説明

携帯通信端末

【課題】 複合デバイスのチップセレクト信号線の本数の変更をせずとも、デバイス機能部ごとに適した条件で動作させることが可能となる。
【解決手段】
本発明の携帯通信端末100は、複合デバイス250と、複合デバイスに含まれる複数のデバイス機能部252いずれかに対応するチップセレクト信号を送信する複数のチップセレクト送信端子262を有する制御デバイス260と、複数のチップセレクト信号の論理和をチップセレクト受信端子256に出力するインターフェースデバイス270と、を備え、制御デバイスは、デバイス機能部それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長のチップセレクト信号を各チップセレクト送信端子から送信することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合デバイスを有する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)等の、無線通信機能を有し単独で動作可能な携帯通信端末が普及し、通信速度および通信品質の向上と共に、ポータビリティを高めるための小型化、軽量化、薄型化が進んでいる。かかる小型化を進めるにあたっては、携帯通信端末に実装される中央処理装置(CPU)やその周辺デバイス等の電気素子の小型化や、部品点数そのものの削減が検討されている。
【0003】
一方、携帯通信端末等の電子機器に搭載されるCPUは、バス接続される周辺のデバイスを利用するため、アクセス対象となるデバイスが含まれる物理的なアクセス空間を特定するチップセレクト信号線を各デバイスとの間に設けている。そして、かかるチップセレクト信号線を介して、チップセレクト信号を有効(イネーブル)にすることで、CPUは個々のデバイスに対してアクセスを行うことが可能となる。しかし、昨今のCPUの高速化に伴い、上記周辺のデバイスの動作速度がCPUの動作速度に対応しきれない場合がある。
【0004】
そこで、CPUとデバイスとの間に双方向でデータの転送を行うバッファを介することで、CPUのデバイスに対するリードアクセスおよびライトアクセスを制御し、バスにおける両データの衝突を防止する技術がある。
【0005】
しかし、上記バッファを介してアクセスを行う技術では、リードデータおよびライトデータが一旦バッファに保持されているので、データ転送に遅延が生じ、アクセスが遅くなるという不都合がある。また、CPUの動作速度よりも低速のデバイスが複数存在する場合、デバイスごとにバッファを設ける必要があり、回路構成が複雑になってしまう。そうすると、全体的な部品点数が増加し、機器の小型化に逆行することとなる。
【0006】
そこで、CPUよりも動作速度が低速なデバイス(低速デバイス)に対するアクセスにおいて、低速デバイスのアクセス空間を規定するアクセス規定値を低速デバイスごとに設定するとともに、CPUが低速デバイスに対しリードアクセスに続いてライトアクセスを行うとき、そのライトアクセスを遅延させる時間である遅延値をアクセス規定値とともに設定し、低速デバイスに対するアクセスがリードアクセスに続くライトアクセスであることをCPUが認識すると、アクセスされるアドレス空間に対応する遅延値に基づいてライトアクセスを遅延させることで、リードアクセスの後にライトアクセスが続く場合のアクセス速度の低下および両アクセス間でのデータの衝突を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−99390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さらに近年、携帯通信端末等の電子機器のさらなる小型化に貢献可能な、複数のデバイスを同一パッケージに組み込んだ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)等の複合デバイスが提案されている。かかる複合デバイスにおいて、複合デバイスに組み込まれ、または内蔵され、デバイスとして機能するデバイス機能部は、その機能や配置、配線状態によって動作速度等のアクセス条件がそれぞれ異なる。さらに、1つのデバイス機能部をとっても、リードアクセス(以下、単にRDと称する)におけるアクセス条件とライトアクセス(以下、単にWRと称する)におけるアクセス条件とがそれぞれ異なる場合もある。
【0008】
しかし、複合デバイスは、その内蔵回路に拘わらず、全体を動作させる1のチップセレクト信号線しか有さず、デバイス機能部が複数あったとしてもそのチップセレクト信号は1つであった。
【0009】
図9は、CPUからの従来の複合デバイスへのアクセスを説明するための説明図である。図9中「A」はアドレスバスへの接続点、「D」はデータバスへの接続点、「CS」はチップセレクト端子を示す。かかる記号の対応関係は以下の説明でも同様に用いられる。図9に示すように、複合デバイス10に組み込まれたデバイス機能部12a、12b、12c、12dはそれぞれアクセス条件が異なる。したがって、CPU20は、デバイス機能部12それぞれのアクセス条件に応じてアクセスを行うべきである。
【0010】
しかし、CPU20は、最も遅い動作速度(最も低いアクセス条件)を有するデバイス機能部12(例えば、デバイス機能部12d)の設定値で、チップセレクト信号線14を介してアクセスを行う。なぜなら、動作速度の速いデバイスは遅い動作速度に設定したとしても正常動作可能であるが、動作速度の遅いデバイスは早い動作速度で設定してしまうと正常に動作しないからである。したがって、このような動作速度の異なる複数のデバイス機能部12a、12b、12c、12dを内蔵する複合デバイス10にCPU20からアクセスを試みる場合、最も遅い動作速度を有するデバイス機能部12dのアクセススピードに設定され、他のデバイス機能部12a、12b、12cはそのパフォーマンスを発揮することができなくなってしまう。他のデバイス機能部12a、12b、12cはそのパフォーマンスを発揮させるためには、チップセレクト信号線14をデバイス機能部12の個数分用意しなければならなかった。
【0011】
また、デバイスが複合デバイスに組み込まれている場合でなくとも、デバイスによっては、RDのアクセス条件とWRのアクセス条件が異なる場合もある。しかし、従来の技術では、RD、WRをそれぞれ個別に設定することができなかったため、1のデバイスにおいても、RD、WRの遅い方の動作速度に引っ張られ、パフォーマンスの向上を図ることができなかった。
【0012】
そこで、本発明は、このような問題に鑑み、複合デバイスのチップセレクト信号線の本数の変更をせずとも、デバイス機能部ごとに適した条件で動作させることが可能な携帯通信端末を提供することを目的とする。また、同様に、デバイス単体のチップセレクト信号線の本数を増やすことなく、適した条件でそのデバイスを動作させることが可能な携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯通信端末の代表的な構成は、複数のデバイス機能部と、当該複数のデバイス機能部それぞれの選択信号を生成するアドレスデコード部と、当該複数のデバイス機能部を共通して動作させる1のチップセレクト受信端子と、を有する複合デバイスと、複数のデバイス機能部いずれかに対応するチップセレクト信号を送信する複数のチップセレクト送信端子を有する制御デバイスと、複数のチップセレクト信号の論理和をチップセレクト受信端子に出力するインターフェースデバイスと、を備え、制御デバイスは、デバイス機能部それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長のチップセレクト信号を複数のチップセレクト送信端子から送信することを特徴とする。
【0014】
CPU等の制御デバイスが複数のチップセレクト送信端子を有していたとしても、複合デバイスがチップセレクト受信端子を1つしか有さない場合、その中のデバイス機能部それぞれに対して制御デバイスのチップセレクト送信端子を割り当てることができない。本発明では、チップセレクト信号の2つの機能、即ち、デバイス選択機能と信号時間長特定機能のうち、デバイス選択機能を複合デバイス内のアドレスデコード部に担わせ、信号時間長特定機能を制御デバイスのチップセレクト送信端子が担う。そして、かかるチップセレクト送信端子からのチップセレクト信号はその時間長を特定するだけなのでインターフェースデバイスを通じて1つに纏めることが可能となり、複合デバイスのチップセレクト受信端子が1つであっても、デバイス機能部に対して、それぞれ適した時間長によるチップセレクトを実行することが可能となる。
【0015】
上記制御デバイスは、アクセススピードが所定範囲内にある複数のデバイス機能部に対して同一のチップセレクト信号を送信してもよい。
【0016】
これにより、1のチップセレクト信号でアクセス可能なデバイス機能部を纏めることができ、チップセレクト信号の効率化を図ることが可能となる。
【0017】
上記制御デバイスは、アクセススピードが所定範囲内にある複数のデバイス機能部のリード機能またはライト機能に対して1のチップセレクト信号を送信してもよい。
【0018】
これにより、1のチップセレクト信号でアクセス可能なデバイス機能部のリード機能もしくはライト機能を纏めることができ、チップセレクト信号の効率化を図ることが可能となる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯通信端末の他の代表的な構成は、自体からデータを読み出させるリード機能および自体にデータを書き込ませるライト機能を有し、自体のチップセレクト受信端子が受信したチップセレクト信号に応じてリード機能またはライト機能を実行する汎用デバイスと、汎用デバイスのリード機能またはライト機能それぞれに対応するチップセレクト信号を送信する複数のチップセレクト送信端子を有する制御デバイスと、複数のチップセレクト信号の論理和をチップセレクト受信端子に出力するインターフェースデバイスと、を備え、制御デバイスは、汎用デバイスのリード機能およびライト機能それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長のチップセレクト信号を複数のチップセレクト送信端子から送信することを特徴とする。
【0020】
従来、汎用デバイスは1のチップセレクト受信端子しか有していないため、汎用デバイスのリード機能、ライト機能それぞれに対して1の信号時間長しか設定できなかった。したがって、リード機能とライト機能とでアクセススピードが異なる場合、アクセススピードが遅い方にあわせて信号時間長を設定するしかなかった。本発明では、制御デバイスがチップセレクト信号を利用して、リード機能、ライト機能それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長を設定することが可能となる。したがって、リード機能とライト機能のアクセススピードが異なる汎用デバイスであっても、適応的にアクセススピードを選択して汎用デバイスを動作させることができる。
【0021】
上記制御デバイスは、アクセススピードが所定範囲内にある複数の汎用デバイスのリード機能またはライト機能に対して1のチップセレクト信号を送信してもよい。これにより、1のチップセレクト信号でアクセス可能な複数の汎用デバイスを纏めることができ、チップセレクト信号の効率化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の携帯通信端末によれば、複合デバイスのチップセレクト信号線の本数の変更をせずとも、デバイス機能部ごとに適した条件で動作させることが可能となる。また、同様に、デバイス単体のチップセレクト信号線の本数を増やすことなく、適した条件でそのデバイスを動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
(第1の実施形態:携帯通信端末100)
図1は、本実施形態にかかる携帯通信端末の構成を示した機能ブロック図であり、図2は、本実施形態にかかる携帯通信端末の外観斜視図である。携帯通信端末100は、端末制御部210と、メモリ212と、表示部214と、操作部216と、音声入力部218と、音声出力部220と、無線通信部222と、を含んで構成される。
【0025】
端末制御部210は、後述する制御デバイス260としてのCPUを含む半導体集積回路により携帯通信端末100全体を管理および制御し、メモリ212のプログラムを用いて、通話機能、メール送受信機能、撮像機能、音楽再生機能、TV視聴機能も遂行する。
【0026】
メモリ212は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、端末制御部210で処理されるプログラムを記憶する。
【0027】
表示部214は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、メモリ212に記憶された、または通信網を介してサーバから提供される、WebコンテンツやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0028】
操作部216は、キーボード、十字キー、ジョイスティック、タッチパネル等のスイッチで構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0029】
音声入力部218は、マイク等の音声変換手段で構成され、通話時に入力されたユーザの音声を携帯通信端末100内で処理可能な電気信号に変換する。音声出力部220は、スピーカで構成され、携帯通信端末100で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、音声出力部220は、着信音や、操作部216の操作音、アラーム音等も出力できる。
【0030】
無線通信部222は、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信方式を通じて基地局120との無線通信を確立し、通信相手との音声通信やWeb情報の取得等のデータ通信を実行する。
【0031】
図3は、本実施形態にかかる携帯通信端末のハードウェア構成を説明するための説明図である。本実施形態の携帯通信端末100は、主たるハードウェアとして、複合デバイス250と、制御デバイス260と、インターフェースデバイス270と、アドレスバス280と、データバス282と、を含んで構成される。
【0032】
複合デバイス250は、例えばメモリ212等として機能する複数(本実施形態においては、4つ)のデバイス機能部252(図3中252aから252dで示す)と、かかる複数のデバイス機能部252それぞれの選択信号を生成するアドレスデコード部254と、かかる複数のデバイス機能部252を共通して動作させるチップセレクト受信端子256とを有している。
【0033】
制御デバイス260は、上述した端末制御部210として機能し、デバイス機能部252いずれかに対応するチップセレクト信号を送信する複数(本実施形態においては、4つ)のチップセレクト送信端子262を有している。さらに制御デバイス260は、アドレスバス280を介して複合デバイス250のアドレスデコード部254にアドレス信号を送信し、データバス282を介して複合デバイス250に含まれる複数のデバイス機能部252とデータ信号の送受信を行う。
【0034】
インターフェースデバイス270は、複数のチップセレクト信号の論理和をチップセレクト受信端子256に出力する。ここでは、チップセレクト信号を正論理としているのでインターフェースデバイス270として論理和を用いているが、負論理であれば論理積を用いることもできる。
【0035】
本実施形態において、制御デバイス260は、デバイス機能部252それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長のチップセレクト信号を各チップセレクト送信端子262から送信する。
【0036】
CPU等の制御デバイス260が複数のチップセレクト送信端子262を有していても、複合デバイス250がチップセレクト受信端子256を1つしか有さない場合、複合デバイス250の中のデバイス機能部252それぞれに対して制御デバイス260のチップセレクト送信端子262を割り当てることができない。
【0037】
本実施形態では、チップセレクト信号の2つの機能、即ち、デバイス選択機能と信号時間長特定機能のうちデバイス選択機能を複合デバイス250内のアドレスデコード部254に担わせ、信号時間長特定機能を制御デバイス260のチップセレクト送信端子262が担う。
【0038】
かかるチップセレクト送信端子262からのチップセレクト信号はその時間長を特定するだけなのでインターフェースデバイス270を通じて1つに纏めることが可能となり、複合デバイス250のチップセレクト受信端子256が1つであっても、デバイス機能部252に対して、それぞれ異なる時間長によるチップセレクトを実行することができる。したがって、複合デバイス250を構成するデバイス機能部252ごとに適したアクセススピードでデバイス機能部252を動作させることが可能となる。
【0039】
また、本実施形態において、制御デバイス260は、アクセススピードが所定範囲内にある(近似している)複数のデバイス機能部252に対して1のチップセレクト信号を送信することもできる。
【0040】
図4は、本実施形態にかかるアドレスマップを説明するための説明図であり、特に図4(a)は、従来のアドレスマップを、図4(b)は、本実施形態にかかるアドレスマップを示す。図5は、デバイス機能部のリード機能のアクセススピードのタイミングチャートを例示した図である。ここで、デバイス機能部252として、電源IC(図5中(a))、音源IC(図5中(b))、メモリ(図5中(c))、アプリケーションプロセッサ(図5中(d))を例として説明する。
【0041】
図4(a)に示すように、従来のアドレスマップを参照すると、1のデバイス機能部252に対してそれぞれ1のチップセレクト信号を送信している。
【0042】
ここで、図5を参照すると、電源ICと音源ICとのリード機能のアクセススピード(信号時間長)は近似している。そこで、図4(b)のアドレスマップに示すように、本実施形態では、アクセススピードが所定範囲内にある(近似している)複数のデバイス機能部252(ここでは電源ICおよび音源IC)を纏めている。
【0043】
これにより、かかるアクセススピードが所定範囲内にある複数のデバイス機能部252に対して1のチップセレクト信号、ここでは、図5(a)、(b)の信号時間長と実質的に等しい時間長を有する信号を送信すれば、チップセレクト信号の効率化を図ることが可能となる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態にかかる携帯通信端末100によれば、複合デバイス250のチップセレクト信号線の本数の変更をせずとも、デバイス機能部252ごとに適した条件で動作させることが可能となる。
【0045】
(第2の実施形態:携帯通信端末300)
図6は、携帯通信端末の他のハードウェア構成を説明するための説明図である。図6に示すように、携帯通信端末300は、汎用デバイス350と、制御デバイス360と、インターフェースデバイス370と、アドレスバス280と、データバス282と、RW信号線384と、を含んで構成される。図6中「R/W」はリードライト端子を示す。なお、上述した携帯通信端末100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
汎用デバイス350は、自体からデータを読み出させるリード機能を有するリード機能部352および自体にデータを書き込ませるライト機能を有するライト機能部354を備え、自体のチップセレクト受信端子356からのチップセレクト信号に応じてリード機能またはライト機能を実行する。
【0047】
制御デバイス360は、汎用デバイス350のリード機能またはライト機能それぞれに対応するチップセレクト信号を送信する複数のチップセレクト送信端子362を有している。さらに制御デバイス360は、アドレスバス280を介して汎用デバイス350にアドレス信号を送信し、RW信号線384を介して、汎用デバイス350のリード機能を有効にするか、またはライト機能を有効にするかを排他的に伝達する。そして、制御デバイス360は、データバス2382を介して汎用デバイス350とデータ信号の送信(汎用デバイス350のライト機能部354を有効にした場合)または受信(汎用デバイス350のリード機能部352を有効にした場合)を行う。
【0048】
インターフェースデバイス370は、複数のチップセレクト信号の論理和を汎用デバイス350に設けられたチップセレクト受信端子356に出力する。
【0049】
本実施形態において、制御デバイス360は、汎用デバイス350のリード機能およびライト機能それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長のチップセレクト信号を各チップセレクト送信端子362から送信する。
【0050】
従来、汎用デバイスはチップセレクト受信端子を1つしか有していないため、汎用デバイスのリード機能、ライト機能それぞれに対して単一の信号時間長しか設定することはできなかった。したがって、リード機能とライト機能とでアクセススピードが異なる場合、アクセススピードが遅い方にあわせて信号時間長を設定するしかなかった。
【0051】
本実施形態では、制御デバイス360がチップセレクト信号を利用して、リード機能、ライト機能それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長を設定することが可能となる。したがって、リード機能とライト機能のアクセススピードが異なる汎用デバイス350であっても、適応的にアクセススピードを選択して汎用デバイス350を動作させることができる。
【0052】
また本実施形態において、制御デバイス360は、アクセススピードが所定範囲内にある複数の汎用デバイス350のリード機能部352またはライト機能部354に対して1のチップセレクト信号を送信することもできる。
【0053】
図7は、本実施形態にかかるアドレスマップを説明するための説明図であり、特に図7(a)は、従来のアドレスマップを、図7(b)は、本実施形態にかかるアドレスマップを示す。図8は、リード機能とライト機能のアクセススピードが異なる場合のタイミングチャートである。ここで、汎用デバイス350として、電源IC、音源IC、メモリ、アプリケーションプロセッサを例として説明する。
【0054】
図7(a)に示すように、従来のアドレスマップを参照すると、1の汎用デバイス350に対して1のチップセレクト信号を送信している。したがって、1の汎用デバイス350において、リード機能とライト機能のアクセススピードが異なる場合、遅いほうのアクセススピードでかかる汎用デバイス350を動作させなければならない。図8においては、リード機能よりライト機能のほうが、アクセススピードが遅いため、制御デバイス360は、ライト機能のアクセススピードに応じた信号時間長でチップセレクト信号を送信することとなる。
【0055】
そこで、図7(b)のアドレスマップに示すように、本実施形態では、アクセススピードが所定範囲内にある(近似している)複数の汎用デバイス350のリード機能(図7(b)においては電源IC、音源ICおよびアプリケーションプロセッサのリード機能)を纏めている。これにより、かかるアクセススピードが所定範囲内にある複数の汎用デバイス350のリード機能またはライト機能に対して1のチップセレクト信号を送信すれば、チップセレクト信号の効率化を図ることが可能となる。
【0056】
以上、説明したように本実施形態にかかる携帯通信端末300によれば、汎用デバイス350のチップセレクト信号線の本数を増やすことなく、適した条件で汎用デバイス350を動作させることが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
例えば、上記第2の実施形態では、1のデバイス機能を有する汎用デバイス350について説明したが、これに限定されず、第1の実施形態にかかる複合デバイス250のデバイス機能部252のリード機能とライト機能のアクセススピードが異なる場合であっても、適応的にアクセススピードを選択してデバイス機能部252を動作させることができる。
【0059】
また、上記第1の実施形態にかかる制御デバイス260は、アクセススピードが所定範囲内にある複数のデバイス機能部252のリード機能またはライト機能に対して1のチップセレクト信号を送信することもできる。かかる構成により、1のチップセレクト信号でアクセス可能なデバイス機能部252のリード機能もしくはライト機能を纏めることができ、チップセレクト信号の効率化を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、複合デバイスを有する携帯通信端末に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態にかかる携帯通信端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態にかかる携帯通信端末の外観斜視図である。
【図3】第1の実施形態にかかる携帯通信端末のハードウェア構成を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施形態にかかるアドレスマップを説明するための説明図である。
【図5】デバイス機能部のリード機能のアクセススピードのタイミングチャートを例示した図である。
【図6】第2の実施形態にかかる携帯通信端末のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図7】第2の実施形態にかかるアドレスマップを説明するための説明図である。
【図8】リード機能とライト機能のアクセススピードが異なる場合のタイミングチャートである。
【図9】CPUからの従来の複合デバイスへのアクセスを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0062】
100、300 …携帯通信端末
210、310 …端末制御部
212 …メモリ
214 …表示部
216 …操作部
218 …音声入力部
220 …音声出力部
222 …無線通信部
250 …複合デバイス
252 …デバイス機能部
254 …アドレスデコード部
256、356 …チップセレクト受信端子
260、360 …制御デバイス
262、362 …チップセレクト送信端子
270、370 …インターフェースデバイス
280 …アドレスバス
282 …データバス
350 …汎用デバイス
352 …リード機能部
354 …ライト機能部
384 …RW信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイス機能部と、該複数のデバイス機能部それぞれの選択信号を生成するアドレスデコード部と、該複数のデバイス機能部を共通して動作させる1のチップセレクト受信端子と、を有する複合デバイスと、
前記複数のデバイス機能部いずれかに対応するチップセレクト信号を送信する複数のチップセレクト送信端子を有する制御デバイスと、
前記複数のチップセレクト信号の論理和を前記チップセレクト受信端子に出力するインターフェースデバイスと、
を備え、
前記制御デバイスは、前記デバイス機能部それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長のチップセレクト信号を前記複数のチップセレクト送信端子から送信することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記制御デバイスは、アクセススピードが所定範囲内にある複数のデバイス機能部に対して1のチップセレクト信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記制御デバイスは、アクセススピードが所定範囲内にある複数のデバイス機能部のリード機能またはライト機能に対して1のチップセレクト信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
自体からデータを読み出させるリード機能および自体にデータを書き込ませるライト機能を有し、自体のチップセレクト受信端子が受信したチップセレクト信号に応じて該リード機能またはライト機能を実行する汎用デバイスと、
前記汎用デバイスのリード機能またはライト機能それぞれに対応するチップセレクト信号を送信する複数のチップセレクト送信端子を有する制御デバイスと、
前記複数のチップセレクト信号の論理和を前記チップセレクト受信端子に出力するインターフェースデバイスと、
を備え、
前記制御デバイスは、前記汎用デバイスのリード機能およびライト機能それぞれのアクセススピードに応じた信号時間長のチップセレクト信号を前記複数のチップセレクト送信端子から送信することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項5】
前記制御デバイスは、アクセススピードが所定範囲内にある複数の汎用デバイスのリード機能またはライト機能に対して1のチップセレクト信号を送信することを特徴とする請求項4に記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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