携帯端末装置
【課題】スクロール機能を用いてユーザが簡便に所望の画像を探し出すことが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】
携帯端末装置は、表示面21cと、表示面21cに表示される画像群を遷移させるための操作を受け付けるタッチセンサ22と、この操作に基づいて表示面21cに表示される画像群が遷移するように表示面21cを制御するCPU100と、を備える。CPU100は、画像群を遷移させるときに、画像群を構成する画像を縮小し、表示面21cに表示される画像の数を増加させる。
【解決手段】
携帯端末装置は、表示面21cと、表示面21cに表示される画像群を遷移させるための操作を受け付けるタッチセンサ22と、この操作に基づいて表示面21cに表示される画像群が遷移するように表示面21cを制御するCPU100と、を備える。CPU100は、画像群を遷移させるときに、画像群を構成する画像を縮小し、表示面21cに表示される画像の数を増加させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(TabletPC)等の携帯端末装置に関するものであり、特に、スクロール機能を有する携帯端末装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機などの携帯端末装置では、ディスプレイ上において画像を送る、いわゆるスクロール機能が設けられている。たとえば、ディスプレイに表示しきれない部分をディスプレイ上に表示させるために、スクロール機能が用いられる。ユーザは、所定の操作により、画像をスクロールさせて、所望の箇所をディスプレイ上に表示させることができる。
【0003】
たとえば、多くの画像のサムネイルが整列されたサムネイルテーブルの一部分がディスプレイに表示された状態において、ユーザは、所望のサムネイルを閲覧するために、サムネイルテーブルをスクロールさせる。これにより、ユーザは、ディスプレイに表示されていなかったサムネイルを探し出すことができる。(たとえば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−259028
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スクロール処理では、所望の画像の表示順が遅いと、当該画像がディスプレイ上に現れるまでに時間を要することが起こり得る。この場合、所望の画像を探し出すために、スクロール操作を頻繁に行う必要があり、所望の画像を簡便に探し出すことが困難となり得る。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが、スクロール機能を用いて簡便に所望の画像を探し出すことが可能な携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯端末装置は、表示部と、前記表示部に表示される画像群を遷移させるための操作を受け付ける受付部と、前記操作に基づいて前記表示部に表示される前記画像群が遷移するように前記表示部を制御する表示制御部と、を備える。ここで、前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群を構成する画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させる。
【0008】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記遷移の速度が所定速度に満たないときは、前記画像を縮小せずに前記画像群を遷移させ得る。
【0009】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記画像群の遷移を行った後、前記画像群の遷移の速度を徐々に減速させ得る。
【0010】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記減速により前記遷移の速度が所定速度に満たなくなったとき、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させ得
る。
【0011】
本発明の携帯端末装置において、前記受付部は、前記表示部に対する入力を検出し、前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度によって、前記遷移の速度を変化させ得る。
【0012】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度が所定速度を超えると、前記画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させ得る。
【0013】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記表示部における表示の状態が前記画像を縮小した表示となった後、前記受付部に対する前記入力が継続していれば、前記入力の位置の移動速度に拘らず、前記画像を縮小した前記表示の状態を維持し得る。
【0014】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記入力の位置の移動速度が所定速度に満たなくなった状態で、前記受付部に対する前記入力が無くなると、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させ得る。
【0015】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群が、3次元空間内に配置され、前記画像群の移動方向に垂直な軸の周りに湾曲した、円筒状曲面に沿って移動して見えるよう、前記表示部を制御し得る。
【0016】
本発明の携帯端末装置において、前記画像は、アイコンを含み得る。
【0017】
本発明の携帯端末装置において、前記画像は、電子文書のサムネイルを含み得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スクロール機能を用いて所望の画像を簡便に探し出し得る携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る表示面への表示内容を模式的に示す図である。
【図4】実施の形態に係る画像データを説明する図である。
【図5】実施の形態に係る表示面への表示のための制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る画像データにおける表示面への表示のための領域を説明する図である。
【図7】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る表示面への表示内容を模式的に示す図である。
【図12】変更例1に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】変更例2〜5に係る表示面への表示内容を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は携帯電話機の外観構成を示す図である。携帯電話機は、第1キャビネット1と第2キャビネット2とを備
えている。
【0021】
同図(a)は、第2キャビネット2が開放した状態の携帯電話機の正面図であり、同図(b)は同じ状態での側面図である。同図(c)は同図(b)のA−A´断面図である。
【0022】
第1キャビネット1には、キー入力部3が配されている。キー入力部3は、携帯電話機への各種の入力操作を検出する。
【0023】
第1キャビネット1の上面には、キー入力部3を構成する操作キー群3aが配されている。操作キー群3aは、4個の起動キー31と、方向キー32と、決定キー33と、通話キー34と、終話キー35と、12個のテンキー36と、クリアキー37とを備えている。
【0024】
起動キー31は、主に、電子メール機能、電話帳機能、ウェブ機能などの特定のアプリケーションを起動する際に操作される。方向キー32は、主に、ディスプレイ21に表示された各種メニューから所望のメニューを選択する際に操作される。決定キー33は、主に、メニューの選択を確定する際やディスプレイ21に表示された内容に同意(OK)する際に操作される。通話キー34は、主に、通話を開始する際に操作され、終話キー35は、主に、通話を終了する際に操作される。テンキー36は、主に、文字(ひらがな、カタカナ、アルファベット)や数字、記号の入力を行う際に操作される。クリアキー37は、主に、入力した文字等を消去する際に操作される。なお、テンキー36の一部の機能を、QWERTYキー等で実現するような構成としてもよい。
【0025】
第1キャビネット1には、カメラモジュール11が配されている。カメラモジュール11のレンズ窓(図示せず)は、第1キャビネット1の背面に設けられており、このレンズ窓から被写体の像がカメラモジュール11に取り込まれる。
【0026】
第2キャビネット2にはディスプレイ21が配されている。ディスプレイ21は、液晶パネル21aと、液晶パネル21aを照明するパネルバックライト21bにより構成されている。液晶パネル21aは、画像を表示するための表示面21cを有し、表示面21cが外部に現れる。表示面21cの上にタッチセンサ22が配されている。なお、液晶パネル21aに代えて有機ELなど他の表示素子が用いられてもよい。
【0027】
タッチセンサ22は透明なシート状で形成される。タッチセンサ22を透して表示面21cを見ることができる。タッチセンサ22は、マトリクス状に配された第1透明電極、第2透明電極およびカバーを備えている。タッチセンサ22は、第1および第2透明電極間の静電容量の変化を検出することによって、ユーザが触れた表示面21c上の位置(以下、「入力位置」と言う。)を検出し、その入力位置に応じた位置信号を後述のCPU100へ出力する。タッチセンサ22は、表示面21cに対するユーザの入力を受け付ける受付部に相当する。なお、タッチセンサ22は、静電容量式のタッチセンサ22に限られず、超音波式、感圧式等のタッチセンサ22であってもよい。
【0028】
なお、ユーザが表示面21cに触れる形態には、たとえば、「タッチ」や「スライド」、「タップ」あるいは「フリック」等がある。「タッチ」とは、表示面21cにペンなどの接触部材や指を接触させたまま動かさない動作を言う。「スライド」とは、表示面21cに接触部材や指を接触させたまま動かす動作を言う。「タップ」とは、接触部材や指が表示面21cを弾くように、表示面21cのある位置において接触部材や指をタッチさせ、短時間のうちにリリースさせる動作を言う。「フリック」とは、接触部材や指を表示面21cに沿って素早くスライドさせ、その後、表示面21cからリリースさせる動作、すなわち、表示面21cに接触部材や指を接触させたまま、短時間の間に接触部材や指を動
かし表示面21cからリリースさせる動作を言う。
【0029】
第1キャビネット1にはマイクロホン12(以下、「マイク」と略す)が配されており、第2キャビネット2には通話スピーカ23が配されている。ユーザは、耳元を通話スピーカ23の近くに、口元をマイク12の近くに持ってくることにより通話を行うことができる。
【0030】
第2キャビネット2は、スライド機構部4によって、第1キャビネット1に対し図1のX軸方向にスライド可能に連結されている。図1(c)に示すように、スライド機構部4は、ガイド板41とガイド溝42によって構成されている。ガイド板41は、第2キャビネット2の背面の左右両端部に設けられており、その下端に突条41aを有する。ガイド溝42は、第1キャビネット1の側面に、スライド方向(図1のX軸方向)に沿って形成されている。ガイド板41の突条41aは、ガイド溝42に係合されている。
【0031】
携帯電話機を閉じた状態では、図1(b)に一点鎖線で示すように、第2キャビネット2が第1キャビネット1の上に略完全に重なっている。この状態(閉じた状態)では、第2キャビネット2の背後に操作キー群3aの全てのキーが隠れた状態となる。第2キャビネット2は、ガイド板41がガイド溝42の終端位置に達するまでスライドする(開いた状態とする)ことができる。第2キャビネット2が完全に開くと、図1(a)に示すように、操作キー群3aの全てのキーが外部に露出する。
【0032】
全てのキーが隠れた状態において、キー操作入力に替わる携帯電話機への操作入力は、タッチセンサ22により行うことができる。このとき、ディスプレイ21の表示面上には、所定の位置にソフトキーの画像が表示される。
【0033】
なお、第2キャビネット2が完全に閉じても外部から操作可能な位置、たとえば、第1キャビネット1の側面に、操作キー群3aとは別の操作キーを設けることもできる。こうすれば、第2キャビネット2が完全に閉じていても、このような操作キーを用いて所望の操作を行うことが可能となる。
【0034】
図2は、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施の形態の携帯電話機は、上述した各構成要素の他、CPU100、メモリ200、映像エンコーダ301、音声エンコーダ302、キー入力回路303、タイマー304、通信モジュール305、バックライト駆動回路306、キーバックライト307、映像デコーダ308、音声デコーダ309、外部スピーカ310、画像処理回路311、近距離通信モジュール312を備えている。
【0036】
カメラモジュール11はCCD等の撮像素子を有する。カメラモジュール11は、撮像素子から出力された撮像信号をデジタル化し、その撮像信号にガンマ補正等の各種補正を施して映像エンコーダ301へ出力する。映像エンコーダ301は、カメラモジュール11からの撮像信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0037】
マイク12は、集音した音声を音声信号に変換して音声エンコーダ302へ出力する。音声エンコーダ302は、マイク12からのアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換するとともに、デジタルの音声信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0038】
キー入力回路303は、操作キー群3aの各キーが操作されたときに、各キーに応じた入力信号をCPU100へ出力する。
【0039】
タイマー304は、時間を計る。CPU100は、携帯電話機の各部の制御のために、時間の経過を示す信号をタイマー304から取得する。
【0040】
通信モジュール305は、CPU100からの音声信号や画像信号、テキスト信号などを無線信号に変換し、アンテナ305aを介して基地局へ送信する。また、アンテナ305aを介して受信した無線信号を音声信号や画像信号、テキスト信号などに変換してCPU100へ出力する。
【0041】
バックライト駆動回路306は、CPU100から入力された制御信号に応じて、キーバックライト307およびパネルバックライト21bへ、電力の供給もしくは供給の停止を行う。
【0042】
キーバックライト307は、バックライト駆動回路306から電力を供給されることにより点灯し、操作キー群3aの個々のキーを照明する。パネルバックライト21bは、バックライト駆動回路306から電力を供給されることにより点灯(ON)し、液晶パネル21aを照明する。
【0043】
音声デコーダ309は、CPU100からの音声信号にデコード処理を施し、さらにアナログの音声信号に変換して通話スピーカ23に出力する。また、音声デコーダ309は、CPU100からの着信音、アラーム音等の各種報知音の音信号にデコード処理を施し、さらにアナログの音信号に変換して外部スピーカ310へ出力する。通話スピーカ23は、音声デコーダ309からの音声信号を音声として再生する。外部スピーカ310は、音声デコーダ309からの着信音等を再生する。
【0044】
携帯電話機は、近距離通信用の近距離通信モジュール312およびアンテナ312aをさらに備える。近距離通信モジュール312は、Bluetooth(登録商標)による近距離通信を行うものである。近距離通信モジュール312は、半径数10mの範囲内にある、Bluetoothによる通信機能を備える他の通信機器との間でアンテナ312aを介して通信を行う。近距離通信モジュール312は、CPU100から入力するデジタル信号を、Bluetoothの規格に従う無線通信に変換し、アンテナ312aを介して無線信号を送信する。近距離通信モジュール312はまた、アンテナ312aを介して受信した無線信号をデジタル信号に変換し、CPU100へ出力する。
【0045】
メモリ200は、ROMおよびRAMを含む。メモリ200には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムが記憶されている。また、メモリ200には、画像データや、画像データを生成するために中間的に生成されたデータなどが保存される。
【0046】
画像処理回路311は、画像データの生成や出力を高速に実行するための回路
である。画像処理回路311は、表示プロセッサおよびVRAM(Video RAM)を含む。表示プロセッサは、CPU100から入力する制御信号に基づき、メモリ200の所定の領域のデータを読み込み、画像データの生成や転送を行う。
【0047】
画像処理回路311は、表示プロセッサが生成した画像データを、メモリ200もしくはVRAMの所定の領域に書込む。そして、VRAM内の画像データを所定のタイミングで読み込み、該画像データが表す画像をディスプレイ21に表示するための信号を映像デコーダ308へ出力する。
【0048】
表示プロセッサは、所定の画像を生成するための処理を行う。たとえば、表示プロセッサは、メモリ200上の画像データから、立体的に湾曲したように見える画像(図3(b
)参照)のデータを生成する。この場合、表示プロセッサは、メモリ200上の画像データの各画素データを、所定のルールに従って、VRAM上の対応するアドレスに割り付けて、VRAM上に格納する。これにより、図3(b)のような立体的に湾曲したように見える画像がディスプレイ21上に表示される。
【0049】
図2に戻り、CPU100は、キー入力回路303およびタッチセンサ22からの操作入力信号に基づき、制御プログラムに従って、カメラモジュール11、マイク12、通信モジュール305、液晶パネル21a、通話スピーカ23、外部スピーカ310、画像処理回路311、近距離通信モジュール312等を動作させる。これにより、通話機能、電子メール機能、データ送受信機能等の各種機能(アプリケーション)を実行する。
【0050】
本実施の形態の携帯電話機は、複数のサムネイルが整列されたテーブル(以下、「サムネイルテーブル」と言う。)を、スクロール可能に表示する機能を備える。ここで、サムネイルとは、原画像を所定のサイズに縮小した画像のことである。
【0051】
フォルダ内の画像を閲覧する際、ユーザは、サムネイルの一覧を表示面21cに表示させるための操作を行う。これに応じて、CPU100は、当該フォルダに保存された画像のサムネイルを縦横に整列させたサムネイルテーブルを、表示面21cに表示させる。ユーザが表示面21c上の所望のサムネイルの上をタップすると、CPU100は、タップされたサムネイルに対応する画像を表示面21c全体に表示する。サムネイルは、事前に作成され保存されたものが用いられてもよい。あるいは、サムネイルテーブルを表示する際にサムネイルが作成されてもよい。
【0052】
ところで、サムネイルの数が多いために、サムネイルテーブルのサイズが表示面21cのサイズより大きい場合がある。このような場合、ユーザは、表示面21cに対してスライドやフリックを行う。これ応じて、CPU100は、サムネイルテーブルを表示面21c上でスクロールさせる。こうして、ユーザは、非表示となっていたサムネイルを視認することができる。
【0053】
ここで、「スクロール」とは、表示面21cに表示される画像や画像群(サムネイルテーブル、アイコン群等)を、ユーザからの操作入力等に応じて、、一体的に略一様な方向へ遷移させることを言う。なお「スクロール」には、以下に図3(b)を用いて説明する例のように、表示面21cに表示される画像や画像群を、3次元空間内の曲面に沿って移動して見えるよう、表示面21c上で、一体的に略一様な方向へ遷移させることも含まれる。
【0054】
図3(a)〜(d)は、本実施の形態に係る表示面21cへの表示内容を模式的に示す図である。本実施の形態を詳説する前に、図3を用いて概説する。
【0055】
図3(a)は、ユーザが、上述のようにしてサムネイルテーブルを表示面21cに表示させた直後の表示内容を示す図である。ここでは、ユーザが選択したフォルダに60の画像が保存されているとする。
【0056】
CPU100は、60の画像に対応する60のサムネイルを、3行20列に整列したサムネイルテーブルの画像データを生成してメモリ200に書込む。
【0057】
図4は、サムネイルテーブルの画像データの構成を示す図である。ここでは、便宜上、サムネイルテーブルの行はアルファベット文字A〜Cで、列は2ケタ数字で表すものとする。サムネイルテーブルの画像データについては、追って、図4を参照して説明する。
【0058】
図3(a)では、図4のサムネイルテーブルの冒頭部分(左端近傍部分)の15個のサムネイルが表示される。この場合、CPU100は、サムネイルテーブルのうち、左端近傍のサムネイル01A〜05Cに対応する領域を、表示面21cに表示する。なお、サムネイルが表示されない領域には、所定の背景画像が表示される(図3(b)〜(c)も同様)。
【0059】
ユーザが、図3(a)のFの位置を矢印の方向へフリックすると、CPU100は、矢印が表すベクトルのx軸方向成分にもとづき、サムネイルテーブルを左方向へスクロールさせる。本実施の形態では、このようにサムネイルテーブルがスクロールする際には、スクロールしないときよりも多くのサムネイルが表示面21cに表示される。
【0060】
図3(b)は、上記のフリックが行われたときの表示面21cの表示内容を示す図である。図3(b)のタイミングでは、21個のサムネイル03A〜09Cが表示面21cに表示される。CPU100は、スクロールの速度が所定の速度を超えると、サムネイルテーブルが図3(b)のように湾曲して見えるように、表示する。すなわち、CPU100は、サムネイルテーブルが奥方向にシリンダー状に湾曲して見える画像を生成し表示面21cに表示する。CPU100は、このような画像の生成と表示を繰り返すことにより、スクロール表示を行う。個々のサムネイルは、図示のように、縮小され、湾曲した曲面に沿って左方向へ移動して見えるよう表示される。
【0061】
なお、スクロールの速度は、後述のように、指や接触部材が表示面21cをなぞる速度のx軸方向の成分に基づいて変化する。スクロールの速度が所定の速度以下であれば、図3(a)の状態のまま、サムネイルテーブルがスクロールされる。
【0062】
このように、サムネイルテーブルを表示面21cに表示する際、2種類の表示モードのいずれかが選択される。一つは、図3(a)に示す表示形態でサムネイルテーブルを表示するための「通常モード」である。もう一つは、図3(b)のように湾曲した形態でサムネイルテーブルを表示するための「スキャンモード」である。
【0063】
なお、「通常モード」は、図3(a)に示す表示形態でサムネイルテーブルが静止する場合の他、この形態のままサムネイルテーブルが所定速度以下(低速)で移動する場合も含む。また、「スキャンモード」は、図3(b)に示す表示形態でサムネイルテーブルが所定速度を超える速度(低速)で移動する場合の他、この形態のままサムネイルテーブルが静止する場合も含む。
【0064】
通常モードは、静止した状態の個々のサムネイルを詳しく見ることに適する。スキャンモードは、スクロールしているときなどに、サムネイル群全体を見ながら所望の画像を含むサムネイル群を探すことに適する。
【0065】
CPU100は、フリックによって図3(b)のようにスクロールを行う場合、ユーザから更なる入力操作が行われない限り、左方向へ慣性的なスクロールを継続する。すなわち、CPU100は、スクロール速度を徐々に遅くしながら左方向へ移動するように、サムネイルテーブルを表示面21cに表示する。そして、最終的にはサムネイルテーブルの移動を停止する。
【0066】
図3(c)および(d)は、表示モードが変更される直前および直後における、表示面21cへの表示の内容を模式的に示す図である。CPU100は、スクロール速度が低速であり、且つユーザによる入力操作が行われていないとき、表示モードをスキャンモードから通常モードに設定する。例えば、図3(c)に示すようにサムネイル06A〜12Cをスキャンモードにて表示面21cに表示しているときにこれらの条件が満たされると、
CPU100は、表示モードを通常モードに変更する。そして、CPU100は、サムネイル07A〜11Cを、図3(d)に示すように、通常モードにて表示面21cに表示する。このとき、図3(c)および(d)に示すように、スキャンモード時に表示面21cの両側に表示されていたサムネイル05A〜Cおよび12A〜Cは、通常モード時に表示されなくなる。
【0067】
図4は、本実施の形態に係るサムネイルテーブルの画像データを説明する図である。
【0068】
CPU100は、60のサムネイル01A〜20Cを3行20列に整列してサムネイルテーブルの画像データを生成し、メモリ200に書込む。
【0069】
なお、サムネイルテーブルの画像データが生成される際には、各サムネイルの間には所定の間隔が設けられる。この間隔部分およびサムネイル群の周囲には透過色が指定される。したがって、表示面21cにサムネイルテーブルが表示されるとき、表示面21cのサムネイルが表示されない部分には、所定の背景画像が表示される。
【0070】
図3(a)に示すような表示面21cへのサムネイルの表示処理は、図4に示す領域Sa(サムネイル01A〜05C)に対応するデータをVRAMの所定の領域に書込むことによりなされる。同様に、図3(d)に示すような表示面21cへのサムネイルの表示処理は、図4の画像の領域Sd(サムネイル07A〜11C)のデータをVRAMに書込むことによりなされる。
【0071】
図3(b)に示すような、湾曲したサムネイルテーブルの画像データの生成は、図4の領域Sb(03A〜09C)に対応するメモリ200上の領域の各アドレスのデータを、所定のルールに従って、VRAMの所定の領域の対応するアドレスにマッピングすることによってなされる。画像データの生成は、たとえば、テクスチャマッピングの手法を用いて行われてもよい。すなわち、図3(b)に示すような、表示面21cの奥方向へシリンダー状に湾曲するよう形成された仮想的なオブジェクトに、領域Sb上の画像を仮想的に張り付ける。そして、オブジェクトに貼り付けられた画像を、所定位置の平面へ射影するように画像を生成させる。これによって、図3(b)に示すような画像が表示面21cに表示される。図3(c)に示すような画像データの生成も同様にしてなされる。なお、画像データの生成処理は、CPU100が直接行ってもよい。
【0072】
以下に、サムネイルテーブルをスクロールさせるための制御処理について詳説する。
【0073】
図5(a)は、サムネイルテーブルをスクロールさせるための制御処理を示すフローチャートである。図5(b)は、サムネイルテーブルの表示のために用いられるパラメータを説明する表である。
【0074】
ユーザが画像閲覧のためにサムネイルテーブルを表示させる操作を行うと、CPU100は、図5(a)のフローチャートが示す処理を開始する。図5(a)のフローチャートは、図示の通り、主にループ処理S102〜S106から成る。ループ処理S102〜S106は、タイマー304を用いて、所定時間Δt毎に繰り返し実行される。
【0075】
ループ処理S102〜S106が実行されると、S105において、表示設定パラメータが更新される。サムネイルテーブルがスクロールされる場合、表示設定パラメータは、所定時間Δtだけ前の前回のループ処理における表示設定パラメータから変化する。これにより、表示面21cに表示されるサムネイルテーブルが遷移する。サムネイルテーブルがスクロールされない場合、表示設定パラメータは、所定時間Δtだけ前の前回のループ処理における表示設定パラメータと同じである。なお、サムネイルテーブルが表示される
場合の表示モード(通常モード、スキャンモード)も、表示設定パラメータの更新により、逐次、変更される。
【0076】
CPU100は、まず、ステップS101の初期表示処理を行う。S101において、CPU100は、図5(b)に示す表示設定パラメータにデフォルト値を設定する。そして、設定された表示設定パラメータに応じて、サムネイルテーブルの所定の領域の表示処理を実行する。最後に、所定時間Δtを計るためのタイマー304をリセットする。
【0077】
図5(b)に示す表示設定パラメータは、主にサムネイルテーブルのスクロール表示や表示モードの選択のために利用される。表示設定パラメータは、タッチ状態、タッチ座標、スクリーン中心座標、スクロール速度から成る。
【0078】
タッチ状態fは、表示面21cがタッチされているか否か、すなわち、指や接触部材等の被検出物が表示面21cに接触しているか否かを示す。被検出物が表示面21cに接触していないとf=0であり、接触しているとf=1である。タッチ状態fのデフォルト値は0である。
【0079】
タッチ座標は、被検出物が表示面21cに接触している位置の座標x、yを表す。
【0080】
図6(a)は、表示面21c上におけるサムネイルテーブルの表示のための領域の座標空間を示す。図6(b)は、サムネイルテーブルの座標空間を示す。
【0081】
表示面21c上の、サムネイルテーブルが表示される領域のサイズは、図6(a)に示すように、横2w(画素)×縦h(画素)である。この領域の横軸座標をx、縦軸座標をyとし、領域の左下の角を原点とする。タッチ座標x、yは0≦x≦2w、0≦y≦hの値を取り得る。なお、タッチ座標は、タッチされている状態(f=1)のときのみ設定される(S103参照)。タッチ座標x、yのデフォルト値は設定されない。
【0082】
図5(b)にもどり、スクリーン中心座標cは、サムネイルテーブルのどの領域を表示面21cに表示させるかを指定するための値である。スクリーン中心座標cのデフォルト値はwである。
【0083】
図6(b)のサムネイルテーブルのサイズは横L(画素)×縦h(画素)とする。横軸座標をp、縦軸座標をqとし、領域の左下の角を原点とする。スクリーン中心座標cは、サムネイルテーブル上の、表示面21cに表示される領域の中心点のp軸座標である。
【0084】
通常モードにおいて、スクリーン中心座標がcであるとは、CPU100が、サムネイルテーブルのc−w≦p≦c+w、0≦q≦hなる領域を表示面21cに表示することを意味する。スキャンモードにおいて、スクリーン中心座標がcであるとは、サムネイルテーブルのc−w´≦p≦c+w´(w<w’)、0≦q≦hなる領域の画像を、表示面21cに表示することを意味する。ただし、スキャンモードにおいては、図3(c)に示すような幅2wの画像を上述のようにして生成した後、生成した画像を表示面21cへ表示する。
【0085】
以下、便宜上、このようにして表示面21cに表示される領域が設定される際、q軸方向の範囲に関する記述が略されることがある。この場合には、q軸方向の範囲は、上記の通り(通常モードにおいてもスキャンモードにおいても)0≦q≦hと設定されることとする。
【0086】
たとえば、通常モードにおいて、図6(b)に示すp座標にスクリーン中心座標cがあ
るときには、太線枠で囲まれた領域が表示面21cに表示される。これと同様にスクリーン中心座標cが設定されているとき、スキャンモードにおいては、太い一点鎖線枠で囲まれた領域の画像データをもとに生成された幅2wの画像が表示面21cに表示される。
【0087】
本実施例において、wは個々のサムネイルの横方向の幅(画素数)の2.5倍にほぼ等しい。また、w´はwの1.4倍にほぼ等しい。したがって、通常モードでは、図3(a)および(d)に示すように5列分のサムネイルが表示される。また、スキャンモードでは、図3(b)および(d)に示すように7(=1.4×5)列分のサムネイルが表示される。なお、wおよびw´はこのような設定に限る必要はない。たとえば、スキャンモードにおいてより多くのサムネイルを表示できるように比w´/wを1.4より大きくしてもよいし、個々のサムネイルの視認性をより高めるために比w´/wを1.4より小さくしてもよい。
【0088】
図5(b)にもどり、スクロール速度vは、サムネイルテーブルをスクロールさせる速さ(画素/秒)を示す。スクロール速度vのデフォルト値は0である。
【0089】
右方向にフリックまたはスライドがされた場合、後述するように、スクロール速度vは正値に設定され、左方向にフリックまたはスライドがされた場合、スクロール速度vは負値に設定される。
【0090】
表示モードmは、表示モードが通常モード(m=0)であるかスキャンモード(m=1)であるかを示す。表示モードのデフォルト値は0である。
【0091】
ステップS101の表示処理において、CPU100は、上述の通り、また、図3(a)に示す通り、サムネイルテーブルの領域0≦p≦2w(c=w)、0≦q≦hの部分を、静止した状態(v=0)かつ通常モード(m=0)で、表示面21cに表示する。
【0092】
このようにして、ステップS101の初期表示処理が実行され、次にループ処理S102〜S106が繰り返し実行される。なお、ステップS103〜S105の処理では、CPU100は、表示設定パラメータを更新するための処理を主に実行する。そして、ステップS106の処理において、更新された新たな表示設定パラメータにもとづき、サムネイルテーブルの所定の領域を表示面21cへ表示する表示処理が実行される。こうして、所定時間Δt毎に、新たな表示設定パラメータに基づく画像が表示面21cに表示される。
【0093】
以下では、便宜上、現在のループ処理におけるパラメータf、x、y、c、v、mをf1、x1、y1、c1、v1、m1と表し、一回前のループ処理におけるパラメータf、x、y、c、v、mをf0、x0、y0、c0、v0、m0と表す。
【0094】
ステップS102において、CPU100は、前回の表示設定パラメータm0、f0、c0、x0、y0、v0を読み込む。前回の表示設定パラメータは、前回のループ処理S102〜S106が実行されたときに設定された表示設定パラメータを意味する。ただし、S101実行直後にS102の処理が実行される場合には、前回の表示設定パラメータは、図5(b)に示すデフォルト値に設定された表示設定パラメータを意味する。
【0095】
次に、ステップS103において、現在のタッチ状態検出のための処理が実行される。CPU100は、現在、表示面21cがタッチされている(f1=0)か、否(f1=1)かを検出する。そして、タッチされている(f1=1)場合には、現在のタッチ座標x1、y1にその入力位置の座標を設定する。リリースされている(f1=0)場合には、タッチ座標x1、y1に値は設定されない。以後実行される処理において、パラメータx
1、y1は、f1=1の場合にのみ用いられることとなる。
【0096】
このようにしてステップS103の処理が完了すると、CPU100は、次に画像選択操作検出処理(S104)を実行する。
【0097】
図7は、本実施の形態の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0098】
図7(a)は、画像選択操作検出処理(S104)の手順を示すフローチャートである。S111において、CPU100は、前回の表示モードm0(S102参照)が何であるかを判定する。前回の表示モードがスキャンモードである場合(S111:m0=1)、CPU100は、図7(a)の処理を終了するとともに、図5(a)のステップS105の処理へ進む。表示モードが通常モードである場合(S111:m0=0)、CPU100は、ステップS112の判定処理へ進む。
【0099】
ステップS112において、CPU100は、ユーザが表示面21cに表示されているあるサムネイルの上をタップしたかを判定する。すなわち、CPU100は、ユーザにより表示面21cをタップする操作(f0=1、f1=0、かつタッチされていた時間の長さが所定時間より短い)がなされたか否かをまず判別する。タップが行われた場合、CPU100は、前回のタッチ座標x0、y0が表示面21cに表示されたサムネイル上に位置するか否かを判定する。これらの条件のいずれかが満たされない場合、サムネイル上をタップしなかったと判定し(S112:NO)、図7の処理を終了するとともに、次のステップS105の処理を実行する。
【0100】
あるサムネイルの上をタップしたと判定した場合(S112:YES)、CPU100は、当該サムネイルに対応する画像を表示するために、画像表示プログラムを起動する。そして、図5(a)のフローチャートが示すサムネイルテーブルをスクロール表示するための処理が終了される。
【0101】
図5(a)にもどり、ステップS105では、表示設定パラメータ更新処理が実行される。この処理において、以下のようにして、新たなスクリーン中心座標c1、スクロール速度v1、および表示モードm1が決定される。
【0102】
図7(b)は、S105の表示設定パラメータ更新処理の手順を示すフローチャートである。図7(b)のステップS121において、CPU100は、新たなスクロール速度v1およびスクリーン中心座標c1を設定する。次のステップS122において、新たなスクロール速度v1およびスクリーン中心座標c1を、適切に補正する処理を実行する。最後に、ステップS123において、新たな表示モードm1を選択する処理を実行する。
【0103】
図8は、S121の速度および位置の計算処理の手順を示すフローチャートである。
【0104】
CPU100は、まず、現在のタッチ状態がリリースされた状態(f1=0)であるかタッチされた状態(f1=1)であるかを判別する(S131)。現在、リリースされた状態である場合(S131:f1=0)、CPU100は、サムネイルテーブルのスクロール速度を減速させるため、新たなスクロール速度v1をv0から所定値を減じた値として設定する(S132)。なお、v0の絶対値が所定の閾値以下である場合には(v0=0の場合も含む)、v1=0と設定される。
【0105】
v1の設定は、たとえば、サムネイルテーブルのスクロールの速度が摩擦抵抗力を受けて減速して見えるように、v0から所定定数を減じるようにして設定される。または、空気抵抗力を受けて減速して見えるように、v0から、v0の所定割合の値を減じた値がv
1に設定される。あるいは、これら2つの減速方法を組み合わせて用いるなど、他の方法が用いられ得る。
【0106】
現在、タッチされた状態である場合(S131:f1=1)、CPU100は、次の判定処理S133へ進む。ステップS133において、CPU100は、前回のタッチ状態がリリースされた状態であったか(f0=0)タッチされた状態であったか(f0=1)を判別する。
【0107】
前回のタッチ状態が、リリースされた状態であった場合には(S133:f0=0)、サムネイルテーブルのスクロールが停止するように、v1=0と設定する(S134)。前回のタッチ状態が、タッチされた状態であった場合には(S133:f0=1)、CPU100は、スライドに応じた新たなスクロール速度v1を設定する(S135)。すなわち、v1=(x1−x0)/Δtと設定する。
【0108】
たとえば右方向にスライドされた場合、x1>x0であるため、スクロール速度v1は正値に設定される。左方向にスライドされた場合、x1<x0であるため、スクロール速度v1は負値に設定される。
【0109】
このようにして、新たなスクロール速度v1が、S132、S134、S135の何れかのステップの処理において設定される。
【0110】
CPU100は、S132、S134もしくはS135の処理を完了すると、次のステップS136において、新たなスクリーン中心座標c1を設定する。新たなスクリーン中心座標c1は、式c1=c0−v1×Δtによって設定される。このようにスクリーン中心座標c1が設定されることにより、次に表示処理(S106)が実行されるとき、CPU100は、サムネイルテーブルを、フリックまたはスライドがされた方向と同じ方向に移動して見えるように、表示面21cに表示することとなる。
【0111】
S136の処理を完了すると、図8に示された速度および位置の計算処理(図7(b)のS121)が完了する。
【0112】
図7(b)にもどり、CPU100は、次にS122の補正処理を実行する。ここでは、図8の処理で設定されたスクロール速度v1とスクリーン中心座標c1に対する補正処理が行われる。S122において、c1<0である場合、CPU100は、c1=0かつv1=0とするよう補正する。また、c1>Lである場合には、c1=Lかつv1=0とするよう補正する。このようにして、補正処理S122が完了する。c1<0またはc1>Lでなければ、スクロール速度v1とスクリーン中心座標c1に対する補正処理は行われず、図8の処理で設定されたv1とc1がそのまま用いられる。このようにすることで、表示面21cに表示される領域が、サムネイルテーブルから外れることが防止される。すなわち、表示対象領域がサムネイルテーブルの左右の端近くに達しても、少なくとも、図6(b)の左右の端からwまたはw’の範囲が表示面21cに残るようになる。
【0113】
S122の処理の実行を終えると、CPU100は、次に表示モード選択処理を実行する(S123)。
【0114】
図9は、表示モード選択処理の手順を示すフローチャートである。
【0115】
まず、CPU100は、前回の表示モードが通常モード(m0=0)であるかスキャンモード(m0=1)であるかを判定する(S141)。
【0116】
前回の表示モードが通常モードである場合(S141:m0=0)、CPU100は、新たなスクロール速度v1の絶対値|v1|が所定値(vaとする)を超えるかどうかを判定する(S142)。|v1|>vaである場合(S142:YES)、CPU100は、表示モードがスキャンモードへ移行するよう、m1=1と設定する(S143)。|v1|≦vaである場合(S142:NO)、CPU100は、表示モードを変更しない。すなわち、CPU100は、m1=m0(この場合には、m1=0)と設定する(S144)。S143またはS144の処理を終えると、CPU100は、図9の表示モード選択処理を終了する。
【0117】
一方、前回の表示モードm0がスキャンモードである場合(S141:m0=1)は、CPU100は、新たなスクロール速度v1の絶対値|v1|が所定値(vbとする)以下であるかどうかを判定する(S145)。所定値vbは、例えば、0≦vb≦vaなる数値である。|v1|>vbである場合(S145:NO)、CPU100は、表示モードを変更しない。すなわち、CPU100は、m1=m0(この場合には、m1=1)と設定する(S144)。
【0118】
|v1|≦vbである場合(S145:YES)、CPU100は、次の判定処理S146へ進む。ステップS146において、CPU100は、現在のタッチ状態がタッチしている状態(f1=1)かリリースしている状態(f1=0)かを判定する。
【0119】
現在、タッチしている状態である場合(S146:f1=1)、CPU100は、表示モードを変更しないこととし、m1=m0(この場合には、m1=1)と設定する(S144)。現在、リリースした状態である場合(S146:f1=0)、CPU100は、表示モードを通常モードへ移行させるよう、m1=0と設定する(S147)。S147の処理が完了すると、図9の表示モード選択処理(S123)が完了するとともに、図7(b)の表示設定パラメータ更新処理(S105)が完了する。このようにして、図9の表示モード選択処理が実行される。
【0120】
図5(a)にもどり、S105の表示設定パラメータ更新処理が完了すると、CPU100は、次のステップS106の表示処理を実行する。CPU100は、以下のようにして、新たなに設定された表示設定パラメータにもとづいて、サムネイルテーブルのある領域を表示面21cに表示する処理を実行する。
【0121】
図10は、表示処理(S106)の手順を示すフローチャートである。
【0122】
CPU100は、まず、新たな表示モードが通常モード(m1=0)であるか、スキャンモード(m1=1)であるかを判別する(S151)。
【0123】
新たな表示モードが通常モードである場合(S151:m1=0)、CPU100は、ステップS152の処理を実行する。S152において、CPU100は、サムネイルテーブルの、横軸座標(p座標)がc1−w≦p≦c1+wである領域の画像を、表示面21cに表示させる。これは、S101における表示面21cへの表示処理と同様にして実行される。
【0124】
たとえば、c1=wの場合には、図3(a)に示す図のように、サムネイル01A〜05Cが表示される。また、たとえば、図4に示すp座標c2が新たなスクリーン中心座標に設定されている場合、すなわちc1=c2である場合には、図3(d)に示す図のように、サムネイル07A〜11Cが、表示面21cに表示される。
【0125】
新たな表示モードがスキャンモード(m1=1)である場合(S151:m1=1)、
CPU100は、ステップS153の処理を実行する。CPU100は、サムネイルテーブルの、横軸座標がc1−w´≦p≦c1+w´である領域の画像を、上述のように湾曲させた幅2wの新たな画像を、画像処理回路311に生成させる。そして、CPU100は、生成された画像を表示面21cに表示させる。このようにして、ステップS153の処理が実行される。
【0126】
たとえば、スキャンモードにおいて、図4に示すp座標c2が新たなスクリーン中心座標に設定されている、すなわちc1=c2である場合には、図3(c)に示す図のように、サムネイル06A〜12Cが、表示面21cに表示される。
【0127】
S152またはS153の処理が完了すると、CPU100は、図10の表示処理(図5(a)のS105)を終える。S105の表示処理を終えると、CPU100は、ループ処理の周期時間Δtが経過するまで待機する。Δt経過すると、CPU100は、タイマー304をリセットするとともに、S102の処理へ進む。このようにして、図5(a)のフローチャートに示す処理が実行される。
【0128】
このようにして、図5(a)の、サムネイルテーブルの表示およびスクロールのための処理が繰り返し実行される。この際、随時更新設定される表示モードに応じてサムネイルテーブルが表示される。
【0129】
さて、図5(a)の処理が実行されているとき、ユーザがタッチを全く行わない場合がある。例えば、初期表示処理S101が実行された後、タッチを全く行わない場合がある。このような場合、CPU100は、図3(a)の通りの表示(スクリーン中心座標w、スクロール速度0、表示モード0)を続ける。
【0130】
また、フリックに応じて、所定のスクロール速度v(|v|>vb)で、図3(b)に示すようにサムネイルテーブルがスキャンモードにてスクロール表示された後、ユーザがタッチを全く行わない場合もあり得る。このような場合、CPU100は、スクロール速度を徐々に減速するように設定しながら(S132)、スキャンモードにてスクロールを行うよう、図5(a)のループ処理S102〜S106を繰り返す。
【0131】
なお、このようにCPU100がループ処理S102〜S106を繰り返すと、いずれスクロール速度の絶対値|v|がvb以下となる。たとえば、図3(c)に示すようにサムネイルテーブルがスキャンモードにて表示されているときに|v|≦vbとなると、CPU100は、表示モードを通常モードへ移行させる(S147)。そして、CPU100は図3(d)に示すように、サムネイルテーブルを通常モードで表示する。
【0132】
ところで、上述のように、フリックに応じてCPU100がスキャンモードにてサムネイルテーブルをスクロール表示しているときに、ユーザが表示面21cをタッチする場合があり得る。この場合、CPU100は、スキャンモードのままサムネイルテーブルのスクロールを停止させる。その後、ユーザが表示面21cをタッチし続ける間、CPU100は、サムネイルテーブルを、スキャンモードにて表示させる(S146:f1=1)。また、ユーザがタッチを継続した状態でスライドを行うと、CPU100は、スキャンモードのままで、当該スライドに合わせてサムネイルテーブルを移動させる(S135、S136参照)。
【0133】
なお、通常モードにあるときに、所定値vaよりも遅い速度でユーザがスライドを行う場合があり得る。このような場合には、S142にてNOと判定されるため、CPU100は、通常モードにて、サムネイルテーブルをスクロールさせる。その後、スライドの速度がvaを超えると、CPU100は、表示モードをスキャンモードに変更し(S142
:YES)、サムネイルテーブルをスキャンモードにてスクロールさせる。
【0134】
ところで、ステップS106の表示処理が実行されるとき、スクリーン中心座標は、補正処理S122の実行により、0以上L以下の範囲に設定される。スクリーン中心座標が、たとえばLであるときには、表示処理S106において、サムネイルテーブルの右側境界が表示面21cに表示される。
【0135】
図11は、スクリーン中心座標がLであるときの、サムネイルテーブルの表示状態を模式的に示す図である。図11(a)は、スキャンモードにおける表示状態を示し、図11(b)は、通常モードにおける表示状態を示す。
【0136】
図11(a)および図11(b)に示すように、スクリーン中心座標がLである場合には、表示面21cの左側半分部分にのみ、サムネイルテーブルの一部が表示される。スキャンモードにおいては、図11(a)に示す通り、サムネイル17A〜Cの右側半分とサムネイル18A〜20Aとが、表示面21cの左側半分の領域に表示される。通常モードにおいては、図11(b)に示す通り、サムネイル18A〜Cの右側半分とサムネイル19A〜20Aとが、表示面21cの左側半分の領域に表示される。
【0137】
CPU100がサムネイルテーブルを表示面21cにおいて左側へ移動するようにスクロール表示させることによって、図11(a)の表示のように、スクリーン中心座標がLに設定される場合がある。この場合には、S122の補正処理によって、スクロール速度も0に設定される。したがって、このときユーザが表示面21cをリリースした状態である場合には、表示モードが通常モードへと変更される(S147)。すなわち、CPU100は、表示内容を、図11(b)に示す表示に変更する。
【0138】
以上、本実施の形態によれば、サムネイルテーブルがスクロールしているときに、スクロール速度が所定の速度を超えると、表示モードを通常モードからスキャンモードへ移行し、通常の表示(図3(a)参照)の場合よりも多くのサムネイルが表示される。
【0139】
このため、ユーザは、たとえば閲覧したい画像を探すために、サムネイルテーブルをスクロールさせたとき、一時により多くのサムネイルを視認することができ、所望のサムネイルをより簡便に見つけることができる。また、複数のサムネイル群の全体を参照しながら所望のサムネイル群を探したいときにも、このスキャンモードにおける表示がなされることにより、より多くのサムネイル群を一時に視認することができ、円滑に所望のサムネイル群を探すことができる。
【0140】
また、ユーザがタッチを長時間行わない場合やスクロール速度が小さい場合には、表示モードは通常モードへ自動的に変更される。このため、ユーザが、個々のサムネイルをよく確認する等のために、スクロール速度を低下させた場合には、自動的に適時通常モードによる表示がなされ、利便性が向上する。
【0141】
また、表示モードがスキャンモードであるときに、ユーザがタッチを行い、その後しばらく指先をタッチしたままの状態にする場合は、表示モードは通常モードへ移行しない。そのため、ユーザは、スキャンモードで表示されたサムネイルテーブルを見ながらスライドを行える。ユーザが通常モードでサムネイルを見たい場合には、指先を表示面21cからリリースするだけでよいため、便利である。
【0142】
さらに、本実施の形態では、スキャンモードにおいて、表示面21cの左右の端の近くに表示されるサムネイルは、中央付近に表示されるサムネイルに比べて大きい。したがって、ユーザは、サムネイルテーブルをスキャンモードにてスクロール表示させているとき
に、表示面21cに始めて表示されるサムネイルを通常モードにおける表示とそれほど差がない大きさで視認することができ、所望のサムネイルを円滑に探すことができる。
【0143】
<変更例1>
図12は、変更例1に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、図9の表示モード選択処理の手順を示すフローチャートの変更例である。図12のフローチャートは、図9のフローチャートからステップS146の処理を削除して得られるものである。
【0144】
CPU100は、ステップS145の処理において、スクロール速度v1の絶対値|v1|が所定値vb以下であると判定すると(S145:YES)、表示モードをスキャンモード(m=1)から通常モードへ変更する(m1=0)。このとき、ユーザがタッチを行っていたか否か(S145参照)にかかわらず、通常モードへ変更される。
【0145】
本変更例においても、サムネイルテーブルがスクロールしているときに、スクロール速度が所定の速度を超えると、表示モードが通常モードからスキャンモードへ移行され、通常の表示の場合よりも、より多くのサムネイルが表示される。
【0146】
さらに、本変更例では、表示モードが、スクロール速度に応じて変更される。このため、ユーザは、指先を表示面21cにタッチさせたままスライドを行う際、そのスライドの速度に応じて、自動的に表示モードが切り替えられる。すなわち、指先を停止させた場合には、サムネイルテーブルが自動的に通常モードで表示され、スライドさせた場合には、自動的にスキャンモードで表示される。
【0147】
<変更例2>
図13は変更例に係る、表示面への表示の例を示す図である。
【0148】
図13(a)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるサムネイルテーブルの表示内容を説明する図である。上記実施の形態では、表示モードがスキャンモードのときにサムネイルテーブルを表示する際に、サムネイルテーブルを、表示面21cの奥方向に向けて湾曲したように見える画像が表示面21cに表示された。しかし、スキャンモードにおいて表示面21cに表示される画像は、表示面21cの奥方向に湾曲して見える画像に限られる必要はない。本変更例では、図13(a)のように、表示面21cの手前方向に向けて湾曲させるようにした画像が生成され、この画像が、スキャンモード時に表示面21cに表示される。同図において、表示面21cには、通常モード時の1.4倍の、21のサムネイル01A〜07Cが表示される。
【0149】
本変更例においても、スキャンモード時により多くの画像をスクロール表示できる。
【0150】
<変更例3>
図13(b)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるサムネイルテーブルの表示内容を説明する図である。上記実施の形態では、スキャンモードのときに、サムネイルテーブルが湾曲したように見える画像が表示面21cに表示された。しかし、スキャンモードにおいて表示面21cに表示される画像は、湾曲して見える画像に限られる必要はない。本変更例では、図13(b)に示すように、サムネイルテーブルを湾曲させずに縮小した画像が表示面21cに表示される。同図において、表示面21cには、通常モード時の1.4倍の、21のサムネイル01A〜07Cが表示される。
【0151】
本変更例においても、スキャンモード時により多くのサムネイルをスクロールさせることができる。
【0152】
<変更例4>
図13(c)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるサムネイルテーブルの表示内容を説明する図である。本変更例において、サムネイルテーブルは、12行5列に配列された、60のサムネイル01A〜05Lによって形成される。上記実施の形態では、サムネイルテーブルのスクロールの方向は、図6(a)のx軸方向(横方向)であった。しかし、スクロールの方向はx軸方向に限られる必要はない。本変更例では、図13(c)のように、サムネイルテーブルがy軸方向(縦方向)にスクロールされる。すなわち、スキャンモードである場合、サムネイルテーブルが、図13(c)に示すように、y軸方向において湾曲した曲面に沿って遷移する。同図において、表示面21cには、通常モード時の4/3倍の、21のサムネイル01A〜05Dが表示される。
【0153】
本変更例においても、スキャンモード時により多くの画像をスクロール表示できる。
【0154】
<変更例5>
図13(d)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるアイコンの表示内容を説明する図である。本変更例の携帯電話機は、アプリケーションを起動するためのアイコン群を配列(本変更例では3行4列に配列)して表示する、いわゆるランチャ画面を表示させる機能を備える。ユーザは、所望のアイコンをタップすると、アイコンに対応したアプリケーションが起動される。アイコンが多数ある場合や、グループごとに分けて配置される場合、ユーザは、表示面21cをスライドすることによって、アイコン群を左右の方向にスクロール表示させ、所望のアプリケーションを見つけることができる。
【0155】
上記実施の形態では、サムネイルテーブルを2つの表示モードでスクロール表示させた。2つの表示モードを使い分けて表示する対象は、サムネイルテーブルに限られる必要はない。本変更例では、図13(d)に示すように、上記アイコン群をスクロール表示させる際に、上記実施の形態と同様にして表示面21cの奥方向に湾曲して見えるように、アイコン群が表示面21cに表示される。
【0156】
図示の通り、スキャンモードでは、通常モード時の1.25倍の、15(3行5列)のアイコンを表示する。
【0157】
本変更例においても、スキャンモード時により多くの画像をスクロール表示できる。よって、ユーザは、アイコン群をスクロール表示させることによって、所望のアプリケーションを簡便に見つけることができる。
【0158】
<その他>
上記実施の形態および変更例4では、スクロールの方向は縦方向または横方向であったが、スクロール方向はこれに限られる必要はない。例えば、2次元方向にスクロール可能に表示対象画像が表示されているときに、2つの表示モードを切り替えるようにしてもよい。この場合、スキャンモードにおいて表示面21cに表示される画像は、通常モードにおいて表示される表示対象画像の領域よりも広い領域を、表示面21cに合う大きさに縮小して表示すればよい。画像を生成する際、単純な縮小処理を行ってもよいし、これ以外に、たとえば、仮想3次元空間内において表示面21cの奥方向へ球面状(球面を球の内側から見たような形状)に湾曲させて3D画像を生成するようにしてもよい。また、スクロール方向が1次元であっても、スクロール方向は縦方向や横方向だけでなく斜め方向であってもよいし、またスクロール方向が一直線状でなく例えば円弧状に曲がっていてもよい。
【0159】
上記実施の形態および変更例では、画像のサムネイルやアプリケーションのアイコンな
どを、縦方向および横方向に整列配置させてスクロールさせた。サムネイルやアイコンなどは、このように配列される必要はない。たとえば、三角格子や6角格子を形成するようにこれらが配置されてもよい。また、非周期的な配列やランダムな配列等、他の配列が用いられてもよい。
【0160】
上記実施例では、表示モードの変更の判定処理は、スクロール速度に関する所定の閾値(vaおよびvb)ならびにタッチ状態に基づいて行われていた(図9参照)。しかし、表示モードの変更は、これらの要素にのみに基づいてなされる必要はない。たとえば、S145の判定処理において、|v1|≦vbを判定するかわりに、所定時間(たとえば数百ミリ秒)以上継続して|v1|≦vbの状態が満たされたか否かが判定されてもよい。このようにすることで、表示モードが頻繁に変更されることが抑制され、スクロール表示における視認性が向上する。
【0161】
上記実施形態では、表示モードの変更に応じて、適時2種類(通常モードおよびスキャンモード)の表示方法を切り替えながら、サムネイルテーブルが表示された。しかし、表示方法が切り替えられる際に、切換え過程が視覚的に連続的に見えるように、表示モードの変更処理が行われてもよい。すなわち、たとえば図3(c)に示すスキャンモードでの表示から図3(d)に示す通常モードでの表示へ移行する際に、図3(c)に示すサムネイルテーブルの湾曲よりも、ゆるやかに湾曲して見える画像を生成し、これを図3(d)に示すサムネイルテーブルを表示する前に表示するようにしてもよい。また、このような表示モードの遷移途中を表す画像を、湾曲の度合いが徐々にゆるやかになるように、複数生成し、これらを順次表示して、アニメーションのように表示を遷移させてもよい。
【0162】
上記実施の形態では、通常モード(m=0)とスキャンモード(m=1)の2種類の表示モードが設定された。しかし、表示モードは、2種類に限られる必要はない。例えば、スクロール速度に応じて複数の表示モード、例えば、m=0、0.25、0.5、0.75、1に対応する4の状態を持ち得るモードを扱うようにしてもよい。この場合、たとえば、表示されるサムネイルテーブルの湾曲の度合いを表示モードmの値に応じて変化させるようにすればよい。または、表示モードmの値は、上述のように離散的でなく、0以上1以下の連続的な値を取るようにしてもよい。
【0163】
上記実施の形態では、図7のS122において、スクロール速度およびスクリーン中心座標の補正処理が行われた。しかし、補正処理は、上述の内容に限られる必要はない。たとえば、スクリーン中心座標c1がサムネイルテーブルの左右の境界の近傍(例えば、c1<wまたはc1>L−w)にあるときに、さらなる補正処理を加えてもよい。たとえば、c1>L−wの場合、その時点のスクロール速度v1で慣性的なスクロールを継続すると、スクロール中心座標が上限値Lを超えてしまう場合が起こり得る。このようにスクロール中心座標が上限値Lを超えることがないように、スクリーン中心座標がLに到達する前にスクロールが停止する程度にv1を小さく補正してもよい。c1<wの場合も同様の補正が行われてもよい。このようにさらなる補正処理を行うことで、ユーザがたとえサムネイルテーブルの右辺の近傍が表示されている時にとても速いフリックを行ったとしても、CPU100は、サムネイルテーブルのスクロールをなめらかに減速させ停止させることができる。これにより、視認性を向上させることができる。
【0164】
上記実施の形態では、表示面21cにおけるタッチにもとづいて、スクロール表示がなされ、また、表示モードが適時変更された。ユーザが行う操作は表示面21cにおけるタッチに限られる必要はない。たとえば、ユーザがキー入力操作を介してスクロールのための操作を行うときに、本発明を適用してもよい。あるいは、他の入力装置、備えられたセンサ等を用いてサムネイルテーブル等の画像をスクロール表示させる処理がなされる際にも、通常モードとスキャンモードの、2つの表示モードの切り替えの処理を実行するよう
にしてもよい。
【0165】
上記実施の形態では、原画像を縮小したサムネイルからなるサムネイルテーブルが、通常モードおよびスキャンモードにてスクロール表示された。ここで、原画像は、写真、イラスト等の画像に限らず、より一般の電子文書が、所定のプログラムにより開かれたときに表示された画像(電子文書の画像)であってもよい。この場合、サムネイルテーブルは、当該電子文書の画像を縮小した画像(以下、「電子文書のサムネイル」と言う。)からなる。サムネイルテーブルが表示面21cに表示されているときに、一つの電子文書のサムネイルを選択する操作(タップ等)がなされると、CPU100は、選択された電子文書を開くために当該所定のプログラムを起動する。
【0166】
さらに、上記実施の形態では、いわゆるスライド式の携帯電話機に本発明が適用されている。しかしながら、これに限らず、いわゆる折り畳み式、ストレート型等、いかなるタイプの携帯電話機に本発明が適用されてもよい。
【0167】
さらに、本発明の携帯端末装置は、携帯電話機に限られず、PDA(PersonalDigital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等であってもよい。
【0168】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0169】
21 ディスプレイ(表示部)
22 タッチセンサ(受付部)
100 CPU(表示制御部)
サムネイル、アイコン(画像)
サムネイルテーブル(画像群)
アイコン群(画像群)
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(TabletPC)等の携帯端末装置に関するものであり、特に、スクロール機能を有する携帯端末装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機などの携帯端末装置では、ディスプレイ上において画像を送る、いわゆるスクロール機能が設けられている。たとえば、ディスプレイに表示しきれない部分をディスプレイ上に表示させるために、スクロール機能が用いられる。ユーザは、所定の操作により、画像をスクロールさせて、所望の箇所をディスプレイ上に表示させることができる。
【0003】
たとえば、多くの画像のサムネイルが整列されたサムネイルテーブルの一部分がディスプレイに表示された状態において、ユーザは、所望のサムネイルを閲覧するために、サムネイルテーブルをスクロールさせる。これにより、ユーザは、ディスプレイに表示されていなかったサムネイルを探し出すことができる。(たとえば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−259028
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スクロール処理では、所望の画像の表示順が遅いと、当該画像がディスプレイ上に現れるまでに時間を要することが起こり得る。この場合、所望の画像を探し出すために、スクロール操作を頻繁に行う必要があり、所望の画像を簡便に探し出すことが困難となり得る。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが、スクロール機能を用いて簡便に所望の画像を探し出すことが可能な携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯端末装置は、表示部と、前記表示部に表示される画像群を遷移させるための操作を受け付ける受付部と、前記操作に基づいて前記表示部に表示される前記画像群が遷移するように前記表示部を制御する表示制御部と、を備える。ここで、前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群を構成する画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させる。
【0008】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記遷移の速度が所定速度に満たないときは、前記画像を縮小せずに前記画像群を遷移させ得る。
【0009】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記画像群の遷移を行った後、前記画像群の遷移の速度を徐々に減速させ得る。
【0010】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記減速により前記遷移の速度が所定速度に満たなくなったとき、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させ得
る。
【0011】
本発明の携帯端末装置において、前記受付部は、前記表示部に対する入力を検出し、前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度によって、前記遷移の速度を変化させ得る。
【0012】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度が所定速度を超えると、前記画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させ得る。
【0013】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記表示部における表示の状態が前記画像を縮小した表示となった後、前記受付部に対する前記入力が継続していれば、前記入力の位置の移動速度に拘らず、前記画像を縮小した前記表示の状態を維持し得る。
【0014】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記入力の位置の移動速度が所定速度に満たなくなった状態で、前記受付部に対する前記入力が無くなると、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させ得る。
【0015】
本発明の携帯端末装置において、前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群が、3次元空間内に配置され、前記画像群の移動方向に垂直な軸の周りに湾曲した、円筒状曲面に沿って移動して見えるよう、前記表示部を制御し得る。
【0016】
本発明の携帯端末装置において、前記画像は、アイコンを含み得る。
【0017】
本発明の携帯端末装置において、前記画像は、電子文書のサムネイルを含み得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スクロール機能を用いて所望の画像を簡便に探し出し得る携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る表示面への表示内容を模式的に示す図である。
【図4】実施の形態に係る画像データを説明する図である。
【図5】実施の形態に係る表示面への表示のための制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る画像データにおける表示面への表示のための領域を説明する図である。
【図7】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る表示面への表示内容を模式的に示す図である。
【図12】変更例1に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】変更例2〜5に係る表示面への表示内容を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は携帯電話機の外観構成を示す図である。携帯電話機は、第1キャビネット1と第2キャビネット2とを備
えている。
【0021】
同図(a)は、第2キャビネット2が開放した状態の携帯電話機の正面図であり、同図(b)は同じ状態での側面図である。同図(c)は同図(b)のA−A´断面図である。
【0022】
第1キャビネット1には、キー入力部3が配されている。キー入力部3は、携帯電話機への各種の入力操作を検出する。
【0023】
第1キャビネット1の上面には、キー入力部3を構成する操作キー群3aが配されている。操作キー群3aは、4個の起動キー31と、方向キー32と、決定キー33と、通話キー34と、終話キー35と、12個のテンキー36と、クリアキー37とを備えている。
【0024】
起動キー31は、主に、電子メール機能、電話帳機能、ウェブ機能などの特定のアプリケーションを起動する際に操作される。方向キー32は、主に、ディスプレイ21に表示された各種メニューから所望のメニューを選択する際に操作される。決定キー33は、主に、メニューの選択を確定する際やディスプレイ21に表示された内容に同意(OK)する際に操作される。通話キー34は、主に、通話を開始する際に操作され、終話キー35は、主に、通話を終了する際に操作される。テンキー36は、主に、文字(ひらがな、カタカナ、アルファベット)や数字、記号の入力を行う際に操作される。クリアキー37は、主に、入力した文字等を消去する際に操作される。なお、テンキー36の一部の機能を、QWERTYキー等で実現するような構成としてもよい。
【0025】
第1キャビネット1には、カメラモジュール11が配されている。カメラモジュール11のレンズ窓(図示せず)は、第1キャビネット1の背面に設けられており、このレンズ窓から被写体の像がカメラモジュール11に取り込まれる。
【0026】
第2キャビネット2にはディスプレイ21が配されている。ディスプレイ21は、液晶パネル21aと、液晶パネル21aを照明するパネルバックライト21bにより構成されている。液晶パネル21aは、画像を表示するための表示面21cを有し、表示面21cが外部に現れる。表示面21cの上にタッチセンサ22が配されている。なお、液晶パネル21aに代えて有機ELなど他の表示素子が用いられてもよい。
【0027】
タッチセンサ22は透明なシート状で形成される。タッチセンサ22を透して表示面21cを見ることができる。タッチセンサ22は、マトリクス状に配された第1透明電極、第2透明電極およびカバーを備えている。タッチセンサ22は、第1および第2透明電極間の静電容量の変化を検出することによって、ユーザが触れた表示面21c上の位置(以下、「入力位置」と言う。)を検出し、その入力位置に応じた位置信号を後述のCPU100へ出力する。タッチセンサ22は、表示面21cに対するユーザの入力を受け付ける受付部に相当する。なお、タッチセンサ22は、静電容量式のタッチセンサ22に限られず、超音波式、感圧式等のタッチセンサ22であってもよい。
【0028】
なお、ユーザが表示面21cに触れる形態には、たとえば、「タッチ」や「スライド」、「タップ」あるいは「フリック」等がある。「タッチ」とは、表示面21cにペンなどの接触部材や指を接触させたまま動かさない動作を言う。「スライド」とは、表示面21cに接触部材や指を接触させたまま動かす動作を言う。「タップ」とは、接触部材や指が表示面21cを弾くように、表示面21cのある位置において接触部材や指をタッチさせ、短時間のうちにリリースさせる動作を言う。「フリック」とは、接触部材や指を表示面21cに沿って素早くスライドさせ、その後、表示面21cからリリースさせる動作、すなわち、表示面21cに接触部材や指を接触させたまま、短時間の間に接触部材や指を動
かし表示面21cからリリースさせる動作を言う。
【0029】
第1キャビネット1にはマイクロホン12(以下、「マイク」と略す)が配されており、第2キャビネット2には通話スピーカ23が配されている。ユーザは、耳元を通話スピーカ23の近くに、口元をマイク12の近くに持ってくることにより通話を行うことができる。
【0030】
第2キャビネット2は、スライド機構部4によって、第1キャビネット1に対し図1のX軸方向にスライド可能に連結されている。図1(c)に示すように、スライド機構部4は、ガイド板41とガイド溝42によって構成されている。ガイド板41は、第2キャビネット2の背面の左右両端部に設けられており、その下端に突条41aを有する。ガイド溝42は、第1キャビネット1の側面に、スライド方向(図1のX軸方向)に沿って形成されている。ガイド板41の突条41aは、ガイド溝42に係合されている。
【0031】
携帯電話機を閉じた状態では、図1(b)に一点鎖線で示すように、第2キャビネット2が第1キャビネット1の上に略完全に重なっている。この状態(閉じた状態)では、第2キャビネット2の背後に操作キー群3aの全てのキーが隠れた状態となる。第2キャビネット2は、ガイド板41がガイド溝42の終端位置に達するまでスライドする(開いた状態とする)ことができる。第2キャビネット2が完全に開くと、図1(a)に示すように、操作キー群3aの全てのキーが外部に露出する。
【0032】
全てのキーが隠れた状態において、キー操作入力に替わる携帯電話機への操作入力は、タッチセンサ22により行うことができる。このとき、ディスプレイ21の表示面上には、所定の位置にソフトキーの画像が表示される。
【0033】
なお、第2キャビネット2が完全に閉じても外部から操作可能な位置、たとえば、第1キャビネット1の側面に、操作キー群3aとは別の操作キーを設けることもできる。こうすれば、第2キャビネット2が完全に閉じていても、このような操作キーを用いて所望の操作を行うことが可能となる。
【0034】
図2は、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施の形態の携帯電話機は、上述した各構成要素の他、CPU100、メモリ200、映像エンコーダ301、音声エンコーダ302、キー入力回路303、タイマー304、通信モジュール305、バックライト駆動回路306、キーバックライト307、映像デコーダ308、音声デコーダ309、外部スピーカ310、画像処理回路311、近距離通信モジュール312を備えている。
【0036】
カメラモジュール11はCCD等の撮像素子を有する。カメラモジュール11は、撮像素子から出力された撮像信号をデジタル化し、その撮像信号にガンマ補正等の各種補正を施して映像エンコーダ301へ出力する。映像エンコーダ301は、カメラモジュール11からの撮像信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0037】
マイク12は、集音した音声を音声信号に変換して音声エンコーダ302へ出力する。音声エンコーダ302は、マイク12からのアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換するとともに、デジタルの音声信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0038】
キー入力回路303は、操作キー群3aの各キーが操作されたときに、各キーに応じた入力信号をCPU100へ出力する。
【0039】
タイマー304は、時間を計る。CPU100は、携帯電話機の各部の制御のために、時間の経過を示す信号をタイマー304から取得する。
【0040】
通信モジュール305は、CPU100からの音声信号や画像信号、テキスト信号などを無線信号に変換し、アンテナ305aを介して基地局へ送信する。また、アンテナ305aを介して受信した無線信号を音声信号や画像信号、テキスト信号などに変換してCPU100へ出力する。
【0041】
バックライト駆動回路306は、CPU100から入力された制御信号に応じて、キーバックライト307およびパネルバックライト21bへ、電力の供給もしくは供給の停止を行う。
【0042】
キーバックライト307は、バックライト駆動回路306から電力を供給されることにより点灯し、操作キー群3aの個々のキーを照明する。パネルバックライト21bは、バックライト駆動回路306から電力を供給されることにより点灯(ON)し、液晶パネル21aを照明する。
【0043】
音声デコーダ309は、CPU100からの音声信号にデコード処理を施し、さらにアナログの音声信号に変換して通話スピーカ23に出力する。また、音声デコーダ309は、CPU100からの着信音、アラーム音等の各種報知音の音信号にデコード処理を施し、さらにアナログの音信号に変換して外部スピーカ310へ出力する。通話スピーカ23は、音声デコーダ309からの音声信号を音声として再生する。外部スピーカ310は、音声デコーダ309からの着信音等を再生する。
【0044】
携帯電話機は、近距離通信用の近距離通信モジュール312およびアンテナ312aをさらに備える。近距離通信モジュール312は、Bluetooth(登録商標)による近距離通信を行うものである。近距離通信モジュール312は、半径数10mの範囲内にある、Bluetoothによる通信機能を備える他の通信機器との間でアンテナ312aを介して通信を行う。近距離通信モジュール312は、CPU100から入力するデジタル信号を、Bluetoothの規格に従う無線通信に変換し、アンテナ312aを介して無線信号を送信する。近距離通信モジュール312はまた、アンテナ312aを介して受信した無線信号をデジタル信号に変換し、CPU100へ出力する。
【0045】
メモリ200は、ROMおよびRAMを含む。メモリ200には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムが記憶されている。また、メモリ200には、画像データや、画像データを生成するために中間的に生成されたデータなどが保存される。
【0046】
画像処理回路311は、画像データの生成や出力を高速に実行するための回路
である。画像処理回路311は、表示プロセッサおよびVRAM(Video RAM)を含む。表示プロセッサは、CPU100から入力する制御信号に基づき、メモリ200の所定の領域のデータを読み込み、画像データの生成や転送を行う。
【0047】
画像処理回路311は、表示プロセッサが生成した画像データを、メモリ200もしくはVRAMの所定の領域に書込む。そして、VRAM内の画像データを所定のタイミングで読み込み、該画像データが表す画像をディスプレイ21に表示するための信号を映像デコーダ308へ出力する。
【0048】
表示プロセッサは、所定の画像を生成するための処理を行う。たとえば、表示プロセッサは、メモリ200上の画像データから、立体的に湾曲したように見える画像(図3(b
)参照)のデータを生成する。この場合、表示プロセッサは、メモリ200上の画像データの各画素データを、所定のルールに従って、VRAM上の対応するアドレスに割り付けて、VRAM上に格納する。これにより、図3(b)のような立体的に湾曲したように見える画像がディスプレイ21上に表示される。
【0049】
図2に戻り、CPU100は、キー入力回路303およびタッチセンサ22からの操作入力信号に基づき、制御プログラムに従って、カメラモジュール11、マイク12、通信モジュール305、液晶パネル21a、通話スピーカ23、外部スピーカ310、画像処理回路311、近距離通信モジュール312等を動作させる。これにより、通話機能、電子メール機能、データ送受信機能等の各種機能(アプリケーション)を実行する。
【0050】
本実施の形態の携帯電話機は、複数のサムネイルが整列されたテーブル(以下、「サムネイルテーブル」と言う。)を、スクロール可能に表示する機能を備える。ここで、サムネイルとは、原画像を所定のサイズに縮小した画像のことである。
【0051】
フォルダ内の画像を閲覧する際、ユーザは、サムネイルの一覧を表示面21cに表示させるための操作を行う。これに応じて、CPU100は、当該フォルダに保存された画像のサムネイルを縦横に整列させたサムネイルテーブルを、表示面21cに表示させる。ユーザが表示面21c上の所望のサムネイルの上をタップすると、CPU100は、タップされたサムネイルに対応する画像を表示面21c全体に表示する。サムネイルは、事前に作成され保存されたものが用いられてもよい。あるいは、サムネイルテーブルを表示する際にサムネイルが作成されてもよい。
【0052】
ところで、サムネイルの数が多いために、サムネイルテーブルのサイズが表示面21cのサイズより大きい場合がある。このような場合、ユーザは、表示面21cに対してスライドやフリックを行う。これ応じて、CPU100は、サムネイルテーブルを表示面21c上でスクロールさせる。こうして、ユーザは、非表示となっていたサムネイルを視認することができる。
【0053】
ここで、「スクロール」とは、表示面21cに表示される画像や画像群(サムネイルテーブル、アイコン群等)を、ユーザからの操作入力等に応じて、、一体的に略一様な方向へ遷移させることを言う。なお「スクロール」には、以下に図3(b)を用いて説明する例のように、表示面21cに表示される画像や画像群を、3次元空間内の曲面に沿って移動して見えるよう、表示面21c上で、一体的に略一様な方向へ遷移させることも含まれる。
【0054】
図3(a)〜(d)は、本実施の形態に係る表示面21cへの表示内容を模式的に示す図である。本実施の形態を詳説する前に、図3を用いて概説する。
【0055】
図3(a)は、ユーザが、上述のようにしてサムネイルテーブルを表示面21cに表示させた直後の表示内容を示す図である。ここでは、ユーザが選択したフォルダに60の画像が保存されているとする。
【0056】
CPU100は、60の画像に対応する60のサムネイルを、3行20列に整列したサムネイルテーブルの画像データを生成してメモリ200に書込む。
【0057】
図4は、サムネイルテーブルの画像データの構成を示す図である。ここでは、便宜上、サムネイルテーブルの行はアルファベット文字A〜Cで、列は2ケタ数字で表すものとする。サムネイルテーブルの画像データについては、追って、図4を参照して説明する。
【0058】
図3(a)では、図4のサムネイルテーブルの冒頭部分(左端近傍部分)の15個のサムネイルが表示される。この場合、CPU100は、サムネイルテーブルのうち、左端近傍のサムネイル01A〜05Cに対応する領域を、表示面21cに表示する。なお、サムネイルが表示されない領域には、所定の背景画像が表示される(図3(b)〜(c)も同様)。
【0059】
ユーザが、図3(a)のFの位置を矢印の方向へフリックすると、CPU100は、矢印が表すベクトルのx軸方向成分にもとづき、サムネイルテーブルを左方向へスクロールさせる。本実施の形態では、このようにサムネイルテーブルがスクロールする際には、スクロールしないときよりも多くのサムネイルが表示面21cに表示される。
【0060】
図3(b)は、上記のフリックが行われたときの表示面21cの表示内容を示す図である。図3(b)のタイミングでは、21個のサムネイル03A〜09Cが表示面21cに表示される。CPU100は、スクロールの速度が所定の速度を超えると、サムネイルテーブルが図3(b)のように湾曲して見えるように、表示する。すなわち、CPU100は、サムネイルテーブルが奥方向にシリンダー状に湾曲して見える画像を生成し表示面21cに表示する。CPU100は、このような画像の生成と表示を繰り返すことにより、スクロール表示を行う。個々のサムネイルは、図示のように、縮小され、湾曲した曲面に沿って左方向へ移動して見えるよう表示される。
【0061】
なお、スクロールの速度は、後述のように、指や接触部材が表示面21cをなぞる速度のx軸方向の成分に基づいて変化する。スクロールの速度が所定の速度以下であれば、図3(a)の状態のまま、サムネイルテーブルがスクロールされる。
【0062】
このように、サムネイルテーブルを表示面21cに表示する際、2種類の表示モードのいずれかが選択される。一つは、図3(a)に示す表示形態でサムネイルテーブルを表示するための「通常モード」である。もう一つは、図3(b)のように湾曲した形態でサムネイルテーブルを表示するための「スキャンモード」である。
【0063】
なお、「通常モード」は、図3(a)に示す表示形態でサムネイルテーブルが静止する場合の他、この形態のままサムネイルテーブルが所定速度以下(低速)で移動する場合も含む。また、「スキャンモード」は、図3(b)に示す表示形態でサムネイルテーブルが所定速度を超える速度(低速)で移動する場合の他、この形態のままサムネイルテーブルが静止する場合も含む。
【0064】
通常モードは、静止した状態の個々のサムネイルを詳しく見ることに適する。スキャンモードは、スクロールしているときなどに、サムネイル群全体を見ながら所望の画像を含むサムネイル群を探すことに適する。
【0065】
CPU100は、フリックによって図3(b)のようにスクロールを行う場合、ユーザから更なる入力操作が行われない限り、左方向へ慣性的なスクロールを継続する。すなわち、CPU100は、スクロール速度を徐々に遅くしながら左方向へ移動するように、サムネイルテーブルを表示面21cに表示する。そして、最終的にはサムネイルテーブルの移動を停止する。
【0066】
図3(c)および(d)は、表示モードが変更される直前および直後における、表示面21cへの表示の内容を模式的に示す図である。CPU100は、スクロール速度が低速であり、且つユーザによる入力操作が行われていないとき、表示モードをスキャンモードから通常モードに設定する。例えば、図3(c)に示すようにサムネイル06A〜12Cをスキャンモードにて表示面21cに表示しているときにこれらの条件が満たされると、
CPU100は、表示モードを通常モードに変更する。そして、CPU100は、サムネイル07A〜11Cを、図3(d)に示すように、通常モードにて表示面21cに表示する。このとき、図3(c)および(d)に示すように、スキャンモード時に表示面21cの両側に表示されていたサムネイル05A〜Cおよび12A〜Cは、通常モード時に表示されなくなる。
【0067】
図4は、本実施の形態に係るサムネイルテーブルの画像データを説明する図である。
【0068】
CPU100は、60のサムネイル01A〜20Cを3行20列に整列してサムネイルテーブルの画像データを生成し、メモリ200に書込む。
【0069】
なお、サムネイルテーブルの画像データが生成される際には、各サムネイルの間には所定の間隔が設けられる。この間隔部分およびサムネイル群の周囲には透過色が指定される。したがって、表示面21cにサムネイルテーブルが表示されるとき、表示面21cのサムネイルが表示されない部分には、所定の背景画像が表示される。
【0070】
図3(a)に示すような表示面21cへのサムネイルの表示処理は、図4に示す領域Sa(サムネイル01A〜05C)に対応するデータをVRAMの所定の領域に書込むことによりなされる。同様に、図3(d)に示すような表示面21cへのサムネイルの表示処理は、図4の画像の領域Sd(サムネイル07A〜11C)のデータをVRAMに書込むことによりなされる。
【0071】
図3(b)に示すような、湾曲したサムネイルテーブルの画像データの生成は、図4の領域Sb(03A〜09C)に対応するメモリ200上の領域の各アドレスのデータを、所定のルールに従って、VRAMの所定の領域の対応するアドレスにマッピングすることによってなされる。画像データの生成は、たとえば、テクスチャマッピングの手法を用いて行われてもよい。すなわち、図3(b)に示すような、表示面21cの奥方向へシリンダー状に湾曲するよう形成された仮想的なオブジェクトに、領域Sb上の画像を仮想的に張り付ける。そして、オブジェクトに貼り付けられた画像を、所定位置の平面へ射影するように画像を生成させる。これによって、図3(b)に示すような画像が表示面21cに表示される。図3(c)に示すような画像データの生成も同様にしてなされる。なお、画像データの生成処理は、CPU100が直接行ってもよい。
【0072】
以下に、サムネイルテーブルをスクロールさせるための制御処理について詳説する。
【0073】
図5(a)は、サムネイルテーブルをスクロールさせるための制御処理を示すフローチャートである。図5(b)は、サムネイルテーブルの表示のために用いられるパラメータを説明する表である。
【0074】
ユーザが画像閲覧のためにサムネイルテーブルを表示させる操作を行うと、CPU100は、図5(a)のフローチャートが示す処理を開始する。図5(a)のフローチャートは、図示の通り、主にループ処理S102〜S106から成る。ループ処理S102〜S106は、タイマー304を用いて、所定時間Δt毎に繰り返し実行される。
【0075】
ループ処理S102〜S106が実行されると、S105において、表示設定パラメータが更新される。サムネイルテーブルがスクロールされる場合、表示設定パラメータは、所定時間Δtだけ前の前回のループ処理における表示設定パラメータから変化する。これにより、表示面21cに表示されるサムネイルテーブルが遷移する。サムネイルテーブルがスクロールされない場合、表示設定パラメータは、所定時間Δtだけ前の前回のループ処理における表示設定パラメータと同じである。なお、サムネイルテーブルが表示される
場合の表示モード(通常モード、スキャンモード)も、表示設定パラメータの更新により、逐次、変更される。
【0076】
CPU100は、まず、ステップS101の初期表示処理を行う。S101において、CPU100は、図5(b)に示す表示設定パラメータにデフォルト値を設定する。そして、設定された表示設定パラメータに応じて、サムネイルテーブルの所定の領域の表示処理を実行する。最後に、所定時間Δtを計るためのタイマー304をリセットする。
【0077】
図5(b)に示す表示設定パラメータは、主にサムネイルテーブルのスクロール表示や表示モードの選択のために利用される。表示設定パラメータは、タッチ状態、タッチ座標、スクリーン中心座標、スクロール速度から成る。
【0078】
タッチ状態fは、表示面21cがタッチされているか否か、すなわち、指や接触部材等の被検出物が表示面21cに接触しているか否かを示す。被検出物が表示面21cに接触していないとf=0であり、接触しているとf=1である。タッチ状態fのデフォルト値は0である。
【0079】
タッチ座標は、被検出物が表示面21cに接触している位置の座標x、yを表す。
【0080】
図6(a)は、表示面21c上におけるサムネイルテーブルの表示のための領域の座標空間を示す。図6(b)は、サムネイルテーブルの座標空間を示す。
【0081】
表示面21c上の、サムネイルテーブルが表示される領域のサイズは、図6(a)に示すように、横2w(画素)×縦h(画素)である。この領域の横軸座標をx、縦軸座標をyとし、領域の左下の角を原点とする。タッチ座標x、yは0≦x≦2w、0≦y≦hの値を取り得る。なお、タッチ座標は、タッチされている状態(f=1)のときのみ設定される(S103参照)。タッチ座標x、yのデフォルト値は設定されない。
【0082】
図5(b)にもどり、スクリーン中心座標cは、サムネイルテーブルのどの領域を表示面21cに表示させるかを指定するための値である。スクリーン中心座標cのデフォルト値はwである。
【0083】
図6(b)のサムネイルテーブルのサイズは横L(画素)×縦h(画素)とする。横軸座標をp、縦軸座標をqとし、領域の左下の角を原点とする。スクリーン中心座標cは、サムネイルテーブル上の、表示面21cに表示される領域の中心点のp軸座標である。
【0084】
通常モードにおいて、スクリーン中心座標がcであるとは、CPU100が、サムネイルテーブルのc−w≦p≦c+w、0≦q≦hなる領域を表示面21cに表示することを意味する。スキャンモードにおいて、スクリーン中心座標がcであるとは、サムネイルテーブルのc−w´≦p≦c+w´(w<w’)、0≦q≦hなる領域の画像を、表示面21cに表示することを意味する。ただし、スキャンモードにおいては、図3(c)に示すような幅2wの画像を上述のようにして生成した後、生成した画像を表示面21cへ表示する。
【0085】
以下、便宜上、このようにして表示面21cに表示される領域が設定される際、q軸方向の範囲に関する記述が略されることがある。この場合には、q軸方向の範囲は、上記の通り(通常モードにおいてもスキャンモードにおいても)0≦q≦hと設定されることとする。
【0086】
たとえば、通常モードにおいて、図6(b)に示すp座標にスクリーン中心座標cがあ
るときには、太線枠で囲まれた領域が表示面21cに表示される。これと同様にスクリーン中心座標cが設定されているとき、スキャンモードにおいては、太い一点鎖線枠で囲まれた領域の画像データをもとに生成された幅2wの画像が表示面21cに表示される。
【0087】
本実施例において、wは個々のサムネイルの横方向の幅(画素数)の2.5倍にほぼ等しい。また、w´はwの1.4倍にほぼ等しい。したがって、通常モードでは、図3(a)および(d)に示すように5列分のサムネイルが表示される。また、スキャンモードでは、図3(b)および(d)に示すように7(=1.4×5)列分のサムネイルが表示される。なお、wおよびw´はこのような設定に限る必要はない。たとえば、スキャンモードにおいてより多くのサムネイルを表示できるように比w´/wを1.4より大きくしてもよいし、個々のサムネイルの視認性をより高めるために比w´/wを1.4より小さくしてもよい。
【0088】
図5(b)にもどり、スクロール速度vは、サムネイルテーブルをスクロールさせる速さ(画素/秒)を示す。スクロール速度vのデフォルト値は0である。
【0089】
右方向にフリックまたはスライドがされた場合、後述するように、スクロール速度vは正値に設定され、左方向にフリックまたはスライドがされた場合、スクロール速度vは負値に設定される。
【0090】
表示モードmは、表示モードが通常モード(m=0)であるかスキャンモード(m=1)であるかを示す。表示モードのデフォルト値は0である。
【0091】
ステップS101の表示処理において、CPU100は、上述の通り、また、図3(a)に示す通り、サムネイルテーブルの領域0≦p≦2w(c=w)、0≦q≦hの部分を、静止した状態(v=0)かつ通常モード(m=0)で、表示面21cに表示する。
【0092】
このようにして、ステップS101の初期表示処理が実行され、次にループ処理S102〜S106が繰り返し実行される。なお、ステップS103〜S105の処理では、CPU100は、表示設定パラメータを更新するための処理を主に実行する。そして、ステップS106の処理において、更新された新たな表示設定パラメータにもとづき、サムネイルテーブルの所定の領域を表示面21cへ表示する表示処理が実行される。こうして、所定時間Δt毎に、新たな表示設定パラメータに基づく画像が表示面21cに表示される。
【0093】
以下では、便宜上、現在のループ処理におけるパラメータf、x、y、c、v、mをf1、x1、y1、c1、v1、m1と表し、一回前のループ処理におけるパラメータf、x、y、c、v、mをf0、x0、y0、c0、v0、m0と表す。
【0094】
ステップS102において、CPU100は、前回の表示設定パラメータm0、f0、c0、x0、y0、v0を読み込む。前回の表示設定パラメータは、前回のループ処理S102〜S106が実行されたときに設定された表示設定パラメータを意味する。ただし、S101実行直後にS102の処理が実行される場合には、前回の表示設定パラメータは、図5(b)に示すデフォルト値に設定された表示設定パラメータを意味する。
【0095】
次に、ステップS103において、現在のタッチ状態検出のための処理が実行される。CPU100は、現在、表示面21cがタッチされている(f1=0)か、否(f1=1)かを検出する。そして、タッチされている(f1=1)場合には、現在のタッチ座標x1、y1にその入力位置の座標を設定する。リリースされている(f1=0)場合には、タッチ座標x1、y1に値は設定されない。以後実行される処理において、パラメータx
1、y1は、f1=1の場合にのみ用いられることとなる。
【0096】
このようにしてステップS103の処理が完了すると、CPU100は、次に画像選択操作検出処理(S104)を実行する。
【0097】
図7は、本実施の形態の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0098】
図7(a)は、画像選択操作検出処理(S104)の手順を示すフローチャートである。S111において、CPU100は、前回の表示モードm0(S102参照)が何であるかを判定する。前回の表示モードがスキャンモードである場合(S111:m0=1)、CPU100は、図7(a)の処理を終了するとともに、図5(a)のステップS105の処理へ進む。表示モードが通常モードである場合(S111:m0=0)、CPU100は、ステップS112の判定処理へ進む。
【0099】
ステップS112において、CPU100は、ユーザが表示面21cに表示されているあるサムネイルの上をタップしたかを判定する。すなわち、CPU100は、ユーザにより表示面21cをタップする操作(f0=1、f1=0、かつタッチされていた時間の長さが所定時間より短い)がなされたか否かをまず判別する。タップが行われた場合、CPU100は、前回のタッチ座標x0、y0が表示面21cに表示されたサムネイル上に位置するか否かを判定する。これらの条件のいずれかが満たされない場合、サムネイル上をタップしなかったと判定し(S112:NO)、図7の処理を終了するとともに、次のステップS105の処理を実行する。
【0100】
あるサムネイルの上をタップしたと判定した場合(S112:YES)、CPU100は、当該サムネイルに対応する画像を表示するために、画像表示プログラムを起動する。そして、図5(a)のフローチャートが示すサムネイルテーブルをスクロール表示するための処理が終了される。
【0101】
図5(a)にもどり、ステップS105では、表示設定パラメータ更新処理が実行される。この処理において、以下のようにして、新たなスクリーン中心座標c1、スクロール速度v1、および表示モードm1が決定される。
【0102】
図7(b)は、S105の表示設定パラメータ更新処理の手順を示すフローチャートである。図7(b)のステップS121において、CPU100は、新たなスクロール速度v1およびスクリーン中心座標c1を設定する。次のステップS122において、新たなスクロール速度v1およびスクリーン中心座標c1を、適切に補正する処理を実行する。最後に、ステップS123において、新たな表示モードm1を選択する処理を実行する。
【0103】
図8は、S121の速度および位置の計算処理の手順を示すフローチャートである。
【0104】
CPU100は、まず、現在のタッチ状態がリリースされた状態(f1=0)であるかタッチされた状態(f1=1)であるかを判別する(S131)。現在、リリースされた状態である場合(S131:f1=0)、CPU100は、サムネイルテーブルのスクロール速度を減速させるため、新たなスクロール速度v1をv0から所定値を減じた値として設定する(S132)。なお、v0の絶対値が所定の閾値以下である場合には(v0=0の場合も含む)、v1=0と設定される。
【0105】
v1の設定は、たとえば、サムネイルテーブルのスクロールの速度が摩擦抵抗力を受けて減速して見えるように、v0から所定定数を減じるようにして設定される。または、空気抵抗力を受けて減速して見えるように、v0から、v0の所定割合の値を減じた値がv
1に設定される。あるいは、これら2つの減速方法を組み合わせて用いるなど、他の方法が用いられ得る。
【0106】
現在、タッチされた状態である場合(S131:f1=1)、CPU100は、次の判定処理S133へ進む。ステップS133において、CPU100は、前回のタッチ状態がリリースされた状態であったか(f0=0)タッチされた状態であったか(f0=1)を判別する。
【0107】
前回のタッチ状態が、リリースされた状態であった場合には(S133:f0=0)、サムネイルテーブルのスクロールが停止するように、v1=0と設定する(S134)。前回のタッチ状態が、タッチされた状態であった場合には(S133:f0=1)、CPU100は、スライドに応じた新たなスクロール速度v1を設定する(S135)。すなわち、v1=(x1−x0)/Δtと設定する。
【0108】
たとえば右方向にスライドされた場合、x1>x0であるため、スクロール速度v1は正値に設定される。左方向にスライドされた場合、x1<x0であるため、スクロール速度v1は負値に設定される。
【0109】
このようにして、新たなスクロール速度v1が、S132、S134、S135の何れかのステップの処理において設定される。
【0110】
CPU100は、S132、S134もしくはS135の処理を完了すると、次のステップS136において、新たなスクリーン中心座標c1を設定する。新たなスクリーン中心座標c1は、式c1=c0−v1×Δtによって設定される。このようにスクリーン中心座標c1が設定されることにより、次に表示処理(S106)が実行されるとき、CPU100は、サムネイルテーブルを、フリックまたはスライドがされた方向と同じ方向に移動して見えるように、表示面21cに表示することとなる。
【0111】
S136の処理を完了すると、図8に示された速度および位置の計算処理(図7(b)のS121)が完了する。
【0112】
図7(b)にもどり、CPU100は、次にS122の補正処理を実行する。ここでは、図8の処理で設定されたスクロール速度v1とスクリーン中心座標c1に対する補正処理が行われる。S122において、c1<0である場合、CPU100は、c1=0かつv1=0とするよう補正する。また、c1>Lである場合には、c1=Lかつv1=0とするよう補正する。このようにして、補正処理S122が完了する。c1<0またはc1>Lでなければ、スクロール速度v1とスクリーン中心座標c1に対する補正処理は行われず、図8の処理で設定されたv1とc1がそのまま用いられる。このようにすることで、表示面21cに表示される領域が、サムネイルテーブルから外れることが防止される。すなわち、表示対象領域がサムネイルテーブルの左右の端近くに達しても、少なくとも、図6(b)の左右の端からwまたはw’の範囲が表示面21cに残るようになる。
【0113】
S122の処理の実行を終えると、CPU100は、次に表示モード選択処理を実行する(S123)。
【0114】
図9は、表示モード選択処理の手順を示すフローチャートである。
【0115】
まず、CPU100は、前回の表示モードが通常モード(m0=0)であるかスキャンモード(m0=1)であるかを判定する(S141)。
【0116】
前回の表示モードが通常モードである場合(S141:m0=0)、CPU100は、新たなスクロール速度v1の絶対値|v1|が所定値(vaとする)を超えるかどうかを判定する(S142)。|v1|>vaである場合(S142:YES)、CPU100は、表示モードがスキャンモードへ移行するよう、m1=1と設定する(S143)。|v1|≦vaである場合(S142:NO)、CPU100は、表示モードを変更しない。すなわち、CPU100は、m1=m0(この場合には、m1=0)と設定する(S144)。S143またはS144の処理を終えると、CPU100は、図9の表示モード選択処理を終了する。
【0117】
一方、前回の表示モードm0がスキャンモードである場合(S141:m0=1)は、CPU100は、新たなスクロール速度v1の絶対値|v1|が所定値(vbとする)以下であるかどうかを判定する(S145)。所定値vbは、例えば、0≦vb≦vaなる数値である。|v1|>vbである場合(S145:NO)、CPU100は、表示モードを変更しない。すなわち、CPU100は、m1=m0(この場合には、m1=1)と設定する(S144)。
【0118】
|v1|≦vbである場合(S145:YES)、CPU100は、次の判定処理S146へ進む。ステップS146において、CPU100は、現在のタッチ状態がタッチしている状態(f1=1)かリリースしている状態(f1=0)かを判定する。
【0119】
現在、タッチしている状態である場合(S146:f1=1)、CPU100は、表示モードを変更しないこととし、m1=m0(この場合には、m1=1)と設定する(S144)。現在、リリースした状態である場合(S146:f1=0)、CPU100は、表示モードを通常モードへ移行させるよう、m1=0と設定する(S147)。S147の処理が完了すると、図9の表示モード選択処理(S123)が完了するとともに、図7(b)の表示設定パラメータ更新処理(S105)が完了する。このようにして、図9の表示モード選択処理が実行される。
【0120】
図5(a)にもどり、S105の表示設定パラメータ更新処理が完了すると、CPU100は、次のステップS106の表示処理を実行する。CPU100は、以下のようにして、新たなに設定された表示設定パラメータにもとづいて、サムネイルテーブルのある領域を表示面21cに表示する処理を実行する。
【0121】
図10は、表示処理(S106)の手順を示すフローチャートである。
【0122】
CPU100は、まず、新たな表示モードが通常モード(m1=0)であるか、スキャンモード(m1=1)であるかを判別する(S151)。
【0123】
新たな表示モードが通常モードである場合(S151:m1=0)、CPU100は、ステップS152の処理を実行する。S152において、CPU100は、サムネイルテーブルの、横軸座標(p座標)がc1−w≦p≦c1+wである領域の画像を、表示面21cに表示させる。これは、S101における表示面21cへの表示処理と同様にして実行される。
【0124】
たとえば、c1=wの場合には、図3(a)に示す図のように、サムネイル01A〜05Cが表示される。また、たとえば、図4に示すp座標c2が新たなスクリーン中心座標に設定されている場合、すなわちc1=c2である場合には、図3(d)に示す図のように、サムネイル07A〜11Cが、表示面21cに表示される。
【0125】
新たな表示モードがスキャンモード(m1=1)である場合(S151:m1=1)、
CPU100は、ステップS153の処理を実行する。CPU100は、サムネイルテーブルの、横軸座標がc1−w´≦p≦c1+w´である領域の画像を、上述のように湾曲させた幅2wの新たな画像を、画像処理回路311に生成させる。そして、CPU100は、生成された画像を表示面21cに表示させる。このようにして、ステップS153の処理が実行される。
【0126】
たとえば、スキャンモードにおいて、図4に示すp座標c2が新たなスクリーン中心座標に設定されている、すなわちc1=c2である場合には、図3(c)に示す図のように、サムネイル06A〜12Cが、表示面21cに表示される。
【0127】
S152またはS153の処理が完了すると、CPU100は、図10の表示処理(図5(a)のS105)を終える。S105の表示処理を終えると、CPU100は、ループ処理の周期時間Δtが経過するまで待機する。Δt経過すると、CPU100は、タイマー304をリセットするとともに、S102の処理へ進む。このようにして、図5(a)のフローチャートに示す処理が実行される。
【0128】
このようにして、図5(a)の、サムネイルテーブルの表示およびスクロールのための処理が繰り返し実行される。この際、随時更新設定される表示モードに応じてサムネイルテーブルが表示される。
【0129】
さて、図5(a)の処理が実行されているとき、ユーザがタッチを全く行わない場合がある。例えば、初期表示処理S101が実行された後、タッチを全く行わない場合がある。このような場合、CPU100は、図3(a)の通りの表示(スクリーン中心座標w、スクロール速度0、表示モード0)を続ける。
【0130】
また、フリックに応じて、所定のスクロール速度v(|v|>vb)で、図3(b)に示すようにサムネイルテーブルがスキャンモードにてスクロール表示された後、ユーザがタッチを全く行わない場合もあり得る。このような場合、CPU100は、スクロール速度を徐々に減速するように設定しながら(S132)、スキャンモードにてスクロールを行うよう、図5(a)のループ処理S102〜S106を繰り返す。
【0131】
なお、このようにCPU100がループ処理S102〜S106を繰り返すと、いずれスクロール速度の絶対値|v|がvb以下となる。たとえば、図3(c)に示すようにサムネイルテーブルがスキャンモードにて表示されているときに|v|≦vbとなると、CPU100は、表示モードを通常モードへ移行させる(S147)。そして、CPU100は図3(d)に示すように、サムネイルテーブルを通常モードで表示する。
【0132】
ところで、上述のように、フリックに応じてCPU100がスキャンモードにてサムネイルテーブルをスクロール表示しているときに、ユーザが表示面21cをタッチする場合があり得る。この場合、CPU100は、スキャンモードのままサムネイルテーブルのスクロールを停止させる。その後、ユーザが表示面21cをタッチし続ける間、CPU100は、サムネイルテーブルを、スキャンモードにて表示させる(S146:f1=1)。また、ユーザがタッチを継続した状態でスライドを行うと、CPU100は、スキャンモードのままで、当該スライドに合わせてサムネイルテーブルを移動させる(S135、S136参照)。
【0133】
なお、通常モードにあるときに、所定値vaよりも遅い速度でユーザがスライドを行う場合があり得る。このような場合には、S142にてNOと判定されるため、CPU100は、通常モードにて、サムネイルテーブルをスクロールさせる。その後、スライドの速度がvaを超えると、CPU100は、表示モードをスキャンモードに変更し(S142
:YES)、サムネイルテーブルをスキャンモードにてスクロールさせる。
【0134】
ところで、ステップS106の表示処理が実行されるとき、スクリーン中心座標は、補正処理S122の実行により、0以上L以下の範囲に設定される。スクリーン中心座標が、たとえばLであるときには、表示処理S106において、サムネイルテーブルの右側境界が表示面21cに表示される。
【0135】
図11は、スクリーン中心座標がLであるときの、サムネイルテーブルの表示状態を模式的に示す図である。図11(a)は、スキャンモードにおける表示状態を示し、図11(b)は、通常モードにおける表示状態を示す。
【0136】
図11(a)および図11(b)に示すように、スクリーン中心座標がLである場合には、表示面21cの左側半分部分にのみ、サムネイルテーブルの一部が表示される。スキャンモードにおいては、図11(a)に示す通り、サムネイル17A〜Cの右側半分とサムネイル18A〜20Aとが、表示面21cの左側半分の領域に表示される。通常モードにおいては、図11(b)に示す通り、サムネイル18A〜Cの右側半分とサムネイル19A〜20Aとが、表示面21cの左側半分の領域に表示される。
【0137】
CPU100がサムネイルテーブルを表示面21cにおいて左側へ移動するようにスクロール表示させることによって、図11(a)の表示のように、スクリーン中心座標がLに設定される場合がある。この場合には、S122の補正処理によって、スクロール速度も0に設定される。したがって、このときユーザが表示面21cをリリースした状態である場合には、表示モードが通常モードへと変更される(S147)。すなわち、CPU100は、表示内容を、図11(b)に示す表示に変更する。
【0138】
以上、本実施の形態によれば、サムネイルテーブルがスクロールしているときに、スクロール速度が所定の速度を超えると、表示モードを通常モードからスキャンモードへ移行し、通常の表示(図3(a)参照)の場合よりも多くのサムネイルが表示される。
【0139】
このため、ユーザは、たとえば閲覧したい画像を探すために、サムネイルテーブルをスクロールさせたとき、一時により多くのサムネイルを視認することができ、所望のサムネイルをより簡便に見つけることができる。また、複数のサムネイル群の全体を参照しながら所望のサムネイル群を探したいときにも、このスキャンモードにおける表示がなされることにより、より多くのサムネイル群を一時に視認することができ、円滑に所望のサムネイル群を探すことができる。
【0140】
また、ユーザがタッチを長時間行わない場合やスクロール速度が小さい場合には、表示モードは通常モードへ自動的に変更される。このため、ユーザが、個々のサムネイルをよく確認する等のために、スクロール速度を低下させた場合には、自動的に適時通常モードによる表示がなされ、利便性が向上する。
【0141】
また、表示モードがスキャンモードであるときに、ユーザがタッチを行い、その後しばらく指先をタッチしたままの状態にする場合は、表示モードは通常モードへ移行しない。そのため、ユーザは、スキャンモードで表示されたサムネイルテーブルを見ながらスライドを行える。ユーザが通常モードでサムネイルを見たい場合には、指先を表示面21cからリリースするだけでよいため、便利である。
【0142】
さらに、本実施の形態では、スキャンモードにおいて、表示面21cの左右の端の近くに表示されるサムネイルは、中央付近に表示されるサムネイルに比べて大きい。したがって、ユーザは、サムネイルテーブルをスキャンモードにてスクロール表示させているとき
に、表示面21cに始めて表示されるサムネイルを通常モードにおける表示とそれほど差がない大きさで視認することができ、所望のサムネイルを円滑に探すことができる。
【0143】
<変更例1>
図12は、変更例1に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、図9の表示モード選択処理の手順を示すフローチャートの変更例である。図12のフローチャートは、図9のフローチャートからステップS146の処理を削除して得られるものである。
【0144】
CPU100は、ステップS145の処理において、スクロール速度v1の絶対値|v1|が所定値vb以下であると判定すると(S145:YES)、表示モードをスキャンモード(m=1)から通常モードへ変更する(m1=0)。このとき、ユーザがタッチを行っていたか否か(S145参照)にかかわらず、通常モードへ変更される。
【0145】
本変更例においても、サムネイルテーブルがスクロールしているときに、スクロール速度が所定の速度を超えると、表示モードが通常モードからスキャンモードへ移行され、通常の表示の場合よりも、より多くのサムネイルが表示される。
【0146】
さらに、本変更例では、表示モードが、スクロール速度に応じて変更される。このため、ユーザは、指先を表示面21cにタッチさせたままスライドを行う際、そのスライドの速度に応じて、自動的に表示モードが切り替えられる。すなわち、指先を停止させた場合には、サムネイルテーブルが自動的に通常モードで表示され、スライドさせた場合には、自動的にスキャンモードで表示される。
【0147】
<変更例2>
図13は変更例に係る、表示面への表示の例を示す図である。
【0148】
図13(a)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるサムネイルテーブルの表示内容を説明する図である。上記実施の形態では、表示モードがスキャンモードのときにサムネイルテーブルを表示する際に、サムネイルテーブルを、表示面21cの奥方向に向けて湾曲したように見える画像が表示面21cに表示された。しかし、スキャンモードにおいて表示面21cに表示される画像は、表示面21cの奥方向に湾曲して見える画像に限られる必要はない。本変更例では、図13(a)のように、表示面21cの手前方向に向けて湾曲させるようにした画像が生成され、この画像が、スキャンモード時に表示面21cに表示される。同図において、表示面21cには、通常モード時の1.4倍の、21のサムネイル01A〜07Cが表示される。
【0149】
本変更例においても、スキャンモード時により多くの画像をスクロール表示できる。
【0150】
<変更例3>
図13(b)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるサムネイルテーブルの表示内容を説明する図である。上記実施の形態では、スキャンモードのときに、サムネイルテーブルが湾曲したように見える画像が表示面21cに表示された。しかし、スキャンモードにおいて表示面21cに表示される画像は、湾曲して見える画像に限られる必要はない。本変更例では、図13(b)に示すように、サムネイルテーブルを湾曲させずに縮小した画像が表示面21cに表示される。同図において、表示面21cには、通常モード時の1.4倍の、21のサムネイル01A〜07Cが表示される。
【0151】
本変更例においても、スキャンモード時により多くのサムネイルをスクロールさせることができる。
【0152】
<変更例4>
図13(c)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるサムネイルテーブルの表示内容を説明する図である。本変更例において、サムネイルテーブルは、12行5列に配列された、60のサムネイル01A〜05Lによって形成される。上記実施の形態では、サムネイルテーブルのスクロールの方向は、図6(a)のx軸方向(横方向)であった。しかし、スクロールの方向はx軸方向に限られる必要はない。本変更例では、図13(c)のように、サムネイルテーブルがy軸方向(縦方向)にスクロールされる。すなわち、スキャンモードである場合、サムネイルテーブルが、図13(c)に示すように、y軸方向において湾曲した曲面に沿って遷移する。同図において、表示面21cには、通常モード時の4/3倍の、21のサムネイル01A〜05Dが表示される。
【0153】
本変更例においても、スキャンモード時により多くの画像をスクロール表示できる。
【0154】
<変更例5>
図13(d)は、本変更例に係る、スキャンモードにおけるアイコンの表示内容を説明する図である。本変更例の携帯電話機は、アプリケーションを起動するためのアイコン群を配列(本変更例では3行4列に配列)して表示する、いわゆるランチャ画面を表示させる機能を備える。ユーザは、所望のアイコンをタップすると、アイコンに対応したアプリケーションが起動される。アイコンが多数ある場合や、グループごとに分けて配置される場合、ユーザは、表示面21cをスライドすることによって、アイコン群を左右の方向にスクロール表示させ、所望のアプリケーションを見つけることができる。
【0155】
上記実施の形態では、サムネイルテーブルを2つの表示モードでスクロール表示させた。2つの表示モードを使い分けて表示する対象は、サムネイルテーブルに限られる必要はない。本変更例では、図13(d)に示すように、上記アイコン群をスクロール表示させる際に、上記実施の形態と同様にして表示面21cの奥方向に湾曲して見えるように、アイコン群が表示面21cに表示される。
【0156】
図示の通り、スキャンモードでは、通常モード時の1.25倍の、15(3行5列)のアイコンを表示する。
【0157】
本変更例においても、スキャンモード時により多くの画像をスクロール表示できる。よって、ユーザは、アイコン群をスクロール表示させることによって、所望のアプリケーションを簡便に見つけることができる。
【0158】
<その他>
上記実施の形態および変更例4では、スクロールの方向は縦方向または横方向であったが、スクロール方向はこれに限られる必要はない。例えば、2次元方向にスクロール可能に表示対象画像が表示されているときに、2つの表示モードを切り替えるようにしてもよい。この場合、スキャンモードにおいて表示面21cに表示される画像は、通常モードにおいて表示される表示対象画像の領域よりも広い領域を、表示面21cに合う大きさに縮小して表示すればよい。画像を生成する際、単純な縮小処理を行ってもよいし、これ以外に、たとえば、仮想3次元空間内において表示面21cの奥方向へ球面状(球面を球の内側から見たような形状)に湾曲させて3D画像を生成するようにしてもよい。また、スクロール方向が1次元であっても、スクロール方向は縦方向や横方向だけでなく斜め方向であってもよいし、またスクロール方向が一直線状でなく例えば円弧状に曲がっていてもよい。
【0159】
上記実施の形態および変更例では、画像のサムネイルやアプリケーションのアイコンな
どを、縦方向および横方向に整列配置させてスクロールさせた。サムネイルやアイコンなどは、このように配列される必要はない。たとえば、三角格子や6角格子を形成するようにこれらが配置されてもよい。また、非周期的な配列やランダムな配列等、他の配列が用いられてもよい。
【0160】
上記実施例では、表示モードの変更の判定処理は、スクロール速度に関する所定の閾値(vaおよびvb)ならびにタッチ状態に基づいて行われていた(図9参照)。しかし、表示モードの変更は、これらの要素にのみに基づいてなされる必要はない。たとえば、S145の判定処理において、|v1|≦vbを判定するかわりに、所定時間(たとえば数百ミリ秒)以上継続して|v1|≦vbの状態が満たされたか否かが判定されてもよい。このようにすることで、表示モードが頻繁に変更されることが抑制され、スクロール表示における視認性が向上する。
【0161】
上記実施形態では、表示モードの変更に応じて、適時2種類(通常モードおよびスキャンモード)の表示方法を切り替えながら、サムネイルテーブルが表示された。しかし、表示方法が切り替えられる際に、切換え過程が視覚的に連続的に見えるように、表示モードの変更処理が行われてもよい。すなわち、たとえば図3(c)に示すスキャンモードでの表示から図3(d)に示す通常モードでの表示へ移行する際に、図3(c)に示すサムネイルテーブルの湾曲よりも、ゆるやかに湾曲して見える画像を生成し、これを図3(d)に示すサムネイルテーブルを表示する前に表示するようにしてもよい。また、このような表示モードの遷移途中を表す画像を、湾曲の度合いが徐々にゆるやかになるように、複数生成し、これらを順次表示して、アニメーションのように表示を遷移させてもよい。
【0162】
上記実施の形態では、通常モード(m=0)とスキャンモード(m=1)の2種類の表示モードが設定された。しかし、表示モードは、2種類に限られる必要はない。例えば、スクロール速度に応じて複数の表示モード、例えば、m=0、0.25、0.5、0.75、1に対応する4の状態を持ち得るモードを扱うようにしてもよい。この場合、たとえば、表示されるサムネイルテーブルの湾曲の度合いを表示モードmの値に応じて変化させるようにすればよい。または、表示モードmの値は、上述のように離散的でなく、0以上1以下の連続的な値を取るようにしてもよい。
【0163】
上記実施の形態では、図7のS122において、スクロール速度およびスクリーン中心座標の補正処理が行われた。しかし、補正処理は、上述の内容に限られる必要はない。たとえば、スクリーン中心座標c1がサムネイルテーブルの左右の境界の近傍(例えば、c1<wまたはc1>L−w)にあるときに、さらなる補正処理を加えてもよい。たとえば、c1>L−wの場合、その時点のスクロール速度v1で慣性的なスクロールを継続すると、スクロール中心座標が上限値Lを超えてしまう場合が起こり得る。このようにスクロール中心座標が上限値Lを超えることがないように、スクリーン中心座標がLに到達する前にスクロールが停止する程度にv1を小さく補正してもよい。c1<wの場合も同様の補正が行われてもよい。このようにさらなる補正処理を行うことで、ユーザがたとえサムネイルテーブルの右辺の近傍が表示されている時にとても速いフリックを行ったとしても、CPU100は、サムネイルテーブルのスクロールをなめらかに減速させ停止させることができる。これにより、視認性を向上させることができる。
【0164】
上記実施の形態では、表示面21cにおけるタッチにもとづいて、スクロール表示がなされ、また、表示モードが適時変更された。ユーザが行う操作は表示面21cにおけるタッチに限られる必要はない。たとえば、ユーザがキー入力操作を介してスクロールのための操作を行うときに、本発明を適用してもよい。あるいは、他の入力装置、備えられたセンサ等を用いてサムネイルテーブル等の画像をスクロール表示させる処理がなされる際にも、通常モードとスキャンモードの、2つの表示モードの切り替えの処理を実行するよう
にしてもよい。
【0165】
上記実施の形態では、原画像を縮小したサムネイルからなるサムネイルテーブルが、通常モードおよびスキャンモードにてスクロール表示された。ここで、原画像は、写真、イラスト等の画像に限らず、より一般の電子文書が、所定のプログラムにより開かれたときに表示された画像(電子文書の画像)であってもよい。この場合、サムネイルテーブルは、当該電子文書の画像を縮小した画像(以下、「電子文書のサムネイル」と言う。)からなる。サムネイルテーブルが表示面21cに表示されているときに、一つの電子文書のサムネイルを選択する操作(タップ等)がなされると、CPU100は、選択された電子文書を開くために当該所定のプログラムを起動する。
【0166】
さらに、上記実施の形態では、いわゆるスライド式の携帯電話機に本発明が適用されている。しかしながら、これに限らず、いわゆる折り畳み式、ストレート型等、いかなるタイプの携帯電話機に本発明が適用されてもよい。
【0167】
さらに、本発明の携帯端末装置は、携帯電話機に限られず、PDA(PersonalDigital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等であってもよい。
【0168】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0169】
21 ディスプレイ(表示部)
22 タッチセンサ(受付部)
100 CPU(表示制御部)
サムネイル、アイコン(画像)
サムネイルテーブル(画像群)
アイコン群(画像群)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に表示される画像群を遷移させるための操作を受け付ける受付部と、
前記操作に基づいて前記表示部に表示される前記画像群が遷移するように前記表示部を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群を構成する画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記遷移の速度が所定速度に満たないときは、前記画像を縮小せずに前記画像群を遷移させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記画像群の遷移を行った後、前記画像群の遷移の速度を徐々に減速させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記減速により前記遷移の速度が所定速度に満たなくなったとき、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記受付部は、前記表示部に対する入力を検出し、
前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度によって、前記遷移の速度を変化させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度が所定速度を超えると、前記画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記表示部における表示の状態が前記画像を縮小した表示となった後、前記受付部に対する前記入力が継続していれば、前記入力の位置の移動速度に拘らず、前記画像を縮小した前記表示の状態を維持する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記入力の位置の移動速度が所定速度に満たなくなった状態で、前記受付部に対する前記入力が無くなると、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群が、3次元空間内に配
置され、前記画像群の移動方向に垂直な軸の周りに湾曲した、円筒状曲面に沿って移動して見えるよう、前記表示部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
前記画像は、アイコンを含む、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
前記画像は、電子文書のサムネイルを含む、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に表示される画像群を遷移させるための操作を受け付ける受付部と、
前記操作に基づいて前記表示部に表示される前記画像群が遷移するように前記表示部を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群を構成する画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記遷移の速度が所定速度に満たないときは、前記画像を縮小せずに前記画像群を遷移させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記画像群の遷移を行った後、前記画像群の遷移の速度を徐々に減速させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記減速により前記遷移の速度が所定速度に満たなくなったとき、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記受付部は、前記表示部に対する入力を検出し、
前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度によって、前記遷移の速度を変化させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記受付部に対する前記入力の位置の移動速度が所定速度を超えると、前記画像を縮小し、前記表示部に表示される前記画像の数を増加させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記表示部における表示の状態が前記画像を縮小した表示となった後、前記受付部に対する前記入力が継続していれば、前記入力の位置の移動速度に拘らず、前記画像を縮小した前記表示の状態を維持する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記入力の位置の移動速度が所定速度に満たなくなった状態で、前記受付部に対する前記入力が無くなると、縮小された前記画像を縮小される前の状態に復元させる、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
前記表示制御部は、前記画像群を遷移させるときに、前記画像群が、3次元空間内に配
置され、前記画像群の移動方向に垂直な軸の周りに湾曲した、円筒状曲面に沿って移動して見えるよう、前記表示部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
前記画像は、アイコンを含む、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
前記画像は、電子文書のサムネイルを含む、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−137822(P2012−137822A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287960(P2010−287960)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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