説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】筐体を手首に装着した状態において前腕の長さ方向に沿って筐体を長くしたとしても、手首を折り曲げたときに筐体が邪魔になることもなく、作業を効率良く実行できるようにする。
【解決手段】スキャナ装置は、板状筐体1の長手方向の一端部側を固定端とし、その他端部側を自由端とするために当該一端部側に設けた手首装着部2と、筐体1上に設けたタッチ表示部3と、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように設けた光学部品5とを有する構成であるから、筐体1を手首に装着した状態において前腕の長手方向に沿って筐体1を長くしたとしても、手首を折り曲げたときに筐体が邪魔になることもなく、筐体1を長くすることによりタッチ表示部3を大型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの手首に装着可能な携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの手首に装着可能な携帯端末装置としては、例えば、バーコードリーダ(スキャナ部)を備えた腕装着タイプの注文入力装置が開示され(特許文献1参照)、又は、腕時計に電子カメラを設けることにより腕に装着したままの状態で撮影可能なリスト型カメラが開示され(特許文献2参照)、更には、カメラを備えた腕時計タイプの携帯情報端末が開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003‐132437号公報
【特許文献2】特開2004‐72450号公報
【特許文献3】特開平10‐108152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した各特許文献の技術にあっては、そのサイズが腕時計と略同一サイズであり、腕時計サイズであることは確かに小型化されるため良いのであるが、その分、表示画面のサイズを充分に取れず、せっかく読み取ったコードが何であるのか、あるいは撮影した画像がどのような撮影状態であるのかを確認するには不十分なサイズでしかなかった。かといって、単純に画面を大きくすると、筐体が手首から甲の方向に食み出す形状になり、手首を曲げる度にその甲の部分に筐体が当たり、邪魔になってしまう。また、手首を曲げても筐体が邪魔にならないようにするために、筐体を手首から離して前腕の中央部分に装着することも考えられるが、前腕の太さは手首方向に向かって細くなっているため、バンド部分が緩んで筐体が手首方向にずれてしまって固定することができなくなり、また、服の上からバンドを装着すると、見栄えが悪くなってしまう、といった問題が起きるほか、操作性の点でも十分なものとは言えなかった。
【0005】
本発明の課題は、筐体を手首に装着した状態において前腕の長さ方向に沿って筐体を長くしたとしても、手首を折り曲げたときに筐体が邪魔になることもなく、操作性の向上を期待できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
手首に装着可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置を構成する板状筐体の長手方向の一端部側を固定端とし、その他端部側を自由端とするために当該一端部側に設けた手首装着部と、
前記筐体上に設けた表示部と、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように設けた光学部品と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
板状筐体の長手方向の一端部側を自由端とし、その他端部側を固定端とするために当該他端部側に設けた手首装着部を介して当該筐体が手首に装着されている状態を検出する機能と、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されていることが検出されている状態において、前記筐体が略水平状態であることを検出する機能と、
前記筐体が略水平状態であることが検出された際に、前記筐体が装着されている手首の小指側の側面に位置するように設けられている光学部品を使用した処理を開始させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、筐体を手首に装着した状態において前腕の長さ方向に沿って筐体を長くしたとしても、手首を折り曲げたときに筐体が邪魔になることもなく、操作性の向上を期待することができ、実用性に富んだものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】腕装着タイプのスキャナ装置をその上の方から見た状態での外観図(上面図)。
【図2】スキャナ装置をその上の方から見た状態での外観図で、このスキャナ装置を手首に装着した状態を示した図。
【図3】スキャナ装置をその上の方から見た状態での外観図で、スキャナ装置を構成する表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとを重ね合わせた状態を示した図。
【図4】スキャナ装置をその横の方から見た状態での外観図(一側面図)。
【図5】スキャナ装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図6】電源投入に応じて実行開始されるスキャナ装置の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図7】本発明の変形例を説明するための図で、スキャナ装置を上から見た状態での外観図(上面図)。
【図8】第2実施形態において、スキャナ装置をその上の方から見た状態での外観図(上面図)。
【図9】第2実施形態において、スキャナ装置をその上の方から見た状態での外観図で、このスキャナ装置を手首に装着した状態を示し図。
【図10】第2実施形態において、スキャナ装置をその横の方から見た状態での外観図(一側面図)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1〜図6を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態は、手首に装着可能な携帯端末装置として、腕装着タイプのスキャナ装置に適用した場合を例示したもので、図1〜図4は、スキャナ装置の外観を示した図である。すなわち、図1〜図3は、腕装着タイプのスキャナ装置をその上の方から見た状態での外観図(上面図)であり、更に図2は、スキャナ装置を手首に装着した状態を示した図である。図4は、スキャナ装置をその横の方から見た状態での外観図(一側面図)である。
【0011】
スキャナ装置は、読み取り対象(バーコード、二次元コードなどのコード情報)を光学的に走査して読み取る腕装着タイプの光学的読取装置であり、板状の筐体1、手首装着部2、タッチ表示部3、キー操作部4、光学部品5を有する構成となっている。すなわち、スキャナ装置は、長方体形状の板状の筐体1と、その長手方向(図示の例では左右方向:横方向)の一端部側(図中、右側)を固定端とし、その他端部側(図中、左側)を自由端とするために当該一端部側に取り付けられている手首装着部2と、筐体1上に配設されているタッチ表示部3及びキー操作部4と、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように配設されている光学部品5を有する構成となっている。
【0012】
筐体1は、縦横の長さが異なる矩形の板状の部材であり、筐体1の長手方向の他端部側を手首装着部2に固定した片持ち構造となっており、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においては、筐体1の長手方向が手首から肘に向かう直線方向に沿うように配置されている。そして、筐体1は、図1(1)に示すように、二つの筐体に分割されたもので、タッチ表示部3を備えた表示部筐体1Aとキー操作部4を備えた操作部筐体1Bを有し、この表示部筐体1Aは、操作部筐体1Bに対してスライド可能に取り付けられている。
【0013】
すなわち、この表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとは、上下方向(図中、紙面に対して鉛直方向)に重ね合わせて配設されたもので、表示部筐体1A、操作部筐体1Bのうち、その一方の筐体、つまり、操作部筐体1Bは、手首装着部2に固定されている。この操作部筐体1Bの上に重ね合わせられている他の筐体、つまり、表示部筐体1Aは、図2に示すように筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、操作部筐体1Bに対して手首から肘に向かう前腕の長さ方向(直線方向)にスライド可能(往復動可能)に取り付けられている。
【0014】
図3は、表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとが上下に重なり合っている状態(操作部筐体1Bを閉じた状態)を示している。この場合、操作部筐体1B上のキー操作部4が表示部筐体1Aにより完全に覆い隠された状態となる。図1(1)は、操作部筐体1Bを閉じた状態から表示部筐体1Aを手首から肘に向かう直線方向にスライドさせた状態(操作部筐体1Bを開けた状態)を示している。この場合、操作部筐体1B上のキー操作部4が露出した状態となる。図1(2)は、キー操作部4上のキーの配列状態を示した図で、各種のキーが横3×縦4のマトリックス状に配置されている。すなわち、キー操作部4上には、図示の例のように、数値を入力するテンキー、アルファベット文字を入力するアルファベットキー、かな文字を入力する仮名キーなど、各種のキーが配列されている。また、タッチ表示部3は、縦横比の異なる表示画面を有し、この画面の長手方向が表示部筐体1Aの長手方向に沿うように配設されている。
【0015】
手首装着部2は、筐体1を支持(片持ち)するもので、図4に示すように、ブリッジ板2A、連結駒2B、留め具2C、可撓性バンド2Dを有する構成となっている。すなわち、操作部筐体1Bの長手方向の一端部には、その長手方向に対して直交する方向に沿ってブリッジ板2Aが固定されている。このブリッジ板2Aは、帯状の平板の両端部を斜め下方向に折り曲げて成るもので、この各折曲部(延出部)には、対応する連結駒2B、2Bの一端部が回転可能にビス止めされている。この連結駒2B、2Bの他端部には、対応する留め具2C、2Cが回転可能に取り付けられている。留め具2C、2Cは、可撓性バンド2Dの端部を係止するもので、金属製の線状部材を矩形に折り曲げて成り、その一方(図中、右側)の留め具2Cには、その矩形内の中央部分に係止ビン(図示省略)が設けられている。
【0016】
可撓性バンド2Dは、例えば、合成樹脂製あるいは硬質布製の帯状部材で、その一端部(図中、左側端部)を重ね合わせた際に、その重合部分には面ファスナ(図示省略)が設けられている。なお、面ファスナは、フック面とループ面とが面的に着脱自在に接着する構成のファスナである。また、可撓性バンド2Dの他端部(図中、右側端部)は、上述した留め具2Cの係止ビン(図示省略)に着脱可能に係止される。このように構成された手首装着部2は、スキャナ装置を机面などに載置させた際に、スキャナ装置が起立した状態で載置されるようになっている。すなわち、筐体1を手首から外して手首装着部2を下側にして載置させた際に、スキャナ装置の自重により可撓性バンド2Dが押し潰されるように撓むことにより一対の連結駒2B、2Bが末広がり状に開く(八の字型に開く)ことにより、スキャナ装置が手首装着部2により支えられて起立した状態となるようにしている。
【0017】
光学部品5は、読み取り対象(バーコート、二次元コードなどのコード情報)を光学的に走査するスキャナ部を構成する光学素子であり、レーザスキャナであれば、レーザ光を照射する発光素子と、その反射光を受光する受光素子を有する構成となっている。なお、レーザスキャナ部に限らず、撮像素子を備えたイメージスキャナであれば、光学部品5は、被写体を撮像する撮像部を構成する光学系(撮影レンズなど)である。このような光学部品5は、図2に示すように、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように手首装着部2の一側面に設けられている。すなわち、光学部品5は、ブリッジ板2Aの一方の折曲部(延出部)、つまり、手首の小指側の折曲部(延出部)から光学部品5の先端部が露出した状態で配設されている。
【0018】
ここで、ユーザは、読み取り対象をスキャナ装置で読み取る際に、読み取り対象の位置の前で、スキャナ装置を装着した側の手首が胸の前辺りに来るように、肘を曲げた状態にすると、読み取り可能な状態となる。この状態において、スキャナ装置は、スキャナ開始キーSTが操作されると、後述するが、スキャナ装置が特定の姿勢であることを条件に、バーコードを走査するスキャニング動作を開始するようにしている。スキャナ開始キーSTは、手首装着部2あるいはその近傍に設けられたもので、図示の例では、ブリッジ板2Aの上面略中央部に設けた場合を示している。このスキャナ開始キーSTの近傍には、スキャナ開始キーSTが操作された際に、どの方向に光学部品5が向いているのかを識別表示するための識別表示部(発光ダイオード)LDが設けられている。なお、図示の例では、ブリッジ板2Aの上面において光学部品5側に棒状の識別表示部(発光ダイオード)LDを設けた場合を示している。
【0019】
図5は、腕装着タイプのスキャナ装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
スキャナ装置は、CPU11を中核として、電源部12、記憶部13、メモリ14、タッチ表示部3、キー操作部4、スキャナ部15、通信部16、接触センサ部17、加速度センサ部18を有する構成となっている。CPU11は、電源部(二次電池)12からの電力供給によって動作し、記憶部13内の各種のプログラムに応じてこのスキャナ装置の全体動作を制御する。
【0020】
記憶部13は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、オペレーションシステム(OS)のほか、後述する図6に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されている。なお、記憶部13は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続された状態においては所定の外部サーバ側の記憶領域を含むものであってもよい。メモリ14は、計時情報、フラグ情報など、スキャナ装置が動作するために必要な各種の情報を一時的に記憶するワーク領域である。
【0021】
タッチ表示部3は、指やペンなどでタッチ操作された位置を検知してその座標データを入力するタッチ入力手段(タッチスクリーン)を構成するもので、表示パネル3Aとタッチパネル3Bを有している。表示パネル3Aは、例えば、高精細液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで、ソフトウェアキーとしての機能名を表示するほか、オブジェクト(アイコン、リンクなど)を表示するもので、解像度として、例えば、240×360ドットの表示が可能となっている。タッチパネル3Bとしては、静電容量方式、抵抗皮膜方式、電磁誘導方式、圧電方式などのいずれであってもよい。
【0022】
キー操作部4は、上述した各種のキーを備えたもので、CPU11は、タッチ表示部3やキー操作部4からの入力操作信号に応じた処理を行う。スキャナ部15は、バーコード(一次元コード)やQRコード(二次元コード)などのコード情報を光学的に読み取るもので、図示省略したが、レーザ光を照射する発光素子、その反射光を受光する受光素子、それらの駆動回路などを有し、CPU11は、このスキャナ部15により読み取られたコード情報(画像情報)を解析(デコード)することによりコード情報を認識するようにしている。通信部16は、無線LAN(構内通信網)を介してホスト装置(図示省略)に接続されるもので、スキャナ装置との間でデータの送受信を行う。
【0023】
接触センサ部17は、スキャナ装置が手に装着された状態(人体接触状態)を例えば、静電容量・光学的・抵抗・機構的などの手段により検出するもので、スキャナ装置の裏面部、つまり、手首装着部2を手に装着した際に、操作部筐体1Bの裏面側(手首付近に接触する接触面側)に設けられている。加速度センサ18は、スキャナ装置の姿勢を検出する3軸タイプの構成で、スキャナ装置(筐体1)の姿勢が重力方向に対して略水平な状態であるかを検出したり、衝撃の受け方から急停止した状態であるかを検出したりする。
【0024】
CPU11は、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、コード情報の読み取りを行うためのユーザの動作として、スキャナ装置(筐体1)が略水平状態にあるか、急停止させた状態であるかを、加速度センサ18の検出結果に基づいて判別するようにしている。例えば、スキャナ装置を装着している手首が胸の前辺りに来るように、その肘を曲げて前腕を略水平にして急停止させる動作が行われたかを、加速度センサ18の検出結果に基づいて判別するようにしている。なお、手首が胸の前辺りに来る場合に限らず、手首が腹の前、胸の斜め前など、手首の位置は任意であり、読み取り対象の前にスキャナ装置を位置させるようにすればよい。
【0025】
次に、第1実施形態におけるスキャナ装置の動作概念を図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0026】
図6は、電源投入に応じて実行開始されるスキャナ装置の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、CPU11は、接触センサ部17の検出結果を取得し(ステップS1)、この検出結果に基づいて人体に接触しているか、つまり、接触センサ部17は、操作部筐体1Bの裏面部に設けられているため、その検出結果に基づいてスキャナ装置が手に装着されている状態かを調べる(ステップS2)。いま、スキャナ装置が手に装着されていなければ(ステップS2でNO)、タッチ表示部3又はキー操作部4からのキー操作の有無を調べる(ステップS3)。ここで、いずれのキーも操作されなければ(ステップS3でNO)、上述した最初のステップS1に戻るが、何らかのキー操作が行われたときには(ステップS3でYES)、その操作に応じた処理として、例えば、各種の設定処理などを行った後(ステップS4)、最初のステップS1に戻る。
【0027】
また、スキャナ装置が手に装着されていれば(ステップS2でYES)、加速度センサ部18の検出結果を取得し(ステップS5)、この検出結果に基づいてスキャナ装置の姿勢が重力方向に対して略水平な状態であり、かつ、急停止状態であるかを調べる(ステップS6)。すなわち、ユーザの動作として、コード情報の読み取りを行うために、例えば、スキャナ装置を装着している手首が胸の前辺りに来るように、その肘を曲げて前腕を略水平にして急停止させる動作が行われたかを調べる。なお、略水平な状態とは、水平に対して例えば、プラス・マイナス20°程度の範囲内であるが、それに限らず、プラス・マイナス45°程度の範囲内であってもよい。
【0028】
ここで、スキャナ装置が略水平な状態で、かつ、急停止した状態でなければ(ステップS6でNO)、ユーザの動作は、コード情報の読み取りを行うための動作ではないと判断して、キー操作の有無を調べるために上述のステップS3に移るが、スキャナ装置が略水平な状態で、かつ、急停止した状態であれば(ステップS6でYES)、コード情報の読み取りを行うためのユーザ動作が行われたと判断して、スキャナ開始キーSTの操作待ちとなる(ステップS7)。この状態において、スキャナ開始キーSTが操作されると(ステップS7でYES)、識別表示部LDを点灯させると共に(ステップS8)、スキャナ部15を起動させた後(ステップS9)、このスキャナ部15により読み取られたコード情報を取得してデコードする(ステップS10)。そして、そのデコード結果を記憶保存したり、表示したりする処理を行った後(ステップS11)、上述の最初のステップS1に戻り、以下、上述の動作を繰り返す。
【0029】
以上のように、第1実施形態におけるスキャナ装置は、板状筐体1の長手方向の一端部側を固定端とし、その他端部側を自由端とするために当該一端部側に設けた手首装着部2と、筐体1上に設けたタッチ表示部3と、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように設けた光学部品5とを有する構成であるから、筐体1を手首に装着した状態において前腕の長手方向に沿って筐体1を長くしたとしても、手首を折り曲げたときに筐体が邪魔になることもなく、操作性の向上を期待することができると共に、筐体1を長くすることによりタッチ表示部3を大型化することができ、読み取り作業の効率化など、実用性に富んだものとなる。
【0030】
筐体1は、縦横の長さが異なる矩形の板状部材であり、タッチ表示部3は、縦横比の異なる表示画面を有し、この表示画面の長手方向が筐体1の長手方向に沿うようにタッチ表示部3を筐体1上に配設するようにしたので、表示画面の大型化が可能となる。
【0031】
筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、筐体1をその長手方向が手首から肘に向かう方向に沿うように設けるようにしたので、筐体1の大型化が可能となり、表示部3のほか、キー操作部4を備えることができる。
【0032】
光学部品5は、読み取り対象を光学的に走査するスキャナ部を構成する光学素子であり、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように手首装着部2の一側面に設けるようにしたので、ユーザの服の袖部分が邪魔になることもなく、ユーザの前に位置している読み取り対象に対向するように光学部品5を読み取り対象に向けることができる。従って、ユーザにあっては、筐体1が装着されている手首が胸の前に来るように肘を略直角に曲げるだけで、ユーザの前に位置している読み取り対象に光学部品5を向けることができると共に、前腕を捩じるように回転させるだけで、光学部品5の指向方向を容易に調整することができ、操作性の向上を期待することができると共に、スキャニング作業を効率良く行うことが可能となり、実用性に富んだものとなる。更に、肘を略直角に曲げた状態で読み取りを行うためにスキャナ装置が安定してブレ防止となり、その読み取りを適切に行うことが可能となる。
【0033】
筐体1は、タッチ表示部3を備えた表示部筐体1Aとキー操作部4を備えた操作部筐体1Bとをスライド可能に取り付けた構成で、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、表示部筐体1A、操作部筐体1Bのうち、その一方の筐体を他方の筐体に対して手首から肘に向かう方向にスライド可能に取り付けるようにしたので、タッチ表示部3及びキー操作部4を大型化したとしても筐体1の全体をコンパクト化することができ、使い勝手の大幅な向上を期待することができる。
【0034】
スキャナ装置は、光学部品5を使用した処理の開始を指示するスキャナ開始キーSTを手首装着部2の上面に設けるようにしたので、ユーザの服の袖部分が邪魔になることもなく、操作性の向上を期待することができる。
【0035】
CPU11は、スキャナ開始キーSTが操作された際に、識別表示部(発光ダイオード)LDを点灯するようにしたので、との方向に光学部品5が向いているのか明示することができ、光学部品5を読み取り対象に的確に向けることができる。
【0036】
スキャナ装置は、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態を検出する接触センサ部17と、筐体1が装着されている前腕が略水平状態であり、かつ、前腕の動作としてその急停止状態を検出する加速度センサ部18とを有し、この接触センサ部17及び加速度センサ部18の検出結果に基づいてスキャナ開始キーSTの操作を有効とするようにしたので、ユーザにあっては被写体(コード情報)を読み取るためのポーズ(筐体1が装着されている側の手首が胸の前に来るようにその肘を略直角に曲げた状態の姿勢)をスキャナ開始キーSTの操作を有効とするための前提条件とすることができ、キーの誤操作を防ぐことが可能となる。
【0037】
スキャナ装置は、筐体1を手首から外して手首装着部2を下側にして載置させた際に、スキャナ装置の自重により可撓性バンド2Dが押し潰されるように撓むことにより一対の連結駒2B、2Bが末広がり状に開く(八の字型に開く)ことでスキャナ装置が手首装着部2により支えられて起立した状態となるようにしたので、ユーザにあってはスキャナ装置を机面などに載置する際に、スキャナ装置を起立した状態で載置させることができ、机面などとの接触面を少なくすることができると共に、手に装着する際にはスキャナ装置の向きを変えずに装着することができ、スキャナ装置の取扱いも便利なものとなる。
【0038】
なお、上述した第1実施形態においては、スキャナ開始キーSTを手首装着部2の上面に設けたが、その配設位置は手首装着部2の上面に限らず、任意である。すなわち、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、例えば、親指側の手首装着部2の一側部に配設してもよく、また、手首装着部2に限らず、その近傍に配設してもよく、操作性の向上を期待できる位置であれば任意である。
【0039】
上述した第1実施形態においては、接触センサ部17及び加速度センサ部18による検出結果をスキャナ開始キーSTの操作を有効とするための前提条件とするようにしたが、接触センサ部17及び加速度センサ部18による検出結果に基づいてスキャナ部15を自動的に起動させるようにしてもよい。すなわち、接触センサ部17により筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態であることが検出され、かつ、加速度センサ部18により筐体1が装着されている前腕が略水平状態であると共に前腕の動作としてその急停止した状態であることが検出された際に、スキャナ部15を起動させるようにしてもよい。これによって、ユーザにあっては、筐体1が装着されている側の手首が胸の前に来るようにその肘を略直角に曲げた状態の姿勢を取るだけでスキャナ動作を開始させることができ、作業を更に効率良く行うことができる。この場合、図6のフローチャートにおいて、スキャナ開始キーSTの操作待ちのステップS7を削除するようにすれば、上述の自動開始を実現させることが可能となる。なお、例えば、前腕を下げる動作などを行うことにより、スキャナ部15の読み取り動作を終了させるようにしてもよい。
【0040】
また、前腕が略水平状態であると共に急停止した状態であることを検出した際に、何処にレーザー光が照射されるかの読み取り位置をスポット光で知らせた上で、キー操作でレーザー光を照射するようにしてもよい。または、スポット光の照射により、読み取り位置を照らした後に、一定時間(例えば、2秒)の経過を条件としてレーザー光をその読み取り位置に照射するようにしてもよい。
【0041】
また、前腕の急停止を条件としてスキャナ部15を自動的に起動させる場合に限らず、前腕を略水平状態とするだけでスキャナ部15を自動的に起動させるようにしてもよい。すなわち、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態であることが接触センサ部17により検出され、かつ、加速度センサ部18により筐体1が装着されている前腕が略水平状態であることが検出された際に、スキャナ部15を起動させるようにしてもよい。これによって、ユーザにあっては、筐体1が装着されている側の前腕が略水平状態となる姿勢を取るだけでスキャナ動作を開始させることができ、作業を更に効率良く行うことができる。
【0042】
また、加速度センサ部18により前腕が略水平状態及び急停止した状態を検出する場合に限らず、略水平状態で回転した状態であることを検出するようにしてもよい。例えば、略水平な状態の前腕を捻る回転を検出するようにしてもよい。この場合、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態であることが接触センサ部17により検出され、かつ、加速度センサ部18により筐体1が装着されている前腕が略水平状態であることが検出されると共に回転した状態であることが検出された際に、スキャナ部15を起動させるようにしてもよい。
【0043】
これによってユーザにあっては、筐体1が装着されている側の前腕を略水平にした状態で、前腕の下側に位置している読み取り対象に光学部品5を向けるために、前腕を捻るように回転するだけでスキャナ動作を開始させることができ、作業を更に効率良く行うことができる。この場合、前腕を捻っている状態(読み取り対象に光学部品5を向けている状態)を維持している間、スキャナを動作させたままとすることにより複数の読み取り対象を連続して読み取ることも可能となる。
【0044】
また、上述した第1実施形態においては光学部品5を手首装着部2の一側面に設けるようにしたが、手首装着部2の両側面にそれぞれ光学部品5を配設するようにしてもよい。
図7は、この場合におけるスキャナ装置を上から見た状態での外観図(上面図)である。すなわち、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように手首装着部2の一側面に一方の光学部品5を配設し、更に、手首の親指側の側面に位置するように手首装着部2の他側面に他方の光学部品5を配設するようにしてもよい。このように手首装着部2の両側面に光学部品5をそれぞれ配設することにより、右利きのユーザ及び左利きのユーザの両方にそれぞれ対応可能とすることができる。
【0045】
また、上述した第1実施形態においては、タッチ表示部3を備えた表示部筐体1Aとキー操作部4を備えた操作部筐体1Bとをスライド可能に取り付けた構成としたが、筺体1を表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとに分割せず、一つの筺体1上にタッチ表示部3及びキー操作部4を並設するようにしてもよい。
【0046】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について図8〜図10を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、操作部筐体1B上に重ね合わせられている表示部筐体1Aを、前腕の長手方向に沿ってスライド可能に取り付けた構成としたが、この第2実施形態においては、操作部筐体1B上に重ね合わせられている表示部筐体1Aを、回転可能に取り付けたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0047】
図8〜図10は、腕装着タイプのスキャナ装置の外観図である。すなわち、図8及び図9は、腕装着タイプのスキャナ装置をその上の方から見た状態での外観図(上面図)であり、更に図9は、スキャナ装置を手首に装着した状態を示し図である。図10は、スキャナ装置をその横の方から見た状態での外観図(一側面図)である。
スキャナ装置は、読み取り対象(バーコードなどのコード情報)を光学的に走査するもので、板状の筐体1、手首装着部2、タッチ表示部3、キー操作部4、光学部品5を有する構成となっている。すなわち、スキャナ装置は、板状の筐体1と、その長手方向(図示の例では左右方向:横方向)の一端部側(図中、右側)を固定端とし、その他端部側(図中、左側)を自由端とするために当該一端部側に設けた手首装着部2と、筐体1上に設けたタッチ表示部3及びキー操作部4と、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように設けた光学部品5とを有する構成となっている。
【0048】
筐体1は、縦横の長さが異なる矩形の板状部材であり、筐体1の長手方向の他端部側を手首装着部2に固定した片持ち構造となっており、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、筐体1の長手方向が手首から肘に向かう直線方向に沿うように配置されるようになる。そして、筐体1は、図9に示すように、二つの筐体に分割されたもので、タッチ表示部3を備えた表示部筐体1Aとキー操作部4を備えた操作部筐体1Bとを有し、表示部筐体1Aは、操作部筐体1Bに対して時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ90°回転可能に取り付けられている。
【0049】
すなわち、回転支持部6は、筐体1を手首装着部2に対して回転可能に取り付けるもので、この回転支持部6を支点として筐体1は、回転可能となる。この場合、表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとは、上下方向(図中、紙面に対して鉛直方向)に重ね合わせて配設されたもので、表示部筐体1A、操作部筐体1Bのうち、その一方の筐体、つまり、操作部筐体1Bは、手首装着部2に固定されている。この操作部筐体1Bの上に重ね合わせられている他の筐体、つまり、表示部筐体1Aは、操作部筐体1Bに対して時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ90°回転可能となる。
【0050】
言い換えれば、図9に示すように筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、表示部筐体1Aの長手方向が手首から肘に向かう方向に沿うように配設されている状態(キー操作可能状態)から、手首から肘に向かう方向に対して略直交する方向に沿うように表示部筐体1Aの長手方向が配置される状態(スキャニング可能状態)に変更可能となっている。ここで、回転支持部6は、図示省略したが、操作部筐体1Bの一端部からの突出部(支軸部)に、表示部筐体1Aの一端部に形成した取付孔を回転可能に嵌め込んだ構造としているが、その取付けの仕方はそれに限らず、任意である。
【0051】
また、表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとが上下に重なり合っている状態(キー操作可能状態:図8参照)と、操作部筐体1Bに対して表示部筐体1Aが90°回転された状態(スキャニング可能状態:図9参照)において、表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとは弾性的に係止されるようになっている。すなわち、図示省略したが、操作部筐体1B側に形成した係止用穴部に、表示部筐体1A側に設けた係止用突起部(弾性体)が係止することで、表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとは弾性的に係止されて、図8に示したキー操作可能状態や図9に示したスキャニング可能状態を維持するようにしている。このいずれかの状態において、その弾性力に抗して表示部筐体1Aを時計回り方向あるいは反時計回り方向に回転させることにより係止用突起部と係止用穴部との係止が外れるようになっている。
【0052】
表示部筐体1Aの先端部(図8の場合には左側端部)には、光学部品5が配設されている。この場合、図10に示すように、表示部筐体1Aの先端部は、図中、斜め下側に向かって、やや折り曲げられており、この先端部(折曲部)内に光学部品5がその先端部を露出した状態で収納されている。すなわち、光学部品5は、回転支持部6を介して回転可能に支持されている表示部筐体1Aの自由端部側に配設されたもので、筺体1が水平な状態において光学部品5の先端部は斜め下側を指向するように収納されている。
【0053】
このように光学部品5を表示部筐体1Aの先端部に配設することにより表示部筐体1Aを操作部筐体1Bに対して90°回転させたスキャニング可能状態では、図9に示すように、手首の小指側の側面に光学部品5が位置するようになる。なお、図8において矢印Aは、時計回り方向を示し、矢印Bは、反時計回り方向を示し、右利きのユーザにあっては、表示部筐体1Aを時計回り方向Aに回転させ、左利きのユーザにあっては、表示部筐体1Aを反時計回り方向Bに回転させるようにすればよい。図9は、右利きのユーザの使用例で、表示部筐体1Aを時計回り方向Aに回転させた場合である。なお、手首装着部2は、金属性や合成樹脂性の可撓性バンドであり、このバンドの中央部分に操作部筐体1Bが固定されている。
【0054】
以上のように、第2実施形態においては、筐体1を手首装着部2に対して回転可能に取り付ける回転支持部6を備え、この回転支持部6を支点として筐体1を回転可能としたので、筐体1が手首装着部2を介して手首に装着されている状態において、筐体1の長手方向が手首から肘に向かう方向に沿うように配設されている状態から手首から肘に向かう方向に対して略直交する方向に沿うように配置される状態に変更することにより、表示部筐体1Aの先端部に設けた光学部品5が手首の小指側の側面に位置するようになる。このように筐体1を手首装着部2に対して回転可能に取り付けた場合でも上述した第1実施形態と同様の効果を有する。すなわち、筐体1を手首に装着した状態において前腕の長さ方向に沿って筐体1を長くしたとしても、手首を折り曲げたときに筐体1が邪魔になることもなく、操作性の向上を期待することができると共に、筐体1を長くすることによりタッチ表示部3を大型化することができ、読み取り作業の効率化など、実用性に富んだものとなる。
【0055】
筐体1は、タッチ表示部3を備えた表示部筐体1Aとキー操作部4を備えた操作部筐体1Bとを有し、表示部筐体1A、操作部筐体1Bのいずれか一方の筐体を回転支持部6を支点として回転可能に取り付けるようにしたので、タッチ表示部3及びキー操作部4を大型化したとしても筐体1の全体をコンパクト化することができ、使い勝手の大幅な向上を期待することができる。
【0056】
回転支持部6は、筐体1を手首装着部2に対して時計回り方向及び反時計回り方向の双方向に回転可能に取り付けるようにしたので、右利きユーザ、左利きユーザのいずれにも対応可能となる。
【0057】
なお、上述した第2実施形態においては、表示部筐体1Aを操作部筐体1Bに対して回転支持部6を支点として回転可能に取り付けるようにしたが、これとは逆に、操作部筐体1Bを表示部筐体1Aに回転可能に取り付けるようにしてもよい。この場合、光学部品5を操作部筐体1Bの先端部(自由端部)側に設けるようにすればよい。更に、筺体1を表示部筐体1Aと操作部筐体1Bとに分割せず、一つの筺体1上にタッチ表示部3とキー操作部4とを並設するようにしてもよい。
【0058】
上述した各実施形態において光学部品5を、バーコートなどを光学的に走査するスキャナ部を構成する光学素子とした場合を示したが、スキャナ部を構成する光学素子に限らず、被写体を撮像する撮像部(カメラ部)を構成する光学系(撮影レンズやプリズムなど)であってもよい。このように光学部品5を撮像部(カメラ部)の光学系とすることにより手首に装着可能な携帯端末装置として、腕装着タイプの撮像装置(カメラ装置)とすることができる。この場合、前腕の動き(前腕を捻る回転運動など)により被写体の位置に光学部品5を的確に向けることができるほか、被写体に気付かれずに撮影を効率良く行うことも可能となる。
【0059】
また、上述した各実施形態においては、スキャナ装置に適用した場合を示したが、スキャナ装置、撮像装置に限らず、カメラ機能付きPDA・音楽プレイヤーなどの携帯端末装置であってもよい。
【0060】
また、上述した各実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップSは、時系列的な処理に限らず、複数のステップSを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0061】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
手首に装着可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置を構成する板状筐体の長手方向の一端部側を固定端とし、その他端部側を自由端とするために当該一端部側に設けた手首装着部と、
前記筐体上に設けた表示部と、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように設けた光学部品と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の携帯端末装置において、
前記筐体は、縦横の長さが異なる矩形の板状部材であり、
前記表示部は、縦横比の異なる表示画面を有し、
前記表示画面の長手方向が前記筐体の長手方向に沿うように前記表示部を前記筐体上に配設した、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の携帯端末装置において、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態において、当該筐体をその長手方向が手首から肘に向かう方向に沿うように設けた、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記光学部品は、前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように前記手首装着部の一側面に設けた、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記筐体は、前記表示部を備えた表示部筐体とキー操作部を備えた操作部筐体とをスライド可能に取り付けた構成で、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態において、前記表示部筐体、前記操作部筐体のうち、その一方の筐体を他方の筐体に対して手首から肘に向かう方向にスライド可能に取り付けた、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の携帯端末装置において、
前記筐体を前記手首装着部に対して回転可能に取り付ける回転支持部を更に備え、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態において、前記回転支持部を支点として前記筐体を回転可能とした、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の携帯端末装置において、
前記筐体は、前記表示部を備えた表示部筐体とキー操作部を備えた操作部筐体とを有し、
前記表示部筐体、前記操作部筐体のいずれか一方の筐体を前記回転支持部を支点として回転可能に取り付けた、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項6あるいは請求項7に記載の携帯端末装置において、
前記回転支持部は、前記筐体を前記手首装着部に対して時計回り方向及び反時計回り方向の双方向に回転可能に取り付ける、
ようにしたことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、請求項6〜請求項8のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記光学部品は、前記回転支持部を介して回転可能に支持されている前記筐体の自由端部側に設けた、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記光学部品を使用した処理の開始を指示する開始キーを更に備え、
前記開始キーは、前記手首装着部あるいはその近傍に設けた、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項11)
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の携帯端末装置において、
前記開始キーが操作された際に、どの方向に前記光学部品が向いているのかを識別表示する識別表示部を更に備える、
ようにしたことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項12)
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の携帯端末装置において、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態を検出する装着状態検出手段と、
前記装着状態検出手段により前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されていることが検出されている状態において、前記筐体が略水平状態であることを検出すると共に急停止状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により略水平状態であり、かつ、急停止状態であることが検出された場合に、前記開始キーの操作を有効として前記光学部品を使用した処理を開始させる処理制御手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項13)
請求項13に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態を検出する装着状態検出手段と、
前記装着状態検出手段により前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されていることが検出されている状態において、前記筐体が略水平状態であることを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記筐体が略水平状態であることが検出された際に、前記光学部品を使用した処理を開始させる処理制御手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項14)
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の携帯端末装置において、
前記検出手段は、前記筐体が略水平状態であることを検出すると共に急停止状態であることを検出し、
前記処理制御手段は、前記検出手段により前記筐体が略水平状態であり、かつ、急停止状態であることが検出された際に、前記光学部品を使用した処理を開始させる、
ようにしたことを特徴とする携帯端末装置。
(請求項15)
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載の携帯端末装置において、
前記検出手段は、前記筐体が略水平状態であることを検出すると共に回転した状態であることを検出し、
前記処理制御手段は、前記検出手段により前記筐体が略水平状態であり、かつ、回転した状態であることが検出された際に、前記光学部品を使用した処理を開始させる、
ようにしたことを特徴とする携帯端末装置。
(請求項16)
請求項16に記載の発明は、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記光学部品は、読み取り対象を光学的に走査するスキャナ部を構成する光学素子である、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項17)
請求項17に記載の発明は、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記光学部品は、被写体を撮像する撮像部を構成する光学系である、
ことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項18)
請求項18に記載の発明は、請求項1〜17のいずれかに記載の携帯端末装置において、
前記手首装着部は、前記筐体の長手方向の一端部においてその長手方向に対して直交する両側面に回転可能に軸支されている一対の連結駒と、前記一対の連結駒に留め具を介して取り付けられている可撓性バンド部とを有し、
前記筐体を手首から外して前記手首装着部を下側にして置いた際に、前記可撓性バンド部が押し潰されるように撓んで前記一対の連結駒が末広がり状に開くことで当該筐体が起立した状態となる、
ようにしたことを特徴とする携帯端末装置である。
(請求項19)
請求項19に記載の発明は、
コンピュータに対して、
板状筐体の長手方向の一端部側を自由端とし、その他端部側を固定端とするために当該他端部側に設けた手首装着部を介して当該筐体が手首に装着されている状態を検出する機能と、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されていることが検出されている状態において、前記筐体が略水平状態であることを検出する機能と、
前記筐体が略水平状態であることが検出された際に、前記筐体が装着されている手首の小指側の側面に位置するように設けられている光学部品を使用した処理を開始させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0062】
1 筐体
1A 表示部筐
1B 操作部筐体
2 手首装着部
2A ブリッジ板
2B 連結駒
2C 留め具
2D 可撓性バンド
3 タッチ表示部
4 キー操作部
5 光学部品
6 回転支持部
11 CPU
13 記憶部
15 スキャナ部
17 接触センサ部
18 加速度センサ部
ST スキャナ開始キー
LD 識別表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手首に装着可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置を構成する板状筐体の長手方向の一端部側を固定端とし、その他端部側を自由端とするために当該一端部側に設けた手首装着部と、
前記筐体上に設けた表示部と、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように設けた光学部品と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記筐体は、縦横の長さが異なる矩形の板状部材であり、
前記表示部は、縦横比の異なる表示画面を有し、
前記表示画面の長手方向が前記筐体の長手方向に沿うように前記表示部を前記筐体上に配設した、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態において、当該筐体をその長手方向が手首から肘に向かう方向に沿うように設けた、
ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記光学部品は、前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態においてその手首の小指側の側面に位置するように前記手首装着部の一側面に設けた、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記表示部を備えた表示部筐体とキー操作部を備えた操作部筐体とをスライド可能に取り付けた構成で、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態において、前記表示部筐体、前記操作部筐体のうち、その一方の筐体を他方の筐体に対して手首から肘に向かう方向にスライド可能に取り付けた、
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記筐体を前記手首装着部に対して回転可能に取り付ける回転支持部を更に備え、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態において、前記回転支持部を支点として前記筐体を回転可能とした、
ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記表示部を備えた表示部筐体とキー操作部を備えた操作部筐体とを有し、
前記表示部筐体、前記操作部筐体のいずれか一方の筐体を前記回転支持部を支点として回転可能に取り付けた、
ことを特徴とする請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記回転支持部は、前記筐体を前記手首装着部に対して時計回り方向及び反時計回り方向の双方向に回転可能に取り付ける、
ようにしたことを特徴とする請求項6あるいは請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記光学部品は、前記回転支持部を介して回転可能に支持されている前記筐体の自由端部側に設けた、
ことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記光学部品を使用した処理の開始を指示する開始キーを更に備え、
前記開始キーは、前記手首装着部あるいはその近傍に設けた、
ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項11】
前記開始キーが操作された際に、どの方向に前記光学部品が向いているのかを識別表示する識別表示部を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項10に記載の携帯端末装置。
【請求項12】
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態を検出する装着状態検出手段と、
前記装着状態検出手段により前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されていることが検出されている状態において、前記筐体が略水平状態であることを検出すると共に急停止状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記筐体が略水平状態であり、かつ、急停止状態であることが検出された場合に、前記開始キーの操作を有効として前記光学部品を使用した処理を開始させる処理制御手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置。
【請求項13】
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されている状態を検出する装着状態検出手段と、
前記装着状態検出手段により前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されていることが検出されている状態において、前記筐体が略水平状態であることを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記筐体が略水平状態であることが検出された際に、前記光学部品を使用した処理を開始させる処理制御手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項14】
前記検出手段は、前記筐体が略水平状態であることを検出すると共に急停止状態であることを検出し、
前記処理制御手段は、前記検出手段により前記筐体が略水平状態であり、かつ、急停止状態であることが検出された際に、前記光学部品を使用した処理を開始させる、
ようにしたことを特徴とする請求項13に記載の携帯端末装置。
【請求項15】
前記検出手段は、前記筐体が略水平状態であることを検出すると共に略水平状態で回転した状態であることを検出し、
前記処理制御手段は、前記検出手段により前記筐体が略水平状態であり、かつ、回転した状態であることが検出された際に、前記光学部品を使用した処理を開始させる、
ようにしたことを特徴とする請求項13に記載の携帯端末装置。

【請求項16】
前記光学部品は、読み取り対象を光学的に走査するスキャナ部を構成する光学素子である、
ことを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項17】
前記光学部品は、被写体を撮像する撮像部を構成する光学系である、
ことを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項18】
前記手首装着部は、前記筐体の長手方向の一端部においてその長手方向に対して直交する両側面に回転可能に軸支されている一対の連結駒と、前記一対の連結駒に留め具を介して取り付けられている可撓性バンド部とを有し、
前記筐体を手首から外して前記手首装着部を下側にして置いた際に、前記可撓性バンド部が押し潰されるように撓んで前記一対の連結駒が末広がり状に開くことで当該筐体が起立した状態となる、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項19】
コンピュータに対して、
板状筐体の長手方向の一端部側を自由端とし、その他端部側を固定端とするために当該他端部側に設けた手首装着部を介して当該筐体が手首に装着されている状態を検出する機能と、
前記筐体が前記手首装着部を介して手首に装着されていることが検出されている状態において、前記筐体が略水平状態であることを検出する機能と、
前記筐体が略水平状態であることが検出された際に、前記筐体が装着されている手首の小指側の側面に位置するように設けられている光学部品を使用した処理を開始させる機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−238224(P2012−238224A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107445(P2011−107445)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】