説明

携帯電子機器

【課題】電磁波強度の測定値のばらつきを低減することが可能な携帯電子機器を提供する。
【解決手段】筐体と、前記筐体に設けられ、電磁波強度を測定する電磁波測定部と、前記筐体に設けられ、前記電磁波測定部の向きを検出する向き検出部と、前記電磁波測定部による電磁波強度の測定及び前記向き検出部による前記電磁波測定部の向きの検出を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記向き検出部により前記電磁波測定部の向きを検出し、前記電磁波測定部の向きに基づいて前記電磁波強度の測定を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁波の強度を測定する電磁波測定部を備える携帯電子機器が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、電磁波測定部の向いている方向によって、電磁波強度の測定値にばらつきが生じる場合があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電磁波強度の測定値のばらつきを低減することの可能な携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、筐体と、前記筐体に設けられ、電磁波強度を測定する電磁波測定部と、前記筐体に設けられ、前記電磁波測定部の向きを検出する向き検出部と、前記電磁波測定部による電磁波強度の測定及び前記向き検出部による前記電磁波測定部の向きの検出を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記向き検出部により前記電磁波測定部の向きを検出し、前記電磁波測定部の向きに基づいて前記電磁波測定部による前記電磁波強度の測定を制御する、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る携帯電子機器において、前記制御部は、前記向き検出部により前記電磁波測定部の向きを検出し、前記電磁波測定部の向きが所定の条件を満たす場合には前記電磁波測定部による前記電磁波強度の測定を行い、前記電磁波測定部の向きが前記所定の条件を満たさない場合には前記電磁波測定部による電磁波強度の測定を行わない、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る携帯電子機器において、前記制御部は、前記向き検出部により前記電磁波測定部の向きを検出すると共に前記電磁波測定部により前記電磁波強度を測定し、前記電磁波測定部の向きが所定の条件を満たす場合には前記電磁波測定部により測定された前記電磁波強度の値を補正せず、前記電磁波測定部の向きが前記所定の条件を満たさない場合には前記電磁波測定部により測定された前記電磁波強度の値を補正する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記筐体において、前記電磁波測定部と共に外部に露出する位置に設けられる操作部と、前記筐体の内部に配置され、前記操作部を照明する第1の照明部と、を備え、前記制御部は、前記電磁波測定部により前記電磁波強度を測定する場合に、当該測定結果に応じて前記第1の照明部の光量を調節する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記筐体において、前記電磁波測定部と共に外部に露出する位置に設けられる表示部と、前記筐体の内部に配置され、前記表示部を照明する第2の照明部と、を備え、前記制御部は、前記電磁波測定部により前記電磁波強度を測定する場合に、当該測定結果に応じて前記第2の照明部の光量を調節する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る携帯電子機器において、前記電磁波測定部は、太陽光に含まれる電磁波の強度を測定可能に構成され、前記制御部は、前記電磁波測定部の向きに係る前記所定の条件を時刻に応じて異ならせる、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る携帯電子機器は、基地局との間で通信を行う通信部を有し、前記制御部は、前記電磁波測定部により前記電磁波強度の測定を行う場合、前記通信部が前記基地局との間で通信を行う間隔に同期して前記電磁波強度の測定を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、向き検出部によって電磁波測定部の向きを検出し、その検出結果に基づいて電磁波測定部による電磁波強度の測定を制御するので、電磁波強度の測定値のばらつきを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話機1(携帯電子機器)の外観図である。
【図2】加速度センサ16として3軸加速度センサを用いて、携帯電話機1の向きを検出する場合の原理を示す図である。
【図3】携帯電話機1の要部構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、携帯電話機1における紫外線強度の測定動作を表すフローチャートである。
【図5】加速度センサ16から得られるZ軸方向の加速度Gzと、その加速度Gzを示す加速度信号をデジタル変換することで得られる加速度データと、携帯電話機1の傾斜角θとの関係を表すテーブルである。
【図6】制御部25における紫外線量の積算動作を表すフローチャートである。
【図7】紫外線量の補正方法に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、本発明に係る携帯電子機器として携帯電話機1を例示して説明する。
図1は、本実施形態における携帯電話機1の外観斜視図である。図1に示す通り、携帯電話機1は、第一筐体11、第一筐体11の厚さ方向に重ね合わせ可能な第二筐体12、及び第一筐体11と第二筐体12とを相互に折り畳み自在に連結するヒンジ部30を備えている。ヒンジ部30は、第一筐体11の基端部11aと第二筐体12の基端部12aとを連結するように配されている。
【0015】
第一筐体11の表面11bには、テンキー13a、通話キー13b、終話キー13c、及び多方向キー13d等の各種の押下操作可能な複数の操作キーを備えるキー操作部13及び通話用のマイクロフォン14が外部に露出するように設けられている。キー操作部13は、携帯電話機1のユーザによる各操作キーの操作入力に応じた操作信号を、後述の制御部25に出力する。なお、上記の終話キー13cは携帯電話機1の電源をオン(投入)又はオフ(切断)するための電源キーとしても用いられる。
【0016】
マイクロフォン14は、基端部11aとは反対側に位置する第一筐体11の先端部11cに配されており、第一筐体11の表面11bから第一筐体11の内部空間に貫通する開口部11dを介して外方に露出している。このマイクロフォン14は、ユーザによって入力された音声を電気信号(以下、音声入力信号と称す)に変換し、当該音声入力信号を後述の制御部25に出力する。
【0017】
また、図1では図示していないが、第一筐体11の内部には、上記のキー操作部13を下方から照明するキーバックライト(第1の照明部)15が設けられている。このキーバックライト15は、後述の制御部25による制御によって、その光量が調節される。さらに、第一筐体11の内部には、携帯電話機1の向きを検出する加速度センサ(向き検出部)16が設けられている。この加速度センサ16は、機械式、光学式、半導体式の何れの方式のものでも良く、任意の検出軸数のものを用いることができる。但し、コスト面及び実装面を考慮すると半導体式のものが望ましく、また検出精度を考慮すると検出軸数が多いもの(例えば、3軸加速度センサ)が好適である。
【0018】
図2は、加速度センサ16として3軸加速度センサを用いて、携帯電話機1の向きを検出する場合の原理を示す図である。ここで、図2(a)に示すように、携帯電話機1における第一筐体11の長手方向をX軸、第一筐体11の短手方向をY軸、XY平面に直交する方向をZ軸とし、XY平面が水平面に対し平行となるように携帯電話機1を保持した状態を基準状態とする。加速度センサ16は、上記のような基準状態において、3つの検出軸が上記X、Y、Z軸と平行となるように、第一筐体11の内部に配置されている。
【0019】
図2(b)は、図2(a)に示す基準状態から携帯電話機1のX軸を水平面に対して角度θだけ傾けた状態を示している。このような傾斜状態において、加速度センサ16によって検出されるZ軸方向の加速度Gzは、重力加速度をg(1〔G〕=9.81m/s)とすると、Gz=g・cosθで表される。つまり、加速度センサ16を用いてZ軸方向の加速度Gzを検出することにより、携帯電話機1の水平面に対する傾斜角θ(言い換えれば、携帯電話機1の向き)を検出することが可能となる。
このような加速度センサ16は、携帯電話機1の各軸(X、Y、Z軸)方向の加速度を検出し、その検出結果を示す電気信号(以下、加速度信号と称す)を、後述の制御部25に出力する。
【0020】
第二筐体12の表面12bには、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなる表示部17と、通話用のスピーカ18と、紫外線センサ19とが外部に露出するように設けられている。表示部17は、後述の制御部25の制御によって、その表示画面を制御されるものである。スピーカ18は、基端部12aとは反対側に位置する第二筐体12の先端部12cに配されており、第二筐体12の表面12bから第二筐体12の内部空間に貫通する開口部12dを介して外方に露出している。このスピーカ18は、後述の制御部25から入力される音声出力信号に応じた音声を外部に出力する。
【0021】
紫外線センサ(電磁波測定部)19は、太陽光に含まれる紫外線(電磁波)の強度を測定し、その測定結果を示す電気信号(以下、紫外線強度信号と称す)を、後述の制御部25に出力するものであり、受光面を表面12b側に露出させた状態で設けられている。
また、図1では図示していないが、第二筐体12の内部には、上記の表示部17(つまりLCD)を下方から照明するLCDバックライト(第2の照明部)20が設けられている。このLCDバックライト20は、後述の制御部25による制御によって、その光量が調節される。
【0022】
図3は、携帯電話機1の要部構成を示すブロック図である。図3に示す通り、携帯電話機1は、図1を用いて説明したキー操作部13、マイクロフォン14、キーバックライト15、加速度センサ16、表示部17、スピーカ18、紫外線センサ19及びLCDバックライト20に加えて、アンテナ21、無線通信部22、タイマ部23、メモリ24及び制御部25を備えており、無線通信ネットワーク(図示省略)を介した通話及び通信を行うことが可能である。
【0023】
無線通信部(通信部)22は、制御部25による制御の下、アンテナ21を介して無線通信ネットワークの一部をなす基地局(図示省略)との間で無線信号の送受信を行うことで、その無線通信ネットワークを利用する他の携帯電話機や、公衆回線網に接続された固定電話やサーバ装置などとの通信を実現するものである。尚、この無線通信部22は、他のユーザとの間の通話のみならず、電子メールの送受信やホームページの閲覧等も実現可能である。
【0024】
タイマ部23は時刻を計時するものであり、現在時刻を示す時刻情報を制御部25に出力する。メモリ24は、携帯電話機1の各種機能を実現する制御プログラムや各種設定データを予め記憶していると共に、制御部25が各種処理を実行する際にデータの一時保存先として用いられる不揮発性の半導体メモリ(例えばフラッシュメモリである)。
【0025】
制御部25は、キー操作部13から入力される操作信号、マイクロフォン14から入力される音声入力信号、加速度センサ16から入力される加速度信号、紫外線センサ19から入力される紫外線強度信号、及び無線通信部22の通信状態に基づいて携帯電話機1の動作を統括的に制御する。例えば、この制御部25は、携帯電話機1のユーザによるキー操作部13の操作に応じて、無線通信部22を制御することによって通話又は通信を実現する。また、詳細は後述するが、この制御部25は、本実施形態における特徴的な動作として、加速度センサ16から得られる加速度信号を基に携帯電話機1の向きを検出し、当該検出した携帯電話機1の向きに基づいて、紫外線センサ19による紫外線強度の測定を制御する。
【0026】
以上が本実施形態における携帯電話機1の構成に関する説明であり、以下では、上記のように構成された携帯電話機1の動作について詳細に説明する。なお、携帯電話機1における通話や通信に関する動作は従来と同様なので、以下では、本実施形態の特徴である紫外線強度の測定動作に着目して説明する。
【0027】
図4は、本発明の第1実施形態に係る携帯電話機1における紫外線強度の測定動作を表すフローチャートである。この図4に示すように、携帯電話機1の制御部25は、キー操作部13からの操作信号の入力を検出すると(ステップS1)、スリープ状態にあった加速度センサ19を起動させる(ステップS2)。ここで、キー操作部13からの操作信号の入力が検出されたということは、ユーザがキー操作部13を操作するために、携帯電話機1の第一筐体11と第二筐体12とを開いた状態(図1参照)にし、紫外線センサ19に外光が入射される状態になったことを意味する。
【0028】
続いて、制御部25は、スリープ状態にあった紫外線センサ19を起動させ、UVデータ(紫外線強度データ)の取得回数を示す変数nを「0」に初期化する(ステップS3)。
そして、制御部25は、加速度センサ16から入力される加速度信号をデジタル変換することで、16進数の加速度データを取得し(ステップS4)、当該取得した加速度データが予め設定されている値の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS5)。
【0029】
図5は、加速度センサ16から得られるZ軸方向の加速度Gzと、その加速度Gzを示す加速度信号をデジタル変換することで得られる加速度データと、携帯電話機1の傾斜角θ(図2参照)との関係を表すテーブルである。この図5に示すように、制御部25が取得する加速度データと携帯電話機1の傾斜角θとの間には相関関係が存在するため、加速度データを取得すれば、現在の携帯電話機1の向きを把握することができる。例えば、加速度データが「0(16進数)」〜「B(16進数)」の範囲では、携帯電話機1の傾斜角θは「0°」〜「11.42°」の範囲にあることがわかる。
【0030】
よって、例えば、携帯電話機1の傾斜角θ(向き)が「0°」〜「11.42°」の範囲にある場合(紫外線センサ19が上方を向いている場合)に、UVデータを取得すると想定すると、取得した加速度データが「0(16進数)」〜「B(16進数)」の範囲に含まれるか否かを判定し、含まれる場合にUVデータを取得するようにすれば良い。つまり、上記ステップS5で使用する比較値とは、UVデータを取得すべき傾斜角θに対応する加速度データによって設定されており、例えば、上記のように、傾斜角θが「0°」〜「11.42°」の範囲にある場合に、UVデータを取得すると想定すると、それに対応する加速度データは「0(16進数)」〜「B(16進数)」の範囲の値で設定されることになる。
【0031】
さて、上記ステップS5において「Yes」の場合、つまり、取得した加速度データが「0(16進数)」〜「B(16進数)」の範囲に含まれる場合(言い換えれば、携帯電話機1がUVデータを取得すべき状態にある場合)、制御部25は、紫外線センサ19から入力される紫外線強度信号をデジタル変換することでUVデータを取得し、UVデータの取得回数nをインクリメントする(ステップS6)。一方、上記ステップS5において「No」の場合、つまり、取得した加速度データが「0(16進数)」〜「B(16進数)」の範囲に含まれない場合(言い換えれば、携帯電話機1がUVデータを取得すべき状態にない場合)、制御部25は、UVデータを取得せずにステップS4の処理に戻る。
【0032】
そして、制御部25は、UVデータの取得回数nが予め設定した回数と一致するか否かを判定する(ステップS7)。上記ステップS7において「No」の場合、制御部25は、ステップS4に戻ってステップS4〜S7の処理を繰り返すことにより、UVデータの取得回数nが予め設定した回数となるまで、UVデータの取得を継続する。一方、上記ステップS7において「Yes」の場合、制御部25は、取得したUVデータの平均値を算出して紫外線強度の測定動作を終了する(ステップS8)。
なお、制御部25は、上記のようにUVデータの平均値を算出した後、その算出結果(UVインデックス)を、表示部17における表示画面のピクトエリアに表示させる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態における携帯電話機1によると、携帯電話機1の向きが所定の条件(例えば、紫外線センサ19が上方を向いている等)を満足する場合にUVデータを取得し、所定の条件を満足しない場合にはUVデータを取得しないため、従来のようなユーザの携帯電話機1の持ち方等によるUVデータの測定値のばらつきを低減することが可能になると共に、省電力及びメモリ24の記憶領域の節約を図ることができる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、制御部25は、紫外線センサ19の向きを検出すると共にUVデータを取得し、紫外線センサ19の向きが所定の条件を満たす場合にはUVデータを補正せず、所定の条件を満たさない場合には、その取得した時の傾斜角θに応じてUVデータを補正する。
例えば、昼間(11:00頃〜13:00頃)にUVデータを取得する場合、傾斜角0°〜約11°の範囲でUVデータMa(mW/cm)を取得する設定とする。この時、携帯電話機1の傾斜角θを10°以上傾けた場合に取得されるUVデータをMb(mW/cm)とすると、補正後のUVデータMb’(mW/cm)は下記(1)式で表される。
Mb’=Mb/cos(θ−10°) ・・・(1)
【0035】
また、夕方(16:00頃〜18:00頃)にUVデータを取得する場合、傾斜角約70°〜約80°の範囲でUVデータMa(mW/cm)を取得する設定とする。この時、携帯電話機1の傾斜角θを70°以下に傾けた場合に取得されるUVデータをMb(mW/cm)とすると、補正後のUVデータMb’(mW/cm)は下記(2)式で表される。
Mb’=Mb/cos(70°−θ) ・・・(2)
【0036】
つまり、制御部25は、紫外線センサ19の向きがUVデータの測定を行うための条件を満たさない場合に、取得したUVデータをその取得した時の傾斜角θに応じて補正する。このように、測定した後に補正するか否かの制御を行うため、特別な動作制御を行う必要はなく、省電力化が図られる。
なお、上記(1)式及び(2)式を一般化した式は、下記(3)式及び(4)式となる。
まず、UVデータを取得する傾斜角がθ≦θ≦θで定義されている場合、制御部25がある傾斜角θstatus≧θでUVデータを取得して補正する時、傾斜角θstatusでのUVデータをLstatus(mW/cm)とすると、補正後のUVデータL’status(mW/cm)は下記(3)式で表される。
L’status=Lstatus/cos(θstatus−θ) ・・・(3)
【0037】
また、UVデータを取得する傾斜角がθ≦θ≦θで定義されている場合、制御部25がある傾斜角θstatus≦θでUVデータを取得して補正する時、傾斜角θstatusでのUVデータをLstatus(mW/cm)とすると、補正後のUVデータL’status(mW/cm)は下記(4)式で表される。
L’status=Lstatus/cos(θ−θstatus) ・・・(3)
なお、強度を測定する電磁波が太陽光に含まれる紫外線である場合、θ及びθは、上述のようにタイマ部23から得られる時刻情報に基づいて異ならせることが好ましい。
【0038】
上記第1実施形態及び第2実施形態において、制御部25に、取得したUVデータ(つまり、紫外線強度の測定結果)に応じて、キーバックライト15の光量とLCDバックライト20の光量との一方若しくは両方を調節する機能を設けても良い。上記のような構成の携帯電話機1では、紫外線センサ19にて紫外線強度を測定する際に、キー操作部13と表示部17も太陽光に曝されている状況が考えられる。そこで、取得したUVデータ(つまり、紫外線強度の測定結果)に応じて、キーバックライト15とLCDバックライト20の光量との一方若しくは両方を調節することにより、利便性を向上させることができる。例えば、あるタイミングで測定したUVデータが所定の閾値を上回り、次に測定したUVデータが所定の閾値を下回った場合に、ユーザが屋外から屋内に入ったことが想定されるので、LCDバックライト20の光量を下げると共に、キーバックライト15の光量を下げる制御を行う。また、これに限らず、種々の調節の仕方をとることができる。
【0039】
上記第1実施形態及び第2実施形態において、紫外線センサ19の向きに係る所定の条件としての加速度データの範囲(つまり、UVデータを取得する条件)は、時刻に応じて異ならせるようにしても良い。つまり、制御部25に、タイマ部23から得られる時刻情報に応じて加速度データの範囲を異ならせる機能を設けても良い。測定対象が太陽光に含まれる電磁波(例えば紫外線)である場合、電磁波の入射する角度を考慮に入れて、時刻に応じてUVデータを取得する条件を異ならせることで、時刻によってUVデータ(紫外線強度の測定値)がばらつくことを低減することができる。
【0040】
上記実施形態では、ユーザによるキー操作部13の操作を検出した場合に、紫外線センサ19による紫外線強度の測定動作を開始したが、これに限らず、無線通信部22が基地局との間で通信を行う間隔に同期して紫外線強度の測定動作を行う機能を制御部25に設けても良い。このように、基地局との通信間隔に同期して紫外線強度の測定動作を行うことにより、消費電力の低減を図ることができる。
【0041】
ここで、上記第1実施形態では、図4のステップS5において、取得した加速度データが「0(16進数)」〜「B(16進数)」の範囲に含まれない場合、つまりUVデータを取得する条件を満たさない場合、UVデータの取得は行われない。しかしながら、ユーザは、UVデータの取得が行われない時があっても、所定期間(例えば1日)の紫外線量(電磁波量)を知りたい場合があり得る。そこで、紫外線量を積算する機能を制御部25に設けても良い。なお、紫外線量とは、紫外線強度(照度〔mW/cm〕)×時間(s)で定義される。
【0042】
図6は、制御部25における紫外線量の積算動作を表すフローチャートである。この図6に示すように、制御部25は、キー操作部13からの操作信号の入力を検出すると、加速度センサ16を起動させ(ステップS11)、スリープ状態にあった紫外線センサ19を起動させる(ステップS12)。そして、制御部25は、紫外線センサ19から入力される紫外線強度信号をデジタル変換することでUVデータb(紫外線強度の測定値)を取得し、紫外線量aをa=a+bにより算出する(ステップS13)。ここで、a=a+bとは、前回の紫外線量aに今回取得したUVデータbを加算して得られる値を今回の紫外線量aとすることを意味する。
なお、ステップS13においては、UVデータを取得するための加速度データの条件は満たしているものとする。
【0043】
続いて、制御部25は、位置情報の更新タイミングで取得した加速度データが予め設定された範囲に含まれるか否かを判定し(ステップS14)、「Yes」の場合には、ステップS13の処理を繰り返すことにより、紫外線量の積算を継続する。ここで、位置情報の更新タイミングとは、基地局との間で5.12秒周期で位置情報の更新処理を行うタイミングを指す。このような基地局との間で位置情報の更新処理を行う周期は位置情報更新周期(若しくは待ち受け間隔)と呼ばれ、必ずしも5.12秒周期に限らず、その整数倍の周期を用いても良い。
【0044】
一方、上記ステップS14において「No」の場合、制御部25は、紫外線センサ19によるUVデータの取得は行わず、直前に取得したUVデータbをAとし(ステップS15)、紫外線量aをa=a+Aにより算出する(ステップS16)。以後、制御部25は、上記の位置情報更新周期で起動して(ステップS17)、加速度データが予め設定した範囲に含まれるか否かを判定し(ステップS18)、「Yes」の場合には、ステップS13の処理に戻り、「No」の場合にはステップS16の処理に戻る。
【0045】
このように、取得した加速度データが所定の条件を満たす場合には、基地局との位置情報更新周期でUVデータを取得して紫外線量を積算し、所定の条件を満たさない場合には、直前に取得したUVデータを位置情報更新周期で積算することにより、所定期間の紫外線量を算出することができる。なお、携帯電話機1にGPS機能、或いは照度センサを設け、取得した加速度データが所定の条件を満たさない場合に、位置情報更新周期でGPSの受信感度データ、或いは照度データを測定し、その測定結果に応じて、直前に取得したUVデータを補正して積算するようにしても良い。
【0046】
具体的には、図7に示すように、加速度データに基づく端末の向きが所定の条件を満たさない場合に、基準となるUVデータA(直前に取得したUVデータ)に、GPS受信感度データ、或いは照度データの増減率と重み付け係数を掛けることで、加速度データに基づく端末の向きが所定の条件を満たさない場合におけるUVデータを補正することができ、紫外線量を精度良く求めることが可能となる。
【0047】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した第1実施形態及び第2実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、上述した実施形態において、携帯電子機器として携帯電話機について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯電子機器であっても良い。
【0048】
また、上述した実施形態では、電磁波強度を測定する電磁波測定部として、紫外線強度を測定する紫外線センサを用いたが、紫外線とは異なる波長の電磁波(赤外線や可視光線など)を測定する電磁波測定部を備える携帯電子機器にも本発明を適用することができる。
【0049】
また、上述した実施形態においては、電磁波測定部の向きを検出する向き検出部として加速度センサを用いて説明しているが、本発明はこれに限定されず、向きを検出できるものであれば良い。
【0050】
また、上述した実施形態においては、地表面に対するX軸の傾きをθとし、その角度に基づいてUVデータの測定の制御を行っているが、本発明はこれに限定されず、地表面に対するY軸またはZ軸の傾きに基づいてUVデータの測定の制御を行っても良い。また、2つ以上の軸の傾きに基づいてUVデータの測定の制御を行っても良い。
【符号の説明】
【0051】
1…携帯電話機(携帯電子機器)、11…第一筐体、12…第二筐体、30…ヒンジ部、13…キー操作部(操作部)、14…マイクロフォン、15…キーバックライト(第1の照明部)、16…加速度センサ(向き検出部)、17…表示部、18…スピーカ、19…紫外線センサ(電磁波測定部)、20…LCDバックライト(第2の照明部)、21…アンテナ、22…無線通信部(通信部)、23…タイマ部、24…メモリ、25…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられ、電磁波強度を測定する電磁波測定部と、
前記筐体に設けられ、前記電磁波測定部の向きを検出する向き検出部と、
前記電磁波測定部による電磁波強度の測定及び前記向き検出部による前記電磁波測定部の向きの検出を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記向き検出部により前記電磁波測定部の向きを検出し、前記電磁波測定部の向きに基づいて前記電磁波測定部による前記電磁波強度の測定を制御する、
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記向き検出部により前記電磁波測定部の向きを検出し、前記電磁波測定部の向きが所定の条件を満たす場合には前記電磁波測定部による前記電磁波強度の測定を行い、前記電磁波測定部の向きが前記所定の条件を満たさない場合には前記電磁波測定部による電磁波強度の測定を行わない、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記向き検出部により前記電磁波測定部の向きを検出すると共に前記電磁波測定部により前記電磁波強度を測定し、前記電磁波測定部の向きが所定の条件を満たす場合には前記電磁波測定部により測定された前記電磁波強度の値を補正せず、前記電磁波測定部の向きが前記所定の条件を満たさない場合には前記電磁波測定部により測定された前記電磁波強度の値を補正する、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記筐体において、前記電磁波測定部と共に外部に露出する位置に設けられる操作部と、
前記筐体の内部に配置され、前記操作部を照明する第1の照明部と、を備え、
前記制御部は、前記電磁波測定部により前記電磁波強度を測定する場合に、当該測定結果に応じて前記第1の照明部の光量を調節する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記筐体において、前記電磁波測定部と共に外部に露出する位置に設けられる表示部と、
前記筐体の内部に配置され、前記表示部を照明する第2の照明部と、を備え、
前記制御部は、前記電磁波測定部により前記電磁波強度を測定する場合に、当該測定結果に応じて前記第2の照明部の光量を調節する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記電磁波測定部は、太陽光に含まれる電磁波の強度を測定可能に構成され、
前記制御部は、前記電磁波測定部の向きに係る前記所定の条件を時刻に応じて異ならせる、ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
基地局との間で通信を行う通信部を有し、
前記制御部は、前記電磁波測定部により前記電磁波強度の測定を行う場合、前記通信部が前記基地局との間で通信を行う間隔に同期して前記電磁波強度の測定を行う、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−33353(P2011−33353A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176988(P2009−176988)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】