説明

携帯端末

【課題】ユーザがレシーバに耳を当てて加圧した場合や、筐体を手指で加圧した場合等により、筐体が加圧されて筐体が変形した場合に、軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑える。
【解決手段】携帯端末10は、筐体11と第2の基板22とを備える。筐体11は、第2の基板22を支える受けリブ11Eを有し、第2の基板22は、少なくとも受けリブ11Eで支持される部分は、表面にソルダーレジスト21Fを有せず、銅箔層22E又は金メッキ22Gされた銅箔層22Eで覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を備える携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末は、携帯して使用されるため、重さを携帯しやすい範囲内にとどめつつ、機械的強度を確保するニーズがある。また、携帯端末は、キーボタンが押下される場合、タッチパネルが操作される場合、通話時等にユーザの頭部に筐体が押し付けられる場合などがある。このような場合に、ユーザの指や頭部等により筐体が加圧される結果、筐体がわずかに変形する。そして、筐体が変形すると、基板(回路基板)に実装された回路部品に応力が加わる。このような場合にも機械的強度を確保して動作不良を起こしにくくする必要がある。
【0003】
そこで、筐体に設けた受けリブで、基板を支持することにより、筐体が変形しても、基板に実装された回路部品に加わる応力を緩和して、動作不良を起こしにくくした携帯端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−283176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、筐体が加圧されて筐体が変形すると、受けリブと基板とが密着した状態からすべり現象が生じた場合に、キュッキュッというような軋み音が発生する場合がある。図18、図19(a)〜(c)を用いて、このような軋み音が発生するメカニズムを説明する。図18は、物体に加える力(横軸)と摩擦力(縦軸)との関係を示す図である。図19(a)に示すように、ユーザがレシーバに耳を当てて加圧した場合(図中、矢印A)や、筐体を手指で加圧した場合(図中、矢印B)、筐体がわずかに変形する。すると、加圧される圧力がある閾値以下の場合は、筐体の内側の受けリブは、内蔵している基板に密着したままでいる(図18の左側、図19(b)参照)。しかし、加圧される圧力がある閾値を越えると、すべり現象が発生し、キュッキュッと不快な軋み音が発生する(図18の右側、図19(c)参照)。軋み音が起こる原因は、このような固着とすべりの現象による。すなわち、静止摩擦から動摩擦に移る際に放出されるエネルギー(摩擦振動)が可聴範囲の音となって伝送するのが軋み音である。
そこで、従来の基板面の軋み音対策としては、基板の受けリブへの潤滑材塗布や潤滑性の良いシート貼付が知られている。しかしこのような対策では、部品点数が増加したり、組立工数が増加するという課題があった。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザがレシーバに耳を当てて加圧した場合や、筐体を手指で加圧した場合等により、筐体が加圧されて筐体が変形した場合に、部品点数や組立工数を増加させずに、軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができる携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の携帯端末は、筐体と基板とを備える携帯端末であって、前記筐体は、前記基板を支えるリブを有し、前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジストを有せず、銅箔層又は金メッキされた銅箔層で覆われるようにしたものである。
【0008】
また、本発明の携帯端末は、筐体と基板とを備える携帯端末であって、前記筐体は、前記基板を支えるリブを有し、前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジスト、銅箔層又は金メッキされた銅箔層を有せず、エポキシ系樹脂製の基板本体が露出するようにしたものである。
【0009】
また、本発明の携帯端末は、基板と前記基板を支えるリブとを備える携帯端末であって、前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジストを有せず、銅箔層又は金メッキされた銅箔層で覆われるようにしたものである。
【0010】
また、本発明の携帯端末は、基板と前記基板を支えるリブとを備える携帯端末であって、前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジスト、銅箔層又は金メッキされた銅箔層を有せず、エポキシ系樹脂製の基板本体が露出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の携帯端末によれば、ユーザがレシーバに耳を当てて加圧した場合や、筐体を手指で加圧した場合等により、筐体が加圧されて筐体が変形した場合に、部品点数や組立工数を増加させずに、軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る携帯端末を使用状態(開状態)とした状態を示す斜視図
【図2】図1の携帯端末を示す分解斜視図
【図3】図1の第1筐体に第1の基部および第2の基部を収容した状態を示す斜視図
【図4】図2の弾性部材を前面側から見た状態を示す斜視図
【図5】図2の弾性部材を背面側から見た状態を示す斜視図
【図6】図3のI−I線断面図
【図7】図3のII−II線断面図
【図8】本発明に係る第1筐体に弾性部材および第1の基板を組み付ける手順を説明する斜視図
【図9】本発明に係る第1筐体に弾性部材および第1の基板を組み付けた状態を示す斜視図
【図10】本発明に係る第1筐体に第1の基板を組み付ける手順を説明する斜視図
【図11】本発明に係る第1筐体に第1の基板および第2の基板を組み付けた状態を示す斜視図
【図12】第2の基板が受けリブで支持される部分の断面図
【図13】第2の基板が受けリブで支持される部分の断面図
【図14】第2の基板が受けリブで支持される部分の断面図
【図15】第2の基板が受けリブで支持される部分の断面図
【図16】第2の基板が受けリブで支持される部分の断面図
【図17】本発明の変形例を説明する図
【図18】軋み音が発生するメカニズムを説明する図
【図19】軋み音が発生するメカニズムを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る携帯端末について図面を参照して説明する。
【0014】
最初に概要を説明する。本発明の実施形態である携帯端末10は、筐体に設けた受けリブで、基板(回路基板)を支持することにより、筐体が変形しても、基板に実装された回路部品に加わる応力を緩和して、動作不良を起こしにくくしている。
【0015】
ここで、受けリブを含めた筐体の材料としては、機械的強度と軽さの観点から、ポリカーボネイト系、ナイロン系などの樹脂を用いることが好ましい。また、基板の受けリブ側の表面の主要部分には、電気的絶縁性の確保又は表面の保護のために、ソルダーレジスト膜を形成することができる。
【0016】
軋み音の低減には、最大静止摩擦力−動摩擦力の差を小さくすることが有効である(図18参照)。力を加えていって、急にすべると軋み音が発生し易いからである。そこで、受けリブに支持される基板の部分については、ソルダーレジスト膜を形成されないようにしている。これにより、受けリブと基板との間の最大静止摩擦力−動摩擦力の差を小さくすることができ、力を加えていって、急にすべっても軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができる。
【0017】
具体的には、図12〜図15に示すように、受けリブに支持される基板の部分については、ソルダーレジスト膜を形成されないようにして、銅箔層が露出するようにする。また、この銅箔層は表面に金メッキを施されたものでもよい。
【0018】
または、受けリブに支持される基板の部分については、図16に示すように、ソルダーレジスト膜を形成されないようにするだけでなく、その下の銅箔層も取り除いて、エポキシ系樹脂製の基板本体が露出するようにすることもできる。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態である携帯端末10は、第1の筐体(筐体)11および第2の筐体12がヒンジ部13を介して互いに相対移動可能に連結された携帯電話機である。
【0020】
ヒンジ部13は、第1の筐体11および第2の筐体12を第1回転軸Xを軸にして使用状態(開状態)と携帯状態(閉状態)との間で矢印A方向に回動自在に連結する部位である。
さらに、ヒンジ部13は、第2の筐体12を第2回転軸Yを軸にして矢印B方向に回動自在に連結する部位である。
すなわち、携帯端末10は、第1回転軸Xおよび第2回転軸Yを有する2軸のスイベルタイプの携帯端末である。
【0021】
さらに、携帯端末10は、図2に示すように、第1の筐体11の内部18に設けられた第1の基板21および第2の基板22と、第1の基板21および第2の基板22を固定する弾性部材25と、複数のキー27を有するキーシート26とを備えている。
【0022】
第2の筐体12は、図1に示すように、表面12Aに表示部28が設けられるとともにレシーバ29が設けられている。
レシーバ29は、振動板(図示せず)を有し、例えば通話中に受信した音声を発生する機器である。
【0023】
図2に示すように、第1の筐体11は、略矩形体状の箱形に形成されて側壁11Aを有し、上部開口部11Bがキーシート26で覆われている。この第1の筐体11は、弾性部材25より剛性が高い部材に形成されている。
側壁11Aは、側壁11Aの内面11Cに設けられた凹部32と、内面11Cに設けられた下端部33(図6も参照)とを有している。
【0024】
凹部32は、側壁11Aの内面11Cに凹状に形成されることにより弾性部材25を収容可能な部位である。
下端部33は、内面11Cから第1の筐体11の内部18に向けて突出されることにより、第2の基板22の端部22Aを支持可能な部位である。
【0025】
第1の基板21は、第1の筐体11の内部18に収容可能に略矩形状に形成され、弾性部材25より剛性が高い部材に形成されている。
【0026】
第2の基板22は、第1の基板21とは異なる基板であり、第1の筐体11の内部18に収容可能に略矩形状に形成されている。
この第2の基板22は、弾性部材25に係合可能な切り欠き23(図9も参照)を有し、弾性部材25より剛性が高い部材に形成されている。
また、第1の筐体11の一部である受けリブ(リブ)11Eにより、第2の基板22を支えるように構成されている。また、第1の筐体11の一部である受けリブ(リブ)11Fにより、第1の基板21を支えるように構成されている。
【0027】
図3に示すように、弾性部材25は、第1の筐体11の側壁11Aに形成された凹部32に収容可能で、第1の基板21および第2の基板22(図2も参照)を第1の筐体11の内部18に固定可能な固定部材である。
【0028】
図4、図5に示すように、弾性部材25は、第1の基板21(図6参照)を支持可能な基部35と、基部35との間で第1の基板21を挟持する爪部36と、爪部36の両側に設けられた一対の延出部37と、基部35に設けられた一対のリブ38と、第2の基板22(図7参照)と係合する凸部39とを有する。
【0029】
基部35は、略矩形体状に形成され、上部に設けられた第1の面42と、両側部に設けられた一対の第2の面43と、下部に設けられた第3の面44とを有する。
【0030】
第1の面42は、基部35の上部に設けられ、両端部に一対の支持部42Aが設けられている。
一対の支持部42Aは、上方に隆起され、第1の筐体11の厚み方向(矢印C方向)に第1の基板21の端部21Aを支持可能な部位である(図6参照)。
【0031】
一対の第2の面43は、基部35の両側部に、第1の面42と略垂直な方向に向けて設けられている。
第3の面44は、基部35の下部に、第1の面42と対向するように設けられている。
【0032】
爪部36は、基部35の一対の支持部42A間から第1の筐体11の厚み方向(矢印C方向)に向けて延出された爪弾性部46と、爪弾性部46の上端部46Aから第1の筐体11の幅方向(矢印D方向)に突出された係合爪47とを有する。
【0033】
爪弾性部46は、基部35の第1の面42のうち、一対の支持部42A間の中間部位42Bから第1の筐体11の厚み方向(矢印C方向)に延出されている。
この爪弾性部46は、上端部46Aが自由端であり、第1の筐体11の幅方向(矢印D方向)に弾性変形可能に形成されている。
【0034】
係合爪47は、第1の筐体11の幅方向(矢印D方向)に突出されることにより、一対の支持部42Aの上方に所定間隔(具体的には、第1の基板21の端部21Aの厚み寸法の間隔)をおいて配置されている。
この係合爪47は、図7に示すように、第1の筐体11の厚み方向(矢印C方向)において一対の支持部42Aとの間で第1の基板21の端部21Aを挟持可能な部位である。
【0035】
延出部37は、一対の支持部42Aから第1の筐体11の厚み方向(矢印C方向)へ各々延出され、爪部36の両側に一対設けられている。
延出部37は、後部37Aが爪部36より後方に膨出されている。
【0036】
延出部37の後部37Aを後方に膨出することにより、図6に示すように、弾性部材25が凹部32に収容された状態において、後部37Aが凹部32の底面32Aに接触する。
この状態で、図7に示すように、凹部32の底面32Aから爪部36が離れた状態に配置される。よって、弾性部材25が凹部32に収容された状態において、爪部36を第1の基板21から離れる方向に弾性変形することが可能である。
【0037】
一対のリブ38は、一方の第2の面43から外方に突出された弾性変形可能な一方のリブ38と、他方の第2の面43から外方に突出された弾性変形可能な他方のリブ38とを有する。
【0038】
一方のリブ38は、一方の第2の面43に第1の筐体11の幅方向(矢印D方向)に向けて延出されている。
他方のリブ38は、他方の第2の面43に第1の筐体11の幅方向(矢印D方向)に向けて延出されている。
一対のリブ38が弾性変形することにより、図3に示すように、弾性部材25の一部25Aが第1の筐体11の凹部32に圧入され、弾性部材25が第1の筐体11の側壁11Aに固定されている。
【0039】
凸部39は、図7に示すように、基部35の下部で、第1の面42と対向する第3の面44に設けられている。
凸部39は、第3の面44から第1の筐体11の厚み方向(矢印C方向)に突出され、第2の基板22の切り欠き23と係合可能な部位である。
【0040】
図6に示すように、第1の筐体11の内部18に第2の基板22が収容された状態で、第2の基板22の端部22Aのうち下面22Bが側壁11Aの下端部33に支持されている。
さらに、第2の基板22の端部22Aのうち上面22Cが第3の面44で抑えられている。
【0041】
すなわち、第2の基板22の端部22Aは、第1の筐体11の厚み方向(矢印C方向)において第3の面44と第1の筐体11の側壁11Aの下端部33との間で挟持されている。
このように、第2の基板22の端部22Aを第3の面44と側壁11Aの下端部33との間で挟持することにより第2の基板22を第1の筐体11の内部18に固定できる。
【0042】
図7に示すように、第2の基板22の端部22Aが第3の面44と側壁11Aの下端部33(図6参照)との間で挟持された状態で、第2の基板22の切り欠き23が弾性部材25の凸部39に係合されている(図9参照)。
このように、第2の基板22の切り欠き23に凸部39を係合することにより凸部39で第2の基板22が回転することを規制できる。
【0043】
図6に示すように、第1の筐体11の内部18に第1の基板21が収容された状態で、第1の基板21の端部21Aのうち下面21Bが一対の支持部42Aに支持されている。
図7に示すように、第1の筐体11の内部18に第1の基板21が収容された状態で、第1の基板21の端部21Aのうち上面21Cが係合爪47で抑えられている。
すなわち、第1の基板21は、係合爪47と一対の支持部42Aとで端部21Aが挟持されることにより、第1の筐体11の内部18に固定されている。
【0044】
このように、第1の筐体11に弾性部材25を設け、弾性部材25に基部35および爪部36を設けた。さらに、基部35に設けられた支持部42Aおよび爪部36で第1の基板21を挟持するようにした。
これにより、第1の筐体11が弾性を有しない部材であっても、第1の筐体11の凹部32に弾性部材25を固定することにより、弾性部材25を介して第1の基板21を第1の筐体11の内部18に固定できる。
【0045】
次に、第1の筐体11の内部18に第1の基板21および第2の基板22を組み付ける工程を図8〜図11に基づいて説明する。
図8に示すように、弾性部材25を第1の筐体11の底部11D(図2参照)に向けて傾斜させ、傾斜させた状態で弾性部材25の凸部39に第2の基板22の切り欠き23を係合する。
切り欠き23を凸部39に係合させた状態で弾性部材25を凹部32に押し込むことにより、弾性部材25の一対のリブ38が凹部32の両壁部32Bに当接して弾性変形する

【0046】
図9に示すように、一対のリブ38が弾性変形することにより、弾性部材25の一部25A(図6参照)が第1の筐体11の側壁11Aの凹部32に圧入され、弾性部材25が第1の筐体11に固定される。
このように、第1の基板21を固定する弾性部材25を、一対のリブ38を弾性変形するだけで第1の筐体11に容易に取り付けることができる。
【0047】
ここで、第1の筐体11の剛性が弾性部材25の剛性より高く設定されている。よって、第1の筐体11に弾性部材25が確実に固定される。
【0048】
この状態で、弾性部材25の凸部39に第2の基板22の切り欠き23が係合される。同時に、図6に示すように、第2の基板22を弾性部材25の第3の面44と側壁11Aの下端部33との間で挟持される。
このように、第2の基板22を第3の面44と側壁11Aの下端部33との間で挟持することにより第2の基板22を第1の筐体11の内部18に固定できる。
【0049】
図10に示すように、第1の筐体11の内部18に向けて第1の基板21が矢印Eの如く押し下げられる。第1の基板21の端部21Aが係合爪47の傾斜面47Aに当接して係合爪47が矢印F方向に押圧される。
係合爪47が第1の基板21の端部21Aで矢印F方向に押圧されることにより爪弾性部46が弾性変形して、係合爪47が第1の基板21の端部21Aから離れる方向に案内される。
【0050】
係合爪47が第1の基板21の端部21Aから離れる方向に案内されることにより、第1の基板21の端部21Aが係合爪47を乗り越えることができる。
第1の基板21の端部21Aが係合爪47を乗り越えることにより、爪弾性部46が元の位置に復元される。
【0051】
爪弾性部46が復元されることにより係合爪47が第1の基板21の端部21Aを固定する位置に配置される。第1の筐体11の内部18に第1の基板21が収容された状態で、第1の基板21の端部21Aのうち上面21Cが係合爪47で抑えられる(図7参照)。
図7に示すように、第1の基板21の端部21Aが係合爪47と一対の支持部42Aとで挟持されることにより、第1の基板21が第1の筐体11の内部18に固定されている。
【0052】
図11に示すように、第1の筐体11の剛性が弾性部材25の剛性より高く設定されることにより第1の筐体11に弾性部材25が確実に固定されている。
さらに、第1の基板21および第2の基板22(図9参照)の剛性が弾性部材25の剛性より高く設定されている。よって、第1の基板21および第2の基板22が弾性部材25に当接した状態で変形することを防止できる。
これにより、第1の基板21および第2の基板22を弾性部材25を介して第1の筐体11の内部18に一層確実に固定できる。
【0053】
次に、図12〜図16を参照して、第2の基板22と受けリブ11Eを中心に、基板が受けリブで支持される部分について説明する。なお、第1の基板21と受けリブ11Fについても基本的に同様である。
【0054】
携帯端末10は、ユーザがレシーバに耳を当てて加圧した場合や、筐体11を手指で加圧した場合などに、わずかに変形する。このような場合に、携帯端末10は、筐体11に設けた受けリブ11Eで第2の基板22を支持することにより、筐体11が変形しても、第2の基板22に実装された回路部品に加わる応力を緩和して、動作不良を起こしにくくしている。同様に、携帯端末10は筐体11に設けた受けリブ11Fで第1の基板21を支持することにより、筐体11が変形しても、第1の基板21に実装された回路部品に加わる応力を緩和して、動作不良を起こしにくくしている。
【0055】
ここで、受けリブ11E、11Fを含めた筐体11の材料としては、機械的強度と軽さの観点から、ポリカーボネイト系、ナイロン系などの樹脂を用いることが好ましい。また、第1の基板21、第2の基板22の受けリブ11E、11F側の表面の主要部分には、電気的絶縁性の確保又は表面の保護のために、ソルダーレジスト膜22Fを形成することができる。
【0056】
軋み音の低減には、最大静止摩擦力−動摩擦力の差を小さくすることが有効である(図18参照)。力を加えていって、急にすべると軋み音が発生し易いからである。そこで、少なくとも、受けリブ11Eに支持される第2の基板22の部分については、ソルダーレジスト膜22Fを形成しないようにしている。これにより、受けリブ11Eと第2の基板22との間の最大静止摩擦力−動摩擦力の差を小さくすることができ、力を加えていって、急にすべっても軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができる。
【0057】
具体的には、図12〜図15に示すように、受けリブ11Eに支持される第2の基板22の部分については、ソルダーレジスト膜22Fを形成されないようにして、銅箔層22E又は金メッキ22Gされた銅箔層22Eが露出するようにする。図15に示すように金メッキ22Gが施された銅箔層22Eの場合は、表面全面にわたってソルダーレジスト膜22Fを形成しないようにすることもできる。
【0058】
また、別の例として、図16に示すように、受けリブ11E(11F)に支持される第2の基板22の部分については、ソルダーレジスト膜22Fを形成しないようにするだけでなく、その下の銅箔層22Eも取り除いて、エポキシ系樹脂製の基板本体22Dが露出するようにすることもできる。
【0059】
これらの構成により、受けリブ11Eと第2の基板22との間の最大静止摩擦力−動摩擦力の差を小さくすることができ、力を加えていって、急にすべっても軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができる。
【0060】
なお、第2の基板22と受けリブ11Eを中心に、基板が受けリブで支持される部分について説明したが、第1の基板21と受けリブ11Fについても基本的に同様である。つまり、図示はしないが、基板本体21Dは基板本体22Dと同様であり、銅箔層21Eは銅箔層22Eと同様であり、ソルダーレジスト21Fはソルダーレジスト22Fと同様であり、金メッキ層21Gは金メッキ層22Gと同様である。
【0061】
また、図12〜16において、基板内部の配線等は、簡単のため、省略してある。
【0062】
図17を参照して変形例を示す。携帯端末10Aの筐体は、筐体101と筐体102の2つの部分から構成されている。筐体の内部には、電子部品109が実装された基板104が備えられている。筐体102は、基板104を受ける受けリブ102Aを有する。この基板104とこれを受ける受けリブ102Aについても、図12〜16を用いて説明した構造を用いることができる。
【0063】
なお、筐体101には操作部を構成するキーボタン106が設けられ、他の基板103にはキーボタン106を押下するとオンするスイッチ107が対応して配設されてキーボード部が構成されている。樹脂製スペーサ108は、基板104に搭載された高周波回路等の電子部品109をシールドする機能を備えるとともに、他の基板103、基板104を所定間隔に保持するスペーサの機能を備えている。
【0064】
さらに、図17に示すように、樹脂製スペーサ108に受けリブ108A、108Bを設け、これを基板104の上に配置する場合には、基板104とこれを受ける受けリブ108Aについても、図12〜16を用いて説明した構造を用いることができる。また、基板104の、受けリブ108Bを上から受ける部分についても図12〜16を用いて説明した構造を用いることができる。
【0065】
このように、図12〜16を用いて説明した構造は、基板と筐体のリブとの間に限定されず、例えば、樹脂製スペーサ108のような内部機構部品のリブで構成されている場合にも適用することができる。また、受けリブが基板を支える場合だけでなく、例えば、受けリブ108A、108Bを基板104の上に配置する場合のように、基板が受けリブを支える場合にも適用することができる。なお、どちらがどちらを支えるかは、単にどちら側から加圧される場合を想定するかの見方の問題であって、便宜的な見方の問題であるともいえる。
【0066】
これらの構成により、受けリブ108A、108Bと基板104との間の最大静止摩擦力−動摩擦力の差を小さくすることができ、力を加えていって、急にすべっても軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができる。
【0067】
このように、本発明の実施の形態の携帯端末によれば、ユーザがレシーバに耳を当てて加圧した場合や、筐体を手指で加圧した場合等により、筐体が加圧されて筐体が変形した場合に、部品点数や組立工数を増加させずに、軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができる。また、従来の基板面の軋み音対策である基板の受けリブへの潤滑材塗布や潤滑性の良いシート貼付と比較して、部品点数削減(潤滑性の良いシートを貼付しなくて良い)や組立工数削減(潤滑材塗布、潤滑性の良いシートを貼付しなくて良い)を図ることもできる。
【0068】
なお、本発明に係る携帯端末は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、実施形態では、携帯端末10を携帯電話機として例示したが、これに限定するものではなく他の携帯端末に適用することも可能である。
【0069】
また、実施形態で使用した携帯端末、第1の筐体、第1の基板、第2の基板、切り欠き、弾性部材、凹部、基部、爪部、延出部、リブ、凸部、第1の面、支持部、第2の面および第3の面等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ユーザがレシーバに耳を当てて加圧した場合や、筐体を手指で加圧した場合等により、筐体が加圧されて筐体が変形した場合に、部品点数や組立工数を増加させずに、軋み音が発生しにくくなるか、軋み音が発生しても音を小さく抑えることができるので、携帯端末への適用に好適である。
【符号の説明】
【0071】
10、10A 携帯端末
11 第1の筐体(筐体)
11A 側壁
11E 受けリブ(リブ)
11F 受けリブ(リブ)
21 第1の基板
21D 基板本体(エポキシ系樹脂)
21E 銅箔層
21F ソルダーレジスト
21G 金メッキ層
22 第2の基板
22D 基板本体(エポキシ系樹脂)
22E 銅箔層
22F ソルダーレジスト
22G 金メッキ層
23 切り欠き
25 弾性部材
25A 弾性部材の一部
32 凹部
35 基部
36 爪部
37 延出部
38 リブ
39 凸部
42 第1の面
42A 支持部
43 第2の面
44 第3の面
101、102 筐体
102A 受けリブ
109 電子部品
103 他の基板
104 基板
106 キーボタン
107 スイッチ
108 樹脂製スペーサ
108A、108B 受けリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と基板とを備える携帯端末であって、
前記筐体は、前記基板を支えるリブを有し、
前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジストを有せず、銅箔層又は金メッキされた銅箔層で覆われている
携帯端末。
【請求項2】
筐体と基板とを備える携帯端末であって、
前記筐体は、前記基板を支えるリブを有し、
前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジスト、銅箔層又は金メッキされた銅箔層を有せず、エポキシ系樹脂製の基板本体が露出している
携帯端末。
【請求項3】
基板と前記基板を支えるリブとを備える携帯端末であって、
前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジストを有せず、銅箔層又は金メッキされた銅箔層で覆われている
携帯端末。
【請求項4】
基板と前記基板を支えるリブとを備える携帯端末であって、
前記基板は、少なくとも前記リブで支持される部分は、表面にソルダーレジスト、銅箔層又は金メッキされた銅箔層を有せず、エポキシ系樹脂製の基板本体が露出している
携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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