携帯端末、映像表示装置、および映像処理システム
【課題】携帯端末に過大な処理負荷を掛けることなく携帯端末UIデータとともにビデオデータを外部の映像表示装置に表示させる。
【解決手段】携帯端末100は、ビデオデータと携帯端末UIデータとを画像として合成することなく映像表示装置(TV)200へ出力する。映像表示装置200において、UI描画部230は、HDMI受信部210で携帯端末から受信した携帯端末UIデータと、内部に用意されている映像表示装置UIデータとに基づいてUI画像を描画する。フレーム合成部250は、この描画されたUI画像をビデオデータと合成し、合成したデータを表示ドライバ270を介してTV表示部280に表示する。
【解決手段】携帯端末100は、ビデオデータと携帯端末UIデータとを画像として合成することなく映像表示装置(TV)200へ出力する。映像表示装置200において、UI描画部230は、HDMI受信部210で携帯端末から受信した携帯端末UIデータと、内部に用意されている映像表示装置UIデータとに基づいてUI画像を描画する。フレーム合成部250は、この描画されたUI画像をビデオデータと合成し、合成したデータを表示ドライバ270を介してTV表示部280に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末から出力したビデオデータを映像表示装置に表示させる映像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話端末に代表される携帯端末(モバイル機器)には映像(ビデオ)データおよび音声(オーディオ)データを再生し、外部へ出力する機能を有するものがある。これにより携帯端末がビデオデータの供給源として、より大きな画面を有するモニタやテレビジョン装置(以下、テレビ:TVと略す)に映像を表示させて視聴することができる。その際、携帯端末の操作部による操作のナビゲーション(またはガイダンス)等を行うためのユーザインタフェース画面をTV側に表示することが好ましい。
【0003】
図1はそのような従来の映像処理システムの一般的な構成を示している。
【0004】
このシステムは、従来TV側に備わっている、チャンネル情報、時刻情報などを表示するTVユーザインタフェース(UI)に加えて、携帯端末側の操作メニューを表示する場合を考慮している。
【0005】
携帯端末10はビデオデータの供給源であり、TV20側にビデオデータを転送し、TV画面上に表示させる。携帯端末10はストレージもしくはストリーミングによる、圧縮されたビデオデータを保持しており、ビデオデコーダ11にてデコード処理を行い、ビデオ画像の復元を行う。携帯端末10からのナビゲーションキー等、携帯端末UIとして同時にTV出力を行いたいUI画像をUI描画部12にて描画生成する。TV20においてこのビデオデータとUIデータの表示を行うためには、フレーム合成部15で両データの合成処理を行う。さらに、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に準拠したHDMIドライバ17からHDMI接続上のデジタル信号伝送方式であるTMDS(Transition Minimized Differential Signalling)を介して、この合成データをTV20側へ送信する。HDMIは、家電およびAV機器向けのデジタル映像・音声入出力インタフェースの規格である。これにより、1本のケーブルで映像・音声・制御信号を合わせて送受信することができる。
【0006】
TV20は、合成信号であるビデオ・携帯UI合成データをHDMI受信部21にて受信する。また、TVナビゲーション用のユーザインタフェースデータ(映像表示装置UIデータ)はTVUI描画部23にて生成され、フレーム合成部25でビデオ・携帯UI合成データと合成される。フレーム合成部25から出力されるビデオ・携帯端末UI/TVUI合成データは、表示ドライバ27を介してTV表示部28に表示される。
【0007】
図2に、従来のフレーム合成の対象フレームの流れを示す。
【0008】
携帯端末において、デコード後のビデオフレームは携帯UIフレームと合成され、中間フレームとなる。この中間フレームはTV側でTVUIフレームと合成され、最終的な表示フレームとなる。
【0009】
なお、HDMIに関連した従来の技術として、特許文献1には、HDMI規格に準拠したDVDプレーヤ、AVアンプおよびディスプレイ装置がHDMIケーブルを介して接続されるシステムの改良について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−79177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の携帯端末環境では、ビデオフレームのデコード後に発生する、UIデータとの合成処理の負担が重く、処理能力の不足により、ビデオコンテンツに求められている再生パフォーマンスを満たすことができない場合があった。また、消費電力の観点からも問題があった。
【0012】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、携帯端末に過大な処理負荷を掛けることなく携帯端末UIデータとともにビデオデータを外部の映像表示装置に表示させることができるようにすることを企図する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による携帯端末は、ビデオデータを生成する手段と、携帯端末UIデータを生成する手段と、前記ビデオデータと前記携帯端末UIデータとを画像として合成することなく外部へ出力する出力手段とを備えたものである。これにより、携帯端末でのビデオデータと携帯端末UIデータの合成処理は不要となる。
【0014】
前記出力手段は、例えば、前記携帯端末UIデータをHDMI規格のデジタル信号伝送方式におけるデータアイランド期間に転送し、前記ビデオデータをそのビデオデータ期間に転送する。
【0015】
本発明の映像表示装置は、携帯端末からビデオデータおよび携帯端末UIデータを受信する手段と、内部に用意されている映像表示装置UIデータと、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータとに基づいてUI画像を描画する手段と、描画されたUI画像を前記ビデオデータと合成する手段と、合成したデータを表示画面上に表示する表示手段とを備える。
【0016】
本発明による映像処理システムは、携帯端末から出力したビデオデータを映像表示装置に表示させる映像処理システムである。前記携帯端末は、ビデオデータと携帯端末UIデータとを画像として合成することなく前記映像表示装置へ出力する。前記映像表示装置は、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータと、内部に用意されている映像表示装置UIデータとに基づいてUI画像を描画し、この描画されたUI画像を前記携帯端末から受信したビデオデータと合成し、合成したデータを表示画面上に表示する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、携帯端末からビデオデータを出力する際に、従来端末側で行っていた携帯端末UIデータの画像合成の処理を、映像表示装置側に分散することにより、携帯端末の処理負荷を軽減することができる。また、その消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の映像処理システムの一般的な構成を示した図である。
【図2】従来のフレーム合成の対象フレームの流れを示した図である。
【図3】本発明の実施の形態における携帯端末のHDMI接続時の映像処理システムの基本構成を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る映像表示装置(TV)におけるユーザインタフェース(UI)の表示例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるシステム構成例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるフレーム合成の対象フレームの流れを示した図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるUIデータパック部の処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態におけるUIデータアンパック部の処理のフローチャートである。
【図9】HDMIのTMDS経由で転送するデータの構成を示した図である。
【図10】TMDSのデータ転送イメージを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態についてさらなる図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図3に、本実施の形態における携帯端末のHDMI接続時の映像処理システムの基本構成を示している。携帯端末100は例えば携帯電話端末に代表される携帯機器である。携帯端末100と映像表示装置(TV)200との間はHDMIケーブル160を介して接続している。同時に映像表示装置200のリモート・コントローラ250による例えば赤外線通信202による映像表示装置200の操作も可能である。HDMIでは、ビデオ、オーディオデータのTV側への送信、並びに、CEC(Consumer Electronics Control)による制御信号の受け渡し方法が規格として定義されている。
【0021】
図4は、本実施の形態に係る映像表示装置(TV)200におけるユーザインタフェース(UI)画像の表示例を示したものである。ここでは、携帯端末100とTV200とで異なるUI情報を持つことを前提としている。
【0022】
図4(a)は、映像領域(ビデオエリア)に携帯端末から送出されたUIデータに基づくUI画像をオーバーレイ表示する例を示したものである。この場合、一般的技術として、UIデータは位置情報と共にRGB888などのビットマップイメージでパーツのデータを保持する仕組みを想定している。
【0023】
図4(b)は、携帯端末から送出されたUIをビデオのエリア範囲外に表示する場合の例を示している。この場合、TV側のUI表示ツールを操作することを想定している。つまりは、ビットマップイメージを直接受け渡しするのではなく、GUIライブラリの操作に必要なデータを受け渡しすることになる。
【0024】
図4(a)(b)の表示は状況に応じて切り替えて表示することも可能である。なお、映像表示装置200側のUIをどのように表示するかは映像表示装置の製品ごとの要求仕様に依存する。
【0025】
いずれにせよ本発明では、従来、端末側で行っていた携帯端末UIの合成処理を端末側では行わず、TV側でのTVUI合成時に合わせて行うようにしたものである。
【0026】
図5は、本実施の形態におけるシステム構成例を示している。
【0027】
図1に示したと同様、ストレージもしくはストリーミングによる、圧縮されたビデオデータを保持しており、ビデオデコーダ110にてデコード処理を行い、ビデオ画像の復元を行う。ビデオストリームのデコード処理によりビデオフレームを生成し、このビデオフレームをHDMIのTMDS経由でTV200へビデオデータとして送信する。この時、図1の従来例と異なり、ビデオデータとUIデータとの合成は行わない。ビデオフレームの生成と平行して、携帯端末UIデータの更新時にUI描画部120でUI画像の描画を行い、その携帯端末UIデータをHDMIのデータアイランドパケット(Data Island Packet)に乗せる。そのために、UIデータパック部130により携帯端末UIデータ自体をパケット化する。ここでは、HDMIの規格CEA-861Dに規定されたVendor-Specific Info Frame, 0x81を用いることを想定している。また、UIデータは、RGB形式を代表とした画像データを想定しているが、これに限るものではない。UIデータパック部130により生成されたパケットデータは、ビデオデコーダ110から出力されるビデオフレームデータとともに、HDMIドライバ(出力手段)140により、HDMI接続上のTMDS経由でTV200へ転送される。UIデータのフレーム更新はUI更新時(例えば操作メニュー変更時等)にのみ発生するため、データ量は大きくなく、ビデオ転送への影響は無視できる。
【0028】
転送された携帯端末UIデータは、TV(Sink)側で、パケットが解かれ、TV側のUI描画部230へと入力される。UI描画部230では、内部に用意されているTVUIデータ(映像表示装置UIデータ)と携帯端末UIデータとを同時に扱い、フレーム合成部250にてビデオフレームとの合成処理を行う。この合成データは表示ドライバ270を介してTV表示部280へ出力される。
【0029】
図6に、本実施の形態におけるフレーム合成の対象フレームの流れを示す。
【0030】
デコード後のビデオフレームに対して、携帯端末UIの合成は携帯端末側では行わずに、パケット化した携帯端末UIデータがビデオデータとともにTVへ送信される。UIデータアンパック部220でパケットから携帯端末UIデータが抽出される。この携帯端末UIデータはTVUI描画部230で、TVナビゲーション用UIと合成される。この合成結果はさらにフレーム合成部250で表示フレームと合成される。
【0031】
図7に、UIデータパック部130の処理のフローチャートを示す。この処理は、UIデータの転送サイズと一度に転送可能なサイズとに基づいて転送回数を算出し、"info frame"(パケット)にUIデータを詰めて、転送回数分、転送を行うものである。
【0032】
具体的には、携帯端末UIデータの更新があると、転送数(ct)を携帯端末UIデータ総数/パケットサイズ+1に設定する(S11)。ついで、ctをループ変数として、ループ処理に入る。まず、ctをデクリメントし(S12)、携帯端末UIデータを”info frame”中に詰め込む(すなわちパックする)(S13)。この”info frame”をHDMI転送する(S14)。ctが0に達するまではステップS12に戻り、上記の処理を繰り返す。ctが0に達したら処理を終了する。
【0033】
図8に、UIデータアンパック部220の処理のフローチャートを示す。
【0034】
携帯端末から”info frame”を受信したとき、これが新たな携帯端末UIデータかどうかをチェックする(S21)。新たな携帯端末UIデータであれば、転送数(ct)を更新する(S22)。新たな携帯端末UIデータでない場合、またはステップS22の後、ctをデクリメントし(S23)、その”info frame”から抽出した携帯端末UIデータを蓄積する(S24)。ctが0に達するまでは(S25,No)、次の”info frame”を待つ。ctが0に達したら(S25,Yes)、それまでに蓄積して組み立てたUIデータをUI描画部230に渡す(S26)。
【0035】
図9に、HDMIのTMDS経由で転送するデータの構成(規格書より抜粋)を示す。総数525ラインのビデオデータに対する水平帰線期間と、垂直帰線期間との中に制御期間とデータアイランド(Data Island)期間が設けられている。本実施の形態では、そのデータアイランド期間を携帯端末UIデータの転送に利用する。
【0036】
なお、前述のようにHDMI規格ではCECによる制御情報の転送も可能としている。携帯端末の操作部の操作に基づく制御情報はCECを利用して映像表示装置へ送信することができる。携帯端末UIデータの転送にもCECを利用することが考えられる。しかし、その制御ラインは画像の転送のためではなく、リモコン操作等のコンシューマ機器の操作に用いるためのものであり、転送速度は高速ではない。よって、本実施の形態のようにUIデータをTMDS経由で転送するのが効果的である。
【0037】
図10にTMDSのデータ転送イメージ(規格書より抜粋)を示す。図示のTMDSのライン上に、携帯端末UIデータをデータアイランド期間に転送し、携帯端末UIとの未合成のビデオデータを通常のビデオデータ期間に転送する。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0039】
例えば、デジタル映像・音声入出力インタフェースとしてHDMIを例に挙げたが、本発明は必ずしもHDMIの利用に限定されるものではない。
【0040】
携帯端末UIデータとしてそのUI画像のサイズについては特に言及しなかったが、異なる表示画面サイズに応じた携帯端末UIデータを別個に用意しておき、確認した転送先の映像表示装置の表示画面サイズに応じて対応するサイズの携帯端末UIデータを選択して映像表示装置へ送るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
100…携帯端末、110…ビデオデコーダ、120…UI描画部、130…データパック部、160…HDMIケーブル、200…映像表示装置、202…赤外線通信、210…HDMI受信部、220…データアンパック部、230…UI描画部、250…フレーム合成部、250…リモート・コントローラ、270…表示ドライバ、280…TV表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末から出力したビデオデータを映像表示装置に表示させる映像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話端末に代表される携帯端末(モバイル機器)には映像(ビデオ)データおよび音声(オーディオ)データを再生し、外部へ出力する機能を有するものがある。これにより携帯端末がビデオデータの供給源として、より大きな画面を有するモニタやテレビジョン装置(以下、テレビ:TVと略す)に映像を表示させて視聴することができる。その際、携帯端末の操作部による操作のナビゲーション(またはガイダンス)等を行うためのユーザインタフェース画面をTV側に表示することが好ましい。
【0003】
図1はそのような従来の映像処理システムの一般的な構成を示している。
【0004】
このシステムは、従来TV側に備わっている、チャンネル情報、時刻情報などを表示するTVユーザインタフェース(UI)に加えて、携帯端末側の操作メニューを表示する場合を考慮している。
【0005】
携帯端末10はビデオデータの供給源であり、TV20側にビデオデータを転送し、TV画面上に表示させる。携帯端末10はストレージもしくはストリーミングによる、圧縮されたビデオデータを保持しており、ビデオデコーダ11にてデコード処理を行い、ビデオ画像の復元を行う。携帯端末10からのナビゲーションキー等、携帯端末UIとして同時にTV出力を行いたいUI画像をUI描画部12にて描画生成する。TV20においてこのビデオデータとUIデータの表示を行うためには、フレーム合成部15で両データの合成処理を行う。さらに、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に準拠したHDMIドライバ17からHDMI接続上のデジタル信号伝送方式であるTMDS(Transition Minimized Differential Signalling)を介して、この合成データをTV20側へ送信する。HDMIは、家電およびAV機器向けのデジタル映像・音声入出力インタフェースの規格である。これにより、1本のケーブルで映像・音声・制御信号を合わせて送受信することができる。
【0006】
TV20は、合成信号であるビデオ・携帯UI合成データをHDMI受信部21にて受信する。また、TVナビゲーション用のユーザインタフェースデータ(映像表示装置UIデータ)はTVUI描画部23にて生成され、フレーム合成部25でビデオ・携帯UI合成データと合成される。フレーム合成部25から出力されるビデオ・携帯端末UI/TVUI合成データは、表示ドライバ27を介してTV表示部28に表示される。
【0007】
図2に、従来のフレーム合成の対象フレームの流れを示す。
【0008】
携帯端末において、デコード後のビデオフレームは携帯UIフレームと合成され、中間フレームとなる。この中間フレームはTV側でTVUIフレームと合成され、最終的な表示フレームとなる。
【0009】
なお、HDMIに関連した従来の技術として、特許文献1には、HDMI規格に準拠したDVDプレーヤ、AVアンプおよびディスプレイ装置がHDMIケーブルを介して接続されるシステムの改良について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−79177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の携帯端末環境では、ビデオフレームのデコード後に発生する、UIデータとの合成処理の負担が重く、処理能力の不足により、ビデオコンテンツに求められている再生パフォーマンスを満たすことができない場合があった。また、消費電力の観点からも問題があった。
【0012】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、携帯端末に過大な処理負荷を掛けることなく携帯端末UIデータとともにビデオデータを外部の映像表示装置に表示させることができるようにすることを企図する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による携帯端末は、ビデオデータを生成する手段と、携帯端末UIデータを生成する手段と、前記ビデオデータと前記携帯端末UIデータとを画像として合成することなく外部へ出力する出力手段とを備えたものである。これにより、携帯端末でのビデオデータと携帯端末UIデータの合成処理は不要となる。
【0014】
前記出力手段は、例えば、前記携帯端末UIデータをHDMI規格のデジタル信号伝送方式におけるデータアイランド期間に転送し、前記ビデオデータをそのビデオデータ期間に転送する。
【0015】
本発明の映像表示装置は、携帯端末からビデオデータおよび携帯端末UIデータを受信する手段と、内部に用意されている映像表示装置UIデータと、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータとに基づいてUI画像を描画する手段と、描画されたUI画像を前記ビデオデータと合成する手段と、合成したデータを表示画面上に表示する表示手段とを備える。
【0016】
本発明による映像処理システムは、携帯端末から出力したビデオデータを映像表示装置に表示させる映像処理システムである。前記携帯端末は、ビデオデータと携帯端末UIデータとを画像として合成することなく前記映像表示装置へ出力する。前記映像表示装置は、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータと、内部に用意されている映像表示装置UIデータとに基づいてUI画像を描画し、この描画されたUI画像を前記携帯端末から受信したビデオデータと合成し、合成したデータを表示画面上に表示する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、携帯端末からビデオデータを出力する際に、従来端末側で行っていた携帯端末UIデータの画像合成の処理を、映像表示装置側に分散することにより、携帯端末の処理負荷を軽減することができる。また、その消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の映像処理システムの一般的な構成を示した図である。
【図2】従来のフレーム合成の対象フレームの流れを示した図である。
【図3】本発明の実施の形態における携帯端末のHDMI接続時の映像処理システムの基本構成を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る映像表示装置(TV)におけるユーザインタフェース(UI)の表示例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるシステム構成例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるフレーム合成の対象フレームの流れを示した図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるUIデータパック部の処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態におけるUIデータアンパック部の処理のフローチャートである。
【図9】HDMIのTMDS経由で転送するデータの構成を示した図である。
【図10】TMDSのデータ転送イメージを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態についてさらなる図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図3に、本実施の形態における携帯端末のHDMI接続時の映像処理システムの基本構成を示している。携帯端末100は例えば携帯電話端末に代表される携帯機器である。携帯端末100と映像表示装置(TV)200との間はHDMIケーブル160を介して接続している。同時に映像表示装置200のリモート・コントローラ250による例えば赤外線通信202による映像表示装置200の操作も可能である。HDMIでは、ビデオ、オーディオデータのTV側への送信、並びに、CEC(Consumer Electronics Control)による制御信号の受け渡し方法が規格として定義されている。
【0021】
図4は、本実施の形態に係る映像表示装置(TV)200におけるユーザインタフェース(UI)画像の表示例を示したものである。ここでは、携帯端末100とTV200とで異なるUI情報を持つことを前提としている。
【0022】
図4(a)は、映像領域(ビデオエリア)に携帯端末から送出されたUIデータに基づくUI画像をオーバーレイ表示する例を示したものである。この場合、一般的技術として、UIデータは位置情報と共にRGB888などのビットマップイメージでパーツのデータを保持する仕組みを想定している。
【0023】
図4(b)は、携帯端末から送出されたUIをビデオのエリア範囲外に表示する場合の例を示している。この場合、TV側のUI表示ツールを操作することを想定している。つまりは、ビットマップイメージを直接受け渡しするのではなく、GUIライブラリの操作に必要なデータを受け渡しすることになる。
【0024】
図4(a)(b)の表示は状況に応じて切り替えて表示することも可能である。なお、映像表示装置200側のUIをどのように表示するかは映像表示装置の製品ごとの要求仕様に依存する。
【0025】
いずれにせよ本発明では、従来、端末側で行っていた携帯端末UIの合成処理を端末側では行わず、TV側でのTVUI合成時に合わせて行うようにしたものである。
【0026】
図5は、本実施の形態におけるシステム構成例を示している。
【0027】
図1に示したと同様、ストレージもしくはストリーミングによる、圧縮されたビデオデータを保持しており、ビデオデコーダ110にてデコード処理を行い、ビデオ画像の復元を行う。ビデオストリームのデコード処理によりビデオフレームを生成し、このビデオフレームをHDMIのTMDS経由でTV200へビデオデータとして送信する。この時、図1の従来例と異なり、ビデオデータとUIデータとの合成は行わない。ビデオフレームの生成と平行して、携帯端末UIデータの更新時にUI描画部120でUI画像の描画を行い、その携帯端末UIデータをHDMIのデータアイランドパケット(Data Island Packet)に乗せる。そのために、UIデータパック部130により携帯端末UIデータ自体をパケット化する。ここでは、HDMIの規格CEA-861Dに規定されたVendor-Specific Info Frame, 0x81を用いることを想定している。また、UIデータは、RGB形式を代表とした画像データを想定しているが、これに限るものではない。UIデータパック部130により生成されたパケットデータは、ビデオデコーダ110から出力されるビデオフレームデータとともに、HDMIドライバ(出力手段)140により、HDMI接続上のTMDS経由でTV200へ転送される。UIデータのフレーム更新はUI更新時(例えば操作メニュー変更時等)にのみ発生するため、データ量は大きくなく、ビデオ転送への影響は無視できる。
【0028】
転送された携帯端末UIデータは、TV(Sink)側で、パケットが解かれ、TV側のUI描画部230へと入力される。UI描画部230では、内部に用意されているTVUIデータ(映像表示装置UIデータ)と携帯端末UIデータとを同時に扱い、フレーム合成部250にてビデオフレームとの合成処理を行う。この合成データは表示ドライバ270を介してTV表示部280へ出力される。
【0029】
図6に、本実施の形態におけるフレーム合成の対象フレームの流れを示す。
【0030】
デコード後のビデオフレームに対して、携帯端末UIの合成は携帯端末側では行わずに、パケット化した携帯端末UIデータがビデオデータとともにTVへ送信される。UIデータアンパック部220でパケットから携帯端末UIデータが抽出される。この携帯端末UIデータはTVUI描画部230で、TVナビゲーション用UIと合成される。この合成結果はさらにフレーム合成部250で表示フレームと合成される。
【0031】
図7に、UIデータパック部130の処理のフローチャートを示す。この処理は、UIデータの転送サイズと一度に転送可能なサイズとに基づいて転送回数を算出し、"info frame"(パケット)にUIデータを詰めて、転送回数分、転送を行うものである。
【0032】
具体的には、携帯端末UIデータの更新があると、転送数(ct)を携帯端末UIデータ総数/パケットサイズ+1に設定する(S11)。ついで、ctをループ変数として、ループ処理に入る。まず、ctをデクリメントし(S12)、携帯端末UIデータを”info frame”中に詰め込む(すなわちパックする)(S13)。この”info frame”をHDMI転送する(S14)。ctが0に達するまではステップS12に戻り、上記の処理を繰り返す。ctが0に達したら処理を終了する。
【0033】
図8に、UIデータアンパック部220の処理のフローチャートを示す。
【0034】
携帯端末から”info frame”を受信したとき、これが新たな携帯端末UIデータかどうかをチェックする(S21)。新たな携帯端末UIデータであれば、転送数(ct)を更新する(S22)。新たな携帯端末UIデータでない場合、またはステップS22の後、ctをデクリメントし(S23)、その”info frame”から抽出した携帯端末UIデータを蓄積する(S24)。ctが0に達するまでは(S25,No)、次の”info frame”を待つ。ctが0に達したら(S25,Yes)、それまでに蓄積して組み立てたUIデータをUI描画部230に渡す(S26)。
【0035】
図9に、HDMIのTMDS経由で転送するデータの構成(規格書より抜粋)を示す。総数525ラインのビデオデータに対する水平帰線期間と、垂直帰線期間との中に制御期間とデータアイランド(Data Island)期間が設けられている。本実施の形態では、そのデータアイランド期間を携帯端末UIデータの転送に利用する。
【0036】
なお、前述のようにHDMI規格ではCECによる制御情報の転送も可能としている。携帯端末の操作部の操作に基づく制御情報はCECを利用して映像表示装置へ送信することができる。携帯端末UIデータの転送にもCECを利用することが考えられる。しかし、その制御ラインは画像の転送のためではなく、リモコン操作等のコンシューマ機器の操作に用いるためのものであり、転送速度は高速ではない。よって、本実施の形態のようにUIデータをTMDS経由で転送するのが効果的である。
【0037】
図10にTMDSのデータ転送イメージ(規格書より抜粋)を示す。図示のTMDSのライン上に、携帯端末UIデータをデータアイランド期間に転送し、携帯端末UIとの未合成のビデオデータを通常のビデオデータ期間に転送する。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0039】
例えば、デジタル映像・音声入出力インタフェースとしてHDMIを例に挙げたが、本発明は必ずしもHDMIの利用に限定されるものではない。
【0040】
携帯端末UIデータとしてそのUI画像のサイズについては特に言及しなかったが、異なる表示画面サイズに応じた携帯端末UIデータを別個に用意しておき、確認した転送先の映像表示装置の表示画面サイズに応じて対応するサイズの携帯端末UIデータを選択して映像表示装置へ送るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
100…携帯端末、110…ビデオデコーダ、120…UI描画部、130…データパック部、160…HDMIケーブル、200…映像表示装置、202…赤外線通信、210…HDMI受信部、220…データアンパック部、230…UI描画部、250…フレーム合成部、250…リモート・コントローラ、270…表示ドライバ、280…TV表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオデータを生成する手段と、
携帯端末UIデータを生成する手段と、
前記ビデオデータと前記携帯端末UIデータとを画像として合成することなく外部へ出力する出力手段と
を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記出力手段は、前記携帯端末UIデータをHDMI規格のデジタル信号伝送方式におけるデータアイランド期間に転送し、前記ビデオデータをそのビデオデータ期間に転送する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
携帯端末からビデオデータおよび携帯端末UIデータを受信する手段と、
内部に用意されている映像表示装置UIデータと、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータとに基づいてUI画像を描画する手段と、
描画されたUI画像を前記ビデオデータと合成する手段と、
合成したデータを表示画面上に表示する表示手段と
を備えた映像表示装置。
【請求項4】
携帯端末から出力したビデオデータを映像表示装置に表示させる映像処理システムであって、
前記携帯端末は、ビデオデータと携帯端末UIデータとを画像として合成することなく前記映像表示装置へ出力し、
前記映像表示装置は、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータと、内部に用意されている映像表示装置UIデータとに基づいてUI画像を描画し、この描画されたUI画像を前記携帯端末から受信したビデオデータと合成し、合成したデータを表示画面上に表示する
映像処理システム。
【請求項1】
ビデオデータを生成する手段と、
携帯端末UIデータを生成する手段と、
前記ビデオデータと前記携帯端末UIデータとを画像として合成することなく外部へ出力する出力手段と
を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記出力手段は、前記携帯端末UIデータをHDMI規格のデジタル信号伝送方式におけるデータアイランド期間に転送し、前記ビデオデータをそのビデオデータ期間に転送する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
携帯端末からビデオデータおよび携帯端末UIデータを受信する手段と、
内部に用意されている映像表示装置UIデータと、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータとに基づいてUI画像を描画する手段と、
描画されたUI画像を前記ビデオデータと合成する手段と、
合成したデータを表示画面上に表示する表示手段と
を備えた映像表示装置。
【請求項4】
携帯端末から出力したビデオデータを映像表示装置に表示させる映像処理システムであって、
前記携帯端末は、ビデオデータと携帯端末UIデータとを画像として合成することなく前記映像表示装置へ出力し、
前記映像表示装置は、前記携帯端末から受信した携帯端末UIデータと、内部に用意されている映像表示装置UIデータとに基づいてUI画像を描画し、この描画されたUI画像を前記携帯端末から受信したビデオデータと合成し、合成したデータを表示画面上に表示する
映像処理システム。
【図1】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図6】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図6】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−252215(P2010−252215A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101734(P2009−101734)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]