説明

携帯通信装置及び制御方法、並びに音声出力システム

【課題】 血糖測定装置の操作性、携帯性を維持しつつ、音声出力機能を実現する。
【解決手段】 音声出力機能を実現するためのアプリケーションを備える携帯電話300であって、前記アプリケーションが起動されることで、血糖測定装置から送信される信号を受信するための通信を開始する通信部310と、前記血糖測定装置の操作内容を示す音声データを記憶する音声データ記憶部373と、前記血糖測定装置の内部状態に対応する識別子を含む信号を受信した場合に、前記音声データ記憶部に記憶された音声データの中から、当該内部状態に応じた音声データを選択する音声選択部375と、音声選択部375により選択された音声データを出力する再生処理部374とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信装置及びその制御方法、並びに該携帯通信装置と医療機器とからなる音声出力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療機器の分野では、測定時の内部状態や測定が完了した際の測定結果等を、音声出力によりユーザに報知する音声出力機能付きの機器が普及している。
【0003】
例えば、血糖測定装置では、測定時の内部状態の遷移に応じた操作ガイダンスや測定結果である血糖値データを音声出力することが可能である。血糖測定装置の場合、被検者が糖尿病患者であり、かつ、視力障害を有している場合が多いことから、このような音声出力機能は、被検者にとって非常に便利な機能といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4395146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、音声出力機能を搭載した機器の場合、その分、外形寸法が大きくなることから、操作性、携帯性に欠けるといった問題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、医療機器の操作性、携帯性を維持しつつ、音声出力機能を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る携帯通信装置は以下のような構成を備える。即ち、
音声出力機能を実現するためのアプリケーションを備える携帯通信装置であって、
前記アプリケーションが起動されることで、所定の医療機器から送信される信号を受信するための通信を開始する通信手段と、
前記所定の医療機器における操作内容を示す音声データを記憶する記憶手段と、
前記所定の医療機器より、前記所定の医療機器の内部状態に対応する識別子を含む信号を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された音声データの中から、当該内部状態に応じた前記音声データを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された音声データを音声出力する音声出力手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医療機器の操作性、携帯性を維持しつつ、音声出力機能を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯通信装置を備える血糖測定システムの100の外観構成を示す図である。
【図2】血糖測定装置200の測定装置本体部210の機能構成を示す図である。
【図3】携帯通信装置300の機能構成及び音声出力制御プログラムの機能構成を示す図である。
【図4】血糖測定システム100における血糖測定・出力処理の流れを示す図である。
【図5】携帯電話300における再生処理の流れを示す図である。
【図6】血糖測定システム100における履歴呼び出し・出力処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、医療機器として、血糖測定装置を用い、音声出力機能を実現するためのアプリケーションを備える携帯通信装置として、いわゆる携帯電話を用いた血糖測定システム(音声出力システム)を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
<1.血糖測定システムの外観構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯電話300を備える音声出力システムとしての血糖測定システム100の外観構成を示す図である。図1に示すように、血糖測定システム100は、血糖値を測定する血糖測定装置200と、測定時に血糖測定装置200の操作内容を音声によりガイダンスしたり、血糖測定装置200において測定された測定データ(血糖値データ)を音声出力したりするための携帯電話300と、を備え、互いに通信可能に接続される。なお、血糖測定装置200と携帯電話300との間の通信は、有線であっても無線であってもよい。また、無線通信の場合にあっては、電波による通信であっても、光や音波による通信であってもよい。
【0012】
血糖測定装置200は、測定装置本体部210と、測定装置本体部210に装着される測定用チップ220とを備える。
【0013】
測定用チップ220は、血液検体を保持するものであり、細管部221が配されたホルダ222を備え、ホルダ222内部には試験紙(不図示)が固定されている。
【0014】
細管部221は、毛細管現象により先端開口部から血液検体をホルダ222内部に導く。細管部221を介して導かれる血液検体は、ホルダ222内部の試験紙に吸収される。試験紙には、グルコースと反応して呈色反応を示す発色試薬が含浸されている。
【0015】
測定装置本体部210は、測定用チップ220に保持された血液検体の血糖値を算出する。具体的には、波長の異なる2つの光を血液検体が吸収された試験紙に対して照射して反射光の強度を測定することで血糖値を算出する。
【0016】
測定装置本体部210のハウジング211の先端には、波長の異なる2つの光を試験紙に照射して反射光の強度を測定する測定部212が配されている。また、ハウジング211の内部には、測定部212を制御するとともに測定部212で取得された測光値データに対して種々の演算を実行する制御部(不図示)が配されている。
【0017】
更に、ハウジング211の表面には、血糖測定装置200に電力を供給する電源に対してON/OFFの指示を入力するための電源スイッチ213と、制御部において算出された血糖値データや制御部において検知された内部状態を表示するための表示部214と、制御部において算出され測定日時と対応付けて記憶された過去の血糖値データを呼び出し、表示部214に表示させるための履歴呼び出しボタン215と、携帯電話300にて音声出力された内容を再出力させるための再生ボタン216と、が配されている。
【0018】
携帯電話300は、アンテナ316と、テンキー等を含む操作部311と、表示部312と、音声出力部314と音声入力部313とを備え、他の携帯電話等との間で通話を行ったり、メールのやりとりや各種データの送受信を行ったりすることができるよう構成されている。
【0019】
更に、本実施形態に係る携帯電話300では、血糖測定装置200からの指示に従って所定の音声を出力したり、血糖測定装置200から送信された血糖値データを処理し、所定のデータサーバにアップロードしたりするための機能を備える血糖測定装置用のアプリケーションがインストールされている。
【0020】
315は、当該血糖測定装置用のアプリケーションが起動されることで、表示部312に表示される操作画面の一例である。操作画面315に示すように、血糖測定装置用のアプリケーションは、測定時に血糖測定装置200からの指示に従って所定の音声を出力する音声出力モードと、血糖測定装置200から送信され、携帯電話300において受信日時と対応付けて記憶された過去の血糖値データを表示したり、当該血糖値データに所定の統計処理等を施したりする履歴データ処理モードと、血糖測定装置200から送信された測定結果である血糖値データを、所定のデータサーバ(病院のデータサーバ等)にアップロードするデータアップロードモードと、を有する。
【0021】
なお、本実施形態に係る携帯電話300では、血糖測定装置用のアプリケーションが有する上記各モードのうち、主に音声出力モードにおける処理(音声出力制御処理)について以下に説明する。
【0022】
<2.血糖測定装置の機能構成>
次に、血糖測定装置200の測定装置本体部210の機能構成について説明する。図2は、血糖測定装置200の測定装置本体部210の機能構成を示す図である。
【0023】
図2に示すように、測定装置本体部210の測定部212には、発光素子231と受光素子232とが配されている。発光素子231では、制御部240からの発光指示に基づいて発光を行い、受光素子232では、発光素子231の発光により血液検体が吸収された試験紙に照射された光の反射光を受光することで、測光値データを生成する。
【0024】
一方、測定装置本体部210のハウジング211内には、制御部240と、A/D変換器250と、表示制御部260と、入力受付部270と、通信部280とが配されている。
【0025】
このうち、A/D変換器250では、受光素子232において生成された測光値データを、A/D変換し、制御部240に入力する。
【0026】
制御部240は、CPU241と記憶部242とを備え、血糖測定装置200としての機能を実現するための各種プログラム及びデータ(A/D変換器250を介して入力された測光値データに基づいて、血糖値データを算出するためのプログラム及びデータも含む)は記憶部242に格納されており、適宜CPU241において実行される。
【0027】
更に、記憶部242には、血糖測定装置200の内部状態に対応する識別子や算出された血糖値データを、携帯電話300に送信するための通信制御プログラム243も格納されており、血糖測定処理の際に、逐次、通信部280を介して携帯電話300に情報(内部状態に対応する識別子や血糖値データ)を送信し、携帯電話300において所定の音声出力を実行することができるよう構成されている。
【0028】
表示制御部260は、制御部240からの表示指示に基づき、所定の画面(算出された血糖値データや制御部240の内部状態を示す情報を表示する画面)を表示部214に表示するよう制御する。入力受付部270は、図1の電源スイッチ213、履歴呼び出しボタン215、再生ボタン216からの指示を受け付け、当該受け付けた指示を制御部240に送信する。
【0029】
通信部280は、血糖測定処理の際に、携帯電話300に対して、血糖測定装置200の内部状態に対応する識別子や、算出された血糖値データを送信する。なお、通信部280の通信方式は、特定の通信方式に限定されるものではなく、電波であっても、光であっても音波であってもよい。
【0030】
このように、本実施形態では、血糖測定装置200に、通信制御プログラム243及び通信部280を配し、血糖測定装置の内部状態に対応する識別子や測定結果である血糖値データを携帯電話300に逐次送信する構成とすることで、携帯電話300において音声出力を行うことが可能となる。この結果、血糖測定装置200に、音声出力機能を搭載させる必要がなくなり、血糖測定装置200の外形寸法を削減することが可能となる(つまり、操作性、携帯性にすぐれた血糖測定装置を提供することが可能となる)。
【0031】
<3.携帯電話の機能構成及び音声出力制御プログラムの機能構成>
次に、携帯電話300の機能構成及び血糖測定装置用のアプリケーションに含まれる音声出力制御プログラムの機能構成について説明する。
【0032】
図3は、携帯電話300の機能構成を示す図である。なお、携帯電話300は、通話機能やメール送受信機能等、一般的な携帯電話が有する機能を有しているものとするが、図3の例では、特に、血糖測定装置用のアプリケーション(特に音声出力制御処理)の実行と関連する機能構成についてのみ図示している。
【0033】
図3に示すように、携帯電話300は、通信部310と、制御部340と、表示制御部320と、操作受付部330と、音声出力制御部360と、再生ボタン350とを備える。
【0034】
通信部310は、血糖測定装置200との間で通信を行う際に用いられる。なお、上述したように、血糖測定装置200との間の通信では、電波や光、音波等、任意の通信方式が適用可能である。
【0035】
表示制御部320は、血糖測定装置用のアプリケーションを選択するためのメニュー画面や、血糖測定装置用のアプリケーションが選択された場合に、その操作画面315を表示部312に表示するよう制御する。
【0036】
操作受付部330は、上記メニュー画面や操作画面上に表示された選択項目にカーソルを移動させるための矢印キーや、移動させたカーソル位置の選択項目を選択するための決定キー、ならびに各種テンキー等を含む操作部311からの被検者の操作を受け付ける。
【0037】
音声出力制御部360は、血糖測定装置200からの指示に基づいて、血糖測定装置用のアプリケーションが選択した音声データを音声出力部314を介して出力するよう制御する。なお、音声出力部314は、通話中は、通話相手側の音声を出力するよう構成されているものとする(つまり、血糖測定装置用のアプリケーションによる音声データの出力は、通話時に通話相手側の音声を出力する音声出力部を共有することにより実現される)。
【0038】
再生ボタン350は、血糖測定装置200からの指示に基づいて、音声出力部314より出力された音声データを、再度、出力するための指示を入力するボタンである。当該再生ボタン350が押圧されることで、直近に出力された音声データが、再度、出力されることとなる。なお、再生ボタン350は、操作部311とは別個に設ける構成としてもよいし、操作部311に含まれるいずれかのキーを、再生ボタン350として機能させるように構成してもよい。
【0039】
制御部(コンピュータ)340は、CPU341と記憶部342とを備える。血糖測定装置用のアプリケーションは、記憶部342に格納されており、CPU341によって実行される。
【0040】
なお、血糖測定装置用のアプリケーションが有する各モードのうち、音声出力モードにおいて実行される処理を実現するためのプログラム(音声出力制御プログラム370)は、血糖測定装置識別部371と、音声データ生成部372と、音声データ記憶部373と、再生処理部374と、音声選択部375とを備える。
【0041】
血糖測定装置識別部371は、血糖測定装置用のアプリケーションが起動され、音声出力モードが自動的に選択されて動作が開始した場合に、血糖測定装置200からの信号を受信することで、通信対象となる血糖測定装置を識別する。
【0042】
音声データ記憶部373は、血糖測定装置200からの指示に基づいて出力される音声データを記憶する。音声データは、血糖測定装置の内部状態に対応する識別子(データNo)と対応付けて記憶されているものとする(376参照)。
【0043】
音声データ生成部372は、血糖測定装置200から血糖値データが送信された場合に、音声データ記憶部373に記憶されている所定の音声データと合成し、測定結果を音声出力するための音声データを生成する。
【0044】
音声選択部375は、血糖測定装置200からの指示(血糖測定装置の内部状態に対応する識別子を含む)に基づいて、音声データ記憶部373に記憶された音声データの中から、対応する音声データを選択し、再生処理部374に入力する。また、血糖測定装置200から血糖値データが送信され、音声データ生成部372において測定結果を音声出力するための音声データが生成された場合にあっては、当該生成された音声データを再生処理部374に入力する。
【0045】
再生処理部374では、音声選択部375より入力された音声データを音声出力部314を介して音声出力する。
【0046】
<4.血糖測定システムにおける血糖測定・出力処理の流れ>
次に血糖測定システム100における血糖測定・出力処理の流れについて説明する。図4は、血糖測定システム100における血糖測定・出力処理の流れを示す図である。図4に示すように、血糖測定システム100では、血糖測定装置200における血糖測定処理の実行に伴って、携帯電話300が音声出力制御処理を実行する。
【0047】
具体的には、携帯電話300の電源が投入され、血糖測定装置用のアプリケーションが起動され、音声出力モードが自動選択されると、音声出力制御プログラム370が実行され、血糖測定装置200からの指示に基づく音声出力制御処理が開始される。
【0048】
音声出力制御処理が開始されると、ステップS421では、血糖測定装置識別部371が、血糖測定装置探索処理を実行し、血糖測定装置200からの信号送信の有無を確認する。
【0049】
一方、血糖測定装置200では、ステップS401において電源が投入されると、ステップS402において、血糖測定装置200を識別する識別情報、及び、電源がONされ測定モードにより血糖測定装置200の起動が完了したことを示す識別子(データNo.1)を含む信号が出力される。
【0050】
これにより、携帯電話300では、ステップS422において、血糖測定装置200から発信された信号を受信し、血糖測定装置200を識別した後、血糖測定装置200との間で通信を確立する。なお、血糖測定装置200との間で通信が確立した後は、当該通信が切断されるまでの間、血糖測定装置200以外の血糖測定装置からの信号を受け付けないように制御されるものとする。
【0051】
携帯電話300と血糖測定装置200との間で通信が確立されると、ステップS423では、受信した識別子(データNo.1)に対応する音声データ「チップを付けてください」を出力する。
【0052】
携帯電話300による音声出力に従って、ステップS403では、被検者が測定用チップ220を測定装置本体部210に装着する。測定用チップ220が測定装置本体部210に装着されることで、測定装置本体部210ではこれを認識し、ステップS404において、装着が完了したことを示す識別子(データNo.2)を携帯電話300に送信する。
【0053】
装着が完了したことを示す識別子を受信した携帯電話300では、ステップS424において、受信した識別子(データNo.2)に対応する音声データ「血液を付けて下さい」を出力する。
【0054】
携帯電話300による音声出力に従って、ステップS405では、被検者が測定用チップ220に血液を点着する。測定用チップ220への点着を検出すると、血糖測定装置200では、ステップS406において、携帯電話300に点着完了を示す識別子(データNo.3)を送信するとともに、ステップS407では、血糖値の測定を開始する。
【0055】
点着完了を示す識別子を受信した携帯電話300では、ステップS425において、受信した識別子(データNo.3)に対応する音声データ「9、8、・・・1」を出力する。
【0056】
血糖測定装置200では、携帯電話300によるカウントダウンの音声出力が完了するまでに、あるいは完了すると同時に、血糖値の測定が完了する(ステップS408)。
【0057】
血糖値の測定が完了した血糖測定装置200では、ステップS409において、測定結果である血糖値データを表示部214に表示する。
【0058】
更に、ステップS410において、測定結果である血糖値データを携帯電話300に送信する。血糖測定装置200より測定結果である血糖値データが送信された携帯電話300では、当該血糖値データを受信すると、ステップS426において、受信した血糖値データを受信日時と対応付けてメモリに保存する。
【0059】
更に、ステップS427では、ステップS426において受信した測定結果である血糖値データに基づいて、音声データを生成する。具体的には、データNo.4に示す音声データに、ステップS426において受信した測定結果である血糖値データを組み込み、「血糖値は○○です」という音声データを生成する。
【0060】
そして、ステップS428では、ステップS427で生成した音声データを出力する。音声データを出力した後は、血糖測定装置200の電源がOFFになるまで待機し、ステップS411において、血糖測定装置200の電源がOFFになると、ステップS429では、携帯電話300が血糖測定装置200との通信を切断する。
【0061】
なお、血糖測定装置200との通信を終了した後は、音声出力制御処理を終了するように構成してもよいし、ステップS421に戻り、他の血糖測定装置を検索するように構成してもよい。
【0062】
<5.携帯電話における再生処理の流れ>
次に携帯電話300における再生処理の流れについて説明する。携帯電話300では、血糖測定装置200において再生ボタン216が押圧された場合、または携帯電話300において再生ボタン350が押圧された場合に、音声データの再生処理を行うよう構成されている。
【0063】
具体的には、図5に示すように、音声出力制御処理が開始されると同時に再生処理が開始され、血糖測定装置200より、再生ボタン216が押圧された旨の信号を受信していないか、あるいは、携帯電話300において、再生ボタン350が押圧されていないかの判定を開始する(ステップS501)。
【0064】
ステップS501において、再生ボタン216が押圧された旨の信号を受信したと判定された場合、あるいは、携帯電話300において、再生ボタン350が押圧されたと判定された場合には、ステップS502に進む。
【0065】
ステップS502では、音声選択部375が、直近に選択した音声データを識別し、当該音声データを再生処理部374に入力する。なお、直近に選択した音声データが、測定結果である血糖値データを音声出力するための音声データであった場合には、当該生成された音声データを再生処理部374に入力する。
【0066】
ステップS503では、再生処理部374が、当該入力された音声データを、音声出力部314を介して音声出力するよう制御する。
【0067】
ステップS504では、音声出力制御処理が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS501に戻る。一方、音声出力制御処理が終了したと判定された場合には、あわせて再生処理も終了する。
【0068】
このように再生処理が実行されることにより、例えば、図4のステップS423の後に再生ボタンが押圧された場合にあっては、ステップS423において音声出力された音声データが再度出力され、ステップS424の後に再生ボタンが押圧された場合にあっては、ステップS424において音声出力された音声データが再度出力される。
【0069】
更に、ステップS428の後に再生ボタンが押圧された場合にあっては、ステップS428において音声出力された音声データが再度出力される。
【0070】
つまり、血糖測定装置及び携帯電話のそれぞれに配された再生ボタンのうち、いずれかの再生ボタンが押圧されることで、直近に音声出力された音声データが再生されることとなり、被検者は音声データを聞き逃した場合であっても、再度音声データを聴取することが可能となる。
【0071】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る携帯電話300では、血糖測定装置200の操作内容を示す音声データ及び測定結果である血糖値データを音声出力するための音声データを記憶しておき、血糖測定装置200からその内部状態に対応する識別子を受信した場合にあっては、対応する操作内容を示す音声データを出力する構成とした。また、測定結果である血糖値データを受信した場合にあっては、当該血糖値データと当該血糖値データを音声出力するための音声データとを合成し、血糖値データを音声出力するための音声データを生成したうえで、出力する構成とした。
【0072】
これにより、血糖測定装置の測定時の内部状態に応じた操作ガイダンスや測定結果である血糖値データを、携帯電話にて音声出力させることが可能となり、血糖測定装置に音声出力機能を配することなく、音声出力機能を実現することが可能となる。
【0073】
つまり、血糖測定装置の操作性、携帯性を維持しつつ、音声出力機能を実現することが可能となる。
【0074】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、血糖測定装置200の測定モードにて血糖測定処理が行われた場合の、携帯電話300における音声出力制御処理について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、血糖測定装置200にて過去に測定され、記憶部242内に測定日時と対応付けて記憶されている過去の血糖値データを呼び出す場合(つまり、履歴呼び出しボタン215が押圧され履歴呼び出しモードに移行した場合)であっても、適用可能である。
【0075】
そこで、本実施形態では、血糖測定装置200において履歴呼び出しボタン215が押圧された場合の、携帯電話300における音声出力制御処理について説明する。
【0076】
図6は、血糖測定システム100における履歴呼び出し・出力処理の流れを示す図である。なお、図6において、携帯電話300及び血糖測定装置200の電源がそれぞれ投入され、両者の間で通信が確立するまでの処理は、上記第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0077】
携帯電話300との通信が確立した血糖測定装置200において、被検者が履歴呼び出しボタン215を押圧すると(ステップS603)、ステップS604では、血糖測定装置200が履歴呼び出しモードに移行したことを示す識別子が携帯電話300に送信される。
【0078】
履歴呼び出しモードに移行したことを示す識別子を受信した携帯電話300では、ステップS623において、当該識別子に対応する音声データ「履歴呼び出しモードです」を出力する。なお、当該音声データは、音声データ記憶部373に、所定のデータNoと対応付けて予め格納されているものとする。
【0079】
履歴呼び出しモードに移行した血糖測定装置200では、記憶部242内に測定日時と対応付けて記憶されている過去の血糖値データを呼び出し、表示部214に表示する。具体的には、履歴呼び出しボタン215が1回押圧されると、前回測定された血糖値データとその測定日時が表示される。更に、もう1回押圧されると、前々回測定された血糖値データとその測定日時が表示される。更に、履歴呼び出しボタン215が長押しされると、過去の血糖値データとその測定日時とが、早送りで表示される。
【0080】
ステップS605において、被検者が、所望の回数だけ履歴呼び出しボタン215を押圧することで過去の血糖値データを選択すると、ステップS606では、押圧後に表示部214に表示された血糖値データと、該血糖値データを測定した測定日時に関する情報とを、携帯電話300に送信する。
【0081】
血糖測定装置200より血糖値データと測定日時に関する情報とが送信されると、携帯電話300では、これを受信する(ステップS624)。更に、ステップS625において、ステップS624において受信した血糖値データ及び測定日時に基づいて、音声データを生成する。具体的には、「○月○日○時、血糖値は○○です」という音声データを生成する。なお、音声データ記憶部373には、血糖値データと該血糖値データの測定日時とを音声出力する際に用いられる音声データが予め記憶されているものとする。
【0082】
そして、ステップS626では、ステップS625で生成した音声データを出力する。音声データを出力した後は、血糖測定装置200の電源がOFFになるまで待機し、ステップS410において、血糖測定装置200の電源がOFFになると、ステップS429では、携帯電話300が血糖測定装置200との通信を切断する。
【0083】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る携帯電話300では、血糖測定装置200において履歴呼び出し処理が行われ、所定の血糖値データが選択された場合に、当該選択された血糖値データと当該血糖値データの測定日時情報とを受信し、音声データを生成したうえで、出力する構成とした。
【0084】
これにより、血糖測定装置200において履歴呼び出しボタンが押圧された場合にも対応することが可能となる。
【0085】
なお、上記説明では、血糖測定装置200の電源が投入された後に、履歴呼び出しボタンが押圧されることで履歴呼び出しモードに移行した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、血糖測定処理が行われた後に、履歴呼び出しボタンが押圧されることで履歴呼び出しモードに移行した場合であっても同様である。
【0086】
また、上記説明では、特に履歴呼び出しモードに移行後に再生ボタンが押圧される場合についてまでは特に言及しなかったが、履歴呼び出しモードに移行後に再生ボタンが押圧された場合の、携帯電話300における再生処理は、図5を用いて説明した再生処理と基本的に同じである。つまり、再生ボタンが押圧された旨の信号を受信したと判定された場合に、直近に出力された音声データ(血糖値データとその測定日時とが含まれる音声データ)が再度出力されることとなる。
【0087】
また、上記説明では、履歴呼び出しボタン215が押圧されることで、ただちに履歴呼び出しモードに移行することとしたが、本発明はこれに限定されず、血糖測定装置200が測定モードで、かつ点着完了識別子が送信されてから(ステップS406)、血糖値データを取得する(ステップS426)までの間は、血糖測定装置200からの履歴呼び出しモード識別子の送信を受け付けないように構成してもよい。
【0088】
また、上記説明では、履歴呼び出しボタン215が押圧された回数に応じて過去の血糖値データが選択される構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、履歴呼び出しボタン215が押圧された回数に応じて表示部214に過去の血糖値データが表示された状態で、他のボタン(例えば、再生ボタン216)が押圧されたことを契機として、血糖値データ及び測定日時に関する情報が携帯電話300に送信されるように構成してもよい。
【0089】
また、上記説明では、血糖値データ及び測定日時に関する情報を受信した場合に、ただちに音声データを出力する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、携帯電話300にて再生ボタンが押圧された場合に、音声データを出力するように構成してもよい。
【0090】
[その他の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、音声出力機能を有する血糖測定装置200を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、音声出力機能を有する医療機器であれば、他の医療機器であってもよい。
【符号の説明】
【0091】
100・・・血糖測定システム(音声出力システム)、200・・・血糖測定装置、210・・・測定装置本体部、211・・・ハウジング、212・・・測定部、213・・・電源スイッチ、214・・・表示部、215・・・履歴呼び出しボタン、216・・・再生ボタン、220・・・測定用チップ、221・・・細管部、222・・・ホルダ、300・・・携帯電話、311・・・操作部、312・・・表示部、313・・・音声入力部、314・・・音声出力部、315・・・操作画面、316・・・アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力機能を実現するためのアプリケーションを備える携帯通信装置であって、
前記アプリケーションが起動されることで、所定の医療機器から送信される信号を受信するための通信を開始する通信手段と、
前記所定の医療機器の操作内容を示す音声データを記憶する記憶手段と、
前記所定の医療機器より、前記所定の医療機器の内部状態に対応する識別子を含む信号を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された音声データの中から、当該内部状態に応じた前記音声データを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された音声データを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする携帯通信装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記音声データを、前記所定の医療機器の内部状態に対応する識別子と対応付けて記憶しており、
前記選択手段は、前記受信した信号に含まれる、前記所定の医療機器の内部状態に対応する識別子に対応付けて記憶された音声データを選択することを特徴とする請求項1に記載の携帯通信装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、更に、前記所定の医療機器において測定された測定データを音声出力する際に用いられる音声データを記憶しており、
前記携帯通信装置は、更に、
前記所定の医療機器において測定された測定データを受信した場合に、前記記憶手段に記憶された該音声データと、該受信した測定データとを合成し、測定データを音声出力するための音声データを生成する生成手段を備え、
前記選択手段は、前記所定の医療機器より、前記所定の医療機器において測定された測定データを受信した場合、前記生成手段において生成された音声データを選択することを特徴とする請求項2に記載の携帯通信装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、更に、前記所定の医療機器において測定された測定データと、該測定データの測定日時に関する情報とを音声出力する際に用いられる音声データを記憶しており、
前記生成手段は、更に、前記所定の医療機器において測定された測定データと、該測定データの測定日時に関する情報とを受信した場合に、前記記憶手段に記憶された該音声データと、該受信した測定データ及び測定日時に関する情報とを合成し、測定データを音声出力するための音声データを生成し、
前記選択手段は、前記所定の医療機器より、前記所定の医療機器において測定された測定データ及び測定日時に関する情報を受信した場合、前記生成手段において生成された音声データを選択することを特徴とする請求項3に記載の携帯通信装置。
【請求項5】
前記出力手段において出力された音声データを再生するための指示を入力する指示手段を更に備え、
前記指示手段を介して再生の指示が入力された場合に、前記選択手段は、直近に選択した音声データを選択し、前記出力手段は、該選択手段が選択した音声データを出力することを特徴とする請求項3または4に記載の携帯通信装置。
【請求項6】
前記所定の医療機器より、音声データを再生するための指示が送信された場合、前記選択手段は、直近に選択した音声データを選択し、前記出力手段は、該選択手段が選択した音声データを出力することを特徴とする請求項3または4に記載の携帯通信装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の携帯通信装置と、所定の医療機器とを備えることを特徴とする音声出力システム。
【請求項8】
音声出力機能を実現するためのアプリケーションを備え、所定の医療機器の操作内容を示す音声データを記憶部に記憶する携帯通信装置における制御方法であって、
前記アプリケーションが起動されることで、前記所定の医療機器から送信される信号を受信するための通信を開始する通信工程と、
前記所定の医療機器より、前記所定の医療機器の内部状態に対応する識別子を含む信号を受信した場合に、前記記憶部に記憶された音声データの中から、当該内部状態に応じた音声データを選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された音声データを音声出力する音声出力工程と
を備えることを特徴とする携帯通信装置の制御方法。
【請求項9】
音声出力機能を実現するためのプログラムであって、所定の医療機器の操作内容を示す音声データを記憶部に記憶する携帯通信装置のコンピュータに、
前記プログラムが起動されることで、前記所定の医療機器から送信される信号を受信するための通信を開始する通信工程と、
前記所定の医療機器より、前記所定の医療機器の内部状態に対応する識別子を含む信号を受信した場合に、前記記憶部に記憶された音声データの中から、当該内部状態に応じた音声データを選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された音声データを音声出力する音声出力工程と
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−141204(P2012−141204A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293748(P2010−293748)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】