説明

携帯用端末機の多方向スライド入力装置

【課題】 携帯用端末機の多方向スライド入力装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、端末機に装着され、長方形の操作面を具備し、操作面の縁部には壁体が形成され、その内側に少なくとも四つ以上の固定接点が備えられるベースと、前記操作面に取り付けられ、水平方向に移動するように上側及び下側の壁体にX軸スライド部が突出形成され、前記壁体の左・右側には壁体内側にY軸移動ガイド部が突出形成されるX軸移動ステージと、少なくとも一つ以上のキー入力手段が取り付けられる取付面を備え、前記取付面の縁部には壁体が形成され、前記Y軸移動ガイド部に対応して結合され、空間孔内で垂直方向に移動するように壁体にはY軸スライド部が形成され、前記壁体の外側にはキー入力手段につながっている複数の可動接点が備えられた可動操作部が離間して配置されるY軸移動ステージと、前記Y軸移動ステージの取付面に取り付けられ、キーパッド接点が備えられた回路基板とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機や携帯電話機などに適用し得る多方向スライド入力装置に関し、特にスライド操作により所定の信号が入力できる携帯用端末機の多方向スライド入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、端末機に取り付けられるベース及びケースなどに備えられている固定接点に対して可動接点を有するスライダーをスライド移動し、接点の接離を行うことによって、スイッチの作用、モード切替の作用、その他電気的作用を行うようにしたスライド入力装置は、様々なものがある。
【0003】
しかし、既製のスライド入力装置の中で、スライダーを上下左右の4方向以上にスライド作動するようになっているスイッチの場合、部品点数が増加する。 特に、近頃、この種の入力装置はコンパクト化(例えば、入力装置のサイズは、横及び縦の長さ15mm、厚さ3〜5mm程度)しつつあるため、スイッチの組み立て工程に手間がかかり、その分製造コストも高くなる。しかも、高精度の性能を発揮できないという問題がある。
【0004】
特に、スイッチが小形化しているため、既製のものにはスペースなどの制約があり、スライダーをX軸、またはY軸の方向、即ち上・下・左・右の4方向へのスライド移動可能な手段しか提供していない場合が多い。
【0005】
また、上下左右及び対角線の八方向へスライド移動可能な手段を提供する入力装置の場合、各八方向が独立的に接離する方式ではなく、各方向に対して少なくとも二つ以上の接離を組み合わせ、特定方向として認識するようにシステムを構成しなければならないという不都合があり、これにより入力信号の打ち間違いや誤りの心配が高いというのが実状である。
【0006】
例えば、特許文献1では、X軸・Y軸方向へのスライド移動可能なスライドスイッチを提案している。このスライドスイッチの場合、一つのスイッチに対する構造を有しているため、携帯用端末機の文字・数字及び各種機能を操作するためにはボタンの数を増やさなければならないが、前記特許文献1の場合、ボタンの数が一つ以上の場合には左右方向にチルト現象が生じたり、増加したキーボタンの支持構造をさらに追加して備えなければならないなど、携帯用端末機に適用するには前記した問題を解決しなければならない。
【0007】
また、従来の特許文献1の場合、X軸・Y軸方向へのスライド移動操作のためのスライド構造は、必ず三層の構造(スライダー+スライディングチップ+ベースガイド溝)からなっており、垂直操作のためのスイッチがスライド構造の上面に結合する積層構造となっているため、厚さをスリム化するのに妨害となり、厚さに制約が生じる携帯用端末機に適用するには不適である。
【0008】
また、キーパッドを含むと、総じて4層の構造になるため、その高さによりスライド進行方向に対するチルト現象が発生する構造として、数万回の操作を行う携帯用端末機に適用すると、器具の耐久性に問題を起こす原因として作用する。したがって、チルト現象を抑制するためには、さらに薄い厚みと、改善されたスライド装置が必要となる。
【0009】
一方、携帯用端末機が通話機能の他にも文字・数字及び各種機能をするに際して、使用者の指先で端末機のキーパッドを操作するが、従来の特許文献1の主な目的である、四つ以上の多方向(例えば、6、8、12、16方向など)に高精度にスライド移動可能な手段の提供は、携帯用端末機の使用目的に合わない。なぜならば、一般の使用者が、携帯用端末機を使用するにおいて、4〜8方向のスライド操作だけでも充分であり、指先を利用して正確な12方向及び16方向を区分することは難しく、非効率ともいえる。
【0010】
むしろ、12〜16方向の入力装置は、文字及び数字を入力する場合において、打ち間違いの確率が高くなる短所として作用する。
【0011】
また、他の従来技術、特許文献2の場合、別途の精巧なスライド移動のためのガイドを有しておらず、元位置への復元のための弾性手段のみを持っており、携帯用端末機において一つのキーを利用したジョイスティック機能に限られている。
【0012】
また、接点の接離方式においては、従来の特許文献1及び特許文献2の場合、ベース上の固定接点はスライド移動方向に対して平行に形成され、その幅は可動接点の動きと信号入力の正確度を考慮したうえで適当なものがよく、これにより信号入力のためのスライド移動のストロークが長くなってしまう短所があったので、携帯用端末機の横・縦の長さが長くなる要因として作用する。
【0013】
また、何れか一方の信号を出力するためには少なくとも2〜3個以上の固定接点を同時に接離しなければならないため、特定目的の機能を行うためのプログラムを開発するにもその組合せの過程により複雑で、かつ手間のかかる過程を通さなければならず、組み合わされた固定接点の複雑な信号を処理しなければならないため、入力信号の処理速度も比較的に遅くなる問題が発生する。
【0014】
さらに、従来技術の特許文献3の場合、各八方向が独立的に操作されるという方式であるが、傾倒の操作時、半径が広く、携帯用端末機に適用するには高さとサイズが不適であるという短所がある。また、部品点数があまり増加し過ぎ、組立て工程とコスト増加とが負担になる。尚更、複数個のキーパッドが備わるような構造にはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国特許登録第0584428号公報
【特許文献2】韓国特許登録第0749117号公報
【特許文献3】韓国特許登録第0477775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記した問題点などを改善するために案出された本発明は、八方向へのスライド移動のためのベースと、X軸及びY軸方向のガイドとが垂直位相変異差が生じないように同じ平面上に位置するようにし、端末機の厚みを最小化すると共に四以上の方向がそれぞれ独立して接離することができ、スライド移動距離を最小化することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、端末機に装着され、長方形の操作面を具備し、操作面の縁部には壁体が形成され、その内側に少なくとも四つ以上の固定接点が備えられるベースと、前記操作面に取り付けられ、水平方向に移動するように上側及び下側の壁体にX軸スライド部が突出形成され、前記壁体の左・右側には壁体内側にY軸移動ガイド部が突出形成されるX軸移動ステージと、少なくとも一つ以上のキー入力手段が取り付けられる取付面を具備し、前記取付面の縁部には壁体が形成され、前記Y軸移動ガイド部に対応して組み合わされ、空間孔内で垂直方向に移動するように壁体にはY軸スライド部が形成され、前記壁体の外側にはキー入力手段につながっている複数の可動接点が備えられた可動操作部が離間して配置されるY軸移動ステージと、前記Y軸移動ステージの取付面に取り付けられ、キーパッド接点が備えられた回路基板とを含む、携帯用端末機の多方向スライド入力装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明による多方向スライド移動装置は、次のような効果を奏する。第一に、ベースとX軸移動ステージ及びY軸移動ステージのスライド移動のための組み合わせが、垂直位相の変異差を生じないように同じ平面上に位置するように形成され、特定条件の角度と長さとから構成された八角形のベース内側と可動操作部及びリングによりベースの固定接点及び可動操作部の可動接点の独立的な操作が可能であるので、スライド移動のストロークを最小化することができると同時にスライド入力装置をさらにスリム化することができ、消費者の消費性向に合わせることができる。
【0019】
第二に、四つ以上の方向の固定接点及び可動接点がそれぞれ独立的に操作されるので、使用者が要求する入力信号の正確度が高くなる。
【0020】
第三に、既知のスライド入力装置が二つ以上のキーをスライド移動するためには不適という問題点を大幅に改善し、キーの個数がいくら多くても目的方向へのスライド移動時、回転方向の異常、チルト、捩れなどの現象を伴わずにとても軽快で、スムーズにスライド移動が可能となるようにすることができ、機器に対する信頼性が高くなると共に、耐久性の向上を期待できる。
【0021】
最後に、全体的な厚みとサイズをスリムにしながら、文字・数字及び各種機能の操作を簡単に行えるようにするための様々な電気的作用を行うことができるように少なくとも一つ以上のボタンを備えたキーパッドが、中央を中心としてベース内で少なくとも四つ以上の方向へスライド移動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例による多方向スライド入力装置を備えた携帯用端末機を示した斜視図。
【図2】本発明の一実施例による多方向スライド入力装置を示した分解斜視図。
【図3】本発明の一実施例による多方向スライド入力装置の各構成部品が組み合わされた状態を示した斜視図。
【図4】図3の作動図として、ベース中心とY軸移動ステージの中心点が一致した状態の平面図。
【図5】図3の作動図として、図4の状態からY軸移動ステージを左上方向に移動した平面図。
【図6】図3の作用説明図として、図4の状態からY軸移動ステージを左側方向に移動した平面図。
【図7】図2によるベースの斜視図。
【図8】図2によるベースの背面図。
【図9】図2による全体の配線構造を示す斜視図。
【図10】図2によるX軸移動ステージの斜視図。
【図11】図2によるY軸移動ステージの斜視図。
【図12】図2によるリングの斜視図。
【図13】図2によるキーパッド接点及び可動接点のパタンを示した図面。
【図14】図2によるキーパッド接点及び可動接点のパタンを示した図面。
【図15】本実施例による多方向スライド入力装置の断面図。
【図16】本実施例による多方向スライド入力装置の断面図。
【図17】本実施例による多方向スライド入力装置を適用した端末機を示した斜視図。
【図18】本実施例による多方向スライド入力装置を適用した端末機を示した斜視図。
【図19】本実施例による多方向スライド入力装置を適用した端末機を示した斜視図。
【図20】本実施例による多方向スライド入力装置を適用した端末機を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施例による多方向スライド入力装置を添付図面を参照して説明する。図1は、本実施例による多方向スライド入力装置が、携帯用端末機の中で最も一般の携帯電話機に設けられている状態を示したものである。
【0024】
これによれば、本実施例の多方向スライド入力装置Kは、携帯用端末機Pの本体に固定して組み合わされ、携帯用端末機Pの文字・数字及び各種機能の操作のためのキー入力を行うためにX軸及びY軸方向に向けてスライド移動可能となるように構成される。
【0025】
この際、少なくとも四つ以上の固定接点132と四つ以上の可動接点420が八角形のベース100の内側と可動操作部330及びリング500の構造により独立的な操作が可能となるように構成される。これに対しては、後で詳細に説明する。
【0026】
一方、本実施例では、携帯用端末機の中で最も一般の携帯用電話機Pを一例にして説明及び図示したが、本実施例の多方向スライド入力装置Kは、電子辞典、ノート型パソコン、PMP、リモコンなどのような携帯電話機の他にも様々に適用することができる。
【0027】
本実施例による多方向スライド入力装置Kは、図2及び図3に詳しく示されている。これによれば、多方向スライド入力装置Kは、端末機本体(P、ここで端末機本体は図2に示したベースカバー700と同じ意味として用いられる)に取り付けられるベース100、ベース100に組み合わされ、図において水平方向に移動するX軸移動ステージ200、X軸移動ステージに組み合わされ、垂直方向に移動するY軸移動ステージ300、Y軸移動ステージ300に収納される回路基板400、回路基板の上側に接点固定されるキーパッド600を含む。
【0028】
ベース100は、図2、図7及び図8に示すように、長方形の操作面110を具備し、操作面110の中央には四角形の空間孔120を有する。そして、操作面110の縁部には周囲を取り囲むように略四角形状の壁体130が上側に向けて垂直に設けられる。この際、壁体130の内側角部には固定接点132が配置されるように接点固定片131が内側に突出して形成され、これによって壁体130の内側面は八角形状になる。
【0029】
各壁体130の接点固定片131の内側面には固定接点132が備わり、ベース100の背面には固定接点132と電気的に連結され、入力信号を外部に伝送するように、固定接点端子133が設けられる。そして、各壁体130の略中央には固定接点132につながる配線を収納し得るための配線収納溝134が陥没して形成される。
【0030】
空間孔120の四方、即ち、空間孔120と壁体130の間に形成された操作面110は、後述するリング500とY軸移動ステージ300の可動操作部330の自由なスライド移動が可能となるように充分な広さをもって設けられるが、この際、操作面100の中で水平方向に互いに平行に配置された二つの操作面は、X軸移動ステージ200のX軸方向への移動を案内するX軸移動ガイド部140の役割を果たすことになる。
【0031】
即ち、操作面110の上側と下側にはリング500と、可動操作部330がスライド移動可能な面と、X軸移動ガイド部140とが共に備えられ、右側と左側とにはリング500と可動操作部330とがスライド移動可能な面のみに備えられる。
【0032】
X軸移動ステージ200は、図2及び図9に示したように長方形に構成され、ベース100上でX軸方向にスライド移動するもので、その中央には四角形状の空間孔210が形成され、空間孔210を中心として上・下・左・右の縁部には周囲を取り囲むように上方に向けて壁体220が延設される。
【0033】
この際、上側と下側とに位置した壁体には、X軸移動ガイド部140に取り付けられ、X軸移動ステージ200がX軸方向に移動するように壁体220の外側上端部に互いに対向するようにしてX軸スライド部240が延設される。
【0034】

【0035】

【0036】
一方、各壁体220には略四角形状で四つ以上のY軸移動ステージ300の駆動部が遊動し得るための駆動部孔221が備えられる。
【0037】
Y軸移動ステージ300は、図2及び図11に示すように、上面に回路基板400及びキーパッド600が取り付けられるように四角形状の底面を有しており、底面の縁部には垂直に延長形成され、周囲を取り囲むように四角形状の壁体310が備えられる。この際、底面の一部分には少なくとも一つ以上のキー入力手段(図9参照)を収納することができ、適当なサイズのキー入力手段の配線手段350が形成される。
【0038】
また、壁体310の中で左側及び右側に位置した壁体310にはX軸移動ステージ200のY軸移動ガイド部230に取り付けられ、空間孔210内で垂直方向に移動するように外側に平行に一対のY軸スライド部320が延長形成される。
【0039】
壁体310の外側には所定の間隔をおいて四角のリング状の可動操作部330が配置され、壁体310と可動操作部330は各辺の中央に形成された駆動部340により互いに一体形に連結される。したがって、壁体310と可動操作部330の間には駆動部340により区切られた四箇所の「L」字状の空間孔が形成される。
【0040】
この際、Y軸移動ステージ300の各駆動部340は、X軸移動ステージ200の駆動部孔221に挿入され、駆動部孔221は、Y軸移動ステージ300の作動による駆動部340との干渉を防止するために形成される。
【0041】
可動操作部330の外側及び内側の角部にベース100の接点固定片131の形状に対応するように面取り部331を形成することによって、可動操作部330は全体から見て八角形をなすことになる。
【0042】
この際、可動操作部330の底面は、ベース100の底面110に位置するが、リング500のように底面110に接触せずに所定の高さで離隔するように構成することがスムーズなスライド操作のためには望ましい。そして、中央のキー入力手段の回路基板400と軟性回路基板430とにつながっている、少なくとも四つ以上の複数の可動接点420が可動操作部330の外側に形成される。
【0043】

【0044】
一方、本実施例では、信号入力のためにキーパッドの操作によるY軸移動ステージ300のスライド移動後、元の位置に戻るように固定接点132及び可動接点420は、ドーム状の金属材から形成されるのが望ましい。
【0045】
この際、固定接点及び可動接点は、ドーム状の金属材質の他に圧力感知センサー(圧電素子)から構成されていてもよく、この際にはY軸移動ステージを元の位置に復元させることができるように別途の弾性復元手段が必要となる。
【0046】
図4乃至図6は、それぞれ本実施例によるY軸移動ステージの作動状態を示したものであり、図5及び図6はそれぞれ図4の状態からY軸移動ステージを右上方向と左側方向とに移動した平面図である。
【0047】
これによれば、図5は、図2の状態からY軸移動ステージ300を右上方向に移動した図面であって、ベース100の固定接点132が押された状態であり、右上方向に移動した分だけ左側下端に移動した様態(L)を示している。
【0048】
また、図6は、図2の状態からY軸移動ステージ300を左側方向に移動した図面であって、Y軸移動ステージ300の可動操作部330の可動接点420が押された状態であり、右側方向に移動した分だけ右側に移動した様態(L)を示している。
【0049】

【0050】
したがって、本実施例の多方向スライド入力装置は、従来の三層構造のスライド装置の積層問題を改善でき、これにより積層構造におけるスライド操作時に微細にチルトする現象を防止でき、端末機Pの耐久性の向上にも寄与することができる。
【0051】
一方、本実施例の多方向スライド入力装置はリング500を含むこともできる。リング500は、図2及び図13に示したように、ベース100の操作面110に取り付けられ、キーパッド600によるスライド操作時、ベース100の固定接点132とY軸移動ステージ300の可動操作部330の可動接点420とが同時に操作しないように八角形に形成される。
【0052】
このとき、リング500は、ベース100の接点固定片131に対応するようにその角部に面取り部510が形成され、全体からみて八角形をなす。リング500の内側には可動接点を加圧し得るように可動接点に対応する個数の内側突起530が形成され、各面取り部510の外側には固定接点を加圧し得るように固定接点に対応する個数の外側突起520が形成される。
【0053】
一方、Y軸移動ステージ300の駆動部340に支持される八角形の可動操作部330及びリング500は、使用者のキーパッド600の操作による特定方向へのスライド移動時、該当方向のベース100の固定接点132とY軸移動ステージ300の可動接点420とが独立的に接離し得るように形成された構造である。
【0054】
例えば、対角線でスライド移動する場合、可動操作部330の八角面中で対角線方向の角部外側と該当方向のリング500の角部内側とが加圧されるとき(図13のL2参照)、可動操作部330の八角面中で上下左右の側の外側面は、リング500の上下左右の側の内側面に加圧されないように(L2)形成された二重操作防止構造からなっているためである(図14参照)。即ち、使用者のキー610の押下操作を通じてキーパッド600の突起に伝えられた力がキーパッド接点410を押圧し、信号を外部に伝達することになる(図15)。そして、キー610を介して押下した後、スライド移動、又は 押圧せずにスライド移動をした場合にリング500の突起520が可動操作部330の一側壁に加圧され、可動接点を押圧することになる(図16)。
【0055】
即ち、上下左右方向のスライド移動時には可動操作部330の八角面中で上下左右方向の外側と該当方向のリング500の上下左右の内側とが加圧される時(図14のL2参照)、リング500の八角面中で対角線の外側面は、ベース100の対角線の壁体130の内側面に加圧されないようにして(図13のL1参照)、該当対角線方向の固定接点132が押されずに(L1)、操作方向の可動接点420だけが押されるように(L2)二重操作防止部が形成されている(図13は、キーパッドを左上に操作した時の図であり、図14は、キーパッドを上方に操作した時の図である)。
【0056】
したがって、キーパッド600の対角線への操作時には、二重操作防止部により可動接点420は押されずに(図14のL2)専ら固定接点132だけが押され(L2)、上下左右への操作時には固定接点132は押されずに(図15のL1)専ら可動接点420のみが押されることになる(L2)という効果がある。
【0057】
特にそれぞれの接点132、420を同じ操作力(operating force)を有するメタルドームに形成する場合は、弾性復元機能まで期待でき、該当操作方向のメタルドームだけが押されながら、作動ストロークも最小に具現することができるという利点がある(図14参照)。
【0058】
なぜならば、どの方向に操作をしても加圧される方向のドームは、操作方向に対して垂直に一つが押されることになる反面、その両側面の二つのドームは斜めの角度になっているため、力が分散してしまい、実際の力よりさらに強い力で押さなければならないからである(例えば、図14のθ1の値が小さくなるほど両側面のドームが押されるためにはさらに大きい力が必要とする。もちろん、図14のθ1の値は135度であり、八角形の可動操作部とリングの内側角はいずれも同じく135度である)。
【0059】
また、両側面のメタルドームは二つなので、二倍より強い力で押すと押される状況となり、弱い方のドーム(進行方向のドーム)がいつも先に押されることになる(本発明の一実施例では、メタルドーム接点を例にして説明しており、これは、図13と図14に示している)。
【0060】
このような二重操作防止構造とメタルドームとにより作動に必要なスライド移動のストロークを極めて短く形成でき、携帯用端末機のコンパクト化にも寄与することができる(参考までに、一般のメタルドームは、その作動ストロークが略0.06mm程度で、ストロークを大幅に削減でき、使用者に対して押下の触感を伝えるためにも有用な部品である)。
【0061】
前記した本実施例の多方向スライド入力装置は、従来のスライド装置の場合、スライド作動接点の位置を全て操作キーの外周の同一半径内に設けることによって特定方向へのスライド移動操作時に目的とする方向以外の接点も押されてしまう、という問題を解決することができる。
【0062】
すなわち、携帯用端末機Pは、通話機能の他にも文字・数字及び各種機能を行うための環境では、入力に対する正確度が非常に重要なことなので、本実施例の多方向スライド入力装置は、前記した問題点を改善するためにキーパッドの外周のベース100に対角線信号接点132を配置し、可動操作部330に上・下・左・右の信号接点を配置し、二重接離が行われる虞を大幅に改善し、これにより複数個のスライドキーパッドにおいてでも安定的にかつ正確に操作することができる。
【0063】
図17乃至図20は、それぞれ本実施例による多方向スライド入力装置が適用された例を示す。
【0064】
図示の如く、端末機P1には四つのキーを利用した多方向スライド入力装置Kを示しており、端末機P2には両側に10個ずつ多方向スライド入力装置Kが適用された例を示している。端末機P3とP4は、それぞれ一つのキーが適用された携帯端末機及びPMPの例を示している。
【産業上の利用可能性】
【0065】
前記したように構成された本発明による多方向スライド入力装置によれば、次のような効果がある。第一に、ベースとX軸移動ステージ及びY軸移動ステージとのスライド移動のための結合が、垂直位相の変異差がないように同じ平面上に位置するように形成され、特定条件の角度及び長さで構成された八角形のベース内側と可動操作部及びリングとによりベースの固定接点及び可動操作部の可動接点の独立的な操作が可能であり、スライド移動のストロークを最小化すると同時にスライド入力装置をさらにスリム化することができ、消費者の消費性向に相応することができる。
【0066】
第二に、四つ以上の方向の固定接点及び可動接点がそれぞれ独自に操作されるので、入力信号の正確度が高くなる。
【0067】
第三に、既知のスライド入力装置が二つ以上のキーをスライド移動するには不適であるという問題点を大幅に改善し、キーの個数が多い場合でも目的方向へのスライド移動時、回転方向の異常、チルト(tilting)、捩れなどの現象を伴わずにとても軽快で、円滑にスライド移動を可能とすることができ、機器に対する信頼性が高くなると共に、耐久性の向上を期待できる。
【0068】
最後に、全体的な厚みとサイズの点でスリム化が図れると共に、文字・数字及び各種機能の操作を簡単に行えるように様々な電気的作用をすることができるように少なくとも一つ以上のボタンを備えたキーパッドを、中央を中心としてベース内で少なくとも四つ以上の方向にスライド移動が可能となる。
【符号の説明】
【0069】
100 ベース
110 底面
120 空間孔
130 壁体
131 接点固定片
132 固定接点
133 固定接点端子
134 配線収納溝
140 X軸移動ガイド部
200 X軸移動ステージ
210 空間孔
220 壁体
230 Y軸移動ガイド部
240 X軸スライド部
300 Y軸移動ステージ
310 壁体
320 Y軸移動スライド部
330 可動操作部
340 駆動部
350 配線出口
400 回路基板
410 キーパッド接点
420 可動接点
430 軟性回路基板
500 リング
510 面取り部
520 外側突起
530 内側突起
600 キーパッド
610 キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字・数字及び各種機能を操作するためのキー入力手段が備えられた携帯用端末機において、
前記端末機に装着され、長方形の操作面を具備し、操作面の縁部には壁体が形成され、その内側に少なくとも四つ以上の固定接点が備えられるベースと、
前記操作面に取り付けられ、水平方向に移動するように上側及び下側の壁体にX軸スライド部が突出形成され、前記壁体の左・右側には壁体内側にY軸移動ガイド部が突出形成されるX軸移動ステージと、
少なくとも一つ以上のキー入力手段が取り付けられる取付面を備え、前記取付面の縁部には壁体が形成され、前記Y軸移動ガイド部に対応して組み合わされ、空間孔内で垂直方向に移動するように壁体にはY軸スライド部が形成され、前記壁体の外側にはキー入力手段につながっている複数の可動接点が備えられた可動操作部が離間して配置されるY軸移動ステージと、
前記Y軸移動ステージの取付面に取り付けられ、キーパッド接点が備えられた回路基板とを含む、携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項2】
前記ベースは、壁体の内側に固定接点が位置するように少なくとも四つ以上の接点固定片が形成され、全体からみて八角形の形状からなっている、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項3】
前記Y軸移動ステージの壁体には、可動操作部につながるように駆動部が備えられる、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項4】
前記X軸移動ステージの壁体には、前記駆動部が挿入され、摩擦なしに操作されるように駆動部孔が形成されている、請求項3に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項5】
前記Y軸移動ステージには、キー入力手段の配線の出口が形成されている、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項6】
前記可動操作部は、ベースの操作面から所定の高さで離隔し、摩擦なしにスライド移動する、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項7】
前記可動操作部の外側面には、可動接点を収納できるように可動接点孔が形成されている、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項8】
前記可動操作部は、角部に面取部が形成され、全体的にみて八角形をなしている、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項9】
前記各固定接点は、前記キーパッドによるスライド操作時、可動操作部により加圧操作される、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項10】

【請求項11】

【請求項12】
前記固定接点及び可動接点は、ドーム状の金属材からなる、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項13】
前記固定接点及び可動接点は、金属材の板ばねからなる、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項14】
前記固定接点及び可動接点は、圧力感知センサーからなる、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項15】
前記べースの底面に取り付けられ、キーパッドによるスライド操作時にスライド移動し、前記ベースの固定接点と前記Y軸移動ステージの可動接点とが同時に操作されないように形成したリングをさらに含む、請求項1に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項16】
前記各固定接点は、前記キーパッドによるスライド操作時、可動操作部がリングに接触することになり、前記リングは、ベースの固定接点に接触する、 請求項15に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項17】
前記可動操作部は、角部に面取り部が形成され、全体的にみて八角形をなしており、リングの内側でスライド移動操作される、請求項15に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項18】
前記リングは、その角部に面取り部を形成することによって八角形をなしている、請求項15に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。
【請求項19】
前記リングの内側には可動接点を加圧し得るように可動接点に対応する個数の内側突起が形成され、前記各面取り部の外側には固定接点を加圧し得るように固定接点に対応する個数の外側突起が形成される、請求項15に記載の携帯用端末機の多方向スライド入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−517833(P2011−517833A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500707(P2011−500707)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001396
【国際公開番号】WO2009/116812
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(508296819)ザコッド カンパニーリミテッド (4)
【Fターム(参考)】