携帯端末
【課題】本発明は、データの表示・入力を行うタッチスクリーンを備え、タッチスクリーンを介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に合ったユーザインタフェースを提供することで、新たにセンサを追加せずにユーザの操作性を向上させることができる携帯端末を提供する。
【解決手段】データの表示及び入力を行うタッチスクリーンを備えるとともに、前記タッチスクリーンを介して斜線が入力されたときに、この斜線の入力経路を検出する検出手段(S103)と、入力経路に基づいてユーザの持ち手を設定する設定手段(S111、S113)と、持ち手に基づいて表示方法を決定して表示する表示制御手段と、を備えた。
【解決手段】データの表示及び入力を行うタッチスクリーンを備えるとともに、前記タッチスクリーンを介して斜線が入力されたときに、この斜線の入力経路を検出する検出手段(S103)と、入力経路に基づいてユーザの持ち手を設定する設定手段(S111、S113)と、持ち手に基づいて表示方法を決定して表示する表示制御手段と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの表示・入力を行うタッチスクリーンを備え、タッチスクリーンを介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に基づいて表示方法を決定する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末においては、デスクトップ・パーソナルコンピュータの場合とは異なり、携帯するために端末本体を小型化する必要がある。それに伴って、キー入力系の小型化と、一定の操作性の確保という相反する要求のバランスをとらなければならない。したがって、この種の携帯端末において、キー入力に際しての操作性を向上させる各種技術が開発されている。
【0003】
しかしながら、携帯端末の通常使用時には、どのユーザも同じキーの構成に従って操作を行うものであり、結局は各ユーザ側が携帯端末装置に適応して操作せざるを得なかった。利用者の手の大きさや端末装置を持つ位置等による指の可動範囲や、更には、操作する手が右手か左手かの違いによる指の可動範囲等は考慮されていなかった。このためユーザによっては端末装置を使いにくい場合もあるという問題があった。
【0004】
そこで、タッチパネル上に表示される操作キー群のレイアウトを、ユーザに応じて設定することができ、使い勝手を向上できる携帯端末装置が提案されている(特許文献1参照)。この携帯端末装置は、操作キー群を表示部に表示して、タッチパネルを介して入力操作するようにした携帯端末装置であって、タッチパネル上に線図を描くユーザ操作に基づいて表示部に表示する操作キー群の表示位置および範囲を決定し、その決定された表示位置および範囲に基づいて操作キー群を表示部4に表示するものである。
【特許文献1】特開2007−274136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチスクリーンを入出力インタフェースとした携帯端末を片手で保持しながら操作する場合、タッチスクリーンに指が届きにくい範囲があったり、操作している手でタッチスクリーンの表示が隠れてしまって見づらくなってしまうという問題があった。
【0006】
ユーザがタッチスクリーン上で描いた円形状線図により表示方法を決定する場合、円の始点位置や軌跡の回転方向がユーザの癖に依存するため、右手操作か左手操作かを判定することは困難である。また、円形状線図の中心(重心)位置はタッチスクーンの大きさに依存するため、ユーザが描いた円形状線図により右手操作か左手操作かを判定することは困難である。
【0007】
ユーザが円形状線図を描くとき、指関節は複雑に動作するため素早い操作には向いていない上、素早く入力した場合には入力範囲が実際に指が届く範囲よりも小さくなってしまうという問題もあった。また、円形状線図の入力は冗長であるため、入力に要する時間や判定時間が長くなってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みなされてものであり、データの表示・入力を行うタッチスクリーンを備え、タッチスクリーンを介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に合ったユーザインタフェースを提供することで、新たにセンサを追加せずにユーザの操作性を向上させることができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、データの表示及び入力を行うタッチスクリーンを備えるとともに、前記タッチスクリーンを介して斜線が入力されたときに、この斜線の入力経路を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された入力経路に基づいてユーザの持ち手を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された持ち手に基づいて表示方法を決定して表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る携帯端末によると、データの表示・入力を行うタッチスクリーンを備え、タッチスクリーンを介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に合ったユーザインタフェースを提供することで、新たなセンサを追加せずにユーザの操作性を向上させることが可能となる。具体的には、ユーザがタッチスクリーン上で斜線を描くという単純な操作で右手操作か左手操作かを判定するため、判定がユーザの癖に依存しにくく、また、操作する指の関節が動きやすい方向に素早く入力することが可能であるため、操作の入力時間が短く、判定も単純に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
本発明に係る携帯端末の第1実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。第1実施形態の携帯端末として、カード型に形成された携帯電話機1を例に挙げて説明する。図1は、携帯電話機1を示す斜視図である。
【0012】
携帯電話機1は、図1に示すように、矩形の板状の筐体11を備えている。筐体11の一方の面には、文字や画像等からなる画面を表示するとともに、指やペン等で触れることにより情報を入力するタッチスクリーン12と、音声を出力するためのスピーカ13と、音声を入力するためのマイクロフォン14と、携帯電話機1の電源のON/OFF状態を切り替えるための電源ボタン15とを備えている。
【0013】
タッチスクリーン12は、文字や画像等からなる画面を表示する表示機能、及び、指や専用のペンで画面に触れることで指示を入力する入力機能の双方の機能を備えたディスプレイである。タッチスクリーン12は、ディスプレイの上に、表面に接触を検知するための素子が複数配置され、さらにその上に透明なスクリーンが積層されることにより形成されている。また、タッチスクリーン12上での接触を感知する方法は、圧力の変化を感知する感圧式であっても、静電気による電気信号を感知する静電式、その他の方法であっても良い。
【0014】
次に、携帯電話機1の機能について、図2に示す機能ブロック図に基づいて説明する。携帯電話機1は、図2に示すように、主制御部20、電源回路部21、操作入力制御部22、表示制御部23、記憶部24、音声制御部25、通信制御部26、及び音声記憶装置27がバスによって相互に電気的に接続されて構成されている。
【0015】
主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)を具備し、携帯電話機1の総括的な制御を行うとともに、後述する表示制御処理や、その他様々な演算処理や制御処理等を行う。電源回路部21は、ユーザによる電源ボタン15を介した入力に基づいて電源のオン/オフ状態を切り替え、電源がオン状態の場合に内蔵されている電力供給源(バッテリ等)または外部に接続されている電力供給源から各部に対して電力を供給して、携帯電話機1を動作可能にする。
【0016】
入力制御部22はタッチスクリーン12に対する入力インタフェースを備え、例えばタッチスクリーン12にかかった圧力を検出して、この位置を示す信号を生成し、この信号を主制御部20に伝送する。表示制御部23はタッチスクリーン12に対する表示インタフェースを備え、主制御部20の制御に基づいて、文字や画像等を含んだ表示画面をタッチスクリーン12に表示する。
【0017】
記憶部24は、主制御部20が行う処理の処理プログラムや処理に必要なデータ等を格納するROM(Read Only Memory)やハードディスク、不揮発性メモリ、主制御部20が処理を行う際に使用されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置からなる。なお、主制御部20が行う表示制御処理に使用される処理プログラムやデータ等は、記憶部24に記憶されているものとする。
【0018】
音声制御部25は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン14により入力された音声からアナログ音声信号を生成し、このアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。また音声制御部25は、デジタル音声信号を取得すると、主制御部20の制御に基づいて、このデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、スピーカ13から音声として出力する。
【0019】
通信制御部26は、主制御部20の制御に基づいて、基地局からアンテナ26aを介して受信した受信信号をスペクトラム逆拡散処理してデータを復元する。このデータは、主制御部20の指示により、音声制御部25に伝送されてスピーカ13から出力されたり、表示制御部23に伝送されてタッチスクリーン12に表示されたり、または記憶部24に記憶されたりする。
【0020】
また通信制御部26は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン14を介して入力された音声信号やタッチスクリーン12を介して入力されたデータや記憶部24に記憶されたデータを取得すると、これらのデータに対してスペクトラム拡散処理を行い、基地局に対してアンテナ26aを介して送信する。
【0021】
ユーザが携帯電話機1を片手で保持した状態で操作するとき、その持ち手の親指でタッチスクリーン12を介した入力を行うのが一般的である。そして、その持ち手で操作できる領域には限界がある。そこで記憶部24は、ユーザが左手で携帯電話機1を保持した場合のタッチスクリーン12の画面上での操作可能な範囲、及び、ユーザが右手で携帯電話機1を保持した場合のタッチスクリーン12の画面上での操作可能な範囲を、予め記憶している。図3(A)及び図3(B)に、タッチスクリーン12を正面から見た図を示す。例えばユーザが左手で携帯電話機1を保持した場合は、左手で操作可能な範囲は、図3(A)に示す領域Aである。また、例えばユーザが右手で携帯電話機1を保持した場合は、右手で操作可能な範囲は、図3(B)に示す領域Bである。
【0022】
すなわち、ユーザが携帯電話機1を左手で保持した場合には、図4(A)に示すように、左手の親指を、付け根を軸にして回転させるようにして、正面視右下から左上に、または左上から右下に動かすのが自然な動作である。また、ユーザが携帯電話機1を右手で保持した場合には、図4(B)に示すように、右手の親指を、付け根を軸にして回転させるようにして、正面視左下から右上に、または右上から左下に動かすのが自然な動作である。
【0023】
ユーザが持ち手の親指でタッチスクリーン12上に入力する場合、親指の関節を動かしやすい方向を考慮すると、入力の始点(指でタッチスクリーン12に触れた位置)と終点(タッチスクリーン12上をなぞって指を移動した後に指を離した位置)までの移動経路が、タッチスクリーン12(筐体11)に対して斜線(弧)を描くような経路になり、この斜線の内部に入力するためのユーザインタフェースが備えられることが望ましい。
【0024】
また、図4(A)に示すように、例えばユーザが携帯電話機1を左手で保持した場合に、左手では、図3(A)に示す領域Aしか届かないため、図5(A)に示すように、タッチスクリーン12の領域A以外の範囲にズーム用スライダ30やスクロールバーが表示された場合に、ユーザは左手で携帯電話機1を保持した状態で、このズーム用スライダ30やスクロールバーを操作することができない。
【0025】
さらに、図4(A)に示すように、例えばユーザが携帯電話機1を左手で保持した場合に、図5(B)に示すように、タッチスクリーン12にポップアップメニュー31及びサブメニュー31aが表示された場合に、ユーザは左手で携帯電話機1を保持した状態で、左手の指先でこのサブメニュー31aを操作しようとすると、左手の付け根によりポップアップメニュー31が隠れてしまう恐れがある。
【0026】
一方で、図6に示すように、携帯電話機1は、タッチスクリーン12を介した入力が許可された操作許可状態から、例えば無操作状態が一定時間継続した際や所定のユーザ操作が入力された際に、タッチスクリーン12への表示やタッチスクリーン12を介した入力が禁止された状態である操作禁止状態に移行する。携帯電話機1が操作禁止状態にあるときに、ユーザが携帯電話機1を用いて何らかの操作をしようとした場合、操作禁止状態を解除しないと、この操作を行うことができない。これによって、ユーザは、携帯電話機1をポケットや鞄に入れて持ち運ぶときに、操作禁止状態に設定しておくことで誤操作が防止することができる。
【0027】
そして、携帯電話機1は、操作禁止状態であるときに、ユーザがタッチスクリーン12を介して操作禁止状態を解除する操作の入力を行うことに基づいて操作禁止状態が解除されて、携帯電話機1は通常の操作許可状態に復帰する。
【0028】
この操作禁止状態を解除するためのユーザ操作を携帯電話機1の持ち手の親指でタッチスクリーン12上に斜線を描くジェスチャーとする。この斜線の方向は操作画面の右上から左下方向(または左下から右上方向)であっても、左上から右下方向(または右下から左上方向)であっても良い。
【0029】
前述のとおり、タッチスクリーン12上に斜線を描くときに、携帯電話機1を左手で持っている場合には、左手の親指の付け根を軸にして回転させる方向(左上から右下方向または右下から左上方向)の斜線が描かれるのが自然であり、携帯電話機1を右手で持っている場合には、右手の親指の付け根を軸にして回転させる方向(右上から左下方向または左下から右上方向)の斜線が描かれるのが自然である。そこで、操作禁止状態を解除するためのユーザ操作に基づいて、ユーザが右手で操作しているのか左手で操作しているのかを判定することが可能である。
【0030】
つまり、操作禁止状態を解除するためにユーザがタッチスクリーン12に触れた後、図4(A)に示すように、右下から左上に、または左上から右下に滑らせるようにしてタッチスクリーン12が触れられた場合には、ユーザが携帯電話機1を左手で保持しているものと判断する。また同様に、図4(B)に示すように、左下から右上に、または右上から左下に滑らせるようにしてタッチスクリーン12が触れられた場合には、ユーザが携帯電話機1を右手で保持しているものと判断する。
【0031】
携帯電話機1がこのように、操作禁止状態からの復帰時にユーザの持ち手を判断して、持ち手に基づいた表示方法でタッチスクリーン12への表示を行う表示制御処理の手順について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、始めに携帯電話機1が操作禁止状態にあるものとする。以下、例えば「ステップS101」を「S101」のように、「ステップ」の語句を省略して説明する。
【0032】
携帯電話機1が操作禁止状態にあるとき、ユーザがタッチスクリーン12を触れることで、携帯電話機1を操作許可状態に移行することができる。すなわち携帯電話機1は、操作禁止状態においてタッチスクリーン12を介した入力を検知すると、図8に示すように、タッチスクリーン12に「解除するには画面を斜めになぞってください。」等のメッセージが表示された表示欄12aを表示する。ユーザは、携帯電話機1の操作禁止状態を解除する際、このメッセージに従い、画面を斜めになぞるようにして、タッチスクリーン12を介した入力を行う。
【0033】
そこでまず主制御部20は、タッチスクリーン12を介した入力があったか否かを判断する(S101)。入力がない場合(S101のNo)は、主制御部20は、タッチスクリーン12を介した入力があるまで、携帯電話機1の操作禁止状態を継続する。
【0034】
タッチスクリーン12を介した入力があった場合(S101のYes)は、主制御部20は、タッチスクリーン12における入力の移動経路を求める(S103)。タッチスクリーン12上における斜線の傾きの判定は、タッチスクリーン12にユーザの指が触れた位置(始点)と次にタッチスクリーン12から指が離れたときの位置(終点)の位置関係に基づいて判定することができる。このとき、例えば図9(A)に示すように、タッチスクリーン12の正面視左上の頂点を原点として、横軸右方向に+x、縦軸下方向に+yをとった座標系で考える。
【0035】
図9(B)に示すように、例えばユーザが指を右下から左上に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δx(Δx=x方向の終点−x方向の始点)は負に、y方向の移動量Δy(Δy=y方向の終点−y方向の始点)も負になる。また、例えばユーザが指を左上から右下に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δxは正に、y方向の移動量Δyも正になる。
【0036】
一方で、図9(C)に示すように、例えばユーザが指を左下から右上に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δxは正に、y方向の移動量Δyは負になる。また、例えばユーザが指を右上から左下に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δxは負に、y方向の移動量Δyは正になる。
【0037】
次に主制御部20は、タッチスクリーン12上での移動距離が所定値以上であるか否かを判断する(S105)。この際、ステップS103にて求めたx方向の移動量Δxとy方向の移動量Δyとに基づいて移動距離を算出する。そして、(Δx2+Δy2)が所定値より大きい場合に、移動距離が所定値以上であるものと判断する。これは、ユーザが携帯電話機1を操作不能状態から操作許可状態に移行させるためにタッチスクリーン12に触れた場合にのみ、携帯電話機1の操作を許可するための判断であり、ユーザの意図に反して、何かがタッチスクリーン12に触れてしまった場合等に、携帯電話機1への操作が入力されるのを防止する。
【0038】
タッチスクリーン12上での移動距離が所定値以上でなかった場合(S105のNo)は、携帯電話機1の操作を許可せず、操作禁止状態を継続させたままで表示制御処理を終了する。また、タッチスクリーン12上での移動距離が所定値以上であった場合(S105のYes)は、主制御部20は、携帯電話機1を操作禁止状態から操作許可状態に移行させる(S107)。これにより、ユーザは携帯電話機1を操作することができる。
【0039】
主制御部20は、ステップS101での入力が、左手で入力されたものか否かを判断する(S109)。この際、ステップS103にて求めたx方向の移動量Δxとy方向の移動量Δyとに基づいてユーザの持ち手を判断する。例えば、図9(B)に示すように、Δx及びΔyの双方が正または双方が負であった場合には、Δx×Δyが正となり、左手で入力されたものと判断される。また、図9(C)に示すように、Δx及びΔyの一方が正で他方が負であった場合には、Δx×Δyが負となり、右手で入力されたものと判断される。
【0040】
左手で入力されたものであった場合(S109のYes)は、主制御部20は、タッチスクリーン12を左手操作モードに設定する。左手操作モードとは、ユーザが携帯電話機1を左手で保持したときに使用勝手の良い表示インタフェースや入力インタフェースを提供するモードである。左手操作モードでは、例えば図10に示すように、タッチスクリーン12上にキーボードの入力手段を表示したものであるオンスクリーンキーボード32を、ユーザの指が届く範囲(図3(A)の領域A)に表示する。
【0041】
左手で入力されたものでなかった場合、すなわち右手で入力されたものであった場合(S109のYes)は、主制御部20は、タッチスクリーン12を右手操作モードに設定する。右手操作モードとは、ユーザが携帯電話機1を右手で保持したときに使用勝手の良い表示インタフェースや入力インタフェースを提供するモードである。右手操作モードでは、左手操作モードと同様に、タッチスクリーン12上にキーボードの入力手段を表示したものであるオンスクリーンキーボード32を、ユーザの指が届く範囲(図3(B)の領域B)に表示する。
【0042】
また、主制御部20は、タッチスクリーン12にスクロールバー33を表示するときに、左手操作モードであった場合、図11(A)に示すように、タッチスクリーン12の正面視左側にスクロールバー33を表示し、右手操作モードであった場合、図11(B)に示すように、タッチスクリーン12の正面視右側にスクロールバー33を表示する。これにより、ユーザは携帯電話機1を保持している手で、スクロールバー33を操作することができる。
【0043】
また、主制御部20は、タッチスクリーン12にズーム用スライダ34を表示するときに、左手操作モードであった場合、図12に示すように、タッチスクリーン12の正面視左側にズーム用スライダ34を表示し、右手操作モードであった場合、タッチスクリーン12の正面視右側にズーム用スライダ34を表示する。これにより、ユーザは携帯電話機1を保持している手で、ズーム用スライダ34を操作することができ、操作中の手で画面を隠さない。
【0044】
また、主制御部20は、タッチスクリーン12にメニュー35に加えてポップアップメニュー35aを表示するときに、左手操作モードであった場合、図13に示すように、まずタッチスクリーン12の正面視左側にメニュー35を表示し、さらに下位階層のメニュー(ポップアップメニュー35a)を表示するときには、メニュー35を左手で隠れない領域に移動させて表示して、ポップアップメニュー35をその左側に表示する。右手操作モードであった場合も同様に、まずタッチスクリーン12の正面視右側にメニュー35を表示し、さらにポップアップメニュー35aを表示するときには、メニュー35を右手で隠れない領域に移動させて表示して、ポップアップメニュー35をその右側に表示する。これにより、ユーザが携帯電話機1を保持している手でポップアップメニュー35aを操作する際、この手の指の付け根等によってメニュー35を覆ってしまってメニュー35が見えなくなることが防止される。
【0045】
このように携帯電話機1は、タッチスクリーン12上において、持ち手の親指を最も自然な動作で動かしたときの移動経路に基づいて、持ち手の判定を行うことで、持ち手に応じて最も使い勝手の良いユーザインタフェースを提供することができる。また、操作禁止解除の設定の操作時に持ち手の判定を行うことで、ユーザに判定されていることを意識させることなく自然な操作手順の中で持ち手を判定することができる。このとき、携帯電話機1の操作禁止状態を解除するために、ユーザがタッチスクリーン12を介した入力を行うときに、同時にユーザの持ち手の判定を行ってしまうことで、ユーザの持ち手の判断のためだけの独自の操作を行う手間を省くことができる。ユーザが携帯電話機1の操作禁止状態を解除するときには、ユーザが改めて携帯電話機1を持ち直した直後である可能性が高いため、持ち手の判定を行うタイミングに適している。
【0046】
なお、携帯電話機1のタッチスクリーン12に左手操作モードまたは右手操作モードが設定されている状態において、タッチスクリーン12において指が届かない領域が触れられた場合に、持ち手が切り替えられたものとして、左手操作モードまたは右手操作モードを切り替えるようにしても良い。具体的には、タッチスクリーン12が左手操作モードであるときに、図3(A)に示す領域A以外が触れられた場合に、携帯電話機1が右手に持ち替られたものと判断し、右手操作モードに切り替えたり、タッチスクリーン12が右手操作モードであるときに、図3(B)に示す領域B以外が触れられた場合に、携帯電話機1が左手に持ち替えられたものと判断し、左手操作モードに切り替えたりしても良い。
【0047】
また、ステップS109にて左手操作であるか右手操作であるかを判断するときに、図3(B)に示す領域B以外のみで入力が検出された場合に、左手で入力されたものと判定し、図3(A)に示す領域A以外のみで入力が検出された場合に、右手で入力されたものと判断するようにしても良い。
【0048】
本発明に係る携帯端末(携帯電話機1)によると、データの表示・入力を行うタッチスクリーン12を備え、このタッチスクリーン12を介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に合ったユーザインタフェースを提供することで、新たなセンサを追加せずにユーザの操作性を向上させることが可能となる。具体的には、ユーザがタッチスクリーン12上で斜線を描くという単純な操作で右手操作か左手操作かを判定するため、判定がユーザの癖に依存しにくく、また、操作する指の関節が動きやすい方向に素早く入力することが可能であるため、操作の入力時間が短く、判定も単純に行うことが可能になる。
【0049】
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限定されず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型音楽プレイヤー、携帯型ゲーム機等、タッチスクリーンを備えた携帯端末であれば任意の携帯端末で構わない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)を示す斜視図。
【図2】本発明にかかる携帯端末(携帯電話機)の機能ブロック図。
【図3】(A)は、持ち手が左手であった場合の操作可能な範囲を示す図、(B)は、持ち手が右手であった場合の操作可能な範囲を示す図。
【図4】(A)は、持ち手が左手であった場合の親指の移動経路を示す図、(B)は、持ち手が右手であった場合の親指の移動経路を示す図。
【図5】(A)は、持ち手が左手であったときに、スクロールバーが左手で届かない位置に表示された状態を示す図、(B)は、持ち手が左手であったときに、ポップアップメニューを操作する指によりメニューが隠れてしまった状態を示す図。
【図6】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)において、操作禁止状態から操作許可状態に、または操作許可状態から操作禁止状態に移行する条件を示す図。
【図7】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)が表示制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)が操作禁止状態にあるときに、タッチスクリーンへの入力があった際の表示画面を示す画面図。
【図9】(A)は、タッチスクリーンにおける座標系を示す図、(B)は、タッチスクリーンをユーザが左手で操作した場合の移動経路を示す図、(C)は、タッチスクリーンをユーザが右手で操作した場合の移動経路を示す図。
【図10】タッチスクリーンに表示されたオンスクリーンキーボードを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【図11】タッチスクリーンに表示されたスクロールバーを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【図12】タッチスクリーンに表示されたズーム用スライダを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【図13】タッチスクリーンに表示されたメニューまたはポップアップメニューを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【符号の説明】
【0051】
1…携帯電話機、11…筐体,12…タッチスクリーン,12a…表示欄,13…スピーカ,14…マイクロフォン,15…電源ボタン,20…主制御部,21…電源回路部,22…入力制御部,23…表示制御部,24…記憶部,25…音声制御部,26…通信制御部,26a…アンテナ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの表示・入力を行うタッチスクリーンを備え、タッチスクリーンを介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に基づいて表示方法を決定する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末においては、デスクトップ・パーソナルコンピュータの場合とは異なり、携帯するために端末本体を小型化する必要がある。それに伴って、キー入力系の小型化と、一定の操作性の確保という相反する要求のバランスをとらなければならない。したがって、この種の携帯端末において、キー入力に際しての操作性を向上させる各種技術が開発されている。
【0003】
しかしながら、携帯端末の通常使用時には、どのユーザも同じキーの構成に従って操作を行うものであり、結局は各ユーザ側が携帯端末装置に適応して操作せざるを得なかった。利用者の手の大きさや端末装置を持つ位置等による指の可動範囲や、更には、操作する手が右手か左手かの違いによる指の可動範囲等は考慮されていなかった。このためユーザによっては端末装置を使いにくい場合もあるという問題があった。
【0004】
そこで、タッチパネル上に表示される操作キー群のレイアウトを、ユーザに応じて設定することができ、使い勝手を向上できる携帯端末装置が提案されている(特許文献1参照)。この携帯端末装置は、操作キー群を表示部に表示して、タッチパネルを介して入力操作するようにした携帯端末装置であって、タッチパネル上に線図を描くユーザ操作に基づいて表示部に表示する操作キー群の表示位置および範囲を決定し、その決定された表示位置および範囲に基づいて操作キー群を表示部4に表示するものである。
【特許文献1】特開2007−274136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチスクリーンを入出力インタフェースとした携帯端末を片手で保持しながら操作する場合、タッチスクリーンに指が届きにくい範囲があったり、操作している手でタッチスクリーンの表示が隠れてしまって見づらくなってしまうという問題があった。
【0006】
ユーザがタッチスクリーン上で描いた円形状線図により表示方法を決定する場合、円の始点位置や軌跡の回転方向がユーザの癖に依存するため、右手操作か左手操作かを判定することは困難である。また、円形状線図の中心(重心)位置はタッチスクーンの大きさに依存するため、ユーザが描いた円形状線図により右手操作か左手操作かを判定することは困難である。
【0007】
ユーザが円形状線図を描くとき、指関節は複雑に動作するため素早い操作には向いていない上、素早く入力した場合には入力範囲が実際に指が届く範囲よりも小さくなってしまうという問題もあった。また、円形状線図の入力は冗長であるため、入力に要する時間や判定時間が長くなってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みなされてものであり、データの表示・入力を行うタッチスクリーンを備え、タッチスクリーンを介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に合ったユーザインタフェースを提供することで、新たにセンサを追加せずにユーザの操作性を向上させることができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、データの表示及び入力を行うタッチスクリーンを備えるとともに、前記タッチスクリーンを介して斜線が入力されたときに、この斜線の入力経路を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された入力経路に基づいてユーザの持ち手を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された持ち手に基づいて表示方法を決定して表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る携帯端末によると、データの表示・入力を行うタッチスクリーンを備え、タッチスクリーンを介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に合ったユーザインタフェースを提供することで、新たなセンサを追加せずにユーザの操作性を向上させることが可能となる。具体的には、ユーザがタッチスクリーン上で斜線を描くという単純な操作で右手操作か左手操作かを判定するため、判定がユーザの癖に依存しにくく、また、操作する指の関節が動きやすい方向に素早く入力することが可能であるため、操作の入力時間が短く、判定も単純に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
本発明に係る携帯端末の第1実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。第1実施形態の携帯端末として、カード型に形成された携帯電話機1を例に挙げて説明する。図1は、携帯電話機1を示す斜視図である。
【0012】
携帯電話機1は、図1に示すように、矩形の板状の筐体11を備えている。筐体11の一方の面には、文字や画像等からなる画面を表示するとともに、指やペン等で触れることにより情報を入力するタッチスクリーン12と、音声を出力するためのスピーカ13と、音声を入力するためのマイクロフォン14と、携帯電話機1の電源のON/OFF状態を切り替えるための電源ボタン15とを備えている。
【0013】
タッチスクリーン12は、文字や画像等からなる画面を表示する表示機能、及び、指や専用のペンで画面に触れることで指示を入力する入力機能の双方の機能を備えたディスプレイである。タッチスクリーン12は、ディスプレイの上に、表面に接触を検知するための素子が複数配置され、さらにその上に透明なスクリーンが積層されることにより形成されている。また、タッチスクリーン12上での接触を感知する方法は、圧力の変化を感知する感圧式であっても、静電気による電気信号を感知する静電式、その他の方法であっても良い。
【0014】
次に、携帯電話機1の機能について、図2に示す機能ブロック図に基づいて説明する。携帯電話機1は、図2に示すように、主制御部20、電源回路部21、操作入力制御部22、表示制御部23、記憶部24、音声制御部25、通信制御部26、及び音声記憶装置27がバスによって相互に電気的に接続されて構成されている。
【0015】
主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)を具備し、携帯電話機1の総括的な制御を行うとともに、後述する表示制御処理や、その他様々な演算処理や制御処理等を行う。電源回路部21は、ユーザによる電源ボタン15を介した入力に基づいて電源のオン/オフ状態を切り替え、電源がオン状態の場合に内蔵されている電力供給源(バッテリ等)または外部に接続されている電力供給源から各部に対して電力を供給して、携帯電話機1を動作可能にする。
【0016】
入力制御部22はタッチスクリーン12に対する入力インタフェースを備え、例えばタッチスクリーン12にかかった圧力を検出して、この位置を示す信号を生成し、この信号を主制御部20に伝送する。表示制御部23はタッチスクリーン12に対する表示インタフェースを備え、主制御部20の制御に基づいて、文字や画像等を含んだ表示画面をタッチスクリーン12に表示する。
【0017】
記憶部24は、主制御部20が行う処理の処理プログラムや処理に必要なデータ等を格納するROM(Read Only Memory)やハードディスク、不揮発性メモリ、主制御部20が処理を行う際に使用されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置からなる。なお、主制御部20が行う表示制御処理に使用される処理プログラムやデータ等は、記憶部24に記憶されているものとする。
【0018】
音声制御部25は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン14により入力された音声からアナログ音声信号を生成し、このアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。また音声制御部25は、デジタル音声信号を取得すると、主制御部20の制御に基づいて、このデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、スピーカ13から音声として出力する。
【0019】
通信制御部26は、主制御部20の制御に基づいて、基地局からアンテナ26aを介して受信した受信信号をスペクトラム逆拡散処理してデータを復元する。このデータは、主制御部20の指示により、音声制御部25に伝送されてスピーカ13から出力されたり、表示制御部23に伝送されてタッチスクリーン12に表示されたり、または記憶部24に記憶されたりする。
【0020】
また通信制御部26は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン14を介して入力された音声信号やタッチスクリーン12を介して入力されたデータや記憶部24に記憶されたデータを取得すると、これらのデータに対してスペクトラム拡散処理を行い、基地局に対してアンテナ26aを介して送信する。
【0021】
ユーザが携帯電話機1を片手で保持した状態で操作するとき、その持ち手の親指でタッチスクリーン12を介した入力を行うのが一般的である。そして、その持ち手で操作できる領域には限界がある。そこで記憶部24は、ユーザが左手で携帯電話機1を保持した場合のタッチスクリーン12の画面上での操作可能な範囲、及び、ユーザが右手で携帯電話機1を保持した場合のタッチスクリーン12の画面上での操作可能な範囲を、予め記憶している。図3(A)及び図3(B)に、タッチスクリーン12を正面から見た図を示す。例えばユーザが左手で携帯電話機1を保持した場合は、左手で操作可能な範囲は、図3(A)に示す領域Aである。また、例えばユーザが右手で携帯電話機1を保持した場合は、右手で操作可能な範囲は、図3(B)に示す領域Bである。
【0022】
すなわち、ユーザが携帯電話機1を左手で保持した場合には、図4(A)に示すように、左手の親指を、付け根を軸にして回転させるようにして、正面視右下から左上に、または左上から右下に動かすのが自然な動作である。また、ユーザが携帯電話機1を右手で保持した場合には、図4(B)に示すように、右手の親指を、付け根を軸にして回転させるようにして、正面視左下から右上に、または右上から左下に動かすのが自然な動作である。
【0023】
ユーザが持ち手の親指でタッチスクリーン12上に入力する場合、親指の関節を動かしやすい方向を考慮すると、入力の始点(指でタッチスクリーン12に触れた位置)と終点(タッチスクリーン12上をなぞって指を移動した後に指を離した位置)までの移動経路が、タッチスクリーン12(筐体11)に対して斜線(弧)を描くような経路になり、この斜線の内部に入力するためのユーザインタフェースが備えられることが望ましい。
【0024】
また、図4(A)に示すように、例えばユーザが携帯電話機1を左手で保持した場合に、左手では、図3(A)に示す領域Aしか届かないため、図5(A)に示すように、タッチスクリーン12の領域A以外の範囲にズーム用スライダ30やスクロールバーが表示された場合に、ユーザは左手で携帯電話機1を保持した状態で、このズーム用スライダ30やスクロールバーを操作することができない。
【0025】
さらに、図4(A)に示すように、例えばユーザが携帯電話機1を左手で保持した場合に、図5(B)に示すように、タッチスクリーン12にポップアップメニュー31及びサブメニュー31aが表示された場合に、ユーザは左手で携帯電話機1を保持した状態で、左手の指先でこのサブメニュー31aを操作しようとすると、左手の付け根によりポップアップメニュー31が隠れてしまう恐れがある。
【0026】
一方で、図6に示すように、携帯電話機1は、タッチスクリーン12を介した入力が許可された操作許可状態から、例えば無操作状態が一定時間継続した際や所定のユーザ操作が入力された際に、タッチスクリーン12への表示やタッチスクリーン12を介した入力が禁止された状態である操作禁止状態に移行する。携帯電話機1が操作禁止状態にあるときに、ユーザが携帯電話機1を用いて何らかの操作をしようとした場合、操作禁止状態を解除しないと、この操作を行うことができない。これによって、ユーザは、携帯電話機1をポケットや鞄に入れて持ち運ぶときに、操作禁止状態に設定しておくことで誤操作が防止することができる。
【0027】
そして、携帯電話機1は、操作禁止状態であるときに、ユーザがタッチスクリーン12を介して操作禁止状態を解除する操作の入力を行うことに基づいて操作禁止状態が解除されて、携帯電話機1は通常の操作許可状態に復帰する。
【0028】
この操作禁止状態を解除するためのユーザ操作を携帯電話機1の持ち手の親指でタッチスクリーン12上に斜線を描くジェスチャーとする。この斜線の方向は操作画面の右上から左下方向(または左下から右上方向)であっても、左上から右下方向(または右下から左上方向)であっても良い。
【0029】
前述のとおり、タッチスクリーン12上に斜線を描くときに、携帯電話機1を左手で持っている場合には、左手の親指の付け根を軸にして回転させる方向(左上から右下方向または右下から左上方向)の斜線が描かれるのが自然であり、携帯電話機1を右手で持っている場合には、右手の親指の付け根を軸にして回転させる方向(右上から左下方向または左下から右上方向)の斜線が描かれるのが自然である。そこで、操作禁止状態を解除するためのユーザ操作に基づいて、ユーザが右手で操作しているのか左手で操作しているのかを判定することが可能である。
【0030】
つまり、操作禁止状態を解除するためにユーザがタッチスクリーン12に触れた後、図4(A)に示すように、右下から左上に、または左上から右下に滑らせるようにしてタッチスクリーン12が触れられた場合には、ユーザが携帯電話機1を左手で保持しているものと判断する。また同様に、図4(B)に示すように、左下から右上に、または右上から左下に滑らせるようにしてタッチスクリーン12が触れられた場合には、ユーザが携帯電話機1を右手で保持しているものと判断する。
【0031】
携帯電話機1がこのように、操作禁止状態からの復帰時にユーザの持ち手を判断して、持ち手に基づいた表示方法でタッチスクリーン12への表示を行う表示制御処理の手順について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、始めに携帯電話機1が操作禁止状態にあるものとする。以下、例えば「ステップS101」を「S101」のように、「ステップ」の語句を省略して説明する。
【0032】
携帯電話機1が操作禁止状態にあるとき、ユーザがタッチスクリーン12を触れることで、携帯電話機1を操作許可状態に移行することができる。すなわち携帯電話機1は、操作禁止状態においてタッチスクリーン12を介した入力を検知すると、図8に示すように、タッチスクリーン12に「解除するには画面を斜めになぞってください。」等のメッセージが表示された表示欄12aを表示する。ユーザは、携帯電話機1の操作禁止状態を解除する際、このメッセージに従い、画面を斜めになぞるようにして、タッチスクリーン12を介した入力を行う。
【0033】
そこでまず主制御部20は、タッチスクリーン12を介した入力があったか否かを判断する(S101)。入力がない場合(S101のNo)は、主制御部20は、タッチスクリーン12を介した入力があるまで、携帯電話機1の操作禁止状態を継続する。
【0034】
タッチスクリーン12を介した入力があった場合(S101のYes)は、主制御部20は、タッチスクリーン12における入力の移動経路を求める(S103)。タッチスクリーン12上における斜線の傾きの判定は、タッチスクリーン12にユーザの指が触れた位置(始点)と次にタッチスクリーン12から指が離れたときの位置(終点)の位置関係に基づいて判定することができる。このとき、例えば図9(A)に示すように、タッチスクリーン12の正面視左上の頂点を原点として、横軸右方向に+x、縦軸下方向に+yをとった座標系で考える。
【0035】
図9(B)に示すように、例えばユーザが指を右下から左上に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δx(Δx=x方向の終点−x方向の始点)は負に、y方向の移動量Δy(Δy=y方向の終点−y方向の始点)も負になる。また、例えばユーザが指を左上から右下に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δxは正に、y方向の移動量Δyも正になる。
【0036】
一方で、図9(C)に示すように、例えばユーザが指を左下から右上に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δxは正に、y方向の移動量Δyは負になる。また、例えばユーザが指を右上から左下に向けて移動させるようにしてタッチスクリーン12に触れたときには、x方向の移動量Δxは負に、y方向の移動量Δyは正になる。
【0037】
次に主制御部20は、タッチスクリーン12上での移動距離が所定値以上であるか否かを判断する(S105)。この際、ステップS103にて求めたx方向の移動量Δxとy方向の移動量Δyとに基づいて移動距離を算出する。そして、(Δx2+Δy2)が所定値より大きい場合に、移動距離が所定値以上であるものと判断する。これは、ユーザが携帯電話機1を操作不能状態から操作許可状態に移行させるためにタッチスクリーン12に触れた場合にのみ、携帯電話機1の操作を許可するための判断であり、ユーザの意図に反して、何かがタッチスクリーン12に触れてしまった場合等に、携帯電話機1への操作が入力されるのを防止する。
【0038】
タッチスクリーン12上での移動距離が所定値以上でなかった場合(S105のNo)は、携帯電話機1の操作を許可せず、操作禁止状態を継続させたままで表示制御処理を終了する。また、タッチスクリーン12上での移動距離が所定値以上であった場合(S105のYes)は、主制御部20は、携帯電話機1を操作禁止状態から操作許可状態に移行させる(S107)。これにより、ユーザは携帯電話機1を操作することができる。
【0039】
主制御部20は、ステップS101での入力が、左手で入力されたものか否かを判断する(S109)。この際、ステップS103にて求めたx方向の移動量Δxとy方向の移動量Δyとに基づいてユーザの持ち手を判断する。例えば、図9(B)に示すように、Δx及びΔyの双方が正または双方が負であった場合には、Δx×Δyが正となり、左手で入力されたものと判断される。また、図9(C)に示すように、Δx及びΔyの一方が正で他方が負であった場合には、Δx×Δyが負となり、右手で入力されたものと判断される。
【0040】
左手で入力されたものであった場合(S109のYes)は、主制御部20は、タッチスクリーン12を左手操作モードに設定する。左手操作モードとは、ユーザが携帯電話機1を左手で保持したときに使用勝手の良い表示インタフェースや入力インタフェースを提供するモードである。左手操作モードでは、例えば図10に示すように、タッチスクリーン12上にキーボードの入力手段を表示したものであるオンスクリーンキーボード32を、ユーザの指が届く範囲(図3(A)の領域A)に表示する。
【0041】
左手で入力されたものでなかった場合、すなわち右手で入力されたものであった場合(S109のYes)は、主制御部20は、タッチスクリーン12を右手操作モードに設定する。右手操作モードとは、ユーザが携帯電話機1を右手で保持したときに使用勝手の良い表示インタフェースや入力インタフェースを提供するモードである。右手操作モードでは、左手操作モードと同様に、タッチスクリーン12上にキーボードの入力手段を表示したものであるオンスクリーンキーボード32を、ユーザの指が届く範囲(図3(B)の領域B)に表示する。
【0042】
また、主制御部20は、タッチスクリーン12にスクロールバー33を表示するときに、左手操作モードであった場合、図11(A)に示すように、タッチスクリーン12の正面視左側にスクロールバー33を表示し、右手操作モードであった場合、図11(B)に示すように、タッチスクリーン12の正面視右側にスクロールバー33を表示する。これにより、ユーザは携帯電話機1を保持している手で、スクロールバー33を操作することができる。
【0043】
また、主制御部20は、タッチスクリーン12にズーム用スライダ34を表示するときに、左手操作モードであった場合、図12に示すように、タッチスクリーン12の正面視左側にズーム用スライダ34を表示し、右手操作モードであった場合、タッチスクリーン12の正面視右側にズーム用スライダ34を表示する。これにより、ユーザは携帯電話機1を保持している手で、ズーム用スライダ34を操作することができ、操作中の手で画面を隠さない。
【0044】
また、主制御部20は、タッチスクリーン12にメニュー35に加えてポップアップメニュー35aを表示するときに、左手操作モードであった場合、図13に示すように、まずタッチスクリーン12の正面視左側にメニュー35を表示し、さらに下位階層のメニュー(ポップアップメニュー35a)を表示するときには、メニュー35を左手で隠れない領域に移動させて表示して、ポップアップメニュー35をその左側に表示する。右手操作モードであった場合も同様に、まずタッチスクリーン12の正面視右側にメニュー35を表示し、さらにポップアップメニュー35aを表示するときには、メニュー35を右手で隠れない領域に移動させて表示して、ポップアップメニュー35をその右側に表示する。これにより、ユーザが携帯電話機1を保持している手でポップアップメニュー35aを操作する際、この手の指の付け根等によってメニュー35を覆ってしまってメニュー35が見えなくなることが防止される。
【0045】
このように携帯電話機1は、タッチスクリーン12上において、持ち手の親指を最も自然な動作で動かしたときの移動経路に基づいて、持ち手の判定を行うことで、持ち手に応じて最も使い勝手の良いユーザインタフェースを提供することができる。また、操作禁止解除の設定の操作時に持ち手の判定を行うことで、ユーザに判定されていることを意識させることなく自然な操作手順の中で持ち手を判定することができる。このとき、携帯電話機1の操作禁止状態を解除するために、ユーザがタッチスクリーン12を介した入力を行うときに、同時にユーザの持ち手の判定を行ってしまうことで、ユーザの持ち手の判断のためだけの独自の操作を行う手間を省くことができる。ユーザが携帯電話機1の操作禁止状態を解除するときには、ユーザが改めて携帯電話機1を持ち直した直後である可能性が高いため、持ち手の判定を行うタイミングに適している。
【0046】
なお、携帯電話機1のタッチスクリーン12に左手操作モードまたは右手操作モードが設定されている状態において、タッチスクリーン12において指が届かない領域が触れられた場合に、持ち手が切り替えられたものとして、左手操作モードまたは右手操作モードを切り替えるようにしても良い。具体的には、タッチスクリーン12が左手操作モードであるときに、図3(A)に示す領域A以外が触れられた場合に、携帯電話機1が右手に持ち替られたものと判断し、右手操作モードに切り替えたり、タッチスクリーン12が右手操作モードであるときに、図3(B)に示す領域B以外が触れられた場合に、携帯電話機1が左手に持ち替えられたものと判断し、左手操作モードに切り替えたりしても良い。
【0047】
また、ステップS109にて左手操作であるか右手操作であるかを判断するときに、図3(B)に示す領域B以外のみで入力が検出された場合に、左手で入力されたものと判定し、図3(A)に示す領域A以外のみで入力が検出された場合に、右手で入力されたものと判断するようにしても良い。
【0048】
本発明に係る携帯端末(携帯電話機1)によると、データの表示・入力を行うタッチスクリーン12を備え、このタッチスクリーン12を介した入力に基づいてユーザの持ち手を判断し、持ち手に合ったユーザインタフェースを提供することで、新たなセンサを追加せずにユーザの操作性を向上させることが可能となる。具体的には、ユーザがタッチスクリーン12上で斜線を描くという単純な操作で右手操作か左手操作かを判定するため、判定がユーザの癖に依存しにくく、また、操作する指の関節が動きやすい方向に素早く入力することが可能であるため、操作の入力時間が短く、判定も単純に行うことが可能になる。
【0049】
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限定されず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型音楽プレイヤー、携帯型ゲーム機等、タッチスクリーンを備えた携帯端末であれば任意の携帯端末で構わない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)を示す斜視図。
【図2】本発明にかかる携帯端末(携帯電話機)の機能ブロック図。
【図3】(A)は、持ち手が左手であった場合の操作可能な範囲を示す図、(B)は、持ち手が右手であった場合の操作可能な範囲を示す図。
【図4】(A)は、持ち手が左手であった場合の親指の移動経路を示す図、(B)は、持ち手が右手であった場合の親指の移動経路を示す図。
【図5】(A)は、持ち手が左手であったときに、スクロールバーが左手で届かない位置に表示された状態を示す図、(B)は、持ち手が左手であったときに、ポップアップメニューを操作する指によりメニューが隠れてしまった状態を示す図。
【図6】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)において、操作禁止状態から操作許可状態に、または操作許可状態から操作禁止状態に移行する条件を示す図。
【図7】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)が表示制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)が操作禁止状態にあるときに、タッチスクリーンへの入力があった際の表示画面を示す画面図。
【図9】(A)は、タッチスクリーンにおける座標系を示す図、(B)は、タッチスクリーンをユーザが左手で操作した場合の移動経路を示す図、(C)は、タッチスクリーンをユーザが右手で操作した場合の移動経路を示す図。
【図10】タッチスクリーンに表示されたオンスクリーンキーボードを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【図11】タッチスクリーンに表示されたスクロールバーを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【図12】タッチスクリーンに表示されたズーム用スライダを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【図13】タッチスクリーンに表示されたメニューまたはポップアップメニューを、ユーザが左手で操作している状態を示す図。
【符号の説明】
【0051】
1…携帯電話機、11…筐体,12…タッチスクリーン,12a…表示欄,13…スピーカ,14…マイクロフォン,15…電源ボタン,20…主制御部,21…電源回路部,22…入力制御部,23…表示制御部,24…記憶部,25…音声制御部,26…通信制御部,26a…アンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの表示及び入力を行うタッチスクリーンを備えるとともに、
前記タッチスクリーンを介して斜線が入力されたときに、この斜線の入力経路を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された入力経路に基づいてユーザの持ち手を判定し、ユーザの持ち手に応じたモードを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定されたモードに基づいてユーザインタフェースの表示方法を決定して表示する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
携帯端末が操作禁止状態にあるときに、前記タッチスクリーンを介して入力された斜線を描く操作に基づいて携帯端末を操作許可状態に移行させる操作禁止解除手段を備え、
前記検出手段は、前記操作禁止解除手段により操作許可状態に移行するために入力された斜線の入力経路を検出することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記操作禁止解除手段は、前記タッチスクリーンを介して入力された斜線の長さが所定値以上であった場合、携帯端末を操作許可状態に移行させることを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
持ち手が右手であった場合、持ち手が左手であった場合のそれぞれについて、前記タッチスクリーン上の操作可能な範囲を記憶する記憶手段を備え、
前記設定手段は、前記検出手段により検出された入力経路と、前記記憶手段により記憶された操作可能な範囲に基づいて、モードを設定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
前記設定手段は、前記検出手段により検出された入力経路の始点と終点の位置に基づいて、表示方法を決定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記設定手段により設定されたモードに基づいて、入力のためのユーザインタフェースの表示位置を決定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項1】
データの表示及び入力を行うタッチスクリーンを備えるとともに、
前記タッチスクリーンを介して斜線が入力されたときに、この斜線の入力経路を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された入力経路に基づいてユーザの持ち手を判定し、ユーザの持ち手に応じたモードを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定されたモードに基づいてユーザインタフェースの表示方法を決定して表示する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
携帯端末が操作禁止状態にあるときに、前記タッチスクリーンを介して入力された斜線を描く操作に基づいて携帯端末を操作許可状態に移行させる操作禁止解除手段を備え、
前記検出手段は、前記操作禁止解除手段により操作許可状態に移行するために入力された斜線の入力経路を検出することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記操作禁止解除手段は、前記タッチスクリーンを介して入力された斜線の長さが所定値以上であった場合、携帯端末を操作許可状態に移行させることを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
持ち手が右手であった場合、持ち手が左手であった場合のそれぞれについて、前記タッチスクリーン上の操作可能な範囲を記憶する記憶手段を備え、
前記設定手段は、前記検出手段により検出された入力経路と、前記記憶手段により記憶された操作可能な範囲に基づいて、モードを設定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
前記設定手段は、前記検出手段により検出された入力経路の始点と終点の位置に基づいて、表示方法を決定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記設定手段により設定されたモードに基づいて、入力のためのユーザインタフェースの表示位置を決定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−294725(P2009−294725A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145017(P2008−145017)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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