説明

携帯通信装置

【課題】防犯効果をより高くすることができ、犯罪に巻き込まれる恐れをより低減することができる携帯通信装置を提供することにある。
【解決手段】他の通信装置と通信する通信部と、自身の位置情報を取得する位置情報取得部と、他の通信機器からの着信を通知する着信音を出力する音声出力部と、警戒領域に関連する警戒情報を記憶する記憶部と、位置情報取得部により取得した自身の位置情報が警戒領域内であると判定したら音声出力部から擬似的な着信音を出力させる制御部と、を有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の通信機器との通信を行う携帯通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯通信装置には、種々の機能が搭載されている。この機能の1つとして防犯機能がある。この防犯機能としては、自身が現在いる位置を含む一定領域の犯罪情報を取得する機能がある。例えば、特許文献1には、サーバが、移動端末から送られた移動端末の位置情報と、自身が記憶しているサービス提供エリア内で過去に発生した複数の犯罪について、夫々、その犯罪の発生日時、発生場所、犯罪内容を示す犯罪情報と、に基づいて移動端末が存在する地域の犯罪情報を送る犯罪情報提供システムが記載されている。なお、サーバは、犯罪情報をメール等で移動機器に送信する。特許文献1に記載のシステムを用いることで、移動端末は、自身の位置情報をサーバに送るだけで、自身がいる地域の犯罪情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−277952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の移動端末は、メール等で犯罪情報を取得しているため、犯罪情報を確認するためには文字及び画像が表示された画面を見る必要がある。そのため、ユーザは、画面を見ている間、周辺への注意が散漫となる可能性がある。また、周囲からユーザが画面を見ている状態を確認することができ、すぐに電話をかけることが出来ない状態であることが認識されてしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、防犯効果をより高くすることができ、犯罪に巻き込まれる恐れをより低減することができる携帯通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、他の通信装置と通信する通信部と、自身の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記他の通信機器からの着信を通知する着信音を出力する音声出力部と、警戒領域に関連する警戒情報を記憶する記憶部と、前記位置情報取得部により取得した自身の位置情報が前記警戒領域内であると判定したら前記音声出力部から擬似的な着信音を出力させる制御部と、を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記制御部は、前記通信部を介して、前記位置情報取得部が取得した位置を含む領域の地図情報及び当該地図情報に含まれる警戒領域の情報を取得し、前記記憶部に記憶させることが好ましい。
【0008】
また、前記他の通信機器からの受信した音声を出力するレシーバ部と、操作部と、をさらに有し、前記制御部は、前記音声出力部から前記擬似的な着信音を出力させた状態で前記操作部に操作が入力されたら、前記レシーバ部から前記警戒情報を出力させることが好ましい。
【0009】
また、前記記憶部は、前記警戒情報として、前記警戒領域を含む地図情報を記憶し、前記制御部は、前記警戒情報として、前記地図情報に基づいて自身の位置から前記警戒領域外まで移動する経路の音声を前記レシーバ部から出力させることが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記音声出力部から前記通知音を出力させた状態で前記操作部に通話を開始する操作と同一の操作が入力されたら、前記警戒情報の出力を開始させることが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記レシーバ部から前記警戒情報を出力させる間に、前記位置情報取得部により自身の位置情報を再取得し取得した自身の位置情報が前記警戒領域内ではないと判定したら、前記警戒情報の出力を終了させることが好ましい。
【0012】
また、時間を取得するタイマと、振動を発生させる振動部と、をさらに有し、前記記憶部は、警戒時間帯の情報を記憶し、前記制御部は、前記自身の位置情報が前記警戒領域内であると判定した時、前記タイマで取得した時間が前記警戒時間帯である場合は前記音声出力部から前記擬似的な着信音を出力させ、前記タイマで取得した時間が前記警戒時間帯ではない場合は前記振動部により振動を発生させることが好ましい。
【0013】
また、前記擬似的な着信音は、前記着信音として設定されていない音であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる携帯通信装置は、防犯効果をより高くすることができ、犯罪に巻き込まれる恐れをより低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の携帯通信装置を有する通信システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は、図1に示す本発明の携帯通信装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】図3は、図2に示す携帯通信装置の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、携帯通信装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【図5】図5は、携帯通信装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【図6】図6は、携帯通信装置の処理動作を説明するための説明図である。
【図7】図7は、携帯通信装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯通信装置の一例として携帯電話機を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではなく、通話機能を備える種々の通信機器に用いることができる。例えば、携帯通信装置としては、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA等に対しても本発明は適用できる。また、携帯通信装置として、通信機能を備える専用の防犯装置にも用いることができる。また、本発明の通信システムを構成する後述する救出側の通信装置には、固定端末も用いることができ、例えば、固定式の電話機、複合機、PC(Personal Computer)にも用いることができる。
【0017】
図1は、本発明の携帯通信装置を有する本発明の通信システムの概略構成を示す説明図である。図1に示す通信システム1は、GPS衛星2と、通信網3と、サーバ6と、複数の携帯通信装置10、10a、10bとで構成されている。
【0018】
GPS衛星2は、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)の通信機能を備える通信装置(通信端末、通信機器)に、該通信装置の位置情報を送信(提供)する衛星である。なお、図1でGPS衛星2を1つのみ示したが、GPS衛星2は、通信装置の位置を特定するために必要な数(主として3つ、4つ)が配置されている。複数のGPS装置2は、通信装置の位置情報の特定に必要なGPS信号(GPS衛星2の位置情報や時間情報)を出力する。なお通信装置は、GPS衛星2から出力されるGPS信号を取得し解析することで自身の位置情報を取得する。
【0019】
通信網3は、複数の基地局や、交換機や、有線の通信回線で構成されている。通信網3は、有線、無線の通信回線を用いて通信装置と他の通信装置との間での情報通信を行う。通信網3は、通信装置間で通信を行うことができれば、種々の通信方法を用いることができる。例えば、衛星回線を利用して通信を行ってもよい。
【0020】
サーバ6は、地図情報、防犯情報、各通信装置を特定する情報(電話番号、アドレス)等種々のデータを有し、通信網3を介して携帯通信装置10、10a、10bと通信し、種々の情報を供給する。また、サーバ6は、通信装置から情報を受信し、その情報を他の通信機器に送信する、情報の中継も行う。
【0021】
携帯通信装置10、10a、10bは、通信網3との間で無線通信を行う通信端末である。携帯通信装置10は、音声信号等の信号を通信網3に送信し、通信網3から音声信号等の信号を受信する。また、それぞれの携帯通信装置には、固有の電話番号、端末番号が割り当てられ、記憶されている。携帯通信装置10、10a、10bの構成については、後ほど説明する。
【0022】
通信システム1は、以上のような構成である。通信システム1は、ユーザの操作により携帯通信装置10に発信操作が入力されると、携帯通信装置10から通信網3に対して、発信信号と通信先の電話番号の情報が送られる。通信網3は、入力された通信先の電話番号が割り当てられている携帯通信装置10を検索し、通信先の携帯通信装置10に着信を通知する。その後、通信先の携帯通信装置10で通話開始の操作が入力されたら、通信網3を介して通信を行う。つまり、通信システム1は、通信網3を介して情報の送受信を行うことで、携帯通信装置10間で通信を行う。なお、通信システム1において、通信端末間での通信は、音声通信に限定されず、データの送受信も行う。また、通信システム1を構成する携帯通信装置10は、GPS衛星2から位置情報を取得することもできる。また、図1では、サーバ6を1つのみ、携帯通信装置10は、3つのみ(10、10a、10b)を図示しているが、通信システム1は、多数の、サーバ6と、携帯通信装置10で構成することができる。また、図1では、通信システム1の通信網3で通信を行う機器として、携帯通信装置10、10a、10b、サーバ6のみを示したが、通信網3で通信可能な機器は、これには限定されない。通信システム1は、通信網3を介して、公衆通信網で通信可能な種々の通信機器間で通信を実行できる。例えば、PC(Personal Computer)等の情報通信機能を備える固定型の情報端末や、有線の電話回線を介して通信網3と接続された電話装置(固定電話)との間でも通信を実行できる。
【0023】
次に、携帯通信装置10、10a、10bについて説明する。なお、携帯通信装置10と、携帯通信装置10aと、携帯通信装置10bとは、同様の装置構成であるので、以下、携帯通信装置10を用いて説明する。図2は、図1に示す携帯通信装置の概略構成を示す正面図である。携帯通信装置10は、無線通信機能を備えた携帯電話機である。携帯通信装置10は、筐体10Cが第1筐体10CAと第2筐体10CBとで開閉可能に構成された、折り畳み式の携帯電話機である。なお、図2は、携帯通信装置10を開いた状態である。なお、本実施形態では、携帯通信装置10の筐体10Cを折り畳み式としたが、筐体の形状は特に限定されない。筐体は種々の形態とすることができ、例えば、スライド式、サクロイド式、リボルバー式、ストレート式等でもよい。
【0024】
第1筐体10CAには、表示部として、図2に示すメインディスプレイ12Mが設けられる。メインディスプレイ12Mは、所定の画像として、携帯通信装置10が受信を待機している状態のときに待ち受け画面を表示したり、携帯通信装置10の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。また、図2に示すように、第1筐体10CAには、携帯通信装置10の通話時に音声を発するレシーバ16が設けられている。
【0025】
第2筐体10CBには、通話する相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー13が複数設けられ、また、メインディスプレイ12Mに表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー14が設けられる。操作キー13には、発信時に押下されることで発信動作を開始し、着信時に押下されることで通話を開始する通話キー(オフフックキー)13aを有する。操作キー13、及び方向及び決定キー14は、携帯通信装置10の操作部28(図3参照)を構成する。また、第2筐体10CBには、携帯通信装置10の通話時に音声を受け取るマイク15が設けられる。また、第2筐体10CBには、操作キー13が設けられている面と反対側の面にスピーカ17が設けられている。
【0026】
また、第1筐体10CAと第2筐体10CBとは、ヒンジ18で連結されている。これによって、第1筐体10CA及び第2筐体10CBは、ヒンジ18を中心としてともに回動して、互いに遠ざかる方向及び互いに接近する方向に回動できるように構成される。第1筐体10CAと第2筐体10CBとが互いに遠ざかる方向に回動すると携帯通信装置10が開き、第1筐体10CAと第2筐体10CBとが互いに接近する方向に回動すると携帯通信装置10が閉じる。
【0027】
次に、携帯通信装置10の機能と制御部との関係を説明する。図3は、図2に示す携帯通信装置の機能の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように携帯通信装置10は、主制御部22と、記憶部24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、表示制御部33と、GPS通信部34と、振動部36と、タイマ部38と、を有する。
【0028】
主制御部22は、携帯通信装置10の全体的な動作を統括的に制御する処理部、例えばCPU(Central Processing Unit)である。すなわち、携帯通信装置10の各種の処理が、操作部28の操作や携帯通信装置10の記憶部24に保存されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、通信部26、表示部32等の動作を制御する。主制御部22は、記憶部24に保存されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、主制御部22は、複数のプログラム(アプリケーション、ソフトウェア)を並列で実行することができる。
【0029】
記憶部24には、主制御部22での処理に利用されるアプリケーションのプログラムやデータが保存されている。具体的には、アプリケーションのプログラムとして、発信、着信、通話処理を行うアプリケーションのプログラム、防犯動作を処理するアプリケーションのプログラムや、救出動作を処理するアプリケーションのプログラムや、メールの送受信を行うアプリケーションのプログラム等が保存されている。また、記憶部24には、防犯動作を実行するアプリケーションのプログラム(防犯プログラム)24aが保存されている。また、データとしては、画像データ、音声データ、文字変換のための辞書データ、アドレス帳データ等が記憶されている。また、データとして、地図情報や、位置情報に対応付けられた警戒情報、音声による案内情報を作成するための音声データ等が記憶されている。
【0030】
通信部26は、上述した通信網3の基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。このため、ユーザは、通信部26による通信により所望の相手との通話が可能となる。
【0031】
操作部28は、例えば、通話キー13a、電源キー、数字キー、文字キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられた操作キー13と、方向及び決定キー14とで構成される。操作部28は、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。そして、発生した信号は、ユーザの指示として主制御部22へ入力される。
【0032】
音声処理部30は、マイク15に入力される音声信号やレシーバ16、スピーカ(音声出力部)17から出力される音声信号の処理を実行する。なお、レシーバ16は、電話等の音声通信時の音声の出力等に使用され、スピーカ17は、着信音の出力等に使用される。なお、レシーバ16とスピーカ17とを一体で(一つの音声出力部で)構成してもよい。
【0033】
表示部32は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネル(上述したメインディスプレイ12M等)を備え、主制御部22から表示制御部33を介して供給される映像データに応じた映像、画像データに応じた画像を表示パネルに表示させる。
【0034】
GPS通信部34は、GPS衛星2から出力されるGPS信号を受信する通信部である。また、GPS通信部34は、出力されるGPS信号を受信し解析することで携帯通信装置10の緯度経度を算出し、算出した緯度経度の情報を主制御部22に送る。具体的には、複数のGPS衛星2からGPS信号を取得し、GPS信号に含まれる時間情報と取得した時間情報との時間差や、受信した伝播電波の強度等によりそれぞれのGPS衛星2からの距離を算出する。GPS通信部34は、GPS衛星2からの距離と各GPS衛星2の位置情報を解析することで、自身の位置を算出する。
【0035】
振動部(バイブレータ)36は、筐体10Cの内部に設けられた筐体10Cを振動させる振動発生機構である。振動発生機構としては、偏心モータを用いることができる。振動部36は、他の端末からの通話の着信の通知時、EメールやCメール、ショートメール等のお知らせの着信の通知時や、アラーム機能利用時に、主制御部22の制御により駆動され、筐体10Cを振動させる。
【0036】
タイマ部38は、時刻をカウントしており、時刻の情報を、主制御部22へ向けて出力可能となっている。なお、タイマ部38は、通信部26を介して時刻情報を取得することで、基準時刻とのズレを補正することができる。
【0037】
次に、図4及び図5を用いて、携帯通信装置10の動作について説明する。ここで、図4及び図5は、それぞれ携帯通信装置の処理動作の一例を示すフロー図である。なお、図4及び図5に示す処理は、携帯通信装置10は、記憶部24に記憶されている防犯プログラム24aを主制御部22で処理することで実行される。
【0038】
まず、携帯通信装置10は、電源がOFFとなっている。つまり、各部への電力の供給が停止している状態で、表示部32にも画像が表示されていない状態である。この状態から、携帯通信装置10は、ステップS12として電源をONにする。具体的には、主制御部22は、ユーザによって、操作部28の電源ボタンが押下されたら、また、タイマ等で電源ON動作が設定された時間になったら等、電源をONにする指示を検出したら、電源をONにする。つまり、主制御部22は、各部への電力の供給を開始し、各種処理機能を起動させる。なお、主制御部22も電源がOFF状態の場合は、最小限の機能のみを実行するようにする。また、主制御部22は、防犯プログラム24aを記憶部24から読み出し、防犯動作を処理するアプリケーションを起動させる。主制御部22は、ステップS12で電源をONにしたら、防犯動作の処理を開始する。
【0039】
携帯通信装置10は、ステップS12で電源をONにしたら、ステップS14として待ち受け状態であるかを判定する。ここで、待ち受け状態とは、ユーザの操作の入力、または、予め設定した条件を満たすことを待っている状態(いわゆる待ち受け画面を表示させている状態)である。つまり、待ち受け状態とは、常時起動されているプログラム等を除いたアプリケーションが起動されてない状態である。
【0040】
主制御部22は、ステップS14で待ち受け状態ではない(No)と判定したら、ステップS16としてアプリケーションの処理を実行する。主制御部22は、ステップS14で待ち受け状態ではないと判定する場合は、何らかのアプリケーションを実行している状態であるため、当該実行中のアプリケーション(メールの送受信や、通話、ウェブサイト閲覧)の処理を実行する。主制御部22は、ステップS16で処理を実行したら、ステップS14に進み、再び待ち受け状態であるかを判定する。
【0041】
また、主制御部22は、ステップS14で待ち受け状態である(Yes)と判定したら、ステップS18として位置情報を取得する。つまり、主制御部22は、GPS通信部34によりGPS衛星2と通信を行い、自身の位置情報を取得する。また、主制御部22は、自身の位置情報の取得とともに、警戒領域(危険領域)の情報が含まれた地図情報を取得する。なお、地図情報の取得方法は特に限定されない。例えば、携帯通信装置10は、記憶部24に記憶しておきそのデータを読み出しても、通信部26を介して外部の記憶装置(サーバ6)等から取得してもよい。この時主制御部22は、取得した自身の位置情報を基準として(例えば、自身の位置情報を含むように)地図情報を取得すればよい。なお、主制御部22は、基地局との通信により自身がいる領域を検出しておき、予め地図情報を読み出して、または取得しておいてもよい。
【0042】
主制御部22は、ステップS18で位置情報を取得しかつ地図情報も取得したら、ステップS20として警戒領域であるかを判定する。つまり、主制御部22は、ステップS18で取得した自身の位置情報が警戒領域に含まれているか(自身が警戒領域内にいるか)を判定する。ここで、警戒領域とは、地図情報と共に取得される区域(地域)の情報であり、過去に犯罪、事故が発生した区域、治安の悪い区域、暗い区域、人通りの少ない区域であり、犯罪等の危険なことに巻き込まれる可能性が他の区域よりも高い区域である。
【0043】
主制御部22は、ステップS20で警戒領域ではない(No)、つまり、自身の位置情報が警戒領域に含まれていない(警戒領域外である)と判定したら、ステップS28に進む。また、主制御部22は、ステップS20で警戒領域である(Yes)、つまり、自身の位置情報が警戒領域に含まれていると判定したら、ステップS22として警戒モード処理を行う。以下、図5を用いて、警戒モード処理について説明する。
【0044】
まず、主制御部22は、ステップS30として、スピーカ17から擬似着信音を出力する。つまり、主制御部22は、警戒領域に入ったことを着信音で通知する。このように、主制御部22は、ステップS30で他の通信端末から電話がかかっていない状態で着信音を出力する擬似着信を行う。また、主制御部22は、マナーモード、消音モード等の着信音を出力しない設定になっている場合でも、警戒領域に入った場合には擬似着信音を出力する。
【0045】
主制御部22は、ステップS32で着信音を出力したら、ステップS32として、通話キー13aが押下されたかを判定する。主制御部22は、ステップS32で通話キー13aが押下されていない(No)と判定したら、ステップS30に進み、着信音の出力を継続する。また、主制御部22は、ステップS30で通話キー13aが押下された(Yes)と判定したら、ステップS34に進む。つまり、主制御部22は、着信時の通常の通話開始動作が入力されるまで、擬似着信音を出力する。
【0046】
主制御部22は、通話キー13aが押下された(Yes)と判定したら、ステップS34として、音声ガイド情報を生成する。具体的には、主制御部22は、取得した位置情報と、その位置を含む地域の地図情報と、警戒領域の情報とを用いて、現在の位置から警戒領域の外に出るまでの移動経路を検出する。なお、移動経路は、設定によって、種々の経路とすることができるが、最短経路、または最も安全と判定できる経路をユーザに提示(音声ガイドで出力する)ことが好ましい。移動経路として最短経路を提示することでユーザを短時間で警戒領域の外に移動させることができる。また、移動経路として最も安全と判断できる経路を提示することで、犯罪、事故等に巻き込まれるおそれをより少なくすることができる。その後、主制御部22は、作成した移動経路を音声で案内するための音声ガイド情報を作成する。主制御部22は、ステップS34で音声ガイド情報を生成したら、ステップS36として、レシーバ16から音声ガイドを出力する。つまり、主制御部22は、ステップS34で作成した音声ガイド情報を音声ガイドとしてレシーバ16(つまり、通話音声を出力するレシーバ部)から出力する。なお、レシーバ16に音声ガイドを出力させるとともに表示部32に地図情報(後述する図6参照)を表示させてもよい。
【0047】
主制御部22は、ステップS36で音声ガイドの出力を開始したら、ステップS38として位置情報を取得する。つまり、主制御部22は、GPS通信部34によりGPS衛星2と通信を行い、自身の位置情報を再度取得する。また、主制御部22は、必要に応じて、警戒領域(危険領域)の情報が含まれた地図情報も再取得する。また、主制御部22は、ステップS38の位置情報時も音声ガイドの出力は継続する。つまり、主制御部22は、音声ガイドを出力しつつ、位置情報の再取得を行う。
【0048】
主制御部22は、ステップS38で位置情報を取得したら、ステップS40として警戒領域外であるかを判定する。主制御部22は、ステップS40で警戒領域外ではない(No)、つまり警戒領域内にいると判定したら、ステップS34に進み、再びステップS34からステップS40の処理を行う。つまり、警戒領域にいる場合は、警戒領域の外に移動するまで音声ガイド情報を生成し、音声ガイドを出力し、位置情報を取得し、警戒領域の外に移動したかの判定の処理を繰り返す。
【0049】
主制御部22は、ステップS40で警戒領域外である(Yes)と判定したら、ステップS42として、警戒領域外への移動が完了したことを通知する。具体的には、音声ガイドの音声として「安全な場所まで移動しました」等のメッセージを出力する。その後、主制御部22は、音声ガイドの出力を終了し、警戒モード処理を終了する。主制御部22は、図5に示す処理を終了したら、図4に示すステップS22での警戒モードの処理を終了する。主制御部22は、ステップS22で警戒モード処理(つまり図5に示す処理)を実行したら、ステップS28に進む。
【0050】
主制御部22は、ステップS20でNoと判定されたら、また、ステップS22の処理が終了したら、ステップS28として、電源をOFFにするかを判定する。つまり、主制御部22は、電源をOFF、携帯通信装置10の駆動を終了する指示があるかを判定する。ここで、主制御部22は、操作部28の電源ボタンが一定時間押下されたか、タイマ部38等で電源OFF動作が設定された時間になったかまたは終了する指示が入力されたかを判定する。主制御部22は、ステップS28で電源OFFではない(No)、つまり電源をOFFにする指示を検出していないと判定したら、ステップS14に進み上記処理を繰り返す。また、主制御部22は、ステップS28で電源がOFFである(Yes)、つまり電源をOFFにする指示を検出したと判定したら、電源をOFFにする処理を行い、処理を終了する。
【0051】
ここで、図6を用いて、前述した警戒モードの処理について具体的に説明する。ここで、図6は、携帯通信装置の処理動作を説明するための説明図である。なお、図6は、一定領域の地図を示す図である。携帯通信装置10は、図6に示す地図領域60の地図の情報と、地図領域60の一部の領域が警戒領域62であることを示す情報とを記憶している。例えば、携帯通信装置10は、位置情報を取得して地点A1にいることを検出したら、擬似着信音を出力する。そして、その後に通話キー13aが押下されたら、移動経路70を音声で出力する。その後、携帯通信装置10は、位置情報を再取得して地点A2にいることを検出したら、警戒領域62の外に移動したことを通知して音声によるガイドを終了する。また、携帯通信装置10は、位置情報を取得して地点A1にいることを検出したら、擬似着信音を出力する。そして、その後に通話キー13aが押下されたら、移動経路72を音声で出力するようにしてもよい。この場合、携帯通信装置10は、位置情報を取得して地点A3にいることを検出したら、警戒領域62の外に移動したことを通知して音声によるガイドを終了する。
【0052】
なお、地点A1にいることを検出した時に、警戒領域62の外に移動するための経路を移動経路70とするか移動経路72とするかは、ユーザの設定や危険情報に含まれる情報に基づいて決定すればよい。
【0053】
このように、携帯通信装置10は、警戒領域に入ったことを検出したら警戒モード処理を実行することでユーザに警戒領域に入ったことを通知することができ、犯罪、事故等に巻き込まれる恐れを低減することができる。また、携帯通信装置10は、警戒領域に入ったことを擬似着信によりユーザに通知し、通話キー13aの押下により音声ガイドの出力を開始することで、電話がかかってきてその電話に出ているような動作で警戒領域に入ったこととその警戒領域から出るための移動経路の情報を得ることができる。これにより、電話をしておりすぐに助けを呼べる状態と周囲に思わせることができ、襲われる危険性をより少なくすることができる。また、音声で情報を取得することで、周りの状況を見ながら移動経路の情報を取得することができる。以上より、携帯通信装置10は、防犯効果をより高くすることができ、犯罪に巻き込まれる恐れをより低減することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、音声ガイドとして移動経路の情報を出力したがこれには限定されない。音声ガイドとして出力する情報としては、警戒領域に関する種々の情報を用いることができる。例えば、警戒領域に対応付けられた危険度の情報や、過去に起きた犯罪の情報、警戒すべき内容等を音声ガイドとして出力するようにしてもよい。このように移動経路以外の警戒領域に関する情報を出力することでも、ユーザは、警戒領域に関する情報を音声で認識することができ、防犯効果をより高くすることができ、犯罪に巻き込まれる恐れをより低減することができる。なお、携帯通信機器10は、ユーザにより有益な情報を提供できるため、上述したように警戒情報を出力することが好ましいが、これに限定されず、警戒領域に入ったことを検出したら擬似着信音を出力するのみでもよい。このように、擬似着信音を出力することでユーザに警戒領域に入ったことを通知することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、上述したように周囲に電話をしていると思わせることができるため、通話キーの押下、つまり、通話開始時に入力される操作が入力されたら音声ガイドを開始するようにしたがこれには限定されない。操作部に何らかの操作が入力されたら(操作部が操作されたら)音声ガイドを開始するようにしてもよいし、操作部に設定した操作が入力されたら音声ガイドを開始するようにしてもよい。また、操作部に操作が入力されなくても一定の条件を満たしたら音声ガイドを開始するようにしてもよい。例えば、着信音を出力してから一定時間が経過したら、音声ガイドを開始するようにしてもよい。なお、この場合は何らかの事情で操作できないと判定して、話しかけているような会話調の音声を出力したり、例えばスピーカ17を用いるなどして大きな音声で出力したりしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、警戒領域内にいることを検出したら擬似着信音を出力して通知する設定としたが、擬似着信音(擬似的な着信音)としては、種々の音声を用いることができる。例えば、通常の着信音として設定した音声を出力するようにしてもよい。
【0057】
また、警戒領域内にいることを検出したことを通知する通知音は、着信音に限定されない。なお、通知音としては、上述したように周囲に電話をしていると思わせることができるため、着信音または着信音に類似する音を出力することが好ましい。なお、通知音としては、電話の着信を着信音として設定されていない音声又は普通の着信音よりも大きい音量を用いることが好ましい。これにより、電話の着信を通知しているのか、警戒領域内にいることがスピーカ17によって報知されているのか、を音声で判定することができる。また、着信音以外の音声としては、ブザー音、アラーム音等を用いることができる。
【0058】
また、携帯通信装置10は、条件に応じて、警戒領域内にいることを通知する通知方法を異なる方法としてもよい。例えば、携帯通信装置10は、警戒領域内にいることを通知する通知方法を時間に応じて変えてもよい。ここで、図7は、携帯通信装置の処理動作の一例を示すフロー図である。なお、図7に示す処理は、図5のステップS30の処理に代えて実行される。
【0059】
主制御部22は、警戒モード処理が開始されたら、ステップS60として警戒時間帯であるかを判定する。ここで、警戒時間帯とは、予め設定された一定の時間帯の情報である。警戒時間帯としては、人通りの少ない時間帯、夜の時間帯、事故の多い警戒領域であれば自動車の交通量の多い時間帯等である。なお、警戒時間帯の情報は、警戒領域の情報に対応付けられて記憶部24に記憶しておけばよい。主制御部22は、タイマ部38により現在の時間を取得し、取得した現在の時間が警戒時間帯に含まれるかを判定する。
【0060】
主制御部22は、ステップS60で、警戒時間帯である(Yes)と判定したら、ステップS62として、スピーカ17から擬似着信音を出力する。その後、図7に示す処理を終了し、図5に示すステップS32に進む。一方主制御部22は、ステップS60で、警戒時間帯ではない(No)と判定したら、ステップS64として、擬似的なバイブ着信を出力する。つまり、振動部36により筐体10Cを振動させる。つまり、主制御部22は、筐体10Cを振動させることで、ユーザに警戒領域内にいることを通知する。主制御部22は、擬似的なバイブ着信を出力したら、図7に示す処理を終了し、図5に示すステップS32に進む。
【0061】
このように、携帯通信装置10は、警戒時間帯以外に警戒領域に入った場合は、擬似的なバイブ着信でユーザに通知することで、音を鳴らすことなくユーザに通知することができる。これにより、警戒する必要性が低い時間帯(例えば昼間)等は、大きな着信音を鳴らすことなくユーザに通知することができ、周囲に不快な心証を抱かれることを抑制することができる。
【0062】
携帯通信装置10は、警戒領域の情報に時間情報を対応付けておき、一定の時間帯のみ警戒領域として検出されるようにしてもよい。つまり、一定の時間帯以外の警戒領域は、警戒領域とは検出しないようにしてもよい。これにより、危険が少ない時間帯に警戒領域を通過する場合は、警戒モード処理を行わないようにすることができ、必要な場合のみ警戒モード処理を実行するようにすることができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、待ち受け状態の場合に位置情報を取得し警戒領域にいるかを判定するようにしたが、これには限定されない。携帯通信装置10は、他のアプリケーションの起動時も、待ち受け状態の場合に位置情報を取得し警戒領域にいるかを判定するようにしてもよい。また、ユーザが所定の操作を入力した場合に位置情報を取得し警戒領域にいるかを判定するようにしてもよい。
【0064】
また、警戒領域は、ユーザの設定により追加、変更、削除できるようにすることが好ましい。これにより、携帯通信装置を所有する人物、例えば子供か、老人か、若い女性か等に応じて、適切な警戒領域の設定を行うことができる。また、警戒領域には、治安に基づいた危険度の判定の他に、所有者に基づいた危険度の判定を行うようにしてもよい。例えば、携帯通信装置の所有者が、飲酒を禁止されている場合は、飲み屋街を警戒領域と設定してもよい。これにより、ユーザが不適切な行動をとった場合も危険であるとして通知が行われるようにしたり、泥酔した他人に絡まれる恐れを低減したりすることができる。
【0065】
なお、警戒領域の情報は、サーバ6等の外部の記憶装置から適宜取得するようにしてもよいが、一定期間(一ヶ月から二ヶ月)毎に、更新し、かつ、上述したように、ユーザが季節や、時間を考慮して調整するようにすることが好ましい。これにより、警戒領域をより適切に設定することができる。また、通信にかかる費用、電池の消耗を抑えることができる。なお、警戒領域の設定は、保護対象の携帯通信装置ではなく、保護者として設定されている通信装置により設定するようにすることが好ましい。これにより、設定を勝手に変えられてしまうことを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明にかかる携帯通信装置は、防犯機能を備える通信機器として用いることに有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 通信システム
2 GPS衛星
3 通信網
6 サーバ
10、10a、10b 携帯通信装置
10C 筐体
10CA 第1筐体
10CB 第2筐体
12M メインディスプレイ
13 操作キー
13a 通話キー
14 方向及び決定キー
15 マイク
16 レシーバ
22 主制御部
24 記憶部
26 通信部
28 操作部
30 音声処理部
32 表示部
33 表示制御部
34 GPS通信部
36 振動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置と通信する通信部と、
自身の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記他の通信機器からの着信を通知する着信音を出力する音声出力部と、
警戒領域に関連する警戒情報を記憶する記憶部と、
前記位置情報取得部により取得した自身の位置情報が前記警戒領域内であると判定したら前記音声出力部から擬似的な着信音を出力させる制御部と、を有することを特徴とする携帯通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部を介して、前記位置情報取得部が取得した位置を含む領域の地図情報及び当該地図情報に含まれる警戒領域の情報を取得し、前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の携帯通信装置。
【請求項3】
前記他の通信機器からの受信した音声を出力するレシーバ部と、
操作部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記音声出力部から前記擬似的な着信音を出力させた状態で前記操作部に操作が入力されたら、前記レシーバ部から前記警戒情報を出力させることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯通信装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記警戒情報として、前記警戒領域を含む地図情報を記憶し、
前記制御部は、前記警戒情報として、前記地図情報に基づいて自身の位置から前記警戒領域外まで移動する経路の音声を前記レシーバ部から出力させることを特徴とする請求項3に記載の携帯通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記音声出力部から前記通知音を出力させた状態で前記操作部に通話を開始する操作と同一の操作が入力されたら、前記警戒情報の出力を開始させることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記レシーバ部から前記警戒情報を出力させる間に、前記位置情報取得部により自身の位置情報を再取得し取得した自身の位置情報が前記警戒領域内ではないと判定したら、前記警戒情報の出力を終了させることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の携帯通信装置。
【請求項7】
時間を取得するタイマと、
振動を発生させる振動部と、をさらに有し、
前記記憶部は、警戒時間帯の情報を記憶し、
前記制御部は、前記自身の位置情報が前記警戒領域内であると判定した時、前記タイマで取得した時間が前記警戒時間帯である場合は前記音声出力部から前記擬似的な着信音を出力させ、前記タイマで取得した時間が前記警戒時間帯ではない場合は前記振動部により振動を発生させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯通信装置。
【請求項8】
前記擬似的な着信音は、前記着信音として設定されていない音であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の携帯通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−95151(P2012−95151A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241489(P2010−241489)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】