説明

携帯端末閲覧文書配信サーバ、携帯端末、及び携帯端末閲覧文書配信システム

【課題】表示領域の小さい携帯端末においてPC向け文書を効率よく閲覧させる。
【解決手段】サーバ1の重要部分抽出部17が文書の重要部分を抽出し、優先順位決定部18は抽出された重要部分の優先順位を決定する。閲覧制御情報生成部14は、抽出された重要部分の文書内の位置情報と重要部分の優先順位から、優先順位順に重要部分を閲覧させるための閲覧制御情報を生成する。フォーマット変換部13は元の文書ファイルを携帯電話で閲覧可能なフォーマットに変換し、入出力部11はこの変換された文書ファイルと閲覧制御情報を携帯電話20に送信する。携帯電話20は、受信した閲覧制御情報を閲覧制御情報解析部23において解析し、解析結果に基づいて受信した文書ファイルを優先順位順に重要部分を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末閲覧文書配信サーバ、携帯端末、及び携帯端末閲覧文書配信システムに係り、特に表示領域の小さい携帯端末においてPC向け文書を効率よく閲覧するための携帯端末閲覧文書配信サーバ、携帯端末、及び携帯端末閲覧文書配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業内に溢れる様々な情報は、文書のみならず画像、Webコンテンツなど多様化しており、日々増加している。これら企業内コンテンツを一元管理し企業活動の活性化、効率化を図るためのECM(Enterprise Content Management)ソリューションが普及しつつあるが、モバイル環境に適したソリューションがほとんどないのが実情である。
【0003】
また、携帯電話においてワープロソフトや表計算ソフトの文書ファイルの表示が可能になり、携帯電話を活用して出先で文書を参照することが可能となったが、PCサイズの文書ファイルを、PCに比べて表示領域が格段に小さい携帯電話の画面にそのまま表示するだけであるために、実用性に乏しいという問題がある。また、携帯電話等の携帯端末は、スペックの問題から情報の記憶量や処理量に一定の制約があるため、これらの文書を一度に表示することができない場合がある。
【0004】
このような課題に対する解決策として、特許文献1には、文書から重要部分を高速に自動抽出する技術が記載されている。この技術によれば、文書の情報量が多いために携帯電話等の比較的スペックに乏しい機器に今まで表示できなかった情報であっても、これをすばやく要約して表示することができる。
【特許文献1】特開2007−94838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、複数の要約文について、どのように表示するのかについての開示はされていない。また、要約文により元の文書の重要部分を把握することができるものの、元の文書が参照できないという欠点があった。本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、携帯電話等の携帯端末に対して文書の重要な部分から優先的に表示させる携帯端末閲覧文書配信サーバ、携帯端末、及び携帯端末閲覧文書配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために請求項1に記載の携帯端末閲覧文書配信サーバは、携帯端末で閲覧する文書内の重要部分を抽出する手段と、前記重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を生成する手段と、前記文書及び前記閲覧制御情報を携帯端末に送信する手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより、携帯電話等の携帯端末に対して文書の重要な部分から優先的に表示させることができ、効率よく文書を閲覧することができる。
【0008】
前記目的を達成するために請求項2に記載の携帯端末閲覧文書配信サーバは、携帯端末で閲覧する文書内の重要部分を抽出する手段と、前記文書から携帯端末閲覧用文書を生成する手段と、前記重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を生成する手段と、前記携帯端末閲覧用文書及び前記閲覧制御情報を携帯端末に送信する手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
これにより、携帯電話等の携帯端末に対して文書の重要な部分から優先的に表示させることができ、効率よく文書を閲覧することができる。
【0010】
請求項3に示すように請求項1又は2に記載の携帯端末閲覧文書配信サーバにおいて、前記重要部分に優先順位を付す手段を備え、前記閲覧制御情報は前記重要部分を前記優先順位順に閲覧するための閲覧制御情報を生成することを特徴とする。
【0011】
これにより、文書の重要部分を優先順位順に表示させることができる。
【0012】
請求項4に示すように請求項1から3のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバにおいて、前記文書内の重要部分を抽出する手段は、文書内で強調されている部分を重要部分として抽出することを特徴とする。
【0013】
これにより、文書内の重要部分を適切に抽出することができる。
【0014】
請求項5に示すように請求項1から4のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバにおいて、前記文書内の重要部分を抽出する手段は、文書をテキスト領域、画像領域、及び動画領域に分類し、画像領域及び動画領域を重要部分として抽出することを特徴とする。
【0015】
これにより、文書内の重要部分を適切に抽出することができる。
【0016】
請求項6に示すように請求項1から5のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバにおいて、前記文書内の重要部分を抽出する手段は、文書の領域毎の閲覧時間の累計を記憶する手段を備え、前記閲覧時間の累計が長い領域を重要部分として抽出することを特徴とする。
【0017】
これにより、文書内の重要部分を適切に抽出することができる。
【0018】
前記目的を達成するために請求項7に記載の携帯端末は、請求項1から6のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバから文書又は携帯端末閲覧用文書を受信するとともに、前記文書又は携帯端末閲覧用文書の重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を受信する手段と、前記閲覧制御情報に基づいて前記重要部分を表示する手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
これにより、受信した文書の重要な部分から優先的に表示することができ、効率よく文書を閲覧することができる。
【0020】
前記目的を達成するために請求項8に記載の携帯端末閲覧文書配信システムは、携帯端末で閲覧する文書内の重要部分を抽出する手段と、前記重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を生成する手段と、前記文書及び前記閲覧制御情報を携帯端末に送信する手段とを備えた携帯端末閲覧文書配信サーバと、前記文書及び前記閲覧制御情報を受信する手段と、前記閲覧制御情報に基づいて前記重要部分を表示する手段とを備えた携帯端末とから構成されていることを特徴とする。
【0021】
これにより、携帯電話等の携帯端末に対して文書の重要な部分から優先的に表示させることができ、効率よく文書を閲覧することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、携帯電話等の携帯機器に対して文書の重要な部分から優先的に表示させることにより、PC向け文書を効率よく閲覧することができる携帯端末閲覧文書配信サーバ、携帯端末、及び携帯端末閲覧文書配信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明が適用されたサーバ1及びサーバ1から送信された文書を表示する携帯電話20のブロック図である。サーバ1は、携帯電話向けのドキュメント配信サーバとなっており、入出力部11、参照用リスト作成部12、フォーマット変換部13、閲覧制御情報生成部14、文書管理テーブル15、文書データベース16、重要部分抽出部17、優先順位決定部18、及び文書検索部19から構成されている。またサーバ1と携帯電話20は通信ネットワークを介して接続することができ、これらの構成要素により、PCのワープロソフト等で作成されたPC向け文書を、携帯電話で閲覧するための携帯電話閲覧用文書に変換し、携帯電話に配信することが可能となっている。
【0025】
また、携帯電話20は、入出力部21、閲覧制御情報解析部22、表示部23、及び表示滞在時間計測部24等から構成されており、サーバ1から配信された携帯電話閲覧用文書の表示を行うことが可能となっている。
【0026】
図2は、サーバ1の文書変換処理及び配信処理を示すフローチャートである。
【0027】
文書データベース16にPC向け文書ファイルを登録する際、重要部分抽出部17が文書内から重要であると考えられる部分を抽出する(ステップS21)。次に、ステップS21において抽出した重要部分について、優先順位決定部18が優先順位を付ける(ステップS22)。
【0028】
重要部分抽出部17における重要部分の抽出、及び優先順位決定部18における優先順位の決定は、以下のアルゴリズムを用いて行う。
(1)強調されている部分(フォント、色、サイズ)を自動識別し、強調されている部分を重要部分と判断し、優先順位を高くする。例えば、ゴシックや太文字が含まれるテキスト領域、黒文字以外の色の文字を含むテキスト領域、フォントサイズが大きいテキスト領域の優先順位を高くする。
(2)文書をテキスト領域、画像領域、動画領域などに分類し、動画領域、画像領域を重要部分と判断し、優先順位を高くする。
【0029】
なお、重要部分の抽出と優先順位の決定は、手動で行ってもよい。
【0030】
上記のように抽出した重要部分の文書内の位置及びその優先順位を、元のPC向け文書ファイルに関連付けて登録する(ステップS23)。関連付けは、文書管理テーブル15により管理される。図3は、文書管理テーブル15のデータ構造を例示した図である。同図に示すように、1つの登録文書に対して「文書ID」、「ファイル名」、「種別」、「重要部分の位置」、「優先順位」、後述する「携帯電話閲覧用ファイルID」、及び「閲覧制御情報ID」という各フィールドのデータのまとまりが1件分のレコードを構成している。
【0031】
次に、フォーマット変換部13が、PC向け文書ファイルから携帯電話閲覧用文書ファイルを生成して記憶する(ステップS24)。一般に、PC向け文書ファイルは、その文書ファイルを作成したソフトウェアが必要となり、そのままでは携帯電話に表示させることができない。携帯電話閲覧用への変換方法としては、表示ドキュメントをそのまま画像に変換する、などの方法が知られている。また、PC向け文書ファイルに関連付けられた重要部分の文書内の位置及び優先順位に基づいて、重要部分を優先順位順に閲覧するための閲覧制御情報を生成し(ステップS25)、携帯電話閲覧用ファイルと閲覧制御情報を関連付けて登録する(ステップS26)。この携帯電話閲覧用ファイルと閲覧制御情報は、文書管理テーブル15により元のPC向け文書ファイルと関連づけて管理される。なお、閲覧制御情報には優先順位が無くてもよい。この場合の閲覧制御情報は、重要部分を文書の前の方から閲覧する情報とすればよい。
【0032】
次に、参照用リスト作成部12は、携帯電話閲覧用ファイルの文書名を携帯電話閲覧用ファイルリストに登録し(ステップS27)、さらにそれぞれの携帯電話閲覧用ファイルの重要部分を基に、外部から検索可能とするための文書探索用インデックスを生成する(ステップS28)。
【0033】
携帯電話20は、サーバ1に接続し、サーバ1に登録された文書の中から閲覧したい文書を指定することが可能である。入出力部11は、サーバ1にアクセスしてきた携帯電話20に対して、閲覧する文書を指定するための各種案内画面を提供し、また指定された文書のデータを携帯電話20に送信する。尚、入出力部11は、サーバ1にアクセスしてきたユーザに対して最初にパスワード等の入力を促し、そのユーザがアクセス権限を有するか否かのユーザ認証も行っている。そして、アクセス権限があると認証されたユーザのみが文書を閲覧することができるようになっている。
【0034】
閲覧したい文書の指定は、携帯電話20において検索クエリを発行し(ステップS29)、文書検索部19が文書探索用インデックスに記憶された重要部分を照合することにより該当する文書のリストを生成し、この文書のリストを入出力部11が携帯電話20に送信する(ステップS30)。携帯電話20においてこのリストの表示を行い、ユーザは閲覧したい文書を指定する(ステップS31)。なお、検索を行うのではなく、サーバ1が携帯電話閲覧用ファイルリストを携帯電話20に送信し、携帯電話20において携帯電話閲覧用ファイルリストの中から所望の文書を選択することにより文書の指定を行ってもよい。
【0035】
上記のように、携帯電話20から閲覧したい文書の指定を行うと、サーバ1は、指定された携帯電話閲覧用ファイル及びこのファイルの閲覧制御情報を携帯電話20に送信する(ステップS32)。
【0036】
携帯電話20は、入出力部21により、携帯電話閲覧用ファイル及びこのファイルの閲覧制御情報を受信する。受信した閲覧制御情報を閲覧制御情報解析部22により解析し、解析結果に基づいて、受信した携帯電話閲覧用ファイルを表示部23に表示する(ステップS33)。例えば、指定した文書IDが「1」であるとすると、図3に示すように、携帯電話20は、まず最初にこの文書における優先順位が1位である3ページ目の画像を表示する。この重要部分の閲覧を終了したユーザは、携帯電話20の操作部を操作することにより、次の重要部分を表示することが可能である。携帯電話20の操作部が操作されると、携帯電話20は、優先順位2位である1ページ目の12〜15行目の表示を行う。さらに携帯電話20の操作部が操作されると、次に優先順位3位である5ページ目の9〜11行目の表示を行う。
【0037】
全ての重要部分の表示が終了したら、携帯電話20は通常の文書表示を行う。また、所定の操作を行うことにより、重要部分を繰り返し表示してもよい。なお、携帯電話20は、表示滞在時間計測部24により、携帯電話閲覧用ファイルのどの部分がどのくらいの時間表示されていたかを計測することができる。計測した表示滞在時間及び表示部分のデータは入出力部21を介してサーバ1に送信され、サーバ1の重要部分抽出部17はこのデータを基にこの文書の重要部分をさらに抽出し、文書管理テーブル15を更新する。
【0038】
この表示滞在時間については、ユーザ別に表示滞在時間を集計してもよいし、複数のユーザの表示滞在時間の合計を集計してもよい。ユーザ別に集計する場合は、ユーザ別の重要部分を抽出することが可能となり、複数のユーザの合計を集計する場合は、初めてその文書を閲覧するユーザでも、多数の人が注視した部分を優先的に閲覧できる効果がある。
【0039】
本実施の形態では、携帯電話において表示を行う説明を行ったが、表示を行う携帯機器は携帯電話に限られるものではなく、PDAやデジタルカメラ等、表示部を備えた携帯機器であれば何でもよい。
【0040】
このように、文書の重要な部分から優先的に表示させることにより、表示領域が小さい携帯電話の画面においても、効率よく文書の閲覧を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、サーバ1及び携帯電話20のブロック図である。
【図2】図2は、サーバ1の文書変換処理及び配信処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、文書管理テーブル15のデータ構造を例示した図である。
【符号の説明】
【0042】
1…サーバ、11…入出力部、12…参照用リスト作成部、13…フォーマット変換部、14…閲覧制御情報生成部、15…文書管理テーブル、16…文書データベース、17…重要部分抽出部、18…優先順位決定部、19…文書検索部、20…携帯電話、21…入出力部、22…閲覧制御情報解析部、23…表示部、24…表示滞在時間計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末で閲覧する文書内の重要部分を抽出する手段と、
前記重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を生成する手段と、
前記文書及び前記閲覧制御情報を携帯端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末閲覧文書配信サーバ。
【請求項2】
携帯端末で閲覧する文書内の重要部分を抽出する手段と、
前記文書から携帯端末閲覧用文書を生成する手段と、
前記重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を生成する手段と、
前記携帯端末閲覧用文書及び前記閲覧制御情報を携帯端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末閲覧文書配信サーバ。
【請求項3】
前記重要部分に優先順位を付す手段を備え、前記閲覧制御情報は前記重要部分を前記優先順位順に閲覧するための閲覧制御情報を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末閲覧文書配信サーバ。
【請求項4】
前記文書内の重要部分を抽出する手段は、文書内で強調されている部分を重要部分として抽出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバ。
【請求項5】
前記文書内の重要部分を抽出する手段は、文書をテキスト領域、画像領域、及び動画領域に分類し、画像領域及び動画領域を重要部分として抽出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバ。
【請求項6】
前記文書内の重要部分を抽出する手段は、文書の領域毎の閲覧時間の累計を記憶する手段を備え、前記閲覧時間の累計が長い領域を重要部分として抽出することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の携帯端末閲覧文書配信サーバから文書又は携帯端末閲覧用文書を受信するとともに、前記文書又は携帯端末閲覧用文書の重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を受信する手段と、
前記閲覧制御情報に基づいて前記重要部分を表示する手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
携帯端末で閲覧する文書内の重要部分を抽出する手段と、
前記重要部分を閲覧するための閲覧制御情報を生成する手段と、
前記文書及び前記閲覧制御情報を携帯端末に送信する手段と、
を備えた携帯端末閲覧文書配信サーバと、
前記文書及び前記閲覧制御情報を受信する手段と、
前記閲覧制御情報に基づいて前記重要部分を表示する手段と、
を備えた携帯端末と、
から構成されていることを特徴とする携帯端末閲覧文書配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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