説明

携帯端末、携帯端末の制御方法及び携帯端末の制御プログラム

【課題】入場処理が行われずに入場した場合においても、ユーザによる処理により退場を可能にすることができる。
【解決手段】所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動部25と、アプリケーションの起動により、区間情報格納部15から所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報の読み出しを行う読み出し部23と、アプリケーションの起動により、位置情報を取得する位置情報取得部26と、位置情報が区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う位置判定部27(区間内判定部)と、位置情報が区間情報で規定される区間内である判定された場合には、ICカード1に設けられると共に、退場処理時に区間情報と共に退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報が格納される第2の入場情報格納部17に対して、第2の入場情報の書き込みを行う書き込み部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
入退場を管理する入退場管理システムで利用される携帯端末、携帯端末の制御方法及び携帯端末の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、駅構内への入退場を管理する入退場管理システムは、入退場口に設置されている自動改札機により入退場を管理する。この入退場管理システムでは、入場時に自動改札機に非接触式のICカード(非接触ICカード)がかざされることによって、所定の入場処理が行われ、非接触ICカードに入場に関する情報(入場情報)が記憶される。そして、この入場管理システムでは、退場時に自動改札機に非接触ICカードがかざされることによって、所定の退場処理が行われ、退場が許可されると共に、退場情報が書き込まれて、次回の入場を可能にする。
【0003】
ここで、上述した非接触ICカードに加えて、非接触式のICチップが搭載された携帯端末機によっても、入退場管理システムを利用することもできる。
【0004】
特許文献1には、乗換え時に自動改札機等で乗換えの検出を行わずに、複雑な経路で乗り換えを行った利用者に正しい料金を請求できないことがあるため、携帯端末機に搭載されたGPS機能等により携帯端末機の位置を特定して、利用者の移動経路を追跡し、この移動経路の情報を用いて、正しい料金を算出する入退場管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−54157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1記載の入退場管理システムは、入場側の自動改札機で利用者の入場が検知されていること(非接触ICカードに入場情報が書き込まれていること)が前提である。よって、特許文献1では、入場時に自動改札機での読み取りに失敗した場合には、入場情報が記録されず、退場側の自動改札機での退場が許可されない。この場合には、例えば、ユーザは通常の自動改札機又は駅員用の専用端末によって、改めて入場情報の書き込み等の退場処理を行う必要がある。
【0007】
このため、入場情報がない場合には、専用端末により退場処理を行わなければならない上に、専用端末の操作者である駅員に入場した駅や入場情報が書き込まれていない理由等の事情を説明する必要があり、退場するまでに多大な時間がかかっており、ユーザに多大な負担をかけていた。
【0008】
また、このような入退場管理システムにおいては、入場情報が記録されているか否かの確認は専用端末を介して行うか、又は、退場側の自動改札機での退場操作(自動改札機に非接触ICカードをかざす行為)を行って、退場側の自動改札機が退場を許可しないことから間接的にユーザが入場情報の記録を知る以外は確認できなかった。
【0009】
したがって、入場情報が書き込まれていないことを自覚している利用者は、専用端末機により、退場処理を行うために専用端末を探さなければならない。
一方の入場情報がないことを自覚してない利用者は、退場側の自動改札機に退場操作を行って、退場が許可されないことを知った後に、専用端末を探して退場処理を行わなければならない。このために、入場情報のない非接触ICカードを持つ利用者が一人でもいるだけで、自動改札機でスムースな退場処理が妨げられるために、多数の人が集うような例えばラッシュ時等においては、混雑の原因となっていた。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、入場処理が行われずに入場した場合においても、ユーザによる処理により退場を可能にする入退場管理システムに利用される携帯端末、携帯端末の制御方法及び携帯端末の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る携帯端末は、上記課題を解決するために、所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報が格納される第1の入場情報格納部とを備えるICカードと連携する携帯端末において、所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動部と、前記アプリケーションが起動された場合には、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し部と、前記アプリケーションが起動された場合には、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定部と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内である判定された場合には、前記ICカードに備えられると共に、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報が格納される第2の入場情報格納部に対して、前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記携帯端末は、表示部と、前記アプリケーション起動部により前記アプリケーションが起動した場合には、前記ICカードをかざす旨を表示させるように前記表示部に要求する要求部とを備え、前記書き込み部は、前記要求部からの要求により前記表示部における表示がされると共に前記ICカードがかざされたことを条件にして、前記第2の入場情報の書き込みを行うことを特徴とすることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る携帯端末の制御方法は、上記課題を解決するために、所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報が格納される第1の入場情報格納部とを備えるICカードと連携する携帯端末の制御方法において、所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動工程と、前記アプリケーションの起動により、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し工程と、前記アプリケーションの起動により、位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定工程と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内である判定された場合には、ICカードに設けられると共に、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報が格納される第2の入場情報格納部に対して、前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る携帯端末の制御プログラムは、上記課題を解決するために、所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報が格納される第1の入場情報格納部とを備えるICカードと連携する携帯端末の制御プログラムにおいて、所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、前記アプリケーションの起動により、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し手段と、前記アプリケーションの起動により、位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定手段と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内である判定された場合には、ICカードに設けられると共に、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報が格納される第2の入場情報格納部に対して、前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る携帯端末は、上記課題を解決するために、所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報を格納する第1の入場情報格納部と、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報を格納する第2の入場情報格納部とを有するICチップと、所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動部と、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し部と、前記アプリケーションの起動により位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定部と、前記区間内であると判定された場合には、前記第2の入場情報格納部に前記第2の入場情報格納の書き込みを行う書き込み部とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る携帯端末の制御方法は、上記課題を解決するために、所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報を格納する第1の入場情報格納部と、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報を格納する第2の入場情報格納部とを有するICチップを備える携帯端末の制御方法において、所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動工程と、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し工程と、前記アプリケーションの起動により位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定工程と、前記区間内であると判定された場合には、前記第2の入場情報格納部に前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る携帯端末の制御プログラムは、上記課題を解決するために、所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報を格納する第1の入場情報格納部と、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報を格納する第2の入場情報格納部とを有するICチップを備える携帯端末の制御プログラムにおいて、所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し手段と、前記アプリケーションの起動により位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定手段と、前記区間内であると判定された場合には、前記第2の入場情報格納部に前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
入場処理が行われずに入場した場合においても、ユーザによる処理により退場を可能にする入退場管理システムで利用される携帯端末、携帯端末の制御方法及び携帯端末の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】入退場管理システムを示す概念図である。
【図2】ICカードによる入退場管理システムの機能を示すブロック図である。
【図3】ICチップを搭載した携帯電話機による入退場管理システムの機能を示すブロック図である。
【図4】入退場管理システムの利用を示すフローチャート図である。
【図5】ICカードのフラグBの設定を示す図である。
【図6】ICチップを搭載した携帯電話機のフラグBの設定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の本実施形態における駅構内への入退場を管理する入退場管理システムSについて、図1から図3を用いて説明する。なお、本実施形態における入退場システムは、例えば、東日本旅客鉄道等でSUICA(登録商標)として知られる乗車カードにより運用される鉄道等の公共交通機関の乗降管理を行うための非接触ICカードの利用システム等に適用可能である。
入退場管理システムSは、図1に示すように、入場する駅に設置される入場側自動改札機3と、退場する駅に設置されている退場側自動改札機4と、ICカード1と、携帯電話機2A(携帯端末)により構成される。
【0021】
入場側自動改札機3は、図2に示すように、駅の入場口に設けられ、リーダ/ライタ部31と、ゲート部32と、フラグ設定部33と、照合部34とを有する。
【0022】
リーダ/ライタ部31は、ICカード1に搭載されるICチップ11がかざされることにより、ICチップ11のメモリ13内への情報の読み出しや情報の書き込みを行うことができるように構成される。
【0023】
ゲート部32は、ICチップ11のメモリ13内の情報に基づいて、開放又は閉鎖する。ユーザは、ゲート部32が開放することにより、入場側自動改札機3への通過が許可されて駅構内への入場が可能になる。また、ユーザは、ゲート部32が閉鎖することにより、入場側自動改札機3への通過が禁止される。なお、図1(図中左側)に示す入場側自動改札機3は、ゲート部32が開放した状態(通過を許可している状態)である。
【0024】
フラグ設定部33は、ICチップ11に格納される後述するフラグの設定を変更する。照合部34は、ICチップ11に格納されるフラグの設定を確認して、ゲート部32の開放や閉鎖を判断する。
【0025】
退場側自動改札機4は、入場側自動改札機3に対応し駅の退場口に設けられ、入場側自動改札機3と同様にリーダ/ライタ部41と、ゲート部42と、フラグ設定部43と、照合部44とを有する。
【0026】
リーダ/ライタ部41は、ICカード1に搭載されるICチップ11がかざされることにより、ICチップ11のメモリ13内への情報の読み出しや情報の書き込みを行うことができるように構成される。
【0027】
ゲート部42は、ICチップ11のメモリ13内の情報に基づいて、開放又は閉鎖する。ユーザは、ゲート部42が開放することにより、退場側自動改札機4への通過が許可されて駅構内からの退場が可能になる。また、ユーザは、ゲート部42が閉鎖することにより、入場側自動改札機3への通過が禁止される。なお、図1(図中右側)に示す退場側自動改札機4は、ゲート部42が閉鎖した状態(通過を禁止している状態)である。
【0028】
フラグ設定部43は、ICチップ11に格納される後述するフラグの設定を変更する。照合部44は、ICチップ11に格納されるフラグの設定を確認して、ゲート部42の開放や閉鎖を判断する。
【0029】
ICカード1は、いわゆる、RFID(Radio Frequency IDentification)の一種であるICチップ11をカードに搭載した非接触のICカードとして構成される。非接触のICカードとは、入退場側自動改札機3、4のリーダ/ライタ部31、41等に接触することなく、メモリ13内の情報のやり取りを可能にするICカード1である。リーダ/ライタ部31、41等からの電波を受けて、その電波からの起電力を利用して動作し、反射する一部の電波に情報を載せることにより、情報のやり取りを行うように構成される。
なお、本実施形態においてICカード1は、カードにICチップ11を搭載して構成したものを想定して説明を行ったがこれに限られない。ICカード1は、カードの形状については問わない上に、ICチップ11を搭載可能な媒体であれば、どのような形態で構成しても良い。
【0030】
ICチップ11は、CPU12と、メモリ13と、アンテナ部14とを有する(CPU12とメモリ13によりICチップ11として構成される。)。メモリ13には、自動改札機とのやり取りに必要な情報(後述するフラグ設定等)が格納される。アンテナ部14は、入退場側自動改札機3、4のゲート部32、42及び携帯電話機2Aのリーダ/ライタ部23からの電波を送受信可能に構成される。
【0031】
携帯電話機2Aは、図1に示すように、表示部201と操作部202とを有する。また、携帯電話機2Aは、図2に示すように、CPU21と、メモリ22と、リーダ/ライタ部23と、アンテナ部24とを有する。
【0032】
CPU21は、携帯電話機2Aの各種機能(例えば、メール機能、通話機能及びICチップ11のフラグの書き換え機能)を制御する。メモリ22は、各種機能を実行するためのアプリケーション等が格納される。
【0033】
リーダ/ライタ部23は、リードとライト、すなわち、ICチップ11からの情報の読み出しと書き込みに関する機能が実行された状態(所定のアプリケーションが起動した状態)において、ICカード1がリーダ/ライタ部23にかざされることにより、ICカード1のICチップ11に電波を送信する。そして、リーダ/ライタ部23はICチップ11から反射された電波を受信して、この電波に載せられたICチップ11の情報を読み出すことによりICカード1との情報のやり取りを行う。
【0034】
アンテナ部24は、図示しない基地局や衛星5から例えば、位置情報等の情報を受信可能に構成される。
【0035】
携帯電話機2Aは、図1に示すように、アンテナ部24により受信された衛星5からの情報に基づいて、携帯電話機2の現在位置(位置)を測位する。
なお、本実施形態において、携帯電話機2Aの位置の測位は、GPSを利用して行うが、これに限られない。携帯電話機2Aの位置の測位は、例えば、携帯電話機2Aと通信を行う基地局との位置関係から割り出すように構成しても良い。
【0036】
また、リーダ/ライタ部23は、ICチップ11に所定のコマンドを送信することによりICチップ11からの応答により、ICチップ11に格納される情報を読み出したり、書き込んだりすることができる。
【0037】
また、本実施形態においては、図1に示すように、ICカード1に代えて、ICチップ11を搭載した携帯電話機2Bにより入退場管理システムSを利用することができる。つまり、携帯電話機2Bは、図3に示すように、上述した携帯電話機2Aの構成に加えて、ICチップ11に関する機能を有する。この携帯電話機2Bでは、リードとライト、すなわち、ICチップ11からの情報の読み出しと書き込みに関する機能を実行することにより、ICカード1をかざす等の操作をすることなく、ICチップ11と情報のやり取りを行うことができる。
【0038】
なお、本実施形態におけるICチップ11を搭載した携帯電話機2Bは、例えば、東日本旅客鉄道等でモバイルSUICA(登録商標)として知られる携帯電話機をカード型のICカード1と同様に運用される非接触ICカードシステム等に適用可能である。
【0039】
以上のように構成される入退場管理システムSは、入場情報がない状態で駅構内にいた場合であっても、退場可能な入場情報をICチップ11に書き込むことができ、書き込まれた入場情報に基づいて、退場側自動改札機4からの退場が許可される機能を有する。
【0040】
入退場管理システムSの入退場管理にICカード1を用いる場合には、上述した構成に以下の構成を加えることにより、所望の機能を発揮することができる。
【0041】
ICカード1のメモリ13には、図2に示すように、区間情報格納部15と、フラグA格納部16(第1の入場情報格納部)と、フラグB格納部17(第2の入場情報格納部)の格納領域が設けられる。
【0042】
区間情報格納部15には、所定の区間内の入場側自動改札機3(入場ゲート)及び退場側自動改札機4(退場ゲート)からの入退場を許可する区間情報が格納される。区間情報は、本実施形態においては、例えば、「○○駅から○○駅まで」という利用可能な駅の区間(場所的な情報)の他に、使用期間の情報も含む情報である。また、区間情報は、入退場管理システムSの使用時には区間情報格納部15に格納されている。
【0043】
フラグA格納部16(第1の入場情報格納部)には、入場処理時に区間情報に基づいて入場側自動改札機3(入場ゲート)への入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に区間情報と共に退場側自動改札機4(退場ゲート)からの退場の許可を得るために用いられるフラグA(第1の入場情報)の設定が格納される。
【0044】
フラグAの設定とは、「0」と「1」により識別される。フラグAの設定が「0」の場合には、初期状態、すなわち、フラグAが設定されていない状態となる。フラグAの設定が「1」の場合には、フラグAが設定されている状態となる。
【0045】
フラグB格納部17(第2の入場情報格納部)には、退場処理時に区間情報と共に退場側自動改札機4(退場ゲート)からの退場の許可を得るために用いられるフラグBの設定(第2の入場情報)が格納される。フラグBの設定とは、「0」と「1」により識別され、フラグBの設定が「0」の場合には、初期状態、すなわち、フラグBが設定されていない状態となり、フラグBの設定が「1」の場合には、フラグBが設定されている状態となる。
なお、本実施形態において、入場情報はフラグを用いたがこれに限られず、ICチップ11と自動改札機とのやり取りが可能であり、入退場を管理できる情報であれば良い。
【0046】
また、携帯電話機2(携帯端末)には、図2に示すように、CPU21にアプリケーション起動部25と、位置情報取得部26と、位置判定部27(区間内判定部)とを備える。
なお、本実施形態においては、携帯電話機2を用いたがこれに限られず、例えば、ノートパソコン等の携帯端末であれば良い。
【0047】
アプリケーション起動部25は、所定のアプリケーションを起動する。本実施形態においては、メモリ13に格納される定期アプリを起動する。定期アプリとは、ICカード型や携帯電話搭載型の定期の種別毎に形成され、種別毎に、フラグBの設定変更の手順を示すアプリケーションである。携帯電話機2Aは、定期アプリが起動されることにより、例えば、位置情報の取得や区間内であるか否かの判定やICカード1をリーダ/ライタ部23にかざす旨を利用者に通知する等のフラグBの設定変更に必要な処理を行う。
【0048】
位置情報取得部26は、アプリケーションの起動により、位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得部26は、GPS機能を利用して、アンテナ部24により衛星5からの情報を受信して、この受信した情報から自機の位置が割り出された緯度と経度の座標情報を位置情報として取得する。また、位置情報取得部26は、アンテナ部24から携帯電話網の基地局の電波を受信して、この受信した電波から自機の位置が割り出された緯度と経度の情報を位置情報として取得するようにしても良い。
【0049】
位置判定部27(区間内判定部)は、位置情報が区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う。具体的には、位置判定部27は、位置情報取得部26により取得された位置情報が区間情報に記憶される利用可能な駅の区間内(線路で結ばれた駅間の緯度経度における座標上)に位置しているかの判定を行う。
【0050】
また、携帯電話機2のリーダ/ライタ部23(読み出し部)は、アプリケーションの起動により、区間情報格納部15から区間情報の読み出しを行う。
【0051】
また、リーダ/ライタ部23(書き込み部)は、位置情報が区間情報で規定される区間内である判定された場合には、退場処理時に区間情報と共に退場側自動改札機4(退場ゲート)からの退場の許可を得るために用いられるフラグBの設定(第2の入場情報)が格納されるフラグB格納部17(第2の入場情報格納部)に対して、フラグBの設定の変更(第2の入場情報の書き込み)をする。
【0052】
また、入場側自動改札機3(入場ゲート)は、例えば、リーダ/ライタ部31にICカード1をタッチする(かざす)等の入場処理がされることにより、ICカード1の区間情報を判断し、入場の許可(本実施形態においては、ゲート部の開放)を行う。そして、リーダ/ライタ部31は、入場が許可されることによりICカード1のフラグA格納部16(第1の入場情報格納部)に格納されるフラグAの書き込み(フラグAの設定変更)を行う。
【0053】
また、退場側自動改札機4(退場ゲート)は、例えば、リーダ/ライタ部23にICカード1をタッチする等の退場処理がされることにより、ICカード1の区間情報、フラグAの設定及びフラグBの設定を判断し、退場の許可(本実施形態においては、ゲート部の開放)を行う。
つまり、退場側自動改札機4(退場ゲート)は、ICカード1の区間情報内に位置している状態であり、フラグAの設定が設定されている状態あるいはフラグBの設定が設定されている状態である場合には、退場を許可する。
【0054】
このように構成される入退場管理システムSに利用される携帯電話機2A(携帯端末)において、アプリケーション起動部25は、所定のアプリケーションを起動する。所定のアプリケーションが起動された場合には、リーダ/ライタ部23(読み出し部)は、ICカード1の区間情報格納部15に格納される区間情報を読み出す。また、所定のアプリケーションが起動された場合には、位置情報取得部26は、携帯電話機2Aの位置情報を取得する。
【0055】
そして、位置判定部27(区間内判定部)は、位置情報取得部26により取得された位置情報が区間情報格納部15に区間情報に規定される区間内であるか否かの判定を行う。
【0056】
また、位置判定部27は、位置情報が区間情報に規定される区間内であると判定した場合には、フラグBの設定(第2の入場情報の書き込み)を行う。その結果、ユーザは、退場側自動改札機4に対して退場処理(例えば、退場側自動改札機4のリーダ/ライタ部23にタッチする。)を行うことで、退場側自動改札機4(退場ゲート)からの退場が許可される。
【0057】
したがって、ユーザは、例えば、入場処理に失敗した等により入場処理が行われずに、駅構内に入ってしまった場合においても、携帯電話機2Aを用いて退場処理を行うことで、退場側自動改札機4(退場ゲート)からの退場が許可されるフラグBの設定(第2の入場情報の取得)を行うことができる。このことにより、ユーザは、例えば、電車での移動中にフラグBの設定を行うことにより、専用端末等により、入場情報を書き込む必要がないために、退場を速やかに行うことができる。
【0058】
さらに、ユーザは、例えば、電車での移動中にフラグBの設定を行うことにより、より速やかに駅構内から退場することができる。このことにより、駅側では、専用端末による入場情報の取得を減らすことができ、専用端末の利用による混雑を緩和することができる。その結果としては、駅の利用者のクレームを減らす上に、駅の利用者のストレスの発生を抑止する効果を得ることができる。
【0059】
また、携帯電話機2Aにおいては、ユーザがフラグAの設定(第1の入場情報の取得)が行われていないと自覚していない時であっても、上述した処理を行うことにより、フラグBが設定されるために、退場側自動改札機4(退場ゲート)で退場が許可されないことがなくなるために、退場側自動改札機4(退場ゲート)での混雑を緩和することができる。携帯電話機2Aにおいては、例えば、ラッシュ時等の多数の人が集中して混雑している場合において、入場情報が取得できていないことにより退場が許可されないことに起因する退場時の混雑を緩和することができる。
【0060】
また、携帯電話機2Aは、要求部30を備える。要求部30は、アプリケーション起動部25によりアプリケーションが起動した場合には、ICカード1をかざす旨を表示させるように表示部201に要求する。また、要求部30は、表示部201に対して、例えば、処理が完了した旨の表示の要求等の各種表示の要求を行う。
【0061】
また、書き込み部23は、要求部30からの要求により表示部201における表示がされると共にICカード1がかざされたことを条件にして、第2の入場情報の書き込みを行う。
【0062】
したがって、携帯電話機2Aにおいては、アプリケーションを起動することにより、要求部30からの要求により、表示部201は、例えば、「カードをかざして下さい。」等のICカード1をかざす旨の表示をする。この表示に従って、ユーザは、ICカード1をかざすことにより、フラグBの設定(第2の入場情報の書き込み)が行われる。
【0063】
このように携帯電話機2Aを構成することにより、ユーザは、リーダ/ライタ部23による読み取りのタイミングを知ることができるために、速やかにフラグBの設定(第2の入場情報の取得)を行うことができる。ユーザは、退場前に事前にフラグBの設定を行っておけば、滞りなく退場側自動改札機4(退場ゲート)から退場することができる。
【0064】
また、上述した入退場管理システムSの入退場管理にICカード1を用いる場合に代えて、ICチップ11を搭載した携帯電話機2Bを入退場管理システムSの入退場管理に用いる場合には、上述した構成に代えて以下の構成により、所望の機能を発揮することができる。
【0065】
携帯電話機2Bには、ICチップ11を備える。このICチップ11には、区間情報格納部15と、フラグA格納部16(第1の入場情報格納部)と、フラグB格納部17(第2の入場情報格納部)とを有する。
区間情報格納部15には、区画情報が格納される。フラグA格納部16(第1の入場情報格納部)には、フラグA(第1の入場情報)が設定(格納)される。フラグB格納部17(第2の入場情報格納部)には、フラグB(第2の入場情報)が設定(格納)される。
【0066】
このように構成される入退場管理システムSに利用される携帯電話機2B(携帯端末)において、アプリケーション起動部25は、所定のアプリケーションを起動する。所定のアプリケーションが起動された場合には、ICチップ11の区間情報格納部15に格納される区間情報が読み出される。また、所定のアプリケーションが起動された場合には、位置情報取得部26は、位置情報が取得される。
【0067】
そして、位置判定部27(区間内判定部)は、区間情報に規定される区間内であるか否かの判定を行う。位置判定部27は、位置情報が区間情報に規定される区間内であると判定した場合には、フラグBの設定(第2の入場情報の書き込み)を行う。その結果、ユーザは、退場側自動改札機4(退場ゲート)に対して退場処理(例えば、退場側自動改札機4のリーダ/ライタ部23にタッチする。)が行われることによって、退場側自動改札機4(退場ゲート)からの退場が許可される。
【0068】
したがって、ユーザは、例えば、入場処理に失敗した等により入場処理が行われずに、駅構内に入ってしまった場合においても、携帯電話機2Bを用いて退場処理を行うことにより、退場側自動改札機4(退場ゲート)からの退場が許可されるフラグBの設定(第2の入場情報の取得)を行うことができる。このことにより、ユーザは、例えば、電車での移動中にフラグBの設定を行うことにより、専用端末等により、入場情報を書き込む必要がないために、退場を速やかに行うことができる。
【0069】
また、携帯電話機2BにはICチップ11が搭載されていることで、上述したICカード1を利用する場合に比べて、アプリケーションを起動するだけで、フラグBの設定を行うことができる。このため、ユーザは、ICカード1をかざす等の所定の操作をする必要がなくなると共に、個別管理が不要になる。
【0070】
また、携帯電話機2A、2Bは、フラグ判定部28と、フラグB設定部29とを備える。フラグ判定部28は、フラグA格納部16とフラグB格納部17の各フラグの設定を判定(確認)する。フラグB設定部29は、フラグB格納部17へフラグBの設定(フラグBの変更)を行う。
【0071】
次に、本実施形態における入退場管理システムSの利用について、図4から図6を用いながら説明する。
本実施形態において入退場管理システムSは、例えば、鉄道等の公共交通機関において、通勤や通学等で特定の区間を繰り返し、乗車する乗客を対象として一定の期間を区切って発行される乗車券(定期)を使用した場合の入退場管理システムSについて、説明する。
【0072】
また、以下において、本実施形態で使用されるICカード型の定期券(定期)をICカード定期といい、ICチップ11を搭載した携帯電話機型の定期をモバイル定期という。
【0073】
本実施形態における入退場管理システムSは、図4に示すように、ステップST1において、改札(入場側自動改札機3)でエラーになったか否かを判断する。
【0074】
入場側自動改札機3でのエラーとは、入場側自動改札機3で所定の入場処理を行うことができずに、ICチップ11に入場情報が書き込まれずに、例えば、ゲート部32が閉鎖した状態で駅構内への入場が許可されていない状態となり、ICチップ11が退場可能なものであると認識されない状態である。一方、入場側自動改札機3でエラーがない場合は、入場処理が行われることにより、ICチップ11に入場情報が書き込まれ、ゲート部32が開放した状態となり入場側自動改札機3への入場が許可されると共に、退場側自動改札機4において退場処理が行われ、ゲート部42が開放した状態となり退場側自動改札機4からの退場も許可される。
【0075】
また、所定の入場処理とは、入場側自動改札機3のリーダ/ライタ部31からICチップ11に入場情報が書き込まれた状態となることであり、例えば、リーダ/ライタ部31にICチップ11を近接(タッチ)させて、照合部34によりICチップ11の認識及びフラグ設定部33により入場情報の書き込みを行うという操作を伴うものである。
【0076】
所定の退場処理とは、例えば、リーダ/ライタ部31にICチップ11を近接(タッチ)させて、照合部44によりICチップ11の認識及び入場情報の照合を行う処理である。そして、フラグ設定部43によりフラグのリセット(A=0、B=0)がされる。
【0077】
また、入場情報の書き込みとは、本実施形態においては、ICチップ11のメモリ13内に格納されるフラグの設定(値)が変更されることにより行われる。具体的には、フラグは、「0」か「1」に変更されることをもって、フラグの設定がなされる。また、初期状態においては「0」に設定されている。この状態は、フラグの設定がされていない状態(入場情報が書き込まれていない状態)であり、フラグが設定されることにより「1」となる。
【0078】
ステップST1において、駅の改札(入場側自動改札機3)では、改札(入場側自動改札機3)で、エラーにならなかった場合(N)には、ステップST2へ進む。この状態は、ICチップ11には入場情報が書き込まれた状態である。
また、改札(入場側自動改札機3)で、エラーになった場合(Y)には、ステップST3へ進む。
【0079】
ステップST2において、退場側自動改札機4では、退場処理が行われることにより、退場側自動改札機4の通過が許容され、処理が終了する。具体的には、携帯電話機2A、2Bは、ユーザによる退場側自動改札機4への退場処理時に、リーダ/ライタ部41からの情報に基づいて、照合部44によりフラグの照合が行われ、ゲート部42が開放すると共に、フラグ設定部33によりフラグAが1から0に変更される。これにより、フラグは初期状態(A=0、B=0)に戻るために、再入場が可能になる。
したがって、ユーザは、入場側自動改札機3での入場処理がエラーなく行われたため、退場側自動改札機4での退場が許可された状態となっており、通常通り改札(退場側自動改札機)を通過することができる。
【0080】
ステップST3において、アプリケーション起動部25は、定期アプリの起動を行う。ステップST1において入場側自動改札機3での入場処理が行われておらず、退場側自動改札機4からの退場が許可されない(駅構内から出ることができない)ために、ユーザにより操作によりアプリケーション起動部25は、所定のアプリケーション(入退場管理に関するアプリケーション)を起動する。
【0081】
本実施形態において、ICカード定期の場合には、図5に示すように、ICカード定期用のアプリケーションを起動する。また、モバイル定期の場合には、図6に示すように、モバイル定期用のアプリケーションを起動する。なお、アプリケーション起動部25は、アプリケーションが定期に使用するICチップ11を搭載している等の携帯電話機2の仕様を確認して、用途に応じて、所定のアプリケーションを起動させるように動作するようにしても良い。
【0082】
ステップST4において、位置情報取得部26は、位置情報の確認を行う。具体的には、位置情報取得部26は、アプリケーションが起動されたことにより、アンテナ部24を介して衛星5からの情報又は基地局からの電波により、携帯電話機2の位置を検知(測位)する。この際、表示部201では、図5及び図6に示すように、位置情報を確認している旨(「位置情報を確認中」)が表示される。
そして、本工程ST4においては、ICカード定期の場合には、ステップST5に進み、モバイル定期の場合には、ステップST7に進む。
【0083】
ステップST5において、携帯電話機2Aでは、ユーザがICカード1を携帯(携帯電話機2A)にかざしたか否かの判定が行われる。具体的には、携帯電話機2Aは、図5に示すように、表示部201に、ICカード1をかざす旨の表示(「カードをかざして下さい。」)が行われ、ユーザにリーダ/ライタ部23により区間情報等の情報を読み出す準備ができたことが喚起される。
本工程ST5においては、ICカード1が携帯にかざされていない場合(N)にはステップST6に進み、ICカード1が携帯にかざされた場合(Y)にはステップST7に進む。
【0084】
ステップST6において、駅員にて定期のフラグAを更新し、処理が終了する。駅員に定期のフラグAの更新を依頼して、ICカード1内のフラグAを更新することで、入場情報がICカード1に登録されることになるため、清算等を行うことにより、退場側自動改札機4からの退場が許可され、駅構内から出ることができる。
【0085】
ステップST7において、位置判定部27は、定期区間内か否かの判定を行う。具体的には、位置判定部27は、位置情報取得部26により取得された位置情報と区間情報に規定される区間とを比較して、当該位置情報が区間内に属している否かの判定を行う。この際、ICカード定期の場合には、表示部201では、例えば、図5に示すように、定期区間の表示(「定期範囲は○○駅・○○駅」)を行う。
【0086】
本工程ST7において、定期区間外と判定された場合(N)にはステップST6へ進み、定期区間内と判定された場合(Y)にはステップST8へ進む。本工程ST7において、定期区間外と判定された場合には、表示部201では、要求部30からの要求により図5及び6に示すように、ユーザに対して、定期区間外である旨及び対処の方法の表示(「定期券外です・駅係員に申し出て下さい」)が行われる。
【0087】
ステップST8において、フラグ設定変更を行い、ステップST9へ進む。具体的には、フラグB設定部29により、フラグBの設定を変更(「0」から「1」に変更)する。
本工程ST8においては、定期の種別がICカード定期の場合には、例えば、要求部30からの要求により表示部201にICカード1をかざす旨の表示がなされ、ユーザは、ICカード1を携帯電話機2Aにかざすことにより、フラグB設定部29によりフラグの更新が行われる。
【0088】
また、表示部201においては、ICカード定期の場合には、図5に示すように、ICカードをかざす旨の表示(「定期区間内です・カードをかざしてください」)が行われる。そして、ICカードがかざされることにより、フラグBの設定が行われ、要求部30からの要求により、フラグが設定された旨の表示(「乗車記録を記録しました」)が行われる。
一方のモバイル定期の場合には、図6に示すように、フラグの設定Bの設定が行われ、要求部30からの要求により、定期区間内である旨及びフラグの設定を行った旨の表示(「定期内です・乗車記録を記録しました」)が行われる。
【0089】
ステップST9において、フラグ判定部28は、駅の改札(退場側自動改札機4)において定期のフラグの確認が行われる。フラグ判定部28は、フラグがA=0、かつ、B=1でないと確認された場合(N)には、ステップST6に進む。また、フラグがA=0、かつ、B=1でないと確認された場合(Y)には、ステップST10に進む。なお、フラグがA=0である状態とは、入場側自動改札機3において、入場操作がされておらず、フラグAが設定されていない状態である。また、フラグがB=1である状態とは、携帯電話機2により書き込み処理が行われ、フラグBの設定がされている状態である。
【0090】
ステップST10において、退場側自動改札機4は、退場処理が行われることにより、改札(退場側自動改札機4)通過時にフラグBをクリアし、処理が終了する。具体的には、携帯電話機2A、2Bは、ユーザによる退場側自動改札機4への退場処理時に、リーダ/ライタ部41からの情報に基づいて、照合部44によりフラグの照合が行われ、ゲート部42が開放すると共に、フラグ設定部33によりフラグAが1から0に変更される。これにより、フラグは初期状態(A=0、B=0)に戻るために、再入場が可能になる。
【0091】
したがって、入場処理が行われずに入場した場合においても、ユーザによる処理により退場側自動改札機4から退場することができる。
【0092】
以上、本発明に係る入退場管理システムSの好適な実施形態について説明したが、本発明に係る入退場管理システムSは、上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
【0093】
なお、本実施形態においては、第1の入場情報と第2の入場情報は、フラグA、フラグBとして構成したがこれに限られない。例えば、第2の情報と第1の情報を同一の情報(第2の情報をフラグBとして設けずに、フラグAとして設ける。)として構成しても良い。
【0094】
また、本実施形態においては、携帯電話機2の位置情報を第2の入場情報を書き込みの条件にしているが、これに限れない。利用者が利用可能な区間内にいることを推定することができれば良く、例えば、入場から所定の時間内であることを条件としても良い。
【0095】
また、本実施形態において、ICチップ11は、退場処理に際して、退場側自動改札機4からのメモリ13の読み出しに対して、区間情報とフラグA(第1の入場情報)の設定とフラグB(第2の入場情報)の設定とを応答していたがこれに限られない。ICチップ11は、例えば、フラグB(第2の入場情報)の設定がされていることを条件にして、フラグA(第1の入場情報)の設定がされている応答をするように構成しても良い。このように構成することにより、退場側自動改札機4の構成を全く変更する必要がなく、本発明における入退場管理システムの運用を図ることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 ICカード
2A、2B 携帯電話機(携帯端末)
15 区間情報格納部
16 フラグA格納部(第1の入場情報格納部)
17 フラグB格納部(第2の入場情報格納部)
25 アプリケーション起動部
23 リーダ/ライタ部(読み出し部、書き込み部)
26 位置情報取得部
27 位置判定部(区間内判定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報が格納される第1の入場情報格納部とを備えるICカードと連携する携帯端末において、
所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動部と、
前記アプリケーションが起動された場合には、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し部と、
前記アプリケーションが起動された場合には、位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定部と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内である判定された場合には、前記ICカードに備えられると共に、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報が格納される第2の入場情報格納部に対して、前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み部とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
表示部と、
前記アプリケーション起動部により前記アプリケーションが起動した場合には、前記ICカードをかざす旨を表示させるように前記表示部に要求する要求部とを備え、
前記書き込み部は、前記要求部からの要求により前記表示部における表示がされると共に前記ICカードがかざされたことを条件にして、前記第2の入場情報の書き込みを行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報が格納される第1の入場情報格納部とを備えるICカードと連携する携帯端末の制御方法において、
所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動工程と、
前記アプリケーションの起動により、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し工程と、
前記アプリケーションの起動により、位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定工程と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内である判定された場合には、ICカードに設けられると共に、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報が格納される第2の入場情報格納部に対して、前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み工程とを備えることを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項4】
所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報が格納される第1の入場情報格納部とを備えるICカードと連携する携帯端末の制御プログラムにおいて、
所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、
前記アプリケーションの起動により、前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し手段と、
前記アプリケーションの起動により、位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定手段と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内である判定された場合には、ICカードに設けられると共に、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報が格納される第2の入場情報格納部に対して、前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み手段とを備えることを特徴とする携帯端末の制御プログラム。
【請求項5】
所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報を格納する第1の入場情報格納部と、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報を格納する第2の入場情報格納部とを有するICチップと、
所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動部と、
前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し部と、
前記アプリケーションの起動により位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定部と、
前記区間内であると判定された場合には、前記第2の入場情報格納部に前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み部とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報を格納する第1の入場情報格納部と、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報を格納する第2の入場情報格納部とを有するICチップを備える携帯端末の制御方法において、
所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動工程と、
前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し工程と、
前記アプリケーションの起動により位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定工程と、
前記区間内であると判定された場合には、前記第2の入場情報格納部に前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み工程とを備えることを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項7】
所定の区間内の入場ゲート及び退場ゲートからの入退場を許可する区間情報が格納された区間情報格納部と、入場処理時に前記区間情報に基づいて前記入場ゲートへの入場が許可されることにより書き込まれ、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第1の入場情報を格納する第1の入場情報格納部と、退場処理時に前記区間情報と共に前記退場ゲートからの退場の許可を得るために用いられる第2の入場情報を格納する第2の入場情報格納部とを有するICチップを備える携帯端末の制御プログラムにおいて、
所定のアプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、
前記区間情報格納部から前記区間情報の読み出しを行う読み出し手段と、
前記アプリケーションの起動により位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報が前記区間情報で規定される区間内であるか否かの判定を行う区間内判定手段と、
前記区間内であると判定された場合には、前記第2の入場情報格納部に前記第2の入場情報の書き込みを行う書き込み手段とを備えることを特徴とする携帯端末の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−113284(P2011−113284A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268812(P2009−268812)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】