説明

携帯端末装置及び該携帯端末装置に用いられるアンテナ共振周波数調整方法

【課題】携帯端末装置の非接触ICカード機能の送受信アンテナの有効帯域を拡大する。
【解決手段】ICカード処理装置などとの通信中に、最低限必要な通信距離以下の距離に発生している通信不可領域を避けるように、送受信アンテナ11の共振周波数が調整される。この場合、電圧検知回路15により、受信電圧rvが検知され、送受信アンテナ11とICカード処理装置との距離が含まれる範囲に対応する受信電圧判定信号vdが出力される。周波数帯域記録レジスタ16により、あらかじめ測定された送受信アンテナ11の共振周波数が含まれる周波数帯域が記録され、同帯域を表す帯域情報信号fiが出力される。デコーダ17により、受信電圧判定信号vd及び帯域情報信号fiがデコードされ、共振周波数制御信号ctが出力される。アンテナ共振周波数調整回路18により、共振周波数制御信号ctに基づいて、送受信アンテナ11の共振周波数が切り替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末装置及び該携帯端末装置に用いられるアンテナ共振周波数調整方法に係り、特に、非接触ICカード機能を有する携帯電話機などのように、同機能を内蔵するための高密度実装を必要とする場合に適用して好適な携帯端末装置及び該携帯端末装置に用いられるアンテナ共振周波数調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機など携帯端末装置は、通常の通話機能や電子メールの送受信機能を有する他、近年では、たとえば、交通機関の改札機との通信や、コンビニエンスストアなどに設置されている金銭の支払い用のリーダ/ライタ(ICカード処理装置)との通信などに用いられる非接触ICカード機能(以下、単に「ICカード機能」ともいう)を有するものが製作されている。
【0003】
この種の関連技術としては、たとえば図8に示す携帯端末装置があり、同携帯端末装置は、送受信アンテナ1と、容量調節回路2と、ICカード機能回路3と、制御部4とを有している。
この携帯端末装置では、容量調節回路2が送受信アンテナ1と並列接続され、図示しないリーダ/ライタに接近したとき、同リーダ/ライタから出力される電磁波により同送受信アンテナ1が電磁誘導を受けて受信電圧rvが得られる。容量調節回路2内の容量値は、送受信アンテナ1のアンテナ共振周波数がリーダ/ライタと通信が可能な有効帯域に入るよう調整されている。そして、ICカード機能回路3及び制御部4により、所定の処理が行われる。
【0004】
上記の携帯端末装置の他、この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された非接触式ICカードがある。
この非接触式ICカードでは、ICチップ内に複数のコンデンサが設けられ、自動的にそれらが選択されて容量値が変化することで、共振回路が所望の共振周波数となるようにアンテナ特性が調整される。また、ICチップ内に温度検知回路が設けられ、ICチップが所定温度以上となった場合には、共振回路の共振周波数あるいはQ値(クオリティファクタ)を切り換えることで、ICチップの過大温度上昇が回避される。
【0005】
また、特許文献2に記載されたリーダ・ライタでは、通信端末としての無線タグ、あるいは無線タグ機能が内蔵された携帯端末装置と近距離無線通信が行われ、推定部により通信端末との距離が推定され、周波数シフト部により、同推定部で推定された距離に応じて、同調部で同調させる周波数がシフトされる。これにより、通信端末との距離が非常に接近した場合に、同調周波数がシフトされ、ヌル(null)状態の発生が回避される。
【0006】
また、特許文献3に記載された非接触型ICカード内蔵携帯端末では、同調回路のコンデンサの静電容量もしくはコイルのインダクタンスを変化させてアンテナの同調周波数が合わせられることにより、複数のリーダ/ライタとの通信を行う際に、同調周波数の決定が自動的に行われるので、安定した通信が行われる。
【0007】
また、特許文献4に記載された情報カードシステムでは、電圧検出回路により、共振回路の受信電圧が検出される。また、受信感度を弱くするための可変容量コントロール回路及び可変容量が設けられている。CPU(中央処理装置)により、電圧検出回路の受信電圧が所定の電圧レベルを越えると、可変容量コントロール回路で可変容量の静電容量を変化させ、共振周波数をずらすことによって、受信電圧の電圧レベルを下げ、受信感度が調整される。これにより、非接触ICカードとカードリーダライタとが近付き過ぎた場合でも、データの送受が正常に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−011009号公報
【特許文献2】特開2006−279813号公報
【特許文献3】特開2008−225927号公報
【特許文献4】特開平05−128319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、図8の携帯端末装置では、送受信アンテナ1のアンテナ共振周波数が有効帯域に入るように調整されているが、同有効帯域が狭く、同アンテナ共振周波数を同有効帯域内に収めるための調節が非常に困難であるという課題がある。たとえば、図9に示すように、送受信アンテナ1では、アンテナ共振周波数の有効帯域(すなわち、リーダ/ライタとの距離が最低限必要な通信距離hH 以下の距離で、かつ通信不可の領域がない共振周波数の帯域)は、帯域fM の範囲である。アンテナ共振周波数が帯域fM の範囲から外れた場合、たとえば領域MAや領域MBでは、リーダ/ライタからICカード機能を動作させるための起電力は得られるが、通信不可となることがある。この場合、領域MAでは、リーダ/ライタとの距離が最低限必要な通信距離hH の近辺で、かつ通信距離が確保できない低い共振周波数の帯域fL となっている。また、領域MBでは、リーダ/ライタと密着に近い距離hL 以下の場所で、かつ近距離で通信不可となる高い共振周波数の帯域fH となっている。このため、アンテナ共振周波数の許容されるばらつきの範囲は、非常に狭帯域となる。
【0010】
また、近年、送受信アンテナ1の薄型化及び小型化により、上記有効帯域(帯域fM )がより狭い範囲となる傾向にあるので、アンテナ共振周波数を有効帯域内に収めることがさらに難しくなり、不良品が多発する恐れがあるという問題点がある。また、この対策のために、コンデンサによる調整回路を設け、製造後の調整検査時に、個々に共振周波数を測定して調整するという煩雑な作業が発生するという問題点がある。特に、薄型の携帯端末装置では、図10に示すように、通信距離が確保できない低い共振周波数の帯域fL Aと、近距離で通信不可となる高い通信周波数の帯域fH Aとが隣り合わせの通信特性となり、図9中の有効帯域fM が殆ど存在しない通信特性となることがある。この対策として、領域NBの特性を改善するために、送受信アンテナ1などの裏側や電池カバーの裏側に電磁波の通過性の良好な厚みのある磁性シートを設ける作業が発生し、また、携帯端末装置の薄型化が困難になるという課題がある。また、図10の通信特性では、図9中の領域MA,MBと同様に、通信不可となる領域NA,NBがある。
【0011】
また、特許文献1に記載された非接触式ICカードでは、共振回路の共振周波数が調整されるが、ICチップの過大温度上昇が回避されるものであり、この発明とは構成が異なる。
【0012】
特許文献2に記載されたリーダ・ライタでは、通信端末との距離が非常に接近した場合に、同調周波数がシフトされるが、最低限必要な通信距離の近辺でのヌル状態の発生については、回避されないものであり、この発明とは構成が異なる。
【0013】
特許文献3に記載された非接触型ICカード内蔵携帯端末では、アンテナの同調周波数が調整されることにより、複数のリーダ/ライタとの通信が安定して行われるが、通信不可となる領域を避けることについては、明確ではない。
【0014】
特許文献4に記載された情報カードシステムでは、非接触ICカードとカードリーダライタとが近付き過ぎた場合でも、受信感度が調整されてデータの送受が正常に行われるが、最低限必要な通信距離の近辺で通信不可となる状態の発生については、回避されないものであり、この発明とは構成が異なる。また、CPU(中央処理装置)により受信感度が調整されるので、ハード構成によるものよりも動作速度が遅いという課題がある。
【0015】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、ICカード処理装置から電磁誘導を受けて受信電圧を発生するアンテナの有効帯域を広げるための手段が設けられている携帯端末装置及び該携帯端末装置に用いられるアンテナ共振周波数調整方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器が所定の領域内に接近したときに無線接続されるICカード処理装置から電磁誘導を受けて受信電圧を発生するアンテナと、該アンテナから発生した前記受信電圧が供給されて所定の動作を行う非接触型ICカード機能回路とを有する携帯端末装置に係り、前記ICカード処理装置との通信中に、最低限必要な通信距離以下の距離に発生している通信不可領域を避けるように、前記アンテナの共振周波数を調整するアンテナ共振周波数調整手段が設けられていることを特徴としている。
【0017】
この発明の第2の構成は、非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器が所定の領域内に接近したときに無線接続されるICカード処理装置から電磁誘導を受けて受信電圧を発生するアンテナと、該アンテナから発生した前記受信電圧が供給されて所定の動作を行う非接触型ICカード機能回路とを有する携帯端末装置に用いられるアンテナ共振周波数調整方法に係り、前記ICカード処理装置との通信中に、最低限必要な通信距離以下の距離に発生している通信不可領域を避けるように、前記アンテナの共振周波数を調整するアンテナ共振周波数調整処理を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
この発明の構成によれば、アンテナの共振周波数の有効帯域を擬似的に広げることができ、携帯端末装置を製造する際に、共振周波数のばらつきに対し、許容できる幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の携帯端末装置の原理を説明するブロック図である。
【図2】第1の実施形態である携帯端末装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】送受信アンテナ11のリーダ/ライタから受ける受信電圧rvと同リーダ/ライタとの距離との関係、及び閾値電圧V1 ,V2 を示す図である。
【図4】アンテナ共振周波数調整回路18による送受信アンテナ11の共振周波数の切替え動作を説明する図である。
【図5】アンテナ共振周波数調整回路18による送受信アンテナ11の共振周波数の切替え動作を説明する図である。
【図6】アンテナ共振周波数調整回路18による送受信アンテナ11の共振周波数の切替え動作を説明する図である。
【図7】この発明の第2の実施形態である携帯端末装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】関連する携帯端末装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】送受信アンテナ1の通信特性を説明する図である。
【図10】送受信アンテナ1の他の通信特性を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記通信不可領域は、上記ICカード処理装置との距離が最低限必要な通信距離の近辺で、かつ通信距離が確保されない低い共振周波数の第1の帯域となる第1の領域、及び、上記ICカード処理装置と密着状態に近い距離以下の場所で、かつ近距離で通信不可となる高い共振周波数の第2の帯域となる第2の領域である携帯端末装置を提供する。
【0021】
また、この発明の好適な形態では、上記アンテナ共振周波数調整手段は、上記アンテナから発生した上記受信電圧のレベルを検知して、上記アンテナと上記ICカード処理装置との距離が含まれる範囲に対応する受信電圧判定信号を出力する電圧検知手段と、あらかじめ測定された上記アンテナの共振周波数が含まれる周波数帯域が記録され、該周波数帯域を表す帯域情報信号を出力する周波数帯域記録手段と、上記受信電圧判定信号及び上記帯域情報信号をデコードして、上記アンテナの共振周波数を調整するための共振周波数制御信号を出力するデコード手段と、上記共振周波数制御信号に基づいて、上記アンテナの共振周波数を切り替える共振周波数切替え手段とから構成されている。
【0022】
上記周波数帯域記録手段から出力される上記帯域情報信号は、上記第1の帯域、上記第2の帯域、又は上記第1の帯域と上記第2の帯域との間の第3の帯域を示す構成とされ、上記電圧検知手段は、上記ICカード処理装置と密着状態に近い距離に対応する第1の閾値電圧が設定され、上記受信電圧を上記第1の閾値電圧と比較して、該受信電圧が該第1の閾値電圧よりも大きいとき、アクティブモードの第1の受信電圧判定信号を出力する第1の電圧検知回路と、上記ICカード処理装置との距離が最低限必要な通信距離に対応する第2の閾値電圧が設定され、上記受信電圧を上記第2の閾値電圧と比較して、該受信電圧が該第2の閾値電圧よりも大きいとき、アクティブモードの第2の受信電圧判定信号を出力する第2の電圧検知回路とから構成され、上記デコード手段は、上記周波数帯域記録手段から出力される上記帯域情報信号が上記第1の帯域を示し、かつ、上記第1の受信電圧判定信号がアクティブモードのとき、上記アンテナの共振周波数を上記第1の帯域から上記第3の帯域に移動するための第1の共振周波数制御信号を出力する第1のデコーダと、上記帯域情報信号が上記第2の帯域を示し、かつ、上記第2の受信電圧判定信号がアクティブモードのとき、上記アンテナの共振周波数を上記第2の帯域から上記第3の帯域に移動するための第2の共振周波数制御信号を出力する第2のデコーダとから構成され、上記共振周波数切替え手段は、上記第1のデコーダから出力された上記第1の共振周波数制御信号に基づいて、上記アンテナの共振周波数を上記第1の帯域から上記第3の帯域に移動する一方、上記第2のデコーダから出力された上記第2の共振周波数制御信号に基づいて、上記アンテナの共振周波数を上記第2の帯域から上記第3の帯域に移動する構成とされている。
【0023】
また、上記共振周波数切替え手段は、上記第1の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオン状態となる一方、アクティブモードのときにオフ状態となる第1のスイッチと、該第1のスイッチがオン状態のときに上記アンテナに並列接続される第1のコンデンサと、上記第2の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオフ状態となる一方、アクティブモードのときにオン状態となる第2のスイッチと、該第2のスイッチがオン状態のときに上記アンテナに並列接続される第2のコンデンサとから構成され、上記第1のコンデンサの容量は、上記第1のスイッチがオン状態からオフ状態になったときに、上記アンテナの共振周波数が上記第1の帯域から上記第3の帯域に移動する値に設定され、上記第2のコンデンサの容量は、上記第2のスイッチがオフ状態からオン状態になったときに、上記アンテナの共振周波数が上記第2の帯域から上記第3の帯域に移動する値に設定されている。
【0024】
また、上記共振周波数切替え手段は、上記第1の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオフ状態となる一方、アクティブモードのときにオン状態となる第1のスイッチと、上記第2の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオン状態となる一方、アクティブモードのときにオフ状態となる第2のスイッチとから構成され、上記アンテナは、上記第1のスイッチがオン状態になったとき、共振周波数が上記第1の帯域から上記第3の帯域に移動する一方、上記第2のスイッチがオフ状態となったとき、共振周波数が上記第2の帯域から上記第3の帯域に移動する構成とされている。
【0025】
図1は、この発明の携帯端末装置の原理を説明するブロック図である。
この携帯端末装置は、送受信アンテナ11と、容量調節回路12と、ICカード機能回路13と、制御部14と、電圧検知回路15と、周波数帯域記録レジスタ16と、デコーダ17と、アンテナ共振周波数調整回路18とから構成されている。送受信アンテナ11は、リーダ/ライタなどのICカード処理装置から電磁誘導を受けて受信電圧rvを発生する。容量調節回路12内の容量値は、送受信アンテナ11のアンテナ共振周波数がリーダ/ライタと通信が可能な有効帯域に入るよう調整されている。ICカード機能回路13は、送受信アンテナ11から発生した受信電圧rvが供給されて所定の動作を行う。上記電圧検知回路15、周波数帯域記録レジスタ16、デコーダ17及びアンテナ共振周波数調整回路18で、アンテナ共振周波数調整手段が構成されている。
【0026】
制御部14は、この携帯端末装置全体を制御する。電圧検知回路15は、送受信アンテナ11から発生した受信電圧rvのレベルを検知して、同送受信アンテナ11とICカード処理装置(リーダ/ライタ)との距離が含まれる範囲に対応する受信電圧判定信号vdを出力する。周波数帯域記録レジスタ16は、あらかじめ測定された送受信アンテナ11の共振周波数(アンテナ共振周波数)が含まれる周波数帯域が記録され、同周波数帯域を表す帯域情報信号fiを出力する。デコーダ17は、受信電圧判定信号vd及び帯域情報信号fiをデコードして、送受信アンテナ11の共振周波数を調整するための共振周波数制御信号ctを出力する。アンテナ共振周波数調整回路18は、共振周波数制御信号ctに基づいて、送受信アンテナ11の共振周波数を切り替える。
【0027】
この携帯端末装置では、ICカード処理装置(リーダ/ライタ)との通信中に、最低限必要な通信距離以下の距離に発生している通信不可領域を避けるように、送受信アンテナ11の共振周波数が調整される(アンテナ共振周波数調整処理)。上記通信不可領域は、図9中の領域MA,MBである。このアンテナ共振周波数調整処理では、電圧検知回路15により、送受信アンテナ11から発生した受信電圧rvのレベルが検知され、同送受信アンテナ11とICカード処理装置(リーダ/ライタ)との距離が含まれる範囲に対応する受信電圧判定信号vdが出力される(電圧検知処理)。周波数帯域記録レジスタ16により、あらかじめ測定された送受信アンテナ11の共振周波数が含まれる周波数帯域が記録され、同周波数帯域を表す帯域情報信号fiが出力される(周波数帯域記録処理)。デコーダ17により、受信電圧判定信号vd及び帯域情報信号fiがデコードされ、送受信アンテナ11の共振周波数を調整するための共振周波数制御信号ctが出力される(デコード処理)。アンテナ共振周波数調整回路18により、共振周波数制御信号ctに基づいて、送受信アンテナ11の共振周波数が切り替えられる(共振周波数切替え処理)。
【実施形態1】
【0028】
図2は、この発明の第1の実施形態である携帯端末装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態の携帯端末装置は、携帯電話機であり、同図に示すように、電圧検知回路15は、電圧検知回路151 と、電圧検知回路152 とから構成されている。電圧検知回路151 は、ICカード処理装置(リーダ/ライタ)と密着状態に近い距離hL に対応する閾値電圧V1 (第1の閾値電圧)が設定され、受信電圧rvを閾値電圧V1 と比較して、受信電圧rvが閾値電圧V1 よりも大きいとき、アクティブモードの受信電圧判定信号vd1 (第1の受信電圧判定信号)を出力する。電圧検知回路152 は、ICカード処理装置(リーダ/ライタ)との距離が最低限必要な通信距離hH に対応する閾値電圧V2 (第2の閾値電圧)が設定され、受信電圧rvを閾値電圧V2 と比較して、受信電圧rvが閾値電圧V2 よりも大きいとき、アクティブモードの受信電圧判定信号vd2 (第2の受信電圧判定信号)を出力する。
【0029】
周波数帯域記録レジスタ16から出力される帯域情報信号fiは、上記第1の帯域fL 、第2の帯域fH 、又は第1の帯域fL と第2の帯域fH との間の第3の帯域fM を示す。この場合、帯域fL ,fH ,fM に、たとえば2進コード“01”,“10”,“11”がそれぞれ対応付けられる。デコーダ17は、デコーダ171 と、デコーダ172 とから構成されている。デコーダ171 は、周波数帯域記録レジスタ16から出力される帯域情報信号fiが第1の帯域fL を示し、かつ、受信電圧判定信号vd1 がアクティブモードのとき、送受信アンテナ11の共振周波数を第1の帯域fL から第3の帯域fM に移動するための共振周波数制御信号ct1 (第1の共振周波数制御信号)を出力する。デコーダ172 は、帯域情報信号fiが第2の帯域fH を示し、かつ、受信電圧判定信号vd2 がアクティブモードのとき、送受信アンテナ11の共振周波数を第2の帯域fH から第3の帯域fM に移動するための共振周波数制御信号ct2 (第2の共振周波数制御信号)を出力する。
【0030】
アンテナ共振周波数調整回路18は、共振周波数調整スイッチ211 ,212 と、コンデンサ221 ,222 とから構成されている。共振周波数調整スイッチ211 は、共振周波数制御信号ct1 がノンアクティブモードのときにオン状態となる一方、アクティブモードのときにオフ状態となる。コンデンサ221 は、共振周波数調整スイッチ211 がオン状態のときに送受信アンテナ11に並列接続される。このコンデンサ221 の容量は、共振周波数調整スイッチ211 がオン状態からオフ状態になったときに、送受信アンテナ11の共振周波数が第1の帯域fL から第3の帯域fM に移動する値に設定されている。
【0031】
共振周波数調整スイッチ212 は、共振周波数制御信号ct2 がノンアクティブモードのときにオフ状態となる一方、アクティブモードのときにオン状態となる。コンデンサ222 は、共振周波数調整スイッチ212 がオン状態のときに送受信アンテナ11に並列接続される。このコンデンサ222 の容量は、共振周波数調整スイッチ212 がオフ状態からオン状態になったときに、送受信アンテナ11の共振周波数が第2の帯域fH から第3の帯域fM に移動する値に設定されている。このため、アンテナ共振周波数調整回路18は、デコーダ171 から出力された共振周波数制御信号ct1 に基づいて、送受信アンテナ11の共振周波数を第1の帯域fL から第3の帯域fM に移動する一方、デコーダ172 から出力された共振周波数制御信号ct2 に基づいて、送受信アンテナ11の共振周波数を第2の帯域fH から第3の帯域fM に移動する。
【0032】
図3は、送受信アンテナ11のリーダ/ライタから受ける受信電圧rvと同リーダ/ライタとの距離との関係、及び閾値電圧V1 ,V2 を示す図である。
図2中の電圧検知回路151 ,152 では、同図に示すように、リーダ/ライタと密着状態に近い距離hL に対応する受信電圧rvが閾値電圧V1 として設定され、また、リーダ/ライタとの距離が最低限必要な通信距離hH に対応する受信電圧rvが閾値電圧V2 として設定されている。
【0033】
図4、図5及び図6は、アンテナ共振周波数調整回路18による送受信アンテナ11の共振周波数の切替え動作を説明する図である。
これらの図を参照して、この形態の携帯端末装置に用いられるアンテナ共振周波数調整方法の処理内容について説明する。
この携帯端末装置では、電圧検知処理で、電圧検知回路151 により、受信電圧rvが閾値電圧V1 と比較され、同受信電圧rvが同閾値電圧V1 よりも大きいとき、アクティブモードの受信電圧判定信号vd1 が出力される(第1の電圧検知処理)。また、電圧検知回路152 により、受信電圧rvが閾値電圧V2 と比較され、同受信電圧rvが同閾値電圧V2 よりも大きいとき、アクティブモードの受信電圧判定信号vd2 が出力される(第2の電圧検知処理)。
【0034】
デコード処理で、デコーダ171 により、周波数帯域記録レジスタ16から出力される帯域情報信号fiが第1の帯域fL を示し、かつ、受信電圧判定信号vd1 がアクティブモードのとき、送受信アンテナ11の共振周波数を第1の帯域fL から第3の帯域fM に移動するための共振周波数制御信号ct1 が出力される(第1のデコード処理)。また、デコーダ172 により、帯域情報信号fiが第2の帯域fH を示し、かつ、受信電圧判定信号vd2 がアクティブモードのとき、送受信アンテナ11の共振周波数を第2の帯域fH から第3の帯域fM に移動するための共振周波数制御信号ct2 が出力される(第2のデコード処理)。
【0035】
共振周波数切替え処理で、アンテナ共振周波数調整回路18により、デコーダ171 から出力された共振周波数制御信号ct1 に基づいて、送受信アンテナ11の共振周波数が第1の帯域fL から第3の帯域fM に移動される一方、デコーダ172 から出力された共振周波数制御信号ct2 に基づいて、送受信アンテナ11の共振周波数が第2の帯域fH から第3の帯域fM に移動される。
【0036】
すなわち、アンテナ共振周波数調整回路18では、共振周波数調整スイッチ211 は、通常オン状態、及び、共振周波数調整スイッチ212 が通常オフ状態となっている。リーダ/ライタから得られる受信電圧vrが閾値電圧V2 より高くなり、すなわち、送受信アンテナ11の位置が距離hH より近くなり、かつ、周波数帯域記録レジスタ16に、帯域fL の範囲のアンテナ共振周波数を有する携帯端末装置であることが書き込まれていれば、デコーダ171 から出力される共振周波数制御信号ct1 により、共振周波数調整スイッチ211 がオフ状態となる。この場合、図4に示すように、送受信アンテナ11の状態が、共振周波数をシフトする前の領域EAから、共振周波数をシフトした先の領域EBとなり、アンテナ共振周波数は、帯域fL から帯域fM の範囲に切り替えられる。
【0037】
また、リーダ/ライタから得られる受信電圧vrが閾値電圧V1 より高くなり、すなわち、送受信アンテナ11の位置が距離hL より近くなり、かつ、周波数帯域記録レジスタ16に、帯域fH の範囲のアンテナ共振周波数を有する携帯端末装置であることが書き込まれていれば、デコーダ172 から出力される共振周波数制御信号ct2 により、共振周波数調整スイッチ212 がオン状態となる。この場合、図5に示すように、送受信アンテナ11の状態が、共振周波数をシフトする前の領域FAから、共振周波数をシフトした先の領域FBとなり、アンテナ共振周波数は、帯域fH から帯域fM の範囲に切り替えられる。
【0038】
また、周波数帯域記録レジスタ16に、帯域fM の範囲のアンテナ共振周波数を有する携帯端末であることが書き込まれているときは、受信電圧vrが閾値電圧V1 及び閾値電圧V2 より高くなっても、共振周波数調整スイッチ211 及び共振周波数調整スイッチ212 は切り替わらない。また、周波数帯域記録レジスタ16に、帯域fL の範囲のアンテナ共振周波数であることが書き込まれている携帯端末装置の受信電圧vrが閾値電圧V1 より高くなっても、共振周波数調整スイッチ212 は切り替わらない。また、周波数帯域記録レジスタ16に、帯域fH の範囲のアンテナ共振周波数であることが書き込まれている携帯端末装置の受信電圧vrが閾値電圧V2 より高くなっても、共振周波数調整スイッチ211 は切り替わらない。
【0039】
また、図6に示すように、帯域fM がない状態でも、送受信アンテナ11の位置が最低減必要な通信距離hH Aを満たしていれば、受信電圧vrが閾値電圧V1 以上になった時点で、アンテナ共振周波数が帯域fH から帯域fL に移動し、送受信アンテナ11の状態が、共振周波数をシフトした先の領域YAとなるので、擬似的に帯域fH と同等の帯域を有する帯域fM を作りだすことができる。
【0040】
以上のように、この第1の実施形態では、アンテナ共振周波数調整回路18により、送受信アンテナ11のアンテナ共振周波数が、リーダ/ライタとの距離及び同送受信アンテナ11の有する元のアンテナ共振周波数に合わせて必要な場合のみ調整しているので、携帯端末装置を製造する際に発生するアンテナ共振周波数のばらつきに対し、許容幅を広げることができる。また、有効帯域を確保するための対策品である、送受信アンテナ11などの裏側に設けられる磁性シートを薄型化できると共に、電池カバーの裏側に磁性シートを設ける必要がなくなる。また、アンテナ共振周波数調整手段がハードウェアで構成されているので、たとえば交通機関のリーダ/ライタとの通信など、処理速度が速く、非常に短い処理時間を要求される場所での通信動作においても、円滑に対応することができる。
【実施形態2】
【0041】
図7は、この発明の第2の実施形態である携帯端末装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態の携帯端末装置では、同図7に示すように、図2中の送受信アンテナ11及びアンテナ共振周波数調整回路18に代えて、異なる構成の送受信アンテナ11A及びアンテナ共振周波数調整回路18Aが設けられている。アンテナ共振周波数調整回路18Aは、共振周波数調整スイッチ231 ,232 から構成されている。共振周波数調整スイッチ231 は、共振周波数制御信号ct1 がノンアクティブモードのときにオフ状態となる一方、アクティブモードのときにオン状態となる。共振周波数調整スイッチ232 は、共振周波数制御信号ct2 がノンアクティブモードのときにオン状態となる一方、アクティブモードのときにオフ状態となる。送受信アンテナ11Aは、中間に接点111 ,112 を有し、それぞれ、共振周波数調整スイッチ231 ,232 に接続されている。
【0042】
この送受信アンテナ11Aでは、共振周波数調整スイッチ231 がオフ状態かつ共振周波数調整スイッチ232 がオン状態のとき、電流maが流れ、また、共振周波数調整スイッチ231 ,232 がオン状態になったとき、電流mbが流れ、共振周波数が第1の帯域fL から第3の帯域fM に移動する一方、共振周波数調整スイッチ231 ,232 がオフ状態となったとき、電流mcが流れ、共振周波数が第2の帯域fH から第3の帯域fM に移動する。この携帯端末装置では、送受信アンテナ11Aの共振周波数がアンテナ共振周波数調整回路18Aにより調整されるので、上記第1の実施形態と異なるハード構成で同様の利点がある。
【0043】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、携帯端末装置は、携帯電話機の他、たとえばPDA(Personal Digital Assistants )などにも適用される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、非接触ICカード機能が内蔵される携帯電話機などの携帯端末装置全般に適用できる。
【符号の説明】
【0045】
11,11A 送受信アンテナ(アンテナ、携帯端末装置の一部)
12 容量調節回路(携帯端末装置の一部)
13 ICカード機能回路(携帯端末装置の一部)
14 制御部(携帯端末装置の一部)
15,151 ,152 電圧検知回路
16 周波数帯域記録レジスタ
17,171 ,172 デコーダ
18,18A アンテナ共振周波数調整回路
211 ,212 共振周波数調整スイッチ
221 ,222 コンデンサ
231 ,232 共振周波数調整スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器が所定の領域内に接近したときに無線接続されるICカード処理装置から電磁誘導を受けて受信電圧を発生するアンテナと、
該アンテナから発生した前記受信電圧が供給されて所定の動作を行う非接触型ICカード機能回路とを有する携帯端末装置であって、
前記ICカード処理装置との通信中に、最低限必要な通信距離以下の距離に発生している通信不可領域を避けるように、前記アンテナの共振周波数を調整するアンテナ共振周波数調整手段が設けられていることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記通信不可領域は、
前記ICカード処理装置との距離が最低限必要な通信距離の近辺で、かつ通信距離が確保されない低い共振周波数の第1の帯域となる第1の領域、及び、前記ICカード処理装置と密着状態に近い距離以下の場所で、かつ近距離で通信不可となる高い共振周波数の第2の帯域となる第2の領域であることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記アンテナ共振周波数調整手段は、
前記アンテナから発生した前記受信電圧のレベルを検知して、前記アンテナと前記ICカード処理装置との距離が含まれる範囲に対応する受信電圧判定信号を出力する電圧検知手段と、
あらかじめ測定された前記アンテナの共振周波数が含まれる周波数帯域が記録され、該周波数帯域を表す帯域情報信号を出力する周波数帯域記録手段と、
前記受信電圧判定信号及び前記帯域情報信号をデコードして、前記アンテナの共振周波数を調整するための共振周波数制御信号を出力するデコード手段と、
前記共振周波数制御信号に基づいて、前記アンテナの共振周波数を切り替える共振周波数切替え手段とから構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記周波数帯域記録手段から出力される前記帯域情報信号は、
前記第1の帯域、前記第2の帯域、又は前記第1の帯域と前記第2の帯域との間の第3の帯域を示す構成とされ、
前記電圧検知手段は、
前記ICカード処理装置と密着状態に近い距離に対応する第1の閾値電圧が設定され、前記受信電圧を前記第1の閾値電圧と比較して、該受信電圧が該第1の閾値電圧よりも大きいとき、アクティブモードの第1の受信電圧判定信号を出力する第1の電圧検知回路と、
前記ICカード処理装置との距離が最低限必要な通信距離に対応する第2の閾値電圧が設定され、前記受信電圧を前記第2の閾値電圧と比較して、該受信電圧が該第2の閾値電圧よりも大きいとき、アクティブモードの第2の受信電圧判定信号を出力する第2の電圧検知回路とから構成され、
前記デコード手段は、
前記周波数帯域記録手段から出力される前記帯域情報信号が前記第1の帯域を示し、かつ、前記第1の受信電圧判定信号がアクティブモードのとき、前記アンテナの共振周波数を前記第1の帯域から前記第3の帯域に移動するための第1の共振周波数制御信号を出力する第1のデコーダと、
前記帯域情報信号が前記第2の帯域を示し、かつ、前記第2の受信電圧判定信号がアクティブモードのとき、前記アンテナの共振周波数を前記第2の帯域から前記第3の帯域に移動するための第2の共振周波数制御信号を出力する第2のデコーダとから構成され、
前記共振周波数切替え手段は、
前記第1のデコーダから出力された前記第1の共振周波数制御信号に基づいて、前記アンテナの共振周波数を前記第1の帯域から前記第3の帯域に移動する一方、前記第2のデコーダから出力された前記第2の共振周波数制御信号に基づいて、前記アンテナの共振周波数を前記第2の帯域から前記第3の帯域に移動する構成とされていることを特徴とする請求項2又は3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記共振周波数切替え手段は、
前記第1の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオン状態となる一方、アクティブモードのときにオフ状態となる第1のスイッチと、
該第1のスイッチがオン状態のときに前記アンテナに並列接続される第1のコンデンサと、
前記第2の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオフ状態となる一方、アクティブモードのときにオン状態となる第2のスイッチと、
該第2のスイッチがオン状態のときに前記アンテナに並列接続される第2のコンデンサとから構成され、
前記第1のコンデンサの容量は、前記第1のスイッチがオン状態からオフ状態になったときに、前記アンテナの共振周波数が前記第1の帯域から前記第3の帯域に移動する値に設定され、
前記第2のコンデンサの容量は、前記第2のスイッチがオフ状態からオン状態になったときに、前記アンテナの共振周波数が前記第2の帯域から前記第3の帯域に移動する値に設定されていることを特徴とする請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記共振周波数切替え手段は、
前記第1の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオフ状態となる一方、アクティブモードのときにオン状態となる第1のスイッチと、
前記第2の共振周波数制御信号がノンアクティブモードのときにオン状態となる一方、アクティブモードのときにオフ状態となる第2のスイッチとから構成され、
前記アンテナは、
前記第1のスイッチがオン状態になったとき、共振周波数が前記第1の帯域から前記第3の帯域に移動する一方、前記第2のスイッチがオフ状態となったとき、共振周波数が前記第2の帯域から前記第3の帯域に移動する構成とされていることを特徴とする請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項7】
非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器が所定の領域内に接近したときに無線接続されるICカード処理装置から電磁誘導を受けて受信電圧を発生するアンテナと、
該アンテナから発生した前記受信電圧が供給されて所定の動作を行う非接触型ICカード機能回路とを有する携帯端末装置に用いられるアンテナ共振周波数調整方法であって、
前記ICカード処理装置との通信中に、最低限必要な通信距離以下の距離に発生している通信不可領域を避けるように、前記アンテナの共振周波数を調整するアンテナ共振周波数調整処理を行うことを特徴とするアンテナ共振周波数調整方法。
【請求項8】
前記通信不可領域は、
前記ICカード処理装置との距離が最低限必要な通信距離の近辺で、かつ通信距離が確保されない低い共振周波数の第1の帯域となる第1の領域、及び、前記ICカード処理装置と密着状態に近い距離以下の場所で、かつ近距離で通信不可となる高い共振周波数の第2の帯域となる第2の領域であることを特徴とする請求項7記載のアンテナ共振周波数調整方法。
【請求項9】
前記アンテナ共振周波数調整処理では、
電圧検知手段が、前記アンテナから発生した前記受信電圧のレベルを検知して、前記アンテナと前記ICカード処理装置との距離が含まれる範囲に対応する受信電圧判定信号を出力する電圧検知処理と、
周波数帯域記録手段が、あらかじめ測定された前記アンテナの共振周波数が含まれる周波数帯域を記録し、該周波数帯域を表す帯域情報信号を出力する周波数帯域記録処理と、
デコード手段が、前記受信電圧判定信号及び前記帯域情報信号をデコードして、前記アンテナの共振周波数を調整するための共振周波数制御信号を出力するデコード処理と、
共振周波数切替え手段が、前記共振周波数制御信号に基づいて、前記アンテナの共振周波数を切り替える共振周波数切替え処理とを行うことを特徴とする請求項7又は8記載のアンテナ共振周波数調整方法。
【請求項10】
前記周波数帯域記録手段から出力される前記帯域情報信号は、
前記第1の帯域、前記第2の帯域、又は前記第1の帯域と前記第2の帯域との間の第3の帯域を示す構成とされ、
前記電圧検知処理では、
第1の電圧検知回路が、前記ICカード処理装置と密着状態に近い距離に対応する第1の閾値電圧が設定され、前記受信電圧を前記第1の閾値電圧と比較して、該受信電圧が該第1の閾値電圧よりも大きいとき、アクティブモードの第1の受信電圧判定信号を出力する第1の電圧検知処理と、
第2の電圧検知回路が、前記ICカード処理装置との距離が最低限必要な通信距離に対応する第2の閾値電圧が設定され、前記受信電圧を前記第2の閾値電圧と比較して、該受信電圧が該第2の閾値電圧よりも大きいとき、アクティブモードの第2の受信電圧判定信号を出力する第2の電圧検知処理とを行い、
前記デコード処理では、
第1のデコーダが、前記周波数帯域記録手段から出力される前記帯域情報信号が前記第1の帯域を示し、かつ、前記第1の受信電圧判定信号がアクティブモードのとき、前記アンテナの共振周波数を前記第1の帯域から前記第3の帯域に移動するための第1の共振周波数制御信号を出力する第1のデコード処理と、
第2のデコーダが、前記帯域情報信号が前記第2の帯域を示し、かつ、前記第2の受信電圧判定信号がアクティブモードのとき、前記アンテナの共振周波数を前記第2の帯域から前記第3の帯域に移動するための第2の共振周波数制御信号を出力する第2のデコード処理とを行い、
前記共振周波数切替え処理では、
前記共振周波数切替え手段が、
前記第1のデコーダから出力された前記第1の共振周波数制御信号に基づいて、前記アンテナの共振周波数を前記第1の帯域から前記第3の帯域に移動する一方、前記第2のデコーダから出力された前記第2の共振周波数制御信号に基づいて、前記アンテナの共振周波数を前記第2の帯域から前記第3の帯域に移動することを特徴とする請求項8又は9記載のアンテナ共振周波数調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−238166(P2010−238166A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88203(P2009−88203)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】