説明

携帯端末及び送電装置、無接点電力伝送システム

【課題】 コスト上昇や構成大型化を招くことなく、携帯端末と送電装置の設計自由度を高め、無接点電力伝送用のコイルの中心位置を簡単且つ迅速、確実に略々一致させることを可能にする。
【解決手段】
携帯電話端末は、クレードルの一次側伝送コイル10から伝送された送電電力を二次側伝送コイル14にて受電する。電圧検出器52は、その二次側伝送コイル14に発生した電圧を検出する。制御回路51は、基準電圧発生器53にて発生される基準電圧値と、電圧検出器52が検出した電圧値とを比較し、その検出電圧値が基準電圧値以上になった時、端末CPU54へ報知制御信号を送る。端末CPU54は、報知制御信号を受け取ると、音声ドライバ55を駆動制御し、スピーカ50から、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置関係を表す音声を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の一次側伝送コイルと二次側伝送コイルとの間で無接点電力伝送を行う携帯端末及び送電装置、無接点電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば携帯端末に内蔵された二次電池を充電するための充電用電力を、無接点電力伝送コイルによる電磁誘導を利用して伝送するようなシステムが知られている。
【0003】
また、特開2006−42519号の公開特許公報(特許文献1)には、例えば携帯電話端末のように薄型化が要求される携帯端末に搭載される無接点電力伝送コイルとして、表面に絶縁層が設けられた単線又は撚り線からなる電線を略々同一平面内に渦巻き状(スパイラル状)に巻回した平面コイルを用いることが開示されている。さらに、この公報には、送電側の平面コイルと受電側の平面コイルを対向させて配置した時に、それら両コイルの対向面の反対側の面に、両コイルから発生する磁界による不要輻射を抑えるための磁性シートを、当該反対側の面全体を覆うようにそれぞれ設けることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−42519号公報(図2及び図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、送電側となる一次側伝送コイルと、受電側となる二次側伝送コイルとを対向配置した状態で無接点電力伝送を行う場合において、例えば、それら一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの両中心位置がずれていたとすると、それらコイル間での無接点電力伝送の効率が悪くなってしまう。このため、例えば、クレードルに設けられた一次側伝送コイルと携帯端末に設けられた二次側伝送コイルとの間で無接点電力伝送を行い、その携帯端末の二次電池を充電するような場合において、それら両コイル中心位置がずれて電力伝送効率が落ち、携帯端末の消費電力がクレードルから供給される電力よりも大きくなっているような時には、当該携帯端末の二次電池への充電電力が不足してしまうことになる。また、そのような充電電力の不足を補うために、クレードル側からより多くの電力を伝送しようとすると、コイルの発熱が大きくなってしまうことになる。なお、コイル中心位置ずれによって電力伝送効率が低下している場合でも、ユーザはそのことを直接知ることはできない。この場合、ユーザは、例えば携帯端末の二次電池の残量が無くなって使用できなくなったり、クレードルが発熱していることなどから、コイル中心位置ずれが発生していることを間接的に知ることになる。
【0006】
また、一次側伝送コイルと二次側伝送コイルを実際に設計する場合には、それらコイル間の中心位置ずれに対して或る程度の余裕を持たせた設計が行われることが多い。しかしながら、コイル間の中心位置ずれに対する余裕を大きくするためには、例えばコイルを大きくしたり、透磁率の良い磁性シートを使用するなどの対策が必要となり、コストの上昇や構成の大型化が避けられない。
【0007】
一方、コイル間の中心位置ずれが発生しないように、設計上の理想位置に携帯端末を強制的に置かせるようなクレードル設計を採用することも可能であるが、その場合、携帯端末の形状、及び、クレードルの端末載置台の形状が共に制限されてしまうことになり、端末デザイン及びクレードルデザインの設計自由度が下がってしまう。すなわち、それぞれ形状の異なる複数機種の携帯端末用のクレードルはそれら異なる各機種の端末形状に各々対応したものになってしまい、この場合、ユーザは例えば携帯端末を買い換える度に、クレードルも買い換えなければならなくなり、ユーザへの負担が非常に大きくなってしまう。
【0008】
また、クレードルに或る程度の大きさを有する平面状の端末載置台を設け、その平面状端末載置台へ携帯端末を載せる仕様にすれば、携帯端末の形状についての設計自由度を高めることができる。しかしながら、或る程度の大きさを有する平面状端末載置台の場合、携帯端末を置く位置が定まらないため、クレードルの一次側伝送コイルの中心に携帯端末の二次側伝送コイルの中心位置を確実に合わせることが難しくなってしまう。なお、このような場合、例えばクレードルの端末載置台上に一次側伝送コイルの中心位置を示すマークを付け、また、携帯端末にも二次側伝送コイルの中心位置を示すマークを付けるなどして、それら両マークを合わせるように携帯端末を置くことをユーザに求めるようにすることが考えられる。しかしながら、携帯載置台と携帯端末との間の距離が近づくにつれ、それら両マークは携帯端末筐体に遮られユーザから見え難くなり、携帯端末が置かれた際にそれら両マークが略々一致した状態になっているのかどうかをユーザは判断することができない。また、実際に充電が開始された時に、例えば充電開始ランプを点灯させることで携帯端末の置き位置が略々正しい位置であることをユーザに知らせるようにすることも考えられるが、この場合、携帯端末が端末載置台に置かれてから実際に充電が開始されて充電開始ランプが点灯するまでには、例えば1秒間程度の遅れがあり、ユーザは携帯端末の置き位置が適正であるどうかを直ぐに知ることができず、利便性が悪い。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、平面状の一次側伝送コイルと二次側伝送コイルとの間で無接点電力伝送を行う場合において、コストの上昇や構成の大型化を招くことなく、また、一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの電子機器の形状の設計自由度を損なうことなく、それら両コイル間の中心位置を簡単且つ迅速、確実に略々一致させることが可能で、ユーザにとって利便性の高い携帯端末及び送電装置、無接点電力伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯端末は、所定の送電装置に設けられた一次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、当該所定の送電装置からの送電電力を受電する二次側平面状コイルを備えた携帯端末であり、利用者が認識可能な報知を行う報知部と、所定の送電装置の送電電力を受電することにより二次側平面状コイルに発生した電圧を検出する電圧検出部と、所定の基準電圧を発生する基準電圧発生部と、電圧検出部の検出電圧と基準電圧発生部からの所定の基準電圧との比較に基づいて、一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を報知部が実行する際の制御を行う報知制御部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0011】
また、本発明の送電装置は、無接点電力伝送の送電側となる一次側平面状コイルを有し、無接点電力伝送の受電側となる携帯端末に設けられた二次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、当該携帯端末の二次側平面状コイルへ電力を送電する送電装置であり、利用者が認識可能な報知を行う報知部と、一次側平面状コイルを通じて携帯端末との間で通信を行うための通信部と、携帯端末の二次側平面状コイルの発生電圧を表す信号を通信部を通じて受信した時、その発生電圧を表す信号に基づいて、一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を報知部が実行する際の制御を行う報知制御部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0012】
また、本発明の無接点電力伝送システムは、無接点電力伝送の送電側となる一次側平面状コイルを備えた送電装置と、無接点電力伝送の受電側となる二次側平面状コイルとを備えた携帯端末とからなり、それら一次側平面状コイルと二次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、送電装置から携帯端末へ無接点電力伝送を行う無接点電力伝送システムであり、携帯端末は、送電装置からの送電電力を受電することにより二次側平面状コイルに発生した電圧を検出し、その検出電圧と所定の基準電圧との比較に基づいて、一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を実行させる際の制御を行うことことにより、上述した課題を解決する。
【0013】
また、本発明の無接点電力伝送システムは、無接点電力伝送の送電側となる一次側平面状コイルを備えた送電装置と、無接点電力伝送の受電側となる二次側平面状コイルとを備えた携帯端末とからなり、それら一次側平面状コイルと二次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、送電装置から携帯端末へ無接点電力伝送を行う無接点電力伝送システムであり、携帯端末は、送電装置からの送電電力を受電することにより二次側平面状コイルに発生した電圧を検出し、その検出電圧を表す信号を二次側平面状コイルを通じて送電装置へ送信し、送電装置は、携帯端末が送信した検出電圧を表す信号を一次側平面状コイルを通じて受信した時、当該検出電圧を表す信号に基づいて、一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を実行させる際の制御を行うことにより、上述した課題を解決する。
【0014】
すなわち本発明によれば、携帯端末の二次側平面状コイルに発生した電圧と所定の基準電圧とを比較することで、例えば携帯端末が送電装置の一次側平面状コイルの近傍に置かれた時に、その一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの中心位置関係を検知しており、その位置関係の検知結果に基づいて、一時側平面状コイルと二次側平面状コイルの中心位置関係を、利用者にとって認識可能なように報知するようにしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、携帯端末の二次側平面状コイルに発生した電圧と所定の基準電圧との比較結果に基づいて、一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知の実行を制御することにより、一次側平面上コイルと二次側平面状コイルとの間で無接点電力伝送を行う場合において、コストの上昇や構成の大型化を招くことなく、また、一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの電子機器の形状の設計自由度を損なうことなく、それら両コイル間の中心位置を簡単且つ迅速、確実に略々一致させることが可能となり、したがって、ユーザにとって利便性の高い携帯端末及び送電装置、無接点電力伝送システムを提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0017】
なお、本実施形態では、無接点電力伝送コイルを備えた本発明の携帯端末の一例として、電磁誘導により電力が発生する渦巻き状平面コイルを二次側伝送コイルとして備えた携帯電話端末を挙げ、また、本発明の送電装置の一例として、渦巻き状平面コイルを一次側伝送コイルとして備え、本発明実施形態の携帯電話端末の内蔵二次電池を充電する機能を備えたクレードルを例に挙げ、本発明の無接点電力伝送システムとして、それら携帯電話端末とクレードルからなる無接点充電システムを例に挙げている。勿論、本実施形態で説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0018】
〔携帯電話端末とクレードルの概略構成及び充電時の基本動作〕
図1には、本発明実施形態の携帯電話端末2とクレードル1との間で行われる無接点電力伝送に関連した主要部の概略的構造を示す。
【0019】
本実施形態の携帯電話端末2は、少なくとも、当該端末の動作電力を発生する二次電池からなるバッテリ16と、上記バッテリ16の充電を行う際の受電側の無接点電力伝送コイルである二次側伝送コイル14と、上記二次側伝送コイル14を通じて受電した電力を上記バッテリ16へ供給して充電させるための充電制御回路を含む各種電子回路が実装された回路基板15とを、当該端末筐体の内部に備えている。なお、本実施形態においては、一般的な携帯電話端末が備えているその他の構成要素の図示及び説明については省略している。
【0020】
上記バッテリ16は着脱可能となされており、したがって、携帯電話端末2には当該バッテリ16を着脱する際に開閉(若しくは着脱)されるバッテリ蓋13が設けられている。
【0021】
上記二次側伝送コイル14は、導電性を有する線状導体が渦巻き状に形成された平面コイルとなされており、当該二次側伝送コイル14の一方の平面部が、上記バッテリ蓋13の内壁面、若しくは上記バッテリ16のバッテリ蓋側の外表面上に例えば貼り付けられている。本実施形態では、上記バッテリ蓋13の内壁面に二次側伝送コイル14が貼り付けられているとする。
【0022】
一方、本実施形態のクレードル1は、少なくとも、携帯電話端末2のバッテリ16の充電を行う際の送電側の無接点電力伝送コイルである一次側伝送コイル10と、上記一次側伝送コイル10への電力供給とその制御を行う制御基板部11と、例えば家庭用電源に接続される電源コード12とを備えている。なお、本実施形態において、一般的なクレードルが備えているその他の構成要素の図示及び説明については省略する。
【0023】
このクレードル1の一次側伝送コイル10は、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14と略々同様に、導電性を有する線状導体が渦巻き状に形成された平面コイルとなされており、当該一次側伝送コイル10の一方の平面部が、当該クレードル1に設けられている或る程度の大きさを有した平面状の端末載置台の筐体内壁面側に貼り付けられている。
【0024】
制御基板部11は、当該クレードル1の端末載置台に上記携帯電話端末2が置かれ、その携帯電話端末2の二次側伝送コイル14と当該クレードル1の一次側伝送コイル10とが近接配置することにより、一次側伝送コイル10内の磁界の状態が変化した時に、その磁界の状態変化に応じた電圧変動を検知可能となされている。そして、制御基板部11は、上記二次側伝送コイル14が近接配置された時の一次側伝送コイル10における磁界の状態変化に応じた電圧変動による電圧値が、予め定めた所定の電圧値になったことを検知した時に、当該クレードル1の端末載置台に携帯電話端末2が置かれたと判断する。
【0025】
同様に、本実施形態の携帯電話端末2の充電制御回路は、クレードル1の端末載置台に自端末が置かれて、二次側伝送コイル14とクレードル1の一次側伝送コイル10とが近接配置することで、二次側伝送コイル14内の磁界の状態に変化が生じた時、その磁界状態変化に応じた電圧変動を検知可能となされている。そして、携帯電話端末2の充電制御回路は、上記一次側伝送コイル10が近接配置された時の二次側伝送コイル14における磁界の状態変化に応じた電圧変動による電圧値が、予め定めた所定の電圧値になったことを検知した時に、自端末がクレードル1の端末載置台に置かれたと判断する。
【0026】
なお、詳細な構成及び動作については後述するが、本実施形態では、携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台に近づけられた際に二次側伝送コイル14から発生する電圧値と、予め定めた基準電圧値との比較を行い、その比較結果に基づいて、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置がクレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置に略々一致したか否か、つまり、充電時にクレードル1の端末載置台上の最適位置範囲内に携帯電話端末2が入っているか否かを、ユーザに音の出力や画像の表示等により報知可能となされている。
【0027】
また、本実施形態において、クレードル1と携帯電話端末2は、上記一次側伝送コイル10及び二次側伝送コイル14を介した情報の伝達が可能となされている。例えば、上記携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台に置かれ、上述のように磁界の状態変化に基づいて相互に一次側コイル10と二次側コイル14との近接配置を検知した時、それらクレードル1と携帯電話端末2は、上記一次側伝送コイル10及び二次側伝送コイル14を介した情報伝達により、互いに相手方を認証するための識別情報の交換を行う。
【0028】
そして、本実施形態において、上記一次側コイル10と二次側コイル14とが近接配置されたことをクレードル1及び携帯電話端末2が共に検知し、更に、クレードル1と携帯電話端末2とが互いに相手方を認証できた時に、クレードル1から電力伝送が行われ、その伝送された電力により携帯電話端末2のバッテリ16の充電が行われることになる。
【0029】
このように携帯電話端末2のバッテリ16への充電が開始される場合、上記クレードル1の制御基板部11は、上記電源コード12を通じて供給される家庭用交流電圧を所定の直流電圧に変換し、その直流電圧を用いて所定の周波数の交流電圧を生成して、当該生成した交流電圧を上記一次側伝送コイル10へ供給する。
【0030】
一方、携帯電話端末2側では、上記クレードル1の一次側伝送コイル10からの交流電圧により上記二次側伝送コイル14に交流電圧が誘起されると、その誘起された交流電圧を整流して直流電圧に変換し、その直流電圧によりバッテリ16の充電を行う。
【0031】
また、本実施形態において、クレードル1の制御基板部11は、一次側伝送コイル10の磁界の状態変化に基づく電圧値が予め定めた所定の電圧値にならなかった時、若しくは、一次側伝送コイル10の磁界の状態変化に基づく電圧値が予め定めた所定の電圧値になった場合でも上記識別情報による相手方の認証が出来なかった時には、上記一次側伝送コイル10の磁界の状態変化が例えばコイン等の金属物体やその他の導電性物体が端末載置台に載っていることで発生したものであると判断し、上記一次側伝送コイル10への電力供給を行わないように制御する。
【0032】
また、本実施形態において、クレードル1からの電力伝送により携帯電話端末2のバッテリ16の充電が行われている時、それらクレードル1と携帯電話端末2との間では、上記一次側伝送コイル10及び二次側伝送コイル14を介して充電情報の伝達が行われる。すなわち、携帯電話端末2の充電制御回路は、クレードル1からの電力伝送によりバッテリ16の充電が行われている時、そのバッテリ16の充電情報をクレードル1へ伝送する。クレードル1の制御基板部11は、携帯電話端末2から伝達された充電情報により、その端末2のバッテリ16の充電状況を監視しており、バッテリ16の充電が完了していないことを当該充電情報により把握している場合には上記一次側伝送コイル10を通じた電力伝送を続行し、一方、バッテリ16の充電が完了したことを充電情報により把握した場合には電力伝送を停止するような制御を行う。その他にも、制御基板部11は、例えば、携帯電話端末2から何らかの異常を示す情報が供給されたような場合にも電力伝送を停止する制御を行う。
【0033】
〔携帯電話端末とクレードルの内部回路構成〕
図2には、本発明実施形態の携帯電話端末2とクレードル1の無接点電力伝送に関連した主要部の詳細な内部回路構成を示す。
【0034】
図2において、クレードル側の内部回路20は、前記図1の制御基板部11に含まれており、主要な構成要素として、ACアダプタ21、送電電力制御部22、ドライバ23を有して構成されている。
【0035】
ACアダプタ21は、前述の電源コード12を通じて供給される家庭用交流電圧を所定の直流電圧に変換し、その直流電圧を送電電力制御部22を通じてドライバ23へ送る。
【0036】
ドライバ23は、送電電力制御部22による制御の元で、上記直流電圧を所定の周波数の交流電圧に変換し、その交流電圧を上記一次側伝送コイル10へ供給する。
【0037】
また、一次側伝送コイル10の両コイル端部間には、分圧抵抗24が接続されている。当該分圧抵抗24は、一次側伝送コイル10の両コイル端部間における電圧を分圧し、その分圧出力を送電電力制御部22へ送るために設けられている。
【0038】
送電電力制御部22は、主要な構成要素として、制御回路26、発振回路27、波形検出器28の他、電圧監視器29、温度検出器30等を備えている。
【0039】
当該送電電力制御部22の発振回路27は、例えば、当該クレードル1から携帯電話端末2へ充電電力を伝送する際の基準発振信号を生成し、その基準発振信号を制御回路26へ出力する。
【0040】
波形検出器28には、上記一次側伝送コイル10の両コイル端部間に表れる電圧を分圧抵抗24により分圧した出力が供給される。当該波形検出器28は、上記分圧出力の信号波形を検出して、その検出波形信号をA/D変換した検出波形データを制御回路26へ出力する。
【0041】
上記制御回路26は、当該クレードル1から携帯電話端末2側へ充電電力を伝送する場合には、上記発振回路27からの基準発振信号に基づいて上記ドライバ23を駆動制御することにより、当該ドライバ23から一次側伝送コイル10へ上記所定の周波数の交流電圧を供給させる。
【0042】
また、制御回路26は、上記分圧抵抗24及び波形検出器28を通じて供給された上記検出波形データ、つまり一次側伝送コイル10の両コイル端部間に表れる電圧波形の検出波形データに基づいて、上記端末載置台への携帯電話端末2の接近,離脱の判断や、上記携帯電話端末2側からの情報伝達の有無と伝達情報の内容抽出を行う。すなわち制御回路26は、上記端末載置台への携帯電話端末2の接近,離脱により上記一次側伝送コイル10に発生する電圧変動や、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14から情報伝送が行われた場合に上記一次側伝送コイル10に発生する電圧変動を、上記分圧抵抗24及び波形検出器28を通じた検出波形データにより検知し、また当該検出波形データから伝達情報の内容の抽出等を行う。そして、制御回路26は、上記端末載置台への携帯電話端末2の接近,離脱や、上記携帯電話端末2側から供給された伝達情報等に基づき、必要に応じて、ドライバ23から一次側伝送コイル10への交流電圧の供給と停止の制御や、一次側伝送コイル10への交流電圧の周波数の制御などを行う。
【0043】
電圧監視器29は、例えば上記分圧抵抗24からの電圧値に基づいて、一次側伝送コイル10に規定外の異常電圧が発生するか若しくはその発生が予測されるかどうかを監視する。そして、電圧監視器29は、規定外の異常電圧が発生したことを検知若しくはその発生を予測した場合には、その旨の検知情報を制御回路26へ送る。
【0044】
温度検出器30は、例えば一次側伝送コイル10の近傍若しくはその内部に設けられている温度センサ31からの信号に基づいて、一次側伝送コイル10が規定外の異常温度になるか若しくは異常温度になることが予測されるかどうかを監視する。そして、温度検出器30は、規定外の異常温度になったことを検知若しくは異常温度になると予測した場合には、その旨の検知情報を制御回路26へ送る。
【0045】
そして、制御回路26は、当該クレードル1から携帯電話端末2側へ充電電力を伝送する際若しくは伝送中、或いは、それら以外の時に、上記異常電圧の検知情報又は上記異常温度の検知情報の何れか一方でも受け取った場合、上記ドライバ23を停止させて一次側伝送コイル10への電力供給を停止若しくは供給開始を行わないような制御を行う。
【0046】
一方、図2において、携帯電話端末2側の内部回路40は、前記図1の回路基板15に含まれており、主要な構成要素として、整流回路43、分圧抵抗44、レギュレータ45、充電電圧制御部46、携帯電話充電回路47、端末制御部49、二次電池であるバッテリ48、内蔵スピーカ50等を有して構成されている。なお、この図2の携帯電話端末2側の内部回路40において、クレードル1との間の情報交換のための回路構成や、通常の携帯電話端末が備えている他の回路構成については図示及び説明を省略する。
【0047】
整流回路43は、二次側伝送コイル14の両コイル端部間の出力電圧(交流電圧)を、直流電圧に変換してレギュレータ45へ送る。
【0048】
レギュレータ45は、整流回路43から供給された直流電圧を、当該携帯電話端末の充電回路47で使用される所定電圧に変換して、充電電圧制御部46へ送る。
【0049】
分圧抵抗44は、整流回路43とレギュレータ45との間に設けられており、整流回路43からの直流電圧を分圧し、その分圧出力を、充電電圧制御部46の電圧検出器52と基準電圧発生器53へ送るために設けられている。すなわち、分圧抵抗44は、クレードル1の一次側伝送コイル10に自端末の二次側伝送コイル14が近づいた時に発生する電圧に応じた分圧出力を、少なくとも電圧検出器52へ送るために設けられている。
【0050】
充電電圧制御部46は、主要な構成要素として、制御回路51、電圧検出器52、基準電圧発生器53を備えている。
【0051】
電圧検出器52は、上記分圧抵抗44から得られた分圧出力値をA/D変換し、そのA/D変換後のデータを検出電圧値データとして制御回路51へ送る。
【0052】
基準電圧発生器53は、例えば、バッテリ48の残量が充分にあるときには当該バッテリ48からの電圧出力を用い、一方、バッテリ48の残量が充分に無い場合に上記分圧抵抗44から分圧出力が得られた時にはその分圧抵抗44からの電圧出力を用いて、予め定めた基準電圧値を表す基準電圧データを生成して制御回路51へ送る。なお、本発明実施形態において、当該基準電圧発生器53にて生成される基準電圧データは、少なくとも一つの基準電圧値を表す基準電圧データとなされるが、望ましくは二以上の複数の異なる基準電圧値をそれぞれ表す複数の基準電圧データとなされる。
【0053】
制御回路51は、上記電圧検出器52から検出電圧値データが送られてきた時、当該電圧検出器52からの検出電圧値データが、予め定められている規定電圧範囲内かどうか判断し、電圧検出器108の検出電圧値データが規定電圧範囲内である場合には、上記レギュレータ45から携帯電話充電回路47へ充電電力の供給を行い、一方、上記電圧値データが規定電圧範囲外である場合には上記レギュレータ45から携帯電話充電回路47への充電電力供給を行わないような充電電力供給制御を行う。
【0054】
また本実施形態において、制御回路51は、上記電圧検出器52から検出電圧値データが送られてきた時、その検出電圧値データと、上記基準電圧発生器53からの基準電圧値データとを比較し、検出電圧値が基準電圧値以上になった時に、後段の端末制御部49の端末CPU54へ、所定の報知制御信号を出力する。なお、基準電圧発生器53が発生する基準電圧値が複数ある場合、制御回路51は、それら複数の基準電圧値と上記検出電圧値とを比較し、検出電圧値が何れの基準電圧値を越えたかにより、後段の端末制御部49の端末CPU54へ出力する所定の報知制御信号の内容を変更する。なお、端末制御部49の端末CPU54において、所定の報知制御信号が供給された場合の動作については後述する。
【0055】
携帯電話充電回路47は、充電電圧制御部46から充電電力が供給された時、バッテリ48の残量に応じて、上記充電電力を当該バッテリ48へ送って充電する。
【0056】
端末制御部49の端末CPU54は、自端末の動作に関連する各種様々な制御や演算を行う。また、本実施形態において、端末制御部49には、音声ドライバ55も含まれている。当該音声ドライバ55は、内蔵スピーカ50と接続されており、端末CPU54による制御の元で、内蔵スピーカ50から音声を出力させるためのスピーカ駆動を行う。
【0057】
〔所定の報知制御信号に基づく報知動作の説明〕
以下、本発明実施形態において、制御回路51が、電圧検出器52からの検出電圧値データと基準電圧発生器53からの基準電圧値データとの比較に基づいて、所定の報知制御信号を生成し、その報知制御信号に応じて後段の端末制御部49の端末CPU54が実行する報知制御動作について説明する。
【0058】
本実施形態では、携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台に近づけられた際に二次側伝送コイル14から発生して電圧検出器52が検出した電圧値と、基準電圧発生器53が発生した基準電圧値とが比較され、その比較結果に基づいて、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14とクレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置が略々一致したか否か、すなわち、充電時にクレードル1の端末載置台上の最適位置範囲内に携帯電話端末2が入っているか否かを、ユーザに対して音の出力や画像の表示等により報知可能となされている。
【0059】
先ず、実際の報知動作の説明を行う前に、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置が略々一致した場合やそれらコイルの中心位置がずれた場合に、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14から出力される電圧値の変化について、図3〜図6を用いて説明する。
【0060】
図3〜図5には、携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台上に置かれた時の、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の位置関係を示し、図3は一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置が略々一致している状態(ずれ量が例えば0mmの状態)を示し、図4は両コイルの中心位置が例えば3mm程度ずれた状態を、図5は両コイルの中心位置が例えば6mm程度ずれた状態をそれぞれ表している。
【0061】
また、図6には、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置のずれ量と、二次側伝送コイル14からの出力電流及び出力電力との関係を表している。なお、図6の例では、両コイルの中心位置のずれ量として、X=0(ずれ量が略々ゼロ)、X=1(ずれ量が1mm)、X=2(ずれ量が2mm)、・・・、X=8(ずれ量が8mm)の場合の各出力電流及び出力電力の関係を表している。
【0062】
これら図3〜図6の例からわかるように、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置のずれ量がX=0〜X=5の範囲内では、二次側伝送コイル14からの出力電流及び出力電力の関係にさほど変化は見られないのに対し、中心位置のずれ量がX=6以上になると、二次側伝送コイル14からの出力電力が大きく低下することがわかる。無接点電力伝送時のこのような特性は、二次側伝送コイル14の出力電圧においても同様となっている。すなわち、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置が略々一致した状態である場合には、二次側伝送コイル14に発生する電圧は最大となる一方で、両コイルの中心位置がずれると、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14との間の鎖交磁束が減るため、二次側伝送コイル14からの発生電圧は減ることになる。
【0063】
このようなことから、本実施形態においては、携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台上に置かれ、二次側伝送コイル14からの出力電圧を電圧検出器52が検出した場合、制御回路51では、当該検出電圧値と、両コイルの中心位置関係が最適位置範囲内であるときの電圧値を元に予め設定されて基準電圧発生器53から出力される基準電圧値とを比較し、検出電圧値が基準電圧値以上になった時に、所定の報知制御信号を出力して端末CPU54へ出力する。そして、端末CPU54は、制御回路51から所定の報知制御信号を受け取ると、両コイルの中心位置関係が最適位置範囲内に入って携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台上の最適位置に置かれたことを、ユーザに対して報知する制御を実行する。
【0064】
特に、本実施形態においては、基準電圧発生器53には、上記基準電圧値として、例えば図7に示すような二つの基準電圧値V1,V2が予め設定されており、制御回路51は、電圧検出器52の検出電圧値が例えば基準電圧値V1以上で且つ基準電圧値V2未満である時には、両コイルの中心位置関係がもう少しで最適位置範囲内に入ることを示す報知制御信号を端末CPU54へ出力し、また、電圧検出器52の検出電圧が例えば基準電圧値V2以上になった時には、両コイルの中心位置関係が最適位置範囲内に入ったことを示す報知制御信号を端末CPU54へ出力する。これにより、端末CPU54は、両コイルの中心位置関係がもう少しで最適位置範囲内に入る時にはその旨をユーザに報知する制御を実行でき、その後、両コイルの中心位置関係が最適位置範囲内に入った時にはその旨をユーザに報知する制御を実行できることになる。すなわち、本実施形態によれば、クレードル1の端末載置台上の最適位置に携帯電話端末2を置くように、ユーザを誘導することが可能となっている。なお、基準電圧値は上述の二つに限定されず、三つ以上の複数の基準電圧値を用いて、より細かく最適位置範囲をユーザへ知らせるようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態によれば、ユーザへの報知は二次側伝送コイル14の出力電圧の検出電圧値に基づいて行われ、この電圧検出は、実際に携帯電話端末2のバッテリ48への充電が開始される前に実施できるものであるため、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた時に、直ちに両コイルの中心位置関係が適正な位置範囲内にあるかどうかをユーザに知らせることができる。すなわち例えば、実際に充電動作が開始された時にコイル中心位置関係が適正位置範囲内かどうかを判断するようにした場合には、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれてから、それらクレードル1と携帯電話端末2との間の通信により充電可能か否かの判断が行われた後、実際に充電が開始されることになり、コイル中心位置関係が適正位置範囲内かどうかの結果がわかるまでに、或る程度の時間遅れが発生してしまうのに対して、本実施形態の場合のように、二次側伝送コイル14の出力電圧の検出値を用いた場合には、クレードル1に携帯電話端末2が置かれた時に直ぐに両コイルの中心位置関係が適正位置範囲内にあるかどうかを判断できる。したがって、ユーザは、携帯電話端末2をクレードル1上に置く際に、直ぐにその置き位置が正しいかどうかを知ることができることになる。
【0066】
〔報知の具体例〕
本実施形態では、上述したユーザに対する報知を、音の出力や画像の表示等により実行可能となされている。
【0067】
図2に示した構成は、音声の出力によりユーザへの報知を行う場合の構成例を示している。
【0068】
すなわち図2の構成例において、制御回路51からの所定の報知制御信号は、端末CPU54が音声ドライバ55を制御してスピーカ50から報知音声を出力させるための制御信号となされている。
【0069】
図8には、音声出力による具体的な報知の一例を示す。
【0070】
図8の(A)は、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた場合において、クレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置に対して、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置が大きくずれている場合を示している。なお、図中の星印3は、一次側伝送コイル10の中心位置を示すために端末載置台上に描かれたマークである。
【0071】
図8の(B)は、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた場合において、クレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置と、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置とが略々一致した場合を示している。この図8の(B)の例のように、両コイルの中心位置が略々一致した場合、本実施形態の携帯電話端末2は、内蔵スピーカ50から例えば「ここです!」のような音声を出力する。
【0072】
本実施形態によれば、この図8の例のように、両コイルの中心位置関係を表す音声を出力することにより、ユーザは、両コイルの中心位置関係が最適位置範囲内に入ったかどうかを知ることができることになる。なお、内蔵スピーカから出力される音声(「ここです!」)は一例であり、上述の例の他に、例えば、別の言葉、男女何れかの声、動物の鳴き声、複数の声や音、音楽等からなるものでもよく、また例えば、クレードルが店舗内や施設内などに設置されている場合には当該店舗や施設等の名称を表す言葉や宣伝文句などの音声などであってもよい。それら音声等は、デフォルトで設定されているものの他に、ユーザが複数の音等の候補の中から任意に選択して設定したり、例えばネットワーク経由で取得した所望の音等を任意に設定したものでもよい。
【0073】
図9には、画像の表示によりユーザへの報知を行う場合の一構成例を示す。なお、図9において、図2と同じ構成要素には図2と同一の指示符号を付して、それらの動作等の説明は省略する。
【0074】
この図9の構成例の場合、端末制御部49には、LCD(液晶ディスプレイ)ドライバ56が含まれている。当該LCDドライバ56は、携帯電話端末2の表示デバイスであるLCD(液晶ディスプレイ)57と接続されており、端末CPU54による制御の元で、LCD57の画面上に画像等を表示させるためのLCD駆動を行う。そして、この図9の構成例の場合、制御回路51からの所定の報知制御信号は、端末CPU54がLCDドライバ56を制御して、LCD57の画面上に報知画像を表示させるための制御信号となされている。
【0075】
図10には、画像の表示によりユーザへの報知を行う場合の他の構成例を示す。なお、図10において、図9と同じ構成要素には図9と同一の指示符号を付して、それらの動作等の説明は省略する。
【0076】
この図10の構成例は、電圧検出器52の検出電圧値データと基準電圧値データとの比較を制御回路51ではなく、端末CPU54にて行うようにした場合の構成を示している。この図10の構成例の場合、制御回路51は、電圧検出器52から供給された検出電圧値データを、端末CPU54に送る。
【0077】
また、この図10の構成の場合、端末制御部49内に基準電圧発生器58が設けられている。当該基準電圧発生器58は、前述の基準電圧発生器53と同様の基準電圧値データを発生してそのデータを端末CPU54へ供給する。
【0078】
そして、この図10の例の端末CPU54は、電圧検出器52から検出電圧値データと、上記基準電圧発生器58からの基準電圧値データとを比較し、検出電圧値が基準電圧値を越えた時に、LCDドライバ56を制御して、LCD57の画面上に報知画像を表示させる。
【0079】
なお、この図10のような構成は、前述の音声による報知を行う構成にも適用可能である。すなわちこの場合、音声による報知を行う構成の場合においても上述同様に、電圧検出器52の検出電圧値データと基準電圧値データとの比較は制御回路51ではなく、端末CPU54にて行われ、制御回路51で電圧検出器52から供給された検出電圧値データを端末CPU54に送る。また、端末制御部49内には基準電圧発生器58が設けられており、端末CPU54は、電圧検出器52から検出電圧値データと、基準電圧発生器58からの基準電圧値データとを比較し、検出電圧値が基準電圧値を越えた時に、音声ドライバ55を制御して、スピーカ50から報知音声を出力させる。
【0080】
図11から図23には、画像表示による報知の一具体例を示す。
【0081】
図11の(A)は、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた場合において、クレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置に対して、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置が大きくずれている場合を示している。なお、図中の星印3は、一次側伝送コイル10の中心位置を示すために端末載置台上に描かれたマークである。また、図11の(B)は、図11の(A)のように、両コイルの中心位置が大きくずれている場合に、本実施形態の携帯電話端末2のLCD57の画面上に、両コイルの中心位置関係をユーザへ報知するための一例としてレベルメータ70が表示されている場合を示している。
【0082】
図12の(A)は、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた場合において、クレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置に対して、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置が或る程度近づいた場合を示している。また、図12の(B)は、図12の(A)のように、両コイルの中心位置が或る程度近い場合に、本実施形態の携帯電話端末2のLCD57の画面上のレベルメータ70の表示例を示している。
【0083】
図13の(A)は、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた場合において、クレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置に対して、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置が図12の例よりもさらに近づいた場合を示している。また、図13の(B)は、図13の(A)のように、両コイルの中心位置が近い場合に、本実施形態の携帯電話端末2のLCD57の画面上のレベルメータ70の表示例を示している。
【0084】
図14の(A)は、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた場合において、クレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置に対して、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置が略々一致した場合を示している。また、図14の(B)は、図14の(A)のように、両コイルの中心位置が略々一致した場合に、本実施形態の携帯電話端末2のLCD57の画面上のレベルメータ70の表示例を示している。
【0085】
本実施形態によれば、これら図11〜図14に示したように、両コイルの中心位置関係を表すレベルメータ70をLCD57の画面上に表示することで、ユーザは、両コイルの中心位置関係がどのようになっているのかを知ることができることになる。なお、図11〜図14に示した表示は一例であり、上述したレベルメータ70とは別の種類のレベルメータや、例えば赤色から青色など色の変化、表示されるマーク等の大きさの変更、数値表記などでもよく、また例えば、クレードルが店舗内や施設内などに設置されている場合にはその店舗や施設等の名称を表す表示や宣伝文などの表示であってもよいし、さらに、それらと文字や記号等が併用されていてもよい。さらに、それら表示は、デフォルトで設定されているものの他に、ユーザが任意に選択して設定したり、例えばネットワーク経由で取得した所望の画像等を任意に設定されたものでもよい。
【0086】
図15〜図17は、図11〜図14で示したものとは異なる種類のレベルメータ71を用いた場合の例を示しており、図15には例えば図12の(A)の例のようにクレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置に対して携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の中心位置が或る程度近づいた場合のレベルメータ71の表示例を、図16には図13の(A)の例のように両コイルの中心位置が近づいた場合のレベルメータ71の表示例を、図17には図14の(A)の例のように両コイルの中心位置が略々一致した場合のレベルメータ71の表示例を示している。
【0087】
また、図18〜図20は、図17〜図16で示したレベルメータ71に、両コイルの位置関係を表す言葉の文字72を併用した場合の例を示しており、図18には図12の(A)の例のように両コイルの中心位置が或る程度近づいた場合のレベルメータ71とそれに併用された文字72の表示例を、図19には図13の(A)の例のように両コイルの中心位置が近づいた場合のレベルメータ71と文字72の表示例を、図20には図14の(A)の例のように両コイルの中心位置が略々一致した場合のレベルメータ71と文字72の表示例を示している。なお、本実施形態において、レベルメータと文字を併用する場合であっても、両方を表示する設定と何れか一方を任意に非表示にする設定とを、ユーザが任意に切り替えることも勿論可能である。
【0088】
また、図21〜図23は、例えばマーク73の大きさにより両コイルの中心位置関係を表示するようにした場合の一例を示しており、図21には図12の(A)の例のように両コイルの中心位置が或る程度近づいた場合のマーク73の表示及び大きさの例を、図22には例えば図13の(A)のように両コイルの中心位置が近づいた場合のマーク73の表示及び大きさの例を、図23には例えば図14の(A)の例のように両コイルの中心位置が略々一致した場合のマーク73の表示及び大きさの例を示している。
【0089】
なお、上述の説明では、音声と表示を別々に説明したが、それら音声と表示の両方を用いてユーザへの報知を行うことも可能である。勿論、音声と表示を併用する場合であっても、両方を用いる設定と何れか一方のみを用いる設定とを、ユーザが任意に切り替えることも可能である。
【0090】
〔マナーモード、省電力モード時の動作〕
ところで、携帯電話端末2は、いわゆるマナーモードや省電力モードの設定が可能となされており、当該携帯電話端末2がマナーモードに設定されていて音声出力ができない状態になっていたり、また、省電力モードに設定されていることでLCD57のバックライトが消灯されていたような場合、前述したようなユーザへの報知ができなくなる虞がある。
【0091】
このようなことから、本実施形態においては、携帯電話端末2がマナーモードや省電力モードに設定されている場合に、当該携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台上に置かれた時に、それらマナーモードや省電力モードを一時的に解除することで、ユーザへの報知を確実に行うことも可能となされている。また、本実施形態では、マナーモードや省電力モードを一時的に解除した場合、その後例えば携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台上から外された時に、それら一旦解除されたマナーモードや省電力モードの設定を元に戻すことも可能となされている。なお、このように携帯電話端末2がクレードル1に置かれた時にマナーモードや省電力モードの一時的解除を行うか否かや、一旦解除したマナーモードや省電力モードを携帯電話端末2がクレードル1から離した時に設定を元に戻すかどうかについては、勿論、ユーザにより任意に設定可能となされている。
【0092】
図24には、本実施形態の携帯電話端末2において、自端末2がクレードル1の端末載置台上に置かれた時に、マナーモード設定がなされているときにはそのマナーモードを一時的に解除してユーザへの報知処理を実行し、また、自端末2がクレードル1から離された時に、先に一時的に解除されたマナーモードを元の設定に戻すような処理を、例えば端末CPU54が制御回路51からの報知制御信号に基づいて行うような場合のフローチャートを示す。なお、図24のフローチャートはあくまで一例である。
【0093】
図24において、二次側伝送コイル14の出力電圧値が規定電圧値以上となり、電圧検出器52からの検出電圧値に基づいて制御回路51が報知制御信号を出力し、その報知制御信号が端末CPU54へ送られると、当該端末CPU54は、先ずステップS1の処理として、クレードル1の端末載置台上に自端末が置かれた時に両コイルの中心位置が最適位置範囲内かどうかをユーザへ報知することを行うコイル位置報知モードが、当該自端末において設定されているか否か判断する。端末CPU54は、自端末がコイル位置報知モードに設定されていない時には当該図24のフローチャートの処理を終了し、一方、自端末がコイル位置報知モードに設定されている時にはステップS2へ処理を進める。
【0094】
ステップS2の処理に進むと、端末CPU54は、両コイル中心位置が最適位置範囲内かどうかをユーザへ報知するモードとして、前述した音声を用いた位置報知モードの設定がなされているか否かを判断する。端末CPU54は、音声による位置報知モードの設定がなされていないと判断した時には後述のステップS6へ処理を進め、一方、音声による位置報知モードの設定がなされている時にはステップS3へ処理を進める。
【0095】
ステップS3の処理に進むと、端末CPU54は、自端末においてマナーモードの設定がなされている(ONになっている)か否か判断し、マナーモードが設定されていないと判断した時にはステップS6へ処理を進め、一方、マナーモードが設定されていると判断した時にはステップS4へ処理を進める。
【0096】
ステップS4の処理に進むと、端末CPU54は、自端末がクレードル1上に置かれた時にマナーモードを一時的に解除する設定がなされているか否か判断し、当該マナーモードの一時解除設定がなされていないと判断した時にはステップS6へ処理を進め、一方、マナーモードの一時解除設定がなされていると判断した時にはステップS5へ処理を進める。
【0097】
ステップS5の処理に進むと、端末CPU54は、自端末において設定されているマナーモードを解除(OFF)し、ステップS6へ処理を進める。
【0098】
ステップS6の処理に進むと、端末CPU54は、制御回路51から供給される報知制御信号に基づいて、二次側伝送コイル14と一次側伝送コイル10の中心位置関係が最適位置範囲内に入っているかどうかをユーザへ報知するための位置報知処理を実行する。すなわち、この場合、端末CPU54は、音声ドライバ55を通じてスピーカ50から音声出力を行わせることにより、ユーザへの報知を行う。
【0099】
なお、ステップS4においてマナーモードの一時解除設定がなされていない場合、つまりマナーモードを一時的に解除することが許可されていない場合には、上記ステップS6にて位置報知処理が実行されている場合でもスピーカ50から音声出力はなされないことになるが、例えば、別途表示等によるユーザへの位置報知モードの設定がなされている場合には、当該表示等による位置報知処理が行われることになる。その他にも、マナーモードの一時的解除が許可されていない場合、携帯電話端末2の充電ランプを点灯するなどによりユーザへの報知を行ってもよい。
【0100】
次に、ステップS7の処理として、端末CPU54は、自端末がクレードル1から離されたか否か、すなわち、制御回路51からの報知制御信号により、二次側伝送コイル14の出力電圧値が規定電圧値以上となったか否か判断し、自端末がクレードル1から離されたと判断した時にはステップS9へ処理を進め、一方、自端末がクレードル1から離されていない判断している時にはステップS7へ処理を進める。
【0101】
ステップS7の処理に進むと、端末CPU54は、予め自端末において設定されている一定時間が経過したか否か、すなわち例えば、ユーザに対して位置報知を行う時間として予め設定されている時間が経過したか否か判断し、当該報知設定時間が経過していないと判断している時にはステップS6へ処理を戻し、一方、報知設定時間が経過したと判断した時にはステップS9へ処理を進める。なお、報知設定時間の長さは、予めデフォルトで設定されていてもよく、ユーザにより任意に長さが決定されてもよい。また、両コイルの中心位置関係が最適位置範囲内に入り、その旨をユーザへ報知した場合、予め設定された報知設定時間が経過する前であっても、ステップS8からステップS9へ処理を進めるようにしてもよい。
【0102】
ステップS9の処理に進むと、端末CPU54は、先にマナーモードの一時解除を行ったか否か判断し、一時解除を行っていないと判断した場合には処理を終了し、一方、先に一時解除を行ったと判断した場合にはステップS10へ処理を進める。
【0103】
ステップS10の処理に進むと、端末CPU54は、一時解除されたマナーモードを再設定(マナーモードをON)にした後、処理を終了する。
【0104】
図25には、本実施形態の携帯電話端末2において、自端末2がクレードル1の端末載置台上に置かれた時に、省電力モードが設定されていて画面消灯設定がなされているときにはその画面消灯設定を一時的に解除してユーザへの報知処理を実行し、また、自端末2がクレードル1から離された時に、先に一時的に解除された画面消灯設定を元の設定に戻すような処理を、例えば端末CPU54が制御回路51からの報知制御信号に基づいて行うような場合のフローチャートを示す。なお、図25のフローチャートはあくまで一例である。また、当該図25の処理と図24で説明した処理は、端末CPU54にて例えば並列的に行われてもよく、時系列的に行われてもよい。
【0105】
図25において、二次側伝送コイル14の出力電圧値が規定電圧値以上となり、電圧検出器52からの検出電圧値に基づいて制御回路51が報知制御信号を出力し、その報知制御信号が端末CPU54へ送られると、当該端末CPU54は、先ずステップS21の処理として、クレードル1の端末載置台上に自端末が置かれた時に両コイルの中心位置が最適位置範囲内かどうかをユーザへ報知することを行うコイル位置報知モードが、当該自端末において設定されているか否か判断する。端末CPU54は、自端末がコイル位置報知モードに設定されていない時には当該図25のフローチャートの処理を終了し、一方、自端末がコイル位置報知モードに設定されている時にはステップS22へ処理を進める。
【0106】
ステップS22の処理に進むと、端末CPU54は、両コイル中心位置が最適位置範囲内かどうかをユーザへ報知するモードとして、前述した画面上の表示を用いた位置報知モードの設定がなされているか否かを判断する。端末CPU54は、画面上の表示を用いた位置報知モードの設定がなされていないと判断した時には後述のステップS26へ処理を進め、一方、画面上の表示による位置報知モードの設定がなされている時にはステップS23へ処理を進める。
【0107】
ステップS23の処理に進むと、端末CPU54は、自端末において省電力モードが設定され、さらに当該省電力モードにて画面消灯設定がなされているか否か判断し、画面消灯設定がなされていないと判断した時にはステップS26へ処理を進め、一方、画面消灯設定がなされていると判断した時にはステップS24へ処理を進める。
【0108】
ステップS24の処理に進むと、端末CPU54は、自端末がクレードル1上に置かれた時に省電力モードの画面消灯設定を一時的に解除する設定がなされているか否か判断し、当該画面消灯設定の一時解除設定がなされていないと判断した時にはステップS26へ処理を進め、一方、画面消灯設定の一時解除設定がなされていると判断した時にはステップS25へ処理を進める。
【0109】
ステップS25の処理に進むと、端末CPU54は、自端末において設定されている省電力モードの画面消灯設定を解除し、ステップS26へ処理を進める。
【0110】
ステップS26の処理に進むと、端末CPU54は、制御回路51から供給される報知制御信号に基づいて、二次側伝送コイル14と一次側伝送コイル10の中心位置関係が最適位置範囲内に入っているかどうかをユーザへ報知するための位置報知処理を実行する。すなわち、この場合、端末CPU54は、LCDドライバ56を通じてLCD57の画面上への報知画像の表示を行わせることにより、ユーザへの報知を行う。
【0111】
なお、ステップS24において省電力モードの画面消灯設定についての一時解除設定がなされていない場合、つまり画面消灯設定を一時的に解除することが許可されていない場合には、上記ステップS26にて位置報知処理が実行されている場合でもLCD57の画面点灯は行われないことになるが、当該画面上には報知画像が表示されている。またこの場合において、例えば、別途音声出力等によるユーザへの位置報知モードの設定がなされている場合には、当該音声出力等による位置報知処理が行われることになる。
【0112】
次に、ステップS27の処理として、端末CPU54は、自端末がクレードル1から離されたか否か、すなわち、制御回路51からの報知制御信号により、二次側伝送コイル14の出力電圧値が規定電圧値以上となったか否か判断し、自端末がクレードル1から離されたと判断した時にはステップS29へ処理を進め、一方、自端末がクレードル1から離されていない判断している時にはステップS27へ処理を進める。
【0113】
ステップS27の処理に進むと、端末CPU54は、予め自端末において設定されている一定時間が経過したか否か、すなわち、ユーザに対して位置報知を行う時間として予め設定されている時間が経過したか否か判断し、当該報知設定時間が経過していないと判断している時にはステップS26へ処理を戻し、一方、報知設定時間が経過したと判断した時にはステップS29へ処理を進める。なお、この場合の報知設定時間の長さについても、前述の音声出力による報知処理の場合と同様に、予めデフォルトで設定されていてもよく、ユーザにより任意に長さが決定されてもよい。また、両コイルの中心位置関係が最適位置範囲内に入り、その旨をユーザへ報知した場合、予め設定された報知設定時間が経過する前であっても、ステップS28からステップS29へ処理を進めるようにしてもよい。
【0114】
ステップS29の処理に進むと、端末CPU54は、先に省電力モードの画面消灯設定の一時解除を行ったか否か判断し、一時解除を行っていないと判断した場合には処理を終了し、一方、先に一時解除を行ったと判断した場合にはステップS30へ処理を進める。
【0115】
ステップS30の処理に進むと、端末CPU54は、一時解除された画面消灯設定をONに再設定にした後、処理を終了する。
【0116】
〔クレードル側で行うユーザ報知例〕
上述した実施形態では、携帯電話端末2がユーザへの報知を行う例を挙げたが、クレードル1がユーザへの報知を行うことも可能である。
【0117】
クレードル1側にてユーザ報知を行う場合、携帯電話端末2が検出した二次側伝送コイル14の検出電圧値データ(或いは当該検出電圧値に基づくデータ)が、例えばクレードル1と携帯電話端末2との間で認証で行われる際の通信時に、携帯電話端末2からクレードル1へフィードバックされる。
【0118】
携帯電話端末2から検出電圧値データを受け取ったクレードルは、前述の携帯電話端末における処理と同様に、当該検出電圧値と基準電圧値との比較を行い、その比較の結果に基づいてユーザへの報知を行う。ユーザへの報知は、当該クレードル1に備えられたスピーカやLCD、レベルメータ、発光ダイオード(LED)などにより行われる。
【0119】
図26には、クレードル1がスピーカ83を備えており、そのスピーカ83からの音声出力によりユーザ報知を行う場合の一構成例を示している。なお、この図26の構成はあくまで一例である。
【0120】
図26において、送電電力制御部22の制御回路26は、波形検出器28から得られる検出波形データから、携帯電話端末2より送られてくる情報の内容抽出を行った際に、その情報内に携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の検出電圧値データが存在した場合には、当該検出電圧値データをクレードル制御部80のクレードルCPU81へ送る。
【0121】
当該検出電圧値データを受け取ったクレードルCPU81は、その検出電圧値と、基準電圧発生器84から得られる基準電圧値とを比較し、その比較結果に基づいて、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14とクレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置が略々一致したか否かを判断する。そして、音声ドライバ82を制御し、充電時にクレードル1の端末載置台上の最適位置範囲内に携帯電話端末2が入っているか否かを表す音声等をスピーカ83から出力させることにより、ユーザ報知を行う。
【0122】
なお、図26の例では、携帯電話端末2から検出電圧値データが送られてくる例を挙げたが、携帯電話端末2側で検出電圧値と基準電圧値との比較を行い、その比較結果に基づく報知制御信号をクレードル1側に連絡し、クレードル1側では当該報知制御信号に応じて上記ユーザ報知を行うようにしてもよい。この場合、クレードル1側の基準電圧発生器84は不要となる。
【0123】
図27には、クレードル1がレベルメータやLED等の表示デバイス85を備えており、その表示デバイス85の表示によりユーザ報知を行う場合の一構成例を示している。なお、この図27の構成はあくまで一例である。
【0124】
図27において、携帯電話端末2から送られてきた検出電圧値データを受け取ったクレードルCPU81は、その検出電圧値と基準電圧値とを比較し、その比較結果に基づいて、両コイルの中心位置が略々一致したか否かを判断する。そして、表示ドライバ85を制御し、携帯電話端末2が端末載置台上の最適位置範囲内に入っているか否かを表す表示を、表示デバイス86に行わせることにより、ユーザ報知を行う。
【0125】
なお、当該図27に示すユーザ報知を行う構成例においても、上述の音声出力による場合と同様に、携帯電話端末2から検出電圧値データが送られてくる例を挙げたが、携帯電話端末2側で検出電圧値と基準電圧値との比較を行い、その比較結果に基づく報知制御信号をクレードル1側に連絡し、クレードル1側では当該報知制御信号に応じて上記ユーザ報知を行うようにしてもよい。
【0126】
また例えば、クレードル1側がユーザ報知を行うための構成を備えている場合であっても、携帯電話端末2側にてユーザ報知を実行するような設定になされている時には、それらの情報を携帯電話端末2とクレードル1の間で通信することにより、当該クレードル1側でのユーザ報知を行わずに、携帯電話端末2にユーザ報知の実行を任せるようにしてもよい。その他にも、例えばクレードル1側がユーザ報知を行うための構成を備えている一方で、携帯電話端末2側にてユーザ報知を実行するような設定となっている場合において、例えば携帯電話端末2がマナーモードや省電力モードとなっている場合、それらの情報を携帯電話端末2とクレードル1の間で通信することにより、携帯電話端末2では前述したようなマナーモードや省電力モードの一時解除を行わずに、クレードル1側でユーザ報知を行うようにしてもよい。
【0127】
〔まとめ〕
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、クレードル1の端末載置台上に携帯電話端末2が置かれた場合、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14の検出電圧値と基準電圧値との比較を行い、その比較結果に基づいて、携帯電話端末2の二次側伝送コイル14とクレードル1の一次側伝送コイル10の中心位置関係が最適位置範囲内に入っているかどうかを判断すると共に、それら両コイルの中心位置関係がどのようになっているかを、音出力や表示などによりユーザへ報知可能となされているため、ユーザは、それら両コイル間の中心位置を簡単且つ迅速、確実に略々一致させることが可能となる。このように、本実施形態によれば、ユーザにとって利便性の高い携帯電話端末及びクレードル、それらからなるシステムが実現されている。
【0128】
また、本実施形態によれば、クレードル1と携帯電話端末2の両者の形状によらずに、両コイルの中心位置を合わせることが可能であるため、それらクレードル1や携帯電話端末2の形状の設計自由度が高く、それらの形状として様々なデザインを採用することが可能である。
【0129】
また、本実施形態によれば、クレードル1と携帯電話端末2の形状に対する制限が少ないため、例えばユーザが携帯電話端末2を変更した場合でも、それに合わせてクレードル1を買い換えるようなことが必要なくなり、クレードル1の共通化等が可能になるため、ユーザにとっての負担増を無くすことができる。
【0130】
また、本実施形態によれば、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置を容易且つ正確に合わせることができるため、それら両コイルは中心位置ずれに対して大きな余裕を持ったものにする必要がなく、したがって、大きなコイルを用いたり、透磁率の良い磁性シートを用いたりする必要がなく、コストの上昇や構成の大型化を招くことがない。
【0131】
さらに、本実施形態によれば、一次側伝送コイル10と二次側伝送コイル14の中心位置を容易且つ正確に合わせることができるため、中心位置ずれに起因する電力伝送効率の低下やクレードルの発熱などの弊害が発生することがない。
【0132】
その他、本実施形態によれば、携帯電話端末2とクレードル1の位置合わせの際のユーザ報知を、音声や表示等により実現しており、音声や表示をユーザにとって例えば楽しい音声や表示にした場合、ユーザは楽しい気分で充電を行うようになり、例えば充電操作をユーザが嫌うことによるバッテリ切れなどの発生を減らすことができるようになる。
【0133】
上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0134】
また、本実施形態では、携帯電話端末2とそのクレードル1を例に挙げたが、本発明はそれらに限定されず、例えばPDA(Personal Digital Assistants)やデジタルカメラ、ポータブルオーディオ機器、ポータブルビデオ機器、ポータブルのナビゲーション装置など各種の電子機器やそれらのクレードルにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明実施形態の携帯電話端末とクレードルの主要部の概略的な内部構造を示す図である。
【図2】本発明実施形態の携帯電話端末とクレードル間の無接点電力伝送に関連した主要部の詳細な内部回路構成であり、特に音声出力によるユーザ報知を行う場合の回路構成例を示すブロック回路図である。
【図3】携帯電話端末がクレードル上に置かれた時の一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの位置関係を示し、特に両コイルの中心位置が略々一致している状態(ずれ量が例えば0mmの状態)を示す図である。
【図4】携帯電話端末がクレードル上に置かれた時の一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの位置関係を示し、特に両コイルの中心位置が例えば3mm程度ずれた状態を示す図である。
【図5】携帯電話端末がクレードル上に置かれた時の一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの位置関係を示し、特に両コイルの中心位置が例えば6mm程度ずれた状態を示す図である。
【図6】一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの中心位置のずれ量と、二次側伝送コイルからの出力電流及び出力電力との関係を表すグラフである。
【図7】一次側伝送コイルと二次側伝送コイルの中心位置のずれ量と、二次側伝送コイルからの出力電圧との関係を表し、特に基準電圧値として二つの基準電圧が設定されている場合を示すグラフである。
【図8】音声出力によるユーザ報知の一具体例の説明に用いる図である。
【図9】本発明実施形態の携帯電話端末とクレードル間の無接点電力伝送に関連した主要部の詳細な内部回路構成であり、特に表示によるユーザ報知を行う場合の回路構成例を示すブロック回路図である。
【図10】表示によるユーザ報知を行う場合の他の構成例であり、特に、端末CPUが検出電圧値と基準電圧値の比較を行う場合の回路構成例を示すブロック回路図である。
【図11】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して、携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が大きくずれている場合の表示によるユーザ報知の一例の説明に用いる図である。
【図12】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が或る程度近づいた場合の両者の位置関係、及び、その際のレベルメータ表示によるユーザ報知の一例の説明に用いる図である。
【図13】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が可成り近づいた場合の両者の位置関係、及び、その際のレベルメータ表示によるユーザ報知の一例の説明に用いる図である。
【図14】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が略々一致した場合の両者の位置関係、及び、その際のレベルメータ表示によるユーザ報知の一例の説明に用いる図である。
【図15】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が或る程度近づいた場合の、別のレベルメータの表示例の説明に用いる図である。
【図16】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が可成り近づいた場合の、別のレベルメータの表示例の説明に用いる図である。
【図17】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が略々一致した場合の、別のレベルメータの表示例の説明に用いる図である。
【図18】図15のレベルメータ表示と文字表示が併用された場合の表示例の説明に用いる図である。
【図19】図16のレベルメータ表示と文字表示が併用された場合の表示例の説明に用いる図である。
【図20】図17のレベルメータ表示と文字表示が併用された場合の表示例の説明に用いる図である。
【図21】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が或る程度近づいた場合の、マーク表示例の説明に用いる図である。
【図22】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が可成り近づいた場合の、マーク表示例の説明に用いる図である。
【図23】クレードルの一次側伝送コイルの中心位置に対して携帯電話端末の二次側伝送コイルの中心位置が略々一致した場合の、マーク表示例の説明に用いる図である。
【図24】本実施形態の携帯電話端末にて音声出力によるユーザ報知を行う場合において、マナーモードの設定の有無に応じた報知処理の流れを示すフローチャートである。
【図25】本実施形態の携帯電話端末にて表示によるユーザ報知を行う場合において、省電力モードの画面消灯設定の有無に応じた報知処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】本実施形態のクレードル側にて音声出力によるユーザ報知を行う場合の回路構成例を示すブロック回路図である。
【図27】本実施形態のクレードル側にて表示によるユーザ報知を行う場合の回路構成例を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
【0136】
1 クレードル、2 携帯電話端末、3 クレードル端末載置台上の星印、10 クレードルの一次側伝送コイル、11 制御基板部、12 電源コード、13 携帯電話端末のバッテリ蓋、14 携帯電話端末の二次側伝送コイル、15 携帯電話端末の回路基板、16 携帯電話端末のバッテリ、20 クレードル側の内部回路、21 ACアダプタ、22 送電電力制御部、23 ドライバ、24 クレードル側の分圧抵抗、26 送電電力制御部の制御回路、27 発振回路、28 波形検出器、29 電圧監視器、30 温度検出器、31 温度センサ、40 携帯電話端末側の内部回路、43 整流回路、44 携帯電話端末側の分圧抵抗、45 レギュレータ、46 充電電圧制御部、47 携帯電話充電回路、48 バッテリ、49 端末制御部、50 携帯電話端末の内蔵スピーカ、51 充電電圧制御部の制御回路、52 電圧検出器、53 充電電圧制御部内の基準電圧発生器、54 端末CPU、55 携帯電話端末の音声ドライバ、56 携帯電話端末のLCDドライバ、57 LCD、58 端末制御部内の基準電圧発生器、70,71 レベルメータ、72 文字、73 マーク、80 クレードル制御部、81 クレードルCPU、82 クレードルの音声ドライバ、83 クレードルのスピーカ、84 クレードルの基準電圧発生器、85 表示ドライバ、86 表示デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の送電装置に設けられた一次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、当該所定の送電装置からの送電電力を受電する二次側平面状コイルを備えた携帯端末において、
利用者が認識可能な報知を行う報知部と、
上記所定の送電装置の送電電力を受電することにより上記二次側平面状コイルに発生した電圧を検出する電圧検出部と、
所定の基準電圧を発生する基準電圧発生部と、
上記電圧検出部の検出電圧と上記基準電圧発生部からの所定の基準電圧との比較に基づいて、上記一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を上記報知部が実行する際の制御を行う報知制御部とを有する、
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
上記報知部は、上記利用者の聴覚及び/又は視覚により認識可能な報知を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
上記報知制御部は、上記利用者が認識可能な二以上の所定の報知を上記報知部が略々同時に実行する際の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
上記基準電圧発生部は、異なる二以上の基準電圧を発生し、
上記報知制御部は、上記電圧検出部の検出電圧と上記基準電圧発生部の上記二以上の基準電圧との比較に基づいて、それぞれ異なる二以上の報知を上記報知部が実行する際の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
上記報知制御部は、上記報知部に所定の報知を実行させる際に、上記報知部での報知が非動作状態になるモードの設定がなされているか否か判断し、当該非動作状態になるモードの設定がなされている時には、その非動作状態となっているモードの設定を一時的に解除することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
上記報知制御部は、上記電圧検出部の検出電圧が上記基準電圧発生部からの所定の基準電圧以上になった時に上記報知部による所定の報知を実行させる場合において、上記報知部での報知が非動作状態になるモードを一時的に解除した後、上記検出電圧が基準電圧未満になった時、上記報知部での報知が非動作状態になるモードの再設定を行うことを特徴とする請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
上記電圧検出部の検出電圧を表す信号を、上記二次側平面状コイルを通じて上記所定の送電装置へフィードバックする通信部を有することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項8】
無接点電力伝送の送電側となる一次側平面状コイルを有し、無接点電力伝送の受電側となる携帯端末に設けられた二次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、当該携帯端末の二次側平面状コイルへ電力を送電する送電装置において、
利用者が認識可能な報知を行う報知部と、
上記一次側平面状コイルを通じて上記携帯端末との間で通信を行うための通信部と、
上記携帯端末の二次側平面状コイルの発生電圧を表す信号を上記通信部を通じて受信した時、その発生電圧を表す信号に基づいて、上記一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を上記報知部が実行する際の制御を行う報知制御部とを有する、
ことを特徴とする送電装置。
【請求項9】
上記報知部は、上記利用者の聴覚及び/又は視覚により認識可能な報知を行うことを特徴とする請求項8記載の送電装置。
【請求項10】
上記報知制御部は、上記利用者が認識可能な二以上の所定の報知を上記報知部が略々同時に実行する際の制御を行うことを特徴とする請求項8記載の送電装置。
【請求項11】
上記報知制御部は、異なる二以上の発生電圧を表す信号に基づいて、それぞれ異なる二以上の報知を上記報知部が実行する際の制御を行うことを特徴とする請求項8記載の送電装置。
【請求項12】
無接点電力伝送の送電側となる一次側平面状コイルを備えた送電装置と、無接点電力伝送の受電側となる二次側平面状コイルとを備えた携帯端末とからなり、それら一次側平面状コイルと二次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、上記送電装置から上記携帯端末へ無接点電力伝送を行う無接点電力伝送システムにおいて、
上記携帯端末は、上記送電装置からの送電電力を受電することにより上記二次側平面状コイルに発生した電圧を検出し、その検出電圧と所定の基準電圧との比較に基づいて、上記一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を実行させる際の制御を行うことを特徴とする無接点電力伝送システム。
【請求項13】
無接点電力伝送の送電側となる一次側平面状コイルを備えた送電装置と、無接点電力伝送の受電側となる二次側平面状コイルとを備えた携帯端末とからなり、それら一次側平面状コイルと二次側平面状コイルとの間の電磁誘導により、上記送電装置から上記携帯端末へ無接点電力伝送を行う無接点電力伝送システムにおいて、
上記携帯端末は、上記送電装置からの送電電力を受電することにより上記二次側平面状コイルに発生した電圧を検出し、その検出電圧を表す信号を上記二次側平面状コイルを通じて上記送電装置へ送信し、
上記送電装置は、上記携帯端末が送信した上記検出電圧を表す信号を上記一次側平面状コイルを通じて受信した時、当該検出電圧を表す信号に基づいて、上記一次側平面状コイルと二次側平面状コイルの位置関係を表す所定の報知を実行させる際の制御を行うことを特徴とする無接点電力伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−206295(P2008−206295A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39178(P2007−39178)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】