説明

携帯電子機器及び気圧調整部材

【課題】本発明は、面積の大きな気圧調整シートを使用する場合であっても、設計自由度の低下を抑制する携帯電話機を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、内部空間ISを有する第1内部ケース2aと、外部ケース2bと、第1内部ケース2aと外部ケース2bとの間に配置される内側気圧調整部材130であって、防水性及び通気性を有する第1防水部231と、通気性を有する第2穴部203と、を有する気圧調整シート132と、第1気圧調整シート132に所定の部材を介して積層配置される気圧調整シート136であって、通気性を有し、第1防水部231を通気した気体を通気させる第9穴部217と、防水性及び通気性を有し、第2穴部203を通気した気体を通気させる第2防水部233と、を有する気圧調整シート136と、を有する内側気圧調整部材130と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。また、本発明は、携帯電子機器等に用いられる気圧調整部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防水機能を有する携帯電子機器としての携帯電話機が存在する。具体的には、ケース部材に内部に形成された内部空間に水が浸入すること抑制可能な携帯電話機が存在する。
ここで、防水機能を有する携帯電話機において、操作部に対するユーザからの押圧操作等によるケース部材の変形により、内部空間における内圧が急激に上昇する場合がある。
この場合、例えば、ケース部材の内部に収容配置されたレシーバ部材(スピーカ部材)等において、いわゆる音びり(ビリ音)が発生する場合がある。
【0003】
これに対して、内部空間における内圧の急激な変化を抑制するため気圧調整部を備える携帯電話機が存在する。
例えば、内部ケース部材に形成された通気孔と、通気孔とを覆うように配置される防水性を有する気圧調整シートとを備える携帯電話機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−278616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気圧調整部材における通気量は、気圧調整シートの面積に依存するため、急激な内圧の変化に対応するために面積の大きな気圧調整シートを使用することが好ましい。
面積の大きな気圧調整シートを使用する場合であっても、携帯電話機における設計の自由度をできるだけ低下させないことが望ましい。
【0006】
本発明は、面積の大きな気圧調整シートを使用する場合であっても、設計自由度の低下を抑制する携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部空間を有する内部ケース部材と、前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置される気圧調整部材と、を有し、前記気圧調整部材は、第1穴部を有し、前記第1穴部が前記第1貫通孔に対向して配置され、前記第1貫通孔を囲むように配置される環状の第1接着シート部材と、前記第1接着シート部材に前記第1穴部を覆うように積層配置される防水性及び通気性を有する第1気圧調整シートであって、前記第1穴部の所定領域に対向して配置される第2穴部と、前記第1穴部の他の領域に対向して配置され前記第2穴部よりも面積が大きい第1防水部と、を有する第1気圧調整シートと、前記第1気圧調整シートに積層配置され、前記第2穴部に対向して配置される第3穴部と、前記第1防水部に対向して配置される第4穴部と、を有する第1中間シートと、前記第1中間シートに積層配置され、前記第3穴部に対向して配置される第5穴部と、前記第4穴部に対向して配置される第6穴部と、有する第2中間シートと、前記第2中間シートに積層配置され、前記第5穴部に対向して配置される第7穴部と、前記第6穴部に対向して配置される第8穴部と、を有する第3中間シートと、前記第3中間シートに積層配置される防水性及び通気性を有する第2気圧調整シートであって、前記第7穴部に対向して配置される第2防水部と、前記第8穴部に対向して配置される第9穴部と、を有する第2気圧調整シートと、を有する携帯電子機器に関する。
【0008】
また、携帯電子機器において、前記気圧調整部材は、前記第2気圧調整シートに積層配置され第10穴部を有する環状の第2接着シート部材であって、前記第10穴部が前記第9穴部及び前記第2防水部に対向して配置されると共に、前記第2貫通孔に対向して配置される環状の第2接着シート部材と、を備えることが好ましい。
【0009】
また、携帯電子機器において、前記気圧調整部材は、前記内部ケース部材における前記内部空間と前記外部ケース部材における前記内部ケース部材側と反対側の外部空間とを第1防水部を介して連通させる第1通気路と、前記第1通気路とは別の通気路であって、前記内部空間と前記外部空間とを前記第2防水部を介して連通させる第2通気路と、を備え、前記第1通気路は、前記第1穴部と、前記第1防水部と、前記第4穴部と、前記第6穴部と、前記第8穴部と、前記第9穴部とを含み、前記第2通気路は、前記第1穴部と、前記第2穴部と、前記第3穴部と、前記第5穴部と、前記第7穴部と、前記第2防水部とを含むことが好ましい。
【0010】
また、携帯電子機器は、前記内部空間に配置されるスピーカ部と、前記内部ケース部材の外側であって前記内部ケース部材の長手方向において一端側に配置される操作部と、を備え、前記第2貫通孔は、前記長手方向における他端側に形成されることが好ましい。
【0011】
また、携帯電子機器において、前記第1気圧調整シート及び前記第2気圧調整シートそれぞれは、所定方向に長い形状であって互いに略同じ形状であり、前記第1気圧調整シートに形成される前記第2穴部は、前記所定方向(長手方向)における一端側に形成され、前記第2気圧調整シートに形成される前記第9穴部は、前記所定方向(長手方向)における他端側に形成されることが好ましい。
【0012】
また、携帯電子機器において、前記第2中間シートは、非通気性の材料で構成されることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、内部に内部空間を有する内部ケース部材と、前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、を有する携帯電子機器に用いられる気圧調整部材であって、前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置され、第1穴部を有する環状の第1接着シート部材であって、前記第1穴部が前記第1貫通孔に対向して配置され、前記第1貫通孔を囲むように配置される環状の第1接着シート部材と、前記第1接着シート部材に前記第1穴部を覆うように積層配置される防水性及び通気性を有する第1気圧調整シートであって、前記第1穴部の所定領域に対向して配置される第2穴部と、前記第1穴部の他の領域に対向して配置され前記第2穴部よりも面積が大きい第1防水部と、を有する第1気圧調整シートと、前記第1気圧調整シートに積層配置され、前記第2穴部に対向して配置される第3穴部と、前記第1防水部に対向して配置され前記第3穴部よりも面積が大きい第4穴部と、を有する第1中間シートと、前記第1中間シートに積層配置され、前記第3穴部に対向して配置される第5穴部と、前記第4穴部に対向して配置され前記第4穴部よりも面積が小さい第6穴部と、有する第2中間シートと、前記第2中間シートに積層配置され、前記第5穴部に対向して配置され前記第5穴部よりも面積が大きい第7穴部と、前記第6穴部に対向して配置される第8穴部と、を有する第3中間シートと、前記第3中間シートに積層配置される防水性及び通気性を有する第2気圧調整シートであって、前記第7穴部に対向して配置される第2防水部と、前記第8穴部に対向して配置される第9穴部と、を有する第2気圧調整シートと、を備える気圧調整部材に関する。
【0014】
また、本発明は、内部に内部空間を有する内部ケース部材と、前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置される気圧調整部材と、を有し、前記気圧調整部材は、水は透過させず気体は通気させる第1通気路を構成する第1シート側防水部と、水は透過させず気体は通気させ、前記第1通気路とは別の第2通気路を構成し前記第1シート側防水部よりも面積が小さい第1シート側穴部と、を有し、防水性及び通気性を有する第1気圧調整シートと、前記第1通気路を構成する第2シート側穴部と、前記第2通気路を構成し前記第2シート側穴部よりも面積が大きい第2シート側防水部と、を有し、前記第1気圧調整シートに所定の部材を介して積層配置される防水性及び通気性を有する第2気圧調整シートと、を有する携帯電子機器に関する。
【0015】
また、本発明は、内部に内部空間を有する内部ケース部材と、前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置される気圧調整部材と、を有し、前記気圧調整部材は、第1気圧調整シートと、第2気圧調整シートと、を有し、前記第1気圧調整シートは、防水性及び通気性を有する第1シート側防水部と、通気性を有する第1シート側穴部と、を有し、前記第2気圧調整シートは、前記第1気圧調整シートに積層配置され、通気性を有し、第1シート側防水部を通気した気体を通気させる第2シート側穴部と、防水性及び通気性を有し、第1シート側穴部を通気した気体を通気させる第2シート側防水部と、を有する第2気圧調整シートと、を有する携帯電子機器に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、面積の大きな気圧調整シートを使用する場合であっても、設計自由度の低下を抑制する携帯電話機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】携帯電話機1における正面図である。
【図2】携帯電話機1における裏面図である。
【図3】携帯電話機1における側面図である。
【図4】携帯電話機1における裏面側の斜視図である。
【図5】図4の携帯電話機1における展開図である。
【図6】図1におけるA−A断面図である。
【図7】図1におけるB−B断面図である。
【図8】図2におけるC−C断面図である。
【図9】図8のC−C断面図における展開図である。
【図10】内側気圧調整部材130における展開図である。
【図11】内側気圧調整部材130における作用を説明するための模式図である。
【図12】他の実施形態としての内側気圧調整部材500における構成及び作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
図1から図8により、携帯電話機1(携帯電子機器)における基本構造を説明する。
図1は、携帯電話機1における正面図である。図2は、携帯電話機1における裏面図である。図3は、携帯電話機1における側面図である。図4は、携帯電話機1における裏面側の斜視図である。図5は、図4の携帯電話機1における展開図である。図6は、図1におけるA−A断面図である。図7は、図1におけるB−B断面図である。図8は、図2におけるC−C断面図である。本実施形態における携帯電話機1は、防水機能を有する携帯電話機である。
【0019】
図1から図4に示すように、携帯電話機1は、筐体2を有する。
筐体2は、表面2Aと、裏面2Bとを有する。本実施形態において、表面2Aは、ユーザに対向する面であってユーザからの押圧操作を受ける面である。また、裏面2Bは、ユーザの指や手の平に対向して配置される(載置される)面である。
筐体2における外郭は、外部ケース2bと、バッテリーカバー2cと、第2内部ケース2dと、フロントパネル2eとにより構成される。また、筐体2における内部には、内部空間ISを有する第1内部ケース2aが配置される。
【0020】
筐体2における表面2A側には、操作キー群11と、第1スライドキー12と、表示部21と、音出力部25(レシーバ用孔25a)と、表面側気圧調整部110(外側通気孔111)とが配置される。
また、筐体2における裏面2B側には、裏面側気圧調整部120(外側通気孔121)が配置される。
また、筐体2における長手方向の側面には、インターフェース17(IFカバー17a)と、サイドキー16と、第2スライドキー19とが配置される。
また、筐体2における短手方向の側面には、音入力部24(マイク用孔24a)が配置される。
【0021】
操作キー群11は、内部ケース(第1内部ケース2a及び第2内部ケース2d)の長手方向における一端側に配置される。
操作キー群11は、第2内部ケース2dの外側に配置される第1操作キー11a、第2操作キー11b、第3操作キー11cを備える。
第1操作キー11a、第2操作キー11b、第3操作キー11cそれぞれには、所定の機能がアサインされている。第1操作キー11a、第2操作キー11b、第3操作キー11cのいずれかが選択(押下)された場合、選択された機能にアサインされた機能が実行される(対応アプリケーションが起動する)。
第1操作キー11a、第2操作キー11b、第3操作キー11cに対しては、例えば、表示部21に各操作キーの近傍に表示されたアイコン等の機能表示に対応する機能をアサインされる。
【0022】
第1スライドキー12は、携帯電話機1における長手方向の一端側に形成される。第1スライドキー12は、表面2Aに沿って筐体2の幅方向にスライド移動可能に構成される。
第1スライドキー12は、位置に応じて所定の機能や起動中の機能における動作条件がアサインされる。
例えば、第1スライドキー12は、位置に応じて、呼び出し音やレシーバ25bの出音の大きさを切り替えるように動作条件がアサインされてもよく、位置に応じて、他の機能が起動(切替)するようにアサインされてもよい。
【0023】
表示部21は、文字情報や画像情報等の各種情報を表示可能に構成される。
表示部21は、所定の機能に対応した文字情報や画像情報を表示可能に構成される。
【0024】
音出力部25は、筐体2における該筐体2の長手方向における一端側に配置される。音出力部25は、長手方向において、後述する音入力部24と反対の端部側に配置される。
音出力部25は、表面2Aに形成されたレシーバ用孔25aと、第1内部ケース2a第2内部ケース2dの内部に収容配置されるレシーバ25b(スピーカ)とを有する。
レシーバ用孔25aは、第2内部ケース2d及びフロントパネル2eに形成された貫通孔である。
レシーバ25bは、第1内部ケース2aと第2内部ケース2dとにより形成された内部空間ISに収容配置される(図6参照)。レシーバ25bは、振動部材を有する。ここで、内部空間ISの内圧が変化すると、レシーバ25bにおいてビリ音が発生する場合がある。
【0025】
表面側気圧調整部110は、表面2A側に形成される気圧調整部である。表面側気圧調整部110は、後述する裏面側気圧調整部120と共に、内部空間ISと外部空間OSとの気圧が同じくなるよう調整する。
表面側気圧調整部110は、気圧調整部材113を有する。
気圧調整部材113は、1枚の気圧調整シート(不図示)を有して構成される。
気圧調整部材113に用いられる気圧調整シートは、防水機能を有すると共に、通気性を有するシートである。
【0026】
裏面側気圧調整部120は、裏面2B側に形成される気圧調整部である。裏面側気圧調整部120は、上述した表面側気圧調整部110と共に、内部空間ISと外部空間OSとの気圧が同じくなるよう調整する。
裏面側気圧調整部120は、内側気圧調整部材130を有する。
内側気圧調整部材130は、2枚の気圧調整シート132、136(図10及び図11参照)を有して構成される。
内側気圧調整部材130に用いられる気圧調整シートは、防水機能を有すると共に、通気性を有するシートである。
裏面側気圧調整部120及び内側気圧調整部材130については、後に詳述する。
【0027】
インターフェース17は、不使用時には、IFカバー17aにより覆われている。
サイドキー16は、所定の機能がアサインされている。サイドキー16が選択(押下)された場合、選択された機能にアサインされた機能が実行される(対応アプリケーションが起動する)。本実施形態において、例えば、サイドキー16には、キーロック機能がアサインされる。
【0028】
第2スライドキー19は、側面に沿って筐体2の長手方向にスライド移動可能に構成される。
第2スライドキー19は、位置に応じて所定の機能や起動中の機能における動作条件がアサインされる。
例えば、第2スライドキー19は、位置に応じて、電源をオン/オフするよう動作条件がアサインされていてもよい。
【0029】
音入力部24は、筐体2における短手方向に延びる側面に配置される。音入力部24は、長手方向において、後述する音出力部25と反対の端部側に配置される。
音入力部24は、側面に形成されたマイク用孔24aと、第1内部ケース2a及び第2内部ケース2dの内部に収容配置されるマイク24bとを有する。
マイク用孔24aは、第2内部ケース2dに形成された貫通孔である。
マイク24bは、第1内部ケース2aと第2内部ケース2dとにより形成された内部空間ISに収容配置される(図6参照)。
【0030】
次いで、図5から図8により、携帯電話機1における内部構造について説明する。
図5に示すように、上述の通り、筐体2は、第1内部ケース2a(内部ケース部材)と、外部ケース2b(外部ケース部材)と、バッテリーカバー2cと、第2内部ケース2dと、フロントパネル2eとを備える。
【0031】
第1内部ケース2aは、筐体2の内部側に配置されるケース部材である。第1内部ケース2aは、第2内部ケース2dとともに内部空間ISを形成する。
第1内部ケース2aは、外側(外部空間OS側)に形成されるバッテリ収容部81を有する。バッテリ収容部81には、バッテリが収容配置される。バッテリ収容部81は、バッテリが収容された状態でバッテリーカバー2cにより密閉される。
また、第1内部ケース2aには、後述する内側通気孔125が形成される。内側通気孔125は、内部空間ISと外部空間OSとを連通させる。詳細には、内側通気孔125は、内部空間ISと外部空間MSAとを連通させる(図8及び図9参照)。
【0032】
外部ケース2bは、第1内部ケース2aの外側(外部空間OS側)に配置される。外部ケース2bは、第1内部ケース2aの外側に積層配置される。
外部ケース2bは、開口190を有する。開口190は、バッテリを着脱するための開口であって、上述のバッテリ収容部81に対応して形成される。開口190は、バッテリーカバー2cにより被覆される部分である。
外部ケース2bには、後述する外側通気孔121が形成される。外側通気孔121は、内部ケースの長手方向における操作キー群11側と反対の他端側に形成される。外側通気孔121は、外部ケース2bにおける一面側と他面側とを連通させる。外側通気孔121は、内部空間ISと外部空間OSとを連通させる。詳細には、外側通気孔121は、外部空間MSBと外部空間OSとを連通させる(図8及び図9参照)。
【0033】
バッテリーカバー2cは、上述の通り、開口190を覆うように配置されると共に、バッテリ収容部81を密閉する部材である。
【0034】
第2内部ケース2dは、第1内部ケース2aとともに内部空間ISを形成する。第2内部ケース2dは、第1内部ケース2aと防水パッキン等を介して組み合わされる。第2内部ケース2dは、第1内部ケース2aとともに密閉された内部空間ISを形成する。
言い換えると、第1内部ケース2aと第2内部ケース2dとは、内部空間ISを形成する内部ケース部材20を構成する。
【0035】
フロントパネル2eは、光透過性の板状部材である。フロントパネル2eは、筐体2における表示部21側の表面に配置される。フロントパネル2eは、表示部21に表示した文字や画像を外部に視認可能に透過する。
また、表示部21がタッチパネルである場合、フロントパネル2eは、ユーザの指やタッチペンにより接触される部分である。
【0036】
第1内部ケース2aと第2内部ケース2dとの間には、内部空間ISが形成される。
内部空間ISは、防水され密閉された空間であって、後述する表面側気圧調整部110及び裏面側気圧調整部120により、防水性を維持しつつ、気圧が外部空間OSと同じ気圧になるよう調整されている。
そして、内部空間ISには、マイク24bと、レシーバ25bと、表示部21と、キー構造部(不図示)と、回路基板(不図示)と、アンテナ(不図示)とが収容配置される。
【0037】
図6に示すように、レシーバ25bは、内部空間ISに収容されると共に、レシーバ用孔25aを介して外部空間OSにつながるよう配置される。
レシーバ25bは、振動板(不図示)を振動させることで、レシーバ用孔25aを介して外部空間OSに出音する。
ここで、レシーバ25bは、内部空間ISにおける内圧が上昇した場合、ビリ音が生じる等の不具合が生じる場合がある。
【0038】
表示部21は、液晶パネルと、液晶パネルを駆動する駆動回路と、液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とを含んで構成される。
【0039】
キー構造部は、操作キー11a、11b、11cそれぞれに対応する操作部材と、キーシートと、各操作部材に対応するスイッチが実装されたキー基板と、を有する。
【0040】
回路基板は、平板状の基板部と、基板部の表面に実装される電子部品及び各種回路ブロックと、基板部の表面に実装される基準電位パターン層(グランドパターン層)とを有する。
基板部に実装される電子部品は、例えば、アンテナが送受信する信号を処理する信号処理部を含む電子部品等である。また、回路ブロックは、例えば、RF(Radio Frequency)回路や電源回路等である。
【0041】
アンテナは、基台と、基台に上に配置された所定形状のアンテナエレメントとを有して構成される。
アンテナエレメントは、帯状の板金により形成される。アンテナエレメントは、不図示の給電端子を介して回路基板から給電される。これにより、アンテナエレメントは、給電端子を介して回路基板から給電されると共に、回路基板のRFモジュール等と接続される。
【0042】
続けて、図7から図11により、携帯電話機1における気圧調整機構について説明する。図9は、図8のC−C断面図における展開図である。図10は、内側気圧調整部材130における展開図である。図11は、内側気圧調整部材130における作用を説明するための模式図である。
【0043】
本実施形態において、携帯電話機1は、気圧調整機構として、表面側気圧調整部110と、裏面側気圧調整部120とを有する。
【0044】
図7に示すように、表面側気圧調整部110は、表面2A側に形成される気圧調整部である。表面側気圧調整部110は、裏面側気圧調整部120と共に、内部空間ISと外部空間OSとの気圧が同じくなるよう調整する。
表面側気圧調整部110は、外側通気孔111と、内側通気孔115と、気圧調整部材113とを有する。
外側通気孔111は、フロントパネル2eに形成された貫通孔である。
内側通気孔115は、第2内部ケース2dに形成された貫通孔である。
【0045】
気圧調整部材113は、防水性を有すると共に、通気性を有する部材である。気圧調整部材113は、1枚の気圧調整シート(不図示)を有して構成される。気圧調整部材113に用いられる気圧調整シートは、防水性を有すると共に、通気性を有するシートである。
【0046】
図8に示すように、裏面側気圧調整部120は、裏面2B側に形成される気圧調整部である。裏面側気圧調整部120は、上述した表面側気圧調整部110と共に、内部空間ISと外部空間OSとの気圧が同じくなるよう調整する。
裏面側気圧調整部120は、外側通気孔121(第2貫通孔)と、内側通気孔125(第1通気孔)と、内側気圧調整部材130とを有する。
外側通気孔121及び内側通気孔125については、上述の通りである。
【0047】
図8及び図9に示すように、内側気圧調整部材130は、第1内部ケース2aと外部ケース2bとの間に配置される。
内側気圧調整部材130は、一方の面が内側通気孔125に対向すると共に、他方の面が外側通気孔121に対向して配置される。
内側気圧調整部材130は、内部空間ISと外部空間OSとを仕切るように配置される。詳細には、内側気圧調整部材130は、内部空間ISに連続する外部空間MSAと、外部空間OSに連続する外部空間MSBとを仕切るように配置される。
【0048】
本実施形態において、内側気圧調整部材130は、略長方形状に形成される。内側気圧調整部材130は、長手方向Pに長い形状である。
【0049】
図10に示すように、内側気圧調整部材130は、内側通気孔125側から外側通気孔121側から順に配置される、第1接着シート部材131と、第1気圧調整シート132と、第1中間シート133と、第2中間シート134と、第3中間シート135と、第2気圧調整シート136と、第2接着シート部材137と、を備える。
【0050】
第1接着シート部材131は、第1穴部201を有する環状の接着シート部材である。
第1接着シート部材131は、第1穴部201が内側通気孔125に対向して配置され、内側通気孔125を囲むように配置される。
第1接着シート部材131は、第1気圧調整シート132と第1内部ケース2aとを密着させると共に、密着した状態で互いを接着する。
【0051】
第1気圧調整シート132は、第1穴部201を覆うように第1接着シート部材131に積層配置される。第1気圧調整シート132は、防水性及び通気性を有するシート部材である。
第1気圧調整シート132は、第2穴部203(第1シート側穴部)と、第1防水部231(第1シート側防水部)と、を有する。
【0052】
第2穴部203は、長手方向PにおけるP1側に形成される。第2穴部203は、第1穴部201の所定領域に対向して配置される。
【0053】
第1防水部231は、長手方向PにおけるP2側に形成される。第1防水部231は、第1穴部201の上記所定領域とは異なる他の領域に対向して配置される。
第1防水部231は、第2穴部203よりも面積が大きくなるよう設定される。
第1防水部231は、後述する第4穴部207に対応する部分である。
第1防水部231は、防水性を有すると共に、通気性を有する部分である。
第1防水部231の面積と、後述する第2防水部233の面積とが、内側気圧調整部材130における通気性(通気量/時間)に大きく影響を与える。
【0054】
第1中間シート133は、第1気圧調整シート132に積層配置される。第1中間シート133は、第3穴部205と、第4穴部207とを有する。
【0055】
第3穴部205は、長手方向PにおけるP1側に形成される。第3穴部205は、第2穴部203に対向して配置される。
第4穴部207は、長手方向PにおけるP2側に形成される。第4穴部207は、第1防水部231に対向して配置される。第4穴部207は、第3穴部205よりも面積が大きくなるよう設定される。
【0056】
上述の通り、第4穴部207は、第1防水部231の大きさ(面積)等を規定する。本実施形態において、内側気圧調整部材130における通気性能を規定する第1防水部231及び第2防水部233のうち第1防水部231の面積を大きくするため、第4穴部207の面積を大きく設定している。
【0057】
また、第1中間シート133は、本実施形態において、接着シート部材により構成され、第1気圧調整シート132と、第2中間シート134とを密着させると共に、密着した状態で互いを接着する。
【0058】
第2中間シート134は、第1中間シート133に積層配置される。第2中間シート134は、第5穴部209と、第6穴部211とを有する。
第2中間シート134は、非通気性の材料(例えば、PET(Polyethylene terephthalate)で構成される。
【0059】
第5穴部209は、長手方向PにおけるP1側に形成される。第5穴部209は、第3穴部205に対向して配置される。
第6穴部211は、長手方向PにおけるP2側に形成される。第6穴部211は、第4穴部207に対向して配置される。第6穴部211は、第4穴部よりも面積が小さくなるよう設定される。
【0060】
第3中間シート135は、第2中間シート134に積層配置される。第3中間シート135は、第7穴部213と、第8穴部215とを有する。
【0061】
第7穴部213は、長手方向PにおけるP1側に形成される。第7穴部213は、第5穴部209に対向して配置される。第7穴部213は、第5穴部209よりも面積が大きくなるよう設定される。
第7穴部213は、後述する第2防水部233の大きさ(面積)等を規定する。本実施形態において、内側気圧調整部材130における通気性能を規定する第1防水部231及び第2防水部233のうち第2防水部233の面積を大きくするため、第7穴部213の面積を大きく設定している。
【0062】
第8穴部215は、長手方向PにおけるP2側に形成される。第8穴部215は、第6穴部211に対向して配置される。
【0063】
また、第3中間シート135は、本実施形態において、接着シート部材により構成され、第2中間シート134と、後述する第2気圧調整シート136とを密着させると共に、密着した状態で互いを接着する。
【0064】
第2気圧調整シート136は、第3中間シート135に積層配置される。第2気圧調整シート136は、防水性及び通気性を有するシート部材である。
第2気圧調整シート136は、第2防水部233(第2シート側防水部)と、第9穴部217(第2シート側穴部)とを有する。
【0065】
第2防水部233は、長手方向PにおけるP1側に形成される。第2防水部233は、第7穴部213に対向して配置される。
第2防水部233は、後述する第9穴部217よりも面積が大きくなるよう設定される。
第2防水部233は、上述する第7穴部213に対応する部分である。
第2防水部233は、防水性を有すると共に、通気性を有する部分である。
第2防水部233の面積と、上述した第1防水部231の面積とが、内側気圧調整部材130における通気性(通気量/時間)に大きく影響を与える。
また、第2防水部233は、防水性及び通気性を有し、上述した第2穴部203を通気した気体を通気させる部分である。
【0066】
第9穴部217は、長手方向PにおけるP2側に形成される。第9穴部217は、第8穴部215に対向して配置される。
また、第9穴部217は、通気性を有し、第1防水部231を通気した気体を通気させる穴部である。
【0067】
第2接着シート部材137は、第10穴部219を有する環状の接着シート部材である。
第2接着シート部材137は、第2気圧調整シート136に積層配置される。
第10穴部219は、第9穴部217及び第2防水部233に対向して配置されると共に、外側通気孔121に対向して配置される。
第2接着シート部材137は、第10穴部219が外側通気孔121を囲むように配置される。
第2接着シート部材137は、第2気圧調整シート136と外部ケース2bとを密着させると共に、密着した状態で互いを接着する。
【0068】
本実施形態において、第1気圧調整シート132及び第2気圧調整シート136それぞれは、長手方向P(所定方向)に長い形状であって互いに略同じ形状である。
第1気圧調整シート132に形成される第2穴部203は、長手方向PにおけるP1側(一端側)に形成される。
第2気圧調整シート136に形成される第9穴部217は、長手方向PにおけるP2側(他端側)に形成される。
本実施形態において、第1気圧調整シート132に形成される第2穴部203を長手方向PにおけるP1側(一端側)に形成することで、第1防水部231の面積を大きくしている。
また、第2気圧調整シート136に形成される第9穴部217を長手方向PにおけるP2側(他端側)に形成することで、第2防水部233の面積を大きくしている。
つまり、本実施形態における気圧調整シートを2枚積層した内側気圧調整部材130において、上述の構成は、通気面積を大きくする態様として好ましい態様である。
【0069】
続けて、内側気圧調整部材130における作用について説明する。
図11に示すように、内側気圧調整部材130は、水は透過させず気体は通気させる第1通気路R1と、水は透過させず気体は通気させ、第1通気路R1とは別の第2通気路R2とを有する。
筐体2がユーザの押圧操作等により変形した場合、内側気圧調整部材130は、第1通気路R1及び第2通気路R2における通気により、防水性を維持しながら、内部空間ISの内圧を外部空間OSの気圧と同じになるよう調整する。
【0070】
第1通気路R1は、第1内部ケース2aにおける内部空間ISと外部ケース2bにおける第1内部ケース2a側と反対側の外部空間OSとを第1防水部231を介して連通させる。
第1通気路R1は、第1穴部201と、第1防水部231と、第4穴部207と、第6穴部211と、第8穴部215と、第9穴部217と、第10穴部219とを含んで構成される。
【0071】
第2通気路R2は、第1通気路R1とは別の通気路であって、内部空間ISと外部空間OSとを第2防水部233を介して連通させる。
第2通気路R2は、第1穴部201と、第2穴部203と、第3穴部205と、第5穴部209と、第7穴部213と、第2防水部233と、第10穴部219とを含んで構成される。
【0072】
ここで、筐体2が押圧操作されたことにより内部空間ISの内圧が上昇した場合、内部空間ISの空気の一部は、第1通気路R1及び第2通気路R2を通って外部空間OSに通気する。
具体的には、内部空間ISの空気の一部は、内側通気孔125を介して外部空間MSAに移動する(図8参照)。
外部空間MSAに移動した空気は、第1穴部201を介して、第1気圧調整シート132側に移動する。
そして、第1気圧調整シート132側に移動した空気は、第1通気路R1と第2通気路R2とにわかれて通気する。
【0073】
第1通気路R1を通気する空気は、第1防水部231を所定の単位時間当たりの通気量(単位面積当たりの単位時間当たりの通気量(例えば、ml/(min・mm))×第1防水部231の面積)で通気する。
第2通気路R2を通気する空気は、第2穴部203と、第3穴部205と、第5穴部209と、第7穴部213とを通気すると共に、第2防水部233を所定の単位時間当たりの通気量(単位面積当たりの単位時間当たりの通気量×第2防水部233の面積)で通気する。
ここで、本実施形態において、第1気圧調整シート132(第1防水部231)と、第2気圧調整シート136(第2防水部233)とは、同じ通気性(単位面積当たりの単位時間当たりの通気量)であると共に、同じ面積である。
【0074】
これにより、第1通気路R1における第1防水部231の内部空間IS(外部空間MSA)側の内圧と、第2通気路R2における第2防水部233の内部空間IS(外部空間MSA)側の内圧とは、同じになる。
また、第1通気路R1における第1防水部231の単位時間当たりの通気量と、第2通気路R2における第2防水部233の単位時間当たりの通気量とは、同じになる。
【0075】
そして、第1通気路R1において第1防水部231を通気した空気は、第4穴部207と、第6穴部211と、第8穴部215と、第9穴部217と、第10穴部219とを介して、外部空間OSに移動する。
また、第2通気路R2において第2防水部233を通気した空気は、第10穴部219を介して、外部空間OSに移動する。
【0076】
これにより、携帯電話機1の内部空間ISにおける空気の一部が外部空間OSに移動して、携帯電話機1における防水性が維持された状態で、内部空間ISにおける内圧と外部空間OSにおける気圧とが同じになるように調整される。
【0077】
また、筐体2がユーザの押圧操作の終了等によりもとの状態にもどった場合、内側気圧調整部材130は、第1通気路R1及び第2通気路R2における上記の通気と逆方向の通気により、防水性を維持しながら、内部空間ISの内圧を外部空間OSの気圧と同じになるよう調整する。
【0078】
上述の通り、携帯電話機1は、筐体2に対する押圧操作等による変形により生じる内圧の急激な変化を調整可能に構成される。
【0079】
本実施形態によれば、内側気圧調整部材130における単位時間当たりの通気量は、単位面積当たりの単位時間当たりの通気量×(第1防水部231の面積+第2防水部233の面積)となる。
つまり、内側気圧調整部材130において、2枚の気圧調整シートが積層配置されているので、該内側気圧調整部材130における通気性能は、単に平面方向の面積に比例するのではなく、積層配置された2枚の気圧調整シートにおける通気領域面積の和に比例する。
よって、本実施形態によれば、複数の気圧調整シートを積層配置することで、通気性を向上させると共に、平面方向において省スペース化された携帯電話機を提供することができる。また、複数の気圧調整シートを積層配置することで、通気性を向上させると共に、平面方向において省スペース化された気圧調整部材を提供することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、第1気圧調整シート132及び第2気圧調整シート136それぞれは、所定方向に長い形状であって互いに略同じ形状であり、第1気圧調整シート132に形成される前記第2穴部203は、所定方向(長手方向)における一端側に形成され、第2気圧調整シート136に形成される第9穴部217は、所定方向(長手方向)における他端側に形成される。これにより、本実施形態における携帯電話機1は、第1防水部231及び第2防水部233の面積及びその総和を大きくすることができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、携帯電話機1は、防水性を維持しつつ、内部空間ISにおける内圧の急激な上昇を抑制できる。
【0082】
また、本実施形態によれば、携帯電話機1は、内部空間ISにおける内圧の急激な上昇を抑制することで、レシーバ25bにおけるビリ音の発生を抑制できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、外側通気孔121が内部ケースの長手方向(筐体2の長手方向)において、操作キー群11側と反対の端部側に形成される。これにより、携帯電話機1は、押圧操作を行うユーザの指等により外側通気孔121が塞がれることを抑制することができる。
【0084】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、携帯電子機器として携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、携帯電子機器は、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0085】
また、本実施形態において、筐体が一つであるストレートタイプの携帯電話機について説明しているが、携帯電子機器は、このような携帯電話機に限定されない。本発明の携帯電子機器として、例えば、複数の筐体を有するタイプも含まれる。例えば、携帯電子機器は、2つの筺体が連結部を介して折りたたみ可能に構成された折り畳みタイプや、2つの筐体が重ね合わされた状態から一方の筐体を一方向にスライド移動可能に構成されたスライドタイプや、2つの筺体が重ね合された状態から重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転可能に構成された回転(ターン)タイプや、いわゆる2軸ヒンジタイプであってもよい。
【0086】
また、本実施形態において、2枚の気圧調整シートを積層配置して構成された気圧調整部材について説明しているが、これに限定されず、気圧調整部材は、2枚より多くの気圧調整シートが積層配置されて構成されていてもよい。
ここで、図12により、4枚の気圧調整シートが積層配置されて構成された内側気圧調整部材500について、説明する。
【0087】
図12に示すよう、内側気圧調整部材500は、第1気圧調整シート502と、第2気圧調整シート505と、第3気圧調整シート509と、第4気圧調整シート512とを有する。
【0088】
詳細には、図12に示すように、内側気圧調整部材500は、内側通気孔側から外側通気孔側から順に配置される、第1接着シート部材501と、第1気圧調整シート502と、第1中間シート503と、第2中間シート504と、第2気圧調整シート505と、第3中間シート506と、第4中間シート507と、第5中間シート508と、第3気圧調整シート509と、第6中間シート510と、第7中間シート511と、第4気圧調整シート512と、第2接着シート部材513と、を備える。
他の実施形態において、内側気圧調整部材500を構成する上述のシートは、略正方形状である。
【0089】
他の実施形態において、内側気圧調整部材500は、4つの通気路を有する。
例えば、第1通気路(図12において各シート部材の下側に形成)は、第1穴部521と、第1防水部522aと、第5穴部523aと、第9穴部524aと、第13穴部525aと、第16穴部526aと、第20穴部527aと、第24穴部528aと、第28穴部529aと、第31穴部530aと、第35穴部531aと、第39穴部532aと、第42穴部533とを有して構成される。
【0090】
第2通気路(図12において各シート部材の左側に形成)は、第1穴部521と、第2穴部522bと、第6穴部523bと、第10穴部524bと、第2防水部525bと、第17穴部526bと、第21穴部527bと、第25穴部528bと、第29穴部529bと、第32穴部530bと、第36穴部531bと、第40穴部532bと、第42穴部533とを有して構成される。
【0091】
第3通気路(図12において各シート部材の上側に形成)は、第1穴部521と、第3穴部522cと、第7穴部523cと、第11穴部524cと、第14穴部525cと、第18穴部526cと、第22穴部527cと、第26穴部528cと、第30穴部529cと、第33穴部530cと、第37穴部531cと、第4防水部532cと、第42穴部533とを有して構成される。
【0092】
第4通気路(図12において各シート部材の右側に形成)は、第1穴部521と、第4穴部522dと、第8穴部523dと、第12穴部524dと、第15穴部525dと、第19穴部526dと、第23穴部527dと、第27穴部528dと、第3防水部529dと、第34穴部530dと、第38穴部531dと、第41穴部532dと、第42穴部533とを有して構成される。
【0093】
他の実施形態によれば、内側気圧調整部材500における単位時間当たりの通気量は、単位面積当たりの単位時間当たりの通気量×(第1防水部522aの面積+第2防水部525bの面積+第3防水部529dの面積+第4防水部532cの面積)となる。
つまり、内側気圧調整部材130において、4枚の気圧調整シートが積層配置されているので、該内側気圧調整部材130における通気性能は、単に平面方向の面積に比例するのではなく、積層配置された4枚の気圧調整シートにおける通気領域面積の和に比例する。
【0094】
よって、他の実施形態によれば、複数の気圧調整シートを積層配置することで、通気性を向上させると共に、平面方向において省スペース化された携帯電話機及び気圧調整部材を提供することができる。
また、他の実施形態における携帯電話機及び気圧調整部材は、上述した実施形態における作用効果と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0095】
1 携帯電話機
2 筺体
2a 第1内部ケース(内部ケース部材)
2b 外部ケース(外部ケース部材)
2d 第2内部ケース(内部ケース部材)
120 裏面側気圧調整部
121 外側通気孔(第2貫通孔)
125 内側通気孔(第1貫通孔)
130 内側気圧調整部材(気圧調整部材)
131 第1接着シート部材
132 気圧調整シート(第1気圧調整シート)
133 第1中間シート
134 第2中間シート
135 第3中間シート
136 気圧調整シート(第2気圧調整シート)
137 第2接着シート部材
201 第1穴部
203 第2穴部
205 第3穴部
207 第4穴部
209 第5穴部
211 第6穴部
213 第7穴部
215 第8穴部
217 第9穴部
219 第10穴部
231 第1防水部
233 第2防水部
IS 内部空間
OS 外部空間
R1 第1通気路
R2 第2通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する内部ケース部材と、
前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、
前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、
前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、
前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置される気圧調整部材と、を有し、
前記気圧調整部材は、
第1穴部を有し、前記第1穴部が前記第1貫通孔に対向して配置され、前記第1貫通孔を囲むように配置される環状の第1接着シート部材と、
前記第1接着シート部材に前記第1穴部を覆うように積層配置される防水性及び通気性を有する第1気圧調整シートであって、前記第1穴部の所定領域に対向して配置される第2穴部と、前記第1穴部の他の領域に対向して配置され前記第2穴部よりも面積が大きい第1防水部と、を有する第1気圧調整シートと、
前記第1気圧調整シートに積層配置され、前記第2穴部に対向して配置される第3穴部と、前記第1防水部に対向して配置される第4穴部と、を有する第1中間シートと、
前記第1中間シートに積層配置され、前記第3穴部に対向して配置される第5穴部と、前記第4穴部に対向して配置される第6穴部と、有する第2中間シートと、
前記第2中間シートに積層配置され、前記第5穴部に対向して配置される第7穴部と、前記第6穴部に対向して配置される第8穴部と、を有する第3中間シートと、
前記第3中間シートに積層配置される防水性及び通気性を有する第2気圧調整シートであって、前記第7穴部に対向して配置される第2防水部と、前記第8穴部に対向して配置される第9穴部と、を有する第2気圧調整シートと、を有する携帯電子機器。
【請求項2】
前記気圧調整部材は、
前記第2気圧調整シートに積層配置され第10穴部を有する環状の第2接着シート部材であって、前記第10穴部が前記第9穴部及び前記第2防水部に対向して配置されると共に、前記第2貫通孔に対向して配置される環状の第2接着シート部材と、を備える
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記気圧調整部材は、
前記内部ケース部材における前記内部空間と前記外部ケース部材における前記内部ケース部材側と反対側の外部空間とを第1防水部を介して連通させる第1通気路と、
前記第1通気路とは別の通気路であって、前記内部空間と前記外部空間とを前記第2防水部を介して連通させる第2通気路と、を備え、
前記第1通気路は、
前記第1穴部と、前記第1防水部と、前記第4穴部と、前記第6穴部と、前記第8穴部と、前記第9穴部とを含み、
前記第2通気路は、
前記第1穴部と、前記第2穴部と、前記第3穴部と、前記第5穴部と、前記第7穴部と、前記第2防水部とを含む
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記内部空間に配置されるスピーカ部と、
前記内部ケース部材の外側であって前記内部ケース部材の長手方向において一端側に配置される操作部と、を備え、
前記第2貫通孔は、前記長手方向における他端側に形成される
請求項1から3のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第1気圧調整シート及び前記第2気圧調整シートそれぞれは、所定方向に長い形状であって互いに略同じ形状であり、
前記第1気圧調整シートに形成される前記第2穴部は、前記所定方向(長手方向)における一端側に形成され、
前記第2気圧調整シートに形成される前記第9穴部は、前記所定方向(長手方向)における他端側に形成される
請求項1から4のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記第2中間シートは、非通気性の材料で構成される
請求項1から5のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項7】
内部に内部空間を有する内部ケース部材と、
前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、
前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、
前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、を有する携帯電子機器に用いられる気圧調整部材であって、
前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置され、
第1穴部を有する環状の第1接着シート部材であって、前記第1穴部が前記第1貫通孔に対向して配置され、前記第1貫通孔を囲むように配置される環状の第1接着シート部材と、
前記第1接着シート部材に前記第1穴部を覆うように積層配置される防水性及び通気性を有する第1気圧調整シートであって、前記第1穴部の所定領域に対向して配置される第2穴部と、前記第1穴部の他の領域に対向して配置され前記第2穴部よりも面積が大きい第1防水部と、を有する第1気圧調整シートと、
前記第1気圧調整シートに積層配置され、前記第2穴部に対向して配置される第3穴部と、前記第1防水部に対向して配置され前記第3穴部よりも面積が大きい第4穴部と、を有する第1中間シートと、
前記第1中間シートに積層配置され、前記第3穴部に対向して配置される第5穴部と、前記第4穴部に対向して配置され前記第4穴部よりも面積が小さい第6穴部と、有する第2中間シートと、
前記第2中間シートに積層配置され、前記第5穴部に対向して配置され前記第5穴部よりも面積が大きい第7穴部と、前記第6穴部に対向して配置される第8穴部と、を有する第3中間シートと、
前記第3中間シートに積層配置される防水性及び通気性を有する第2気圧調整シートであって、前記第7穴部に対向して配置される第2防水部と、前記第8穴部に対向して配置される第9穴部と、を有する第2気圧調整シートと、を備える
気圧調整部材。
【請求項8】
内部に内部空間を有する内部ケース部材と、
前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、
前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、
前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、
前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置される気圧調整部材と、を有し、
前記気圧調整部材は、
水は透過させず気体は通気させる第1通気路を構成する第1シート側防水部と、水は透過させず気体は通気させ、前記第1通気路とは別の第2通気路を構成し前記第1シート側防水部よりも面積が小さい第1シート側穴部と、を有し、防水性及び通気性を有する第1気圧調整シートと、
前記第1通気路を構成する第2シート側穴部と、前記第2通気路を構成し前記第2シート側穴部よりも面積が大きい第2シート側防水部と、を有し、前記第1気圧調整シートに所定の部材を介して積層配置される防水性及び通気性を有する第2気圧調整シートと、を有する携帯電子機器。
【請求項9】
内部に内部空間を有する内部ケース部材と、
前記内部ケース部材に形成され、前記内部空間と該内部ケース部材の外部空間とを連通させる第1貫通孔と、
前記内部ケース部材の外側に配置される外部ケース部材と、
前記外部ケース部材の一面側と他面側とを連通させる第2貫通孔と、
前記内部ケース部材と前記外部ケース部材との間に、一方の面が第1貫通孔に対向すると共に他方の面が第2貫通孔に対向して配置される気圧調整部材と、を有し、
前記気圧調整部材は、第1気圧調整シートと、第2気圧調整シートと、を有し、
前記第1気圧調整シートは、防水性及び通気性を有する第1シート側防水部と、通気性を有する第1シート側穴部と、を有し、
前記第2気圧調整シートは、前記第1気圧調整シートに積層配置され、通気性を有し、第1シート側防水部を通気した気体を通気させる第2シート側穴部と、防水性及び通気性を有し、第1シート側穴部を通気した気体を通気させる第2シート側防水部と、を有する第2気圧調整シートと、を有する携帯電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−58918(P2013−58918A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196194(P2011−196194)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】