説明

携帯情報装置

【課題】携帯に便利な小型電子機器において、片手の指だけで複雑な組み合わせ情報を簡単に入力することを可能にする。さらに、特別な部材等を何ら付加することなく、操作開始時に加えて、操作途中でも簡便かつ確実な方法でユーザーを認証し、より高度なセキュリティを確保する。
【解決手段】情報表示画面と、情報表示画面と同じ面に設置された第1のタッチセンサーと、情報表示画面の反対面に設置された第2のタッチセンサーとを有し、第2のタッチセンサーは画像イメージ情報を入力する機能を有し、第2のタッチセンサーによって入力された画像イメージ情報を使って認証を行う認証部を備え、認証が正常に行われない時には操作を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサーを情報入力手段として使用する携帯情報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、タッチセンサーを情報入力手段として使用する携帯情報装置には、例えば下記特許文献1に記載された電子機器があった。
【0003】
図6に、下記特許文献1に記載された従来の電子機器の一例である、携帯型電子機器910の外観図を示す。図6(a)には、この携帯型電子機器910を表面側から見た状態を示し、図6(b)には、この携帯型電子機器910を裏面側から見た状態を示す。
【0004】
携帯型電子機器910の表面側には、例えば液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成される表示画面部911と、この携帯型電子機器910に対して各種の操作、例えば電源のオンオフや表示画質の調整や、項目の選択等を行うための幾つかの入力スイッチ手段である、入力スイッチ部913や他の入力スイッチ部914が備えられている。
【0005】
携帯型電子機器910の裏面側には、操作者が指でタッチした場所を示すX−Y座標値を入力することのできる、タッチ式入力部912が備えられている。
【0006】
この携帯型電子機器910は、ユーザーが両手で支えて操作することを想定しており、右手の親指で表面側を押さえ、右手の人差し指又は中指で裏面側を押さえる。そして、右手の人差し指又は中指をスライドさせて、裏面側に配置されたタッチ式入力部912を操作する。特にこの把持状態では、右手の人差し指又は中指は、左右横方向にスライドさせるのが容易である。
【0007】
左手は、例えば親指で入力スイッチ部913を図6の下方から押さえ、左手の人差し指と中指は、携帯型電子機器910の手前側の辺から裏側に回して、裏面側を押さえる。そして、左手の人差し指又は中指をスライドさせて、裏面側に配置されたタッチ式入力部912を操作する。特にこの把持状態では、左手の人差し指又は中指は、上下縦方向にスライドさせるのが容易である。
【0008】
このようにして、例えば表示画面部911にマウスポインター等が表示されていたと仮定すると、そのマウスポインターをタッチ式入力部912を操作して上下左右に容易に動かすことができ、その位置を決定するために入力スイッチ部913を容易に操作することができる。
【0009】
また、従来から、電子機器が正当な権限を有しない者に操作されることを防止するため、人間の生体に固有の情報である指紋を利用して、電子機器を操作する権限の認証に使用しようとする技術が開発されている。下記特許文献2には、このような指紋を使った認証を行う指紋認証式自動販売機システムが記載されている。本システムは、この自動販売機を使って買い物をするユーザーを指紋によって認証識別し、その正当な利用者であるか否かの確認と、買い物代金の請求処理の宛先を判断しようとするものである。
【特許文献1】特開2004−206230号公報
【特許文献2】特開平10−222731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のような従来のタッチセンサーを情報入力手段として使用する携帯情報装置では、操作者が指でタッチした場所を示すX−Y座標値を入力することができるのは、裏面に設置されたタッチセンサーだけであるので、マウスポインター等を上下左右方向に移動させようとすると、手をタッチセンサーから浮かせた状態で行うか、両手の指を使用しなければならず、これは常に両手が塞がるという不便だけでなく、近年携帯型電子機器がより一層小型化する状況では、小さ過ぎるために、両手の指で支えながら尚且つその両手の指で操作することは、操作性が却って悪くなるという欠点を有していた。
【0011】
また、表面側に設置されているのは、オンオフを入力することができるだけのスイッチであるので、表面側の入力部と裏面側の入力部とを組み合わせることで、操作性の向上を図ることも困難であった。
【0012】
また、上記のような指紋を使った認証を行う指紋認証式自動販売機システムでは、その操作の開始時に指紋を使った認証を行うだけで、操作が開始された後に使用者が変わっても、それを判断することができない。通常、自動販売機システム等では、操作途中でユーザーが変わることはないかも知れないが、携帯型電子機器では、持ち運びが容易であるため、操作中に簡単に持ち運ぶことができ、操作中に他人によって持ち去られたり、席を外した隙に他人によって利用されたりする可能性がある。このように、携帯型電子機器ではそのセキュリティを充分保護するには、操作中にも何らかの簡便かつ確実な方法でユーザーを認証できることが不可欠であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこのような課題を解決するために行われたもので、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用する。
【0014】
本特許出願に係る請求項1に記載の発明は、情報表示画面部と、前記情報表示画面部と同じ面側に設置された第1のタッチセンサーと、前記情報表示画面部の反対面側に設置された第2のタッチセンサーと、を有する携帯情報装置である。
【0015】
このような構成を採ることによって、携帯情報装置を操作者の片手の2本の指で挟んでつまむようにして持ちながら、あるいは両手で支えて片手の指で、操作することが可能になる。
【0016】
本特許出願に係る請求項2に記載の発明は、前記第1のタッチセンサーは、前記情報表示画面部を覆うように設置された透明のタッチセンサーである、請求項1に記載の携帯情報装置である。
【0017】
このような構成を採ることによって、携帯情報装置の情報表示画面部に表示された情報を見ながら、その表示情報と関連一体化された操作を行うことが可能になる。
【0018】
本特許出願に係る請求項3に記載の発明は、前記第2のタッチセンサーは前記第1のタッチセンサーの補助入力手段として作用する、請求項1又は請求項2に記載の携帯情報装置である。
【0019】
このような構成を採ることによって、表示画面部に表示された第1のメニューから項目を第1のタッチセンサーで選択し、この選択によって表示された第2のメニューから項目を第2のタッチセンサーで選択するというような、表示情報と第1のタッチセンサーと第2のタッチセンサーとが連携した操作を行うことが可能になる。
【0020】
本特許出願に係る請求項4に記載の発明は、前記第2のタッチセンサーは画像イメージ情報を入力する機能を有し、前記第2のタッチセンサーによって入力された画像イメージ情報を使って認証を行う認証部を有する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の携帯情報装置である。
【0021】
このような構成を採ることによって、使用者は、片手で持ってその指で挟んで自然なユーザーインターフェースで操作しながら、認証のための特別な操作を行わなくても、その使用者が正当な使用権限を有するものであることを認証することが可能になる。
【0022】
本特許出願に係る請求項5に記載の発明は、前記認証部は、電源投入後に初めて前記第2のタッチセンサーを操作者が触れた時に認証を実行し、前記認証が正常に行われない時には操作を制限する、請求項4に記載の携帯情報装置である。
【0023】
このような構成を採ることによって、携帯情報装置が正当な権限を有しない者によって奪われたような時にも、その操作を行おうとして最初に電源をオンした時点で操作者を認証し、その操作者が正当な使用権限を有する者でなければ、その使用を制限することが可能になる。
【0024】
本特許出願に係る請求項6に記載の発明は、前記認証部は、前回認証を行った後に操作者が一旦前記第2のタッチセンサーを離し、再度操作者が前記第2のタッチセンサーに触れた時に認証を実行し、前記認証が正常に行われない時には操作を制限する、請求項4又は請求項5に記載の携帯情報装置である。
【0025】
このような構成を採ることによって、携帯情報装置が正当な権限を有しない者によって奪われたような時に、操作者が変わった時点を検出し、その時点において操作者を認証し、その操作者が正当な使用権限を有する者でなければ、その使用を制限することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、携帯に便利な小型電子機器において、片手の指だけで複雑な組み合わせ情報を簡単に入力することが可能になる。さらに、特別な部材等を何ら付加することなく、操作開始時に加えて、操作途中でも、使用者は認証のための特別な操作を何ら行う必要がなく、簡便かつ確実な方法でユーザーを認証でき、より高度なセキュリティを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の第1の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態である携帯情報装置100の外観斜視図である。
【0029】
図1(a)は、携帯情報装置100を斜め前方から見た状態を表しており、図1(b)は、携帯情報装置100を斜め後方から見た状態を表している。
【0030】
図1(a)から見ることができる通り、携帯情報装置100の前面はほぼその全面が、表示画面部101になっている。この表示画面部101は、例えば、有機EL表示素子(Electroluminescence Display Device)や、バックライト付きの液晶表示パネル等で構成されている。なお、このように、携帯情報装置100のほぼ前面全体が表示画面部101になっていることは、全体の大きさに比して最大限大きな表示画面サイズを確保するためである。言い換えると、表示画面サイズに比して、全体の大きさを可能な限りコンパクトにするためである。しかしながら、このように、携帯情報装置100のほぼ前面全体が表示画面部101になっていることは一例であり、前面の一部に操作部や音声出力部や空きの部分やその他の部分が存在し、必ずしも、携帯情報装置100の前面のほぼその全面が、表示画面部101になっていなくても構わない。
【0031】
この携帯情報装置100では、この表示画面部101を覆うように、透明の表面タッチ式入力部102が備えられている。この表面タッチ式入力部102は、操作者の指等が触れたことを検出し、その触れられた位置を表すX−Y座標値を出力するものである。このような、操作者のタッチを検出するタッチセンサーには、透明電極のオンオフを検出するもの、静電容量の変化や静電誘導を利用するもの、超音波や光の反射や遮蔽を利用するもの等、種々のものが開発商品化されている。
【0032】
この携帯情報装置100では、透明のものを使用することで、表示画面部101を覆うように重ねて配置しても、表示画面部101に表示される画像を見ることが邪魔をされないようになっている。このような構造を採用することによって、表示画面部101に対する画像等の表示と連動させた情報の入力が可能になる。例えば、表示画面部101にアイコンA、B、Cを表示し、表面タッチ式入力部102のアイコンAを表示している部分がタッチされたなら、アイコンAに相当する情報が入力され、表面タッチ式入力部102のアイコンBを表示している部分がタッチされたなら、アイコンBに相当する情報が入力され、表面タッチ式入力部102のアイコンCを表示している部分がタッチされたなら、アイコンCに相当する情報が入力されたと判断し、それぞれに対応した処理を実行すること等が可能である。
【0033】
この表面タッチ式入力部102もまた、表示画面部101全体を覆い、ということは、携帯情報装置100の前面全体になっている。これもまた、表面タッチ式入力部102の入力面積をなるべく広く確保し、その操作性を確保するためであるが、携帯情報装置100のほぼ前面全体が表面タッチ式入力部102になっていることもまた一例であり、必ずしもそうではなくても構わない。
【0034】
図1(b)から見ることができる通り、携帯情報装置100は、その裏面もまた、ほぼその全面が裏面タッチ式入力部103になっている。この裏面タッチ式入力部103も、表面タッチ式入力部102と同様、操作者の指等が触れたことを検出し、その触れられた位置を表すX−Y座標値を出力するものである。但し、携帯情報装置100の裏面には、表面のような表示画面部101が存在しないので、裏面タッチ式入力部103は必ずしも透明のものでなくても構わない。
【0035】
また、裏面タッチ式入力部103は、単に操作者の指等がタッチした位置を表すX−Y座標値を出力するだけでなく、後述するように、その操作者の指紋の画像パターンや形状等をも入力することが可能なように、指紋パターンを検出するために充分な高解像度で、凹凸や明暗陰影を圧力センサーや光センサーや静電センサー等によって検出し、入力可能なように構成されている。
【0036】
さらに、携帯情報装置100の側面には、図1(a)、図1(b)から見ることができる通り、入力スイッチ部104が備えられている。この入力スイッチ部104は、例えば、この携帯情報装置100の電源をオンオフしたり、表示画面部101の表示画質の調節を行ったり、例えば、携帯情報装置100が音声出力部(図示せず)を有している時には、その音量や音質を調節したり、その他の各種操作や設定を行うためのものが含まれる。
【0037】
なお、この入力スイッチ部104が、携帯情報装置100の側面に備えられているのも一例であり、必ずしも側面には備えられておらず、その全部又は一部が前面や裏面、上面や底面等に備えられていても構わない。
【0038】
図2には、本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態である携帯情報装置100の主要部のブロック構成図を示す。
【0039】
上記の通り、本携帯情報装置100は、表面タッチ式入力部102と裏面タッチ式入力部103とを備えており、表面タッチ式入力部102は、表示画面部101を覆うように透明のもので構成されている。表示画面部101は、上記の通り、有機EL表示素子やバックライト付きの液晶表示パネル等で構成され、各種の映像情報や文字情報等を表示することができる。
【0040】
また、やはり上記の通り、本携帯情報装置100は、この携帯情報装置100の電源をオンオフしたり表示画面部101の表示画質の調節を行ったり、音量や音質を調節したり、その他の各種操作や設定を行うための、入力スイッチ部104を備えている。
【0041】
これら以外に、携帯情報装置100は、通信部106を備えている。この通信部106は、例えば、無線LANによる通信や、bluetoothによる通信、携帯電話のための通信、近距離無線通信による通信、テレビ放送の受信、その他の各種通信を行うためのものである。
【0042】
例えば、通信部106によって無線LAN通信を行い、他のパソコンと情報の通信を行ったり、インターネットを経由してWebサイトにアクセスし、その通信によって取得した情報を表示画面部101に表示したり、このアクセスを行うための情報を表面タッチ式入力部102や、裏面タッチ式入力部103から入力することができる。これに関しては本発明の本質とより関係が深いので、より詳細に後述する。
【0043】
あるいは、通信部106によってbluetooth通信を行い、家庭内の電化製品と情報交換を行って、これら電化製品の状態を監視したり、リモートコントロールすることも可能である。あるいはまた、通信部106によって、アナログ・デジタル、衛星・地上波、無線・CATVの各種テレビ放送を受信し、受信したテレビ放送番組を表示画面部101に表示して観賞することも可能である。
【0044】
さらに、携帯情報装置100は、認証部107を有している、この認証部107は、この携帯情報装置100が、正当な権限を有する者でない者によって使用されることを防止するため、この携帯情報装置100の利用者が正当な利用権限を有する者であることを、それぞれの利用局面で認証するためのものである。
【0045】
近年、携帯情報装置100の多様化高機能化に伴って、携帯情報装置100が処理し、保有する情報は益々重要で価値が高いものになっている。そして、個人に関する情報もまた、重要で価値が高いものになりつつあり、情報が正当な権限を有する者以外の者によって取得されたり、利用された時の弊害は極めて大きい。そこで、情報機器を利用する者を認証することは、極めて重要になりつつある。一方、近年、情報機器は益々小型軽量化しつつある。携帯情報装置100もまた、携帯型であるだけでなく、その大きさは名刺やクレジットカードサイズ程度からそれ以下で、厚さもカード型と呼ぶに相応しいものである。このように携帯情報装置100が小型軽量化、薄型化すると、外出先や乗り物の中、喫茶店、映画館等、外出先や不特定多数の者が渾然一体となって、しかも混雑した状況の中で、使用するにも便利で、しかもそのような使用形態が常態となってくる。それに伴って、携帯情報装置100を紛失したり、置き忘れたり、掏りなどによって掏り取られたり、置き引きなどによって奪われたりする可能性が極めて高くなり、携帯情報装置100の使用者認証機能にも、従来ない機能、従来以上の機能が要求されることになる。
【0046】
この認証部107は、裏面タッチ式入力部103あるいは表面タッチ式入力部102と連携して、このような高度な利用者認証機能を実現するものである。なお、この機能については、本発明の本質と極めて関連性が高いので、より詳細に後述する。
【0047】
携帯情報装置100を構成するこれらの部分間の情報の授受や同期等、全体を制御するのが、制御部105である。
【0048】
図3は、この本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態である携帯情報装置100の使用状態を示す外観斜視図である。
【0049】
上記の通り、この携帯情報装置100は、極めて多様な機能を有ししかも高機能でありながら、極めて小型軽量かつ薄型である。そこで、このような小型軽量かつ薄型の携帯情報装置100は、机の上に置いて使われることは少なく、両手で支えて尚且つ両手の指を使って操作するには小さくて不便であり、通常片手で持つかあるいは両手で支えて、片手の指で操作するのが便利である。携帯情報装置100を操作者の手の2本の指110で挟むようにつまむと、1つの指は表示画面部101とその表面を覆うように配設された表面タッチ式入力部102を押さえるように操作し、もう1つの指は、裏面タッチ式入力部103を押さえるように操作することになる。このような使用形態では、操作者の手の2本の指110をスライドさせることで情報を入力するのが便利で使いやすい。さらに、例えば、1つの親指で画像表示部101とその表面を覆うように配設された表面タッチ式入力部102を押さえるように操作し、もう1つの人差し指では、裏面タッチ式入力部103を押さえるように操作することを想定すると、親指は上下方向に操作するのが便利で、人差し指は横方向に操作するのが便利である。従って、このような方法で情報を入力しやすいユーザーインターフェースが求められる。
【0050】
図4は、このようなユーザーインターフェースの具体的な一例を示す図である。図4には、例えば、1つのウインドウ132が表示されている。このウインドウ132は、その上部にメニュー部133を有している。
【0051】
例えば、このウインドウ132のメニュー部133は、「ファイル」、「編集」、「表示」、「書式」、「ツール」・・等のメニューからなっていたと仮定する。
【0052】
このような例では、例えば、裏面タッチ式入力部103を押さえるように操作する人差し指を横方向にスライドさせることによって、横方向に配置されたメニュー部133から、例えば1つのメニューである「表示」を選択することができる。そして、この「表示」に相当するサブメニューであるプルダウンメニュー134を下縦方向に展開する。このプルダウンメニュー134は、例えば、「標準」、「ヘッダ」、「フッタ」、「マスタ」、「編集」・・等のメニューからなっていたと仮定する。
【0053】
そして、次に、例えば、表面タッチ式入力部102を押さえるように操作する親指を縦方向にスライドさせることによって、縦方向に展開されたプルダウンメニュー134から、例えば1つのメニューである「マスタ」を選択することができる。そして、この「マスタ」に相当するサブメニューであるプルダウンメニュー135を右横方向に展開する。このプルダウンメニュー135は、例えば、「スライドマスタ」、「配布資料マスタ」、「ノートマスタ」、「ブックマスタ」・・等のメニューからなっていたと仮定する。
【0054】
そこで、例えば、裏面タッチ式入力部103を押さえるように操作する人差し指を横方向にスライドさせることによって、右横方向に展開されたサブメニューであるプルダウンメニュー135に移動し、続けて、表面タッチ式入力部102を押さえるように操作する親指を縦方向にスライドさせることによって、縦方向に展開されたプルダウンメニュー135から、例えば1つのメニューである「ノートマスタ」を選択することができる。
【0055】
このようなユーザーインターフェースによって、例えば、操作者の手の指110で挟んでつまむように携帯情報装置100を持ち、その1つの親指で表示画面部101とその表面を覆うように配設された表面タッチ式入力部102を押さえるように操作し、もう1つの人差し指では、裏面タッチ式入力部103を押さえるように操作しながら、極めて容易に画面を見ながらメニューを選択し、情報の入力と使用をすることが可能になる。
【0056】
さらに、この携帯情報装置100では、単に片手で持ってその指で挟むように極めて容易に操作することができるだけでなく、その操作者が正当な権限を有する者であることを極めて強力に認証することができる。
【0057】
この操作者認証のための処理手順を図5に示す。
【0058】
この操作者認証のためには、裏面タッチ式入力部103を使用する。裏面タッチ式入力部103は、操作者の手の指110で操作された位置のX−Y座標を入力することができるだけでなく、指紋パターンを検出するために充分な高解像度で、凹凸や明暗陰影を圧力センサーや光センサーや静電センサー等によって検出し、その操作者の手の指110の指紋の画像パターンや形状等をも入力することが可能である。
【0059】
そこで、最初に、この裏面タッチ式入力部103に対する画像入力が新しく開始されたか、あるいは、以前既に裏面タッチ式入力部103に対する画像入力が行われていたが、それが一旦途切れた後、再び入力が開始したか否かの判断が実行される(S501)。これは、この携帯情報装置100の電源がオンされたり、一旦使用が途切れた後、使用が再開された時に、その操作者を認証するためである。従って、裏面タッチ式入力部103の画像入力が新しく開始されたり、一旦使用が途切れた後、使用が再開された時には(S501でYes)、裏面タッチ式入力部103によって、その操作者の指110の指紋画像の読み取りが実行される(S503)。そして、さらに続けて、この読み取った指紋画像の認証が行われる(S505)。この指紋画像の認証方式には、指紋の隆線(盛り上がった部分)の端点や分岐点等とこれらの位置関係を特徴情報として照合する、特徴点抽出照合法(マニューシャ法)や、登録指紋画像と入力指紋画像とをそのまま比較・照合する、パターンマッチング法(イメージマッチング法)、指紋の凹凸の断面形状を波形データとして扱い、その特徴を計量化して比較する、周波数解析法等が知られている。
【0060】
このようにして指紋画像の認証を行った結果、正常である、即ち、この携帯情報装置100を使用する正当な権限を有する者の指紋であることが認証されたならば(S507でYes)、次の処理へ移行する。逆に、指紋画像の認証を行った結果、異常である、即ち、この携帯情報装置100を使用する正当な権限を有する者の指紋でないと判断されたならば(S507でNo)、何らかのエラー処理(S535)、例えば「ERROR」を示す情報を表示画面部101に表示して、全ての動作を停止する、あるいは、全ての入力を受け付けない、あるいは、電源をオフにする等の処理を実行する。
【0061】
このようにして、最初に、この裏面タッチ式入力部103に対する画像入力が新しく開始されたか、あるいは、一旦使用が途切れた後、使用が再開された時に、指紋画像の認証が正常に行われたならば、次に、裏面タッチ式入力部103に対する操作者の手の指110による操作状況を検出し、その操作者の手の指110が触れている位置のX−Y座標が変化しているか否かを判断する(S511)。もしも、この操作者の手の指110が触れている位置のX−Y座標が変化していたならば(S511でYes)、新しい位置座標を読み取り(S513)、その新しい位置座標に対する処理を行う(S515)。
【0062】
もしも、この操作者の手の指110が触れている位置のX−Y座標が変化していなかったならば(S511でNo)、次に、表面タッチ式入力部102に対する操作者の手の指110による操作状況を検出し、その操作者の手の指110が触れている位置のX−Y座標が変化しているか否かを判断する(S521)。もしも、この操作者の手の指110が触れている位置のX−Y座標が変化していたならば(S521でYes)、新しい位置座標を読み取り(S523)、その新しい位置座標に対する処理を行う(S525)。
【0063】
もしも、この操作者の手の指110が触れている位置のX−Y座標が変化していなかったならば(S521でNo)、次に、裏面タッチ式入力部103に対する操作者の指110による入力が、一旦途切れたか否かの判断を実行する(S531)。もしも、裏面タッチ式入力部103に対する操作者の指110による入力が途切れていなければ(S531でNo)、再度、この位置座標だけを読み取る処理を繰り返し実行する(S511へ戻る)。
【0064】
もしも、裏面タッチ式入力部103に対する操作者の指110による入力が一旦途切れていたならば(S531でYes)、再度、裏面タッチ式入力部103の画像入力が新しく開始されたか、あるいは、以前既に裏面タッチ式入力部103の画像入力が行われていたが、それが一旦途切れた後、再び入力が開始したか否かの判断に戻る(S501へ戻る)。但し、この時には、裏面タッチ式入力部103に対する操作者の指110による入力が一旦途切れたことが分かっているので、直接、裏面タッチ式入力部103による画像の読み取りに戻っても構わない(S503へ戻る)。
【0065】
このような処理を繰り返すことによって、操作者の手の指110によって触れられている位置のX−Y座標の読み取りはきわめて高い頻度で高速に繰り返し実行しながら、操作者による操作の開始時、あるいは、操作者の指110の接触が一旦途切れた後には、必ず再度、この携帯情報装置100を操作している者の手の指110の指紋画像を認証し、常にこの携帯情報装置100を操作している者が、この携帯情報装置100を使用する正当な権限を有する者であることを保障することが可能になる。従って、このような携帯情報装置100が、極めて小型軽量かつ薄型であるために、外出先や乗り物の中など、不特定多数の者が渾然一体となって混雑した状況の中で使用され、その結果、携帯情報装置100を使用中に奪われたような場合にも、正当でない者によって続けて使用されて情報を盗まれたり、不当に利用されることを未然に防止することが可能になる。
【0066】
しかも、このように、いうならば、使用中において常時その操作者を認証するという処理が、通常の使用状態、即ち、操作者が手の指110で挟んでつまむように携帯情報装置100を持ち、その1つの親指で表示画面部101とその表面を覆うように配設された表面タッチ式入力部102を押さえるように操作し、もう1つの人差し指では、裏面タッチ式入力部103を押さえるように操作しながら、極めて容易に画面を見ながらメニューを選択し、情報の入力と使用を行うという自然なユーザーインターフェースの中で、何ら追加の操作や入力を必要とすることなく、全く自然な使用状態の中で実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によると、携帯に便利な小型電子機器において、片手の指だけで複雑な組み合わせ情報を簡単に入力することが可能になる。さらに、特別な部材等を何ら付加することなく、操作開始時に加えて、操作途中でも簡便かつ確実な方法でユーザーを認証でき、より高度なセキュリティを確保することができるので、その産業上の利用可能性は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態の外観斜視図
【図2】本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態の主要部のブロック構成図
【図3】本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態の使用状態を示す外観斜視図
【図4】本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態におけるユーザーインターフェースの具体的な一例を示す図
【図5】本発明に係る携帯情報装置の第1の実施の形態における操作者認証のための処理手順を示す図
【図6】従来の電子機器の一例である携帯型電子機器の外観図
【符号の説明】
【0069】
100 携帯情報装置
101,911 表示画面部
102 表面タッチ式入力部
103 裏面タッチ式入力部
104,913 入力スイッチ部
105 制御部
106 通信部
107 認証部
110 操作者の手の指
132 1つのウインドウ
133 メニュー部
134,135 プルダウンメニュー
910 従来の携帯型電子機器
912 タッチ式入力部
914 他の入力スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示画面部と、
前記情報表示画面部と同じ面側に設置された第1のタッチセンサーと、
前記情報表示画面部の反対面側に設置された第2のタッチセンサーと、
を有する携帯情報装置。
【請求項2】
前記第1のタッチセンサーは、前記情報表示画面部を覆うように設置された透明のタッチセンサーである、
請求項1に記載の携帯情報装置。
【請求項3】
前記第2のタッチセンサーは、前記第1のタッチセンサーの補助入力手段として作用する、
請求項1又は請求項2に記載の携帯情報装置。
【請求項4】
前記第2のタッチセンサーは画像イメージ情報を入力する機能を有し、
前記第2のタッチセンサーによって入力された画像イメージ情報を使って認証を行う認証部を有する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の携帯情報装置。
【請求項5】
前記認証部は、電源投入後に初めて前記第2のタッチセンサーを操作者が触れた時に認証を実行し、
前記認証が正常に行われない時には操作を制限する、
請求項4に記載の携帯情報装置。
【請求項6】
前記認証部は、前回認証を行った後に操作者が一旦前記第2のタッチセンサーを離し、再度操作者が前記第2のタッチセンサーに触れた時に認証を実行し、
前記認証が正常に行われない時には操作を制限する、
請求項4又は請求項5に記載の携帯情報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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