説明

携帯端末

【課題】ユーザがジャックカバーを紛失するのを防止すると共に、ジャックカバーが邪魔になって携帯性が損なわれたり、外観が損なわれたりしないようにする。
【解決手段】ジャック3の内周に外部接続端子5をジャック3に挿入したときに外部接続端子5と圧接して導通する接点バネ部を突設し、ジャックカバー6にジャック3に挿入したときに接点バネ部を回避する回避用凹部を設ける。携帯電話機本体2のジャック3と異なる位置にジャックカバー6を着脱可能なダミージャック4を設け、このダミージャック4には、ジャックカバー6を挿入したときに回避用凹部に嵌りかつ外部接続端子5を挿入したときには外部接続端子5に当接して該外部接続端子5の挿入を阻止する突部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続端子が挿入されるジャックが内蔵された携帯端末本体と、このジャックに着脱自在なジャックカバーとを有する携帯端末に関し、特にジャックカバーの紛失対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のジャック用の防塵カバーとして、例えば特許文献1のように機器本体側の光コンセントに対して着脱可能としたものが知られている。この防塵カバーでは、機器の保管時や運搬時あるいは施工時に光コンセント内部に塵埃が入り込むのを防止できるようにしている。
【0003】
しかしながら、この特許文献1においては、光プラグを光コンセントに接続するときに、防塵カバーを取り外すが、この防塵カバーを光コンセント側に取り付ける手段がなく、ユーザが防塵カバーを紛失する恐れがある。
【0004】
そこで、ユーザが付属部品を取り外して使用しないときに、それ自体を紛失しないようにする対策として、例えば、特許文献2のように、電気掃除機の隙間用吸口や棚用吸口等の付属部品を掃除機本体と一体的に保管して紛失を防止するものが知られている。
【0005】
さらに、特許文献3のように、防塵カバーが容易に紛失しないように、カバーの一部をコネクタに常時結合させるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-83086号公報
【特許文献2】特開平6-181870号公報
【特許文献3】特開2003-229202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2のものを携帯端末の外部接続端子用のカバーとして適用すると、携帯端末本体の表面からカバー全体が突出して携帯端末を取り扱う際にカバーが邪魔になって携帯性が損なわれたり、デザイン性が損なわれたりするという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献3の場合は、外部接続端子を差し込むときにカバー自体を外部接続端子の挿入ルートから回避させる手間が発生すると共に、その回避させたカバーが携帯端末本体から突出して携帯端末を取り扱うときにカバーが邪魔になって携帯性が損なわれるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザがジャックカバーを紛失するのを防止すると共に、ジャックカバーが邪魔になって携帯性が損なわれたり、外観が損なわれたりしないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、取り外したジャックカバーをダミージャックに脱着可能とした。
【0011】
具体的には、外部接続端子が挿入されるジャックが内蔵された携帯端末本体と、該ジャックに着脱自在なジャックカバーとを有する携帯端末を前提とし、
上記ジャックは、該ジャックの内面から突出するとともに上記外部接続端子を該ジャックに挿入したときに該外部接続端子と圧接して導通する接点バネ部を備え、
上記ジャックカバーは、上記ジャックに挿入したときに上記接点バネ部を回避する回避用凹部を備え、
上記携帯端末本体の上記ジャックと異なる位置に上記ジャックカバーを着脱可能なダミージャックが設けられ、
上記ダミージャックは、上記ジャックカバーを挿入したときには上記回避用凹部に嵌りかつ上記外部接続端子を挿入するときに該外部接続端子に当接して該外部接続端子の挿入を阻止する突部を備えている。
【0012】
上記の構成によると、外部接続端子を挿入した際に、ジャック内面に突出している電気的接点の役割をする接点バネ部が撓んで外部接続端子と導通する構造であることにあわせ、ジャックカバーに凹部を設けているので、ジャックカバーでジャックを覆うときに、接点バネ部を寸法的に回避して接点バネ部を保護することができる。さらに、凹部がダミージャックの突部を回避するので、ジャックカバーがダミージャックに容易に嵌め込まれる。一方、外部接続端子を間違ってダミージャックに挿入しようとしても、ダミージャックの突部が外部接続端子に当接してその侵入を阻止するので、ユーザに誤挿入であることを知らせることができる。そして、外部接続端子をジャックに差し込むときに、取り外したジャックカバーをダミージャックに嵌め込むことで、ユーザがジャックカバーを紛失することが防止され、また、ジャックカバーがダミージャックに収まるので、邪魔になって携帯性が損なわれることはない。一方、外部接続端子の非使用時にはジャックに挿入されていたジャックカバーは、携帯端末本体における、ジャックとは別の位置に嵌め込まれるので、外観が損なわれることはない。特にジャックカバーのデザインに特徴があるときなどには、そのデザインや色調をファッションとして楽しむことができる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記ダミージャックは、樹脂成形品よりなり、
上記突部は、上記ダミージャックに一体成形されている。
【0014】
上記の構成によると、突部の形成が容易であると共に、樹脂成形品であるので、接点バネ部よりも剛性が高く、外部接続端子の挿入を阻止する効果が高い上、固すぎて外部接続端子を傷めることもない。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、携帯端末本体のジャックと異なる位置にジャックカバーを着脱可能なダミージャックを設けると共に、ダミージャックに突部を設け、この突部をジャックカバーを挿入したときに回避用凹部に嵌り、外部接続端子を挿入するときに外部接続端子に当接して外部接続端子の挿入を阻止するように構成したことにより、ユーザがジャックカバーを紛失するのを防止すると共に、ジャックカバーが邪魔になって携帯性が損なわれたり、外観が損なわれたりしないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ジャックに外部接続端子を差し込み、ダミージャックにジャックカバーを差し込んだ状態の、本実施形態の携帯電話機を示し、(a)が平面図で、(b)が正面図である。
【図2】外部接続端子未使用時の図1相当図である。
【図3】ジャックの外観を示す斜視図である。
【図4】ジャックの外観を示し、(a)が正面図で、(b)が底面図である。
【図5】図4(b)のV−V線断面で示すジャックに外部接続端子を接続する様子を示す正面図である。
【図6】ダミージャックの外観を示す斜視図である。
【図7】ダミージャックの図4相当図である。
【図8】図7(b)のVIII−VIII線断面で示すダミージャックに外部接続端子を接続できない様子を示す正面図である。
【図9】ジャックカバーを示し、(a)が正面図で、(b)が側面図である。
【図10】ジャックカバーの背面図である。
【図11】図9(a)のXI−XI線断面図である。
【図12】外部接続端子未使用時の従来の携帯電話機を示し、(a)が平面図で、(b)が正面図である。
【図13】ジャックカバーを取り外し、ジャックに外部接続端子を差し込んだ状態の、従来例の携帯電話機を示す図12相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1及び図2は、本発明の実施形態にかかる携帯端末としての携帯電話機1を示し、この携帯電話機1は、矩形板状の携帯端末本体としての携帯電話機本体2を備えている。この携帯電話機本体2は、例えば樹脂成形品よりなるキャビネット等を組み立てて構成され、イヤホンプラグ等よりなる外部接続端子5が挿入されるジャック3(図3参照)が内蔵されている。携帯電話機本体2における、正面から見てジャック3の右側には、ダミージャック4も内蔵されている。外部接続端子5の非使用時には、図2に示すように、ジャック3は、例えば、樹脂成形品よりなるジャックカバー6で覆われている。
【0019】
図3〜図5に示すように、ジャック3は、例えば樹脂成形品の本体を備え、携帯電話機本体2に嵌め込んで固定されるようになっている。ジャック3の中心には、有底の穴部3aが開口され、その穴部3aを形成する内面から径方向内側へ突出する複数の接点バネ部3b,3c,3dが内蔵されている。接点バネ部3b,3c,3dは、導電性板バネよりなり、図示しない内部基板に接続されている。ジャック3は、穴部3aが携帯電話機本体2の上側に開口するように携帯電話機本体2に配置されている。
【0020】
一方、図5に示すように、外部接続端子5には、穴部3aに挿入される棒状の挿入部5aが設けられている。挿入部5aを穴部3aへ挿入した場合は、各接点バネ部3b,3c,3dが挿入部5aによって穴部3aの径方向外側に向け押されて撓まされることにより、挿入部5aと接点バネ部3b,3c,3dとが電気的に接続されるようになっている。
【0021】
図6〜図8に示すように、ダミージャック4は、ジャック3と同様に樹脂成形品よりなり、携帯電話機本体2に嵌合等により固定されている。ダミージャック4には、ジャック3における穴部3aと略同一寸法となるダミー穴部4aを備えている。そして、ダミー穴部4aの内面には、ジャック3の接点バネ部3bに対応する位置に挿入部5aの挿入方向に沿って延びるように径方向内側へ突出する突部4bが一体成形されている。この突部4bを一体に成形できるので、ダミージャック4の成形が容易である。ダミージャック4は、ダミー穴部4aが携帯電話機本体2の上側に開口するように携帯電話機本体2内に配置されている。突部4bは、外部接続端子5の挿入部5aをダミー穴部4aへ挿入しようとすると、接点バネ部3bのように撓むことなく挿入部5aの挿入を阻止する寸法関係になっている。
【0022】
図9及び図10に示すように、ジャックカバー6には、外部接続端子5における挿入部5aと略同一外形となるカバーピン6aが設けられている。このカバーピン6aの外周には、接点バネ部3b,3c,3dに対応する位置に長手方向に延びる回避用凹溝6b,6c,6dが形成され、接点バネ部3b,3c,3dとの干渉をそれぞれ回避できるようになっている。カバーピン6aの基端側には、湾曲した板状のカバー本体6eが一体成形され、このカバー本体6eがジャックカバー6でジャック3又はダミージャック4を覆ったときに外観に現れるようになっている。カバー本体6eは、携帯電話機本体2の外面に沿う一部湾曲した形状をしているため、カバー本体6eを携帯電話機本体2と同じ色調として目立たなくしてもよいし、異なる色調として逆に目立たせるようにしてもよい。ジャックカバー6を例えば耐摩耗性の高い樹脂成形品とすることで、ジャックカバー6の摩耗や削れが防止できる。
【0023】
次に、本実施形態の携帯電話機1の作動について説明する。
【0024】
まず、外部接続端子5の非使用時には、図2に示すように、ジャックカバー6がジャック3の穴部3aを覆い、ダミー穴部4aは覆われていない。カバーピン6aの外周に回避用凹溝6b,6c,6dが形成されているので、カバーピン6aと接点バネ部3b,3c,3dとの干渉は回避されている。また、穴部3aがジャックカバー6に覆われて防塵されているので、接点バネ部3b,3c,3dの接触が悪くなる等粉塵による悪影響はない。一方、ダミージャック4は、ジャック3と異なり、接点バネ部3b,3c,3dを備えないので、外部接続端子5の非使用時にジャックカバー6で覆われずに多少の粉塵がダミー穴部4aに入り込んでも問題はない。さらに、カバー本体6eは、携帯電話機本体2の外面に沿う形状をしているので、携帯電話機本体2の表面から大きく出っ張らず、携帯性を損なうことはなく、デザイン性を損なうこともない。
【0025】
次いで、外部接続端子5を使用する場合には、まず、ジャックカバー6をジャック3から取り外す。このときも、カバーピン6aの外周に回避用凹溝6b,6c,6dが形成されているので、カバーピン6aと接点バネ部3b,3c,3dとが接触せず、接点バネ部3b,3c,3dの損傷が防止される。ここで、仮にユーザが、図8に示すように、ダミージャック4に外部接続端子5を差し込もうとすると、挿入部5aが突部4bに接触して差し込めず、挿入するところを間違えたことを認識できる。このとき、突部4bは、板バネではなく樹脂で構成されているので、接点バネ部3b,3c,3dのように撓んでしまうことはなく、しかも固すぎて挿入部5aを傷付けることはない。
【0026】
次いで、ジャックカバー6をダミージャック4に嵌め込む。ダミー穴部4aの内面には突部4bが設けられているが、この突部4bは、カバーピン6aの外周の回避用凹溝6bに嵌合可能であり、ジャックカバー6が定位置に堅固に固定される。このため、ジャックカバー6を失うのが防止される。そして、ジャック3を覆っていたときと同様に、カバー本体6eは、携帯電話機本体2の外面に沿う形状をしているので、携帯電話機本体2の表面から大きく出っ張らず、携帯性を損なうことはなく、デザイン性を損なうこともない。そして、図1に示すように、穴部3aに挿入部5aを差し込む。
【0027】
一方で、図12及び図13に示す従来例では、ダミージャック4を備えていないので、図12の外部接続端子5の非使用時から、図13に示すようにジャックカバー6を取り外したときに、ジャックカバー6を取り付けて保管する場所がなく、ジャックカバー6を失いやすい。
【0028】
したがって、本実施形態によると、ユーザがジャックカバー6を紛失するのを防止すると共に、ジャックカバー6が邪魔になって携帯性が損なわれたり、外観が損なわれたりしないようにすることができる。
【0029】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について以下のような構成としてもよい。
【0030】
すなわち、上記実施形態では、ジャックカバー6のカバーピン6aにその挿入方向に延びる回避用凹溝6b,6c,6dを設けているが、この回避用凹溝6b,6c,6dよりも断面の大きな溝を形成し、ダミージャック4側には、この大きな溝に対応する大きな突部を設けることで、ジャック3とダミージャック4との間で外観の識別を行いやすいようにしてもよい。そうすることによって、間違ってダミージャック4に外部接続端子5を挿入しないよう視覚的に認識させることが容易になる。
【0031】
接点バネ部3b,3c,3dの個数や配置は、上記実施形態ものに限定されず、接点バネ部の位置にあわせ、ジャックカバーに回避用凹溝を設け、ダミージャックに突部を設ければよい。
【0032】
また、上記実施形態では、携帯端末は携帯電話機としたが、PHS、PDA、スマートフォン、パソコン、モバイルツール、電子辞書、電子書籍端末、ゲーム機等であってもよい。
【0033】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0034】
1 携帯電話機(携帯端末)
2 携帯電話機本体(携帯端末本体)
3 ジャック
3a 穴部
3b,3c,3d 接点バネ部
4 ダミージャック
4a ダミー穴部
4b 突部
5 外部接続端子
6 ジャックカバー
6b,6c,6d 回避用凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続端子が挿入されるジャックが内蔵された携帯端末本体と、該ジャックに着脱自在なジャックカバーとを有する携帯端末において、
上記ジャックは、該ジャックの内面から突出するとともに上記外部接続端子を該ジャックに挿入したときに該外部接続端子と圧接して導通する接点バネ部を備え、
上記ジャックカバーは、上記ジャックに挿入したときに上記接点バネ部を回避する回避用凹部を備え、
上記携帯端末本体の上記ジャックと異なる位置に上記ジャックカバーを着脱可能なダミージャックが設けられ、
上記ダミージャックは、上記ジャックカバーを挿入したときには上記回避用凹部に嵌りかつ上記外部接続端子を挿入するときに該外部接続端子に当接して該外部接続端子の挿入を阻止する突部を備えている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1の携帯端末において、
上記ダミージャックは、樹脂成形品よりなり、
上記突部は、上記ダミージャックに一体成形されている
ことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−85138(P2013−85138A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224108(P2011−224108)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】