説明

携帯機

【課題】汎用性を向上させることのできる携帯機を提供する。
【解決手段】この携帯機では、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の操作に基づいて送信装置11から指令信号を送信する。そして、この指令信号によって車載装置20を遠隔操作する。ここでは、車載装置20への指令を示す複数の指令コードを携帯機10のROM13aに記憶させる。また、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の操作に基づいて複数の指令コードのうちのいずれを指令信号に含めるかを指定する指定情報を携帯機10のEEPROM13bに記憶させる。そして、携帯機制御装置13は、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の操作を検出した際に、EEPROM13bに記憶された指定情報に基づいて、操作された操作スイッチに対応する指令コードを含む指令信号を送信装置11から送信する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信対象を遠隔操作するための携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される無線通信システムの一つとして、携帯機により車載装置を遠隔操作することが可能なシステムが周知である。この無線通信システムでは、携帯機に設けられた操作ボタンをユーザが操作すると、携帯機から車両に対して指令信号が送信される。そして車両では、携帯機から送信された指令信号を受信すると、その指令内容に基づいて車載装置を駆動させる。このような無線通信システムによれば、ユーザは携帯機を操作するだけで車載装置を駆動させることができるため、車両操作にかかる利便性が大きく向上するようになる。
【0003】
なお、この無線通信システムに用いられる携帯機としては、例えば特許文献1に記載の携帯機が知られている。この携帯機には、車両ドアをロックさせるためのロックボタン、及び車両ドアをアンロックさせるためのアンロックボタンの2つの操作ボタンがそれぞれ設けられている。そしてこの携帯機では、ロックボタン、あるいはアンロックボタンが操作されると、車両に対してロック指令信号、あるいはアンロック指令信号を送信する。ちなみに車両では、これらの指令信号を受信すると、車両ドアに設けられたドアロック機構をロックさせたり、あるいはアンロックさせたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−264462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなロックボタン及びアンロックボタンの2つの操作ボタンを備える携帯機には通常、各操作ボタンが操作されたときにオン状態になる2つの操作スイッチと、これらの操作スイッチがオン状態になったことを検出したときに上記ロック指令信号及びアンロック指令信号を送信する処理を実行する制御装置(ECU)が設けられている。
【0006】
一方、上述した車両の無線通信システムにあっては、一般に、携帯機により遠隔操作可能な車載装置の種類が車種によって異なる。このため、携帯機には、車種に応じた種類の操作ボタンが設けられている。具体的には、上記ロックボタン及びアンロックボタンを備える携帯機の他に、例えば車両ドアをロック/アンロックさせるためのロック/アンロックボタン、及び車両のパワースライドドア(PSD)を開閉させるためのPSDボタンの2つの操作ボタンを備える携帯機などがある。ちなみに、この携帯機の制御装置では、ロック/アンロックボタンに対応する操作スイッチがオン状態になったことを検出する度に、上記ロック指令信号を送信する処理、及び上記アンロック指令信号を送信する処理を交互に実行する。また、PSDボタンに対応するスイッチがオン状態になったことを検出すると、PSD開閉指令信号を送信する処理を実行する。
【0007】
このように、携帯機の制御装置では、遠隔操作可能な車載装置の種類に応じて各種指令信号を送信する処理を各別に実行しなければならない。したがって、携帯機毎にそれぞれ異なる制御装置を搭載したり、あるいは携帯機毎に制御装置のソフトウェアを変更する必要があるため、携帯機のコストが増大するという懸念がある。
【0008】
なお、このような課題は、2つの操作スイッチを備える携帯機に限らず、例えば1の操作スイッチを備える携帯機であっても、あるいは3つ以上の操作スイッチを備える携帯機であっても共通する課題である。また、車載装置を遠隔操作するための携帯機に限らず、例えば住宅の玄関ドアのロック/アンロックを行う錠前装置を遠隔操作するための携帯機など、無線通信により通信対象を遠隔操作するための携帯機に共通する課題である。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、汎用性を向上させることのできる携帯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、操作スイッチの操作に基づいて指令信号を送信手段から無線送信することにより通信対象を遠隔操作する携帯機において、前記通信対象への指令を示す複数の指令コード、及び前記操作スイッチの操作に基づいて前記複数の指令コードのうちのいずれを前記指令信号に含めるかを指定する指定情報がそれぞれ記憶された記憶手段と、前記操作スイッチの操作を検出した際に、前記指定情報に基づいて、操作された操作スイッチに対応する指令コードを含む指令信号を前記送信手段から送信する処理を実行する制御装置とを備えることを要旨としている。
【0011】
同構成によれば、記憶手段に記憶されている指定情報の内容を変更することによって、指令信号に含まれる指令コードを変更することが可能となる。これにより、制御装置を交換したり、あるいは制御装置のソフトウェアを変更することなく、指令信号の指令内容を変更することができるため、携帯機の汎用性を向上させることができるようになる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯機において、当該携帯機とは別の外部機器から送信される無線信号を受信するための受信手段を備え、前記制御装置は、前記外部機器から送信される無線信号に基づいて前記指定情報の変更を行うことを要旨としている。
【0013】
同構成によれば、外部機器から無線信号を送信するだけで指定情報の内容を変更することができるため、その内容を容易に変更することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の携帯機において、前記記憶手段に記憶されている前記指定情報は、1回に限り変更可能な情報であることを要旨としている。
【0014】
このような携帯機にあっては、何らかの異常により指定情報の内容が変更されるようなことがあると、指令信号に含まれる指令コードが変更されるおそれがある。そしてこの場合には、ユーザが操作スイッチを操作した際に、不適切な指令コードを含む指令信号が通信対象に送信されてしまい、通信対象がユーザの意図しない動作をするといった不都合が生じるおそれがある。この点、上記構成によれば、指定情報の内容が一旦変更されて以降はその内容を変更することができなくなるため、こうした不都合を解消することができるようになる。このため、携帯機の信頼性を的確に確保することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる携帯機によれば、汎用性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる携帯機の一実施形態について同携帯機を利用した車両の無線通信システムのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の携帯機についてそのROMに記憶されている指令コードの内容を模式的に示す図。
【図3】同実施形態の携帯機についてその携帯機制御装置の動作を指定するためのコマンドの内容を模式的に示す図表。
【図4】(a),(b)は、同実施形態の携帯機についてそのEEPROMに記憶されている指定情報の内容を模式的にそれぞれ示す図。
【図5】同実施形態の携帯機についてそのEEPROMに指定情報を記憶させる方法を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる携帯機を、車両の無線通信システムに用いられる携帯機に適用した一実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
図1は、車両の無線通信システムのシステム構成をブロック図として示したものであり、はじめに、同図1を参照して、この無線通信システムの構成、動作について説明する。
【0018】
同図1に示されるように、この無線通信システムでは、ユーザが所持する携帯機10と車両に搭載された車載装置20との間で無線通信による各種通信制御が実行される。
ここで、携帯機10には、指令信号を車載装置20に無線送信するための送信手段としての送信装置11が設けられるとともに、図示しない外部機器から送信される無線信号を受信するための受信手段としての受信装置12が設けられている。またこの携帯機10には、第1及び第2の操作ボタンB1,B2の押圧操作に伴いオン状態となる第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2が設けられている。そして、これら第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の出力信号が、携帯機制御装置(ECU)13にそれぞれ取り込まれている。この携帯機制御装置13は、ROM(Read Only Memory)13aやEEPROM(Electric EPROM)13bなどを有するマイクロコンピュータを備えるものであって、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の出力信号に基づいて送信装置11から指令信号を送信する処理を実行する部分である。また、この携帯機制御装置13は、受信装置12を介して受信される無線信号を処理する部分でもある。なお、ROM13aには、例えば車両ドアをロックする旨の指令や車両のパワースライドドア(PSD)を開閉させる旨の指令など、車載装置20への指令を数ビットのコードで表す指令コードが予め記憶されている。
【0019】
一方、車載装置20には、携帯機10から送信される指令信号を受信するための受信装置21が設けられている。そして、この受信装置21を介して受信される指令信号の処理が、マイクロコンピュータを中心に構成される車両制御装置22によって行われる。また、車両制御装置22は、例えば車両ドアのロック/アンロックを実行するドアロック機構や、車両のパワースライドドアを開閉させるPSDモータ等の制御対象23を制御する部分でもある。なお、この車両制御装置22にもROM22aが設けられており、このROM22aに、上記指令コードが予め記憶されている。
【0020】
このように構成された無線通信システムにあって、ユーザが携帯機10の第1及び第2の操作ボタンB1,B2を押圧操作したとすると、次のような態様にて携帯機10と車載装置20との間で信号授受が実行される。すなわちこのシステムでは、第1及び第2の操作ボタンB1,B2の押圧操作に伴って第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2のいずれかがオン状態となると、その旨が携帯機制御装置13によって検出される。そして、携帯機制御装置13は、オン状態になった操作スイッチに応じた指令コードをROM13aから読み込むとともに、読み込んだ指令コードを含む指令信号を生成してこれを送信装置11に伝達することにより、指令信号を車載装置20に送信する。このようにして指令信号が送信されることにより、上記受信装置21ではこれを受信するとともに、受信した指令信号を車両制御装置22に伝達する。そして車両制御装置22では、受信した指令信号に含まれる指令コードとROM22aに記憶されている指令コードとを比較するとともに、その比較結果に基づいて制御対象23を駆動させる。具体的には、指令信号に含まれる指令コードが例えば車両ドアをロックする旨の指令を示すコードであった場合には、ドアロック機構により車両ドアのロックを実行する。また、指令信号に含まれる指令コードが例えばパワースライドドアを開閉させる旨の指令を示すコードであった場合には、PSDモータを駆動させて車両のパワースライドドアを開閉させる。
【0021】
ところで、このような無線通信システムにあっては、一般に、携帯機10により遠隔操作可能な車載装置20の種類が車種によって異なる。具体的には、車両ドアのロック/アンロックのみを行う車載装置もあれば、車両ドアのロック/アンロックとともにパワースライドドアの開閉を行う車載装置もある。このため、携帯機制御装置13では、車載装置20の種類に応じて各種指令コードを含む指令信号を生成しなければならない。このため、携帯機毎にそれぞれ異なる制御装置を搭載したり、あるいは携帯機毎に制御装置のソフトウェアを変更する必要があるため、携帯機のコストが増大するという懸念がある。
【0022】
そこで、本実施形態では、まず、複数の車種で使用される複数の指令コードを携帯機制御装置13のROM13aに予め記憶させるようにしている。また、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2が操作された際に複数の指令コードのうちのいずれを指令信号に含めるかを指定する指定情報をEEPROM13bに記憶させるようにしている。そして、携帯機制御装置13は、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2のいずれかの操作を検出した際に、EEPROM13bに記憶されている指定情報に基づいて、操作された操作スイッチに対応する指令コードを上記指令信号に含めて送信する処理を実行する。そしてこれにより、指定情報の内容を変更することによって、指令信号に含まれる指令コードを変更することができるようにしている。
【0023】
次に、上記ROM13a及びEEPROM13bに記憶されている指令コード及び指定情報の内容について図2〜図4を参照して説明する。
同図2に示されるように、ROM13aには、以下の(a1)〜(a3)に示す指令コードが記憶されている。なお、これらの指令コードは、上述のように、例えば数ビットのコードで表されるものである。
【0024】
(a1)車両ドアをロックさせる旨の指令を示すロック指令コードC1。
(a2)車両ドアをアンロックさせる旨の指令を示すアンロック指令コードC2。
(a3)車両のパワースライドドアを開閉させる旨の指令を示すPSD開閉指令コードC3。
【0025】
また、図3に示されるように、ROM13aには、上記第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の操作が検出された際の携帯機制御装置13の動作を指定するコマンドとして、以下の(b1)〜(b4)に示すコマンドが記憶されている。
【0026】
(b1)上記ロック指令コードC1を含む指令信号を送信する処理を実行する第1のコマンド。なお、第1のコマンドは、論理「00」のビットで示されるものである。
(b2)上記アンロック指令コードC2を含む指令信号を送信する処理を実行する第2のコマンド。なお、第2のコマンドは、論理「01」のビットで示されるものである。
【0027】
(b3)上記ロック指令コードC1を含む指令信号を送信する処理、及び上記アンロック指令コードC2を含む指令信号を送信する処理を交互に実行する第3のコマンド。なお、第3のコマンドは、論理「10」のビットで示されるものである。
【0028】
(b4)上記PSD開閉指令コードC3を含む指令信号を送信する処理を実行する第4のコマンド。なお、第4のコマンドは、論理「11」のビットで示されるものである。
また一方、図4(a),(b)に示されるように、EEPROM13bには、上記第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2が操作された際に上記第1〜第4のコマンドのいずれを実行するかを示す指定情報が記憶されている。
【0029】
ここで、指定情報が、例えば図4(a)に示す仕様Aの内容、すなわち第1の操作スイッチSW1が操作されたときに第1のコマンドを実行して且つ、第2の操作スイッチSW2が操作されたときに第2のコマンドを実行することを示す内容であったとする。このとき、携帯機制御装置13は、第1の操作スイッチSW1の操作を検出すると、ロック指令コードC1を含む指令信号を生成、送信する処理を実行する。また、第2の操作スイッチSW2の操作を検出すると、アンロック指令コードC2を含む指令信号を生成、送信する処理を実行する。
【0030】
一方、指定情報が、例えば図4(b)に示す仕様Bの内容、すなわち第1の操作スイッチSW1が操作されたときに第3のコマンドを実行して且つ、第2の操作スイッチSW2が操作されたときに第4のコマンドを実行することを示す内容であったとする。このとき、携帯機制御装置13は、第1の操作スイッチSW1の操作を検出すると、ロック指令コードC1を含む指令信号を生成、送信する処理、及びアンロック指令コードC2を含む指令信号を生成、送信する処理を交互に実行する。また、第2の操作スイッチSW2の操作を検出すると、PSD開閉指令コードC3を含む指令信号を生成、送信する処理を実行する。
【0031】
このような構成によれば、EEPROM13bに記憶されている指定情報の内容のうち、第1の操作スイッチSW1に対応するコマンド、及び第2の操作スイッチSW2に対応するコマンドを変更することによって、指令信号に含まれる指令コードを変更することができるようになる。これにより、携帯機制御装置を交換したり、あるいは携帯機制御装置のソフトウェアを変更することなく、指令信号の指令内容を変更することができるため、携帯機10の汎用性を向上させることができるようになる。
【0032】
ところで、このような携帯機10にあっては、何らかの異常により指定情報の内容が変更されるようなことがあると、指令信号に含まれる指令コードが変更されるおそれがある。具体的には、例えば先の図4(b)に例示した仕様Bの指定情報のうち、第1の操作スイッチSW1のコマンドが第3のコマンドから第1のコマンドに変更されるおそれがある。そしてこの場合には、ユーザが第1の操作スイッチSW1を操作した際に、ロック指令コードC1を含む指令信号のみが携帯機10から送信されてしまい、例えば車両ドアをアンロックすることができなくなるなど、車載装置20がユーザの意図しない動作をするといった不都合が生じるおそれがある。
【0033】
この点、本実施形態では、指定情報をEEPROM13bに記憶させるようにしているため、通常時は指定情報の読み込みだけが可能となる。したがって、何らかの異常により指定情報の内容が変更されるような状況を回避することができるため、上述した不都合を解消することができ、ひいては携帯機10の信頼性を的確に確保することができるようになる。
【0034】
次に、図5を参照して、EEPROM13bに指定情報を記憶させる方法について説明する。なお、この図5において、携帯機10Aは、上記第1及び第2の操作ボタンB1,B2がそれぞれ、車両ドアをロックするための操作ボタンと、車両ドアをアンロックするための操作ボタンに設定されたものである。また、携帯機10Bは、上記第1及び第2の操作ボタンB1,B2がそれぞれ、車両ドアをロック/アンロックさせるための操作ボタンと、車両のパワースライドドアを開閉させるための操作ボタンに設定されたものである。さらに、各携帯機10A,10BのEEPROM13bには、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2が操作された際に上記第1のコマンドをそれぞれ実行することを示す指定情報がその初期情報として記憶されている。
【0035】
同図5に示されるように、本実施形態では、各携帯機10A,10Bの製造工程でその組み付けが完了した後に、携帯機10A,10Bとは別の外部機器30から指定情報を含む無線信号を送信する。このとき、携帯機10Aには、先の図4(a)に例示した仕様Aの指定情報を含む無線信号を送信する。一方、携帯機10Bには、先の図4(b)に例示した仕様Bの指定情報を含む無線信号を送信する。これにより、各携帯機10A,10Bでは、外部機器30から送信された無線信号を受信装置12を介して受信すると、この無線信号が携帯機制御装置13に伝達される。そして携帯機制御装置13は、この無線信号に含まれている指定情報に基づいてEEPROM13bに記憶されている指定情報の内容を書き換える。
【0036】
このような構成によれば、外部機器30から無線信号を送信するだけでEEPROM13bに記憶されている指定情報の内容を変更することができるため、その内容を容易に変更することができるようになる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態にかかる携帯機によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)制御対象23への指令を示す複数の指令コードC1〜C3をROM13aに予め記憶させるようにした。また、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の操作に基づいて複数の指令コードC1〜C3のうちのいずれを指令信号に含めるかを指定する指定情報をEEPROM13bに記憶させるようにした。そして、第1及び第2の操作スイッチSW1,SW2の操作を検出した際に、EEPROM13bに記憶されている指定情報に基づいて、操作された操作スイッチに対応する指令コードを指令信号に含めて送信するようにした。これにより、EEPROM13bに記憶されている指定情報を変更することによって、指令信号の指令内容を変更することができるため、携帯機10の汎用性を向上させることができるようになる。
【0038】
(2)指定情報をEEPROM13bに記憶させるようにした。これにより、何らかの異常により指定情報の内容が変更されるような状況を回避することができるため、制御対象23がユーザの意図しない動作をするといった不都合を解消することができ、ひいては携帯機10の信頼性を向上させることができるようになる。
【0039】
(3)外部機器30から携帯機10に無線信号を送信することによってEEPROM13bに記憶されている指定情報を変更するようにした。これにより、指定情報の内容を容易に変更することができるようになる。
【0040】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、指令コードを記憶するための記憶手段としてROM13aを用いたが、例えばEEPROMやフラッシュメモリなどを用いてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、指定情報を記憶するための記憶手段としてEEPROM13bを用いたが、例えばフラッシュメモリやOTROM(One Time Programable ROM)などを用いてもよい。ちなみに、1回に限りデータを書き込むことが可能なOTPROMを用いることとすれば、指定情報が初期情報から一旦変更されて以降はその内容を変更することができなくなる。このため、上述した制御対象23がユーザの意図しない動作をするといった不都合を好適に解消することができ、ひいては携帯機10の信頼性を的確に確保することができるようになる。
【0042】
・上記実施形態では、外部機器30から携帯機10に無線信号を送信することによって指定情報を変更するようにしたが、例えば携帯機10に外部機器を直接接続するための端子を設けた上で、この端子に接続した外部機器を操作することによって指定情報を変更するようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、ROM13aに、3つの指令コードC1〜C3を記憶させるようにしたが、例えば車両のパワーバックドア(PBD)を開閉させる旨の指令を示すバックドア開閉指令コードや、車上荒らしを威嚇すべく車両のハザードやライトなどを点灯させる旨の指令を示すパニック指令コードなどをROM13aに記憶させてもよい。このような構成によれば、パワーバックドアを開閉させることが可能な車両の無線通信システムや、車両のハザードやライトなどの点灯によって威嚇動作を行う車両の無線通信システムなどに本発明にかかる携帯機を適用することが可能となる。
【0044】
・上記実施形態では、本発明にかかる携帯機を、2つの操作スイッチSW1,SW2を備える携帯機に適用したが、例えば1つの操作スイッチを備える携帯機や、3つ以上の操作スイッチを備える携帯機に適用することも可能である。
【0045】
・上記実施形態では、本発明にかかる携帯機を、車載装置20を遠隔操作するための携帯機に適用したが、これに代えて、例えば住宅の玄関ドアのロック/アンロックを行う錠前装置を遠隔操作するための携帯機に適用することも可能である。要は、指令信号を無線送信することにより通信対象を遠隔操作する携帯機であればよい。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0046】
(イ)請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯機において、前記記憶手段は、EEPROMからなることを特徴とする携帯機。同構成によるように、記憶手段としてEEPROMを用いることとすれば、通常時は指定情報の読み込みだけが可能となるため、何らかの異常により指定情報の内容が変更されるような状況を回避することができるようになる。これにより、上述した通信対象がユーザの意図しない動作をするといった不都合を解消することができるため、携帯機の信頼性を的確に確保することができるようになる。
【0047】
(ロ)請求項1〜3、及び付記イのいずれか一項に記載の携帯機において、前記通信対象は、車両に搭載された車載装置であることを特徴とする携帯機。こうした携帯機にあっては、その通信対象が車載装置である場合、携帯機により遠隔操作可能な車載装置の種類が車種によって異なることが多い。したがって、こうした携帯機に上記請求項1〜3及び付記イのいずれか一項に記載の発明の構成が採用されることの意義は大きい。
【符号の説明】
【0048】
B1…第1の操作ボタン、B2…第2の操作ボタン、SW1…第1の操作スイッチ、SW2…第2の操作スイッチ、10,10A,10B…携帯機、11…送信装置、12…受信装置、13…携帯機制御装置、13a…ROM、13b…EEPROM、20…車載装置、21…受信装置、22…車両制御装置、22a…ROM、23…制御対象、30…外部機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作スイッチの操作に基づいて指令信号を送信手段から無線送信することにより通信対象を遠隔操作する携帯機において、
前記通信対象への指令を示す複数の指令コード、及び前記操作スイッチの操作に基づいて前記複数の指令コードのうちのいずれを前記指令信号に含めるかを指定する指定情報がそれぞれ記憶された記憶手段と、前記操作スイッチの操作を検出した際に、前記指定情報に基づいて、操作された操作スイッチに対応する指令コードを含む指令信号を前記送信手段から送信する処理を実行する制御装置とを備える
ことを特徴とする携帯機。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯機において、
当該携帯機とは別の外部機器から送信される無線信号を受信するための受信手段を備え、前記制御装置は、前記外部機器から送信される無線信号に基づいて前記指定情報の変更を行う
ことを特徴とする携帯機。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶されている前記指定情報は、1回に限り変更可能な情報である
請求項1又は2に記載の携帯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−208466(P2011−208466A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79112(P2010−79112)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】