説明

携帯端末装置、表示制御方法、及び表示制御プログラム

【課題】 細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】 本携帯端末装置は、タッチパネルを介してイメージを入力する手書き入力部11と、イメージを表示する表示部17と、イメージに含まれる端部が入力されるときに、表示部17に表示される表示領域を、第1の表示領域とし、イメージに含まれる線部の入力中に、表示領域を、線部の始端が表示される第1の表示領域から線部の終端が表示される第2の表示領域へ変更する表示制御部16と、イメージに含まれる複数の線部L1、L2を1つの線部として補完する補完処理の要否を判定する補完要否判定部13と、補完処理が必要と判定された場合、補完処理を行う軌跡補完部14と、を備える。補完要否判定部13は、第1の表示領域のときに入力された第1の線部と、第2の表示領域のときに入力された第2の線部と、が同一視される場合に、補完処理が必要であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末装置として、キー操作による入力の代わりに、もしくはキー操作による入力とは別に、表示画面上をタッチして入力を行う所謂タッチパネル機能を搭載した携帯端末装置が普及している。タッチパネル機能を搭載した携帯端末装置によれば、直感的な入力を行うことができ、ユーザにとって理解しやすい入力を行うことができる。
【0003】
一方、携帯端末装置は、一般的に表示画面が小型であることが多い。この場合、例えばスケジュール機能により予定を書き込むなど、小さな文字をタッチパネルにより入力するときには、文字、図形、記号等をユーザの思い通りに入力することができないことがある。
【0004】
小さな画面等で小さな文字等を入力するための装置として、小さな表示画面で手書きイメージを入力する際、手書きに適したサイズの枠を表示し、入力が完了した時点でイメージを適切なサイズに縮小して表示する手書き入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この手書き入力装置によれば、操作者は、表示画面上の手書き表示領域に情報を直接手書きするのではなく、手書き表示範囲より拡大された枠内に情報を手書きすることができるので、例えば画数の多い文字や複雑なパターン等の手書き入力を容易に行うことができる。
【0005】
また、小さな文字を描くために描画部分を拡大する機能を有し、座標入力面の右端(下端)を含む領域にある描画方向判定面におけるタッチやドラッグのデタッチから所定の時間タッチが検出されない場合には、横方向(縦方向)にスクロールするタッチパネル付きディスプレイ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。このディスプレイ装置によれば、自動的にスクロールの方向を判定して行の始端に向けて画像をスクロールすることができる。
【0006】
また、小さな文字を描くために描画部分を拡大する機能を有し、入力位置が拡大画面の端に近づいたときに、手書き入力できるスペースを確保するためにスクロールする表示装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。この表示装置によれば、拡大画面上の入力位置と拡大画面の端との間にスペースが生じ、このスペースに手書き入力を連続して行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−124164号公報
【特許文献2】特開2004−046797号公報
【特許文献3】特開2009−098990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、描くべきイメージが拡大画面のサイズよりも大きい場合には、拡大画面に表示される画像をスクロールさせたり、拡大画面を通常画面に戻したりする必要があり、描画を一旦中断しなければならない。そのため、ユーザの思い通りにイメージを描画することができなかったり、手間がかかったりしていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能な携帯端末装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯端末装置は、タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、イメージを表示する表示部と、前記入力部により前記イメージに含まれる端部が入力されるときに、前記表示部に表示される表示領域を、第1の表示領域とし、前記入力部による前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示領域を、前記線部の始端が表示される前記第1の表示領域から前記線部の終端が表示される第2の表示領域へ変更する表示制御部と、前記入力部により入力されたイメージに含まれる複数の線部を1つの線部として補完する補完処理の要否を判定する補完要否判定部と、前記補完要否判定部により補完処理が必要と判定された場合、前記補完処理を行う補完処理部と、を備え、前記補完要否判定部が、前記第1の表示領域のときに前記入力部により入力された第1の線部と、前記第2の表示領域のときに前記入力部により入力された第2の線部と、が同一視される場合に、前記補完処理が必要であると判定する。
【0011】
この構成により、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。また、第1の線部と第2の線部とが同一視される場合に限り補完処理を行うので、ユーザが意図しない場合にまで補完処理が行われることを回避することができる。
【0012】
また、本発明の携帯端末装置は、前記第1の表示領域が、第1の拡大率での表示領域であり、前記第2の表示領域が、前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率での表示領域である。
【0013】
この構成により、表示部の表示画面の拡大率を制御することで、細かいイメージの端部を描いた後に、その時点の表示画面では描ききれない線部を描くことができ、さらに複数の線部を補完することでユーザが意図するイメージを容易に描くことができる。
【0014】
また、本発明の携帯端末装置は、前記第2の表示領域が、第1の線部の入力方向に沿って前記第1の表示領域が移行した表示領域である。
【0015】
この構成により、表示部の表示領域をスクロールさせることで、細かいイメージの端部を描いた後に、その時点の表示画面では描ききれない線部を描くことができ、さらに複数の線部を補完することでユーザが意図するイメージを容易に描くことができる。
【0016】
また、本発明の携帯端末装置は、前記補完要否判定部が、前記第1の線部が前記表示部の外側に向かって入力され、前記第1の線部の終端部の方向と前記第2の線部の始端部の方向とが略同一方向であり、前記第1の線部の終端と前記表示部の画面枠との距離が所定距離未満であり、前記第1の線部の終端と前記第2の線部の始端との距離が所定距離未満である場合に、前記補完処理が必要であると判定する。
【0017】
この構成により、表示領域の変更前後で各条件を満たすことでユーザが同一の線部を描く意図があると判定された場合に限り、線部の補完処理を実施することができる。
【0018】
また、本発明の携帯端末装置は、前記補完要否判定部が、前記入力部によって前記第1の線部が入力されてから前記第2の線部が入力されるまでに、他の入力が行われた場合、前記補完処理が不要であると判定する。
【0019】
この構成により、表示領域の変更前後で各線部を入力する間に他の入力を行った場合には、ユーザが同一の線部を描く意図がないと判定し、線部の補完処理を実施しないようにすることができる。
【0020】
また、本発明の携帯端末装置は、前記補完要否判定部が、前記入力部によって前記第1の線部が入力されてから前記第2の線部が入力されるまでの他の入力の回数が所定回数以上である場合、前記補完処理が不要であると判定する。
【0021】
この構成により、表示領域の変更前後で各線部を入力する間に他の入力が何度も行われた場合には、ユーザが同一の線部を描く意図がないと判定し、線部の補完処理を実施しないようにすることができる。
【0022】
また、本発明の携帯端末装置は、前記イメージが連続的に変化する属性を有し、前記第2の線部の属性が前記第1の線部の属性を引き継ぐよう属性を補完する属性補完処理を行う属性補完処理部を備える。
【0023】
この構成により、線部の軌跡だけでなく、線部の属性についても補完することができ、ユーザの意図が反映されたイメージを容易に描くことができる。
【0024】
また、本発明の携帯端末装置は、属性補完処理部が、前記第2の線部の始端の属性値が前記第1の線部の終端の属性値と略同一となるよう補正する。
【0025】
この構成により、異なる表示領域で線部を描いたときに線部が途中で途切れてしまった場合であっても、線部の属性を連続的に変化させることができる。
【0026】
また、本発明の携帯端末装置は、前記属性補完処理部が、前記補完処理部により補完処理が行われた線部に対して属性値を割り当てる。
【0027】
この構成により、異なる表示領域で線部を描いたときに線部が途中で途切れてしまった場合であっても、1つの線部として補完された線部に属性値を割り当てるので、線部の属性を連続的に変化させることができる。
【0028】
また、本発明の携帯端末装置は、タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、イメージを表示する表示部と、前記入力部により入力されたイメージに含まれる始端イメージが入力されるときに、前記表示部の拡大率を、第1の拡大率とし、前記入力部による前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更する表示制御部と、前記入力部により入力された前記始端イメージを記憶する始端イメージ記憶部と、前記始端イメージ記憶部に記憶された始端イメージに基づいて終端イメージを成形する終端イメージ成形部と、前記線部の終端に、前記終端イメージ成形部により成形された終端イメージを付加するイメージ付加部と、を備える。
【0029】
この構成により、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。また、始端イメージから終端イメージを自動的に付加することができるので、何度も拡大率を変更するための操作を行うことなく、容易にイメージを描くことができる。
【0030】
また、本発明の携帯端末装置は、前記終端イメージ付加部による前記終端イメージの付加の要否を判定する終端付加判定部を備え、前記終端付加判定部が、前記入力部により入力された始端イメージと前記入力部により入力された前記線部との距離が所定距離以内である場合、前記終端イメージを付加する必要があると判定し、前記終端イメージ付加部が、前記終端付加判定部により終端イメージの付加が必要であると判定された場合に、前記終端イメージを付加する。
【0031】
この構成により、ユーザが始端イメージ、線部、終端イメージを含むイメージを描こうと意図していない場合にまで始端イメージが自動的に付加されることを回避することができる。
【0032】
また、本発明の携帯端末装置は、前記イメージ付加部が、前記始端イメージと前記線部との距離と、前記終端イメージと前記線部との距離と、が略同一となるよう、前記線部の終端付近に前記終端イメージを付加する。
【0033】
この構成により、ユーザが意図した始端イメージと線部との距離を維持して、終端イメージを付加することができる。
【0034】
また、本発明の携帯端末装置は、前記イメージ付加部が、前記線部の終端に連結させて前記終端イメージを付加する。
【0035】
この構成により、ユーザの意図に反して始端イメージと線部とが離れてしまった場合であっても、終端イメージと線部の終端とを離さずに、終端イメージを付加することができる。
【0036】
また、本発明の携帯端末装置は、前記イメージ付加部が、前記始端イメージと前記線部とが連結するよう補正する。
【0037】
この構成により、ユーザの意図に反して始端イメージと線部とが離れてしまった場合であっても、始端イメージと線部とが連結された状態に補正することができ、ユーザの意図を反映したイメージを高精度に描くことができる。
【0038】
また、本発明の携帯端末装置は、前記終端イメージ成形部が、前記始端イメージ記憶部に記憶された始端イメージを反転して前記終端イメージを成形する。
【0039】
この構成により、始端イメージを利用して容易に終端イメージを成形することができる。
【0040】
また、本発明の携帯端末装置は、前記終端イメージ成形部が、前記線部と直交する方向を軸として前記始端イメージを反転し、前記終端イメージを成形する。
【0041】
この構成により、線部がどのような方向を向いていても、始端イメージに対応する終端イメージを、容易かつ高精度に成形することができる。
【0042】
また、本発明の携帯端末装置は、あらかじめ反転対象となるイメージである反転対象イメージを記憶する反転対象イメージ記憶部を備え、前記終端付加判定部が、前記入力部により入力された始端イメージが前記反転対象イメージ記憶部に記憶された反転対象イメージのいずれとも略同一でない場合、前記終端イメージの付加は不要であると判定する。
【0043】
この構成により、特定の始端イメージの場合にのみ、終端イメージを付加するよう調整することができる。
【0044】
また、本発明の携帯端末装置は、前記終端イメージ成形部が、前記終端付加判定部により前記終端イメージの付加は必要であると判定された場合、前記始端イメージ記憶部に記憶された始端イメージ又は前記反転対象イメージ記憶部に記憶された反転対象イメージに基づいて、前記終端イメージを成形する。
【0045】
この構成により、ユーザが意図した始端イメージの形状を反転対象イメージとして登録しておくことで、ユーザの意図を一層反映した終端イメージを成形することができる。
【0046】
また、本発明の携帯端末装置は、タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、イメージを表示する表示部と、前記入力部により前記始端イメージが入力されるときに、前記表示部の拡大率を、第1の拡大率とし、前記入力部による前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更し、前記入力部による前記線部の入力が完了したときに、前記表示部の拡大率を、前記第2の拡大率から前記第1の拡大率へ変更する表示制御部と、を備える。
【0047】
この構成により、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。また、終端イメージを描くことに適した拡大率に自動的に変更することができるので、何度も拡大率を変更するための操作を行うことなく、容易にイメージを描くことができる。
【0048】
また、本発明の表示制御方法は、タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、前記イメージに含まれる端部が入力されるときに、表示部に表示される表示領域を、第1の表示領域とするステップと、前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示領域を、前記線部の始端が表示される前記第1の表示領域から前記線部の終端が表示される第2の表示領域へ変更するステップと、前記イメージに含まれる複数の線部を1つの線部として補完する補完処理の要否を判定する補完要否判定ステップと、前記補完処理が必要と判定された場合、前記補完処理を行うステップと、を有し、前記補完要否判定ステップにおいて、前記第1の表示領域のときに入力された第1の線部と、前記第2の表示領域のときに入力された第2の線部と、が同一視される場合に、前記補完処理が必要であると判定する。
【0049】
この方法により、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。また、第1の線部と第2の線部とが同一視される場合に限り補完処理を行うので、ユーザが意図しない場合にまで補完処理が行われることを回避することができる。
【0050】
また、本発明の表示制御方法は、タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、前記イメージに含まれる始端イメージが入力されるときに、表示部の拡大率を、第1の拡大率とするステップと、前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更するステップと、前記始端イメージに基づいて終端イメージを成形するステップと、前記線部の終端に、前記成形された終端イメージを付加するステップと、を有する。
【0051】
この方法により、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。また、始端イメージから終端イメージを自動的に付加することができるので、何度も拡大率を変更するための操作を行うことなく、容易にイメージを描くことができる。
【0052】
また、本発明の表示制御方法は、タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、前記イメージに含まれる始端イメージが入力されるときに、表示部の拡大率を、第1の拡大率とするステップと、前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更するステップと、前記線部の入力が完了したときに、前記表示部の拡大率を、前記第2の拡大率から前記第1の拡大率へ変更するステップと、を有する。
【0053】
この方法により、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。また、終端イメージを描くことに適した拡大率に自動的に変更することができるので、何度も拡大率を変更するための操作を行うことなく、容易にイメージを描くことができる。
【0054】
また、本発明の表示制御プログラムは、上記いずれかの表示制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0055】
このプログラムにより、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。
【発明の効果】
【0056】
本発明の携帯端末装置によれば、細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図
【図2】(A)〜(E)本発明の第1の実施形態におけるイメージとして矢印を描くことを説明するための図
【図3】(A)〜(C)本発明の第1の実施形態における補完要否判定処理の各条件を説明するための図
【図4】本発明の第1の実施形態における携帯端末装置が手書き入力を行うときの動作例を示すシーケンス図
【図5】本発明の第2の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図
【図6】本発明の第2の実施形態における表示部により表示されるイメージのスクロールを説明するための図
【図7】本発明の第3の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図
【図8】本発明の第3の実施形態におけるイメージの線部の属性の一例を示す図
【図9】本発明の第4の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図
【図10】(A)〜(E)本発明の第4の実施形態におけるイメージとして両方向矢印を描くことを説明するための図
【図11】(A)〜(D)本発明の第4の実施形態における終端イメージ成形処理の一例を説明するための図
【図12】(A)〜(C)本発明の第4の実施形態におけるイメージ付加処理の一例を説明するための図
【図13】本発明の第4の実施形態における携帯端末装置が手書き入力を行うときの動作例を示すシーケンス図
【図14】本発明の第5の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図
【図15】(A)〜(C)本発明の第5の実施形態における終端入力画面表示処理の一例を説明するための図
【図16】本発明の第6の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図
【図17】(A)本発明の第6の実施形態における反転対象イメージ記憶部に記憶された反転対象イメージの一例を示す図、(B)本発明の第6の実施形態における反転対象イメージを用いて終端イメージが付加されたイメージの一例を示す図(C)本発明の第6の実施形態における表示部により表示されるイメージの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0059】
本発明の実施形態における携帯端末装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ等、表示画面を有する機器を広く含む。特に、イメージを入力するためのタッチパネルの面積が小さな機器を想定している。以下、携帯端末装置を例に説明する。
【0060】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図である。図1に示す携帯端末装置1は、手書き入力部11、軌跡一時記憶部12、補完要否判定部13、軌跡補完部14、確定軌跡記憶部15、表示制御部16、表示部17、を有して構成される。
【0061】
手書き入力部11は、タッチパネルを有し、指等での接触又は押下による手書き入力を検知する。例えば、ユーザが指等をタッチパネル上で連続的に移動させることにより、手書き入力部11は、その指等の移動を軌跡として検知する。手書き入力部11により入力された(描かれた)イメージの軌跡の情報(軌跡情報)は、軌跡一時記憶部12に送られる。この軌跡情報は、例えば座標情報の集合により表される。
【0062】
なお、ここでのイメージとは、文字、図形、記号などの画像を広く含む。本実施形態では、イメージには、後述する通常画面では入力が困難な端部と、端部から続く線部と、が含まれる。線部は、直線(略直線)であっても曲線であってもよい。以下では、線部が略直線であることを主に想定している。
【0063】
また、入力手段(指等)としては、指以外にタッチペン等であってもよく、タッチパネルに対して細かい入力を行うことが困難な入力手段が広く含まれる。
【0064】
軌跡一時記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等により構成され、手書き入力部11からの軌跡情報を一時軌跡情報として一時的に記憶する。
【0065】
補完要否判定部13は、軌跡一時記憶部12に記憶された一時軌跡情報に係る軌跡に対して、補完処理を行う必要があるか否かを判定する補完要否判定処理を行う。この補完要否判定処理の詳細については後述する。
【0066】
軌跡補完部14は、補完要否判定部13により補完処理の必要があると判定された場合に、軌跡一時記憶部12により記憶された一時軌跡情報に係る軌跡に対して補完処理を行う。例えば、描かれたイメージに含まれる線部のイメージにおいて、線部が途中で切れていた場合であっても、つまり途中で線部を継ぎ足した様な状態であっても、所定の条件を満たした場合には、補完処理により1つの線部となるよう補完処理を行う。
【0067】
補完処理としては、既知の方法により行う。例えば、特開平6−89345号公報に示されているように、タッチパネルにより入力された線のイメージのうち、3点を通る円弧を描くことにより、補完処理を行う。これにより、途切れた線部の終端と始端とを滑らかな線となるように補完し、連結することができる。なお、他の方法により補完処理を行ってもよい。
【0068】
確定軌跡記憶部15は、RAM等により構成され、必要な補完処理が行われた後の軌跡情報である確定軌跡情報を記憶する。例えば、補完要否判定部13により補完処理が必要であると判定された軌跡については、軌跡一時記憶部12により記憶された一時軌跡情報に係る軌跡に対して補完処理が施され、その後の軌跡に係る軌跡情報が確定軌跡情報として確定軌跡記憶部15により記憶される。一方、補完要否判定部13により補完処理が不要であると判定された軌跡については、軌跡一時記憶部12により記憶された軌跡情報がそのまま確定軌跡情報として確定軌跡記憶部15により記憶される。
【0069】
表示制御部16は、表示部17により表示されるイメージを形成する。表示対象となるイメージは、確定軌跡記憶部15により記憶された確定軌跡情報に係る軌跡のイメージの少なくとも一部、又は、軌跡一時記憶部12により記憶された一時軌跡情報に係るイメージの少なくとも一部である。一時軌跡情報に係るイメージは、手書き入力部11により入力が検知される度に逐次更新されるものである。確定軌跡情報に係るイメージ及び一時軌跡情報に係るイメージのいずれについても、拡大画面又は通常画面のサイズよりもイメージの方が大きい場合には、イメージの一部を切出して表示対象となるイメージを形成する。
【0070】
また、表示制御部16は、表示部17の表示画面の拡大率を制御する。ここでは主に、拡大率が1より大きい画面である拡大画面と、拡大率が1(等倍)の画面である通常画面と、の2段階の拡大率を想定する。拡大画面は、主に、通常画面では手書き入力が困難な細かい入力を行う場合に利用され、通常画面は、通常の一般的な入力を行う場合に利用される。なお、拡大画面と通常画面との2段階に限られず、拡大画面を多段階で切り替えるようにしてもよいし、拡大率が1より小さい縮小画面を利用するようにしてもよい。
【0071】
このように、拡大画面は第1の拡大率の画面の一例であり、通常画面は第1の拡大率よりも小さい拡大率である第2の拡大率の画面の一例である。また、ここでは、各画面に表示される領域を表示領域と称する。したがって、表示領域に含まれるイメージの部分が表示対象となる。拡大画面に表示される表示領域は、第1の表示領域の一例であり、第1の拡大率での表示領域の一例である。また、通常画面に表示される表示領域は、第2の表示領域の一例であり、第2の拡大率での表示領域の一例である。
【0072】
表示部17は、液晶パネル等で構成され、拡大画面又は通常画面上で、表示制御部16により形成されたイメージを表示する。
【0073】
なお、本実施形態で説明する表示制御方法の各ステップを実行させるための表示制御プログラムは、携帯端末装置1内の所定のメモリ(不図示)に格納される。
【0074】
次に、表示部17の表示画面の拡大率の制御例について説明する。
ここでは、後述するピンチ操作によって拡大率を制御することについて説明するが、これ以外の方法によって拡大率を制御してもよい。
【0075】
手書き入力部11のタッチパネルは、マルチタッチ方式を採用しており、複数の指等によるタッチパネルへの同時入力を認識できる機能を有している。タッチパネルに対して複数の指等で入力し、手書き入力部11が複数の入力座標(第1の入力座標)を検出すると、表示制御部16は、指等の間隔つまり複数の入力座標(第1の入力座標)間の距離(第1の距離)を認識する。
【0076】
タッチパネルへの入力状態で、ユーザが複数の指等を広げたり狭めたりする操作(ピンチ操作)を行ったとき、手書き入力部11は、操作後の複数の入力座標(第2の入力座標)を検出する。そして、表示制御部16は、操作後の指等の間隔つまり操作後の複数の入力座標(第2の入力座標)間の距離(第2の距離)を認識する。
【0077】
そして、表示制御部16は、第2の距離が第1の距離よりも長いと判定した場合には、ユーザが指等を広げたものと判断し、表示部17の表示画面の拡大率を大きくするよう制御する。一方、表示制御部16は、第2の距離が第1の距離よりも短いと判定した場合には、ユーザが指等を狭めたものと判断し、表示部17の表示画面の拡大率を小さくするよう制御する。
【0078】
以下の説明では、イメージとして、図2(A)に示すような矢印を描くことを想定する。また、まず矢印の端部を描き、その後に矢印の線部を端部から描くことを想定する。このとき、まず拡大画面で、図2(B)に示すように矢印の端部ENを描く。続いて、引き続き拡大画面で、図2(C)に示すように端部ENに続く線部L1を描く。続いて、図2(D)に示すように拡大画面から通常画面に変更する。最後に、通常画面で、図2(E)に示すように拡大画面で描かれた線部L1に続く線部L2を描く。したがって、拡大画面では線部Lの始端が表示され、通常画面では線部Lの終端が表示されることになる。
【0079】
なお、図面においては、「3X」とは通常画面の3倍の拡大率の拡大画面を示しており、「1X」とは1倍の拡大率(等倍)の通常画面を示している。
【0080】
次に、補完要否判定処理の詳細について説明する。
補完要否判定処理では、以下の第1〜第4の条件を全て満たした場合に、2つの線部が同一視されるものとして、補完処理を行うことが必要であると判定する。図3(A)〜(C)は、補完要否判定処理の各条件を説明するための図である。各条件の判定は、補完要否判定処理部13により行われる。
【0081】
第1の条件は、図3(A)に示すように、拡大画面で、第1の線部としての線部L1を描いたときの描画方向が、拡大画面内から拡大画面外へ向かう方向であることである。つまり、ユーザが拡大画面の領域外へ連続して線部を描こうとしている意図が表れていることである。描画方向は、手書き入力部11により入力された入力座標を時系列で軌跡一時記憶部12により記憶することで、容易に認識することができる。
【0082】
第2の条件は、図3(A)に示すように、拡大画面で線部L1の終端部を描いたときの描画方向と、拡大画面から変更された通常画面で、第2の線部としての線部L2の始端部を描いたときの描画方向と、が略一致していることである。すなわち、線部L1と線部L2のつなぎ目が少なくとも局所的に描画方向が略一致していることである。つまり、ユーザが拡大画面の領域外へ連続して線部を描こうとしている意図が表れていることである。
【0083】
第3の条件は、図3(B)に示すように、拡大画面で描かれた線部L1の終端LEPが、拡大画面枠Fから所定距離d1以内であることである。つまり、ユーザが拡大画面の領域外へ連続して線部を描こうとしている意図が表れていることである。
【0084】
第4の条件は、図3(C)に示すように、拡大画面で描かれた線部L1の終端LEPと拡大画面から変更された通常画面で描かれた線部L2の始端LSPとが、所定距離d2以内にあることである。つまり、ユーザが拡大画面及び通常画面において同一の線部を描こうとしている意図が表れていることである。
【0085】
また、第4の条件において、拡大画面において線部L1を描いた後、他のイメージを描いてから、線部L1に連続する線部L2を描こうとしたとする。この場合、線部L1と線部L2との距離が所定距離d2以内であったとしても、補完処理が不要であると判定してもよい。つまり、拡大画面を通常画面に移行した後に連続する線部をすぐに描くのではなく、異なる操作を行った場合には、補完処理は不要であると判定してもよい。
【0086】
さらに、上記のように異なる操作が行われたとしても、補完処理が必要であると判定するようにしてもよい。つまり、線部L1の後、他のイメージとして線をいくつか描いてから、線部L2を描いた場合であっても、補完処理が必要であると判定するようにしてもよい。
【0087】
また、異なる操作が規定回数以内である場合に限り、補完処理が必要であると判定するようにしてもよい。つまり、線部L1の後、他のイメージとして線を所定本数以内の本数描いた場合に限り、その後に線部L2を描いた場合であっても、補完処理が必要であると判定するようにしてもよい。したがって、異なる操作が規定回数以上である場合には、補完処理が不要であると判定するようにしてもよい。
【0088】
このような補正要否判定処理によれば、ユーザが1つのイメージとして意図した入力を精度良く把握し、その入力に係るイメージに対してのみ補完処理を行うことができる。一方、上記の条件を満たさないイメージについては、ユーザが別々のイメージとして入力したものと判断し、補完処理を行わないようにすることができる。これにより、補完処理が必要なイメージのみに対して補完処理を行うことができる。
【0089】
次に、携帯端末装置1が手書き入力を行うときの動作について説明する。
図4は、携帯端末装置1が手書き入力を行うときの動作例を示すシーケンス図である。
【0090】
まず、手書き入力部11は、拡大画面で、イメージの一例としての矢印の端部を入力する。さらに、端部から延びる線部L1を、拡大画面枠Fとこの拡大画面枠Fから所定距離d1までの範囲に至るまで入力する(ステップS101)(図3(B)参照)。手書き入力部11により検知された軌跡情報は、一時軌跡情報として軌跡一時記憶部12により記憶される。
【0091】
この段階では、拡大画面での入力しか行っていないので、補完要否判定部13による補完要否判定処理や軌跡補完部14による補完処理は不要である(ステップS102)。また、確定軌跡記憶部15は、軌跡一時記憶部12に記憶された一時軌跡情報に係る軌跡を確定軌跡情報として記憶しない。また、表示部17は、手書き入力が検知される度に、そのイメージを逐次表示する。
【0092】
続いて、拡大画面枠F周辺まで線部L1が描かれており、拡大画面では続きの線部を描くことができないので、表示制御部16は、拡大画面から拡大率を小さくして通常画面に変更する。そして、手書き入力部11は、通常画面で、拡大画面で描かれた線部L1に連続する線部L2を入力する(ステップS103)。手書き入力部11により検知された軌跡情報は、軌跡一時情報として軌跡一時記憶部12により記憶される。
【0093】
この段階で、補完要否判定部13は、拡大画面で描かれた線部L1と通常画面で描かれた線部L2について、補完処理が必要であるか否かを判定する補完要否判定処理を行う。補完要否判定処理の各条件に合致する場合には、補完要否判定部13は、補完処理が必要であると判定する(ステップS104)。
【0094】
補完処理が必要であると判定された場合には、補完要否判定部13は補完が必要である旨を軌跡補完部105に通知する(ステップS105)。軌跡補完部105は、拡大画面で描かれた線部L1と通常画面で描かれた線部L2について、補完処理を行う(ステップS106)。つまり、軌跡一時記憶部12に記憶された一時軌跡情報に係る軌跡に対して、補完処理を行う。そして、確定軌跡記憶部15は、補完処理された軌跡に係る軌跡情報を確定軌跡情報として記憶する(ステップS107)。また、表示部17は、補完処理された軌跡のイメージを確定イメージとして表示する。これにより、線部L1と線部L2とが1つの線部として補完され、確定軌跡情報として記憶され、確定イメージとして表示される。
【0095】
このような本実施形態の携帯端末装置1によれば、矢印の端部と線部のような細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。特に、静電式のタッチパネルを用いる場合には、ユーザが意図してタッチパネル上にタッチした位置と手書き入力部11より検知される入力位置とがずれやすいため、特に有益である。
【0096】
(第2の実施形態)
本実施形態では、拡大画面でイメージに含まれる線部が拡大画面外に連続して描かれる場合に、表示画面の拡大率を小さくするのではなく、拡大画面のまま表示されるイメージをスクロールにより移動させる。
【0097】
図5は、本発明の第2の実施形態における携帯端末装置1Bの構成例を示すブロック図である。図5に示す携帯端末装置1Bは、第1の実施形態における携帯端末装置1と同様の構成であるが、表示制御部16に代わり、表示制御部16Bを備える。図5において、図1に示した携帯端末装置1と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0098】
表示制御部16Bは、基本的には表示制御部16の機能を有しており、表示画面の拡大率の制御を行う代わりに、表示部17の表示画面内のイメージをスクロールにより移動させる。したがって、表示画面の拡大率は変更されずに、拡大画面により表示される表示領域が移行する。
【0099】
次に、表示部17により表示されるイメージのスクロールについて説明する。
まず、拡大画面(第1の表示領域としての画面)においてイメージの端部を描く。続いて、その拡大画面においてイメージの線部(第1の線部)を描き、この線部が拡大画面枠周辺に至ったところで、線部の描画を終了する。すると、表示制御部16Bは、矢印の線部の入力方向の延長上にあるイメージが表示されるように、拡大画面に表示される表示領域(第2の表示領域の一例)に移行させる。そして、移行された拡大画面において第1の線部に引き続く第2の線部を描く。このように、第2の表示領域は、第1の線部の入力方向に沿って第1の表示領域が移行した表示領域である。
【0100】
図6は表示部17により表示されるイメージのスクロールを説明するための図である。
例えば、図6(A)に示す拡大画面で、イメージの一例としての矢印の線部L1が拡大表示枠F周辺に至るまで描かれ、線部L1の入力が終了したとする。すると、図6(B)に示すように、矢印の終端方向つまり右方向のイメージが表示されるように、拡大画面内のイメージが移動する。つまり表示領域が移行する。この場合にも、スクロール前に描かれた線部L1に引き続く線部L2を描く際には、スクロール前の線部L1の終端とスクロール後の線部L2の始端とが微妙にずれることが予想される。
【0101】
そこで、第1の実施形態と同様に、携帯端末装置1Bは、補完要否判定部13による補完要否判定処理及び軌跡補完部14による補完処理を行う。これにより、描かれたイメージの線部がスクロールの度に途切れてしまった場合であっても、1つの線部として補完されたイメージを表示させることが可能である。
【0102】
このような本実施形態の携帯端末装置1Bによれば、矢印の端部と線部のような細かい手書きイメージを容易に描くことが可能である。
【0103】
(第3の実施形態)
本実施形態では、途切れたイメージの線部を1つの線部として補完するなど、2つの線部を1つの線部とする補完処理を行うだけでなく、その線部が分離しなかった場合の線部の属性を引き継ぐように、属性補完処理を行う。
【0104】
図7は、本発明の第3の実施形態における携帯端末装置1Cの構成例を示すブロック図である。図7に示す携帯端末装置1Cは、第1の実施形態における携帯端末装置1の構成の他に、属性補完部18を備える。また、軌跡一時記憶部12に代わり軌跡一時記憶部12C、確定軌跡記憶部15の代わりに確定軌跡記憶部15Cを備える。図7において、図1に示した携帯端末装置1と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0105】
属性補完部18は、連続的に変化する属性を有するイメージの線部について、1つとすべき線部が微妙に分離した場合であっても、1つの連続する線部として属性を引き継ぐよう補完する属性補完処理を行う。例えば、矢印の線部を描くときに、拡大画面から通常画面への変更や表示領域のスクロールに伴って、先に説明したようにイメージの線部が途切れてしまった場合であっても、属性補完処理を行うことで、ユーザが意図した通りの属性でイメージを描くことができる。なお、連続的に変化する属性とは、色彩、明るさ、濃さ等のグラデーション、毛筆で描く場合のハネ具合、カスレ具合等の筆属性、などが考えられる。
【0106】
属性補完部18による属性補完処理を行う必要があるか否かは、補完要否判定部13により行われる。また、属性補完処理を行うか否かの条件は、第1の実施形態で説明した軌跡補完部14により補完処理を行うか否かの条件と同一であるので、ここでは説明を省略する。したがって、例えば途切れた線部が1つの線部となるよう補完する場合には、属性も引き継ぐように属性補完処理が行われることになる。
【0107】
軌跡一時記憶部12Cは、一時軌跡情報の他に、一時軌跡情報に係る軌跡の属性に係る一時属性情報を記憶する。例えば、手書き入力部11により入力されたイメージの線部の属性の情報を記憶する。
【0108】
確定軌跡記憶部15Cは、確定軌跡情報の他に、必要な属性補完処理が行われた後の属性情報である確定属性情報を記憶する。例えば、補完要否判定部13により属性補完処理が必要であると判定された属性については、軌跡一時記憶部12Cにより記憶された一時属性情報に係る属性に対して属性補完処理が施され、その後の属性に係る属性情報が確定属性情報として確定軌跡記憶部15Cにより記憶される。一方、補完要否判定部13により属性補完処理が不要であると判定された属性については、軌跡一時記憶部12Cにより記憶された属性情報がそのまま確定属性情報として確定軌跡記憶部15Cにより記憶される。
【0109】
次に、属性補完処理の詳細について説明する。
図8は、イメージの線部の属性の一例を示す図である。
ここでは、簡単に説明するために、イメージの線部の始端の属性を数値化したものを属性値100、線部の終端の属性を数値化したものを属性値0とし、線部の始端と終端との間の属性は、例えば属性値0〜100で連続的に変化するものとする。
【0110】
まず、属性補完処理を行わない場合について説明する。図8に示すように、イメージの線部を描くときに途切れてしまった線部の属性において、途切れる前の線部L1(第1の線部の一例)の始端の属性は属性値100と表され、線部L1の終端の属性は属性値50で表されるとする。この場合、図8(A)に示すように、途切れた後の線部L2(第2の線部の一例)の始端の属性は、属性がリセットされるために属性値100で表され、線部L2の終端に向かって属性値100から連続的に変化していくことになる。したがって、属性が引き継がれない状態となり、属性については全く異なる線部として認識されることとなる。
【0111】
これに対し、属性補完処理を行う場合について説明する。イメージの線部を描くときに途切れてしまった線部の属性において、上記と同様に、途切れる前の線部L1の始端の属性は属性値100と表され、線部L1の終端の属性は属性値50で表されるとする。この場合、図8(B)に示すように、途切れた後の線部L2の始端の属性は、属性がリセットされずに属性値50で表され、線部L2の終端に向かって属性値50から連続的に変化していくことになる。このように、属性補完部18は、線部L2の始端の属性値が線部L1の終端の属性値と略同一となるよう補正する。したがって、属性が引き継がれた状態となり、1つの線部として認識することができるようになる。
【0112】
なお、ここでは、軌跡に係る補完処理とは別に属性補完処理を行うことを説明したが、軌跡に係る補完処理と属性補完処理とを一体で行うようにしてもよい。つまり、図8(C)に示すように、線部L1、L2について補完処理をし、一筆書きしたように補完した後、1つの線部Lに対して属性値を割り当てるようにしてもよい。
【0113】
このような本実施形態の携帯端末装置1Cによれば、手書き入力の際にイメージの線部が途切れた場合であっても、1つの線部として属性を引き継ぐよう補完することできるので、属性を有するイメージを容易に描くことが可能である。
【0114】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態における携帯端末装置の構成例を示すブロック図である。図9に示す携帯端末装置2は、手書き入力部21、軌跡記憶部22、始端イメージ記憶部23、終端付加管理部24、終端付加判定成形部25、表示制御部26、表示部27、を有して構成される。
【0115】
手書き入力部21は、第1の実施形態で説明した手書き入力部11と同様の機能を有する。なお、検知された軌跡のイメージの情報(軌跡情報)は、軌跡記憶部22に送られる。
【0116】
軌跡記憶部22は、手書き入力部21からの軌跡情報を記憶する。例えば、端部及び線部を含むイメージについての軌跡情報を記憶する。
【0117】
始端イメージ記憶部23は、拡大画面で、拡大画面枠に向かってイメージの線部が描かれた場合、そのイメージの始端部のイメージ(始端イメージ)を記憶する。例えば、矢印を描く場合に、矢印の線部が拡大表示枠に向かって描かれた場合には、矢印の始端部のイメージを記憶する。また、始端イメージは、例えば拡大画面で入力されたイメージのうち、線部を除いたイメージを抽出することで得られる。なお、先の実施形態と同様に、線部としては、直線(略直線)や曲線が考えられるが、主に略直線を想定する。
【0118】
終端付加管理部24は、手書き入力部21によりイメージの線部が入力されたときに、その線部の終端において、始端イメージに対応するイメージを終端イメージとして付加(終端付加)する必要があるか否かを判定するよう、終端付加判定成形部25に指示する。そして、終端付加管理部24は、終端付加判定成形部25により終端付加の必要があると判定された場合、終端付加判定成形部25により成形された終端イメージを、イメージの終端部に付加するイメージ付加処理を行う。イメージ付加処理により終端イメージが付加されたイメージについての軌跡情報は、軌跡記憶部22により記憶される。
【0119】
終端付加判定成形部25は、終端付加管理部24からの判定指示を受け、終端付加を行う必要があるか否かを判定する終端付加判定処理を行う。終端付加判定処理の詳細については後述する。そして、終端付加判定成形部25は、終端付加を行う必要がある場合には、始端イメージ記憶部23により記憶された始端イメージに基づいて、終端部に付加されるイメージを成形する終端イメージ成形処理を行う。終端イメージ成形処理の詳細については後述する。
【0120】
表示制御部26は、表示部27により表示するためのイメージを形成する。表示対象となるイメージは、軌跡記憶部22により記憶された軌跡情報に係る軌跡のイメージである。拡大画面又は通常画面のサイズよりもイメージの方が大きい場合には、イメージの一部を切出して表示対象となるイメージを形成する。また、表示制御部26は、第1の実施形態の表示制御部16と同様に、表示部27の表示画面の拡大率を制御する。
【0121】
表示部27は、第1の実施形態で説明した表示部17と同様である。
【0122】
以下の説明では、細かい手書き入力のイメージとして、矢印の始端部SPと終端部EPとで対応する形状を有する図10(A)に示すような両方向矢印を描くことを想定する。また、まず矢印の始端部SPを描き、その後に矢印の線部Lを始端部SPから描くことを想定する。このとき、まず拡大画面で、図10(B)に示すように矢印の始端部SPを描く。続いて、引き続き拡大画面で、図10(C)に示すように始端部SPに続く線部Lを描く。続いて、図10(D)に示すように拡大画面から通常画面に変更する。続いて、通常画面で、拡大画面で描かれた線部に引き続き線部Lを描く。したがって、拡大画面では線部Lの始端が表示され、通常画面では線部Lの終端が表示されることになる。最後に、図10(E)に示すように、矢印の終端部EPが自動的に付加される。
【0123】
次に、終端付加判定処理の詳細について説明する。
終端付加判定処理では、拡大画面で手書き入力部21により拡大画面でイメージの線部が入力され、その後に表示制御部16により拡大画面から通常画面に変更された後、通常画面で継続して手書き入力部21によりそのイメージの線部が引き続き入力された場合に、終端付加判定成形部25は終端付加の必要があると判定する。
【0124】
また、イメージに含まれる始端イメージと線部とが離れてしまっていても、始端イメージの位置と線部の始端の位置との距離が所定距離以内である場合に限り、終端付加判定成形部25は終端付加の必要があると判定してもよい。始端イメージの位置とは、始端イメージの中心位置、始端イメージの重心位置、線部の延長線上と始端イメージとが交差する位置、などである。これにより、始端イメージと線部とが多少離れてしまっていても、ユーザにより始端イメージと線部とを連続して描こうとした意思がある場合には、終端付加を行うようにすることができる。逆に、ユーザが始端イメージと線部とを連続して描こうとしていない場合には、始端イメージと線部とを別イメージとして表示部27により表示することも可能である。
【0125】
さらに、通常画面で、継続する線部を描いた後に、終端付加の必要があるか否かを表示部27等によりユーザへ提示(例えば選択ボタンを表示)し、図示しない操作部等を介してユーザが終端付加を行うよう指示した(例えば選択ボタンでYesを選択した)場合に限り、終端付加の必要があると判定してもよい。これにより、ユーザの意思が確実に反映された状態で終端付加を行うことができる。
【0126】
次に、終端イメージ成形処理の詳細について説明する。
【0127】
終端イメージ成形処理では、終端付加判定成形部25は、例えば、始端イメージを反転したイメージを終端イメージとして成形する。ここでの反転とは、図11(A)において左右を反転させた鏡像反転と、図11(B)において左右を反転させ、さらに上下を反転させた回転反転と、の双方を含む。図11(A)は鏡像反転のイメージ図であり、図11(B)は回転反転のイメージ図である。このとき、図11(C)に示すように、矢印の線部Lが、表示部27の表示画面において水平(左右)方向に沿う方向に延びている場合には、終端付加判定成形部25は、水平方向と直交する垂直方向を軸として始端イメージを反転させる。
【0128】
一方、図11(D)に示すように、矢印の線部Lが、表示部27の表示画面において水平(左右)方向に沿う方向に延びていない場合、終端付加判定成形部25は、この線部Lの方向αと直交する方向βを軸として始端イメージを反転させる。これにより、線部の方向が水平方向や垂直方向とは異なる場合であっても、終端イメージをユーザが意図するように成形することができる。
【0129】
次に、イメージ付加処理の詳細について説明する。
イメージ付加処理では、終端付加管理部24が、イメージの線部の終端に、終端イメージ成形処理により成形された終端イメージを付加する。
【0130】
さらに、始端イメージと線部とが離れており、始端イメージの位置と線部の始端の位置との距離が所定距離以内である場合には、例えば下記の第1例〜第3例のいずれかのイメージ付加方法により、イメージを付加してもよい。また、下記の第1例〜第3例のいずれかのイメージ付加方法を選択できるようにしてもよい。
【0131】
図12(A)に示す第1例のように、始端イメージと線部の始端とが離れているのと同様に、終端イメージと線部の終端とが離れた状態で、終端イメージを線部の終端付近に付加してもよい。このとき、例えば終端イメージと線部との距離を、始端イメージと線部との距離と略同一にする。このように、ユーザの意図とは反対に、始端イメージと線部とが離れて入力された場合であっても、始端イメージと線部と終端イメージとが離れた状態の両方向矢印のようなイメージを描くことができる。
【0132】
また、図12の(B)に示す第2例のように、始端イメージと線部の始端とが離れている一方、終端イメージと線部の終端とが連結された状態で、終端イメージを線部の終端に付加してもよい。このように、始端イメージと線分との位置関係とは異なる位置関係に補正し、終端イメージを付加することで、ユーザが意図したイメージに近づけることができる。
【0133】
また、図12の(C)に示す第1例のように、終端イメージと線部の終端とが連結された状態で、終端イメージを線部の終端に付加するだけでなく、始端イメージが線部の始端と連結されるよう補正してもよい。つまり、始端イメージ記憶部23に記憶された始端イメージを、線部の始端に連結された状態で付加してもよい。このように、終端イメージと線分との位置関係を補正するだけでなく、始端イメージと線分との位置関係を補正することにより、ユーザが意図したイメージにさらに近づけることができる。
【0134】
次に、携帯端末装置2が手書き入力を行うときの動作について説明する。
図13は、携帯端末装置2が手書き入力を行うときの動作例を示すシーケンス図である。
【0135】
まず、手書き入力部21は、拡大画面で、イメージの一例としての矢印の始端イメージ(例えば「<」のような図形)を入力する(図10(B)参照)。さらに、矢印の始端イメージから延びる線部Lを、拡大画面枠周辺(例えば、拡大画面枠と拡大画面枠から所定距離の範囲)に至るまで入力する(ステップS201)(図10(C)参照)。そして、始端イメージ記憶部23は、手書き入力部21により入力された矢印の始端イメージに係る軌跡情報を記憶する(ステップS202)。また、手書き入力を検知する度に、軌跡記憶部22はそのイメージに係る軌跡情報を逐次記憶し、表示部27はそのイメージを逐次表示する。
【0136】
現時点で、拡大画面枠周辺まで矢印の線部が描かれており、拡大画面では続きの線部分を描くことができないので、表示制御部26は、拡大画面から拡大率を小さくして通常画面に変更する(図10(D)参照)。そして、手書き入力部21は、通常画面で、引き続き矢印の線部を入力する(ステップS203)。
【0137】
手書き入力が終了すると、つまり手書き入力部21により手書き入力が所定時間以上検知されない場合には、手書き入力部21又は軌跡記憶部22は、手書き入力が終了した旨を終端付加管理部24へ通知する(ステップS204)。終端付加管理部24は、この通知を受けると、終端付加判定処理を行うよう終端付加判定成形部25へ指示する(ステップS205)。
【0138】
終端付加判定成形部25は、終端付加管理部24からの指示を受けると、終端付加判定処理を行う(ステップS206)。そして、終端付加判定処理の結果、終端付加が必要であると判定された場合には、終端付加判定成形部25は、始端イメージ記憶部23に記憶された始端イメージに基づいて、終端イメージ成形処理を行う(ステップS207)。例えば、始端部のイメージ「<」が反転された「>」のようなイメージが、終端イメージとして成形される(図11(A)、(B)参照)。また、終端付加判定成形部25は、終端付加判定処理の判定結果を終端付加管理部24へ通知する(ステップS208)。
【0139】
終端付加管理部24は、終端付加判定処理の判定結果として、終端付加が必要である旨の通知を受けた場合には、イメージ付加処理を行う。そして、表示部27は、通常画面で、終端イメージが付加された両方向矢印のイメージを表示する(図10(E)参照)。また、軌跡記憶部22は、終端イメージが付加された両方向矢印のイメージに係る軌跡情報を記憶する(ステップS209)。
【0140】
一方、終端付加判定処理の結果、終端付加が不要であると判定された場合には、矢印の終端部に終端イメージが付加されることなく、表示部27によりイメージが表示される。
【0141】
このような本実施形態の携帯端末装置2によれば、両方向矢印のような細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。例えば、始端イメージと終端イメージとを同様に描く場合には、1つのイメージを描く際に、拡大画面→通常画面→拡大画面とするための操作を繰り返す必要があり、煩雑な操作が必要になる。携帯端末装置2によれば、終端イメージを線部分の終端に自動的に付加することができるので、利便性が向上する。
【0142】
(第5の実施形態)
本実施形態では、終端付加判定処理において終端付加の必要があると判定された場合に、終端イメージ成形処理を行うのではなく、始端イメージを描いた際の表示画面の拡大率に変更し、イメージの終端部で終端イメージを描くためのスペースを確保する終端入力画面表示処理を行う。
【0143】
図14は、本発明の第5の実施形態における携帯端末装置2Bの構成例を示すブロック図である。図14に示す携帯端末装置2Bは、第4の実施形態における携帯端末装置2と同様の構成であるが、表示制御部26に代わり、表示制御部26Bを備える。図14において、図9に示した携帯端末装置2と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0144】
表示制御部26Bは、基本的には表示制御部16の機能を有している。更に、手書き入力部21により通常画面でイメージの線部の描画を終了したことを検知したとき、つまり線部を描いた後にタッチパネルから指等をリリースしたときに、終端入力画面表示処理を行う。
【0145】
例えば、図15(A)、(B)に示すように、拡大画面及び通常画面で、始端部SPの始端イメージから引き続く線部Lの描画が終了したときに、表示制御部26Bは、図15(C)に示すように、始端イメージが描かれたときの拡大率(ここでは3倍)で拡大画面を表示するよう制御し、線部Lの終端LEPが拡大画面に表示される表示領域に含まれるように、表示領域を調整する。これにより、終端イメージを描くためのスペースが確保される。そして、この拡大画面で、手書き入力部11により終端イメージを入力し、両方向矢印のようなイメージを完成させる。このように、通常画面から拡大画面へ変更する処理を指等のリリースに連動して行うことで、通常画面を再度拡大画面に変更するための入力を行う手間を省くことができる。
【0146】
このような本実施形態の携帯端末装置2Bによれば、両方向矢印のような細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。例えば、始端イメージと終端イメージとを同様に描く場合には、1つのイメージを描く際に、拡大画面→通常画面→拡大画面とするための操作を繰り返す必要があり、煩雑な操作が必要になる。携帯端末装置2Bによれば、入力のための表示画面の拡大率の変更と表示領域の調整とを自動的に行うことができるので、利便性が向上する。
【0147】
(第6の実施形態)
本実施形態では、終端イメージを成形するための反転対象となるイメージをあらかじめ登録しておき、手書き入力部21により入力された始端イメージが、登録された反転対象イメージと略同一である場合にのみ、終端イメージの付加を行う。
【0148】
図16は、本発明の第6の実施形態における携帯端末装置2Cの構成例を示すブロック図である。図16に示す携帯端末装置2Cは、第4の実施形態における携帯端末装置2と同様の構成であるが、反転対象イメージ記憶部28を備える。また、終端付加判定成形部25に代わり終端付加判定成形部25Cを備える。図16において、図9に示した携帯端末装置2と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0149】
反転対象イメージ記憶部28は、あらかじめ反転対象イメージを記憶している。ここでは、いくつかのユーザにより描かれると予想される始端イメージを反転対象イメージとして記憶しておいてもよいし、過去にユーザにより描かれた始端イメージを反転対象イメージとして記憶しておいてもよい。また、過去に頻繁に描かれた始端イメージのみを反転対象イメージとして記憶しておいてもよい。
【0150】
終端付加判定成形部25Cは、終端付加判定成形部25と同様の機能を有するが、手書き入力部21により入力された始端イメージが、反転対象イメージ記憶部28によりあらかじめ記憶された反転対象イメージのいずれかと略同一である場合に、終端イメージを付加する必要があると判定する。したがって、始端イメージが反転対象イメージのいずれとも異なる場合には、終端イメージを付加する必要はないと判定する。また、終端イメージ成形処理では、始端イメージ記憶部23に記憶された始端イメージ又は反転対象イメージ記憶部28に記憶された反転対象イメージに基づいて、終端イメージを成形する。
【0151】
反転対象イメージ記憶部28は、例えば図17(A)に示すように、「<」、「>」、「○」、「□」、「△」のような反転対象イメージを記憶する。また、「△」、「■」、「○」などの各イメージを組み合わせて1つの反転対象イメージとして記憶してもよい。また、このような組み合わせの反転対象イメージを反転すると、反転対象イメージは図17(B)に示すようなイメージになる。したがって、表示部27は、図17(C)に示すような始端イメージ、線部、終端イメージを有するイメージを表示する。
【0152】
次に、本実施形態の終端イメージ成形処理及びイメージ付加処理の詳細について説明する。
【0153】
終端イメージ成形処理では、終端付加判定成形部25Cは、始端イメージ又は反転対象イメージを反転したイメージを終端イメージとして成形する。また、イメージ付加処理では、終端イメージ成形処理において反転対象イメージから終端イメージを成形した場合には、終端付加管理部24Cは、始端イメージを、対応する反転対象イメージで置き換えて表示部27により表示させてもよい。これにより、理想的な始端イメージ、終端イメージを容易に描き、表示することが可能になる。
【0154】
このような本実施形態の携帯端末装置2Cによれば、両方向矢印のような細かい手書きイメージを容易に高精度に描くことが可能である。特に、反転対象イメージをあらかじめ登録しておくことで、終端付加が必要であるか否かを高精度に判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、細かい手書きイメージを容易に描くことが可能な携帯端末装置、表示制御プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0156】
1、1B、1C 携帯端末装置
11 手書き入力部
12、12C 軌跡一時記憶部
13 補完要否判定部
14 軌跡補完部
15、15C 確定軌跡記憶部
16、16B 表示制御部
17 表示部
2、2B、2C 携帯端末装置
18 属性補完部
21 手書き入力部
22 軌跡記憶部
23 始端イメージ記憶部
24 終端付加管理部
25、25C 終端付加判定成形部
26、26B 表示制御部
27 表示部
28 反転対象イメージ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、
イメージを表示する表示部と、
前記入力部により前記イメージに含まれる端部が入力されるときに、前記表示部に表示される表示領域を、第1の表示領域とし、前記入力部による前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示領域を、前記線部の始端が表示される前記第1の表示領域から前記線部の終端が表示される第2の表示領域へ変更する表示制御部と、
前記入力部により入力されたイメージに含まれる複数の線部を1つの線部として補完する補完処理の要否を判定する補完要否判定部と、
前記補完要否判定部により補完処理が必要と判定された場合、前記補完処理を行う補完処理部と、
を備え、
前記補完要否判定部は、前記第1の表示領域のときに前記入力部により入力された第1の線部と、前記第2の表示領域のときに前記入力部により入力された第2の線部と、が同一視される場合に、前記補完処理が必要であると判定する携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置であって、
前記第1の表示領域は、第1の拡大率での表示領域であり、
前記第2の表示領域は、前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率での表示領域である携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯端末装置であって、
前記第2の表示領域は、第1の線部の入力方向に沿って前記第1の表示領域が移行した表示領域である携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記補完要否判定部は、前記第1の線部が前記表示部の外側に向かって入力され、前記第1の線部の終端部の方向と前記第2の線部の始端部の方向とが略同一方向であり、前記第1の線部の終端と前記表示部の画面枠との距離が所定距離未満であり、前記第1の線部の終端と前記第2の線部の始端との距離が所定距離未満である場合に、前記補完処理が必要であると判定する携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記補完要否判定部は、前記入力部によって前記第1の線部が入力されてから前記第2の線部が入力されるまでに、他の入力が行われた場合、前記補完処理が不要であると判定する携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置であって、
前記補完要否判定部は、前記入力部によって前記第1の線部が入力されてから前記第2の線部が入力されるまでの他の入力の回数が所定回数以上である場合、前記補完処理が不要であると判定する携帯端末装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、更に、
前記イメージは、連続的に変化する属性を有し、
前記第2の線部の属性が前記第1の線部の属性を引き継ぐよう属性を補完する属性補完処理を行う属性補完処理部を備える携帯端末装置。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯端末装置であって、
属性補完処理部は、前記第2の線部の始端の属性値が前記第1の線部の終端の属性値と略同一となるよう補正する携帯端末装置。
【請求項9】
請求項7に記載の携帯端末装置であって、
前記属性補完処理部は、前記補完処理部により補完処理が行われた線部に対して属性値を割り当てる携帯端末装置。
【請求項10】
タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、
イメージを表示する表示部と、
前記入力部により入力されたイメージに含まれる始端イメージが入力されるときに、前記表示部の拡大率を、第1の拡大率とし、前記入力部による前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更する表示制御部と、
前記入力部により入力された前記始端イメージを記憶する始端イメージ記憶部と、
前記始端イメージ記憶部に記憶された始端イメージに基づいて終端イメージを成形する終端イメージ成形部と、
前記線部の終端に、前記終端イメージ成形部により成形された終端イメージを付加するイメージ付加部と、
を備える携帯端末装置。
【請求項11】
請求項10に記載の携帯端末装置であって、更に、
前記終端イメージ付加部による前記終端イメージの付加の要否を判定する終端付加判定部を備え、
前記終端付加判定部は、前記入力部により入力された始端イメージと前記入力部により入力された前記線部との距離が所定距離以内である場合、前記終端イメージを付加する必要があると判定し、
前記終端イメージ付加部は、前記終端付加判定部により終端イメージの付加が必要であると判定された場合に、前記終端イメージを付加する携帯端末装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の携帯端末装置であって、
前記イメージ付加部は、前記始端イメージと前記線部との距離と、前記終端イメージと前記線部との距離と、が略同一となるよう、前記線部の終端付近に前記終端イメージを付加する携帯端末装置。
【請求項13】
請求項10または11に記載の携帯端末装置であって、
前記イメージ付加部は、前記線部の終端に連結させて前記終端イメージを付加する携帯端末装置。
【請求項14】
請求項13に記載の携帯端末装置であって、
前記イメージ付加部は、前記始端イメージと前記線部とが連結するよう補正する携帯端末装置。
【請求項15】
請求項10ないし14のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記終端イメージ成形部は、前記始端イメージ記憶部に記憶された始端イメージを反転して前記終端イメージを成形する携帯端末装置。
【請求項16】
請求項15に記載の携帯端末装置であって、
前記終端イメージ成形部は、前記線部と直交する方向を軸として前記始端イメージを反転し、前記終端イメージを成形する携帯端末装置。
【請求項17】
請求項11ないし16のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、更に、
あらかじめ反転対象となるイメージである反転対象イメージを記憶する反転対象イメージ記憶部を備え、
前記終端付加判定部は、前記入力部により入力された始端イメージが前記反転対象イメージ記憶部に記憶された反転対象イメージのいずれとも略同一でない場合、前記終端イメージの付加は不要であると判定する携帯端末装置。
【請求項18】
請求項17に記載の携帯端末装置であって、
前記終端イメージ成形部は、前記終端付加判定部により前記終端イメージの付加は必要であると判定された場合、前記始端イメージ記憶部に記憶された始端イメージ又は前記反転対象イメージ記憶部に記憶された反転対象イメージに基づいて、前記終端イメージを成形する携帯端末装置。
【請求項19】
タッチパネルを介してイメージを入力する入力部と、
イメージを表示する表示部と、
前記入力部により前記始端イメージが入力されるときに、前記表示部の拡大率を、第1の拡大率とし、前記入力部による前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更し、前記入力部による前記線部の入力が完了したときに、前記表示部の拡大率を、前記第2の拡大率から前記第1の拡大率へ変更する表示制御部と、
を備える携帯端末装置。
【請求項20】
タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、
前記イメージに含まれる端部が入力されるときに、表示部に表示される表示領域を、第1の表示領域とするステップと、
前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示領域を、前記線部の始端が表示される前記第1の表示領域から前記線部の終端が表示される第2の表示領域へ変更するステップと、
前記イメージに含まれる複数の線部を1つの線部として補完する補完処理の要否を判定する補完要否判定ステップと、
前記補完処理が必要と判定された場合、前記補完処理を行うステップと、
を有し、
前記補完要否判定ステップにおいて、前記第1の表示領域のときに入力された第1の線部と、前記第2の表示領域のときに入力された第2の線部と、が同一視される場合に、前記補完処理が必要であると判定する表示制御方法。
【請求項21】
タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、
前記イメージに含まれる始端イメージが入力されるときに、表示部の拡大率を、第1の拡大率とするステップと、
前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更するステップと、
前記始端イメージに基づいて終端イメージを成形するステップと、
前記線部の終端に、前記成形された終端イメージを付加するステップと、
を有する表示制御方法。
【請求項22】
タッチパネルを介して入力されたイメージを表示するための表示制御方法であって、
前記イメージに含まれる始端イメージが入力されるときに、表示部の拡大率を、第1の拡大率とするステップと、
前記イメージに含まれる線部の入力中に、前記表示部の拡大率を、前記第1の拡大率から前記第1の拡大率よりも低い第2の拡大率へ変更するステップと、
前記線部の入力が完了したときに、前記表示部の拡大率を、前記第2の拡大率から前記第1の拡大率へ変更するステップと、
を有する表示制御方法。
【請求項23】
請求項20ないし22のいずれか1項に記載の表示制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−168648(P2012−168648A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27717(P2011−27717)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】