説明

携帯型決済端末

【課題】携帯型決済端末において、決済時に、より自然な接客導線で接客を行えるようにすること。
【解決手段】ハンディターミナル1の主操作者である販売スタッフが操作する操作パネル2及びタッチパネル式表示部3の操作方向と、決済に用いるカードの所有者である顧客が認証情報の入力操作を行うための顧客操作モジュール6の操作方向とが、互いに逆方向となるように、操作パネル2及びタッチパネル式表示部3と、顧客操作モジュール6とを配置した決済機能を備えたハンディターミナル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型決済端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レジシステムと呼ばれている決済システムでは、POSシステム(販売時点管理)が広く使われている。
【0003】
POSシステムとは、一般に、購入される商品の各品目に、バーコードとして印刷または無線タグとして付けられた統一商品コードを読み取り、ネットワーク・サーバまたは他の店舗プラットフォーム・ホストといった店舗コンピュータ・システムに結合され、店舗が在庫している商品品目のリストや各品目の価格、スタイル、色等を含む、様々な種類の商品識別情報が記憶される。
【0004】
また、決済システムでは、現金決済以外にクレジットカード決済や、非接触ICカードを使用した電子決済が広く使用されている。クレジットカード決済では、利用限度額の超過や偽造クレジットカードなどの不正防止を照会するためにリアルタイムでクレジットカード会社のサーバに接続し、クレジットカード情報を照合する処理を行っている。
【0005】
このようなPOSシステムと電子決済機能を有する決済端末は、量販店のレジシステムとして広く普及しているが、近年は、据え置き型のレジシステムが設置されていない場所でも決済を行うことが要求されていた。
【0006】
この要求に応えるために作られた決済端末として、クレジットカード決済や電子決済が可能な携帯型決済端末に、W−LANや携帯電話回線などの無線通信機能を付加して、POSシステムやクレジットカードのネットワークに接続させる形式のものがある。
【0007】
従来の携帯型決済端末として、例えば、特許文献1に記載されるようなハンディターミナルに、接触型ICカード決済機能を搭載したものがある。
【0008】
図9は、従来のハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【0009】
図9に示すように、従来のハンディターミナル900は、表示部901、操作部902を有する。
【0010】
接触型ICカード等における電子決済では、販売スタッフや宅配業者等(以下、販売スタッフ)がハンディターミナルの操作部902を操作して、ハンディターミナルに決済金額を入力し、表示部901にて顧客にその金額を確認してもらい、接触型ICカードを不図示のカード読み取り部に挿入した状態で、操作部902から顧客に暗証番号を入力してもらうことで決済を行っている。
【0011】
小売店等での対面販売では、ハンディターミナルを販売スタッフが顧客に渡し、上述したように顧客自身が暗証番号の入力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−174558公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、図9に示したように、従来のハンディターミナルでは、販売スタッフと対面にいる顧客とではハンディターミナルに対する向きが異なる。このため、販売スタッフは、ハンディターミナルの向きを180度変えて、ハンディターミナルを顧客に手渡しする必要があり、煩雑で不自然な接客導線となっていた。また、ハンディターミナルの向きを変える際に、ハンディターミナルを落下させてしまう等の可能性も考えられる。
【0014】
また、販売スタッフと顧客とが操作部902を共有しているため、販売スタッフの操作すべきボタンを顧客が誤って押してしまう等といった可能性も考えられる。このように、顧客が誤った操作を行ってしまうと、全ての操作を初めからやり直さなければならなくなる等の場合もあった。
【0015】
また、暗証番号を他人に知られたくないという顧客側の心理があるが、図9に示したようなハンディターミナルでは、暗証番号を入力する顧客の手元を隠すことが難しく、容易に他人に手元を覗かれてしまうという問題もあった。
【0016】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明は、携帯型決済端末において、より自然な接客導線と、顧客が入力する認証情報のセキュリティ性を高める仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、決済機能を有する携帯型決済端末であって、主操作者が操作する第1操作手段と、決済に用いるカードから情報を読み取る読取手段と、前記カードの所有者が認証情報の入力操作を行うための第2操作手段とを備え、前記第1操作手段を操作する場合の操作方向と、前記第2操作手段を操作する場合の操作方向とが、互いに逆方向となるように、前記第1操作手段と前記第2操作手段を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、携帯型決済端末において、決済時に、より自然な接客導線で接客を行うことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の携帯型決済端末の実施例1を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の携帯型決済端末の実施例1を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】ハンディターミナル1を用いた電子決済手順の一例を示す模式図である。
【図5】ハンディターミナル1における電子決済処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の携帯型決済端末の実施例2を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【図7】本発明の携帯型決済端末の実施例2を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【図8】本発明の携帯型決済端末の実施例3を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【図9】従来のハンディターミナルの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳述する。なお、図中、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0021】
かかる本発明の実施例1では、携帯型決済端末の一例として接触型ICカードによる電子決済機能を搭載したハンディターミナルについて例示する。
【0022】
図1、図2は、本発明の携帯型決済端末の実施例1を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。なお、図1は対面販売時に販売スタッフから見た図に対応し、図2は顧客から見た図に対応する。
【0023】
図1、図2において、1は本実施例のハンディターミナルであって、具体的には電子決済機能を有するハンディターミナルである。本実施例において、電子決済とは、商品またはサービスの代価を支払う場合、現金ではなく、電子データをやり取りすることで支払いを行うことを示す。例えば、クレジットカードやデビットカード(銀行などの預金口座から即時或いは後ほど引き落として支払う)のカード番号やそれに付随する各種情報を外部装置とやり取することで行われる決済が本実施例の電子決済に含まれる。
【0024】
操作パネル2及びタッチパネル式表示部3は、ハンディターミナル1の主操作者である販売スタッフ等(以下、販売スタッフ)が操作を行うためのものである。操作パネル2は、複数の操作ボタンを有し、ハンディターミナル1本体(装置本体)の主操作面である上面側の端部に配置されている。そして、この操作パネル2及びタッチパネル式表示部3によって主操作者側の1つの操作ユニットを構成する。
【0025】
また、磁気ストライプ読取部(以下、MSR(magnetic stripe reader))4は、磁気ストライプカード(以下、磁気カード)の磁気ストライプ部から情報を読み取る。なお、このMSR4では、操作パネル2等を販売スタッフ側に向けた状態(図1の状態)で、ハンディターミナル1本体の下端部(具体的には販売スタッフ側の端部の端面)に設けられた図示しない磁気読取用スリット溝に沿って、磁気カードを横引きすることにより磁気情報を読み取ることができる。この際、販売スタッフは、例えば、左手でハンディターミナル1本体を支え、その状態で顧客から磁気カードを右手で受け取り、磁気読取用スリット溝に磁気カードを横引きすることができ、磁気カード操作を含む自然な操作導線を確保することができ、端末の操作性を向上することができる。
【0026】
レーザスキャナ(Laser Scanner)5は、販売スタッフによる操作パネル2又はタッチパネル式表示部3の操作に応じて、レーザ光を照射してバーコード等の読み取りを行う。
【0027】
一方、顧客操作モジュール6は、決済に用いるカードの所有者である顧客(以下、顧客)が操作(例えば、暗証番号等の認証情報(以下、暗証番号)の入力操作)を行うためのものである。すなわち、この顧客操作モジュール6は、顧客操作側の1つの操作ユニットを構成する。この顧客操作モジュール6は、テンキー部6a、表示部6b、接触型ICカード挿入口6c、接触型ICカードリーダ6d(図3)、コントローラ6e(図3)を備えている。主に顧客が操作する部分は、テンキー6aである。
【0028】
テンキー部6aは、顧客が暗証番号の入力を行うためのものである。表示部6bは、顧客へのメッセージや、テンキー部6aでの入力に対応する伏せ文字等を表示する。
【0029】
接触型ICカード挿入口6cは、接触型ICカードを挿入するための挿入口である。接触型ICカードリーダ6d(図3)は、顧客操作モジュール6の内部に設けられ、接触型ICカード挿入口6cに挿入される接触型ICカードのIC部から情報を読み取る。すなわち、接触型ICカードリーダ6dは、顧客操作モジュール6と1つの一体ユニットを構成する。この際、販売スタッフは、例えば、右手でハンディターミナル1本体を支え、その状態で顧客から接触型ICカードを左手で受け取り、接触型ICカード挿入口6cに接触型ICカードを挿入し、そのままハンディターミナル1の向きを変更することなく、顧客が暗証番号の入力を行うことができる。これにより、自然な操作導線を確保することができ、販売スタッフ及び顧客による端末の操作性を向上することができる。
【0030】
コントローラ6e(図3)は、顧客操作モジュール6の内部に設けられ、顧客操作モジュール6全体を統括制御するとともに、ハンディターミナル1本体と通信を行う。また、コントローラ6eは、テンキー部6aで入力された暗証番号と、接触型ICカードリーダ6dで読み取られたデータとを比較し、比較結果をハンディターミナル1本体に通知する。
【0031】
なお、顧客操作モジュール6は、操作パネル2及びタッチパネル式表示部3と略同一平面上で、且つ操作パネル2及びタッチパネル式表示部3に反対方向に配置されている。即ち、操作パネル2及びタッチパネル式表示部3を操作する場合の操作方向と、顧客操作モジュール6を操作する場合の操作方向とが、互いに逆方向となるように、操作パネル2及びタッチパネル式表示部3と、顧客操作モジュール6が配置されている。ここで、操作パネル2及びタッチパネル式表示部3を操作する場合の操作方向とは、例えば、ハンディターミナル1に向き合って操作する操作者(顧客)側に向いた文字盤や各種表示等の方向を示す。一方、顧客操作モジュール6を操作する場合の操作方向とは、例えば、ハンディターミナル1を操作する操作者(販売スタッフ)側に向いた文字盤や各種表示等の方向を示す。この構成により、販売スタッフと顧客が対面した接客状態で、販売スタッフがハンディターミナル1の向きを顧客側に変えることなく、販売スタッフが操作パネル2及びタッチパネル式表示部3を操作すること、及び、顧客が顧客操作モジュール6のテンキー部6aを操作することが可能となる。
【0032】
図3は、本発明の携帯型決済端末の一実施例を示すハンディターミナルの構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
CPU7は、メモリ8からコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、ハンディターミナル1を統括制御し、ハンディターミナル1の各種機能を実現する。メモリ8は、RAM部とフラッシュメモリ部とから構成されている。
【0034】
タッチパネルコントローラ(Touch Panel Controller)9は、タッチパネル式表示部3からの入力を制御する。また、LCDドライバ17は、タッチパネル式表示部3への表示を制御する。ワイヤレスLANインタフェース(Wireless LAN I/F)10は、ワイヤレスLANへの接続を制御する。
【0035】
制御用IC11は、MSR4、レーザスキャナ5、顧客操作モジュール6を制御する。制御用IC12は、操作パネル2、メインバッテリ(Main Battery)13を制御する。
【0036】
以下、図4、図5を参照して、ハンディターミナル1による電子決済手順について説明する。
【0037】
図4は、ハンディターミナル1を用いた電子決済手順の一例を示す模式図である。
【0038】
図5は、ハンディターミナル1における電子決済処理の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、CPU7がメモリ8からコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0039】
まず、販売スタッフが操作パネル2又はタッチパネル式表示部3を操作して決済の開始を指示すると、CPU7はこの操作を検知し、401に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示する。さらに、CPU7は、レーザスキャナ5による読み取り処理(スキャン)を開始する(S501)。これにより、レーザスキャナ5からレーザ光が照射されてバーコード等の読み取りが可能になる。
【0040】
402に示すように、レーザ光がバーコードに照射されると、レーザスキャナ5によりバーコードが読み取られ(S501)、読み取られたデータがCPU7に通知される。CPU7は、バーコードから読み取られたデータに基づいて、403に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示する。
【0041】
さらに、販売スタッフが操作パネル2を特定のキー(例えば、「実行」キー)を操作すると、CPU7はこの操作を検知し、404に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示し、支払い方法の入力を受け付ける(S502)。
【0042】
そして、販売スタッフがタッチパネル式表示部3にタッチして支払い方法を入力すると、CPU7はこの操作を検知し、支払い方法を判定する(S503)。なお、画面404でクレジットカードが選択された場合、CPU7は、磁気クレジットカード、ICクレジットカードのいずれかを選択するための画面(不図示)をタッチパネル式表示部3に表示させ、いずれかの選択を受け付ける。
【0043】
CPU7は、支払い方法として現金又は商品券が選択されたと判定すると、販売に関する情報をメモリ8に格納するとともに、レシートを発行するように、ワイヤレスLANに接続される不図示のプリンタに指示する(S508)。
【0044】
また、CPU7は、支払い方法としてICクレジットカードが選択されたと判定すると、405に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させるとともに、顧客操作モジュール6のコントローラ6eに、接触型ICカード挿入口6cへ挿入される接触型ICカードの読み取り処理を指示する。
【0045】
そして、接触型ICカード挿入口6cへ接触型ICカードが挿入されると、顧客操作モジュール6のコントローラ6eは、接触型ICカードリーダ6dを用いて接触型ICカードのIC部から情報を読み取り、読み取ったデータをCPU7に通知する。この通知を受けたCPU7は、操作パネル2又はタッチパネル式表示部3から支払い回数等の入力を受け付けた後、406に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させる。
【0046】
さらに、CPU7は、暗証番号(PINコード)の入力処理の実行を、顧客操作モジュール6のコントローラ6eに指示する(S505)。この指示に応じて、顧客操作モジュール6のコントローラ6eは、顧客に暗証番号の入力を促すメッセージを表示部6bに表示するとともに、テンキー部6aから暗証番号の入力を受け付ける。
【0047】
ここで、販売スタッフは、ハンディターミナル1を顧客側に差し出して、顧客に暗証番号の入力を促すわけであるが、この際、販売スタッフは、ハンディターミナル1の向きを変える必要がなく、より自然な接客動作での端末操作(顧客操作を含む)が可能になり、ハンディターミナルを落下させてしまう等のリスクも低くなる。さらに、顧客が暗証番号を入力するテンキー部6aは顧客用の操作部であるため、顧客が暗証番号を入力する際に誤ったボタン(本来は顧客が操作すべきでないボタン)を操作してしまう等のリスクも低減される。
【0048】
そして、顧客によりテンキー部6aから暗証番号が入力されると、コントローラ6eは、テンキー部6aで入力された暗証番号と、接触型ICカードリーダ6dで読み取られたデータとを比較し、比較結果をハンディターミナル1本体に通知する。
【0049】
テンキー部6aで入力された暗証番号と接触型ICカードリーダ6dで読み取られたデータとが一致していた場合、CPU7は、S506に処理を進める。なお、図示しないが、テンキー部6aで入力された暗証番号と接触型ICカードリーダ6dで読み取られたデータとが一致していなかった場合、CPU7は、S505に処理を戻す。なお、暗証番号の不一致が所定回数に達すると本フローチャートの処理を終了する。
【0050】
S506では、CPU7は、ワイヤレスLANインタフェース10を介して、上記S501で読み取った商品の金額、上記S504で読み取ったICクレジットカード内のデータ、及び支払い回数等の情報を、外部装置(対応するカード会社のコンピュータ)に送信して、決済が可能であるかどうかの照会を行う。なお、利用限度額を超えている場合やカードの不正使用等が発見された場合には決済不可能(非承認)となる。
【0051】
次に、S507において、CPU7は、ワイヤレスLANインタフェース10を介して、上記外部装置から承認の返信を受信すると、407に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させ、販売に関する情報をメモリ8に格納する。そして、S508において、CPU7は、ワイヤレスLANインタフェース10を介して、レシートを発行するように、ワイヤレスLANに接続される不図示のプリンタに指示する(S508)。なお、図示しないが、上記外部装置から非承認の返信を受信した場合、CPU7は、そのクレジットカードによる支払いができない旨の情報を、タッチパネル式表示部3に表示させ、本フローチャートの処理を終了する。
【0052】
また、CPU7は、支払い方法として磁気クレジットカードが選択されたと判定すると、磁気クレジットカードの読み取りを促す画面をタッチパネル式表示部3に表示させるとともに、MSR4に磁気クレジットカードの磁気ストライプの読み取りを指示する(S509)。そして、MSR4の読み取り部に磁気クレジットカードが挿入されると、MSR4は磁気クレジットカードの磁気ストライプを読み取り、読み取ったデータをCPU7に通知する。この通知を受けたCPU7は、支払い回数等の入力を受け付けた後、S510に処理を進める。
【0053】
S510では、CPU7は、ワイヤレスLANインタフェース10を介して、上記S501で読み取った商品の金額、上記S510で読み取った磁気クレジットカード内のデータ、及び支払い回数等の情報を、外部装置(対応するカード会社のコンピュータ)に送信して、決済が可能であるかどうかの照会を行う。
【0054】
次に、S511において、CPU7は、ワイヤレスLANインタフェース10を介して、上記外部装置から承認の返信を受信すると、407に示すような画面をタッチパネル式表示部3に表示させ、販売に関する情報をメモリ8に格納する。そして、S508において、CPU7は、ワイヤレスLANインタフェース10を介して、レシートを発行するように、ワイヤレスLANに接続される不図示のプリンタに指示する(S508)。なお、図示しないが、上記外部装置から非承認の返信を受信した場合、CPU7は、そのクレジットカードによる支払いができない旨の情報を、タッチパネル式表示部3に表示させ、本フローチャートの処理を終了する。
【0055】
また、支払い方法としてデビットカードが選択された場合、図5には示していないが、CPU7は、以下のような処理を行う。例えば、CPU7は、顧客操作モジュール6又はMSR4にデビットカードの情報を読み取らせ、顧客操作モジュール6のテンキー部6aで入力された暗証番号、上記S501で読み取った商品の金額、上記デビットカードから読み取ったデータ等の情報を、外部装置(対応する銀行等のコンピュータ)に送信して、決済が可能であるかどうかの照会を行う。そして、上記外部装置から承認の返信を受信すると、販売に関する情報をメモリ8に格納し、レシートを発行するように不図示のプリンタに指示する。
【0056】
なお、上記の説明では、承認後に、販売に関する情報をメモリ8に格納するように説明したが、CPU7は、逐次、販売に関する情報を、ワイヤレスLANインタフェース10を介して、他の装置に送信するようにしてもよい。
【0057】
以上示したように、本実施例のハンディターミナル1では、顧客が操作する顧客操作モジュール6が、販売スタッフが操作する操作パネル2及びタッチパネル式表示部3に対して反対方向に配置されている。すなわち、本実施例では、ハンディターミナル1本体のうち略半分となる一端部に販売操作部(操作パネル2及びタッチパネル式表示部3等)を配置する一方、ハンディターミナル1本体の他端部側に顧客操作部(顧客操作モジュール6等)を販売操作部に対して逆向きに配置し、且つこれら各操作手段をハンディターミナル1の主操作面である上面に併設した構成としている。ここで、顧客操作部と販売操作部とを逆向きに配置するとは、例えば、ハンディターミナル1の一端部側と他端部側とでそれぞれ入力操作の異なる操作者(販売スタッフ、顧客)に対し、操作部の文字等の表示が読み取り易いようにそれぞれ正面に配置することを示す。このような構成により、販売スタッフと顧客が対面した状態で、ハンディターミナル1の向きを顧客側に変えることなく、販売スタッフが操作パネル2及びタッチパネル式表示部3を操作すること、及び、顧客が顧客操作モジュール6のテンキー部6aを操作することが可能となる。
【0058】
よって、販売スタッフは、顧客と対面した状態で接客をするにあたり、ハンディターミナルの向きを顧客側に変える必要がなく、より自然な接客動作が可能になる。このため、接客の際のハンディターミナル1の扱いが容易になり、接客の際にハンディターミナル1を落下させてしまう等のリスクを低減させることも可能となる。
【0059】
さらに、販売スタッフの操作する操作部(操作パネル2及びタッチパネル式表示部3)と顧客が操作する顧客操作モジュール6が異なり、従来のように販売スタッフと顧客が操作部を共有していないことにより、販売スタッフの操作すべきボタンを顧客が押してしまう等、顧客が誤った操作を行ってしまう等のリスクも抑えることができる。
【0060】
なお、本実施例では、顧客操作用のテンキー部6a、顧客用の表示部6b、接触型ICカード挿入口6c、接触型ICカードリーダ6d、コントローラ6eを全て備える顧客操作モジュール6を用いる構成について説明した。しかし、顧客操作用のテンキー部6a及び表示部6bが、販売スタッフ操作用の操作パネル2及びタッチパネル式表示部3に対して反対方向に配置されている構成であれば、顧客操作用のテンキー部6a、顧客用の表示部6b、接触型ICカード挿入口6c、接触型ICカードリーダ6d、コントローラ6eが1つのモジュールに備えられていなくてもよい。即ち、顧客操作用のテンキー部6a、顧客用の表示部6b、接触型ICカード挿入口6c、接触型ICカードリーダ6d、コントローラ6eが、別々にハンディターミナル1内に設けられていてもよい。
【0061】
なお、上記実施例では、ハードウェアにより、販売スタッフ操作用の操作部(操作パネル2及びタッチパネル式表示部3)と、顧客操作用の操作部(テンキー部6a及び表示部6b)とを分離し、販売スタッフ操作用の操作部の操作方向と、顧客操作用の操作部の操作方向とが、互いに逆方向となるように、各操作部を配置する構成を説明した。しかし、CPU7が、ハンディターミナルのタッチパネル式表示部に表示する操作画面を、顧客に暗証番号の入力を促すタイミングで、逆方向に回転表示する(販売スタッフ側から操作するための操作画面から、顧客側から操作するための操作画面に切り替え表示する)ように制御する構成であってもよい。このように、ソフトウェアによって操作画面を回転させる構成にでも、上記実施例と同様の効果を奏する。即ち、販売スタッフは、ハンディターミナルの向きを変える必要がなく、より自然な接客動作が可能になる。そして、接客の際のハンディターミナルの扱いが容易になり、接客の際にハンディターミナルを落下させてしまう等のリスクを低減させることも可能となる。
【0062】
また、図示しないが、上記実施例のハンディターミナルの裏面側、具体的には、販売操作する側には、電池装着ユニットが配置されている。この電池装着ユニット内には、電池が着脱(交換)可能な電池装着スペースが確保されている。また、電池装着ユニットは、電池が装着された状態において、当該電池を覆う電池カバーにより電池装着スペースの開口が塞がれるようになっている。そして、本実施例では、図示しないが、電池装着スペースの略中央部には、超小型メモリーカードが着脱可能となるメモリーカード装着部が設けられている。また、電池カバーが装着される電池カバー装着部(例えば、電池カバー装着部の内側等)には、電池が装着された状態で、その電池を取り囲むように溝が設けられている。これにより、電池装着ユニット内への水浸入の防止効果(防水効果)が得られる。このように本実施例のハンディターミナルは、電池装着スペース(メモリーカード装着部)に超小型メモリーカードが装着された上から、電池が装着され、さらに電池カバーにより電池装着スペース全体が覆われる構成となっている。特に、本実施例では、電池装着スペースの略中央部に超小型メモリーカードを装着するようにしたので、仮に電池装着スペースに浸入した水が超小型メモリーカードに達するのを有効に防ぐことができる。なお、このように電池の背後に超小型メモリーカードを配置したことで、超小型メモリーカードの抜け等を防止できるという効果もある。なお、この超小型メモリーカードは、例えば、ハンディターミナル1の設定情報等の格納に用いられ、ハンディターミナル1本体との密接に連携して各種情報の出し入れに使われる。
【実施例2】
【0063】
図6、図7は、本発明の携帯型決済端末の実施例2を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。なお、図6、図7は対面販売時に顧客から見た図に対応する。
【0064】
図6、図7に示す実施例2のハンディターミナルは、図1、図2に示した実施例1の構成に、顧客操作モジュール6の操作面を覆うカバー14を追加したものである。
【0065】
なお、図6はカバー14を開けた場合を示し、図7はカバー14を閉じた場合に対応する。また、このカバー14は、保持機構15により任意の位置に保持可能(任意の角度に固定可能)に構成されている。
【0066】
即ち、カバー14は、顧客操作モジュール6の操作方向奥側端部(図中15で示す位置)を中心に矢印Aに示すように開閉自在に設けられ、図7に示す閉状態で顧客操作モジュール6の操作面を覆い、図6に示す開状態で顧客操作モジュール6の操作方向奥側端部で自立するように構成されている。
【0067】
よって、この開閉式のカバー14を閉じることにより顧客操作モジュール6を保護することができる。また、このカバー14の角度を顧客が適度な位置に調整することにより、顧客が暗証番号をテンキー部6aにて入力する際に、暗証番号を入力する顧客の手元を周囲から隠し、他人に容易に手元を覗かれてしまうといったリスクを低減することができる。即ち、このカバー14は、開状態で、周囲(特に顧客の正面側)からのテンキー部6aへの視線を遮る衝立として機能する。このため、顧客は安心して暗証番号を入力することが可能となり、顧客の精神的負担を軽減することができる。
【0068】
なお、上述したカバー14は、本実施例では、顧客操作モジュール6だけを保護するように開閉可能としたが、本発明は勿論これに限定されず、顧客操作モジュール6を一方面側で覆うカバーを、販売スタッフが操作する側の販売操作部(操作パネル2、タッチパネル式表示部3)にも倒せるようにし、当該カバーで販売操作部の一部又は全部を保護するようにしてもよい。これにより、端末を使用していない非操作時において、操作パネル2やタッチパネル式表示部3を保護することができる。また、各操作部側を保護する構成においては、例えば、カバーとハンディターミナルとの連結部分(図中15で示す部分)を回転ヒンジとしてハンディターミナルの面上でカバーを回転可能とし、ハンディターミナルの操作部を覆う側のカバー面側を、異なる操作部それぞれで兼用できるようにしてもよい。
【0069】
また、本実施例のカバー14を開閉する際に、ハンディターミナルの電源ON/OFF、タッチパネル式表示部3のライトON/OFF、各操作部のバックライト等を連動させてもよい。これにより、ハンディターミナルの省電力化、及び電池の高寿命化を図ることができる。
【実施例3】
【0070】
図8は、本発明の携帯型決済端末の実施例3を示すハンディターミナルの外観を示す斜視図である。なお、図8は対面販売時に顧客から見た図に対応する。
【0071】
図8に示す実施例3のハンディターミナルは、図7に示した実施例2の構成のハンディターミナル1のカバー14の顧客側の面に、ミラー16を追加したものである。即ち、カバー14は、閉状態で顧客操作モジュール6の操作面と対向する面が鏡面構成されている。
【0072】
このミラー16により、顧客が暗証番号を顧客操作モジュール6のテンキー部6aにて入力する際に、顧客の背後にいる者を監視して、顧客の背後からの覗き込みを防止することができる。このため、顧客はより安心して暗証番号を入力することが可能となり、顧客の精神的負担をより軽減することができる。
【0073】
カバー14の角度は、顧客が適度な位置に調整することができ、顧客の背後を容易に監視することができる。
【0074】
以上示したように、本発明の携帯型決済端末に係るハンディターミナルにおける、より自然な接客導線と、顧客の暗証番号入力時のセキュリティ性を高めることができる。また、本実施例において、例えば、カバー14とハンディターミナル1との連結部分(図中15で示す部分)を回転ヒンジとしてハンディターミナル1の面上でカバーを回転可能とすれば、操作者がミラー16の角度を適宜変更することができる。これにより、操作者が周囲の環境に応じてカバーを左右に適宜回転(旋回)させることにより、ミラー16を介して広範囲又は特定の範囲での背後確認を行うことができる。したがって、バックミラーとしての機能が向上し、セキュリティ性を高めることができる。
【0075】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0076】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0077】
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0078】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0079】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0080】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 ハンディターミナル
2 操作パネル
3 タッチパネル式表示部
4 磁気ストライプ読取部(MSR)
5 レーザスキャナ
6 顧客操作モジュール
6a テンキー部
6b 表示部
6c 接触型ICカード挿入口
6d 接触型ICカードリーダ
6e コントローラ
7 CPU
8 メモリ
14 カバー
15 保持機構
16 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済機能を有する携帯型決済端末であって、
主操作者が操作する第1操作手段と、
決済に用いるカードから情報を読み取る読取手段と、
前記カードの所有者が認証情報の入力操作を行うための第2操作手段とを備え、
前記第1操作手段を操作する場合の操作方向と、前記第2操作手段を操作する場合の操作方向とが、互いに逆方向となるように、前記第1操作手段と前記第2操作手段を配置したことを特徴とする携帯型決済端末。
【請求項2】
前記第1操作手段と前記第2操作手段とが端末本体の略同一平面上に併設されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型決済端末。
【請求項3】
前記第2操作手段の操作方向奥側端部を中心に開閉自在に設けられ、閉状態で前記第2操作手段の操作面を覆い、開状態で前記第2操作手段の操作方向奥側端部で自立するカバーを有することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯型決済端末。
【請求項4】
前記カバーは、前記閉状態で前記操作手段の操作面と対向する面が鏡面であることを特徴とする請求項3記載の携帯型決済端末。
【請求項5】
前記カードは、接触型ICカードであり、
前記読取手段は、前記接触型ICカードのIC部から情報を読み取るものであり、
前記第2操作手段は、暗証番号を入力するためのテンキーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯型決済端末。
【請求項6】
前記読取手段と前記操作手段とが1つのモジュールとして構成されていることを特徴とする請求項5に記載の携帯型決済端末。
【請求項7】
前記カードは、磁気ストライプカードであり、
前記読取手段は、前記磁気ストライプカードの磁気ストライプ部から情報を読み取るものであり、
前記第2操作手段は、暗証番号を入力するためのテンキーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯型決済端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−185544(P2012−185544A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46474(P2011−46474)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】