い周期)で実行し、見つかり次第、未送の情報を送信するようにしてもよい。そのような方法によれば、重要度が高い情報または緊急度が高い情報を漏れなく迅速に送信することができる。なお、このような固有IDに対する検索処理については、一定時間連続して行っても検出できない場合には、前述の場合と同様に検索処理をキャンセルするようにしてもよい。
【0031】
ステップS15では、中央制御部52は、ICカードの検出処理を実行していない他の制御装置が存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS15;Yes)にはステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS15;No)には処理を終了する。具体的には、初回の処理によって、制御装置30−1に対する処理が終了した場合には、制御装置30−2が存在するので、ステップS15ではYesと判定されてステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。
この図に示す処理によれば、管理装置50は、一定の時間毎に制御装置30−1,30−2に対してICカードの検出処理を実行させる。制御装置30−1,30−2のそれぞれでは、後述する処理により、ループアンテナA11〜A13およびループアンテナA21〜A23がそれぞれ形成する通信可能エリア内に存在するICカードのID情報等を取得し、管理装置50に対して送信する。管理装置50は、制御装置30−1,30−2から送信されたID情報等によって、データベース53の内容を更新する。これにより、データベース53に登録されている情報は、一定の時間毎に最新の情報に更新される。
【0032】
つぎに、図10を参照して、図8のステップS12に示すICカード検出処理が管理装置50で実行された場合に、制御装置30−1,30−2において実行される処理について説明する。なお、制御装置30−2において実行される処理は、制御装置30−1において実行される処理と同様であるので、以下では、制御装置30−1において実行される処理を例に挙げて説明する。この処理が開始されると、制御装置30−1の中央制御部32は、接続されている通信ルータ20−1が有する複数のループアンテナA11〜A13のいずれかを選択する。具体的には、初回の処理では、例えば、ループアンテナA11が選択される。ステップS31では、中央制御部32は、ステップS30で選択されたループアンテナが形成する通信可能エリアに存在するICカードに対してグローバルIDでの問い合わせ処理を実行する。具体的には、例えば、ステップS30においてループアンテナA11が選択された場合には、制御装置30−1の中央制御部32は、通信ルータ20−1に対して、ループアンテナA11からグローバルID(例えば、図9に示す「111111」)を有するICカードに対して応答するように要求する信号を送信させる。この結果、通信ルータ20−1では、RF回路21が制御装置30−1から供給されたグローバルIDと、当該グローバルIDを有するICカードに対して応答するように要求するコマンドを含むディジタルビット列に応じて搬送波を変調し、ループアンテナA11から電波として送信する。これにより、ループアンテナA11の通信可能エリア内にICカードが存在する場合には、ICカードはこの信号をループアンテナ19aによって捕捉してRF回路19に供給し、そこで、もとのディジタルビット列に変換し、通信制御MCU18に供給する。通信制御MCU18は、ID情報18aを参照し、問い合わせ対象となるグローバルIDが自己のグローバルIDと一致する場合には、受信した信号が自己に向けて送信された信号であることを認識し、問い合わせに対する応答を送信する。
【0033】
ステップS32では、ICカードからの応答が有ったか否かを判定し、応答が有った場合(ステップS32;Yes)にはステップS33に進み、それ以外の場合(ステップS33;No)にはステップS35に進む。例えば、ループアンテナA11の通信可能エリア内にICカード10−1が存在する場合には、ICカード10−1が応答する。この結果、ステップS32ではYesと判定されてステップS33に進む。なお、通信エリア内に複数のICカードが存在する場合には、これら全てのICカードが応答を行うが、ループアンテナに最も近いICカードから送信された応答(最も電波強度が高い応答)が優先して受信される。ステップS33では、中央制御部32は、ICカードに対して固有ID、グループID、および、バージョン情報を送信するように要求し、その結果として送信されてきた固有ID、グループID、および、バージョン情報を取得する。具体的には、ICカード10−1の場合では、図9に示すように、固有IDとして「125687」が取得され、グループIDとして「111122」が取得され、バージョン情報として「Ver.01」が取得される。
【0034】
ステップS34では、中央制御部32は、応答を行ったICカードに対して再応答しないように指示する。この結果、一度応答を行ったICカードは、次回からの問い合わせには応答しないことから、ICカードが1つずつ応答してID情報が取得される。より具体的には、ステップS33においてICカード10−1が応答を行った場合には、ICカード10−1はステップS34における指示により、再度の応答を行わないので、ループアンテナA11の通信エリア内に他のICカードが存在する場合には、次回のステップS31の処理では、他のICカードが応答することになる。これにより、例えば、ループアンテナA11に近いICカードから順番にID情報が取得される。
【0035】
再応答の停止状態は、一定時間が経過すると、ICカードによって自動的に解除される。より詳細には、ICカードは、検索処理が実行される周期(ステップS10の「一定時間」に対応する周期)よりも短い所定の時間(例えば、1分)が経過すると、再応答の停止状態を自動的に解除する。これにより、検索処理が終了した後に、管理装置50等との間で通信を行うことが可能な状態となる。なお、検索処理が終了した場合に、制御装置30−1,30−2または管理装置50から各ICカードに対して制御信号を送り、再応答の停止状態を解除するようにしてもよい。
【0036】
ステップS35では、中央制御部32は、ICカードに対する問い合わせを継続するか否かを判定し、問い合わせを継続する場合(ステップS35;Yes)にはステップS31に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS35;No)にはステップS36に進む。例えば、ステップS32において応答がないと判定された場合には、選択されたループアンテナの通信可能エリア内にはICカードはこれ以上存在しないと判定してステップS36に進み、それ以外の場合にはステップS31に戻って同様の処理を繰り返す。なお、応答がなされない場合ではなく、ステップS31〜ステップS34の処理を所定の回数(例えば、10回)繰り返した場合には、ステップS36に進むようにしてもよい。そのような処理によれば、例えば、2枚のICカードが通信可能エリア内に存在し、一方のICカードからの電波の受信状態が悪い場合に、何度か問い合わせを行うことにより、受信状態の改善を待ってICカードを検出することができる。
【0037】
ステップS36では、中央制御部32は、他のループアンテナが存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS36;Yes)にはステップS30に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS36;No)にはステップS37に進む。例えば、いまの例では、ループアンテナA11に対する処理が実行されているので、ループアンテナA12,A13が存在することからステップS30に戻って前述の場合と同様の処理が繰り返される。
つづく、ステップS37では、中央制御部32は、以上の処理において取得されたID情報等を管理装置50に対して送信する。具体的には、制御装置30−1の場合では、ループアンテナA11〜A13の各通信エリア内に存在している全てのICカードが検出され、これらのID情報等が取得されて、管理装置50に送信される。このような情報を受信した管理装置50では、図8のステップS13に示す処理により、ID情報等を受信し、ステップS14においてデータベース53を更新する。
【0038】
以上の処理によれば、管理装置50は、一定の時間毎に、制御装置30−1,30−2に対してICカードの検出処理の実行を要求する。この結果、制御装置30−1,30−2は、各ループアンテナA11〜A13,A21〜A23の通信可能エリア内に存在するICカードからID情報等を取得し、データベース53の内容を更新する。このため、データベース53には、各ICカードに関する最新の情報が格納されるため、この情報を参照することにより、所望のICカードに対して情報を送信することが可能になる。
【0039】
つぎに、図11〜13を参照して、前述の処理によって更新されたデータベース53を参照し、所望のICカードに対して情報を送信する際の処理について説明する。まず、図11を参照して、ユーザ端末装置60−1,60−2のいずれかから管理装置50に対して情報を送信する要求がなされた場合に実行される処理について説明する。例えば、ユーザ端末装置60−1の入力装置65が施設の管理者または案内者によって操作され、管理装置50にアクセスして情報を送信する要求がなされた場合には、中央制御部62は、I/F64を介してこの要求を取得し、通信制御部63およびI/F61を介して管理装置50にアクセスする処理を実行する。この結果、管理装置50の中央制御部52は、ユーザ端末装置60−1からアクセスがなされたことを検出し、図11のステップS50において、ICカードに送信する情報を編集する編集画面を表示するための情報を、ユーザ端末装置60−1に対して送信する。ユーザ端末装置60−1の中央制御部62は、管理装置50から送信された情報をI/F61および通信制御部63を介して受信し、I/F64を介して表示装置66に表示させる。この結果、表示装置66には、図12に示すような編集画面が表示される。この例では、表示装置66には、表示内容を編集する領域66aと、送信対象を選択する領域66bと、編集した内容を送信する際に操作されるボタン66cとが表示されている。そして、ユーザは、入力装置65を操作し、領域66aにおいてICカードに対して送信しようとする情報を入力することができる。この例では、領域66a内の最上部にはタイトルとしての「○○ツアー参加者の皆様」が入力され、その下にはメッセージとしての「昼食の準備が整いましたので、××レストランにお集まりください。」が入力され、その下にはメッセージとしての「なお、××レストランの地図が必要な場合は、左端のボタンを操作してください。」が入力されている。また、領域66bには、送信対象を特定する情報として「グループID:111122」が入力されている。なお、グループIDが「111122」のICカードは、図1に示すシステムが配置された施設を見学する「○○ツアー」に参加している所定のグループ(例えば、グループA,Bが参加している場合におけるグループA)に対して貸与されているものとする。
【0040】
ステップS51では、中央制御部52は、ユーザ端末装置60−1において編集が終了し、編集した内容をICカードに対して送信する指示がなされたか否かを判定し、送信する指示がなされたと判定した場合(ステップS51;Yes)にはステップS52に進み、それ以外の場合(ステップS51;No)には同様の処理を繰り返す。例えば、施設の管理者または案内者によって入力装置65によって図12のボタン66cが操作され、情報を送信する指示がなされた場合には、ステップS52に進む。ステップS52では、中央制御部52は、ユーザ端末装置60−1から送信された情報を受信する。具体的には、中央制御部52は、図12に示す画面において入力されたICカードに表示する情報と、送信対象を選択する情報とをユーザ端末装置60−1から受信する。
【0041】
ステップS53では、中央制御部52は、ステップS52においてユーザ端末装置60−1から受信した情報を上位コマンドに変換する。ここで、上位コマンドとは、ICカードの機種に依存されない高いレベルのコマンドである。いまの例では、図12において入力された情報が上位コマンド(例えば、表示を指示するコマンドと、表示内容を示すコマンド)に変換される。つづくステップS54では、中央制御部52は、データベース53を参照し、送信先の制御装置とループアンテナを特定する。具体的には、図12の表示画面では、領域66bに「グループID:111122」が入力されているので、図9の例では、固有ID「125687」を有するICカードと、固有ID「915254」を有するICカードとが特定され、これらのICカードが存在する通信可能エリアに対応するループアンテナA11および制御装置30−1と、ループアンテナA23および制御装置30−2とが特定される。つづく、ステップS55では、中央制御部52は、送信先のIDと、バージョン情報とを特定する。図9に示す例では、固有IDとして「125687」と「915254」とが特定されるとともに、これらのICカードのバージョン情報である「Ver.01」が特定される。
【0042】
ステップS56では、ステップS54において特定された相手に対してステップS53において得られた上位コマンドとバージョン情報を送信する。具体的には、中央制御部52は、固有IDが「125687」であり、グループIDが「111122」であるICカード10−1に対して、ステップS53で得られた上位コマンドを、「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換してループアンテナA11から送信するように制御装置30−1に対して要求する。また、中央制御部52は、固有IDが「915254」であり、グループIDが「111122」であるICカード(例えば、ICカード10−2)に対して、ステップS53で得られた上位コマンドを、「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換してループアンテナA23から送信するように制御装置30−2に対して要求する。この結果、前者の情報は、通信制御部54、I/F51、および、ネットワーク40を介して制御装置30−1に供給される。制御装置30−1では、通信制御部34がこの情報を受信し、後述する図13の処理に基づいて、上位コマンドを「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換し、通信ルータ20−1のループアンテナA11から送信させる。また、後者の情報は、通信制御部54、I/F51、および、ネットワーク40を介して制御装置30−2に供給される。制御装置30−2では、通信制御部(不図示)がこの情報を受信し、後述する図13の処理に基づいて、上位コマンドを「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換し、通信ルータ20−2のループアンテナA23から送信させる。
【0043】
なお、データベース53の「制御装置」のフィールドが「不明」となっているICカードが情報の送信対象となっている場合には、「ループアンテナ」のフィールドを「未送情報有」とするとともに、送信しようとする情報を固有IDと対応付けしてデータベース53に格納する。これにより、前述したように、当該ICカードが発見された場合には、未送の情報が送信されるので、情報の送信漏れを防止することができる。
【0044】
つぎに、図13を参照して、図11に示す処理により管理装置50から送信された情報を制御装置30−1が受信する場合に実行する処理について説明する。なお、制御装置30−2でも同様の処理が実行されるが、以下では、制御装置30−1を例に挙げて説明を行う。
【0045】
図13に示す処理が実行されると、中央制御部32は、管理装置50から送信された情報をI/F35および通信制御部34を介して受信する。いまの例では、図12に示す領域66aに入力された情報に対応する上位コマンドと、送信先のICカード10−1を示すID情報と、電波を送信するループアンテナA11を示す情報と、バージョン情報とが受信される。ステップS71では、ステップS70において受信した情報からバージョン情報を取得する。いまの例では、バージョン情報としては「Ver.01」が含まれているので、この情報が取得される。ステップS72では、中央制御部32は、変換部33に対して、ステップS70で受信した上位コマンドを、ステップS71において取得されたバージョン情報に対応する下位コマンドに変換するように指示する。いまの例では、ステップS70において受信された上位コマンドが、ステップS71において取得されたバージョン情報「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換される。
【0046】
つづくステップS73では、中央制御部32は、ステップS72における変換処理によって得られた下位コマンドを送信する。より詳細には、中央制御部32は、ステップS72において得られた下位コマンドを、通信制御部34およびI/F31を介して通信ルータ20−1に対して送信する。通信ルータ20−1では、送信された情報を受信し、指定されているループアンテナに対応するRF回路およびループアンテナを介して情報を通信対象のICカードに対して送信する。いまの例では、ループアンテナA11が指定されているので、制御装置30−1から送信された情報は、I/F25を介して受信され、選択回路24によってRF回路21に供給される。RF回路21は、受信した下位コマンドに対応するディジタルビット列に基づいて搬送波を変調し、ループアンテナA11を介して送信する。
【0047】
この結果、ICカード10−1では、ループアンテナA11から送信された電波をループアンテナ19aによって捕捉し、RF回路19によって対応するディジタルビット列に復調し、通信制御MCU18に供給する。通信制御MCU18は、供給されたディジタルビット列に含まれているID情報を参照し、自己に向けて送信された情報であるか否かを判定する。いまの例では、ICカード10−1の固有IDである「125687」とグループIDである「111122」が含まれているので、自己に対する情報であると判断する。そして、自己に対する情報であると判定した場合には、通信制御MCU18は、受信したディジタルビット列に含まれるコマンドが表示コマンドであることを認識し、この描画コマンドを表示制御MCU16に供給する。表示制御MCU16は、通信制御MCU18から供給された描画コマンドに基づいて描画処理を実行し、得られた画像データ(ビットマップデータ)を、表示制御回路12を介してSRAM11bに転送する。SRAM11bに画像データが転送されると、表示制御MCU16は、表示制御回路12によって表示用の電圧をEPD11aに印加するとともに、SRAM11bに格納されている画像データに対応する画像をEPD11aに表示させる。その結果、図12に示す領域66aに入力された情報が、EPD11aに表示される。
【0048】
なお、制御装置30−2では、管理装置50から送信された上位コマンドが、「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換され、通信ルータ20−2のループアンテナA23を介してICカード10−2に対して送信される。この結果、ICカード10−2の図示せぬEPDには、図12に示す領域66aに入力された情報が表示される。
【0049】
ステップS74では、中央制御部32は、他の送信先が存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS74;Yes)にはステップS71に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS74;No)には処理を終了する。例えば、通信ルータ20−1が有するループアンテナA11〜A13の通信可能エリア内に他のICカード(不図示)が存在し、当該ICカードに対してステップS70において受信した情報を送信する場合にはステップS71に戻って同様の処理を繰り返す。
【0050】
以上の処理によれば、ICカード10−1およびICカード10−2には、図12の領域66aにおいて入力された情報が表示されるので、このような情報を参照した見学者は、昼食の準備が整ったことを知ることができる。また、「××レストラン」の所在地が分からない場合には、操作ボタン15aを操作することにより、所在地に関する地図情報を得ることができる。すなわち、例えば、ICカード10−1の操作ボタン15aが操作されると、ICカード10−1から送信された要求信号は、ループアンテナA11、通信ルータ20−1、制御装置30−1を介して管理装置50に送信される。管理装置50では、別の編集画面において生成された地図情報を、要求を行ったICカード10−1に対して送信することにより、前述した場合と同様の動作によってICカード10−1のEPD11aに地図情報が表示される。
【0051】
以上の処理に説明したように、本発明の実施の形態よれば、管理装置50が通信可能エリア内に存在するICカードのID情報をデータベース53に格納し、ICカードに情報を送信する場合には、データベース53に格納された情報に基づいて情報を送信するようにしたので、所望のICカードに対して選択的に情報を送信することができる。
【0052】
また、本発明の実施の形態では、ICカードのID情報として、固有IDとグループIDとを設けるようにし、これらに基づいて情報を送信することができるようにした。このため、固有IDを利用することで個々のICカードに対して選択的に情報を選択することができるとともに、グループIDを利用することで所定のグループを構成するICカードに対して情報をまとめて送信することができる。したがって、例えば、ユーザのひとりひとりに対して情報を送信することができるとともに、所定のグループを構成するユーザに対して同一の情報をまとめて送信することができる。
【0053】
また、本発明の実施の形態では、管理装置50が所定の周期でICカードに対して問い合わせを行うようにした。このため、携帯電話またはいわゆるポケベルのように、端末側がシステムから送信されてくる自己が属している通信可能エリアに関する情報を監視し、この情報が変化した場合には自己が移動したとして、システムに対して自己が属している通信可能エリアを変更するように要求する場合に比べて端末側(ICカード)の消費電力を低減できる。すなわち、本実施の形態では、各ICカードは、管理装置50からの定期的な問い合わせに対して返答する動作のみを実行し、自己が属している通信可能エリアを常に監視したり、登録変更の処理を実行したりする必要がない。このため、ICカード側の処理を減らすことにより、消費電力を減らすことができることから、バッテリ13の薄型化を阻害しない。また、本実施の形態では、通信ルータは、最も電波強度が高いICカードを選択して通信するようにしたので、例えば、時分割処理または周波数分割処理等の複雑な処理を省略することができるため、ICカードの回路を簡略化することができる。このため、ICカードの小型化および薄型化を阻害しない。
【0054】
また、本発明の実施の形態では、通信ルータがループアンテナを複数有するようにしたので、広いエリアを複数のループアンテナによってカバーすることができる。また、本発明の実施の形態では、制御装置を複数設けるようにしたので、これら複数の制御装置を適宜配置することにより、相互に離れた場所であっても通信可能エリアとして設定することができる。例えば、制御装置30−1によって、ある観光エリアAをカバーし、制御装置30−2によって観光エリアAから遠く離れた観光エリアBをカバーすることが可能になる。
【0055】
また、本発明の実施の形態では、管理装置50から上位コマンドを送信し、制御装置30−1,30−2によって、送信対象となるICカードに対応するバージョンの下位コマンドに変換するようにしたので、ユーザ端末装置60−1,60−2および管理装置50では送信対象となるICカードのバージョンを考慮する必要がなくなる。
【0056】
(C)変形実施の態様
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
例えば、以上の実施の形態では、通信ルータ20−1,20−2にはそれぞれ3つのループアンテナを設けるようにしたが、1つまたは2つであったり、4以上であったりしてもよい。また、ICカードは2枚のみとしたが、1枚であったり、3枚以上であったりしてもよい。また、通信ルータ、制御装置、および、ユーザ端末装置はそれぞれ2台ずつとしたが、1台であったり、3台以上であったりしてもよい。また、管理装置50についても、1台だけではなく、複数台設けるようにしてもよい。なお、複数台設けた場合には、それぞれの管理装置がICカードに対して問い合わせを行ってデータベースを生成するようにすればよい。
【0057】
また、以上の実施の形態では、通信ルータ、制御装置、管理装置、および、ユーザ端末装置を別々の構成としたが、2以上の装置が有する機能をまとめて1つの装置として構成するようにしてもよい。例えば、管理装置と制御装置の機能をまとめて1つの装置として構成したり、これらとともに通信ルータの機能をまとめて1つの装置として構成したりすることも可能である。
【0058】
また、以上の実施の形態では、ICカードは、固有ID、グローバルID、および、グループIDを有するようにしたが、これらの一部のIDだけを有したり、これ以外のIDを有するようにしたりしてもよい。例えば、バージョンを示す情報をID情報として具備し、このID情報に基づいて変換処理を実行するようにしてもよい。
【0059】
また、以上の実施の形態では、グループIDが選択された場合であっても、固有IDを含めて送信するようにしたが、グループIDのみを送信し、ICカード側でグループIDが自己が有するグループIDに一致するか否かを判定し、一致する場合にはこの情報を受信するようにしてもよい。そのような方法によれば、通信エリア内に同一のグループIDを有する複数のICカードが存在する場合には、これら複数のICカードに対して、同時に情報を配信することができる。
【0060】
また、以上の実施の形態では、管理装置50は、図8に示すように、一定の時間毎にICカードに対して問い合わせを行うようにしたが、例えば、ユーザ端末装置から情報を送信する要求がなされた場合に、ICカードに問い合わせを行うようにしてもよい。そのような場合、情報を送信する頻度が低い場合には、ICカードに対する問い合わせ処理を減らすことにより、ICカードのバッテリの消耗を防ぐことができる。なお、ICカードに対する情報を送信する頻度が一時的に高くなった場合、前回の問い合わせによって取得された情報を再利用するようにしてもよい。例えば、前回の情報送信から10分が経過する前に情報送信が再度要求された場合には、前回の問い合わせによって取得された情報を使用し、それ以外の場合には新たに問い合わせを行うようにしてもよい。
【0061】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、ICカード、制御装置、および、管理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disk ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0062】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0063】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のICカードシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すICカードの外観を示す図である。
【図3】図1に示すICカードの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す通信ルータの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図5】図1に示す制御装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図6】図1に示す管理装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図7】図1に示すユーザ端末装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図8】図6に示す管理装置において実行される処理の一例である。
【図9】図6に示すデータベースに格納される情報の一例である。
【図10】図5に示す制御装置において実行される処理の一例である。
【図11】図6に示す管理装置において実行される処理の一例である。
【図12】図7に示す表示装置に表示される編集画面の一例である。
【図13】図5に示す制御装置において実行される他の処理の一例である。
【符号の説明】
【0065】
10−1,10−2…ICカード(携帯型情報処理装置)、11a…EPD(表示手段、表示装置)、18…通信制御MCU(記憶手段、記憶装置)、19…RF回路(送信手段、受信手段)、20−1,20−2…通信ルータ(ホスト装置)、30−1,30−2…制御装置(ホスト装置、制御装置)、33…変換部(変換手段)、50…管理装置(ホスト装置)、52…中央制御装置(問い合わせ手段、特定手段)、53…データベース(格納手段、格納装置)、54…通信制御部(供給手段)、A11〜A13,A21〜A23…ループアンテナ(アンテナ)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報処理システム、携帯型情報処理装置、ホスト装置、携帯型情報処理装置の制御方法、および、ホスト装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RF−IDにより、セキュリティを確保しつつデータを管理する技術が開示されている。また、特許文献2には、管理情報を記録したRF−IDを物品に付すことにより、物品の貸出管理を自動的に行うことが可能な技術が開示されている。また、特許文献3には、RF−IDによって物品の不正な持ち出しを規制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−212341号公報
【特許文献2】特開2005−298100号公報
【特許文献3】特開2005−301331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1〜3に開示される技術では、RF−IDとリーダライタとの間の通信は1対1の関係となることが前提とされている。このため、これらの技術では、複数のRF−IDの中から特定のRF−IDに対して選択的に情報を送信することができないという問題点がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能な携帯型情報処理システム、携帯型情報処理装置、ホスト装置、携帯型情報処理装置の制御方法、および、ホスト装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の携帯型情報処理システムは、相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置とホスト装置とを有する携帯型情報処理システムにおいて、前記携帯型情報処理装置は、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、前記ホスト装置から供給される表示情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、を有し、前記ホスト装置は、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、を有する、ことを特徴とする。
この構成によれば、携帯型情報処理装置がホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置がID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給し、携帯型情報処理装置は受信した表示情報を表示する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【0006】
また、本発明は、上記発明において、前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する複数のアンテナを有し、前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報とを対応付けして格納しており、前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給する、ことを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置が複数のアンテナを有し、格納手段は各携帯型情報処理装置のID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能なアンテナを特定するための情報とを対応付けして格納し、供給手段はID情報とアンテナを特定するための情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置に表示情報を送信する。このため、複数のアンテナによって広い領域をカバーすることができるとともに、それぞれの領域を細かく設定することにより携帯型情報処理装置の送信電力を抑えることができる。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する1または複数のアンテナを有するとともに、これら1または複数のアンテナの中から所望のアンテナを用いて通信対象となる携帯型情報処理装置と無線通信を行う制御を行う制御装置を複数有し、前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報と、当該アンテナを有する前記制御装置を特定するための情報と、を対応付けして格納しており、前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報と、前記制御装置を特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置は、携帯型情報処理装置と無線通信する1または複数のアンテナを有するとともに、これら1または複数のアンテナの中から所望のアンテナを用いて通信対象となる携帯型情報処理装置と無線通信を行う制御を行う制御装置を複数有し、格納手段は各携帯型情報処理装置のID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能なアンテナを特定するための情報と、当該アンテナを有する制御装置を特定するための情報と、を対応付けして格納し、供給手段はこれらの3つの情報に基づいて、表示情報を供給する。このため、複数のアンテナおよび制御装置によって広い領域をカバーすることができるとともに、それぞれの領域を細かく設定することにより携帯型情報処理装置の送信電力を抑えることができる。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記ホスト装置は、前記表示情報に含まれるコマンドを、通信対象の携帯型情報処理装置に対応するコマンドに変換する変換手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置の変換手段は通信対象の携帯型情報処理装置に応じてコマンドを変換する。このため、携帯型情報処理装置に応じてコマンドが自動的に変換されるので、携帯型情報処理装置の種類に応じてコマンドを生成する必要がない。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記問い合わせ手段は、所定の周期で各携帯型情報処理装置に対して前記問い合わせを行うことを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置の問い合わせ手段は、所定の周期で各携帯型情報処理装置に対してID情報の問い合わせを行う。このため、携帯型情報処理装置側からID情報を自発的に登録させる場合に比較して、携帯型情報処理装置の処理を軽減し、携帯型情報処理装置の電源の消費を抑えることができる。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記ID情報は、個々の携帯型情報処理装置に付与された固有の固有ID情報と、複数の携帯型情報処理装置に共通に付与された共通ID情報とを有し、前記特定手段は、前記固有ID情報または前記共通ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する、ことを特徴とする。
この構成によれば、特定手段は、固有IDまたは共通IDに基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する。このため、個々の携帯型情報処理装置に対して表示情報を送信できるとともに、複数の携帯型情報処理装置に対してまとめて表示情報を送信することができる。
【0011】
また、本発明の携帯型情報処理装置は、ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置において、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置においてID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信して表示する。このため、携帯型情報処理装置が自発的にID情報を送信する場合に比較して、送信電力を抑えることができる。
【0012】
また、本発明のホスト装置は、携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置において、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、ホスト装置が携帯型情報処理装置に対して問い合わせを行い、得られたID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【0013】
また、本発明の携帯型情報処理装置の制御方法は、各種情報を記憶する記憶部及び各種情報を表示する表示部を有し、ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置の制御方法において、前記記憶部に各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶過程と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶部に記憶されたID情報を送信する送信過程と、前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信過程と、前記受信された前記表示情報を前記表示部に表示する表示過程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、携帯型情報処理装置がホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置がID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給し、携帯型情報処理装置は受信した表示情報を表示する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【0014】
また、本発明のホスト装置の制御方法は、表示部を有する携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置の制御方法において、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ過程と、前記問い合わせに前記各携帯型情報処理装置が前記無線通信により応答することによって取得されたID情報を格納する格納過程と、前記格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定過程と、前記特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示部に表示すべき表示情報を前記無線通信機により供給する供給過程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、携帯型情報処理装置がホスト装置からの問い合わせに応じてID情報を送信し、ホスト装置がID情報を格納し、ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定し、特定された携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給し、携帯型情報処理装置は受信した表示情報を表示する。このため、複数の携帯型情報処理装置の中から所望の携帯型情報処理装置に対して情報を送信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下では、本発明の携帯型情報処理システムをIC(Integrated Circuit)カードシステムとして実施した場合を例に挙げて説明する。また、携帯型情報処理システムの情報処理方法については、ICカードシステムの情報処理方法を例に挙げて説明し、携帯型情報処理装置についてはICカードを例に挙げて説明し、また、ホスト装置については通信ルータ、制御装置、および、管理装置を例に挙げて説明する。
【0016】
(A)実施の形態の構成の説明
図1は、本発明を適用した実施形態に係るICカードシステムの概略構成を示す図である。図1に示すように、ICカードシステムは、ICカード10−1,10−2(請求項中「携帯型情報処理装置」に対応)、通信ルータ20−1,20−2(請求項中「ホスト装置」に対応)、制御装置30−1,30−2(請求項中「ホスト装置」および「制御装置」に対応)、ネットワーク40、管理装置50(請求項中「ホスト装置」に対応)、および、ユーザ端末装置60−1,60−2を主要な構成要素とする。
ICカード10−1,10−2は、通信ルータ20−1,20−2から供給される情報を表示する。通信ルータ20−1,20−2は、ループアンテナA11〜A13(請求項中「アンテナ」に対応)およびループアンテナA21〜A23(請求項中「アンテナ」に対応)を有し、通信対象となるICカードが属している通信可能エリアに対応するループアンテナを用いてICカード10−1,10−2に表示情報を送信する。制御装置30−1,30−2は、管理装置50から送信された情報を、通信対象のICカードに対応するコマンドに変換し、通信ルータ20−1,20−2を介して通信対象のICカードに送信する。ネットワーク40は、例えば、LAN(Local Network Area)またはインターネット等によって構成され、制御装置30−1,30−2、ユーザ端末装置60−1,60−2、および、管理装置50を相互に接続し、これらの間で情報をパケットによって伝送する。管理装置50は、ICカード10−1,10−2が有するID情報と、ICカード10−1,10−2が属する通信エリアを形成するループアンテナを特定する情報と、そのループアンテナを有する制御装置を特定する情報とを対応付けして格納するデータベースを有している。ユーザ端末装置60−1,60−2から所定の情報を送信する要求がなされた場合には、管理装置50は、このデータベースを参照して、通信対象のICカードが属する通信エリアに対応するループアンテナおよび制御装置を特定し、通信対象のICカードに対して情報を送信する。ユーザ端末装置60−1,60−2は、管理装置50に対して、所定の情報を所定のICカードに対して送信する要求を行う。
【0017】
なお、この例では、ICカードは2枚とされ、制御装置および通信ルータはそれぞれ2台とされ、ループアンテナは3本ずつとされ、ユーザ端末装置は2台とされ、管理装置は1台とされているが、これ以外の数であってもよい。
【0018】
図2は、図1に示すICカード10−1の外観構成を示す図である。なお、ICカード10−1とICカード10−2は、同様の構成とされているので、以下では、ICカード10−1を例に挙げて説明を行う。図2に示すように、ICカード10−1は、略長方形の薄型の形状を有する担体100を有しており、ICカード10−1の表面(図2における奥行き方向の手前側の面)には、表示デバイスとしてのEPD(Electrophoretic Display)11aがはめ込まれており、また、その下側(図2の上下方向の下側)には後述する入力デバイス15を構成する操作ボタン15a〜15cが配置されている。
【0019】
図3は、ICカード10−1の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、ICカード10−1は、EPD11a(請求項中「表示手段」および「表示装置」に対応)、SRAM(Static RAM)11b、表示制御回路12、バッテリ13、電源回路14、入力デバイス15、表示制御MCU(Main Control Unit)16、不揮発性メモリ17、通信制御MCU18(請求項中「記憶手段」および「記憶装置」に対応)、RF(Radio Frequency)回路19(請求項中「送信手段」および「受信手段」に対応)、および、ループアンテナ19aを主要な構成要素としている。
【0020】
ここで、EPD11aは、透明な液体の中で浮動する微粒子を電界によって移動させることにより、文字および図形等の表示を行う表示デバイスである。なお、EPD11aに表示された情報は、EPD11aへの電源の供給を絶った後も表示され続ける、不揮発性の表示デバイスである。SRAM11bは、EPD11aに表示する情報を格納するメモリである。より詳細には、EPD11aは、例えば、横および縦がそれぞれ352×450画素から構成されており、SRAM11bは、横および縦がそれぞれ352×450ビットの情報を格納可能な記憶容量を有しており、SRAM11bに格納されている情報の各ビットに応じてEPD11aを構成する画素を黒または白の状態とすることにより、種々の情報を表示することができる。なお、この実施の形態では、SRAM11bは、書き込みのみが可能なライトオンリ(Write Only)のメモリとして構成される。表示制御回路12は、EPD11aに情報を表示する際の制御を行う回路であり、例えば、表示制御MCU16とEPD11aとの間の電圧の変換を行う制御を行う。また、表示制御回路12は、電源回路14から供給された電力をSRAM11bおよびEPD11aに供給する。バッテリ13は、例えば、リチウムイオン電池等によって構成され、電源回路14に直流電力を供給する。電源回路14は、バッテリ13から供給される電源電圧を、所定の電圧に昇圧または降圧し、表示制御回路12に供給する。なお、図3では、電源回路14によって生成された電源電力は、表示制御回路12のみに供給されているが、実際にはその他の部分にも供給されている。
【0021】
入力デバイス15は、操作ボタン15a〜15cと、図示せぬスイッチによって構成され、図2に示す操作ボタン15a〜15cがユーザによって操作された場合には、スイッチがオンまたはオフの状態になり、表示制御MCU16がスイッチの状態に基づいて操作ボタンが操作されたことを検出する。表示制御MCU16は、通信制御MCU18から供給された描画コマンドを不揮発性メモリ17に描画コマンドとして格納するとともに、コマンドを解釈し、不揮発性メモリ17に格納されている対応するフォントデータまたはビットマップデータを取得し、内蔵されているVRAM(Video RAM)をワークエリアとして描画処理を実行し、得られた画像データを表示制御回路12に供給してEPD11aに表示させる処理を実行する。不揮発性メモリ17は、例えば、FeRAM(Ferroelectric RAM)によって構成され、管理装置50から供給された描画コマンドを格納する。また、不揮発性メモリ17は、表示制御MCU16が使用するフォントデータおよびビットマップデータを格納するとともに、表示制御MCU16が実行するプログラム等を格納する。通信制御MCU18は、RF回路19から供給されるディジタル信号を解釈し、内蔵するメモリ(不図示)を書き換えたり、ディジタル信号から復元されたコマンドを表示制御MCU16に供給したりする。また、通信制御MCU18は、ICカードを特定するためのID情報18aを格納する。ID情報18aは、各ICカードに固有の(ユニークな)情報としての固有IDと、全てのICカードに共通の情報としてのグローバルIDと、複数のICカードに共通の情報としてのグループIDが存在する。RF回路19は、ループアンテナ19aによって捕捉された電波を復調し、ディジタル信号を生成して、通信制御MCU18に供給する。ループアンテナ19aは、コイル形状を有しており、通信ルータ20から送信された電波を捕捉し、RF回路19に供給する。
【0022】
図4は、図1に示す通信ルータ20−1の構成例を示すブロック図である。なお、通信ルータ20−2は、通信ルータ20−1と同様の構成とされているので、以下では、通信ルータ20−1を例に挙げて説明する。
通信ルータ20−1は、RF回路21〜23、選択回路24、および、I/F(Interface)25を主要な構成要素としている。ここで、RF回路21〜24は、I/F25および選択回路24を介して制御装置30−1から供給されたディジタルビット列に応じて搬送波を変調し、ループアンテナA11〜A13から電波として送信するとともに、ループアンテナA11〜A13によって受信された搬送波に含まれているディジタルビット列を復調し、選択回路24およびI/F25を介して制御装置30−1に供給する。
選択回路24は、I/F25を介して制御装置30−1から供給されたディジタルビット列を対応するRF回路21〜23に対して供給する。また、RF回路21〜23によって受信されたディジタルビット列を、I/F25を介して制御装置30−1に供給する。
I/F25は、例えば、RS232Cインタフェースによって構成され、制御装置30−1との間で情報を授受する際の制御を行う。
【0023】
図5は、図1に示す制御装置30−1の構成例を示す機能ブロック図である。なお、制御装置30−2は、制御装置30−1と同様の構成とされているので、以下では、制御装置30−1を例に挙げて説明する。
制御装置30−1は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、HDD(Hard Disk Drive)を主要な構成要素とし、HDDに格納されているプログラムが実行され、ソフトウエア資源としてのプログラムと、ハードウエア資源としてのCPUその他が協働することにより図5に示す機能ブロックが形成される。図5に示す例では、制御装置30−1を構成する機能ブロックとしては、I/F31、中央制御部32、変換部33(請求項中「変換手段」に対応)、通信制御部34、および、I/F35を有する。ここで、I/F31は、例えば、RS232Cインタフェースによって構成され、通信ルータ20−1との間で情報を授受する際の制御を行う。中央制御部32は、制御装置30−1の各部の制御を行う。変換部33は、管理装置50から送信された上位のコマンド(以下、「上位コマンド」と称する)を、通信対象となるICカードの種類に応じた下位のコマンド(以下、「下位コマンド」と称する)に変換する。通信制御部34は、I/F31およびI/F35に関する制御を行う。I/F35は、ネットワーク40との間で情報を授受する際の制御を行う。
【0024】
図6は、図1に示す管理装置50の構成例を示す機能ブロック図である。この図6に示すように、管理装置50は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、図示せぬ、CPU、ROM、RAM、および、HDDを主要な構成要素とし、HDDに格納されているプログラムが実行され、ソフトウエア資源としてのプログラムと、ハードウエア資源としてのCPUその他が協働することにより図6に示す機能ブロックが形成される。図6に示す例では、管理装置50を構成する機能ブロックとしては、I/F51、中央制御部52(請求項中「問い合わせ手段」および「特定手段」に対応)、データベース53(請求項中「格納手段」および「格納装置」に対応)、および、通信制御部54(請求項中「供給手段」に対応)を有する。ここで、I/F51は、ネットワーク40を介して制御装置30−1,30−2またはユーザ端末装置60−1,60−2との間で情報を授受する際の制御を行う。中央制御部52は、管理装置50の各部を制御する。データベース53は、ループアンテナA11〜A13,A21〜A23のそれぞれが形成する通信可能エリアに存在するICカードを特定するための情報(ID情報)と、当該通信可能エリアを形成するループアンテナおよび制御装置を特定するための情報等を関連付けして格納する。なお、このデータベース53に格納されている情報は、中央制御部52の制御により、例えば、定期的にICカード10−1,10−2に対して問い合わせがなされ、その応答された結果に基づいて変更される。通信制御部54は、I/F51に関する制御を行う。
【0025】
図7は、図1に示すユーザ端末装置60−1の構成例を示す機能ブロック図である。なお、ユーザ端末装置60−2は、ユーザ端末装置60−1と同様の構成とされているので、以下では、ユーザ端末装置60−1を例に挙げて説明する。
ユーザ端末装置60−1は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、図示せぬCPU、ROM、RAM、および、HDDを主要な構成要素とし、HDDに格納されているプログラムが実行され、ソフトウエア資源としてのプログラムと、ハードウエア資源としてのCPUその他が協働することにより図7に示す機能ブロックが形成される。図7に示す例では、ユーザ端末装置60−1を構成する機能ブロックとしては、I/F61、中央制御部62、通信制御部63、および、I/F64が存在し、I/F64には入力装置65および表示装置66が接続されている。ここで、I/F61は、ネットワーク40との間で情報を授受する制御を行う。中央制御部62は、ユーザ端末装置60−1の各部を制御する。通信制御部63は、I/F61に関する制御を行う。I/F64は、入力装置65および表示装置66との間で情報の授受を行う際の制御を行う。入力装置65は、例えば、キーボードおよびマウス等のポインティングデバイスによって構成され、ユーザの操作に応じた情報を生成して出力する。表示装置66は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイまたはLCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、中央制御部62からI/F64を介して供給された情報を表示する。
【0026】
(B)実施の形態の動作
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。なお、以下では、図1に示すシステムが所定の施設(例えば、動物園)に配置され、ICカードが施設を見学する見学者に貸与され、施設の管理者または施設の案内者から各見学者に情報が供給される場合を例に挙げて説明する。
まず、ループアンテナA11〜A13,A21〜A23のそれぞれが形成する通信可能エリア内に存在するICカードを検出し、データベース53を更新する処理について説明する。
図8は、図6に示す管理装置50において、ICカードを検出する際に実行される処理の一例を示す図である。この図の処理が開始されると、まず、管理装置50の中央制御部52は、ステップS10において、前回、ICカードの検出処理を実行してから一定時間(例えば、10分)が経過しているか否かを判定し、一定時間が経過していると判定した場合(ステップS10;Yes)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10;No)には同様の処理を繰り返す。例えば、前回、検出処理を実行してから10分が経過した場合にはステップS11に進む。
【0027】
ステップS11では、中央制御部52は、ICカードの検出を行う対象となる制御装置を選択する処理を実行する。図1の例では、制御装置30−1,30−2が存在するので、これらのいずれかが選択される。ステップS12では、中央制御部52は、ICカード検出処理を実行する。より詳細には、中央制御部52は、対象となる制御装置に接続されている通信ルータが有するループアンテナが形成する通信可能エリア内に存在しているICカードを検出する処理を実行する。この処理の結果、制御装置からは、ICカードのID情報その他が送信されてくる。なお、検出処理の詳細については、図10に示す処理を参照して後述する。
【0028】
ステップS13では、中央制御部52は、制御装置から送信されてきたID情報等を受信する。なお、受信する情報としては、ICカードの前述したID情報(固有ID、グローバルID、および、グループID)、制御装置を特定するための情報、および、ループアンテナを特定するための情報、および、ICカードのバージョン情報等である。つづくステップS14では、中央制御部32は、ステップS13において取得した情報に基づいて、データベース53に登録されている情報を更新する。図9は、データベース53に登録されている情報の一例を示す図である。なお、この例では、87枚のICカードが存在する場合の一例を示している。この図に示すように、データベース53には、「No.」、「固有ID」、「グローバルID」、「グループID」、「制御装置」、「ループアンテナ」、および、「バージョン」に関する情報が登録されている。ここで、「No.」は、登録された情報に付与されるシリアル番号である。「固有ID」は、各ICカードが有する固有のID情報である。「グローバルID」は、全てのICカードに共通のID情報である。「グループID」は、複数のICカードに共通に付与されたID情報である。「制御装置」は、ICカードが存在する通信可能エリアを形成するループアンテナを有する通信ルータが接続された制御装置を特定するための情報である。「ループアンテナ」は、ICカードが存在する通信可能エリアを形成するループアンテナを特定するための情報である。「バージョン」は、ICカードのバージョンを示す情報であり、この情報に基づいて、ICカードが認識可能な下位コマンドが決定される。
【0029】
なお、図9の下から2行目に示す情報では、「制御装置」は「不明」とされ、また、「ループアンテナ」は「未送データ有」とされている。これは、ステップS12の検出処理によって再検出することができなかった、いわば、行方不明となっているICカードに関する情報である。データベース53に登録済みのICカードの情報が、ステップS12の検出処理において検出することができなかった場合には、データベース53を更新する際には、「制御装置」のフィールドに「不明」が書き込まれる。また、後述する処理によって、不明となっているICカード宛てに情報を送信する要求がなされた場合には、「ループアンテナ」のフィールドに「未送データ有」が書き込まれるとともに、送信要求がなされた情報が、ICカードの固有IDと対応付けされてデータベース53に格納される。そして、行方不明となっているICカードが検出された場合には、データベース53に格納されている未送の情報が送信される。これにより、情報の送信漏れを防ぐことができる。なお、未送データ有の場合に、一定期間(例えば、30分)以上検出ができない場合には、期限超過として「未送データ有」を「未送データ無」の状態に変更するとともに、データベース53に格納されている情報を削除するようにしてもよい。そのような処理により、待ち状態が長時間続いているICカードの存在により、処理能力および記憶領域が無駄に消費されることを防止できる。
【0030】
なお、図9の例では、「制御装置」および「ループアンテナ」のフィールドを用いて、行方不明となっているICカードに関する情報を格納するようにしたが、これらに対する専用のフィールドを別途設けるようにしてもよい。また、行方不明となっているICカードについては、ICカードの検索処理によって発見された場合に、未送の情報を送信するようにしたが、「未送データ有」のICカードについては、当該固有IDに対する検索処理を通常よりも短い周期(ステップS10の一定時間よりも短い周期)で実行し、見つかり次第、未送の情報を送信するようにしてもよい。そのような方法によれば、重要度が高い情報または緊急度が高い情報を漏れなく迅速に送信することができる。なお、このような固有IDに対する検索処理については、一定時間連続して行っても検出できない場合には、前述の場合と同様に検索処理をキャンセルするようにしてもよい。
【0031】
ステップS15では、中央制御部52は、ICカードの検出処理を実行していない他の制御装置が存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS15;Yes)にはステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS15;No)には処理を終了する。具体的には、初回の処理によって、制御装置30−1に対する処理が終了した場合には、制御装置30−2が存在するので、ステップS15ではYesと判定されてステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。
この図に示す処理によれば、管理装置50は、一定の時間毎に制御装置30−1,30−2に対してICカードの検出処理を実行させる。制御装置30−1,30−2のそれぞれでは、後述する処理により、ループアンテナA11〜A13およびループアンテナA21〜A23がそれぞれ形成する通信可能エリア内に存在するICカードのID情報等を取得し、管理装置50に対して送信する。管理装置50は、制御装置30−1,30−2から送信されたID情報等によって、データベース53の内容を更新する。これにより、データベース53に登録されている情報は、一定の時間毎に最新の情報に更新される。
【0032】
つぎに、図10を参照して、図8のステップS12に示すICカード検出処理が管理装置50で実行された場合に、制御装置30−1,30−2において実行される処理について説明する。なお、制御装置30−2において実行される処理は、制御装置30−1において実行される処理と同様であるので、以下では、制御装置30−1において実行される処理を例に挙げて説明する。この処理が開始されると、制御装置30−1の中央制御部32は、接続されている通信ルータ20−1が有する複数のループアンテナA11〜A13のいずれかを選択する。具体的には、初回の処理では、例えば、ループアンテナA11が選択される。ステップS31では、中央制御部32は、ステップS30で選択されたループアンテナが形成する通信可能エリアに存在するICカードに対してグローバルIDでの問い合わせ処理を実行する。具体的には、例えば、ステップS30においてループアンテナA11が選択された場合には、制御装置30−1の中央制御部32は、通信ルータ20−1に対して、ループアンテナA11からグローバルID(例えば、図9に示す「111111」)を有するICカードに対して応答するように要求する信号を送信させる。この結果、通信ルータ20−1では、RF回路21が制御装置30−1から供給されたグローバルIDと、当該グローバルIDを有するICカードに対して応答するように要求するコマンドを含むディジタルビット列に応じて搬送波を変調し、ループアンテナA11から電波として送信する。これにより、ループアンテナA11の通信可能エリア内にICカードが存在する場合には、ICカードはこの信号をループアンテナ19aによって捕捉してRF回路19に供給し、そこで、もとのディジタルビット列に変換し、通信制御MCU18に供給する。通信制御MCU18は、ID情報18aを参照し、問い合わせ対象となるグローバルIDが自己のグローバルIDと一致する場合には、受信した信号が自己に向けて送信された信号であることを認識し、問い合わせに対する応答を送信する。
【0033】
ステップS32では、ICカードからの応答が有ったか否かを判定し、応答が有った場合(ステップS32;Yes)にはステップS33に進み、それ以外の場合(ステップS33;No)にはステップS35に進む。例えば、ループアンテナA11の通信可能エリア内にICカード10−1が存在する場合には、ICカード10−1が応答する。この結果、ステップS32ではYesと判定されてステップS33に進む。なお、通信エリア内に複数のICカードが存在する場合には、これら全てのICカードが応答を行うが、ループアンテナに最も近いICカードから送信された応答(最も電波強度が高い応答)が優先して受信される。ステップS33では、中央制御部32は、ICカードに対して固有ID、グループID、および、バージョン情報を送信するように要求し、その結果として送信されてきた固有ID、グループID、および、バージョン情報を取得する。具体的には、ICカード10−1の場合では、図9に示すように、固有IDとして「125687」が取得され、グループIDとして「111122」が取得され、バージョン情報として「Ver.01」が取得される。
【0034】
ステップS34では、中央制御部32は、応答を行ったICカードに対して再応答しないように指示する。この結果、一度応答を行ったICカードは、次回からの問い合わせには応答しないことから、ICカードが1つずつ応答してID情報が取得される。より具体的には、ステップS33においてICカード10−1が応答を行った場合には、ICカード10−1はステップS34における指示により、再度の応答を行わないので、ループアンテナA11の通信エリア内に他のICカードが存在する場合には、次回のステップS31の処理では、他のICカードが応答することになる。これにより、例えば、ループアンテナA11に近いICカードから順番にID情報が取得される。
【0035】
再応答の停止状態は、一定時間が経過すると、ICカードによって自動的に解除される。より詳細には、ICカードは、検索処理が実行される周期(ステップS10の「一定時間」に対応する周期)よりも短い所定の時間(例えば、1分)が経過すると、再応答の停止状態を自動的に解除する。これにより、検索処理が終了した後に、管理装置50等との間で通信を行うことが可能な状態となる。なお、検索処理が終了した場合に、制御装置30−1,30−2または管理装置50から各ICカードに対して制御信号を送り、再応答の停止状態を解除するようにしてもよい。
【0036】
ステップS35では、中央制御部32は、ICカードに対する問い合わせを継続するか否かを判定し、問い合わせを継続する場合(ステップS35;Yes)にはステップS31に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS35;No)にはステップS36に進む。例えば、ステップS32において応答がないと判定された場合には、選択されたループアンテナの通信可能エリア内にはICカードはこれ以上存在しないと判定してステップS36に進み、それ以外の場合にはステップS31に戻って同様の処理を繰り返す。なお、応答がなされない場合ではなく、ステップS31〜ステップS34の処理を所定の回数(例えば、10回)繰り返した場合には、ステップS36に進むようにしてもよい。そのような処理によれば、例えば、2枚のICカードが通信可能エリア内に存在し、一方のICカードからの電波の受信状態が悪い場合に、何度か問い合わせを行うことにより、受信状態の改善を待ってICカードを検出することができる。
【0037】
ステップS36では、中央制御部32は、他のループアンテナが存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS36;Yes)にはステップS30に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS36;No)にはステップS37に進む。例えば、いまの例では、ループアンテナA11に対する処理が実行されているので、ループアンテナA12,A13が存在することからステップS30に戻って前述の場合と同様の処理が繰り返される。
つづく、ステップS37では、中央制御部32は、以上の処理において取得されたID情報等を管理装置50に対して送信する。具体的には、制御装置30−1の場合では、ループアンテナA11〜A13の各通信エリア内に存在している全てのICカードが検出され、これらのID情報等が取得されて、管理装置50に送信される。このような情報を受信した管理装置50では、図8のステップS13に示す処理により、ID情報等を受信し、ステップS14においてデータベース53を更新する。
【0038】
以上の処理によれば、管理装置50は、一定の時間毎に、制御装置30−1,30−2に対してICカードの検出処理の実行を要求する。この結果、制御装置30−1,30−2は、各ループアンテナA11〜A13,A21〜A23の通信可能エリア内に存在するICカードからID情報等を取得し、データベース53の内容を更新する。このため、データベース53には、各ICカードに関する最新の情報が格納されるため、この情報を参照することにより、所望のICカードに対して情報を送信することが可能になる。
【0039】
つぎに、図11〜13を参照して、前述の処理によって更新されたデータベース53を参照し、所望のICカードに対して情報を送信する際の処理について説明する。まず、図11を参照して、ユーザ端末装置60−1,60−2のいずれかから管理装置50に対して情報を送信する要求がなされた場合に実行される処理について説明する。例えば、ユーザ端末装置60−1の入力装置65が施設の管理者または案内者によって操作され、管理装置50にアクセスして情報を送信する要求がなされた場合には、中央制御部62は、I/F64を介してこの要求を取得し、通信制御部63およびI/F61を介して管理装置50にアクセスする処理を実行する。この結果、管理装置50の中央制御部52は、ユーザ端末装置60−1からアクセスがなされたことを検出し、図11のステップS50において、ICカードに送信する情報を編集する編集画面を表示するための情報を、ユーザ端末装置60−1に対して送信する。ユーザ端末装置60−1の中央制御部62は、管理装置50から送信された情報をI/F61および通信制御部63を介して受信し、I/F64を介して表示装置66に表示させる。この結果、表示装置66には、図12に示すような編集画面が表示される。この例では、表示装置66には、表示内容を編集する領域66aと、送信対象を選択する領域66bと、編集した内容を送信する際に操作されるボタン66cとが表示されている。そして、ユーザは、入力装置65を操作し、領域66aにおいてICカードに対して送信しようとする情報を入力することができる。この例では、領域66a内の最上部にはタイトルとしての「○○ツアー参加者の皆様」が入力され、その下にはメッセージとしての「昼食の準備が整いましたので、××レストランにお集まりください。」が入力され、その下にはメッセージとしての「なお、××レストランの地図が必要な場合は、左端のボタンを操作してください。」が入力されている。また、領域66bには、送信対象を特定する情報として「グループID:111122」が入力されている。なお、グループIDが「111122」のICカードは、図1に示すシステムが配置された施設を見学する「○○ツアー」に参加している所定のグループ(例えば、グループA,Bが参加している場合におけるグループA)に対して貸与されているものとする。
【0040】
ステップS51では、中央制御部52は、ユーザ端末装置60−1において編集が終了し、編集した内容をICカードに対して送信する指示がなされたか否かを判定し、送信する指示がなされたと判定した場合(ステップS51;Yes)にはステップS52に進み、それ以外の場合(ステップS51;No)には同様の処理を繰り返す。例えば、施設の管理者または案内者によって入力装置65によって図12のボタン66cが操作され、情報を送信する指示がなされた場合には、ステップS52に進む。ステップS52では、中央制御部52は、ユーザ端末装置60−1から送信された情報を受信する。具体的には、中央制御部52は、図12に示す画面において入力されたICカードに表示する情報と、送信対象を選択する情報とをユーザ端末装置60−1から受信する。
【0041】
ステップS53では、中央制御部52は、ステップS52においてユーザ端末装置60−1から受信した情報を上位コマンドに変換する。ここで、上位コマンドとは、ICカードの機種に依存されない高いレベルのコマンドである。いまの例では、図12において入力された情報が上位コマンド(例えば、表示を指示するコマンドと、表示内容を示すコマンド)に変換される。つづくステップS54では、中央制御部52は、データベース53を参照し、送信先の制御装置とループアンテナを特定する。具体的には、図12の表示画面では、領域66bに「グループID:111122」が入力されているので、図9の例では、固有ID「125687」を有するICカードと、固有ID「915254」を有するICカードとが特定され、これらのICカードが存在する通信可能エリアに対応するループアンテナA11および制御装置30−1と、ループアンテナA23および制御装置30−2とが特定される。つづく、ステップS55では、中央制御部52は、送信先のIDと、バージョン情報とを特定する。図9に示す例では、固有IDとして「125687」と「915254」とが特定されるとともに、これらのICカードのバージョン情報である「Ver.01」が特定される。
【0042】
ステップS56では、ステップS54において特定された相手に対してステップS53において得られた上位コマンドとバージョン情報を送信する。具体的には、中央制御部52は、固有IDが「125687」であり、グループIDが「111122」であるICカード10−1に対して、ステップS53で得られた上位コマンドを、「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換してループアンテナA11から送信するように制御装置30−1に対して要求する。また、中央制御部52は、固有IDが「915254」であり、グループIDが「111122」であるICカード(例えば、ICカード10−2)に対して、ステップS53で得られた上位コマンドを、「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換してループアンテナA23から送信するように制御装置30−2に対して要求する。この結果、前者の情報は、通信制御部54、I/F51、および、ネットワーク40を介して制御装置30−1に供給される。制御装置30−1では、通信制御部34がこの情報を受信し、後述する図13の処理に基づいて、上位コマンドを「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換し、通信ルータ20−1のループアンテナA11から送信させる。また、後者の情報は、通信制御部54、I/F51、および、ネットワーク40を介して制御装置30−2に供給される。制御装置30−2では、通信制御部(不図示)がこの情報を受信し、後述する図13の処理に基づいて、上位コマンドを「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換し、通信ルータ20−2のループアンテナA23から送信させる。
【0043】
なお、データベース53の「制御装置」のフィールドが「不明」となっているICカードが情報の送信対象となっている場合には、「ループアンテナ」のフィールドを「未送情報有」とするとともに、送信しようとする情報を固有IDと対応付けしてデータベース53に格納する。これにより、前述したように、当該ICカードが発見された場合には、未送の情報が送信されるので、情報の送信漏れを防止することができる。
【0044】
つぎに、図13を参照して、図11に示す処理により管理装置50から送信された情報を制御装置30−1が受信する場合に実行する処理について説明する。なお、制御装置30−2でも同様の処理が実行されるが、以下では、制御装置30−1を例に挙げて説明を行う。
【0045】
図13に示す処理が実行されると、中央制御部32は、管理装置50から送信された情報をI/F35および通信制御部34を介して受信する。いまの例では、図12に示す領域66aに入力された情報に対応する上位コマンドと、送信先のICカード10−1を示すID情報と、電波を送信するループアンテナA11を示す情報と、バージョン情報とが受信される。ステップS71では、ステップS70において受信した情報からバージョン情報を取得する。いまの例では、バージョン情報としては「Ver.01」が含まれているので、この情報が取得される。ステップS72では、中央制御部32は、変換部33に対して、ステップS70で受信した上位コマンドを、ステップS71において取得されたバージョン情報に対応する下位コマンドに変換するように指示する。いまの例では、ステップS70において受信された上位コマンドが、ステップS71において取得されたバージョン情報「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換される。
【0046】
つづくステップS73では、中央制御部32は、ステップS72における変換処理によって得られた下位コマンドを送信する。より詳細には、中央制御部32は、ステップS72において得られた下位コマンドを、通信制御部34およびI/F31を介して通信ルータ20−1に対して送信する。通信ルータ20−1では、送信された情報を受信し、指定されているループアンテナに対応するRF回路およびループアンテナを介して情報を通信対象のICカードに対して送信する。いまの例では、ループアンテナA11が指定されているので、制御装置30−1から送信された情報は、I/F25を介して受信され、選択回路24によってRF回路21に供給される。RF回路21は、受信した下位コマンドに対応するディジタルビット列に基づいて搬送波を変調し、ループアンテナA11を介して送信する。
【0047】
この結果、ICカード10−1では、ループアンテナA11から送信された電波をループアンテナ19aによって捕捉し、RF回路19によって対応するディジタルビット列に復調し、通信制御MCU18に供給する。通信制御MCU18は、供給されたディジタルビット列に含まれているID情報を参照し、自己に向けて送信された情報であるか否かを判定する。いまの例では、ICカード10−1の固有IDである「125687」とグループIDである「111122」が含まれているので、自己に対する情報であると判断する。そして、自己に対する情報であると判定した場合には、通信制御MCU18は、受信したディジタルビット列に含まれるコマンドが表示コマンドであることを認識し、この描画コマンドを表示制御MCU16に供給する。表示制御MCU16は、通信制御MCU18から供給された描画コマンドに基づいて描画処理を実行し、得られた画像データ(ビットマップデータ)を、表示制御回路12を介してSRAM11bに転送する。SRAM11bに画像データが転送されると、表示制御MCU16は、表示制御回路12によって表示用の電圧をEPD11aに印加するとともに、SRAM11bに格納されている画像データに対応する画像をEPD11aに表示させる。その結果、図12に示す領域66aに入力された情報が、EPD11aに表示される。
【0048】
なお、制御装置30−2では、管理装置50から送信された上位コマンドが、「Ver.01」に対応する下位コマンドに変換され、通信ルータ20−2のループアンテナA23を介してICカード10−2に対して送信される。この結果、ICカード10−2の図示せぬEPDには、図12に示す領域66aに入力された情報が表示される。
【0049】
ステップS74では、中央制御部32は、他の送信先が存在するか否かを判定し、存在する場合(ステップS74;Yes)にはステップS71に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS74;No)には処理を終了する。例えば、通信ルータ20−1が有するループアンテナA11〜A13の通信可能エリア内に他のICカード(不図示)が存在し、当該ICカードに対してステップS70において受信した情報を送信する場合にはステップS71に戻って同様の処理を繰り返す。
【0050】
以上の処理によれば、ICカード10−1およびICカード10−2には、図12の領域66aにおいて入力された情報が表示されるので、このような情報を参照した見学者は、昼食の準備が整ったことを知ることができる。また、「××レストラン」の所在地が分からない場合には、操作ボタン15aを操作することにより、所在地に関する地図情報を得ることができる。すなわち、例えば、ICカード10−1の操作ボタン15aが操作されると、ICカード10−1から送信された要求信号は、ループアンテナA11、通信ルータ20−1、制御装置30−1を介して管理装置50に送信される。管理装置50では、別の編集画面において生成された地図情報を、要求を行ったICカード10−1に対して送信することにより、前述した場合と同様の動作によってICカード10−1のEPD11aに地図情報が表示される。
【0051】
以上の処理に説明したように、本発明の実施の形態よれば、管理装置50が通信可能エリア内に存在するICカードのID情報をデータベース53に格納し、ICカードに情報を送信する場合には、データベース53に格納された情報に基づいて情報を送信するようにしたので、所望のICカードに対して選択的に情報を送信することができる。
【0052】
また、本発明の実施の形態では、ICカードのID情報として、固有IDとグループIDとを設けるようにし、これらに基づいて情報を送信することができるようにした。このため、固有IDを利用することで個々のICカードに対して選択的に情報を選択することができるとともに、グループIDを利用することで所定のグループを構成するICカードに対して情報をまとめて送信することができる。したがって、例えば、ユーザのひとりひとりに対して情報を送信することができるとともに、所定のグループを構成するユーザに対して同一の情報をまとめて送信することができる。
【0053】
また、本発明の実施の形態では、管理装置50が所定の周期でICカードに対して問い合わせを行うようにした。このため、携帯電話またはいわゆるポケベルのように、端末側がシステムから送信されてくる自己が属している通信可能エリアに関する情報を監視し、この情報が変化した場合には自己が移動したとして、システムに対して自己が属している通信可能エリアを変更するように要求する場合に比べて端末側(ICカード)の消費電力を低減できる。すなわち、本実施の形態では、各ICカードは、管理装置50からの定期的な問い合わせに対して返答する動作のみを実行し、自己が属している通信可能エリアを常に監視したり、登録変更の処理を実行したりする必要がない。このため、ICカード側の処理を減らすことにより、消費電力を減らすことができることから、バッテリ13の薄型化を阻害しない。また、本実施の形態では、通信ルータは、最も電波強度が高いICカードを選択して通信するようにしたので、例えば、時分割処理または周波数分割処理等の複雑な処理を省略することができるため、ICカードの回路を簡略化することができる。このため、ICカードの小型化および薄型化を阻害しない。
【0054】
また、本発明の実施の形態では、通信ルータがループアンテナを複数有するようにしたので、広いエリアを複数のループアンテナによってカバーすることができる。また、本発明の実施の形態では、制御装置を複数設けるようにしたので、これら複数の制御装置を適宜配置することにより、相互に離れた場所であっても通信可能エリアとして設定することができる。例えば、制御装置30−1によって、ある観光エリアAをカバーし、制御装置30−2によって観光エリアAから遠く離れた観光エリアBをカバーすることが可能になる。
【0055】
また、本発明の実施の形態では、管理装置50から上位コマンドを送信し、制御装置30−1,30−2によって、送信対象となるICカードに対応するバージョンの下位コマンドに変換するようにしたので、ユーザ端末装置60−1,60−2および管理装置50では送信対象となるICカードのバージョンを考慮する必要がなくなる。
【0056】
(C)変形実施の態様
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
例えば、以上の実施の形態では、通信ルータ20−1,20−2にはそれぞれ3つのループアンテナを設けるようにしたが、1つまたは2つであったり、4以上であったりしてもよい。また、ICカードは2枚のみとしたが、1枚であったり、3枚以上であったりしてもよい。また、通信ルータ、制御装置、および、ユーザ端末装置はそれぞれ2台ずつとしたが、1台であったり、3台以上であったりしてもよい。また、管理装置50についても、1台だけではなく、複数台設けるようにしてもよい。なお、複数台設けた場合には、それぞれの管理装置がICカードに対して問い合わせを行ってデータベースを生成するようにすればよい。
【0057】
また、以上の実施の形態では、通信ルータ、制御装置、管理装置、および、ユーザ端末装置を別々の構成としたが、2以上の装置が有する機能をまとめて1つの装置として構成するようにしてもよい。例えば、管理装置と制御装置の機能をまとめて1つの装置として構成したり、これらとともに通信ルータの機能をまとめて1つの装置として構成したりすることも可能である。
【0058】
また、以上の実施の形態では、ICカードは、固有ID、グローバルID、および、グループIDを有するようにしたが、これらの一部のIDだけを有したり、これ以外のIDを有するようにしたりしてもよい。例えば、バージョンを示す情報をID情報として具備し、このID情報に基づいて変換処理を実行するようにしてもよい。
【0059】
また、以上の実施の形態では、グループIDが選択された場合であっても、固有IDを含めて送信するようにしたが、グループIDのみを送信し、ICカード側でグループIDが自己が有するグループIDに一致するか否かを判定し、一致する場合にはこの情報を受信するようにしてもよい。そのような方法によれば、通信エリア内に同一のグループIDを有する複数のICカードが存在する場合には、これら複数のICカードに対して、同時に情報を配信することができる。
【0060】
また、以上の実施の形態では、管理装置50は、図8に示すように、一定の時間毎にICカードに対して問い合わせを行うようにしたが、例えば、ユーザ端末装置から情報を送信する要求がなされた場合に、ICカードに問い合わせを行うようにしてもよい。そのような場合、情報を送信する頻度が低い場合には、ICカードに対する問い合わせ処理を減らすことにより、ICカードのバッテリの消耗を防ぐことができる。なお、ICカードに対する情報を送信する頻度が一時的に高くなった場合、前回の問い合わせによって取得された情報を再利用するようにしてもよい。例えば、前回の情報送信から10分が経過する前に情報送信が再度要求された場合には、前回の問い合わせによって取得された情報を使用し、それ以外の場合には新たに問い合わせを行うようにしてもよい。
【0061】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、ICカード、制御装置、および、管理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disk ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0062】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0063】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のICカードシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すICカードの外観を示す図である。
【図3】図1に示すICカードの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す通信ルータの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図5】図1に示す制御装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図6】図1に示す管理装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図7】図1に示すユーザ端末装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図8】図6に示す管理装置において実行される処理の一例である。
【図9】図6に示すデータベースに格納される情報の一例である。
【図10】図5に示す制御装置において実行される処理の一例である。
【図11】図6に示す管理装置において実行される処理の一例である。
【図12】図7に示す表示装置に表示される編集画面の一例である。
【図13】図5に示す制御装置において実行される他の処理の一例である。
【符号の説明】
【0065】
10−1,10−2…ICカード(携帯型情報処理装置)、11a…EPD(表示手段、表示装置)、18…通信制御MCU(記憶手段、記憶装置)、19…RF回路(送信手段、受信手段)、20−1,20−2…通信ルータ(ホスト装置)、30−1,30−2…制御装置(ホスト装置、制御装置)、33…変換部(変換手段)、50…管理装置(ホスト装置)、52…中央制御装置(問い合わせ手段、特定手段)、53…データベース(格納手段、格納装置)、54…通信制御部(供給手段)、A11〜A13,A21〜A23…ループアンテナ(アンテナ)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置とホスト装置とを有する携帯型情報処理システムにおいて、
前記携帯型情報処理装置は、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、前記ホスト装置から供給される表示情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、を有し、
前記ホスト装置は、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、を有する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する複数のアンテナを有し、
前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報とを対応付けして格納しており、
前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する1または複数のアンテナを有するとともに、これら1または複数のアンテナの中から所望のアンテナを用いて通信対象となる携帯型情報処理装置と無線通信を行う制御を行う制御装置を複数有し、
前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報と、当該アンテナを有する前記制御装置を特定するための情報と、を対応付けして格納しており、
前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報と、前記制御装置を特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ホスト装置は、前記表示情報に含まれるコマンドを、通信対象の携帯型情報処理装置に対応するコマンドに変換する変換手段を有することを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記問い合わせ手段は、所定の周期で各携帯型情報処理装置に対して前記問い合わせを行うことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ID情報は、個々の携帯型情報処理装置に付与された固有の固有ID情報と、複数の携帯型情報処理装置に共通に付与された共通ID情報とを有し、
前記特定手段は、前記固有ID情報または前記共通ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項7】
ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置において、
各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、
前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、
前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする携帯型情報処理装置。
【請求項8】
携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置において、
各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、
を有することを特徴とするホスト装置。
【請求項9】
各種情報を記憶する記憶部及び各種情報を表示する表示部を有し、ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置の制御方法において、
前記記憶部に各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶過程と、
前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶部に記憶されたID情報を送信する送信過程と、
前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信過程と、
前記受信された前記表示情報を前記表示部に表示する表示過程と、
を備えたことを特徴とする携帯型情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
表示部を有する携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置の制御方法において、
各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ過程と、
前記問い合わせに前記各携帯型情報処理装置が前記無線通信により応答することによって取得されたID情報を格納する格納過程と、
前記格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定過程と、
前記特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示部に表示すべき表示情報を前記無線通信機により供給する供給過程と、
を備えたことを特徴とするホスト装置の制御方法。
【請求項1】
相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置とホスト装置とを有する携帯型情報処理システムにおいて、
前記携帯型情報処理装置は、各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、前記ホスト装置から供給される表示情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、を有し、
前記ホスト装置は、各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、を有する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する複数のアンテナを有し、
前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報とを対応付けして格納しており、
前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ホスト装置は、前記携帯型情報処理装置と無線通信する1または複数のアンテナを有するとともに、これら1または複数のアンテナの中から所望のアンテナを用いて通信対象となる携帯型情報処理装置と無線通信を行う制御を行う制御装置を複数有し、
前記格納手段は各携帯型情報処理装置の前記ID情報と、それぞれの携帯型情報処理装置が無線通信可能な前記アンテナを特定するための情報と、当該アンテナを有する前記制御装置を特定するための情報と、を対応付けして格納しており、
前記供給手段は、前記ID情報と、前記アンテナを特定するための情報と、前記制御装置を特定するための情報とに基づいて、通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示情報を供給する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ホスト装置は、前記表示情報に含まれるコマンドを、通信対象の携帯型情報処理装置に対応するコマンドに変換する変換手段を有することを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記問い合わせ手段は、所定の周期で各携帯型情報処理装置に対して前記問い合わせを行うことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯型情報処理システムにおいて、
前記ID情報は、個々の携帯型情報処理装置に付与された固有の固有ID情報と、複数の携帯型情報処理装置に共通に付与された共通ID情報とを有し、
前記特定手段は、前記固有ID情報または前記共通ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する、
ことを特徴とする携帯型情報処理システム。
【請求項7】
ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置において、
各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶手段と、
前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶手段に記憶されたID情報を送信する送信手段と、
前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記表示情報を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする携帯型情報処理装置。
【請求項8】
携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置において、
各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせ手段による問い合わせによって取得されたID情報を格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して表示情報を供給する供給手段と、
を有することを特徴とするホスト装置。
【請求項9】
各種情報を記憶する記憶部及び各種情報を表示する表示部を有し、ホスト装置と相互に無線通信を行う携帯型情報処理装置の制御方法において、
前記記憶部に各装置に固有の情報としてのID情報を記憶する記憶過程と、
前記ホスト装置からの問い合わせに応じて前記記憶部に記憶されたID情報を送信する送信過程と、
前記ホスト装置において前記ID情報を参照して通信対象として特定され、供給された表示情報を受信する受信過程と、
前記受信された前記表示情報を前記表示部に表示する表示過程と、
を備えたことを特徴とする携帯型情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
表示部を有する携帯型情報処理装置と相互に無線通信を行うホスト装置の制御方法において、
各携帯型情報処理装置に対してID情報を問い合わせる問い合わせ過程と、
前記問い合わせに前記各携帯型情報処理装置が前記無線通信により応答することによって取得されたID情報を格納する格納過程と、
前記格納された前記ID情報に基づいて通信対象の携帯型情報処理装置を特定する特定過程と、
前記特定された通信対象の携帯型情報処理装置に対して前記表示部に表示すべき表示情報を前記無線通信機により供給する供給過程と、
を備えたことを特徴とするホスト装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−122743(P2009−122743A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293138(P2007−293138)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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